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【考案の名称】ライン引き機 【実用新案権者】 【識別番号】523444464 【氏名又は名称】福富 茂樹 【住所又は居所】広島県広島市安芸区矢野南3-17-13 【代理人】 【識別番号】100093115 【弁理士】 【氏名又は名称】佐渡 昇 【考案者】 【氏名】福富 茂樹 【住所又は居所】広島県広島市安芸区矢野南3-17-13 【要約】 【課題】粉体によるラインを消えにくくすることができるライン引き機を提供する。 【解決手段】地面G上を走行することで、地面GにラインLを引くライン引き機であって、ラインLを引くべき地面Gの軌道上に水Wをまく撒水部10と、撒水部10で水Wがまかれた地面Gに線状の溝G1を掘る溝掘り部20と、撒水部10で水Wがまかれ、溝掘り部20で溝G1が掘られた地面G上にライン形成用粉体Pを被せる粉体供給部30とを備えている。撒水部10と溝掘り部20と前輪とを有する前体1Fと、粉体供給部30と後輪とを有する後体1Rとを備え、前体1Fと後体1Rとは前後方向に連結・分割可能であり、それぞれ単独で使用可能である。 【選択図】図1 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 地面(G)上を走行することで、地面(G)にライン(L)を引くライン引き機であって、 ライン(L)を引くべき地面(G)の軌道上に水(W)をまく撒水部(10)と、 この撒水部(10)で水(W)がまかれた地面(G)に線状の溝(G1)を掘る溝掘り部(20)と、 上記撒水部(10)で水(W)がまかれ、溝掘り部(20)で溝(G1)が掘られた地面(G)上にライン形成用粉体(P)を被せる粉体供給部(30)と、 を備えていることを特徴とするライン引き機。 【請求項2】 請求項1において、 前記溝掘り部(20)は、撒水部(10)で水(W)がまかれた地面(G)に複数本の線状の溝(G1)を掘ることを特徴とするライン引き機。 【請求項3】 請求項1または2において、 前記撒水部(10)と溝掘り部(20)と前輪とを有する前体(1F)と、 前記粉体供給部(30)と後輪とを有する後体(1R)と、 を備え、これら前体(1F)と後体(1R)とは前後方向に連結・分割可能であることを特徴とするライン引き機。 【請求項4】 請求項3において、 分割された前体(1F)と後体(1R)は、それぞれ単独で使用可能であることを特徴とするライン引き機。 【考案の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本考案は、ライン引き機に関するものである。より詳しくは、粉体によるラインを消えにくくすることができるライン引き機に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来、例えば特許文献1〜4に見られるような技術が知られている。 【0003】 <特許文献1>実全平04-083284号公報 特許文献1には、 「この実用新案はライン引きに水タンクを取り付けたものである。」 「水を落とした土の上に石灰が落ち風で舞うことがない。」 「湿ったつちの上に石灰の白線ができるので、すみずみまでしみ込み白線も消えにくい。」 「目立ちにくい線やすぐに消えてほしい線は水だけで書ける。」 等の記載がある(同文献「考案の詳細な説明」欄)。 【0004】 しかし、この水引き付きライン引きは、単に、水を落とした土の上に石灰を落とすものであるため、依然としてラインが消えやすいという難点を有している。 【0005】 <特許文献2>特開2004-236882号公報 特許文献2には、 「石灰等を使用せず簡便にグラウンドに線を引くことができる器具の開発、及びその器具を付属させてスタンドの機能も兼ねるライン引き器の提供、及び直進安定性を高め、直線や円を描きやすくする器具を開発し、その器具を設けたライン引き器の提供、さらに取っ手部の高さを自在に調節できるライン引き器の提供」を課題とし、 「鋭い突起で地面に創痕をつけることによって線を引く器具を考案した。これを通常のライン引き器に取り付け、創痕によって簡便に線が引けるライン引き器を考案した。走行安定器を考案し、接地点を3点にすることによって直進安定性を高めた。さらにメジャー用いて直線を引きやすくする器具と、円を描きやすいようにメジャーの一端をライン引き器に簡単に固定させる器具を考案し、これら三点を一体化して取り付けたライン引き器を考案した。さらに取っ手部の高さを調節できるライン引き器を考案した」 ライン引き器が記載されている(同文献要約欄)。 また、同文献0022段落には、「非常に安価で簡易に製作できる簡易ライン引き器を取り付けることによって、いかなる状態の土面でも雪面でも短時間の使用でよい簡易な線であれば、資源を一切使用せず、従って当然のことであるが経済的にこの上ない線をすこぶる簡便に引くことができ、長時間しっかりした線が必要な場合は、本体の石灰を使用した白線を引くことができる」との記載がある。 【0006】 したがって、このライン引きは、鋭い突起で地面に創痕をつけるか、本体の石灰を使用した白線を引くか、のいずれかの態様で使用されるものであり、白線等のラインの定着性を向上させるという技術的思想がない。 【0007】 <特許文献3>特開2009-143504号公報 特許文献3には、 「石灰、炭酸カルシウムなどの粉体が、ラインを引く際に飛び散らないライン引き器を提供する」ことを課題とし、 「ライン引き器1のハンドル9に設けられた散水レバー49を引くと、散水レバー49の動きが開閉機構のワイヤー47を引き、このワイヤー47が開閉弁である開閉コック41の開閉レバー43を引き、開閉コック41が開く。これにより、水タンク27の水は連通部35である水管33を通って開閉コック41を通り、散水部37である水管33の複数の孔36から散水される。この水は、粉体11の送出口21よりも前方に、送出口21よりも幅広く散水される。よって、ラインの幅に正確に合わせて散水できる」 散水機能付きライン引き器が記載されている(同文献要約欄)。 【0008】 しかし、この散水機能付きライン引き器は、単に、散水後に粉体を送出するものであるため、依然としてラインが消えやすいという難点を有している。 【0009】 <特許文献4>実用新案登録第3160388号公報 特許文献4には、 「一定の幅できれいに且つまた充分な水量で水のラインを引くと共に、水の補給を要することなく所定のラインの全てを一気に引き切ることができる水ライン引き器具を提供する」ことを課題とし、 「後部にハンドル3を有する車体4の左右両側に前輪5,5と後輪6,6を軸装した台車2上に所定容量の水タンク7を設置する。水タンク7内の水を導水管11をもって台車2の後部から視認し得る位置に導き、放水ノズル12から所定幅に所定量の放水を行うようにする。放水機構部8により、放水ノズル12からの放水の開始と停止を導水管11に設けた弁体の操作によって行うようになすと共に、弁体に接続した弁操作杆の摘子部15の上げ下げによる弁体の操作を台車2の後部側において行うようにする」 水ライン引き器具が記載されている(同文献要約欄)。 【0010】 しかし、この水ライン引き器具は、水のラインを引くためのものであり、粉体による白線等を引くためのものではない。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0011】 【特許文献1】実全平04-083284号公報 【特許文献2】 特開2004-236882号公報 【特許文献3】 特開2009-143504号公報 【特許文献4】 実用新案登録第3160388号公報 【考案の概要】 【考案が解決しようとする課題】 【0012】 本考案が解決しようとする課題は、粉体によるラインを消えにくくすることができるライン引き機を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0013】 上記課題を解決するために、本考案のライン引き機は、 地面上を走行することで、地面にラインを引くライン引き機であって、 ラインを引くべき地面の軌道上に水をまく撒水部と、 この撒水部で水がまかれた地面に線状の溝を掘る溝掘り部と、 上記撒水部で水がまかれ、溝掘り部で溝が掘られた地面上にライン形成用粉体を被せる粉体供給部と、 を備えていることを特徴とする。 【0014】 上記の構成となっているので、このライン引き機によれば次のような作用効果が得られる。 ライン引き機を地面上で走行させると、ラインを引くべき地面の軌道上に、撒水部によって水がまかれ、この撒水部で水がまかれた地面に、溝掘り部によって線状の溝が掘られ、上記撒水部で水がまかれ、溝掘り部で溝が掘られた地面上に、粉体供給部によってライン形成用粉体が被せられ、これによって、地面にラインが引かれることとなる。 このように、このライン引き機によれば、水がまかれて湿った地面に掘られた線状の溝上にライン形成用粉体が被せられるので、粉体の地面に対する定着性が従来に比べて向上する。 したがって、粉体によるラインが消えにくくなる。 【0015】 このライン引き機においては、 前記溝掘り部は、撒水部で水がまかれた地面に複数本の線状の溝を掘る構成とすることができる。 【0016】 このように構成すると、複数本の線状の湿った溝に粉体が入り込むことによって、粉体の地面に対する定着性が一層向上する。 したがって、粉体によるラインが一層消えにくくなる。 【0017】 このライン引き機においては、 前記撒水部と溝掘り部と前輪とを有する前体と、 前記粉体供給部と後輪とを有する後体と、 を備え、これら前体と後体とは前後方向に連結・分割可能である構成とすることができる。 【0018】 このように構成すると、水の補給時、撒水部を有する前体を粉体供給部を有する後体から分離させて水を補給することができるので、粉体供給部を有する後体に水がかかってしまう等して粉体を湿らせてしまう等の不具合が生じることを未然に防止することができる。 【0019】 このライン引き機においては、 分割された前体と後体は、それぞれ単独で使用可能である構成とすることができる。 【0020】 このように構成すると、前体によって、水によって他との色が異なりかつ線状の溝が掘られたラインを粉体を用いることなく引くことが可能になる。 また、後体によって、粉体によるラインを引くことも可能となる。 【図面の簡単な説明】 【0021】 【図1】本考案に係るライン引き機の実施の形態を示す図で、(a)は部分省略概略平面図、(b)は概略正面図、(c)は図(b)の部分拡大図、(d)は溝掘り部20を後方から見た図、(e)は図(a)における概略e−e端面図。 【図2】前体1Fと後体1Rとを分離した状態を示す図で、(a1)(a2)はそれぞれ平面図、(b1)(b2)はそれぞれ正面図。 【図3】前体1Fのみでの使用状態を示す図で、(a)(b)はそれぞれ正面図、(c)は部分省略平面図、(d)は図(c)における概略d−d端面図。 【考案を実施するための形態】 【0022】 以下、本考案に係るライン引き機の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、同一部分ないし相当する部分には、同一の符号を付してある。 【0023】 図1に示すように、この実施の形態のライン引き機1は、 地面上を走行することで、地面GにラインLを引くライン引き機であって、 ラインLを引くべき地面Gの軌道(L)上に水Wをまく撒水部10と、 この撒水部10で水Wがまかれた地面Gに線状の溝G1を掘る溝掘り部20と、 上記撒水部10で水Wがまかれ、溝掘り部20で溝G1が掘られた地面G上にライン形成用粉体Pを被せる粉体供給部30と、 を備えている。 【0024】 上記の構成となっているので、このライン引き機1によれば次のような作用効果が得られる。 【0025】 ライン引き機1を地面G上で走行させると、ラインLを引くべき地面Gの軌道(L)上に、撒水部10によって水Wがまかれ、この撒水部10で水Wがまかれた地面Gに、溝掘り部20によって線状の溝G1が掘られ、上記撒水部10で水Wがまかれ、溝掘り部20で溝G1が掘られた地面G上に、粉体供給部30によってライン形成用粉体Pが被せられ、これによって、地面GにラインLが引かれることとなる(図1(e)参照)。 【0026】 このように、このライン引き機1によれば、水Wがまかれて湿った地面Gに掘られた線状の溝G1上にライン形成用粉体Pが被せられ、線状溝G1に粉体Pが入り込むので、粉体の地面Gに対する定着性が従来に比べて向上する。 したがって、粉体PによるラインLが消えにくくなる。 【0027】 溝掘り部20は、撒水部10で水Wがまかれた地面Gに複数本(図示のものは3本)の線状の溝G1を掘る構成となっている。 【0028】 このように構成すると、複数本の線状の湿った溝G1に粉体が入り込むことによって、粉体の地面Gに対する定着性が一層向上する。 したがって、粉体PによるラインLが一層消えにくくなる。 【0029】 図2にも示すように、このライン引き機1は、 撒水部10と溝掘り部20と前輪2とを有する前体1Fと、 粉体供給部30と後輪3とを有する後体1Rと、 を備え、これら前体1Fと後体1Rとは図1,図2に示すように、前後方向に連結・分割(分離)可能である。 【0030】 このように構成すると、水Wの補給時、例えば図2に示すように、撒水部10を有する前体1Fを粉体供給部30を有する後体1Rから分離させて水Wを補給することができるので、粉体供給部30を有する後体1Rに水Wがかかってしまう等して粉体を湿らせてしまう等の不具合が生じることを未然に防止することができる。 【0031】 図において、11は水タンク、12はその給水口のキャップである。また、34は粉体収納ケース、32は粉体供給部30の開閉蓋である。開閉蓋32を図2(b2)に仮想線で示すように開けることで粉体Pを補給することができる。 仮に、例えば、図1に示すように、前体1Fと後体1Rとを連結した状態で、キャップ12を開けて、水を補給しようとした場合、誤って水を後体1Rにかけてしまうことが考えられ、そうすると、その水が開閉蓋32と粉体収納ケース34との間から粉体収納ケース34内に入り込んで粉体Pを湿らせてしまうおそれがある。 これに対し、この実施の形態によれば、水Wの補給時、例えば図2に示すように、撒水部10を有する前体1Fを粉体供給部30を有する後体1Rから分離させて水Wを補給することができるので、粉体供給部30を有する後体1Rに水Wがかかってしまう等して粉体を湿らせてしまう等の不具合が生じることを未然に防止することができる。 【0032】 図2に示すように、分割された前体1Fと後体1Rは、それぞれ単独で使用可能である。 【0033】 このように構成すると、図3(a)に示すように、前体1Fによって、図3(c)(d)に示すように水Wによって他との色が異なりかつ線状の溝G1が掘られたラインL1を粉体を用いることなく引くことが可能になる。 【0034】 また、図2(a2)に示すように、後体1Rのみによって、粉体PによるラインLを引くことも可能となる。 【0035】 撒水部10は、ラインLを引くべき地面Gの軌道上に適量の水Wをまくことができる構成であれ、適宜の構成を採用し得る。 この実施の形態の撒水部10は、水タンク11と、散水口13と、水タンク11からの水を散水口13に供給する供給路(供給パイプ)14と、この供給路14に介在された開閉弁15とを備えている。 開閉弁15のレバー15Lを、図1(c)に仮想線で示す開位置に回すと給水され、実線で示す閉位置に回すと止水される。 散水口13は、前体1Fの幅方向に伸びるパイプ13Pの底部に設けられた複数個の穴13hで構成されている。 【0036】 溝掘り部20は、撒水部10で水Wがまかれた地面Gに線状の溝G1を掘る構成であれば、適宜の構成を採用することができる。 この実施の形態の溝掘り部20は、図1(b)(d)に示すように、ライン引き機1の後方から見て、下方に伸びる3本の爪21を有する鉄板で構成されている。22は、前体1Fの底部への取付部をなすベース板であり、このベース板22を前体1Fの底部へネジ止めや溶接等によって固着することで溝掘り部20が前体1Fに取り付けられる。 溝掘り部20は、前体1Fの底部に対し着脱可能に構成しても良いし、折り畳み可能に構成することもできる。 【0037】 粉体供給部30は、撒水部10で水Wがまかれ、溝掘り部20で溝G1が掘られた地面G上にライン形成用粉体Pを被せることができる構成であれば、適宜の構成を採用することができる。粉体供給部30は、公知の構造のものを採用できる。31は、車軸3aに取り付けられた粉体撹拌供給ブラシであり、粉体供給口(図示せず)へ粉体を供給する。ライン形成用粉体Pは公知の粉体を採用する。 【0038】 この実施の形態のライン引き機1で、例えば5cm幅のラインを引く場合、炭酸カルシウム粉体20kgと、水17リットルで、約700mのラインを引くことができる。 【0039】 前体1Fと後体1Rとの連結・分割構造は公知の適宜の構造を採用することができる。 この実施の形態では、両側面上下に計4個の公知の連結金具5を設けることで、前体1Fと後体1Rとの連結・分割を可能としている。図2(b1)(b2)において、5bは連結用リング、5cは連結用リング5bの操作レバー、5dは連結用リング5bが係脱されるフックである。 【0040】 図1、図2に示すように、後体1Rにおける前体1Fとの対向面1R1には自立用スタンド4Rか開閉可能に設けられている。 前体1Fの底部には溝掘り部20が設けられているので自立用スタンド4Fは必ずしも必要ではないが、この実施の形態では自立用スタンド4Fを設けている。 6F,6Rは取っ手である。 【0041】 以上、本考案の実施の形態について説明したが、本考案は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本考案の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。 【符号の説明】 【0042】 1: ライン引き機 1F: 前体 1R: 後体 10: 撒水部 20: 溝掘り部 30: 粉体供給部 |
【図1】 |
【図2】 |
【図3】 |
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