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【発明の名称】足し算図カード 【出願人】 【識別番号】522330979 【氏名又は名称】岡澤 宏 【住所又は居所】茨城県牛久市下根町1306-45 【代理人】 【識別番号】100209129 【弁理士】 【氏名又は名称】山城 正機 【発明者】 【氏名】岡澤 宏 【住所又は居所】茨城県牛久市下根町1306-45 【要約】 【課題】足し算について学び始めた者であっても、10の位への繰り上がりについて直感的に理解し体得することが可能な足し算図カードを提供する。 【解決手段】本発明の足し算図カードは、略矩形状不透明平板によって形成され1から10までの整数のうち特定の第一の整数を表す被加数表示カードと、被加数表示カードと略同一形状の略矩形状不透明平板によって形成され第二の整数を表す加数表示カードとによって構成される。被加数表示カードは、横五列を上下二段に略均等に配置した十の仮想的なマス目の略中心位置に対して上段及び左側から第一の整数の数だけ第一の印を付すとともに、残部に孔部を形成することで構成される。また、加数表示カードは、上段及び左側から第二の整数の数だけ第二の印を付すことによって構成され、第二の印は、被加数表示カードの下面側に加数表示カードの一部を重ねて位置させた際に、孔部を介して視認可能となる。 【選択図】図3 【特許請求の範囲】 【請求項1】 略矩形状不透明平板によって形成され1から10までの整数のうち特定の第一の整数を表す被加数表示カードと、前記被加数表示カードと略同一形状の略矩形状不透明平板によって形成され1から10までの整数のうち特定の第二の整数を表す加数表示カードとによって構成される足し算図カードであって、 前記被加数表示カードは、横五列を上下二段に略均等に配置した十の仮想的なマス目の略中心位置に対して上段及び左側から前記第一の整数の数だけ第一の印を付すとともに、前記仮想的なマス目の残部の略中心位置に孔部を形成し、 前記加数表示カードは、前記被加数表示カードと略同一に配置した十の仮想的なマス目の略中心位置に対して上段及び左側から前記第二の整数の数だけ第二の印を付したものであり、 前記被加数表示カードの下面側に前記加数表示カードの一部を重ねて位置させた際に前記第二の印が前記孔部を介して視認可能となる、 ことを特徴とする足し算図カード。 【請求項2】 前記加数表示カード及び前記被加数表示カードの縁部に、前記加数表示カード及び前記被加数表示カードを形成する略矩形状不透明平板の色彩とは異なる色彩を付した、 請求項1に記載の足し算図カード。 【請求項3】 前記加数表示カード及び前記被加数表示カードの裏面に板状マグネットを付した、 請求項1又は2に記載の足し算図カード。 【請求項4】 前記板状マグネットを前記被加数表示カードの四辺のうち、左辺及び上辺の二辺に付した、 請求項3に記載の足し算図カード。 【請求項5】 前記板状マグネットを、前記被加数表示カード表面から見て左端の孔部又は前記第一の印が付される仮想的なマス目に隣接する仮想的なマス目に付される孔部の左側に相当する位置に、縦方向に延伸するよう付した、 請求項3に記載の足し算図カード。 【請求項6】 前記板状マグネットを、前記上段の仮想的なマス目の下縁に沿って横方向に延伸するよう付した、 請求項3に記載の足し算図カード。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、足し算図カードに関し、特に、足し算を学習し始めた小学生が、感覚的に足し算の仕組みを体得するための手段に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、足し算の学習を始めたばかりの小学校低学年の児童において、計算式での理解が難しい場合、自身の両手指を用いて足し算を理解することが行われている。 【0003】 ところが、手指を用いて足し算の答えを導き出すことができたとしても、それで足し算の仕組みを理解することができたことにはならず、結局、手指を使った足し算を継続することになる。また、手指を使った場合、繰り上がりの足し算を行うことができない。そこで、足し算の視覚的な理解を補助するための教具として、特許文献1に開示されるような算数学習教具が提案されている(特許文献1)。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 【特許文献1】 特許第6887962号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 特許文献1に開示された技術は、1〜10の整数に対応する数の丸印とマス目が基材に描かれたベース数図カードと、1〜10の整数に対応する数の丸印がマス目に描かれた透明の重ね合わせ数図カードを用い、ベース数図カードに重ね合わせ数図カードを重ね合わせることで、足し算や引き算を視覚によって直感的に理解できる算数学習教具が開示されている。 【0006】 引用文献1に記載された算数学習教具によると、ベース数図カードを机上に載置した状態で、その上方から透明の重ね合わせ数図カードを重ね合わせることで、ベース数図カードに表示される丸印の数に重ね合わせた結果を示す数図カードから、すぐに、足し合わせた合計の数を知ることが可能となっている。 【0007】 しかしながら、引用文献1に記載された算数学習教具は、白色の紙の基材にマス目を描くことで形成されたベース数図カードと、透明の重ね合わせ数図カードを使用するため、足す数と足される数が同等の意味を持つことを理解することが難しい。また、重ね合わせ数図カードは透明であるため、近付けていく間は数を確認するのは難しい。ベース数図カードに重ねることで初めて数を認識できるため、加法における動きによる視覚的効果はほぼ期待できない。しかも、透明の重ね合わせ数図カードを用いるため、黒板などに貼付して使用することが難しい。そのため、重ね合わせた後の丸印の数を数えることで単に計算の答えを出すためであれば使い勝手が良いものの、カードの移動という視覚的効果を用いて足し算の仕組みを感覚的に体得させるのには不向きである。 【0008】 このように、引用文献1に記載された算数学習教具は、教員が説明しながらカードを動かすことには適しておらず、せっかく足す数を移動し重ね合わせるという動きを用いて足し算の説明を試みるものではあるものの、その動きの意義を十分に発揮できるものとは言い難い。 【0009】 本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、足し算を学習し始めた小学校低学年の児童であっても、感覚的に足し算の仕組みを体得することが可能な足し算図カードを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0010】 本願発明の発明者は、鋭意研究の結果、足される数すなわち被加数を表す被加数表示カードにおいて、10の補数分の孔部を設け、孔部に対して足す数すなわち加数の印を当てはめることによって、空いている孔が印で埋められるという視覚的効果を生かして足し算の仕組みを体得させることができることを見出し、本願発明に至った。 【0011】 本発明では、以下のような解決手段を提供する。 【0012】 第1の特徴に係る足し算図カードは、略矩形状不透明平板によって形成され1から10までの整数のうち特定の第一の整数を表す被加数表示カードと、被加数表示カードと略同一形状の略矩形状不透明平板によって形成され1から10までの整数のうち特定の第二の整数を表す加数表示カードとによって構成される。 【0013】 ここで、被加数表示カードは、横五列を上下二段に略均等に配置した十の仮想的なマス目の略中心位置に対して上段及び左側から第一の整数の数だけ第一の印を付すとともに、仮想的なマス目の残部の略中心位置に孔部を形成することで構成される。 【0014】 また、加数表示カードは、被加数表示カードと略同一に配置した十の仮想的なマス目の略中心位置に対して上段及び左側から第二の整数の数だけ第二の印を付すことによって構成される。そして、第二の印は、被加数表示カードの下面側に加数表示カードの一部を重ねて位置させた際に、孔部を介して視認可能となる。 【0015】 第1の特徴に係る発明によれば、横五列を上下二段に略均等に配置した十の仮想的なマス目が設けられた略矩形状不透明平板によって形成された被加数表示カードにおいて、第一の整数の数の印、及び、10の補数分の孔部が設けられていることにより、一枚の被加数表示カードで10という塊を意識させることができる。特に、不透明平板に孔部を設けていることにより、孔部をすべて埋めると10になるという意識を持たせることができる。また、仮に孔部がすべて埋まらなかったとしても、第一の印の数と、孔部から視認できる第二の印の数を合計することで足し算の答えが計算できることを視覚的に理解することができる。 【0016】 また、加数表示カードは被加数表示カードと略同一の形状であり、被加数表示カードと略同一に配置した十の仮想的なマス目を有しているため、足す数と足される数を同等のものとして捉えることができる。 【0017】 また、被加数表示カードおよび加数表示カードにはそれぞれ、仮想的なマス目の略中心部に孔部や第二の印が形成されているため、被加数表示カードの孔部同士の間隔と加数表示カードの第二の印同士の間隔は略同一である。そのため、被加数表示カードの下面側に加数表示カードをスライドさせていった際に、第二の印が孔部に順番に埋められていき、計算が完成するという状況を視認することができるという視覚的効果が得られる。 【0018】 一方で、加数表示カードには孔部は形成されず、第二の整数の数の印のみ形成されるため、加数表示カードには10の補数としては何も表示されない。そのため、余計な情報を排除して純粋に繰り上がりの答えなどを視覚的に理解することができる。 【0019】 第2の特徴に係る足し算図カードは、第1の特徴に係る足し算図カードであって、加数表示カード及び被加数表示カードの縁部に、加数表示カード及び被加数表示カードを形成する略矩形状不透明平板の色彩とは異なる色彩が付されている。 【0020】 第2の特徴に係る足し算図カードによれば、加数表示カード及び被加数表示カードを形成する略矩形状不透明平板の色彩とは異なる色彩が付されているため、その色彩で囲まれたものが10という一つの塊であることを、より一層意識することができる。 【0021】 第3の特徴に係る足し算図カードは、第1又は第2の特徴に係る足し算図カードであって、加数表示カード及び被加数表示カードの裏面に板状マグネットが付されている。 【0022】 第3の特徴に係る足し算図カードによれば、加数表示カード及び被加数表示カードの裏面に板状マグネットを付したため、加数表示カード及び被加数表示カードを黒板に貼付して足し算の仕組みを解説することができ、学校教育等の現場において使い勝手の良い教具となる。 【0023】 第4の特徴に係る足し算図カードは、第3の特徴に係る足し算図カードであって、マグネットは被加数表示カードの四辺のうち、左辺及び上辺の二辺に付されたものである。 【0024】 第4の特徴に係る足し算図カードによれば、マグネットが被加数表示カードの四辺のうち、左辺及び上辺の二辺に付されているため、加数表示カードを被加数表示カードの右方向からスライドさせて徐々に計算を完成させることができる。このように徐々に計算を完成させるという動きのある状況を作り出すことで、より視覚に訴求して印象を残すことが可能な教具とすることができる。 【0025】 第5の特徴に係る足し算図カードは、第3の特徴に係る足し算図カードであって、マグネットが、被加数表示カード表面から見て左端の孔部又は第一の印が付される仮想的なマス目に隣接する仮想的なマス目に付される孔部の左側に相当する位置に、縦方向に延伸するよう付されたものである。 【0026】 第5の特徴に係る足し算図カードによれば、被加数表示カード表面から見て左端の孔部又は第一の印が付される仮想的なマス目に隣接する仮想的なマス目に付された孔部の左側に縦方向に延伸するよう付した板状マグネットがストッパの役割を果たすため、加数表示カードの第二の印のうちの左端の第二の印がちょうど左端の孔部又は第一の印に隣接する孔部に一致するよう位置させることができる。 【0027】 第6の特徴に係る足し算図カードは、第3の特徴に係る足し算図カードであって、板状マグネットが、前記上段の仮想的なマス目の下縁に沿って横方向に延伸するよう付されたものである。 【0028】 第6の特徴に係る足し算図カードによれば、上段の仮想的なマス目の下縁に沿って横方向に延伸するよう付した板状マグネットがガイドの役割を果たすため、加数表示カードをスムーズに左方に移動させることができる。 【発明の効果】 【0029】 本発明によれば、足し算を学習し始めた小学校低学年の児童や、繰り上がりの足し算で戸惑いを見せる児童に対し、10のまとまりを意識して感覚的に足し算の仕組みを体得することが可能な足し算図カードを提供できる。 【図面の簡単な説明】 【0030】 【図1】図1は、本実施形態に係る足し算図カードの全体構成を示す模式図である。図1(a)は第一の整数として「5」を表す被加数表示カードの模式図であり、図1(b)は第一の整数として「7」を表す被加数表示カードの模式図であり、図1(c)は第二の整数として「3」を表す加数表示カードの模式図であり、図1(d)は第二の整数として「5」を表す加数表示カードの模式図であり、図1(e)は「7」を表す被加数表示カードの裏面の模式図である。 【図2】図2は、本実施形態に係る足し算図カードを用いた実施例1に係る繰り上がりのない足し算の手順を示す模式図である。 【図3】図3は、本実施形態に係る足し算図カードを用いた実施例2に係る繰り上がりのある足し算の手順を示す模式図である。 【発明を実施するための形態】 【0031】 以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。 【0032】 [足し算図カード1の全体構成] 図1を用いて、本実施形態に係る足し算図カード1の全体構成を説明する。 【0033】 図1に示すように、本実施形態に係る足し算図カード1は、略矩形状不透明平板によって形成され1から10までの整数のうち特定の第一の整数を表す被加数表示カード10と、被加数表示カード10と略同一形状の略矩形状不透明平板によって形成され1から10までの整数のうち特定の第二の整数を表す加数表示カード20とによって構成される。なお、図1に示す例においては、図1(a)に第一の整数として「5」を表す被加数表示カード10を、図1(b)に第一の整数として「7」を表す被加数表示カード10を、図1(c)に第二の整数として「3」を表す加数表示カード20を、図1(d)に第二の整数として「5」を表す加数表示カード20を示す。また、図1(e)には、図1(b)に示す「7」の被加数表示カード10の裏面の模式図を示す。なお、本発明においては、紙面上下方向を縦方向、紙面左右方向を横方向と呼ぶ。 【0034】 図1(a)及び図1(b)に示すように、本実施形態に係る被加数表示カード10には、カード全体を横五列上下二段に略均等に区画した十の仮想的なマス目11が形成される。仮想的なマス目11の略中心位置には、上段のマス目11及び左側のマス目11から順に、第一の整数の数だけ第一の印12が付される。また、第一の印12が付されたマス目11の残部のマス目11、つまり10の補数に相当するマス目11の略中心位置には略矩形状不透明平板を貫通する孔部13が形成される。このとき、被加数表示カード10表面から見て左端の孔部又は第一の印12が付される仮想的なマス目11と隣接する仮想的なマス目11に付される孔部を孔部13sと呼ぶ。なお第一の印12は、シールなどを貼付することによって付してもよいし、印刷やマジックなどで図形を描くことで形成してもよい。また、孔部13は矩形状のものが形成されているが、丸形でも構わない。 【0035】 なお、仮想的なマス目11を生成するにあたり、それぞれのマス目11の境界に沿った罫線を付す必要は無い。 【0036】 また、被加数表示カード10の表面の縁部14には、被加数表示カード10を形成する略矩形状不透明平板の色彩とは異なる色彩が付されている。 【0037】 図1(c)及び図1(d)に示すように、被加数表示カード10と同様に、本実施形態に係る加数表示カード20にも横五列を上下二段に略均等に配置した十の仮想的なマス目21が形成される。仮想的なマス目21の略中心位置には、上段のマス目21及び左側のマス目21から順に、第二の整数の数だけ第二の印22が付される。そして、被加数表示カード10とは異なり、加数表示カード20には孔部は形成されず、第二の印22が付されるのみである。なお第二の印22は、第一の印12と同様に、シールなどを貼付することによって付してもよいし、印刷やマジックなどで図形を描くことで形成してもよい。ただし、第二の印22は第一の印12と同一の形状及び色彩を有することが望ましい。 【0038】 なお、被加数表示カード10と同様に、仮想的なマス目21を生成するにあたり、それぞれのマス目21の境界に沿った罫線を付す必要は無い。 【0039】 また、加数表示カード20の表面の縁部23には、加数表示カード20を形成する略矩形状不透明平板の色彩とは異なる色彩が付されている。すなわち、本実施形態に係る被加数表示カード10及び加数表示カード20は、いずれも、同一の色付きの厚紙を用いて形成されている。そして、それぞれの縁部14、24は、厚紙の色とは異なる色彩が付されている。 【0040】 また、図1(e)に示すように、被加数表示カード10の裏面には、板状マグネット15a、15bが付されている。板状マグネット15aは、カード全体を固定させるためのものであり、被加数表示カード10の上辺及び左辺に相当する位置に付されるのが好ましい。そのため、図1(e)に示すように、被加数表示カード10を裏向きに載置した際には、被加算表示カード10の上辺及び右辺にマグネット15aが付されているように見える。 【0041】 一方、板状マグネット15bは、被加数表示カード10の裏面側に挿入される加数表示カード20の位置決めを行うためのものであり、挿入する加数表示カード20が所定の箇所に収まるような位置に付す。具体的には、被加数表示カード10に形成される孔部13のうち、被加数表示カード10表面から見て左端の孔部13s又は第一の印12が付される仮想的なマス目11に隣接する仮想的なマス目11に付される孔部13sの左側に相当する位置に、縦方向に延伸するよう板状マグネット15bを付す(図1(e)に示すように被加数表示カード10を裏向きに載置した際には、孔部13sの右側に板状マグネット15bが付されているように見える)。また、図1(e)に示すように、特に孔部13が仮想的なマス目11の下段のみに存在する場合には、上段の仮想的なマス目11の下縁に沿って横方向に延伸するよう板状マグネット15bを付す。 【0042】 なお、図示は省略するが、加数表示カード20の裏面には、被加数表示カード10の背面に挿入しやすくするために、板状マグネットのみを上辺及び右辺に相当する位置に付すのが好ましい。 【0043】 [実施例1] 図2を用いて、繰り上がりのない足し算を行う場合について説明する。被加数表示カード10として「5」を表すカードを、加数表示カード20として「3」を表すカードを使用し、5+3の足し算を行う場合について説明する。 【0044】 まず、図2(a)に示すように、黒板に被加数表示カード10と加数表示カード20を並べて貼付する。このとき、被加数表示カード10が左側に、加数表示カード10が右側に位置するよう貼付すると、実際の足し算の式と同じ順番になるため好ましい。また、図2(a)に示すよう「5+3=」のように実際の式も併せて表示させるとより効果的である。 【0045】 次に、図2(b)に示すように、加数表示カード20を手に持ち黒板から剥離させる。 【0046】 そして、図2(c)に示すように、加数表示カード20を被加数表示カード10の下面側に位置するように黒板に貼付する。このとき、被加数表示カード10に形成される孔部13のうち左端の孔部13sに、加数表示カード20に配置される第二の印22のうち左端の第二の印22sが合うように、被加数表示カード10の下面側に重複させて配置する。 【0047】 このようなステップにより、5+3の足し算を視覚を通じて理解することが可能となる。 【0048】 [実施例2] 次に、図3を用いて、繰り上がりのある足し算を行う場合について説明する。被加数表示カード10として「7」を表すカードを、加数表示カード20として「5」を表すカードを使用し、7+5の足し算を行う場合について説明する。 【0049】 まず、図3(a)に示すように、黒板に被加数表示カード10と加数表示カード20を並べて貼付する。このとき、被加数表示カード10が左側に、加数表示カード10が右側に位置するよう貼付すると、実際の足し算の式と同じ順番になるため好ましい。また、図3(a)に示すよう「7+5=」のように実際の式も併せて表示させるとより効果的である。 【0050】 次に、図3(b)に示すように、加数表示カード20を手に持ち黒板から剥離させる。 【0051】 そして、図3(c)に示すように、加数表示カード20を被加数表示カード10の裏面側に位置するように黒板に貼付する。このとき、被加数表示カード10に形成される孔部13のうち左端の孔部13sに、加数表示カード20に配置される第二の印22のうち左端の第二の印22sが合うように、被加数表示カード10の下面側に重複させて配置する。 【0052】 ここで、被加数表示カード10の裏面において、上段の仮想的なマス目11の下縁に沿って横方向に延伸するよう付した板状マグネット15bがガイドの役割を果たすため、加数表示カード20をスムーズに左方に移動させることができる。また、被加数表示カード10表面から見て左端の孔部13s又は第一の印12が付される仮想的なマス目11に隣接する仮想的なマス目11に付された孔部13sの左側に縦方向に延伸するよう付した板状マグネット15bがストッパの役割を果たすため、加数表示カード20の第二の印22のうちの左端の第二の印22sがちょうど左端の孔部13s又は第一の印12に隣接する孔部13sに一致するよう位置させることができる。 【0053】 このようなステップにより、足す数「5」のうちの「3」が被加数表示カード10の孔部13を通じて視認され、足す数「5」のうちの残りの「2」が被加数表示カード10の枠外から視認されることとなる。つまり、被加数表示カード10における10の補数である孔部13が全て埋められて10となり、孔部13に入りきらなかった余りの数が一の位の数となる計算が自然に完成する。 【0054】 このように、被加数表示カード10の孔部13を全て埋めると10になるという意識を、単に被加数表示カード10の下面側に加数表示カード20を重ねるだけで、イメージを通じて視覚的に与えることができる。そして、補数を埋めて残った数が一の位の数となるという意識も、同時に与えることができる。 【0055】 このとき、被加数表示カード10の表面の縁部14には、被加数表示カード10を形成する略矩形状不透明平板の色彩とは異なる色彩が付されているため、これを10という一つの塊として認識することとなる。つまり、被加数表示カード10の孔部13が全て埋められたら10になるという意識を、縁部14に付した色彩を通じて、より強烈に与えることができる。 【0056】 本件発明に係る足し算図カード1は、横五列を上下二段に略均等に配置した十の仮想的なマス目11が設けられた略矩形状不透明平板によって形成された被加数表示カード10において、第一の整数の数の印12、及び、10の補数分の孔部13が設けられていることにより、一枚の被加数表示カードで10という塊を意識させることができる。特に、不透明平板に孔部13を設けていることにより、孔部13をすべて埋めると10になるという意識を持たせることができる。また、仮に孔部13がすべて埋まらなかったとしても、第一の印12の数と、孔部13から視認できる第二の印22の数を合計することで足し算の答えが計算できることを視覚的に理解することができる。特に、孔部13のある被加数表示カード10に加数表示カード20を近接させたときに、児童が孔部13の数と加数(第二の印22)を見比べることができ、加数表示カード20の移動という視覚的効果によって足し算の仕組みを感覚的に体得することができる。 【0057】 また、加数表示カード20は被加数表示カード10と略同一の形状であり、被加数表示カード10と略同一に配置した十の仮想的なマス目21を有しているため、足す数と足される数を同等のものとして捉えることができる。 【0058】 また、被加数表示カード10および加数表示カード20にはそれぞれ、仮想的なマス目11、21の略中心部に孔部13や第二の印22が形成されているため、被加数表示カード10の孔部13同士の間隔と加数表示カード20の第二の印22同士の間隔は略同一である。そのため、被加数表示カード10の下面側に加数表示カード20をスライドさせていった際に、第二の印22が孔部13に順番に埋められていき、計算が完成するという状況を視認することができるという視覚的効果が得られる。 【0059】 特に、第一の印12と印第二の22は略同一の形状及び色彩を有するため、移動して足し合わせるというイメージを明確にするのに役立つ。 【0060】 一方で、加数表示カード20には孔部は形成されず、第二の整数の数の印22のみ形成されるため、加数表示カード20には10の補数としては何も表示されない。そのため、余計な情報を排除して純粋に繰り上がりの答えなどを視覚的に理解することができる。 【0061】 以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。 【0062】 また、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。 【産業上の利用可能性】 【0063】 この発明の足し算図カードは、足し算を学習し始めた小学生などがイメージによって繰り上がりの足し算を習得することなどに適用することができる。 【符号の説明】 【0064】 1 足し算図カード 10 被加数表示カード 11 仮想的なマス目 12 第一の印 13 孔部 14 縁部 15 マグネット 20 加数表示カード 21 仮想的なマス目 22 第二の印 23 縁部 |
【図1】 |
【図2】 |
【図3】 |
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