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運輸
 
【発明の名称】自転車用ハンドル
【特許権者】
【識別番号】508019182
【氏名又は名称】古荘 春紀
【住所又は居所】東京都調布市下石原三丁目18番11号
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100107467
【氏名又は名称】員見 正文
【発明者】
【氏名】古荘 春紀
【住所又は居所】東京都調布市下石原三丁目18番11号
【要約】
【課題】
簡単な動作でハンドルバーを90°回転させることができるとともに雨水などの侵入を防ぐことができる自転車用ハンドルを提供する。
【解決手段】
自転車用ハンドル1では、外パイプ30が上下にスライド可能でかつ上ステム10が外パイプ30の周方向に沿って90°回転可能なように、第1および第2の組立ピン601,602によって上ステム10のパイプ部の外側および内側に外パイプ30および内パイプ40がそれぞれ取り付けられている。また、外パイプ30が上下にスライド可能でかつ内パイプ40が固定されるように、第3および第4の組立ピン603,604によって下ステム20の外側および内側に外パイプ30および内パイプ40がそれぞれ取り付けられている。また、上ステム10のパイプ部の上端部には、外パイプ30を下方に付勢するためのコイルばね50が取り付けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルバー(2)を固定するためのステム部、および、該ステム部の底面に垂設された円筒状のパイプ部を備えた上ステム(10)と、
下端側部分がステム受け(4)に内嵌されて固定されたかつ前記上ステムのパイプ部の径と同じ径である円筒状の下ステム(20)と、
円筒状の外パイプ(30)と、
円筒状の内パイプ(40)と、
前記上ステムのパイプ部の上端部に設けられたかつ前記外パイプを下方に付勢するための外パイプ付勢手段(11,31,50)と、
第1乃至第4の組立ピン(601〜604)とを具備し、
前記外パイプが上下にスライド可能でかつ前記上ステムが該外パイプの周方向に沿って90°回転可能なように、前記第1および第2の組立ピンによって前記上ステムのパイプ部の外側および内側に前記外パイプおよび前記内パイプがそれぞれ取り付けられており、
前記外パイプが上下にスライド可能でかつ前記内パイプが固定されるように、前記第3および第4の組立ピンによって前記下ステムの外側および内側に前記外パイプおよび前記内パイプがそれぞれ取り付けられている、
ことを特徴とする、自転車用ハンドル。
【請求項2】
前記上ステムのパイプ部に、前記第1の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるための第1および第2の上ステム貫通孔(121,122)と、前記第2の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるための第3乃至第4の上ステム貫通孔(123,124)とが形成されており、
前記下ステムに、前記第3の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるための第1および第2の下ステム貫通孔(221,222)と、前記第4の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるための第3および第4の下ステム貫通孔(223,224)とが形成されており、
前記外パイプに、前記第1の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるとともに該外パイプを上下にスライド可能にさせるための縦長部分および前記上ステムを該外パイプの周方向に沿って90°スライド可能にさせるための横長部分からなる第1および第2のL字状孔(321,322)と、前記第2の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるとともに該外パイプを上下にスライド可能させるための縦長部分および前記上ステムを該外パイプの周方向に沿って90°スライド可能にさせるための横長部分からなる第3および第4のL字状孔(324,324)と、前記第3の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるとともに該外パイプを上下にスライド可能にさせるための第1および第2の縦長孔(331,334)と、前記第4の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるとともに該外パイプを上下にスライド可能にさせるための第3および第4の縦長孔(333,334)とが形成されており、
前記内パイプに、前記第1の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるとともに前記上ステムを該内パイプの周方向に沿って90°スライド可能にさせるための第1および第2の横長孔(411,412)と、前記第2の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるとともに前記上ステムを該内パイプの周方向に沿って90°スライド可能にさせるための第3および第4の横長孔(413,414)と、前記第3の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるための第1および第2の内パイプ貫通孔(421,422)と、前記第4の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるための第3および第4の内パイプ貫通孔(423,424)とが形成されている、
ことを特徴とする、請求項1記載の自転車用ハンドル。
【請求項3】
前記上ステムのパイプ部の下端内側面が、傾斜角45°の傾斜面とされており、
前記下ステムの上端外側面が、傾斜角45°の傾斜面とされている、
ことを特徴とする、請求項1または2記載の自転車用ハンドル。
【請求項4】
矩形板状の平板部および該平板部の一端に設けられた突出部を備える安全装置金具(80)と、
前記第3および第4の組立ピンの頭部と前記安全装置金具との間にそれぞれ挿入された第1および第2のコイルバネ(511,512)とをさらに具備し、
該安全装置金具の平板部に、前記第3および第4の組立ピンのピン部を横方向にそれぞれ貫通させるための第1および第2の安全装置金具貫通孔(811,814)と、ストッパ(82)とが形成されており、
前記外パイプに、前記ストッパが係合される係止孔(34)が形成されている、
ことを特徴とする、請求項1乃至3いずれかに記載の自転車用ハンドル。
【請求項5】
固定ボルト(71)と、
中心部に前記固定ボルトのねじ部を縦方向に貫通させるための貫通孔が形成された円板状のボルト受け平ワッシャ(72)と、
該固定ボルトのねじ部と螺合するねじ穴が上面から底面まで形成された台形垂状の固定テーパー駒(73)とをさらに具備し、
前記固定テーパー駒の側面に前記下ステムの下端が当接されており、
前記下ステムの前記第3および第4の下ステム貫通孔よりも下方に、前記ボルト受け平ワッシャを載せるための複数の凹部(211〜214)が形成されており、
前記下ステムの下端部に、拡大用切欠き(231,232)が形成されている、
ことを特徴とする、請求項1乃至4いずれかに記載の自転車用ハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、自転車用ハンドルに関し、特に、駐輪所において両隣に他の自転車が駐輪されていても自転車をスムースに出し入れするのに好適な自転車用ハンドルに関する。
【背景技術】
従来、混み合った駐輪所において自転車を出し入れする際にハンドルバーが隣の自転車のハンドルバーに引っ掛かってスムースに出し入れできないことを解決するために、ハンドルバーを90°回転することができる自転車用ハンドルが提案されている。
たとえば、下記の特許文献1には、ハンドルバーと、ハンドルバーの左右中央から垂設された第1縦パイプと、第1縦パイプの下部に外嵌されるとともに前輪保持用の前フォーク足に連結される第2縦パイプとを備え、第1縦パイプと第2縦パイプとが相互に回転可能に嵌合されるとともに、第1縦パイプが第2縦パイプに対して運転状態位置および90°回転位置で係脱自在に固定されるためのストッパ機構を設けた自転車用ハンドルが開示されている。
【特許文献1】
特開平10−236370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特許文献1に開示された自転車用ハンドルでは、ハンドルバーを90°回転させる際には、運転者が揺動係止部材を外したのちに外ケーシング部の後壁の下部を押すと、外ケーシング部の後壁が係止部を押圧して短軸部が後方へ引っ張られることにより、短軸部の先端が第1縦パイプの第1係止雌部から離脱するようにしているため、外ケーシング部の揺動動作が邪魔されないようにするための縦長スリットを外ケーシング部の後壁に設ける必要がある。そのため、この縦長スリットから雨水などが内ケーシング内に浸入すると、内ケーシング部と外ケーシング部との間に設けられたかつ短軸部を前方へ押圧させる弾発部材を腐食させるという問題がある。
また、1本の短軸部によってハンドルバーが回転しないように固定しているため、運転時に万が一にも短軸部が破損した場合にはハンドルバーが90°回転するという問題がある。
さらに、短軸部は弾性部材によって前方に押圧されているため、万が一にも短軸部に設けられた係止部が折れて取れてしまった場合にはハンドルバーを90°回転することができなくなるという問題がある。
本発明の目的は、簡単な動作でハンドルバーを90°回転させることができるとともに雨水などの侵入を防ぐことができる自転車用ハンドルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
本発明の自転車用ハンドルは、ハンドルバー(2)を固定するためのステム部、および、該ステム部の底面に垂設された円筒状のパイプ部を備えた上ステム(10)と、下端側部分がステム受け(4)に内嵌されて固定されたかつ前記上ステムのパイプ部の径と同じ径である円筒状の下ステム(20)と、円筒状の外パイプ(30)と、円筒状の内パイプ(40)と、前記上ステムのパイプ部の上端部に設けられたかつ前記外パイプを下方に付勢するための外パイプ付勢手段(11,31,50)と、第1乃至第4の組立ピン(601〜604)とを具備し、前記外パイプが上下にスライド可能でかつ前記上ステムが該外パイプの周方向に沿って90°回転可能なように、前記第1および第2の組立ピンによって前記上ステムのパイプ部の外側および内側に前記外パイプおよび前記内パイプがそれぞれ取り付けられており、前記外パイプが上下にスライド可能でかつ前記内パイプが固定されるように、前記第3および第4の組立ピンによって前記下ステムの外側および内側に前記外パイプおよび前記内パイプがそれぞれ取り付けられていることを特徴とする。
ここで、前記上ステムのパイプ部に、前記第1の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるための第1および第2の上ステム貫通孔(121,122)と、前記第2の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるための第3乃至第4の上ステム貫通孔(123,124)とが形成されており、前記下ステムに、前記第3の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるための第1および第2の下ステム貫通孔(221,222)と、前記第4の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるための第3および第4の下ステム貫通孔(223,224)とが形成されており、前記外パイプに、前記第1の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるとともに該外パイプを上下にスライド可能にさせるための縦長部分および前記上ステムを該外パイプの周方向に沿って90°スライド可能にさせるための横長部分からなる第1および第2のL字状孔(321,322)と、前記第2の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるとともに該外パイプを上下にスライド可能させるための縦長部分および前記上ステムを該外パイプの周方向に沿って90°スライド可能にさせるための横長部分からなる第3および第4のL字状孔(324,324)と、前記第3の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるとともに該外パイプを上下にスライド可能にさせるための第1および第2の縦長孔(331,334)と、前記第4の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるとともに該外パイプを上下にスライド可能にさせるための第3および第4の縦長孔(333,334)とが形成されており、前記内パイプに、前記第1の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるとともに前記上ステムを該内パイプの周方向に沿って90°スライド可能にさせるための第1および第2の横長孔(411,412)と、前記第2の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるとともに前記上ステムを該内パイプの周方向に沿って90°スライド可能にさせるための第3および第4の横長孔(413,414)と、前記第3の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるための第1および第2の内パイプ貫通孔(421,422)と、前記第4の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるための第3および第4の内パイプ貫通孔(423,424)とが形成されていてもよい。
前記上ステムのパイプ部の下端内側面が、傾斜角45°の傾斜面とされており、前記下ステムの上端外側面が、傾斜角45°の傾斜面とされていてもよい。
矩形板状の平板部および該平板部の一端に設けられた突出部を備える安全装置金具(80)と、前記第3および第4の組立ピンの頭部と前記安全装置金具との間にそれぞれ挿入された第1および第2のコイルバネ(511,512)とをさらに具備し、該安全装置金具の平板部に、前記第3および第4の組立ピンのピン部を横方向にそれぞれ貫通させるための第1および第2の安全装置金具貫通孔(811,814)と、ストッパ(82)とが形成されており、前記外パイプに、前記ストッパが係合される係止孔(34)が形成されていてもよい。
固定ボルト(71)と、中心部に前記固定ボルトのねじ部を縦方向に貫通させるための貫通孔が形成された円板状のボルト受け平ワッシャ(72)と、該固定ボルトのねじ部と螺合するねじ穴が上面から底面まで形成された台形垂状の固定テーパー駒(73)とをさらに具備し、前記固定テーパー駒の側面に前記下ステムの下端が当接されており、前記下ステムの前記第3および第4の下ステム貫通孔よりも下方に、前記ボルト受け平ワッシャを載せるための複数の凹部(211〜214)が形成されており、前記下ステムの下端部に、拡大用切欠き(231,232)が形成されていてもよい。
【発明の効果】
本発明の自転車用ハンドルは、以下に示す効果を奏する。
(1)外パイプが上下にスライド可能でかつ上ステムが外パイプの周方向に沿って90°回転可能なように第1および第2の組立ピンによって上ステムのパイプ部の外側および内側に外パイプおよび内パイプをそれぞれ取り付けるとともに、外パイプが上下にスライド可能でかつ内パイプが固定されるように第3および第4の組立ピンによって下ステムの外側および内側に外パイプおよび内パイプをそれぞれ取り付けているので、駐輪時に外パイプを持ち上げたのちに上ステムを外パイプの周方向に沿って90°回転することにより、ハンドルバーを90°回転することができる。
(2)上ステムのパイプ部には第1および第2の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるための第1乃至第4の上ステム貫通孔しか形成されておらず、下ステムには第3および第4の組立ピンのピン部を横方向に貫通させるための第1乃至第4の下ステム貫通孔しか形成されていないため、雨水などが外パイプの第1乃至第4のL字状孔および第1乃至第4の縦長孔から浸入しても、上ステムおよび下ステムによって雨水などが上ステムおよび下ステムと内パイプとの間の隙間や内パイプ内に浸入することを防止することができる。
(3)第1および第2の組立ピンによって上ステムのパイプ部の外側および内側に外パイプおよび内パイプをそれぞれ取り付けているので、第1および第2の組立ピンのいずれか一方が破損しても運転時にハンドルバーが90°回転することを防止することができる。
【実施例1】
以下、本発明の自転車用ハンドルの実施例について、図面を参照して説明する。
本発明の一実施例による自転車用ハンドル1は、図1に示すように、ハンドルバー2と、上ステム10と、上ステム平ワッシャ11と、下ステム20と、外パイプ30と、外パイプ平ワッシャ31と、内パイプ40と、コイルばね50と、第1および第2のコイルばね511,512と、第1乃至第4の組立ピン601〜604と、第1乃至第4の割りピン611〜614と、固定ボルト71と、ボルト受け平ワッシャ72と、固定テーパー駒73と、安全装置金具80とを具備する。
ここで、上ステム10は、ハンドルバー2を固定するためのステム部と、ステム部の底面に垂設されたパイプ部とを備える。
なお、以下の説明では、説明の簡単のために、上ステム10のパイプ部の長手方向を縦方向(上下方向)とし、上ステム10のパイプ部の長手方向と垂直な方向を横方向(左右方向)とする。また、ハンドルバー2側を上側とする。
上ステム10のパイプ部および下ステム20は共に円筒状の形状を有し、上ステム10のパイプ部の外径および内径と下ステム20の外径および内径とは同じである。また、上ステム10のパイプ部の下端内側面は、図2(a),(b)に示すように、傾斜角45°の傾斜面とされており、下ステム20の上端外側面は、図3(a),(b)に示すように、傾斜角45°の傾斜面とされている。
これにより、図1に示すように下ステム20の傾斜面と上ステム10のパイプ部の傾斜面とが傾斜角45°で地面に向かって広がるように密着した状態で上ステム10のパイプ部と下ステム20とを連結することができるため、雨水などが上ステム10のパイプ部および下ステム20内に侵入して上ステム10のパイプ部および下ステム20などが腐食するのを防止することができる。
外パイプ30は円筒状の形状を有する。また、自転車用ハンドル1を組み立てたときに外パイプ30の上下移動がスムースにいくように外パイプ30の内周面と上ステム10のパイプ部および下ステム20の外周面との間に若干の隙間ができるように、外パイプ30の内径は上ステム10のパイプ部および下ステム20の外径よりも若干大きくされている。
内パイプ40は円筒状の形状を有する。また、自転車用ハンドル1を組み立てたときに内パイプ40の外周面と上ステム10のパイプ部および下ステム20の内周面との間に若干の隙間ができるように、内パイプ40の外径は上ステム10のパイプ部および下ステム20の内径よりも若干小さくされている。
第1の組立ピン601のピン部の長さは、図1に示すように第1の組立ピン601の頭部と外パイプ30との間にワッシャ(第1および第2の組立ピン601,602をそれぞれ貫通させるための2つの貫通孔が形成されている板状のもの)を挿入して第1の組立ピン601のピン部を外パイプ30、上ステム10のパイプ部および内パイプ40を横方向に貫通させたのちに外パイプ30との間にワッシャ(第1および第2の組立ピン601,602をそれぞれ貫通させるための2つの貫通孔が形成されている板状のもの)を介して第1の組立ピン601を第1の割りピン611で固定したときにこの2つのワッシャが外パイプ30の外周面に密着するような長さとされている。
第2の組立ピン602は第1の組立ピン601と同じものである。
第3の組立ピン603のピン部の長さは、図1に示すように第3の組立ピン603の頭部と安全装置金具80との間に第1のコイルバネ511を挿入して第3の組立ピン603のピン部を安全装置金具80、外パイプ30、下ステム20および内パイプ40を横方向に貫通させたのちに外パイプ30との間にワッシャ(第3および第4の組立ピン603,604をそれぞれ貫通させるための2つの貫通孔が形成されている板状のもの)を介して第3の組立ピン603を第3の割りピン613で固定したときに第1のコイルバネ511によって安全装置金具80が外パイプ30側に付勢されて安全装置金具80とこのワッシャとが外パイプ30の外周面に密着するような長さとされている。
第4の組立ピン604は第3の組立ピン603と同じものである。
第1乃至第4の組立ピン601〜604のピン部は円柱状の形状を有し、第1乃至第4の組立ピン601〜604のピン部の径は同じである。
上ステム10のパイプ部には、図2(a),(b)に示すように、第1の組立ピン601のピン部を横方向に貫通させるための第1および第2の上ステム貫通孔121,122と、第2の組立ピン602のピン部を横方向に貫通させるための第3および第4の上ステム貫通孔123,124とが形成されている。
また、第1および第3の上ステム貫通孔121,123は間隔Lだけ離されて縦一列に形成されており、第2および第4の上ステム貫通孔122,124も間隔Lだけ離されて縦一列に形成されている。
さらに、第1乃至第4の上ステム貫通孔121〜124を貫通させたときに第1および第2の組立ピン601,602のピン部が上ステム10のパイプ部と密着するように、第1乃至第4の上ステム貫通孔121〜124の開口面の形状は円形状とされており(図2(b)参照)、かつ、第1乃至第4の上ステム貫通孔121〜124の径は第1および第2の組立ピン601,602のピン部の径と同じか若干小さくされている。したがって、第1の組立ピン601は圧入して第1および第2の上ステム貫通孔121,122を貫通させ、第2の組立ピン602も圧入して第3および第4の上ステム貫通孔123,124を貫通させる。
下ステム20には、図3(a),(b)に示すように、第3の組立ピン603のピン部を横方向に貫通させるための第1および第2の下ステム貫通孔221,222と、第4の組立ピン604のピン部を横方向に貫通させるための第3および第4の下ステム貫通孔223,224とが形成されている。
また、第1および第3の下ステム貫通孔221,223は間隔Lだけ離されて縦一列に形成されており、第2および第4の下ステム貫通孔222,224も間隔Lだけ離されて縦一列に形成されている。
さらに、第1乃至第4の下ステム貫通孔221〜224を貫通させたときに第3および第4の組立ピン603,604のピン部が下ステム20と密着するように、第1乃至第4の下ステム貫通孔221〜224の開口面の形状は円形状とされており(図3(b)参照)、かつ、第1乃至第4の下ステム貫通孔221〜224の径は第3および第4の組立ピン603,604のピン部の径と同じか若干小さくされている。したがって、第3の組立ピン603は圧入して第1および第2の下ステム貫通孔221,222を貫通させ、第4の組立ピン604も圧入して第3および第4の下ステム貫通孔223,224を貫通させる。
外パイプ30には、図4(a),(b)に示すように、第1乃至第4のL字状孔321〜324と第1乃至第4の縦長孔331〜334と係止孔34とが形成されている。
第1のL字状孔321は、第1の組立ピン601のピン部を横方向に貫通させるとともに外パイプ30を上下にスライド可能にさせるための縦長部分と、上ステム10を外パイプ30の周方向に沿って90°スライド可能にさせるための横長部分とからなる。また、第1の組立ピン601のピン部が第1のL字状孔321の縦長部分の上側に位置したときに外パイプ30の周方向に沿って移動しないように、第1のL字状孔321の縦長部分の高さ(縦方向の長さ)は第1の組立ピン601のピン部の径よりも長く(好ましくは、2倍)されており、第1のL字状孔321の縦長部分の幅(横方向の長さ)は第1の組立ピン601のピン部の径とほぼ同じにされている。さらに、第1のL字状孔321の横長部分の幅(外パイプ30の周方向に沿った長さ)は外パイプ30の外円周のほぼ1/4とされ、第1のL字状孔321の横長部分の高さは第1の組立ピン601のピン部の径とほぼ同じにされている。
第2のL字状孔322は、第1のL字状孔321と同じ形状を有しているが、第2のL字状孔322の縦長部分および横長部分が第1のL字状孔321の縦長部分および横長部分と互いに対向するように形成されている。
第3および第4のL字状孔323,324は、第1および第2のL字状孔321,322と同じ形状を有し、互いに対向するように形成されている。
第1および第3のL字状孔321,323は間隔Lだけ離されて縦一列に形成されているとともに、第2および第4のL字状孔322,324は間隔Lだけ離されて縦一列に形成されている。
第1の縦長孔331は、第3の組立ピン603のピン部を横方向に貫通させるとともに外パイプ30を上下にスライド可能にさせるために、高さは第1乃至第4のL字状孔321〜324の縦長部分の高さと同じにされており、幅は第1乃至第4のL字状孔321〜324の縦長部分の幅と同じにされている。
第2の縦長孔332は、第1の縦長孔331と同じ形状を有し、第1の縦長孔331と互いに対向するように形成されている。
第3および第4の縦長孔333,334は、第1および第2の縦長孔331,332と同じ形状を有し、互いに対向するように形成されている。
第1および第3の縦長孔331,333は間隔Lだけ離されて縦一列に形成されているとともに、第2および第4の縦長孔332,334は間隔Lだけ離されて縦一列に形成されている。また、第1および第3の縦長孔331,333は第1および第3のL字状孔321,323の縦長部分と縦一列に形成されているとともに、第2および第4の縦長孔332,334は第2および第4のL字状孔322,324の縦長部分と縦一列に形成されている。
内パイプ40には、図5(a),(b)に示すように、第1乃至第4の横長孔411〜414と第1乃至第4の内パイプ貫通孔421〜424とが形成されている。
第1の横長孔411は、第1の組立ピン601のピン部を横方向に貫通させるとともに上ステム10を内パイプ40の周方向に沿って90°スライド可能にさせるために、高さが第1の組立ピン601のピン部の径とほぼ同じにされており、幅が内パイプ40の外円周のほぼ1/4とされている。
第2の横長孔412は、第1の横長孔411と同じ形状を有し、第1の横長孔411と互いに対向するように形成されている。
第3および第4の横長孔413,414は、第1および第2の横長孔411,412と同じ形状を有し、互いに対向するように形成されている。
第1および第3の横長孔411,413は間隔Lだけ離されて縦一列に形成されているとともに、第2および第4の横長孔412,414も間隔Lだけ縦一列に形成されている。
第1および第2の内パイプ貫通孔421,422は、第3の組立ピン603のピン部を横方向に貫通させるためのものであり、第3および第4の内パイプ貫通孔423,424は第4の組立ピン604のピン部を横方向に貫通させるためのものである。そのため、第1乃至第4の内パイプ貫通孔421〜424の開口面の形状は円形状とされており(図5(b)参照)、かつ、第1乃至第4の内パイプ貫通孔421〜424の径は第3および第4の組立ピン603,604のピン部の径よりも若干大きくされている。
第1および第3の内パイプ貫通孔421,423は間隔Lだけ離されて縦一列に形成されているとともに、第2および第4の内パイプ貫通孔422,424は間隔Lだけ離されて縦一列に形成されている。また、第1および第3の内パイプ貫通孔421,423は第1および第3の横長孔411,413の左端部と縦一列に形成されているとともに、第2および第4の内パイプ貫通孔422,424は第2および第4の横長孔412,414の左端部と縦一列に形成されている。
これにより、第1の組立ピン601のピン部を外パイプ30の第1のL字状孔321の縦長部分の上側、上ステム10の第1の上ステム貫通孔121、内パイプ40の第1の横長孔411の左端部、内パイプ40の第2の横長孔412の右端部、上ステム10の第2の上ステム貫通孔122および外パイプ30の第2のL字状孔322の縦長部分の上側を貫通させたのちに第1の組立ピン601を第1の割りピン611で固定し、第2の組立ピン602のピン部を外パイプ30の第3のL字状孔323の縦長部分の上側、上ステム10の第3の上ステム貫通孔123、内パイプ40の第3の横長孔413の左端部、内パイプ40の第4の横長孔414の右端部、上ステム10の第4の上ステム貫通孔124および外パイプ30の第4のL字状孔324の縦長部分の上側を貫通させたのちに第2の組立ピン602を第2の割りピン612で固定し、第3の組立ピン603のピン部を外パイプ30の第1の縦長孔331の上側、下ステム20の第1の下ステム貫通孔221、内パイプ40の第1の内パイプ貫通孔421、内パイプ40の第2の内パイプ貫通孔422、下ステム20の第2の下ステム貫通孔222および外パイプ30の第2の縦長孔332の上側を貫通させたのちに第3の組立ピン603を第3の割りピン613で固定し、第4の組立ピン604のピン部を外パイプ30の第3の縦長孔333の上側、下ステム20の第3の下ステム貫通孔223、内パイプ40の第3の内パイプ貫通孔423、内パイプ40の第4の内パイプ貫通孔424、下ステム20の第4の下ステム貫通孔224および外パイプ30の第4の縦長孔334の上側を貫通させたのちに第4の組立ピン604を第4の割りピン614で固定すれば、外パイプ10が上下にスライド可能でかつ上ステム10が外パイプ30の周方向に沿って90°回転可能なように、第1および第2の組立ピン601,602によって上ステム10のパイプ部の外側および内側に外パイプ30および内パイプ40をそれぞれ取り付けるとともに、外パイプ30が上下にスライド可能でかつ内パイプ40が固定されるように、第3および第4の組立ピン603,604によって下ステム20の外側および内側に外パイプ30および内パイプ40をそれぞれ取り付けることができる(図1および図7参照)。
上ステム10のパイプ部には、図1に示すように、上ステム10のステム部とコイルばね50との間に上ステム平ワッシャ11が挿入されている。
また、外パイプ30の上端の外周面には、外パイプ平ワッシャ31が溶接されて取り付けられている。
これにより、図1に示すように上ステム平ワッシャ11と外パイプ平ワッシャ31との間にコイルばね50を取り付けることにより、運転時には、外パイプ30がコイルばね50によって付勢されて、第1の組立ピン601が外パイプ30の第1および第2のL字状孔321,322の縦長部分の上側に位置し、第2の組立ピン602が外パイプ30の第3および第4のL字状孔323,324の縦長部分の上側に位置し、第3の組立ピン603が外パイプ30の第1および第2の縦長孔331,332の上側に位置するとともに、第4の組立ピン604が外パイプ30の第3および第4の縦長孔333,334の上側に位置するようにすることができる。
安全装置金具80は、図6(a),(b)に示すように、J字状の横断面形状を有する板状の部材からなる。すなわち、安全装置金具80は、矩形板状の平板部と、平板部の一端から安全装置金具80の表面側に円弧状に曲げられた突出部とを備える。
安全装置金具80の平板部には、第3および第4の組立ピン603,604のピン部を横方向に(すなわち、安全装置金具80の表面から裏面に向けて)それぞれ貫通させるための第1および第2の安全装置金具貫通孔811,814が形成されている。そのため、第1および第2の安全装置金具貫通孔811,814の開口面の形状は円形状にされており(図6(b)参照)、第1および第2の安全装置金具貫通孔811,812の径は第3および第4の組立ピン603,604のピン部の径とほぼ同じにされている。第1および第2の安全装置金具貫通孔811,812は間隔Lだけ離されて縦一列に形成されている。
また、安全装置金具80の平板部の裏面の下側(突出部との境界付近)には、ストッパ82が第1および第2の安全装置金具貫通孔811,812と縦一列に形成されている。ストッパ82は、斜面が上向きとされ底面が下向きとされた三角形柱の形状を有する(図6(a)参照)。
外パイプ30の第3の縦長孔333よりも外パイプ30の下端側には、図4(a),(b)に示すように、安全装置金具80のストッパ82が係合される係止孔34が第3の縦長孔333と縦一列に形成されている。
これにより、第3および第4の組立ピン603,604のピン部を外パイプ30の第1および第3の縦長孔331,333にそれぞれ貫通させる前に安全装置金具80の第1および第2の安全装置金具貫通孔811,814にそれぞれ貫通させることにより、図1に示すように安全装置金具80の平板部の裏面を外パイプ30の外周面に密着させて、かつ、安全装置金具80のストッパ82が外パイプ30の係止孔34に係合された状態で取り付けることができる。
また、図7に示すように安全装置金具80の突出部を外パイプ30と反対側に引っ張ることにより安全装置金具80のストッパ82を外パイプ30の係止孔34から飛び出させることができるため、外パイプ平ワッシャ31を上ステム平ワッシャ11側に持ち上げれば外パイプ30を上(上ステム平ワッシャ11側)に移動させることができる。
下ステム20の外径は、フォーク3の上面に取り付けられたステム受け4の内径とほぼ同じにされている(図1参照)。
また、図3に示すように、下ステム20の第3および第4の下ステム貫通孔223,224よりも下ステム20の下端側には、図1に示すようにボルト受け平ワッシャ72を載せるために内側に向かってへこませた第1乃至第4の凹部211〜214が下ステム20の下端から同じ高さにかつ90°の間隔で形成されている。
さらに、下ステム20の下端部には、第1および第2の拡大用切欠き231,232が互いに対向するように形成されている。
これにより、自転車用ハンドル1を組み立てる前に、下ステム20の下端部をステム受け4内に挿入して高さ調整したのちに、固定ボルト71を回して固定テーパー駒73を上方向に移動させることにより、固定テーパー駒73が下ステム20内に入り込んで下ステム20の下端部の径が第1および第2の拡大用切欠き231,232によって拡大して下ステム20の下端部をステム受け4に固定することができる。
なお、下ステム20の下端部には2個の拡大用切欠き(第1および第2の拡大用切欠き231,232)を形成したが、拡大用切欠きの個数は少なくとも1個あればよい。
次に、駐輪時にハンドルバー2を90°回転させる方法について、図7を参照して説明する。
まず、運転者は、左手で安全装置金具80の突出部を外パイプ30と反対側に引っ張って、安全装置金具80のストッパ82を外パイプ30の係止孔34から飛び出させる。
続いて、運転者は、右手で外パイプ平ワッシャ31を持ち上げて、外パイプ30を上ステム平ワッシャ11側に移動させる。これにより、第1の組立ピン601は外パイプ30の第1および第2のL字状孔321,322の縦長部の下側に移動し、第2の組立ピン602は外パイプ30の第3および第4のL字状孔323,324の縦長部の下側に移動し、第3の組立ピン603は外パイプ30の第1および第2の縦長孔331,332の下側に移動するとともに、第4の組立ピン604は外パイプ30の第3および第4の縦長孔333,334の下側に移動する。
続いて、運手者は、左手を安全装置金具80から離したのち、左手でハンドルバー2を90°だけ図7図示矢印方向に回転させる。これにより、上ステム10がハンドルバー2の回転と共に回転して、上ステム10が第1および第2の組立ピン601,602と共に外パイプ30の周方向に沿って90°スライドする。その結果、ハンドルバー2を90°回転させることができる。
次に、駐輪場から自転車を出したのちハンドルバー2を元の位置に戻す方法について説明する。
まず、運転者は、左手または右手でハンドルバー2を90°だけ図7図示矢印と反対方向に回転させる。これにより、上ステム10がハンドルバー2の回転と共に回転して、上ステム10が第1および第2の組立ピン601,602と共に外パイプ30の周方向に沿って90°スライドする。
外パイプ30はコイルばね50によって下方に付勢されているため、第1の組立ピン601は外パイプ30の第1および第2のL字状孔321,322の縦長部の上側に移動し、第2の組立ピン602は外パイプ30の第3および第4のL字状孔323,324の縦長部の上側に移動し、第3の組立ピン603は外パイプ30の第1および第2の縦長孔331,332の上側に移動するとともに、第4の組立ピン604は外パイプ30の第3および第4の縦長孔333,334の上側に移動する。その結果、ハンドルバー2を元の位置に戻すことができる。
また、安全装置金具80の平板部が第1および第2のコイルばね511,512に付勢されて安全装置金具80が外パイプ30側に移動するため、安全装置金具80のストッパ82が外パイプ30の係止孔34に係合する。その結果、外パイプ30は、安全装置金具80の突出部を外パイプ30と反対側に引っ張らない限り、上方に移動することはできなくなる。
以上の説明では、自転車用ハンドル1は安全装置金具80を具備したが、運転時には外パイプ30はコイルばね50によって下方に付勢されて、外パイプ平ワッシャ31が運転者によって故意に持ち上げられない限り外パイプ30は上方に移動することはないため、安全装置金具80はなくてもよい。
また、上ステム10のパイプ部および下ステム20の長さの比は特に限定されないが、上ステム10のパイプ部の長さを下ステム20の長さの1/2とするのが好ましい。
さらに、外パイプ30に係止孔34を形成したが、外パイプ30の第3の縦長孔333の下側部分にストッパ82が係合するようにしてもよい。この場合には、外パイプ30に係止孔34を形成する必要はない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による自転車用ハンドル1の構造を示す図である。
【図2】図1に示した上ステム10の構造を示す図であり、(a)は図1と同じ方向から見た図であり、(b)は(a)の左から見た図である。
【図3】図1に示した下ステム20の構造を示す図であり、(a)は図1と同じ方向から見た図であり、(b)は(a)の左から見た図である。
【図4】図1に示した外パイプ30の構造を示す図であり、(a)は図1と同じ方向から見た図であり、(b)は(a)の左から見た図である。
【図5】図1に示した内パイプ40の構造を示す図であり、(a)は図1と同じ方向から見た図であり、(b)は(a)の左から見た図である。
【図6】図1に示した安全装置金具80の構造を示す図であり、(a)は図1と同じ方向から見た図であり、(b)は(a)の左から見た図である。
【図7】駐輪時に図1に示したハンドルバー2を90°回転させる方法について説明するための図である。
【符号の説明】
1 自転車用ハンドル
2 ハンドルバー
3 フォーク
4 ステム受け
10 上ステム
11 上ステム平ワッシャ
121〜124 第1乃至第4の上ステム貫通孔
20 下ステム
211〜214 第1乃至第4の凹部
221〜224 第1乃至第4の下ステム貫通孔
231,232 第1および第2の拡大用切欠き
30 外パイプ
31 外パイプ平ワッシャ
321〜324 第1乃至第4のL字状孔
331〜334 第1乃至第4の縦長孔
34 係止孔
40 内パイプ
411〜414 第1乃至第4の横長孔
421〜424 第1乃至第4の内パイプ貫通孔
50 コイルばね
511,512 第1および第2のコイルばね
601〜604 第1乃至第4の組立ピン
611〜614 第1乃至第4の割りピン
71 固定ボルト
72 ボルト受け平ワッシャ
73 固定テーパー駒
80 安全装置金具
811,812 第1および第2の安全装置金具貫通孔
82 ストッパ
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
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