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【発明の名称】釣り用浮子およびこれを備えた釣具 【出願人】 【識別番号】503387064 【氏名又は名称】岩内 重治 【住所又は居所】東京都葛飾区水元2丁目14番20号 【代理人】 【弁理士】 【識別番号】100079108 【氏名又は名称】稲葉 良幸 【代理人】 【弁理士】 【識別番号】100080953 【氏名又は名称】田中 克郎 【代理人】 【弁理士】 【識別番号】100093861 【氏名又は名称】大賀 眞司 【発明者】 【氏名】岩内 重治 【住所又は居所】東京都葛飾区水元2丁目14番20号 【要約】 【課題】 魚が掛かったか否かを容易に且つ適切に判断することができる釣り用浮子およびこれを備えた釣具を提供することを課題とする。 【解決手段】 釣り針に連なる第1浮子11と、水に自由状態で浮遊すると共に、第1浮子11の近傍に位置する第2浮子12と、を備え、釣り針に魚類が掛かったときに、第1浮子11は変位し且つ第2浮子12は自由状態を継続するものである。 【特許請求の範囲】 【請求項1】 釣り針に連なる第1浮子と、 水に自由状態で浮遊すると共に、前記第1浮子の近傍に位置する第2浮子と、を備え、 前記釣り針に魚類が掛かったときに、前記第1浮子は前記第2浮子に対し変位し、当該第2浮子は自由状態を継続する釣り用浮子。 【請求項2】 前記第1浮子は、水面下に没して前記釣り針に連なる本体部と、当該本体部から水面上方に延在する判断部と、を有し、 前記第2浮子は、前記判断部の近傍の水面に自由状態で浮遊する請求項1に記載の釣り用浮子。 【請求項3】 前記第2浮子は、上下方向に貫通形成された貫通孔を有し、 前記判断部は、前記貫通孔に移動可能に挿通している請求項2に記載の釣り用浮子。 【請求項4】 前記判断部は、その外側面が上下方向に沿って色分けされている請求項2または3に記載の釣り用浮子。 【請求項5】 前記第2浮子は、当該第2浮子に対する前記判断部の変位を検出する検出手段を有している請求項2ないし4のいずれか一項に記載の釣り用浮子。 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の釣り用浮子を釣竿に着脱可能に備えた釣具。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 本発明は、釣り針に魚類が掛かったとき水面下に引き込まれる釣り用浮子およびこれを備えた釣具に関するものである。 【背景技術】 一般的に、海釣りや川釣などでは釣竿に各種の浮子が取り付けられている。例えば、水面で鉛直姿勢となる単一の浮子は、釣り針に魚が掛かると、その鉛直姿勢のまま水面下へと沈み込むように構成されている(例えば、特許文献1参照)。そして、釣り人は、その浮子の沈込み量に基づいて魚が実際に掛かっているかどうかを肉眼で判断している。 【特許文献1】 特開2003−121号公報(第1図) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 しかし、このような従来の浮子の変位を観測する場合、水面を基準としていた。このため、水の透明度が高かったり、天候などの自然環境によっては、浮子の沈込みを肉眼で判断し難く、その結果、十分な釣果を挙げることができなかった。 本発明は、魚が掛かったか否かを容易に且つ適切に判断することができる釣り用浮子およびこれを備えた釣具を提供することをその目的としている。 【課題を解決するための手段】 本発明の釣り用浮子は、釣り針に連なる第1浮子と、水に自由状態で浮遊すると共に、第1浮子の近傍に位置する第2浮子と、を備え、釣り針に魚類が掛かったときに、第1浮子は第2浮子に対し変位し、第2浮子は自由状態を継続するものである。 この構成によれば、釣り針に魚が掛かると、第1浮子は水中深く引き込まれる一方、自由状態を継続する第2浮子は所定位置に位置し続ける。これにより、第1浮子の変位の基準を第2浮子にすることができるため、従来の水面基準に比べ、魚が掛かったか否かの判断を容易にすることができる。例えば、その魚信(あたり)の判断は、肉眼により第1浮子の変位を読み取る場合と、第1浮子の変位を物理的に読み取るセンサによる場合とが考えられるが、前者の場合では、水の透明度等に関らず、水面との関係に比べて視認性を高め得る。 この場合、第1浮子は、水面下に没して釣り針に連なる本体部と、本体部から水面上方に延在する判断部と、を有し、第2浮子は、判断部の近傍の水面に自由状態で浮遊することが、好ましい。 この構成によれば、魚が掛かると、第1浮子は本体部側から水面下に引き込まれるように沈み込み、続いて判断部が水面下へと沈み込まれる一方、第2浮子は水面に位置し続ける。すなわち、魚信状態の水面上では、第2浮子に対し判断部に変位が生じている。これにより、判断部が水面上方に延びていることもあり、水面上での第2浮子を基準とした変位をより一層視認性よく確認することができる。また、第2浮子が水面下に位置する場合に比べ、第2浮子が水面に位置する分、センサの検出精度も高め得ることができる。 この場合、第2浮子は、上下方向に貫通形成された貫通孔を有し、判断部は、貫通孔に移動可能に挿通していることが、好ましい。 この構成によれば、第2浮子を判断部の直近に位置させることができる。これにより、簡単な構造で、判断部の変位を視認性よく確認することができる一方、判断部の変位をセンシングし易くなる。なお、判断部の上下各端部にストッパを構成して、第2浮子を第1浮子に対し抜止め状態とすることで、第1・第2両浮子の保存などの管理がし易くなる。 これらの場合、判断部は、その外側面が上下方向に沿って色分けされていることが、好ましい。 この構成によれば、第1浮子に対する判断部の色の位置変化に基づいて、魚信の有無を肉眼でより適切に判断することができる。なお、第1浮子は、判断部の色との対比が明瞭と成り且つ反射性の低い色が好ましい。 これらの場合、第2浮子は、第2浮子に対する判断部の変位を検出する検出手段を有していることが、好ましい。 この構成によれば、例えば従来の単一の浮子にセンサを内蔵して、水面との位置関係や水圧等を読み取る場合に比べ、第2浮子を基準として第1浮子の変位を読み取る方が、検出手段の検出精度も高め得る。これにより、魚信の有無をより適切に判断することができる。 本発明の釣具は、上記した本発明の釣り用浮子を釣竿に着脱可能に備えたものである。 この構成によれば、魚信の有無を適切に判断可能な釣り用浮子を備えているため、釣果を挙げることができる。なお、上記の検出手段を有する釣り用浮子の場合では、その検出結果に基づいて、魚信状態の旨を報知してもよいし、電動リールを巻取り動作させてもよいし、竿上げ装置を釣上げ動作させてもよい。 【発明の効果】 本発明の釣り用浮子によれば、魚が掛かったときの第1浮子の変位の基準を水面で無く、第2浮子を基準とすることができるため、その魚信の判断を容易にかつ適切に行うことができる。 本発明の釣具によれば、上記の釣り用浮子を備えているため、簡易に釣果を挙げることができ、釣具全体としての「あたり」の信頼性を高めることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る釣り用浮子及びこれを備えた釣具について説明する。本発明は、釣り用浮子(以下、浮子と略記する。)を二重構造とし、この構造により釣り人がいわゆる魚類のあたりを適切に判断することができるようにしたものである。なお、魚類は、魚のほかイカなども含む概念であるが、以下の説明では、単純に魚と記載する。 【実施例1】 図1に示すように、海釣りなどに用いられる釣具1は、釣竿2と、釣竿2の基端側に取り付けられた電動リール3と、電動リール3に繰出し・巻取り可能に巻回された道糸4と、釣竿2の長手方向に沿って複数設けられ、電動リール3から繰り出した道糸4を釣竿2に沿ってその先端側に案内する糸ガイド5と、道糸4の繰出し先端部に取り付けた釣り針や錘を含む仕掛け6と、仕掛け6の手前側の道糸4に取付け具7を介して着脱可能に取り付けられた浮子8と、を備えている。また、釣具1は、釣竿2の基端部を装着して、釣竿2を引き上げるようにして釣竿2を魚の釣上げ方向に移動させる竿上げ装置9を備えている。 この釣具1を釣り人が使用する場合には、電動リール3により道糸4を釣竿2の先端部から所定の長さ繰り出し、その繰出し部分4aに浮子8や仕掛け6を取り付け、海などの水面へと投入する。これにより、水面下には仕掛け6が沈み込んでゆくと共に、水面上には浮子8の一部が視認可能に露出した状態となる。 図2に示すように、二重構造の浮子8は、鉛直姿勢の第1浮子11と、水平姿勢の第2浮子12とで構成されている。第2浮子12は、その中央部に上下方向に貫通する貫通孔21が形成され、第1浮子11よりも大きなドーナツ状となっている。貫通孔21には、第1浮子11の後述する判断部33が挿通している。水中に投下された第2浮子12は、第1浮子11の近傍の位置で且つ浮力により水面に水平姿勢で浮遊するように構成されている。 第1浮子11は、下端部に取付け穴31を形成した本体部32と、本体部32の上方に延在する判断部33と、を備えている。本体部32は、下方に向けて細くなる略水滴状に形成されており、その内部には、図示省略したが、水中に投下した状態の第1浮子11を浮力と協働して鉛直姿勢に維持する錘が埋め込まれている。 本体部32の取付け穴31には、図3に示すように、取付け具7であるスナップサルカンの一端41が係脱可能に掛止めされている。スナップサルカン7の他端42は、道糸4に移動可能に挿通しており、道糸4には、スナップサルカン7を介して浮子8を水深方向に位置規制する浮子止め44が取り付けられている。なお、この取付け穴31を構成することに代えて、図4に示すように、取付け具7としてゴム管47を用いてもよい。この場合には、道糸4を中空部46に挿通させたゴム管47に本体部32の下端側の取付け部48を上側から嵌め込み、取付け部48でゴム管47との間に道糸4を挟んで、浮子8を水深方向に位置規制するようにする。 判断部33は、本体部32よりも細径の略円柱状に形成されており、その軸線を本体部32の軸線と一致させて本体部32の上端部51に固定されている。また、判断部33は、第2浮子12の貫通孔21に上下方向に移動可能に挿通している。この場合、第2浮子12が判断部33から抜け落ちないように、判断部33の上端部に設けたストッパ52が貫通孔21の径よりも大きく形成されていると共に、本体部32の上端部51が貫通孔21の径よりも大きく形成されている。 判断部33の外周面は、上下方向に沿って色分けされており、本実施例では4色に色分けされている。これに対応して、第2浮子12も着色されており、その色は、判断部33の各色との対比が明瞭な色で構成されている。また、判断部33の各色および第2浮子12の色は、水と保護色となるような透明系の色でないことが好ましく、さらには反射性の低い色で構成されていることが好ましい。 このように構成された浮子8が水中に投下されると、第2浮子12は、浮力により水面に自由状態で位置する。一方、第1浮子11は、浮力および錘によって、第1浮子11の本体部32が釣針等の仕掛け6と共に水面下に没っし、且つ判断部33が第2浮子12の貫通孔21から水面上方へと挿通し、その上側の3色の着色部が水面から露出する。 したがって、釣り針に魚が掛かると、釣り針に連なる第1浮子11は、道糸4の張力によって本体部32側から水面下に引き込まれるように沈み込み、続いて判断部33が水面下へと引き込まれる。このとき、第2浮子12は、自由状態を継続して水面に位置し続ける。このため、釣り人は、判断部33がどれだけ沈込み方向に変位したかを第2浮子12を基準として観測することができる。このように本実施例の浮子8によれば、水面の透明度等に関らず、魚が掛かったか否かを適切に判断することが可能であるため、釣り人は魚の動きに合わせてこれを適切に釣り上げることができる。特に、判断部33が着色されているため、その色の位置変化を第2浮子12と対比すればよく、より視認性よく魚信を認識することができる。 なお、本実施例に係る浮子8では、第1浮子11の判断部33に第2浮子12の貫通孔21を挿通させて両者を接近させる構成としたが、判断部33の変位を第2浮子12との関係で視認できる構成であればよく、第2浮子12は判断部33に非連結状態でその近傍に位置していればよい。また、第1浮子11の形状や色分け数などは、上記に限られるものでないことはいうまでもない。 【実施例2】 次に、本発明の実施例2に係る釣具1について、実施例1との相違点を中心に説明する。図5に示すように、実施例2に係る第2浮子12には、その貫通孔21に臨んで光透過型の変位センサ61(検出手段)が内蔵されている。変位センサ61は、判断部33を挟んで対向配置した発光部62と受光部63とで構成され、釣具1の制御装置71に有線または無線で接続されている。一方、第1浮子11の判断部33は、その長手方向に沿って光の透過度を分けて構成された検出領域を有している。変位センサ61は、判断部33の検出領域を介して第2浮子12の変位を検出する。 制御装置71(コントローラ)は、CPU、ROM、RAM、および入出力インターフェースを備え、これらは互いにバスを介して接続されている。 ROMは、CPUで処理する制御プログラムや制御データを記憶する制御プログラム領域等を有しており、例えば波や風等の影響による判断部33の標準的な変位を第1初期設定値として記憶している。なお、第1初期設定値を例えば波等の影響力に基づいて5段階に設定し、制御装置71に接続した切替スイッチ(図示省略)により、第1初期設定値を適宜切り替えることができるようにしても良い。 RAMは、各種レジスタ群等を有し、主として制御処理のための各種作業領域として使用される。例えば、ある自然環境の最初に浮子8を水中に投下した際に、その非魚信状態における判断部33の変位を変位センサ61により検出する構成の場合には、RAMはこれを第2初期設定値として記憶している。なお、非魚信状態から魚が掛かった魚信状態に移行するまでの過渡期の判断部33の変位を、変位センサ61が随時検出する構成とした場合には、RAMが随時検出される第2初期設定値を更新して、最新の第2初期設定値を記憶するようにしてもよい。 入出力インターフェースには、電動リール3、竿上げ装置9および報知装置72を駆動する各種ドライバのほか、変位センサ61が接続されている。そして、CPUは、上記の構成により、ROM内の制御プログラムに従って、入出力インターフェースを介して各種信号、各種指令、各種データ等を入力し、RAM内の各種データ等を処理した後、入出力インターフェースを介して各種ドライバに制御信号を出力することにより、釣具1全体を制御している。 例えば、CPUは、変位センサ61の検出結果に第1初期設定値や第2初期設定値を加味して、電動リール3の駆動を制御し、魚が掛かったときには道糸4を巻き取るように電動リール3を巻取り動作させる。また同様に、CPUは、竿上げ装置9の駆動を制御し、魚が掛かったときには釣竿2を持上げるように竿上げ装置9を釣上げ動作させる。また同様に、CPUは、報知装置72の駆動を制御し、魚が掛かったときにその旨を報知する。報知装置72は、例えばブザーや表示器などで構成され、音や光などで魚が掛かった旨を視聴覚的に報知する。 本実施例によれば、判断部33の変位を第2浮子12との関係で視認できることに加え、判断部33の第2浮子12に対する変位を検出するようにしているため、より一層適切に魚のあたりを判断することができる。また、変位センサ61を単一の浮子に設けて、水面との位置関係や水圧等を検出する場合に比べて、本実施例では、魚が掛かっても水面位置を継続する第2浮子12を基準としているため、変位センサ61による検出精度も高めることができ、釣具1の信頼性をより高めることができる。さらに、変位センサ61の検出結果に第1初期設定値や第2初期設定値を加味しているため、自然環境に関らず、魚のあたりの誤認を適切に防止することができる。なお、釣竿2を動かして魚をさそう動作を行う際に、スイッチ操作により変位センサ61を予めOFFにしておき、あたりと誤認しない構成を採用してもよい。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施例1に係る釣具を模式的に示す構成図である。 【図2】本発明の実施例1に係る浮子の構成を示す正面図である。 【図3】浮子止めの構成を示す正面図である。 【図4】浮子止めの他の構成を示す正面図である。 【図5】本発明の実施例2に係る釣具の構成図である。 【符号の説明】 1 釣具 2 釣竿 6 仕掛け(釣り針) 8 釣り用浮子 11 第1浮子 12 第2浮子 21 貫通孔 32 本体部 33 判断部 61 変位センサ(検出手段) |
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【図1】 |
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【図2】 |
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【図3】 |
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【図4】 |
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【図5】 |
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