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運輸
 
【発明の名称】運搬台車
【特許権者】
【識別番号】515022157
【氏名又は名称】堀部 達丈
【住所又は居所】静岡県藤枝市駿河台3丁目3−1
【代理人】
【識別番号】100121429
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 健一
【代理人】
【識別番号】100122127
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 大刀夫
【発明者】
【氏名】堀部 達丈
【住所又は居所】静岡県藤枝市駿河台3丁目3−1
【参考文献】
【文献】特開昭61−278463(JP,A)
【文献】実開平06−069055(JP,U)
【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/06
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行する一対のフォーク部を備え、側部に水平方向及び垂直方向の補強リブが突設された容器を前記一対のフォーク部間に収容して運搬する運搬台車であって、
前記フォーク部の前部に、前記容器の水平方向の補強リブと係合する可動係合片を有し該容器の側部を支持する可動支持部が設けられ、
前記可動係合片は、弾性的に付勢されて前記一対のフォーク部間の空間内に水平方向に進退自在に突出し、前記容器が前記一対のフォーク部間の空間内に進入するに伴い前記容器の垂直方向の補強リブに押圧されて外方に後退して該容器の進入を許容し、前記垂直方向の補強リブが通過した後、弾性復帰して内方に前進し該容器の水平方向の補強リブと係合して該補強リブを下方から支持するよう形成され、
前記フォーク部は、天板及び該天板の端部から垂直下方に屈曲した側板を備え、
前記可動支持部は、前記フォーク部の天板の下部に設けられた垂直軸を中心に水平方向に回動する、平板からなるフックレバーで形成され、
前記可動係合片は、前記フックレバーにおける垂直軸から離間した端部に形成されるとともに、前記フォーク部の側板に形成された貫通窓から前記一対のフォーク部間の空間内に進退自在に突出するとともに、
前記フックレバーは、前記フォーク部の天板との間に介在して前記フックレバーが上下方向に傾動するのを防止するスペーサが立設されたことを特徴とする運搬台車。
【請求項2】
平行する一対のフォーク部を備え、側部に水平方向及び垂直方向の補強リブが突設された容器を前記一対のフォーク部間に収容して運搬する運搬台車であって、
前記フォーク部の前部に、前記容器の水平方向の補強リブと係合する可動係合片を有し該容器の側部を支持する可動支持部が設けられ、
前記可動係合片は、弾性的に付勢されて前記一対のフォーク部間の空間内に水平方向に進退自在に突出し、前記容器が前記一対のフォーク部間の空間内に進入するに伴い前記容器の垂直方向の補強リブに押圧されて外方に後退して該容器の進入を許容し、前記垂直方向の補強リブが通過した後、弾性復帰して内方に前進し該容器の水平方向の補強リブと係合して該補強リブを下方から支持するよう形成され、
前記容器の他の側部を支持する固定支持部を備えたことを特徴とする運搬台車。
【請求項3】
平行する一対のフォーク部を備え、側部に水平方向及び垂直方向の補強リブが突設された容器を前記一対のフォーク部間に収容して運搬する運搬台車であって、
前記フォーク部の前部に、前記容器の水平方向の補強リブと係合する可動係合片を有し該容器の側部を支持する可動支持部が設けられ、
前記可動係合片は、弾性的に付勢されて前記一対のフォーク部間の空間内に水平方向に進退自在に突出し、前記容器が前記一対のフォーク部間の空間内に進入するに伴い前記容器の垂直方向の補強リブに押圧されて外方に後退して該容器の進入を許容し、前記垂直方向の補強リブが通過した後、弾性復帰して内方に前進し該容器の水平方向の補強リブと係合して該補強リブを下方から支持するよう形成され、
前記フォーク部は、天板及び該天板の端部から垂直下方に屈曲した側板を備え、
前記可動支持部は、前記フォーク部の天板の下部に設けられた垂直軸を中心に水平方向に回動するフックレバーで形成され、
前記可動係合片は、前記フックレバーにおける垂直軸から離間した端部に形成されるとともに、前記フォーク部の側板に形成された貫通窓から前記一対のフォーク部間の空間内に進退自在に突出するとともに、
前記容器の他の側部を支持する固定支持部を備えたことを特徴とする運搬台車。
【請求項4】
前記容器の他の側部を支持する固定支持部を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の運搬台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側部に水平方向及び垂直方向の補強リブを有する合成樹脂等で形成された容器を運搬する運搬台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫内等では、物品を収容する合成樹脂製の容器が通い箱などとして使用され、台車に複数段積み重ねて運搬されている。この種の容器は、一般に強度を確保するため、側部に水平方向や垂直方向の補強リブが突設されている。
【0003】
ところで、床面に複数段積み重ねてある容器を台車に載せる際には、容器を持ち上げて台車に載せる必要があり、そのため、作業者は腰をかがめて容器を持ち上げなければならず、また、重量があるため、作業者には負担がかかる。そこで、台車を床面上の容器に向けて移動させるだけで容器を持ち上げることなく台車に載せる技術が特許文献1に開示されている。特許文献1のコンテナの運搬具は、フォーク部材間にコンテナを位置させるべくフォーク部を差込むと、コンテナの端が係脱部材の案内部に当たり、係脱部材が押されて上方に回動して一旦逃げ、コンテナの凹入部の位置にくると復帰して係脱爪部が凹入部に嵌合し、係脱部材を介して一対のフォーク部材によりコンテナが挟持される構成となっている。これにより、この運搬具は、前進させるだけで床に載置されたコンテナを直接持ち上げて載置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−278463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の運搬具は、コンテナの側部の凹入部に係脱部材を係合させてコンテナを支持させるものであるから、凹入部の水平方向中間部に垂直方向の補強リブが形成されている場合には、係脱部材が該補強リブと干渉して該係脱部材を凹入部内に嵌入させることができず、コンテナを支持することはできない。
【0006】
また、係脱部材は、下端に取付けられた水平方向の枢軸管を軸に上下方向に回動してコンテナの側部の凹入部に係脱するものであるから、コンテナの凹入部に係合したとき、係脱部材の先端の係脱爪部にはコンテナの荷重が集中的に加わるため、係脱爪部は破損変形し易い。
【0007】
更に、係脱部材は、枢軸管を軸に上下方向に回動してコンテナの凹入部に係脱するものであるから、コンテナの凹入部は底面から相当高い位置に設けられていることが必要であり、凹入部が低い位置に設けられているコンテナの場合には、係脱部材をコンテナの凹入部に係合させることができず、したがって、そのようなコンテナに対しては運搬することはできないという不具合がある。
【0008】
そこで、本発明は、側部に水平方向及び垂直方向の補強リブが突設された容器を運搬するものであって、該容器を手で持ち上げることなく積み込むことができるとともに、積み込む際、容器の垂直方向の補強リブの存在が積み込みの妨げとならず、また、容器の補強リブを支持する支持部が破損変形し難く安定して支持でき、更に、補強リブが低位置にある容器にも対応して積み込むことができる運搬台車の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の運搬台車は、平行する一対のフォーク部を備え、側部に水平方向及び垂直方向の補強リブが突設された容器を前記一対のフォーク部間に収容して運搬するものであって、前記フォーク部の前部に、前記容器の水平方向の補強リブと係合する可動係合片を有し該容器の側部を支持する可動支持部が設けられている。そして、前記可動係合片は、弾性的に付勢されて前記一対のフォーク部間の空間内に水平方向に進退自在に突出し、前記容器が前記一対のフォーク部間の空間内に進入するに伴い前記容器の垂直方向の補強リブに押圧されて外方に後退して該容器の進入を許容し、前記垂直方向の補強リブが通過した後、弾性復帰して内方に前進し該容器の水平方向の補強リブと係合して該補強リブを下方から支持するよう形成されている。
ここで、フォーク部の前部とは、フォーク部の先端側の部分を言う。また、容器の側部とは、一般には容器において運搬台車の前方側に載置される部分であり、後述する容器の他の側部とは、一般には運搬台車の後方側に載置される部分を言う。
【0010】
更に、請求項1の運搬台車は、前記フォーク部が、天板及び該天板の端部から垂直下方に屈曲した側板を備え、前記可動支持部は、前記フォーク部の天板の下部に設けられた垂直軸を中心に水平方向に回動するフックレバーで形成され、前記可動係合片は、前記フックレバーにおける垂直軸から離間した端部に形成されるとともに、前記フォーク部の側板に形成された貫通窓から前記一対のフォーク部間の空間内に突出するものである。
加えて、請求項1の運搬台車は、前記可動支持部のフックレバーが、平板で形成され、前記フォーク部の天板との間に介在して前記フックレバーが上下方向に傾動するのを防止するスペーサが立設されたものである。
請求項2〜4の運搬台車は、前記容器の他の側部を支持する固定支持部を更に備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、可動支持部の可動係合片がフォーク部間の空間内に進退自在に突出するよう形成されているので、容器の側部の外面に垂直方向の補強リブが形成されていてもこれが積み込みの妨げになることはなく、容器を持ち上げず単に運搬台車を容器に向けて前進させるだけでこれを運搬台車に載置させることができる。
また、可動係合片は全面的に容器の水平方向の補強リブを支持するので、支持部の狭い部分に集中的に容器の荷重が加わることがなく、したがって、可動係合片は破損変形し難く可動支持部は安定して容器を支持することができる。
加えて、可動係合片はフォーク部間の空間内に水平方向に突出するので、水平方向の補強リブが低位置にある容器にも対応して運搬台車に積み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態の運搬台車を示す斜視図である。
【図2】図1の運搬台車を示し、(a)は平面図、(b)は右側面図である。
【図3】図1のフレームを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
【図4】(a)は図2の可動支持部の斜視図、(b)は(a)のフックレバーの左側面図、(c)は(a)のフックレバーの平面図である。
【図5】図1の運搬台車に容器を載置する方法を示す正面図である。
【図6】図1の運搬台車に容器を載置した状態を示す平面図である。
【図7】図1の運搬台車に容器を載置した状態を示す左側面図である。
【図8】図1の運搬台車を移動させる状態を示す正面図である。
【図9】図1の運搬台車を保管する状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態の運搬台車を図に基づいて説明する。なお、以下の実施形態では、運搬台車が進む方向を前方、その反対側を後方として説明する。
【0014】
図1乃至図4において、運搬台車1は、2輪構造をなし、平面視コ字状に形成されたフレーム11の後端部にハンドル部12が立設され、前記フレーム11の下部に左右一対の車輪16が取付けられ、フレーム11の平行する一対のフォーク部21,21のそれぞれの前部に容器61の左右両側部の補強リブを支持する可動支持部41が設けられ、前記一対のフォーク部21,21の後部に容器61の補強リブを支持する固定支持部51が設けられたものであり、容器61を一対のフォーク部21,21間に収容して運搬するものである。以下、各構成部材について詳細に説明する。
【0015】
前記フレーム11は、図1、図3に示すように、運搬台車1の進行方向に沿って平行する一対のフォーク部21,21と、一対のフォーク部21,21の後端部同士を連結する連結部31とで構成され、鋼材を使用して形成されている。但し、これに限定されるものではなく、アルミニウム材、合成樹脂材等で形成してもよい。各フォーク部21は、天板22の外方側の端部即ち互いに対向するフォーク部21とは反対側の端部には垂直下方に屈曲したフランジ23が形成され、天板22の内方側の端部即ち対向するフォーク部21側の端部には垂直下方に屈曲した側板24が形成されている。一対のフォーク部21,21の間隔は、容器61の幅より僅かに大きく形成されている。
【0016】
側板24は、図3(b)に示すように、フォーク部21の後方側に車輪16を取付ける車輪取付孔24aが形成され、この周辺部が最も垂直長さが大きく形成されており、そこから前方に向かうに従って垂直長さが湾曲状に徐々に短かく形成されている。側板24の先端部から僅かに後方に離間した位置には、後述する可動支持部41の可動係合片43が貫通する細長矩形状の貫通窓24bが形成されている。
【0017】
フレーム11の連結部31は、天板32の後方側の端部に垂直下方に屈曲したフランジ33が形成され、天板32の前方側の端部には垂直下方に屈曲した上下方向に一定幅の側板34が形成されている。
【0018】
一方、フレーム11の後端部に立設されたハンドル部12は、両フォーク部21の後端部の天板22にそれぞれ溶接により支柱パイプ13が立設され、支柱パイプ13は高さ方向の途中で斜め後方に屈曲し、屈曲した傾斜部分は取手14を形成している。また、左右一対の支柱パイプ13,13は高さ方向の略中間部で補強パイプ15が水平方向に架設されている。更に、支柱パイプ13は、フォーク部21の天板22との間に取付けられた補強板25によって補強されている。
【0019】
次に、各フォーク部21の前部即ち先端側部にそれぞれ設けられた可動支持部41は、フォーク部21の長さ方向中間部において天板22の下部に垂設された垂直軸26を中心に水平方向に回動するフックレバー42で形成されている。フックレバー42は、図4に示すように、全体が平板で形成され、垂直軸26の取付位置から離間した反対側端部には可動係合片43が一体に形成されている。また、フックレバー42の前記反対側端部の上面において可動係合片43とは反対側には、フックレバー42の上面とフォーク部21の天板22との間に介在してフックレバー42が天板22の下方空間内で上下方向に傾動するのを防止する矩形板状のスペーサ44が立設されている。
【0020】
可動係合片43は、フックレバー42の長手方向に対して直交する方向に突出し、突出する先端面はフックレバー42の長手方向と平行する突出端面43aとなっており、突出する両側面は突出端面43aに向かうに従って先窄まりとなる傾斜端面43bとなっている。また、可動係合片43は、幅寸法がフォーク部21の側板24の貫通窓24bを貫通する大きさに形成されている。
【0021】
フォーク部21においてフックレバー42における後方側の端部から僅かに離間した位置には、バネ取付棒27が天板22の下面に垂設されている。そして、フックレバー42の端部とバネ取付棒27との間には、フックレバー42の端部をバネ取付棒27の方向に付勢するコイルスプリングからなる引張りバネ28が取付けられている。この引張りバネ28により、可動支持部41は、常時垂直軸26を軸に回動して端部の可動係合片43がフォーク部21の側板24の貫通窓24bから突出する方向に付勢されており、可動係合片43は弾性的に側板24の貫通窓24bから内外方向に進退するものとなっている。
【0022】
一方、運搬台車1の後部側において、フレーム11のフォーク部21と連結部31とが接合された内部側2箇所のコーナー部には、L板からなる固定支持部51が水平方向に突設されている。この固定支持部51には容器61の他の側部である後方側角の側部が載置されるようになっている。
【0023】
次に、運搬台車1によって運搬される容器61は、合成樹脂材の成形により箱状に形成されており、4面の側部には所定の突出長さの平板状の補強リブが容器61の外面に直交して突設されている。補強リブは、水平方向に沿って突設された補強リブ62と垂直方向に沿って突設された補強リブ63とが格子状に配置されている。これらの補強リブは、合成樹脂製の容器61の剛性、強度を大きくしてその変形を防止するものである。容器61は、図示しないが、上部の開口縁部と底面の縁部とに互いに上下方向に係合する係合部を有しており、複数段に積み重ねることができるようになっている。
【0024】
次に、上記のように構成された運搬台車1を使用して容器61を運搬する方法を説明する。
容器61は床面71上に複数段、本実施形態では4段に積み重ねられている。作業者は、図5に示すように、取手14を把持して後方から押して容器61に対して運搬台車1をそのまま前方に移動させていく。このとき、運搬台車1の可動係合片43は、引張りバネ28により一対のフォーク部21,21間の空間の方向に弾性的に付勢されてフォーク部21の側板24の貫通窓24bから突出している。この状態で運搬台車1を更に押し込んでいくと、可動係合片43の前側の傾斜端面43bが最下段の容器61の垂直方向の補強リブ63と当接するが、可動係合片43は弾性的に側板24の貫通窓24bの内外方向に進退するようになっているので、垂直方向の補強リブ63に押されたときに、図2の二点鎖線で示すように、貫通窓24bから外方に向けて後退する。これにより、容器61は垂直方向の補強リブ63によって前方への移動が妨げられることはなく一対のフォーク部21,21間への進入が許容される。このとき、容器61の水平方向の補強リブ62は、可動係合片43の僅か上方を移動していく。
【0025】
そして、垂直方向の補強リブ63が側板24の貫通窓24bの部分を通過すると、可動係合片43は弾性復帰して貫通窓24bを貫通し、再度一対のフォーク部21,21間の空間内に突出する。引き続き、次の垂直方向の補強リブ63が接近すると、同様に、可動係合片43は、側板24の貫通窓24bから外方に向けて後退し、垂直方向の補強リブ63が貫通窓24bを通過すると、再度弾性復帰して側板24の貫通窓24bから内方に突出する。以下、可動係合片43は、垂直方向の補強リブ63を通過する度に側板24の貫通窓24bから内外への進退を繰り返し、容器61は、可動係合片43によって進入を妨げられることなく、最終的に一対のフォーク部21,21間の空間内に完全に収容される。完全に収容されたときには、容器61の他の側部である後方側角の側部は、運搬台車1の固定支持部51上に載置される。収容後の状態を図5乃至図7に示す。
【0026】
次に、このようにして運搬台車1が容器61を一対のフォーク部21,21間の空間内に収容したら、図8に示すように、ハンドル部12の取手14を少し押し下げて運搬台車1全体を後方に傾ける。これにより、最下段の容器61の底面は床面71から離間し、最下段の容器61の水平方向の補強リブ62と、運搬台車1の可動支持部41の可動係合片43及び固定支持部51とが当接し係合して、最下段の容器61の水平方向の補強リブ62は下方から可動係合片43及び固定支持部51によって支持される。そこで、この状態で運搬台車1を前方に移動させることにより複数段の容器61を一度に所定の場所まで運搬することができる。
【0027】
所定の場所まで運搬したら、逆の手順で運搬台車1を平行状態に戻せば、最下段の容器61は床面71に載置され、最下段の容器61の水平方向の補強リブ62と、運搬台車1の可動支持部41の可動係合片43及び固定支持部51とは僅かに離間するので、そのまま運搬台車1のみを後方に押し下げることができる。なお、後方に押し下げるときも、運搬台車1の可動支持部41の可動係合片43と最下段の容器61の垂直方向の補強リブ63とは当接するが、前進させるときと同様に、可動係合片43は弾性的に貫通窓24bから内外方向に進退するので、容器61の垂直方向の補強リブ63が運搬台車1を引き抜く際の支障となることはない。
【0028】
運搬台車1は、空の状態のときは、図9に示すように、前方に傾斜させて、一対の車輪16,16と一対のフォーク部21,21の先端部との計4箇所を接地させると、運搬台車1の重心は車輪16とフォーク部21の先端部との間に位置するので、自立させることができ、格別保管場所を採ることなく、そのまま自立させた姿勢で保管することができる。
【0029】
次に、本実施形態の運搬台車1の作用を説明する。
運搬台車1は、可動支持部41の可動係合片43が弾性的な付勢力によりフォーク部21の側板24の貫通窓24bから進退自在に突出するので、容器61の側部の外面に垂直方向の補強リブ63が形成されていても、容器61を一対のフォーク部21,21間の空間内に移動させ収容することができる。したがって、従来のように容器61を一旦持ち上げて台車に載せる作業を行なう必要がなく、単に容器61に対して運搬台車1を前進させるだけで、可動係合片43と固定支持部51とで容器61の水平方向の補強リブ62を支持させることができ、運搬台車1に載置させることができる。このため、作業効率が向上し楽に運搬することができる。
【0030】
また、フォーク部21の側板24の貫通窓24bから突出する可動係合片43は平板で形成され、水平方向に突出するので、平板の上面全体が容器61の水平方向の補強リブ62と面当接してこれを支持する。このため、可動係合片43は、従来例の引用文献1のように係脱部材の係脱爪部の先端角部に容器61の荷重が集中的に加わることはなく、容器61の水平方向の補強リブ62との支持面積が大きいから破損変形し難く、安定して容器61を支持させることができる。
【0031】
更に、可動係合片43は、フォーク部21の側板24の貫通窓24bから水平方向に突出するので、容器61の水平方向の補強リブ62が低位置にある場合でも該補強リブ62に係合させることができ、運搬台車1に載置させることができる。
【0032】
そして、フックレバー42は垂直軸26を中心に水平方向に回動し、可動係合片43は垂直軸26から相当離間した位置に形成されているので、引張りバネ28の弾性変形量が僅かであっても可動係合片43の突出長さを充分大きく採ることができる。このため、フォーク部21の幅寸法が小さく可動支持部41を収容する空間が小さくても、側板24の貫通窓24bからの可動係合片43の突出量を大きくして容器61を確実に支持させることができる。加えて、可動係合片43は、垂直軸26から相当離間した位置に形成され垂直軸26を中心とする回動半径が大きいため、側板24に対してほぼ直交する方向に移動し、側板24の貫通窓24bからは直進的に挿脱される。その結果、可動係合片43は、容器61の側面に対してもほぼ直交して当接し、水平方向の補強リブ62を安定して的確に支持する。
【0033】
加えて、可動支持部41のフックレバー42の端部には、スペーサ44が立設されているので、可動係合片43が容器61の水平方向の補強リブ62を下方から支持したときに、容器61の荷重が可動係合片43に加わることによってフックレバー42が上下方向に傾動するのを防止でき、可動支持部41は安定して容器61を支持することができる。
【0034】
また、運搬台車1の後部側には、容器61の他側部である後方側角部が載置される固定支持部51が設けられているので、一対の可動支持部41と一対の固定支持部51との4箇所で水平方向の補強リブ62を支持し、容器61を安定して支持させることができる。加えて、固定支持部51は、フォーク部21と連結部31との接合部に設けられているから、フレーム11の補強も兼ねる。
【0035】
ところで、上記実施形態の可動支持部41を形成するフックレバー42は、平板で形成され、上面の端部にスペーサ44が立設されて成るが、この形状に限定されるものではなく、例えば、スペーサ44の高さ分を含めた板厚一定の平板に形成してもよい。
【0036】
また、上記実施形態の可動係合片43は、フックレバー42で形成し、垂直軸26を中心に水平方向に回動するよう形成されているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、
可動係合片43の近傍に引張りバネ28を配置し取付ける構成とすることを妨げるものではない。
【0037】
加えて、上記実施形態の固定支持部51は、フレーム11のフォーク部21と連結部31とが接合された内部側2箇所のコーナー部に設けられているが、これに限定されず、フレーム11の連結部31のみあるいはフォーク部21の後端部のみに設けてもよい。
【0038】
そして、上記実施形態の運搬台車1は、一対のフォーク部21,21の間隔が一定に形成されているが、間隔を容器61の幅に対応させて可変できるようにしてもよい。
【0039】
更に、運搬台車1は、二輪台車としているが、四輪台車としてもよい。
また、運搬台車1は、ハンドル部12を手で押して前進させるものとしているが、電動で前進させるものとしてもよい。
【0040】
なお、本発明の運搬台車1は、容器61の外面に斜め方向の補強リブが突設されている場合にも適用できるものであり、容器61の進入に伴い、可動支持部41の可動係合片43が斜め方向の補強リブと干渉したときには、垂直方向の補強リブ63と同様に、可動係合片43は外方に後退して容器61の進入を妨げない。
【符号の説明】
【0041】
1 運搬台車 41 可動支持部
11 フレーム 42 フックレバー
21 フォーク部 43 可動係合片
22 天板 44 スペーサ
24 側板 51 固定支持部
24b 貫通窓 61 容器
26 垂直軸 62 水平方向の補強リブ
28 引張りバネ 63 垂直方向の補強リブ
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
【図9】
図9
試作写真1 
試作写真2 
試作写真3 
発明者からのメッセージ

様々な業界で樹脂コンテナのハンドリングが行われています。そんな時、近場で頻繁に移動したいときに、大いにこの発明品は利用価値が高いと思います。「シンプルな機能とデザインが特徴」です。老若男女問わず、簡単に操作ができます。現在使用している樹脂コンテナの仕様に合った寸法で設計して、基本的な構成は標準化しています。あらゆる樹脂コンテナに対応が可能だと思います。
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