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【考案の名称】車両制御構造 【実用新案権者】 【識別番号】521307901 【氏名又は名称】永沼 和彦 【住所又は居所】栃木県芳賀郡芳賀町東水沼2321-162 【代理人】 【識別番号】100089026 【弁理士】 【氏名又は名称】木村 高明 【代理人】 【識別番号】100091580 【弁理士】 【氏名又は名称】宮尾 雅文 【考案者】 【氏名】永沼 和彦 【住所又は居所】栃木県芳賀郡芳賀町東水沼2321-162 【要約】 【課題】車両を安全に停止させ、外部に緊急事態である旨を報知するとともに、関連所轄機関が迅速に対処できるようにすることを可能とする車両制御構造を提供する。 【解決手段】車両制御構造20は、運転者が車両10を運転できない状態に至った場合、その旨を検知し緊急信号を発生させる運転不可状態検知部21と、緊急信号を受信したときステアリングハンドル16の手動操作を無効にすると共に車両10を停止させる緊急事態対応制御部22と、緊急信号を受信したとき車両10の外部に緊急事態である旨を報知する緊急事態報知部23と、GPSによる車両10の位置認識機能を備え、緊急信号を受信した場合に関連所轄機関に車両10の位置情報を通知する位置情報通知部24と、を備える。 【選択図】図1 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 車両の運転中に運転者が前記車両を運転できない状態に至った場合には、その旨を検知し緊急信号を発生させる運転不可状態検知部と、 前記運転不可状態検知部に接続され、前記緊急信号を受信したとき、前記車両に装備されたステアリングハンドルの手動操作を無効にすると共に前記車両を停止させる緊急事態対応制御部と、 前記運転不可状態検知部に接続され、前記緊急信号を受信したとき、前記車両の外部に緊急事態である旨を報知する緊急事態報知部と、 前記運転不可状態検知部に接続されると共にGPSによる前記車両の位置認識機能を備え、前記緊急信号を受信した場合に関連所轄機関に前記車両の位置情報を通知する位置情報通知部と、を備えることを特徴とする車両制御構造。 【請求項2】 前記運転不可状態検知部は、前記運転者が前記車両を運転できない状態であることを画像認識により検知し、前記緊急事態対応制御部へ前記運転者が前記車両を運転できない状態であることを通知する運転者監視カメラ部を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両制御構造。 【請求項3】 前記緊急事態対応制御部は、前記車両のダッシュボードに配置され、運転者本人又は同乗者が操作する緊急停止ボタンを有する緊急停止操作機構を備え、 該緊急停止操作機構は、前記緊急停止ボタンがON操作された場合には、その旨を前記前記緊急事態報知部、及び、前記位置情報通知部へ伝達することを特徴とする請求項1に記載の車両制御構造。 【請求項4】 当該車両制御構造は、 前記車両のエンジンに供給される燃料又は電源を強制的に遮断可能なキルスイッチ機構と、前記車両のブレーキ機構を作動可能なブレーキ強制操作機構と、前記ステアリングハンドルの手動操作を無効にすると共に走行路において前記車両を停止可能な停止可能スペースに前記車両を移動させるように操舵可能なステアリングハンドル強制操作機構と、 を更に備え、 前記緊急事態対応制御部は、 前記緊急信号を受信したときの所定の緊急制御として、前記キルスイッチ機構、前記ブレーキ強制操作機構、及び、前記ステアリングハンドル強制操作部のそれぞれに対し、該それぞれの作動を制御する各指令信号を送信するものであることを特徴とする請求項1に記載の車両制御構造。 【請求項5】 前記ステアリングハンドル強制操作部は、前記停止可能スペースを検知可能な停止可能スペース検知部を備えることを特徴とする請求項4に記載の車両制御構造。 【請求項6】 前記緊急事態報知部は、前記車両のフロントウィンドウ又はリアウィンドウに緊急事態を報知する文字を表示すると共に、前記車両の屋根部に設けられた緊急表示灯を点灯させることを特徴とする請求項1に記載の車両制御構造。 【請求項7】 前記運転不可状態検知部は、前記緊急信号を誤って発生させた場合において該緊急信号の発生を解除可能な解除部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両制御構造。 【考案の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本考案は、車両制御構造に関する。 【背景技術】 【0002】 従来より、車両を運転中の運転者が急病等により運転困難になる事態(緊急事態)が発生するというようなことがあった。係る緊急事態の発生において、運転者が運転困難な状態にあると判定した後に、車両を適切な位置に自動走行させて停止させる走行制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された走行制御装置は、走行用前照灯の点灯を行って、自車両の周囲を走行する他の車両に警戒を促すものである。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0003】 【特許文献1】 特開2020−164085号公報 【考案の概要】 【考案が解決しようとする課題】 【0004】 ところで、特許文献1に開示された技術のような走行用前照灯の点灯では、運転者が運転困難な状態にあることを自車両以外の車両の搭乗者や歩行者等に理解され難いという問題があった。 【0005】 また、特許文献1に開示された技術では、車両を自動走行させて停止させる場合、車両が停止することを自車両以外の車両の搭乗者や歩行者等に理解され難く、車両が停止する旨を周囲に充分に報知することが難しいという問題点があった。 【0006】 さらに、運転者が運転困難な状態にある場合、消防、警察等の関連所轄機関へ通報し、当該関連所轄機関が迅速に対処できるようにすることが要請されるが、特許文献1に開示された技術では、係る要請に応えるのに充分であるとは言えないという問題点があった。 【0007】 そこで、本考案は、車両を運転中の運転者が運転困難な緊急事態が発生した場合に、車両を安全に停止させ、車両の外部に緊急事態である旨を報知するとともに、係る緊急事態に関連所轄機関が迅速に対処できるようにすることを可能とする車両制御構造を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 請求項1に記載の考案にあっては、車両の運転中に運転者が前記車両を運転できない状態に至った場合には、その旨を検知し緊急信号を発生させる運転不可状態検知部と、前記運転不可状態検知部に接続され、前記緊急信号を受信したとき、前記車両に装備されたステアリングハンドルの手動操作を無効にすると共に前記車両を停止させる緊急事態対応制御部と、前記運転不可状態検知部に接続され、前記緊急信号を受信したとき、前記車両の外部に緊急事態である旨を報知する緊急事態報知部と、前記運転不可状態検知部に接続されると共にGPSによる前記車両の位置認識機能を備え、前記緊急信号を受信した場合に関連所轄機関に前記車両の位置情報を通知する位置情報通知部と、を備えることを特徴とする。 【0009】 請求項2に記載の考案にあっては、前記運転不可状態検知部は、前記運転者が前記車両を運転できない状態であることを画像認識により検知し、前記緊急事態対応制御部へ前記運転者が前記車両を運転できない状態であることを通知する運転者監視カメラ部を備えることを特徴とする。 【0010】 請求項3に記載の考案にあっては、前記緊急事態対応制御部は、前記車両のダッシュボードに配置され、運転者本人又は同乗者が操作する緊急停止ボタンを有する緊急停止操作機構を備え、該緊急停止操作機構は、前記緊急停止ボタンがON操作された場合には、その旨を前記緊急事態報知部、及び、前記位置情報通知部へ伝達することを特徴とする。 【0011】 請求項4に記載の考案にあっては、当該車両制御構造は、前記車両のエンジンに供給される燃料又は電源を強制的に遮断可能なキルスイッチ機構と、前記車両のブレーキ機構を作動可能なブレーキ強制操作機構と、前記ステアリングハンドルの手動操作を無効にすると共に走行路において前記車両を停止可能な停止可能スペースに前記車両を移動させるように操舵可能なステアリングハンドル強制操作部と、を更に備え、前記緊急事態対応制御部は、前記緊急信号を受信したときの所定の緊急制御として、前記キルスイッチ機構、前記ブレーキ強制操作機構、及び、前記ステアリングハンドル強制操作部のそれぞれに対し、該それぞれの作動を制御する各指令信号を送信するものであることを特徴とする。 【0012】 請求項5に記載の考案にあっては、前記ステアリングハンドル強制操作部は、前記停止可能スペースを検知可能な停止可能スペース検知部を備えることを特徴とする。 【0013】 請求項6に記載の考案にあっては、前記緊急事態報知部は、前記車両のフロントウィンドウ又はリアウィンドウに緊急事態を報知する文字を表示すると共に、前記車両の屋根部に設けられた緊急表示灯を点灯させることを特徴とする。 【0014】 請求項7に記載の考案にあっては、前記運転不可状態検知部は、前記緊急信号を誤って発生させた場合において該緊急信号の発生を解除可能な解除部を備えることを特徴とする。 【考案の効果】 【0015】 請求項1に記載の考案によれば、運転不可状態検知部にて、運転者が車両を運転できない状態であることを検知し、緊急事態である旨の緊急信号を発生させる。この緊急信号に基づいて緊急事態対応制御部がステアリングハンドルの手動操作を無効にするとともに車両を停止させることが可能となる。 また、緊急信号に基づいて緊急事態報知部にて、車両の外部(自車両以外の車両の搭乗者や歩行者等)に対し、緊急事態である旨を報知する。これにより、車両の外部に緊急事態の発生や車両が停止することを理解させ易くなり、車両を安全に停止させることが可能となる。 さらに、緊急信号に基づいて位置情報通知部にて、消防、警察等の関連所轄機関に車両の位置情報を通知する。これにより、係る緊急事態に関連所轄機関が迅速に対処することが可能となる。 【0016】 請求項2に記載の考案によれば、運転者が車両を運転できない状態であることを運転者監視カメラ部が画像認識により検知することから、緊急事態において、より確実に緊急信号を発生させることが可能となる。 したがって、緊急信号に基づいて行われるステアリングハンドルの手動操作の無効化及び車両の停止、車両の外部に対する緊急事態である旨の報知、関連所轄機関に対する車両の位置情報の通知をより確実に行うことが可能となる。 【0017】 請求項3に記載の考案によれば、緊急停止ボタンのON操作により、緊急事態である旨を緊急事態対応制御部、緊急事態報知部、及び、位置情報通知部へ伝達することが可能となる。 したがって、ステアリングハンドルの手動操作の無効化及び車両の停止、車両の外部に対する緊急事態である旨の報知、関連所轄機関に対する車両の位置情報の通知をより確実に行うことが可能となる。 【0018】 請求項4に記載の考案によれば、緊急事態対応制御部が、緊急信号を受信したときの所定の緊急制御として、キルスイッチ機構、ブレーキ強制操作機構、及び、ステアリングハンドル強制操作機構のそれぞれに対し、それぞれの作動を制御する各指令信号を送信することから、各指令信号を受信したキルスイッチ機構、ブレーキ強制操作機構、及び、ステアリングハンドル強制操作部は、それぞれの作動を行う。これにより、キルスイッチ機構にてエンジンに供給される燃料又は電源が強制的に遮断される。また、ブレーキ強制操作機構にてブレーキ機構が作動する。さらに、ステアリングハンドル強制操作部にてステアリングハンドルの手動操作が無効になるとともに停止可能スペースに車両を移動させるように操舵される。 したがって、車両をより安全に停止させることが可能となる。 【0019】 請求項5に記載の考案によれば、停止可能スペース検知部にて車両を停止可能な停止可能スペースを検知することから、ステアリングハンドル強制操作部の作動時に、検知した停止可能スペースまで車両を移動させることが可能となる。 したがって、より確実に車両を安全に停止させることが可能となる。 【0020】 請求項6に記載の考案によれば、緊急事態報知部にて車両の外部の者の注意を惹き易い態様(車両のフロントウィンドウ又はリアウィンドウに緊急事態を報知する文字を表示するとともに、車両の屋根部に設けられた緊急表示灯を点灯させる)による報知を行うことから、緊急事態である旨や車両を停止させる旨等を車両の外部の者により理解させ易くすることが可能となるとともに、車両をより安全に停止させることが可能となる。 【0021】 請求項7に記載の考案によれば、仮に、緊急事態が生じていないにも関わらず緊急信号を誤って発生させた場合であっても、解除部を操作することにより緊急信号の誤発生を解除することが可能となる。 【図面の簡単な説明】 【0022】 【図1】図1は、本考案の一実施形態に係る車両制御構造20の構成を示す概略図である。 【図2】図2は、本考案の一実施形態に係る車両制御構造20が搭載される車両10の運転席を示す図である。 【図3】図3は、本考案の一実施形態に係る車両制御構造20が搭載される車両10を示す図であり、(a)は、車両10を前方から視た状態を部分的に示す図、(b)は、車両10を後方から視た状態を部分的に示す図である。 【図4】図4は、本考案の一実施形態に係る車両制御構造20の動作を示すフローチャートである。 【考案を実施するための形態】 【0023】 以下に図面を参照して、本考案の実施の形態について説明する。 【0024】 図1は、本考案の一実施形態に係る車両制御構造20の構成を示す概略図、図2は、本考案の一実施形態に係る車両制御構造20が搭載される車両10の運転席を示す図、図3は、本考案の一実施形態に係る車両制御構造20が搭載される車両10を示す図であり、(a)は、車両10を前方から視た状態を部分的に示す図、(b)は、車両10を後方から視た状態を部分的に示す図である。 【0025】 図1に図示する車両10は、本実施形態に係る車両制御構造20が搭載されるものであり、本実施形態においては、四輪の車両である。車両10は、車両制御構造20の他、エンジン11と、ブレーキ機構12と、ステアリング機構13と、GPS(Global Positioning System)14と、を備えている。上記各構成11〜14、及び、20は、CAN(Controller Area Network)等の通信手段によって信号伝達可能に互いに接続されている。以下、まず、車両10の上記各構成11〜14を説明し、しかる後、車両制御構造20について説明する。 【0026】 エンジン11は、車両10に駆動力を付与する装置であり、例えば、動力源、及び、変速機を含むものである。ブレーキ機構12は、車両10に制動力を付与するものであり、例えば、ブレーキロータにパッドを押し付けるブレーキキャリパと、ブレーキキャリパに油圧を供給する電動シリンダと、を含むものである。ステアリング機構13は、車輪の舵角を変えるためのものであり、ステアリングハンドル16と、例えば、車輪を転舵するラックアンドピニオン機構と、ラックアンドピニオン機構を駆動する電動モータと、を有するものである。GPS14は、車両10の位置認識機能を有し、車両10の位置情報を取得するものである。 【0027】 本実施形態では、エンジン11が「エンジン」に、ブレーキ機構12が「ブレーキ機構」に、ステアリング機構13が「ステアリング機構」に、GPS14が「GPS」に、それぞれ相当する。 【0028】 図1に図示するように、車両制御構造20は、運転不可状態検知部21と、緊急事態対応制御部22と、緊急事態報知部23と、位置情報通知部24と、キルスイッチ機構25と、ブレーキ強制操作機構26と、ステアリングハンドル強制操作部27と、を備えている。上記各構成22〜27は、CAN等の通信手段によって信号伝達可能に互いに接続されている。 【0029】 運転不可状態検知部21は、車両10の運転中に運転者が車両10を運転できない状態に至った場合(緊急事態が生じた場合)には、その旨を検知し緊急信号を発生させるものであり、運転者監視カメラ部28と、解除部29と、を備えている(図2参照)。 運転者監視カメラ部28は、運転者が、例えば、気を失う等、車両10を運転できない状態であることを画像認識により検知し、緊急事態対応制御部22へ運転者が車両を運転できない状態であることを通知するものであり、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。解除部29は、上記緊急信号を誤って発生させた場合において緊急信号の発生を解除するためのボタンであり、運転者本人又は同乗者が操作可能な箇所(例えば、ダッシュボード17の中央部)に配置されている。 【0030】 本実施形態では、運転不可状態検知部21が「運転不可状態検知部」に、運転者監視カメラ部28が「運転者監視カメラ部」に、解除部29が「解除部」に、それぞれ相当する。 【0031】 緊急事態対応制御部22は、運転不可状態検知部21にて発生させた緊急信号を受信可能であり、緊急信号を受信したとき、ステアリングハンドル16の手動操作を無効にするとともに車両10を停止させるように構成されている。緊急事態対応制御部22は、緊急停止操作機構30を有している。緊急停止操作機構30は、緊急停止ボタン31(図2参照)を有している。緊急停止ボタン31は、車両10の運転席側における運転者本人又は同乗者が操作可能な箇所(例えば、ダッシュボード17の中央部)に配置されている。 【0032】 緊急停止操作機構30は、緊急停止ボタン31が運転者本人又は同乗者によってON操作された場合には、その旨を指令信号として緊急事態報知部23、及び、位置情報通知部24へ伝達する。 【0033】 また、緊急事態対応制御部22は、緊急信号を受信したときの所定の緊急制御として、キルスイッチ機構25、ブレーキ強制操作機構26、及び、ステアリングハンドル強制操作部27のそれぞれに対し、当該各構成25〜27それぞれの作動を制御する各指令信号を送信するものである。 【0034】 本実施形態では、緊急事態対応制御部22が「緊急事態対応制御部」に、緊急停止操作機構30が「緊急停止操作機構」に、緊急停止ボタン31が「緊急停止ボタン」に、それぞれ相当する。 【0035】 緊急事態報知部23は、運転不可状態検知部21にて発生させた緊急信号を受信可能であり、緊急信号を受信したとき、車両10の外部に緊急事態である旨を報知するものである。緊急事態報知部23は、図3に示すように、車両10のフロントウィンドウ18又はリアウィンドウ19に緊急事態を報知する文字を表示可能であるとともに、車両10の屋根部に設けられた緊急表示灯32を点灯可能である。 緊急表示灯32は、通常時には車室内に配置され、緊急信号を受信した際には、適宜の駆動機構及び屋根の部分的開閉機構により車両10の屋根部から自動的に突出して点滅するように構成されている。 また、緊急事態報知部23は、警戒音発生装置36から警戒音を発生可能である。警戒音の発生は、後述するように車両10が停止可能スペースに停止した後、車両10のドアが外部から救助者等により開けられることにより解除される。 【0036】 緊急事態を報知する文字を表示可能な手段として、フロントウィンドウ18には、表示部33が、リアウィンドウ19には、表示部34が、それぞれ、設けられるものとする。表示部33、34は、詳細な説明を省略するが、通常は透明であると共に、通電することにより文字を表出するように構成された電光掲示ボードである。 【0037】 図3に示すように、表示部33、34には、車両10の外部に緊急事態である旨を報知する文字として、例えば、「助けて! HELP!」等の緊急事態を外部へ報知する、分かりやすい文字を表示する。 なお、フロントウィンドウ18に設けられる表示部33には、車両10の前方を走行する車両のルームミラーにて読解できるように、上記文字を左右反転させて表示される。 なお、表示部33には、前方車両のルームミラーにて読解できるように、上記文字を左右反転させて表示することが可能である。また、緊急時においては、上記文字を表示する際、クラクションを鳴らすとより早く前方車両に気付いてもらい易くなる。 【0038】 また、特に図示しないが、車両10を停止させる旨を車両10の外部の者に報知するため、上記文字に併記するように、例えば、次に示す文字を表示してもよいものとする。 「停車します。」 【0039】 表示部33、34には、上記文字の他、音声認識システムを用い、運転者や同乗者の発声を認識して、当該発声(メッセージ)を表示部33、34に文字で表示させることもできる。 【0040】 また、表示部33、34には、緊急時における表示の他、適宜、運転者に必要な情報を文字により表示するように構成することもできる。 例えば、車両10の前方を走行する車両におけるリア側のランプが切れている旨を当該前方車両に知らせたい場合は、フロントウィンドウ18の表示部33に、「後ろのランプが切れていますよ。」等の文字を表示することが可能である。 【0041】 また、車両10の後方を走行する車両に対し、車両10が、例えば、サービスエリア等に立ち寄る旨を知らせたい場合は、リアウィンドウ19の表示部34に、「次のサービスエリアに入ります。」等の文字を表示することが可能である。 【0042】 また、車両10の後方を走行する車両が、車間距離を極端に詰めてくる等の所謂「煽り運転」を行ってくる場合、煽り運転を行う車両に対し、当該行為を止めさせるとともに、外部に煽り運転の被害に遭っている旨を報知するため、例えば、「ごめんなさい、煽らないでください。」等の文字を表示することも可能である。 【0043】 音声認識システムを用いてメッセージを表示部33、34に文字で表示させたい場合、運転者が、前方表示ボタン37、後方表示ボタン38を操作(押下)することにより可能となる。前方表示ボタン37、後方表示ボタン38は、ステアリングハンドル16における運転者が把持する箇所付近に配置されている(図2参照)。 【0044】 本実施形態では、緊急事態報知部23が「緊急事態報知部」に、緊急表示灯32が「緊急表示灯」に、表示部33、34が「車両のフロントウィンドウ又はリアウィンドウに緊急事態を報知する文字を表示する」手段に、それぞれ相当する。 【0045】 位置情報通知部24は、運転不可状態検知部21にて発生させた緊急信号を受信可能であり、緊急信号を受信した場合に、消防、警察等の関連所轄機関に対し、GPS14にて取得した車両10の位置情報を通知するものである。 【0046】 本実施形態では、位置情報通知部24が「位置情報通知部」に相当する。 【0047】 キルスイッチ機構25、ブレーキ強制操作機構26、及び、ステアリングハンドル強制操作部27は、それぞれ、緊急事態対応制御部22にて送信された各指令信号を受信可能であり、各指令信号にて、それぞれ、作動が制御されるものである。 【0048】 キルスイッチ機構25は、指令信号を受信した場合に、車両10のエンジン11に供給される燃料又は電源を強制的に遮断可能とするものである。ブレーキ強制操作機構26は、指令信号を受信した場合に、車両10のブレーキ機構13を作動可能とするものである。具体的には、ブレーキ強制操作機構26は、緊急作動部(図示せず)を有し、緊急作動部にてブレーキ機構13をフル作動させる。 ステアリングハンドル強制操作部27は、指令信号を受信した場合に、ステアリングハンドル16の手動操作を無効にして本実施の形態に係る制御的操作のみを可能とするとともに走行路において車両10を停止可能な停止可能スペース(例えば、走行路における路側帯、路肩、車両退避スペース等)に車両10を徐々に移動させるように操舵可能とするものである。 ステアリングハンドル16の手動操作が無効にされることにより、仮に、運転者が気を失ってステアリングハンドル16にもたれ掛かっても、ステアリングハンドル16が誤操作されることが無い。また、このときの自動運転は、SAE J3016の定義に基づく「レベル4」の自動運転である。ステアリングハンドル強制操作部27は、停止可能スペースの情報を受信可能である。 【0049】 ステアリングハンドル強制操作部27は、停止可能スペースを検知可能な停止可能スペース検知部35を備えている。停止可能スペース検知部35は、画像認識により停止可能スペースを検知可能なカメラ(例えば、CCDやCMOS等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラ)又は赤外線レーザーを備え、停止可能スペースの情報をステアリングハンドル強制操作部27に送信するものである。 【0050】 本実施形態では、キルスイッチ機構25が「キルスイッチ機構」に、ブレーキ強制操作機構26が「ブレーキ強制操作機構」に、ステアリングハンドル強制操作部27が「ステアリングハンドル強制操作部」に、停止可能スペース検知部35が「停止可能スペース検知部」に、それぞれ相当する。 【0051】 図4は、本実施形態に係る車両制御構造20の動作を示すフローチャートである。図4は、車両制御構造20の動作をS1〜S9に示す。 【0052】 S1では、運転不可状態検知部21にて、車両10の運転中に運転者が車両10を運転できない状態(運転不可状態)に至ったか否かを検知する。その結果、運転者が運転不可状態に至った場合(S1:YES)は、S2へ進み、運転者が運転不可状態に至っていない場合(S1:NO)は、S1の動作を繰り返す。 【0053】 S2では、運転不可状態検知部21が緊急信号を発生させ、S3へ進む。 S3では、S2における緊急信号の発生に過誤が無い場合(S3:YES)は、S4へ進み、S2における緊急信号の発生に過誤がある(何らかの理由により緊急信号を誤発生させてしまった)場合(S3:NO)は、S5へ進む。 【0054】 S4では、緊急信号を受信した緊急事態対応制御部22が、キルスイッチ機構25、ブレーキ強制操作機構26、及び、ステアリングハンドル強制操作部27のそれぞれに対し、各指令信号を送信する。 【0055】 また、S4では、緊急信号を受信した緊急事態報知部23が、車両10の外部に緊急事態である旨を報知する。緊急事態である旨の報知手段としては、具体的には、緊急表示灯32の点灯、表示部33、34への緊急事態を報知する文字の表示、警戒音発生装置36による警戒音の発生が挙げられる。 【0056】 また、S4では、緊急信号を受信した位置情報通知部24が、消防、警察等の関連所轄機関に対し、GPS14にて取得した車両10の位置情報を通知する。 【0057】 S5では、解除部29を操作することにより、緊急信号の誤発生を解除し、S1の動作を繰り返す。 【0058】 S6では、S4において緊急事態対応制御部22から送信された指令信号を受信したキルスイッチ機構25が、車両10のエンジン11に供給される燃料又は電源を強制的に遮断する。 また、S6では、S4において緊急事態対応制御部22から送信された指令信号を受信したブレーキ強制操作機構26が、車両10のブレーキ機構13を作動させる。 また、S6では、S4において緊急事態対応制御部22から送信された指令信号を受信したステアリングハンドル強制操作部27が、ステアリングハンドル16の手動操作を無効にする。 【0059】 S7では、停止可能スペース検知部35にて、停止可能スペースを検知する。その結果、停止可能スペースを検知した場合(S7:YES)は、S8へ進み、停止可能スペースを検知しない場合(S7:NO)は、S7の動作を繰り返す。 【0060】 S8では、S7において検知された停止可能スペースに車両10を移動させる。 S9では、停止可能スペースに車両10を停止させる。停止可能スペースに停止した後、車両10のランプを点滅させる。 以上により、車両制御構造20の動作が終了する。 【0061】 本実施形態に係る車両制御構造20は、以上の構成を有し、以下に、本実施形態により得られる効果について説明する。 【0062】 本実施形態によれば、運転不可状態検知部21にて、運転者が車両10を運転できない状態であることを検知し、緊急事態である旨の緊急信号を発生させる。この緊急信号に基づいて緊急事態対応制御部22がステアリングハンドル16の手動操作を無効にするとともに車両10を停止させることが可能となる。 また、緊急信号に基づいて緊急事態報知部23にて、車両10の外部(車両10以外の車両の搭乗者や歩行者等)に対し、緊急事態である旨を報知する。これにより、車両10の外部に緊急事態の発生や車両10が停止することを理解させ易くなり、車両10を安全に停止させることが可能となる。 さらに、緊急信号に基づいて位置情報通知部24にて、消防、警察等の関連所轄機関に車両10の位置情報を通知する。これにより、係る緊急事態に関連所轄機関が迅速に対処することが可能となる。 【0063】 また、本実施形態によれば、運転者が、気を失う等、車両10を運転できない状態であることを運転者監視カメラ部28が画像認識により検知することから、緊急事態において、より確実に緊急信号を発生させることが可能となる。 したがって、緊急信号に基づいて行われるステアリングハンドル16の手動操作の無効化及び車両10の停止、車両10の外部に対する緊急事態である旨の報知、関連所轄機関に対する車両10の位置情報の通知をより確実に行うことが可能となる。 【0064】 また、本実施形態によれば、緊急停止ボタン31のON操作により、緊急事態である旨を緊急事態対応制御部22、緊急事態報知部23、及び、位置情報通知部24へ伝達することが可能となる。 したがって、ステアリングハンドル16の手動操作の無効化及び車両10の停止、車両10の外部に対する緊急事態である旨の報知、関連所轄機関に対する車両10の位置情報の通知をより確実に行うことが可能となる。 【0065】 また、本実施形態によれば、緊急事態対応制御部22が、緊急信号を受信したときの所定の緊急制御として、キルスイッチ機構25、ブレーキ強制操作機構26、及び、ステアリングハンドル強制操作部27それぞれに対し、それぞれの作動を制御する各指令信号を送信することから、各指令信号を受信したキルスイッチ機構25、ブレーキ強制操作機構26、及び、ステアリングハンドル強制操作部27は、それぞれの作動を行う。 これにより、キルスイッチ機構25にてエンジン11に供給される燃料又は電源が強制的に遮断される。また、ブレーキ強制操作機構26にてブレーキ機構12が作動する。さらに、ステアリングハンドル強制操作部27にてステアリングハンドル16の手動操作が無効になるとともに停止可能スペースに車両10を移動させるように操舵される。 したがって、車両10をより安全に停止させることが可能となる。 【0066】 また、本実施形態によれば、停止可能スペース検知部35にて車両10を停止可能な停止可能スペースを検知することから、ステアリングハンドル強制操作部27の作動時に、検知した停止可能スペースまで車両10を移動させることが可能となる。 したがって、より確実に車両10を安全に停止させることが可能となる。 【0067】 また、本実施形態によれば、緊急事態報知部23にて車両10の外部の者の注意を惹き易い態様(表示部33、34に緊急事態を報知する文字を表示するとともに、緊急表示灯32を点灯させる)による報知を行うことから、緊急事態である旨や車両10を停止させる旨等を車両10の外部の者により理解させ易くすることが可能となるとともに、車両10をより安全に停止させることが可能となる。 【0068】 また、本実施形態によれば、仮に、緊急事態が生じていないにも関わらず緊急信号を誤って発生させた場合であっても、解除部29を操作することにより緊急信号の誤発生を解除することが可能となる。 【0069】 以上の説明では、本実施形態に係る車両制御構造20を四輪の車両10に適用しているが、これに限らず、例えば、二輪や三輪等の車両に適用することも可能である。 【符号の説明】 【0070】 10…車両 11…エンジン 12…ブレーキ機構 13…ステアリング機構 14…GPS 16…ステアリングハンドル 17…ダッシュボード 18…フロントウィンドウ 19…リアウィンドウ 20…車両制御構造 21…運転不可状態検知部 22…緊急事態対応制御部 23…緊急事態報知部 24…位置情報通知部 25…キルスイッチ機構 26…ブレーキ強制操作機構 27…ステアリングハンドル強制操作部 28…運転者監視カメラ部 29…解除部 30…緊急停止操作機構 31…緊急停止ボタン 32…緊急停止灯 33、34…表示部 35…停止可能スペース検知部 36…警戒音発生装置 37…前方表示ボタン 38…後方表示ボタン |
私は大手カメラ・事務機メーカーに39年間勤務し、職場の効率アップに繋げる改善活動に従事してきました。定年退職を期に長年の改善経験と国家検定機械科特級技能士として、改善の目を社会に向け、この度の実用新案の申請に至りました。 車両制御構造 実用登録第 3235906 号 度重なる自動車事故を撲滅すべく、この実用新案を考えました。 車両の自動運転で最優先されるべきは、「まずは安全に停止出来ること」が第1で、安全に走れることはそれが達成された後でなくてはならないと思っています。 車両制御構造はそんな自動運転の際に安全に停止するプロセスを構築したものです。 又、交通事故で悲惨なものに、池袋で起きたような、アクセルとブレーキの踏み間違いによる暴走事故があります。 この件に関して、この悲惨な事故を何とか防げないものか?と車両用アクセルペダルの誤操作防止装置「実用登録第 3234153 号」並びに「実用登録第 3234185 号」を事故撲滅への熱い思いから考案致しました。 自動車メーカーの車作りに携わって居られる方々に、こちらの方も是非閲覧して頂き、事故の少ない車社会が構築さる事を願います。 今後も世のお役に立つような提案を行っていきますのでよろしくお願い致します。 |
【図1】 |
【図2】 |
【図3】 |
【図4】 |
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