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【発明の名称】カッターナイフ用ホルダー 【出願人】 【識別番号】508207963 【氏名又は名称】大前 嘉裕 【住所又は居所】滋賀県東近江市佐野町597番地7 【代理人】 【弁理士】 【識別番号】100092727 【氏名又は名称】岸本 忠昭 【代理人】 【弁理士】 【識別番号】100148460 【氏名又は名称】小俣 純一 【発明者】 【氏名】大前 嘉裕 【住所又は居所】滋賀県東近江市佐野町597番地7 【要約】 【課題】 簡単な構成でもってカッター刃の操作を行うことができるカッターナイフ用ホルダーを提供する。 【解決手段】 カッター刃4を出し入れ自在に保持するためのカッターナイフ用ホルダー6である。このカッターナイフ用ホルダー6は、ホルダー本体部8と、ホルダー本体部8に回転自在に支持されたローラー部10と、を備えている。ホルダー本体部8の内部には、カッター刃4をスライド移動自在に支持するための移動経路20が設けられ、ローラー部10の外周面はカッター刃4の片面に押圧接触されている。ローラー部10を回転させると、ローラー部10とカッター刃4との摩擦により、カッター刃4は、その大部分が移動経路20に収納される収納位置と、その先端部がホルダー本体部8の一端部より突出される突出位置との間を自在に移動される。 【特許請求の範囲】 【請求項1】 カッター刃を出し入れ自在に保持するためのカッターナイフ用ホルダーであって、 ホルダー本体部と、前記ホルダー本体部に回転自在に支持されたローラー部と、を備え、前記ホルダー本体部の内部には、前記カッター刃をスライド移動自在に支持するための移動経路が設けられ、前記ローラー部の外周面は前記カッター刃の片面に押圧接触されており、 前記ローラー部を回転させると、前記ローラー部と前記カッター刃との摩擦により、前記カッター刃は、その大部分が前記移動経路に収納される収納位置と、その先端部が前記ホルダー本体部の一端部より突出される突出位置との間を自在に移動されることを特徴とするカッターナイフ用ホルダー。 【請求項2】 前記ローラー部の一端部は前記カッター刃の刃部側に配設され、その他端部は前記カッター刃の刃部側と反対側に配設され、また前記ローラー部に関連して、前記ローラー部をその一端部を支点として振り子状に傾動させるための傾動機構が設けられ、 前記ローラー部を所定方向に回転させると、前記ローラー部が前記傾動機構によって前記カッター刃の基端部側に向けて傾動され、これにより前記カッター刃は、その刃部が前記移動経路の一側部から離隔する方向に変位されながら前記収納位置から前記突出位置に移動され、また、前記ローラー部を前記所定方向とは反対方向に回転させると、前記ローラー部が前記傾動機構によって前記カッター刃の先端部側に向けて傾動され、これにより前記カッター刃は、その刃部が前記移動経路の一側部から離隔する方向に変位されながら前記突出位置から前記収納位置に移動されることを特徴とする請求項1に記載のカッターナイフ用ホルダー。 【請求項3】 前記傾動機構は、前記ホルダー本体部に支持された支持軸部と、前記ローラー部に設けられた貫通孔とから構成され、前記支持軸部は前記ローラー部の前記貫通孔に挿通され、前記貫通孔は、その一端の外径が他端の外径よりも幾分小さいテーパ状に構成されていることを特徴とする請求項2に記載のカッターナイフ用ホルダー。 【請求項4】 前記傾動機構は、前記ローラー部に設けられた支持軸部と、前記ホルダー本体部に設けられ、前記支持軸部の両端部がそれぞれ挿通支持される一対の支持孔とから構成され、前記一対の支持孔の一方の外径はそれらの他方の外径よりも小さく構成されていることを特徴とする請求項2に記載のカッターナイフ用ホルダー。 【請求項5】 前記ホルダー本体部の内部には板バネ部材が設けられ、前記カッター刃は、前記板バネ部材の弾性偏倚力によって前記ローラー部の外周面に押圧されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカッターナイフ用ホルダー。 【請求項6】 前記ホルダー本体部には固定用ネジが回転自在に設けられ、前記固定用ネジを締付方向に回転させると、前記固定用ネジの先端部が前記収納位置に位置付けられた前記カッター刃の先端部の前方に突出され、また前記固定用ネジを弛緩方向に回転させると、前記固定用ネジの先端部が前記移動経路から後退されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のカッターナイフ用ホルダー。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 本発明は、カッター刃を出し入れ自在に保持するためのカッターナイフ用ホルダーに関する。 【背景技術】 従来より、例えば紙やベニヤ板などの被切断物を切断するためのカッターナイフが広く利用されている(例えば、特許文献1参照)。カッターナイフは、カッター刃と、カッター刃を出し入れ自在に保持するためのカッターナイフ用ホルダーと、を備えている。カッターナイフ用ホルダーにはアタッチメントが設けられ、このアタッチメントは、カッター刃がスライド移動自在に収納されるスライド溝と、カッター刃に取り付けられたスライダと、刃部がスライド溝の一側部から離隔された状態でカッター刃をスライド移動させるためのスライド機構とから構成されている。スライド機構によりカッター刃がスライド移動されることによって、刃部がスライド溝の一側部との摩擦により劣化するのが防止される。 【特許文献1】 特開平8−332286号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、従来のカッターナイフ用ホルダーでは上述のようなアタッチメントが設けられているので、カッターナイフ用ホルダーの構造が複雑になるという問題がある。 本発明の目的は、簡単な構成でもってカッター刃の操作を行うことができるカッターナイフ用ホルダーを提供することである。 【課題を解決するための手段】 本発明の請求項1に記載のカッターナイフ用ホルダーでは、カッター刃を出し入れ自在に保持するためのカッターナイフ用ホルダーであって、 ホルダー本体部と、前記ホルダー本体部に回転自在に支持されたローラー部と、を備え、前記ホルダー本体部の内部には、前記カッター刃をスライド移動自在に支持するための移動経路が設けられ、前記ローラー部の外周面は前記カッター刃の片面に押圧接触されており、 前記ローラー部を回転させると、前記ローラー部と前記カッター刃との摩擦により、前記カッター刃は、その大部分が前記移動経路に収納される収納位置と、その先端部が前記ホルダー本体部の一端部より突出される突出位置との間を自在に移動されることを特徴とする。 また、本発明の請求項2に記載のカッターナイフ用ホルダーでは、前記ローラー部の一端部は前記カッター刃の刃部側に配設され、その他端部は前記カッター刃の刃部側と反対側に配設され、また前記ローラー部に関連して、前記ローラー部をその一端部を支点として振り子状に傾動させるための傾動機構が設けられ、 前記ローラー部を所定方向に回転させると、前記ローラー部が前記傾動機構によって前記カッター刃の基端部側に向けて傾動され、これにより前記カッター刃は、その刃部が前記移動経路の一側部から離隔する方向に変位されながら前記収納位置から前記突出位置に移動され、また、前記ローラー部を前記所定方向とは反対方向に回転させると、前記ローラー部が前記傾動機構によって前記カッター刃の先端部側に向けて傾動され、これにより前記カッター刃は、その刃部が前記移動経路の一側部から離隔する方向に変位されながら前記突出位置から前記収納位置に移動されることを特徴とする。 また、本発明の請求項3に記載のカッターナイフ用ホルダーでは、前記傾動機構は、前記ホルダー本体部に支持された支持軸部と、前記ローラー部に設けられた貫通孔とから構成され、前記支持軸部は前記ローラー部の前記貫通孔に挿通され、前記貫通孔は、その一端の外径が他端の外径よりも幾分小さいテーパ状に構成されていることを特徴とする。 また、本発明の請求項4に記載のカッターナイフ用ホルダーでは、前記傾動機構は、前記ローラー部に設けられた支持軸部と、前記ホルダー本体部に設けられ、前記支持軸部の両端部がそれぞれ挿通支持される一対の支持孔とから構成され、前記一対の支持孔の一方の外径はそれらの他方の外径よりも小さく構成されていることを特徴とする。 また、本発明の請求項5に記載のカッターナイフ用ホルダーでは、前記ホルダー本体部の内部には板バネ部材が設けられ、前記カッター刃は、前記板バネ部材の弾性偏倚力によって前記ローラー部の外周面に押圧されることを特徴とする。 また、本発明の請求項6に記載のカッターナイフ用ホルダーでは、前記ホルダー本体部には固定用ネジが回転自在に設けられ、前記固定用ネジを締付方向に回転させると、前記固定用ネジの先端部が前記収納位置に位置付けられた前記カッター刃の先端部の前方に突出され、また前記固定用ネジを弛緩方向に回転させると、前記固定用ネジの先端部が前記移動経路から後退されることを特徴とする。 【発明の効果】 本発明の請求項1に記載のカッターナイフ用ホルダーによれば、ローラー部を回転させると、ローラー部とカッター刃との摩擦により、カッター刃は収納位置と突出位置との間を自在にスライド移動されるので、従来のようなアタッチメントを用いることなく、簡単な構成でもってカッター刃の出し入れを行うことができる。 また、本発明の請求項2に記載のカッターナイフ用ホルダーによれば、ローラー部を回転させると、傾動機構によってローラー部がその一端部を支点として振り子状に傾動される。これにより、カッター刃は、その刃部が移動経路の一側部から離隔する方向に変位されながら移動経路に沿ってスライド移動され、それ故に、スライド移動時にカッター刃の刃部が移動経路の一側部に接触することがなく、この刃部が摩擦により摩耗して劣化するのを防止することができる。従って、従来のようなアタッチメントを用いることなく、簡単な構成でもって上述のようなカッター刃のスライド移動を行うことができる。 また、本発明の請求項3に記載のカッターナイフ用ホルダーによれば、傾動機構は、ホルダー本体部に支持された支持軸部と、ローラー部に設けられたテーパ状の貫通孔とから構成されているので、傾動機構の構成を簡単なものとすることができる。 また、本発明の請求項4に記載のカッターナイフ用ホルダーによれば、傾動機構は、ローラー部に設けられた支持軸部と、ホルダー本体部に設けられた大きさの異なる一対の支持孔とから構成されているので、傾動機構の構成を簡単なものとすることができる。 また、本発明の請求項5に記載のカッターナイフ用ホルダーによれば、カッター刃は、板バネ部材の弾性偏倚力によってローラー部の外周面に押圧されるので、ローラー部がカッター刃の片面上を滑って空転するのを防止することができ、カッター刃の出し入れをスムーズに行うことができる。 また、本発明の請求項6に記載のカッターナイフ用ホルダーによれば、固定用ネジを締付方向に回転させると、固定用ネジの先端部が収納位置に位置付けられたカッター刃の先端部の前方に突出されるので、カッター刃がホルダー本体部の一端部から脱着されるのを確実に防止することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 以下、添付図面を参照して、本発明に従うカッターナイフ用ホルダーの一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態によるカッターナイフ用ホルダーを備えたカッターナイフを示す正面図であり、図2は、図1のカッターナイフ用ホルダーを示す底面図であり、図3は、図1中のA−A線によるカッターナイフ用ホルダーの断面図であり、図4は、図1中のB−B線によるカッターナイフ用ホルダーの断面図であり、図5は、図1中のC−C線によるカッターナイフ用ホルダーの断面図であり、図6は、図1のカッターナイフ用ホルダーの分解斜視図であり、図7は、図1のカッターナイフ用ホルダーにおいて、カッター刃を突出させる状態を示す説明図であり、図8は、図1のカッターナイフ用ホルダーにおいて、カッター刃を収納させる状態を示す説明図であり、図9は、図1のカッターナイフを用いて被切断物を切断する状態を示す図であり、図10は、図1のカッターナイフを用いて封筒を開封する状態を示す図である。 図1〜図10を参照して、図示のカッターナイフ2は、カッター刃4と、カッター刃4を出し入れ自在に保持するためのカッターナイフ用ホルダー6と、を備えている。カッターナイフ用ホルダー6は、ホルダー本体部8と、ホルダー本体部8に回転自在に支持されたローラー部10と、を備えている。以下、カッターナイフ用ホルダー6の構成について詳細に説明する。 ホルダー本体部8は、横長且つ略台形状の第1及び第2プレート部材12,14から構成され、これら第1及び第2プレート部材12,14は、横長且つ薄板状の一対のスペーサ16a,16bを介して例えば接着剤や固定用ネジなど(図示せず)により相互に連結されている。ホルダー本体部8の一側部の長さは、その他側部の長さよりも長く構成され、これによりホルダー本体部8の一端部(即ち、カッター刃4が出し入れされる側の端部)は、ホルダー本体部8の長手方向に対して斜め方向に(例えば約30度の角度でもって)傾斜されている。ホルダー本体部8の一端部は断面略V字状に形成され、その厚さ方向両端部から中央部にかけて凹状に傾斜している(図2及び図5参照)。また、ホルダー本体部8の一端部には、ホルダー本体部8の長手方向に対して斜め方向にカットされたガイド部18が設けられている。 ホルダー本体部8の内部、即ち、一対のスペーサ16a,16bの間の空間には、カッター刃4をスライド移動自在に支持するための移動経路20が形成されている。この移動経路20は、ホルダー本体部8の一端部に対して斜め方向に、ホルダー本体部8の一端部から他端部まで延びている。移動経路20の一端部は、ホルダー本体部8の一端部の谷部22(即ち、第1プレート部材12と第2プレート部材14との間)において開口されている(図2参照)。移動経路20にはカッター刃4がスライド移動自在に支持され、これによりカッター刃4は、その大部分が移動経路20に収納される収納位置(図8参照)と、その先端部がホルダー本体部8の一端部より突出される突出位置(図7参照)との間を移動経路20に沿って自在にスライド移動される。 カッター刃4は、例えば市販されている折る刃タイプのものから構成されている。カッター刃4の一側部には、刃部24がその長手方向に延びて設けられている。また、カッター刃4には、複数の切断用凹部(図示せず)がその長手方向に間隔を置いて設けられており、この切断用凹部に沿ってカッター刃4を自在に折ることができる。 ホルダー本体部8の一端部近傍において、第1プレート部材12にはネジ孔26が設けられ、このネジ孔26には固定用ネジ28が螺着されている。固定用ネジ28を締付方向に回転させると、固定用ネジ28の先端部がカッター刃4の片面に押し当てられ、これによりカッター刃4がホルダー本体部8に対して固定される。特に、カッター刃4が収納位置に位置付けられているときには、固定用ネジ28の先端部がカッター刃4の先端部の前方に突出され、これによりカッター刃4がホルダー本体部8の一端部から脱着されるのが確実に防止される。また、固定用ネジ28を弛緩方向(上記締付方向とは反対方向)に回転させると、固定用ネジ28の先端部が移動経路20から後退され、カッター刃4のホルダー本体部8に対する固定が解除される。 また、ホルダー本体部8の一端部近傍において、第1プレート部材12の両側部にはそれぞれブラケット30a,30bが設けられ、これらブラケット30a,30bにはそれぞれ支持孔32a,32bが設けられている。ブラケット30a,30bの各支持孔32a,32bにはそれぞれ支持軸部34の両端部が固定的に挿通支持されている。 ローラー部10は、例えばゴムなどの摩擦係数の高い材質から形成されている。ローラー部10にはその軸方向に延びる貫通孔36が設けられ、この貫通孔36は、一端の外径が他端の外径よりも幾分小さいテーパ状に構成されている(図4参照)。ローラー部10の貫通孔36には支持軸部34が挿通され、これによりローラー部10は支持軸部34を介してホルダー本体部8に回転自在に支持される。ローラー部10の配設部位に対応する第1プレート部材12には略台形状の開口部38が設けられ、この開口部38にはローラー部10の一部が傾動自在且つ回転自在に収容されている(図3参照)。 ローラー部10の配設部位に対応する第2プレート部材14の内面には収容凹部40が設けられ、この収容凹部40には板バネ部材42が収容されている。板バネ部材42の長手方向中央部はローラー部10に向けて凸状に湾曲されており、この板バネ部材42の弾性偏倚力によってカッター刃4の片面がローラー部10の外周面に押圧接触される。従って、ローラー部10を回転させると、ローラー部10とカッター刃4との摩擦によって、カッター刃4が収納位置と突出位置との間を移動経路20に沿ってスライド移動される。 本実施形態のカッターナイフ用ホルダー6では、ローラー部10をその一端部を支点として振り子状に傾動させるための傾動機構が設けられており、この傾動機構は、上述した支持軸部34及び貫通孔36によって構成されている。即ち、ローラー部10を所定方向(図7中の矢印Xで示す方向)に回転させると、ローラー部10が傾動機構によってカッター刃4の基端部側に向けて傾動され(図7参照)、またローラー部10を上記所定方向とは反対方向(図8中の矢印Yで示す方向)に回転させると、ローラー部10が傾動機構によってカッター刃4の先端部側に向けて傾動される(図8参照)。 また、ホルダー本体部8の他端部近傍において、第1及び第2プレート部材12,14にはそれぞれネジ孔44,46が対応して設けられ、これらネジ孔44,46には係止用ネジ48が螺着されている。カッター刃4が収納位置に位置付けられると、カッター刃4の基端部がこの係止用ネジ48に係止され、これによりカッター刃4がホルダー本体部8の他端部から脱着されるのが防止される。 本実施形態のカッターナイフ用ホルダー6を備えたカッターナイフ2の使用方法について説明すると、次の通りである。まず、カッター刃4をホルダー本体部8の一端部より突出させる方法について説明する。カッター刃4が収納位置に位置付けられた状態より、固定用ネジ28を弛緩方向に回転させた後にローラー部10を上記所定方向に回転させると、ローラー部10が傾動機構によってカッター刃4の基端部側に向けて傾動される(図7参照)。これによりカッター刃4は、その刃部24が移動経路20の一側部50から離隔する方向に変位されながら、収納位置から突出位置に向けて移動経路20に沿ってスライド移動される。カッター刃4が突出位置に位置付けられた後に、固定用ネジ28を締付方向に回転させることによって、カッター刃4がホルダー本体部8に対して固定され、これによりカッター刃4により被切断物52を切断することができる。 なお、図9に示すように、カッター刃4により被切断物52を切断する際には、ガイド部18を被切断物52の表面に沿ってスライドさせながら切断することによって、ホルダー本体部8の一端部からのカッター刃4の突出量を小さく抑えることができる。 次に、カッター刃4をホルダー本体部8の内部に収納させる方法について説明する。カッター刃4が突出位置に位置付けられた状態より、固定用ネジ28を弛緩方向に回転させた後にローラー部10を上記所定方向とは反対方向に回転させると、ローラー部10が傾動機構によってカッター刃4の先端部側に向けて傾動される(図8参照)。これによりカッター刃4は、その刃部24が移動経路20の一側部50から離隔する方向に変位されながら、収納位置から突出位置に向けて移動経路に沿ってスライド移動される。カッター刃4が収納位置に位置付けられた後に、固定用ネジ28を締付方向に回転させることによって、固定用ネジ28の先端部がカッター刃4の先端部の前方に突出され、これによりカッター刃4がホルダー本体部8の一端部から脱着されるのを確実に防止することができる。 カッター刃4の交換は、例えば次のようにして行えばよい。まず、固定用ネジ28を弛緩方向に回転させた後に、ローラー部10を上記所定方向に回転させてカッター刃4を突出位置に位置付け、カッター刃4の先端部を指で摘んで外部に引き出す。その後に、新しいカッター刃4をホルダー本体部8の一端部より移動経路20に挿入し、ローラー部10を上記所定方向とは反対方向に回転させてカッター刃4を収納位置に位置付け、固定用ネジ28を締付方向に回転させる。 また、図10を参照して、本実施形態のカッターナイフ用ホルダー6を用いて、例えば次のようにして被切断物としての封筒54を開封することができる。封筒54は、例えば手紙や書類、雑誌などが収納される袋部56と、この袋部56の開口部を封するための折曲封部58と、を有しており、折曲封部58を袋部56側に折曲して糊や粘着テープなどで貼り付けることにより封をするようになる。このように封をした封筒54を開封する際には、上述のようにしてカッター刃4を突出位置に位置付け、封筒54の開封部60(即ち、封した際に生じる袋部56と折曲封部58との間の隙間)にカッター刃4の先端部を挿入し、封筒54に対してカッターナイフ用ホルダー6を相対的に図10中の矢印Pで示す方向に移動させる。かく移動させると、カッター刃4はホルダー本体部8の一端部に対して斜め方向に突出されるので、カッター刃4の先端部における刃部24が封筒54の開封部60に食い込むように作用するようになり、刃部24の切断作用により封筒54の開封部60を切断開封することができる。このとき、封筒54の開封部60は、ホルダー本体部8の一端部の谷部22に沿って蛇行することなく直線的に移動されるので、カッター刃4の刃部24を開封部60に安定して作用させることができる。 上述したように、本実施形態のカッターナイフ用ホルダー6では、ローラー部10を回転させると、傾動機構によってローラー部10がその一端部を支点として振り子状に傾動される。これにより、カッター刃4は、その刃部24が移動経路20の一側部50から離隔する方向に変位されながら移動経路20に沿ってスライド移動される。従って、スライド移動時にカッター刃4の刃部24が移動経路20の一側部50に接触することがなく、この刃部24が摩擦により摩耗して劣化するのを防止することができる。 なお、本実施形態では、傾動機構を直線状の支持軸部34及びテーパ状の貫通孔36から構成したが、例えば次のように構成してもよい。即ち、ローラー部10の貫通孔36を直線状に構成するとともに、支持軸部34を一端部の外径が他端部の外径よりも小さいテーパ状に構成することにより、ローラー部10の回転時にローラー部10がその一端部を支点として振り子状に傾動されるようになり、上述したのと同様の作用効果が達成される。 次に、図11及び図12を参照して、他の実施形態のカッターナイフ用ホルダーについて説明する。図11は、本発明の他の実施形態によるカッターナイフ用ホルダーにおいて、カッター刃を突出させる状態を示す説明図であり、図12は、図11のカッターナイフ用ホルダーにおいて、カッター刃を収納させる状態を示す説明図である。なお、本実施形態において、上記実施形態と実質上同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。 本実施形態のカッターナイフ用ホルダー6Aでは、ローラー部10A及び支持軸部34Aは一体に構成されている。また、ブラケット30Aaの支持孔32Aaの外径は、ブラケット30Abの支持孔32Abの外径よりも小さく構成されている。支持孔32Aaには支持軸部34Aの一端部が固定的に挿通支持され、また支持孔32Abには、支持軸部34Aの他端部が移動自在に挿通支持されている。 上述した支持軸部34A及び支持孔32Aa,32Abにより傾動機構が構成され、この傾動機構によって、ローラー部10Aの回転時にローラー部10Aがその一端部を支点として振り子状に傾動される。即ち、ローラー部10Aを所定方向(図11中の矢印Xで示す方向)に回転させると、ローラー部10Aが傾動機構によってカッター刃4の基端部側に向けて傾動され(図11参照)、またローラー部10Aを上記所定方向とは反対方向(図12中の矢印Yで示す方向)に回転させると、ローラー部10Aが傾動機構によってカッター刃4の先端部側に向けて傾動される(図12参照)。従って、本実施形態においても、上述したのと同様の作用効果が達成される。 以上、本発明に従うカッターナイフ用ホルダーの種々の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。 例えば、ローラー部10(10A)の外周面に例えば網目状の凹凸を設けるように構成してもよく、かく構成することにより、ローラー部10(10A)の回転時にローラー部10(10A)がカッター刃4の片面上を滑って空転するのを防止することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施形態によるカッターナイフ用ホルダーを備えたカッターナイフを示す正面図である。 【図2】図1のカッターナイフ用ホルダーを示す底面図である。 【図3】図1中のA−A線によるカッターナイフ用ホルダーの断面図である。 【図4】図1中のB−B線によるカッターナイフ用ホルダーの断面図である。 【図5】図1中のC−C線によるカッターナイフ用ホルダーの断面図である。 【図6】図1のカッターナイフ用ホルダーの分解斜視図である。 【図7】図1のカッターナイフ用ホルダーにおいて、カッター刃を突出させる状態を示す説明図である。 【図8】図1のカッターナイフ用ホルダーにおいて、カッター刃を収納させる状態を示す説明図である。 【図9】図1のカッターナイフを用いて被切断物を切断する状態を示す図である。 【図10】図1のカッターナイフを用いて封筒を開封する状態を示す図である。 【図11】本発明の他の実施形態によるカッターナイフ用ホルダーにおいて、カッター刃を突出させる状態を示す説明図である。 【図12】図11のカッターナイフ用ホルダーにおいて、カッター刃を収納させる状態を示す説明図である。 【符号の説明】 4 カッター刃 6,6A カッターナイフ用ホルダー 8,8A ホルダー本体部 10,10A ローラー部 20 移動経路 24 刃部 28 固定用ネジ 32a,32b,32Aa,32Ab 支持孔 34,34A 支持軸部 36 貫通孔 42 板バネ部材 50 一側部 |
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【図1】 |
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【図2】 |
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【図3】 |
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【図4】 |
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【図5】 |
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【図6】 |
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【図7】 |
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【図8】 |
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【図9】 |
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【図10】 |
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【図11】 |
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【図12】 |
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