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運輸
 
【発明の名称】牽引装置及び該牽引装置を搭載した重量物運搬用車両
【国際特許分類】
B66F 19/00 (2006.01)
【FI】
B66F 19/00    B    
【早期審査対象出願】
【特許権者】
【識別番号】523247201
【氏名又は名称】趙 維江
【住所又は居所】京都府宇治市羽戸山1丁目5-28
【代理人】
【識別番号】100196391
【弁理士】
【氏名又は名称】萩森 学
【発明者】
【氏名】趙 維江
【住所又は居所】京都府宇治市羽戸山1丁目5-28
【要約】
【課題】重量物を吊り上げることができ、構造が簡単な牽引装置および、重量物を吊り上げて移動させることができる重量物運搬用車両を提供する。
【解決手段】牽引装置1は伸縮可能なベローズ2を有し、該ベローズは上蓋3と下蓋4を有する。該上蓋は吸気口6と排気7を有する。該吸気口6と該排気口7にはそれぞれ中間に吸気用バルブ9あるいは排気用バルブ10を有する管8が接続されている。該2つのバルブ9及び10を共に閉鎖した時、該ベローズと該上蓋と該下蓋に囲まれた空間は気密性である。該排気口7に接続された管8の他端に真空ポンプ11が接続されている。また該下蓋の下面の略中央部にフック5を有する。重量物運搬用車両は牽引装置支持部と3以上の車輪と、該牽引装置支持部と該車輪を連結する脚部を有し、該牽引装置支持部に前記の牽引装置が固定されている。
【選択図】図1
選択図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引装置であって
該牽引装置はベローズを有し、
該ベローズは上端に上蓋を、下端に下蓋を有し、
該ベローズは上蓋または下蓋に吸気口と排気口を有し、該吸気口と該排気口にはそれぞれ中間にバルブを有する管が接続されており、
該2つのバルブを閉鎖した時は、該ベローズと該上蓋と該下蓋に囲まれた空間は気密性であり、
該排気口に接続された管の他端に真空ポンプが接続されており、
該下蓋は下面の略中央部にフックを有しており、
該ベローズ内部の真空度を測定できる真空計及び制御装置を有し、
該制御装置は該真空計および上記の真空ポンプおよび上記の2つのバルブと通信可能なように接続されており、
該制御装置は該真空計により計測されたベローズ内部の真空度に応じて該2つのバルブを開閉させ該真空ポンプを作動あるいは停止させる機能を有する
ことを特徴とする牽引装置。
【請求項2】
重量物運搬用車両であって
牽引装置支持部と3以上の車輪と、該牽引装置支持部と該車輪を連結する脚部を有し、
該牽引装置支持部に請求項1に記載の牽引装置が固定されている
ことを特徴とする重量物運搬用車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は,重量物を吊り上げるための牽引装置及び該牽引装置を搭載した重量物運搬用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
重量物を、圧力を利用して持ち上げる装置としては様々なものが提案されている。特許文献1に記載されているエアベローズによるジヤツキアツプ装置は自動車のパンク修理の際に自動車を持ち上げる装置であり、気密性のベローズを自動車の車台部材の下に置き、該ベローズに空気を注入することによって該ベローズが伸長する力を利用して自動車を持ち上げる。特許文献2に記載されている伸縮機構は上面板と下面板により閉じられたベローズに空気を注入、排出することによりベローズを伸長させ上面板状の物体を上下させるというものである。また、特許文献3に記載されているエアーリフターは、固定台と昇降テーブルの間にベローズ体から成る空気ばねを装着しこの空気ばねに空気を注入、排出することにより空気ばねを伸縮させ昇降テーブルを昇降、下降させるものである。
【0003】
ベローズを利用し、圧力により重長物を持ち上げる装置は上記以外にもいくつか提案されているが、それらはいずれも重量物の下部に装置を置き、ベローズに空気を注入することによりベローズを伸長させ装置に載せた重量物を持ち上げるものであり、重量物を吊り上げるものは見当たらない。重い機械を工場内に設置する場合などでは該重い機械を吊り上げて移動させる必要があり、このような用途には特許文献1ないし3に記載されている装置は使えない。
【0004】
重量物を吊り上げる装置としては起重機があるが、建屋の中など比較的に狭い場所で重量物を吊り上げる装置としては、門型クレーン(非特許文献1、2)がある。これらは両端が一定程度の高さを有する脚部に支えられた吊り具支持部(桁)の略中央部に吊り具が設置されているものであり、重量物を吊り下げた吊り具は滑車によって吊り上げられる。また吊り上げる力として油圧を用いる門型油圧リフター(非特許文献1)もある。これは前記の門型クレーンとほぼ同じ形状であるが、伸縮可能な脚部に油を注入し脚部を伸長させることにより吊り具に吊り下げた重量物を吊り上げるものである。
【0005】
門型クレーンは滑車によって重量物を吊り上げるが、吊り上げることができる重量に限界がある。門型油圧リフターは油圧ユニットや油圧ケーブルを必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】 実開平05−019287
【特許文献2】 実用新案登録第3169261号
【特許文献3】 実開平07−009893
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】クレーン設備がなくても重量物を吊り上げできる「ポータブル門型クレーン」https://jirei.r-rental.co.jp/turu_ageru/
【非特許文献2】移動式門型クレーン https://www.rent.co.jp/sanki/l-06/0606/ido_mon/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明が解決しようとする課題は、重量物を吊り上げることができ、構造が簡単な牽引装置および、重量物を吊り上げて移動させることができる重量物運搬用車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者は、鋭意検討を重ねた結果、伸縮自在なベローズの両端を蓋で閉じ、該蓋に排気口と吸気口を開け、該排気口と該吸気口のそれぞれにバルブを有する管を接続し、あらかじめ該ベローズ内に空気を入れベローズを伸長させた後、該吸気口に接続した管のバルブを閉鎖し、該排気口に接続した管の他端を真空ポンプに接続し、この管のバルブを開放し真空ポンプを作動しベローズ内部を減圧すると、ベローズが収縮することにより巨大な牽引力が発生することに思い至り本発明に至った。
【0010】
上記の牽引力の利用方法の一態様として重量物を吊り上げる装置がある。上記のベローズの伸縮方向が垂直になるように建屋の梁等に上側の蓋(上蓋)を固定する。下側の蓋に重量物を吊り下げるためのフックを設置する。床に置いた重量物を該フックに引っ掛け、吸気口に接続した管のバルブを閉鎖し、排気口に接続した管の他端を真空ポンプに接続し、この管のバルブを開放し真空ポンプを作動しベローズ内部を減圧すると、ベローズが収縮することにより重量物は上に吊り上げられる。
【0011】
重量物が吊り上がったら、真空ポンプに接続した管のバルブを閉鎖する。その後は真空ポンプを停止してもベローズ内の減圧が維持されるので重量物は吊り上がったまま維持される。従って重量物は一旦吊り上がれば、その後はエネルギーの消費なしに吊り上がった状態が維持される。
【0012】
ベローズ内の真空度を計測する真空計を付加しても良い。真空度が低下した場合、真空ポンプを運転し真空ポンプに接続した管のバルブを開放し真空度を上げる。
【0013】
さらに、制御装置を付加しても良い。該制御装置は上記の真空計、上記の真空ポンプ、上記の2つのバルブと通信可能なように接続されており、該真空計により計測されたベローズ内部の真空度に応じて該2つのバルブを開閉させ該真空ポンプを作動あるいは停止させる機能を有する。該制御装置は、ベローズ内部の真空度があらかじめ定めた閾値より低下すれば該真空ポンプを作動させ、真空ポンプ側のバルブを開き、真空度が該閾値より一定程度以上に上がれば該真空ポンプ側のバルブを閉鎖し該真空ポンプを停止させることができる。これにより、重量物が吊り上げられた状態がより確実に維持され安全性が向上する。該閾値は任意に定めることができる。
【0014】
上記の牽引力の利用方法のさらなる発展形として、重量物を吊り上げ運搬する重量物運搬用車両がある。上記のベローズ、上蓋、下蓋、吸気口、排気口、バルブを有する管、真空ポンプ、フックから構成される装置(以下牽引装置と呼ぶ)を固定した牽引装置支持部と牽引装置支持部の両端を支える脚部を有し、脚部には車輪を有する車両である。本車両は重量物をフックに吊り下げた状態で移動することができるので、床に置いた重量物を吊り上げ移動させることができる。
【0015】
第1の発明に係る牽引装置はベローズを有し、該ベローズは上端に上蓋を、下端に下蓋を有し、該ベローズは該上蓋または該下蓋に吸気口と排気口を有し、該吸気口と該排気口にはそれぞれ中間にバルブを有する管が接続されており、該2つのバルブを閉鎖した時は、該ベローズと該上蓋と該下蓋に囲まれた空間は気密性であり、該排気口に接続された管の他端に真空ポンプが接続されており、該下蓋は下面の略中央部にフックを有していることを特徴とするものである。
【0016】
第2の発明に係る牽引装置は第1の発明に係る牽引装置であって、ベローズ内部の真空度を測定できる真空計及び制御装置を有し、該制御装置は該真空計および上記の真空ポンプおよび上記の2つのバルブと通信可能なように接続されており、該制御装置は該真空計により計測されたベローズ内部の真空度に応じて該2つのバルブを開閉させ該真空ポンプを作動あるいは停止させる機能を有することを特徴とするものである。
【0017】
第3の発明に係る重量物運搬用車両は、牽引装置支持部と、3以上の車輪と、該牽引装置支持部と該車輪を連結する脚部を有し、該牽引装置支持部に第1の発明又は第2の発明に係る牽引装置が固定されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本願発明によって、重量物を吊り上げることができ、構造が簡単な牽引装置および、重量物を吊り上げて移動させることができる重量物運搬用車両が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本願発明に係る牽引装置の模式図である。
【図2】本願発明に係る牽引装置により重量物を吊り上げる前と吊り上げた後の模式図である。
【図3】本願発明に係る重量物運搬用車両の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
つぎに、本発明の実施形態を説明するが、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において様々な変更や修正が可能であることは言うまでもない。
【実施例1】
【0021】
図1に本願発明に係る牽引装置の一態様の模式図を示す。牽引装置1は伸縮可能なベローズ2を有し、該ベローズは上蓋3と下蓋4を有する。該上蓋は吸気口6と排気口7を有する。該吸気口6と該排気口7にはそれぞれ中間に吸気用バルブ9あるいは排気用バルブ10を有する管8が接続されている。該2つのバルブ9及び10を共に閉鎖した時、該ベローズと該上蓋と該下蓋に囲まれた空間は気密性である。該排気口7に接続された管8の他端に真空ポンプ11が接続されている。また該下蓋の下面の略中央部にフック5を有する。
【0022】
本牽引装置に牽引力を発生させるためには、まず吸気用バルブ9を開放しベローズを所望の長さまで伸長させる。その後吸気用バルブ9を閉鎖し、排気用バルブ10を開放し真空ポンプ11を作動させる。ベローズ内部が減圧されベローズ2が収縮することにより牽引力が発生する。
【実施例2】
【0023】
図2に本願発明に係る牽引装置を、重量物を吊り上げるために用いる場合の態様を示す。図2の左側の図は重量物を吊り上げる前の様子を示す。牽引装置1は建屋の梁等の構造物16に固定されている。吊り上げようとする対象の重量物15は床に置かれている。吸気用バルブ9を開放しベローズ2を伸長させフック5が重量物15に掛止されている。重量物を吊り上げる時は、吸気用バルブ9を閉鎖し排気用バルブ10を開放し真空ポンプ11を作動させる。ベローズ内部が減圧し、ベローズが収縮しフックに掛止された重量物15が吊り上げられる。図2の右側の図は重量物が吊り上げられた時の様子を示している。ベローズ2が収縮し、重量物15が吊り上げられている。
【0024】
本牽引装置によりどの程度の牽引力が発生するかを表1に示す。大気圧が1気圧(1.033kgf/cm2)として、円柱状のベローズの底面の半径が25cmの場合と50cmの場合を示す。ベローズの底面の半径が25cmの場合、発生する牽引力は、ベローズ内部の気圧を0.5気圧に減圧すると994kgf、0.1気圧に減圧すると1824kgf、0.01気圧に減圧すると2008kgfとなる。ベローズの底面の半径が50cmの場合は、発生する牽引力は、ベローズ内部の気圧を0.5気圧に減圧すると3976kgf、0.1気圧に減圧すると7298kgf、0.01気圧に減圧すると8030kgfとなる。
【0025】
【表1】000002
【実施例3】
【0026】
図3に本願発明のかかる牽引装置を利用した重量物運搬用車両を示す。重量物運搬用車両17は牽引装置支持部18と3以上の車輪20と該車輪20と牽引装置支持部18を連結する脚部19を有し、牽引装置支持部18には牽引装置1が設置されている。該牽引装置は下蓋4に真空計12が設置されている。該真空計12はベローズ2内部の気圧を測定できる。該牽引装置はまた制御装置13を有し、該制御装置13は真空計12,真空ポンプ11,吸気用バルブ9及び排気用バルブ10と配線14により通信可能なように接続されている。
【0027】
制御装置13は真空計12により計測されたベローズ2内部の真空度(気圧)に応じて吸気用バルブ9及び排気用バルブ10を開閉させ真空ポンプ11を作動あるいは停止させる機能を有する。制御装置13は、ベローズ2内部の真空度があらかじめ定めた閾値より低下すれば真空ポンプ11を作動させ、排気用バルブ10を開き、真空度を上昇させる。真空度が該閾値より一定程度以上に上昇すれば排気用バルブ10を閉鎖し真空ポンプ11を停止させることができる。これにより、重量物が吊り上げられた状態がより確実に維持され安全性が向上する。該閾値は任意に定めることができる。
【0028】
ベローズ2の近傍にベローズ2の前後左右への揺れを防止するためのガイド機構21が設けられている。ガイド機構としては3ないし4の棒状の構造物をベローズの周囲に配置してもよく、あるいはベローズを囲むように円筒状の構造物を設けても良い。フック5に重量物15が掛止され吊り上げられている。この状態でこの重量物運搬用車両を牽引車などで牽引することにより重量物を長距離運搬することも可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に係る牽引装置及び重量物運搬用車両は建屋内など狭い場所で重量物を吊り上げ移動させる用途に利用できるものである。また本願発明に係る重量物運搬用車両は重量物を長距離運搬することにも利用できる。
【符号の説明】
【0030】
1 牽引装置
2 ベローズ
3 上蓋
4 下蓋
5 フック
6 吸気口
7 排気口
8 管
9 吸気用バルブ
10 排気用バルブ
11 真空ポンプ
12 真空計
13 コントローラー
14 配線
15 重量物
16 構造物
17 重量物運搬用車両
18 牽引装置支持部
19 脚部
20 車輪
21 ガイド機構
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
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