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【発明の名称】クッション付き自転車 【出願人】 【識別番号】501339643 【氏名又は名称】北爪 康雄 【住所又は居所】東京都新宿区西早稲田3−15−10 【発明者】 【氏名】北爪 康雄 【住所又は居所】東京都新宿区西早稲田3−15−10 【代理人】 【識別番号】100097799 【弁理士】 【氏名又は名称】藤井 元泰 【要約】 【課題】自転車のフレームのサドル支持部分及びギャクランク取付け部に手を加えずに、後輪をフレームに弾性的に支持し得るようにする。 【解決手段】上部、下部にそれぞれサドル、ギャクランクが取付けられたサドル支持フレーム3に、一端に後輪が取付けられた後輪支持フレーム1の他端が揺動可能に取付けられ、サドル支持フレーム1のギャクランク取付部の下方延長部と後輪支持フレーム1との間にクッション部材が設けられている。クッション部材は、後輪支持フレーム1の後輪取付け側を下方に付勢するバネ2とするとよい。その場合、後輪支持フレーム1の所定以上の回動を規制するストッパー5を設けるとよい。 【特許請求の範囲】 【請求項1】上部、下部にそれぞれサドル、ギャクランクが取付けられたサドル支持フレームに、一端に後輪が取付けられた後輪支持フレームの他端が揺動可能に取付けられ、サドル支持フレームのギャクランク取付部の下方延長部と後輪支持フレームとの間にクッション部材が設けられているクッション付き自転車。 【請求項2】クッション部材が、後輪支持フレームの後輪取付け側を下方に付勢するバネである請求項1に記載のクッション付き自転車。 【請求項3】後輪支持フレームの所定以上の回動を規制するストッパーが設けられている請求項2に記載のクッション付き自転車。 【発明の詳細な説明】 【発明の属する技術分野】本発明は、後輪をフレームに弾性的に支持したクッション付き自転車に関するものである。 【従来の技術】後輪をフレームに弾性的に支持した自転車として、従来、図2に示すものが知られている。その自転車は、サドル20を支持するサドル支持フレーム21の下部を除去すると共に、筒体を三角形状に折り曲げて一体化した揺動フレーム22の前端を、ハンドルステム23に連なるフレーム24の下端に揺動可能に取付け、更に、その揺動フレーム22の水平部22aの前部、後端にそれぞれギャクランク25、後輪26を取付け、且つ、中間斜めフレーム27と揺動フレーム22との間にコイルバネ28を設けたものである。 【発明が解決しようとする課題】上記の自転車は、走行路面の凹凸に基づく後輪26の振動がコイルバネ28に吸収されてサドル20に直接伝わらず、乗り心地はよいが、揺動フレーム22を設けるためのスペースの関係上、体重の最もかかるサドル支持フレーム21の下部を除去しているので、耐久性に劣るばかりでなく、サドル固定軸の長さが限られることにより、サドル据付け高さの調節幅が狭い。また、ペダル29の付いたギャクランク25が揺動フレーム22に取付けられているので、走行路面の凹凸に基づく揺動フレーム22の振動がペダル29に直に伝わって足元ががたつき、ペダル29をこぎにくくしている。 本発明は、このような技術的な背景のもとに、上記問題点の解決を意図してなされたものであり、自転車のフレームのサドル支持部分及びギャクランク取付け部に手を加えずに、後輪をフレームに弾性的に支持し得るようにすることを目的としている。 【課題を解決するするための手段】本発明のクッション付き自転車は、上部、下部にそれぞれサドル、ギャクランクが取付けられたサドル支持フレーム3に、一端に後輪が取付けられた後輪支持フレーム1の他端が揺動可能に取付けられ、サドル支持フレーム1のギャクランク取付部の下方延長部と後輪支持フレーム1との間にクッション部材が設けられているものである。 クッション部材は、後輪支持フレーム1の後輪取付け側を下方に付勢するバネ2とするとよい。 その場合、後輪支持フレーム1の所定以上の回動を規制するストッパー5を設けるとよい。 【発明の実施の形態】図1を参照し、本発明のクッション付き自転車の実施形態について説明する。 この自転車は、構成部材の大部分が従来の一般的な自転車のそれと変わらず、次の改良を加えた点に特長がある。その改良点は以下の2点である。即ち、上部、下部にそれぞれサドル、ギャクランク(クランクピン嵌入孔3aに取付けられる)が取付けられたサドル支持フレーム3に、後輪の取付けられた後輪支持フレーム1を揺動可能に取付ける点と、後輪支持フレーム1とサドル支持フレーム3の下方延長部との間に、クッション部材としての圧縮コイルバネ2を設ける点である。以下、後輪支持フレーム1及び圧縮コイルバネ2の詳細な構成を中心に説明する。 後輪支持フレーム1は、鉄製であり、間に後輪(図示省略)入れて支持できるように、二股に形成されている。その主要部1aの縦断面は、曲げ強度を確保するために、薄い楕円形としてある。そして主要部1aは、ブロック状の基端部1bに、溶接により一体化されている。主要部1aの自由端1dは、プレス加工された板状体であり、その端部には、後輪の車軸4を受入れて支持可能とする切欠部1eが設けられている。図1に符号1fで示す部分は、補強のために一体化した部分である。 後輪支持フレーム1の基端部1bの端部には、後述する連結ボルト9を挿通可能とする孔を有する突部1cが一体的に形成されている。また、基端部1bの下側には、後輪支持フレーム1の下方への所定以上の回動を規制するストッパー5が突設されている。 このうよな後輪支持フレーム1には、更に、圧縮コイルバネ2の一方の力の作用点を形成するための2本のバネ力受容体6、6が取付けられている。そのバネ力作用体5は、鉄の棒を90°よりやや小さな角度で折り曲げ、一方を短く、他方を長くしたものである。その短い方の端部、長い方の端部は、後輪支持フレーム1の基端部1b、自由端1dに溶接によりそれぞれ一体化されている。そして、2本のバネ力受容体6、6の間には、補強のための鉄の棒7が溶接されている。また、それぞれのバネ力受容体6の屈曲部内側には、圧縮コイルバネ2の力が作用する一方の部材であるボルト8を挿通するための孔が穿設された受け部6aが設けられている。 バネ力受容体6及び補強棒7を一体化した後輪支持フレーム1は、連結ボルト9とナット10により、サドル支持フレーム3のクランクピン嵌入孔3aの後方に揺動可能に取付けられる。 次に、圧縮コイルバネ2の支持構造について説明する。先に、圧縮コイルバネ2の一方の力が作用する一方の部材が後輪支持フレーム1に一体化したバネ力受容体6の受け部6aの孔に挿通されるボルト8である旨説明したが、圧縮コイルバネ2のもう一方の力の作用する部材は、サドル支持フレーム3のギャクランク取付部の下方延長部である。以下、その構成を説明する。 サドル支持フレーム3のクランクピン嵌入孔3aの下方には、バネ受部3bが一体的に延設されている。そのバネ受部3bは、前方に開いた容器状となっているが、その底部には、次に述べるバネ支持体11の挿通を可能とし、振動を許容する大きめの孔3cが穿設されている。その孔3cを囲んだ内側(前方)には、圧縮コイルバネ2をがたつかないように収容するための環状の壁が形成されている(図では隠れて見えない)。 バネ支持体11の一端には、上記したボルト8を挿通可能とする孔を備えたバネ力作用部11aが一体化されており、他端には、雄ネジ部10bが形成されている。そのバネ力作用部11aの孔の内側には、接触部材相互の磨耗を軽減するための、鉄より幾分柔らかい金属(合金も含む)よりなる環状のメタルが嵌入されている(ベアリングでもよいが、小さくせざるをえず、壊れる恐れがある)。 このバネ支持体11は、サドル支持フレーム3のバネ受部3bの孔3cに挿通され、且つ、バネ力作用部11aの孔にボルト8が挿通された状態で、バネ力受容体6に揺動可能に取付けられる。ボルト8はナット13によりバネ力受容体6に固定されるが、その際、バネ力作用部11aの両側のバネ力受容体6との間に、ゴム製の短い筒体14が、スペーサーとしてセットされる。 圧縮コイルバネ2は、バネ鋼製であり、一例として次のようなものが用いられる。即ち、直径9mmの針金を直径45mmのコイルとし、そのセット前の自然状態の長さを76mmとする。 この圧縮コイルバネ2は、サドル支持フレーム3のバネ受部3bの孔3cに挿通され、バネ力受容体6に揺動可能に取付けられたバネ支持体11に、ゴム製の板体を環状に形成したパッキング15、16を前後に当てた状態で挿通される(図1(1)ではパッキング15はサドル支持フレーム3のバネ受部3bの中に隠れて見えない)。更に、バネ受板12をバネ支持体11に挿通し、2つのナット17、18で締めることにより、圧縮コイルバネ2のセットが完了する。その1つめのナット17は、圧縮コイルバネ2の圧縮程度を調節するためのものであり、2つめのナット18は、ナット17をゆるみなく固定するものである。 このように構成されたクッション付き自転車は、サドル支持フレーム3のバネ受部3bとバネ受板12との間に、圧縮コイルバネ2が圧縮された状態でセットされているので、圧縮コイルバネ2のバネ力は、サドル支持フレーム3とバネ受板12に作用する。バネ受板12に作用するバネ力は、バネ支持体11を介してボルト8、バネ力受容体6、後輪支持フレーム1へと伝わる。従って、圧縮コイルバネ2のバネ力は、サドル支持フレーム3のギャクランク取付部の下方延長部と後輪支持フレーム1に作用することになる。しかも、そのバネ力は、後輪支持フレーム1の後輪取付け側を下方に押し下げるように作用する(前記したストッパー5があるので、後輪支持フレーム1の回動は所定角度に規制される)。そのため、この自転車に乗って凹凸のある悪路を走行しても、後輪の振動は圧縮コイルバネ2に吸収されてサドルやペダルに直接伝わらないので、乗り心地、こぎ心地は良好である。 なお、本発明は実施形態にのみ限定されるものではなく、その本質から逸脱しない範囲で他の変形態様をとることができる。特に、クッション部材としての圧縮コイルバネに代えて、エアクッションやゴム製の円柱等を採用することもできる。その場合は、後輪支持フレーム2の後輪取付け側が下方に付勢されることはないので、ストッパー5は不要である。なお、図1(1)に符号19で示す部分は、ハンドルステムに連なるフレームである。 【発明の効果】以上説明したように本発明のクッション付き自転車は、走行路面の凹凸に基づく後輪の振動が吸収されてサドルに直接伝わらず、乗り心地が良好であることはもちろん、フレームのサドル支持部分及びギャクランク取付け部がそのまま存在する状態で、後輪をフレームに弾性的に支持できるようになったので、耐久性及びサドル据付け高さの調節幅も一般的な自転車と変わらない。また、走行路面の凹凸に基づく揺動がペダルに直接伝わらないので、凹凸のある走行路面でもこぎやすい。その上、部品点数が少なく構造が簡単であり、従来の自転車にほんの少し改良を加えることによって製造できるので、製造コストのアップ幅を小幅に抑えることができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】(1)は、本発明のクッション付き自転車の要部の斜視図であり、(2)は、その圧縮コイルバネ部分の斜視図である。 【図2】従来のクッション付き自転車の概略側面図である。 【符号の説明】1 後輪支持フレーム2 クッション部材としての圧縮コイルバネ3 サドル支持フレーム4 後輪の車軸5 ストッパー |
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【図1】 |
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【図2】 |
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