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【発明の名称】移動式搬送装置 【出願人】 【識別番号】506267983 【氏名又は名称】岡本 譲 【住所又は居所】大阪府大阪市城東区諏訪3丁目15−17 【発明者】 【氏名】岡本 譲 【住所又は居所】大阪市城東区諏訪3丁目15−17 【要約】 【課題】 打痕や傷痕がない金属物品を全数検査することなく出荷可能な移動式搬送装置を提供することを課題とするものである。 【解決手段】 段積みのパレット群L中の最下部に位置するパレットは搬送装置筐体10内の図6に示すパレット40の位置に移動され、第二受取部22およびホッパー311が図2に示す位置に設置され、金属物品Wは金属物品受取部20の第一受取部21中を通過して第二受取部22に受け取られ、次いでホッパー311中に移される。金属物品Wを保持したホッパー311は、仕切部材41にて仕切られた複数の区画を有するパレット40の未収用区画の直上に金属物品移送部30により移動せしめられ、そこで底部を開いて当該未収用区画内に金属物品Wを投下する。 【特許請求の範囲】 【請求項1】 金属物品を製造する金属物品製造機とは別体であって移動可能式の搬送装置筐体、上記搬送装置筐体内に設置されて上記金属物品を収容すると共に上記金属物品同士の接触を防止する接触防止手段を有する金属物品収容部、および上記金属物品製造機の金属物品排出部から排出される上記金属物品を受け取る金属物品受取部、上記金属物品受取部で受け取った金属物品を上記金属物品収容部に移送する金属物品移送部、を備えたことを特徴とする移動式搬送装置。 【請求項2】 上記金属物品受取部、金属物品移送部、および金属物品収容部は、上記金属物品と接触する個所が上記金属物品と接触しても上記金属物品の表面に傷付きが生じない軟質材料で形成されたことを特徴とする請求項1に記載の移動式搬送装置。 【請求項3】 上記接触防止手段は、上記金属物品を個別に仕切る仕切部材であり、上記金属物品収容部は、多段重ね可能な平底のパレットであることを特徴とする請求項1に記載の移動式搬送装置。 【請求項4】 上記金属物品受取部は、上記金属物品製造機における上記金属物品の排出方向に応じて上記搬送装置筐体との固定方向が可変であることを特徴とする請求項1に記載の移動式搬送装置。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 本発明は、移動式搬送装置に関し、詳しくは金属物品製造機にて製造された金属物品、例えば高周波同軸ケーブル用の真鍮製接続部品を受け取って他所に搬送する移動式搬送装置に関するものである。 【背景技術】 上記高周波同軸ケーブルの真鍮製接続部品は、その表面に僅かな傷があっても高周波同軸ケーブルの伝送性能に悪影響を及ぼす問題がある。従来、かかる金属物品は、当該金属物品を製造する製造部と製造された当該金属物品を収容する金属物品収容部とが一体となっている金属物品製造装置にて製造されてきた。しかしこの種の一体型の金属物品製造装置は、概して大型であるので特定の金属物品を大量生産する場合には好都合であるが、構造やサイズの異なる種々の金属物品を製造する場合には、製造対象物品が変わる度に必要個所の大幅な設計変更を余儀なくされる不都合があって、このためにその多くが単品の製造が専らであった。 大型金属物品製造装置の上記した不都合に鑑みて、最近では金属物品を製造する製造部と金属物品収容部とを切り離して、金属物品製造機にて製造された金属物品を受け取って、それを他所に搬送することを専門にする搬送装置が提案されている。例えば後記する特許文献1〜特許文献6に記載された技術がそうである。しかしそれらの技術のいずれでも、以下に説明するように、金属物品は互いに接触した状態で収容される問題がある。 即ち特許文献1では、その段落番号0020に記載されているように、ワーク11の所定量が一つのワーク収容箱7内に収容されるので、収容量が多くなるとワーク11同士は必然的に接触した状態となる。 特許文献2は、その段落番号0004に記載されているように、ばら積み時のワークの転がりを防止あるいは低減してワークを蓄積するものである。 特許文献3は、上記特許文献1の改良ではあっても、ワーク11の所定量が一つのワーク収容箱7内に収容されることには変わりはない。 特許文献4は、その段落番号0042に記載されているように、蓄積済みのワークWをワーク載置面77a上に逐次詰めながら蓄積するものであるので、詰めることにより蓄積済みのワークW同士はワーク載置面77a上で互いに接触する。 特許文献5は、その段落番号0007に記載されているように、ワーク3をボックス型パレット4に受け入れて、ばら積み収容するものである。 また特許文献6では、ワークWは、その段落番号0056に記載され、図1などに図示されているように、弾性部材58で付勢されている検知部材53により前方へ押動され、これにより蓄積済みのワークWは、前方へ詰められる。よってワークWは、前方へ詰められる際に互いに接触することになる。 特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献5では、ばら積みによる相互接触に基づくワークWの打痕や擦り傷などの傷痕を軽減するために、ワークWのばら積みの方法に工夫を凝らしたとはいえ、未だばら積みすことに変わりはなく、ばら積み状態におけるワークW同士の強い接触に基づき傷痕などが生じる。一方、特許文献4および特許文献6では、蓄積済みのワークWをワーク載置面上において逐次詰めながら蓄積するものであるので、上記のばら積みと比較して傷痕などの発生の頻度が低下することは事実である。しかし、詰めることにより多数のワークWが蓄積し、それによりワークW同士が接触する以上は、接触する際のワークWにかかる圧力は常に一定とは限らず、本発明者の経験によれば低頻度ではあっても打痕や傷痕が発生する。この結果、打痕や傷痕の無いワークを出荷するために全数検査が要求され、そのために人件費の増大、検査漏れした不良品の出荷に基づく信用度の低下などにより、結果的に工業的に実用できない問題がある。 特許文献1(特開平6−206624号公報) 特許文献2(特開平7−291447号公報) 特許文献3(特許第3113112号公報) 特許文献4(特開2000−272758号公報) 特許文献5(特許2755901号公報) 特許文献6(特開2003−201014号公報) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 本発明は、この業界における上記した問題を考慮し、打痕や傷痕がない金属物品を全数検査することなく安定して出荷可能な移動式搬送装置を提供することを課題とするものである。 【課題を解決するための手段】 本発明の請求項1に係る移動式搬送装置は、金属物品を製造する金属物品製造機とは別体であって移動可能式の搬送装置筐体、上記搬送装置筐体内に設置されて上記金属物品を収容すると共に上記金属物品同士の接触を防止する接触防止手段を有する金属物品収容部、および上記金属物品製造機の金属物品排出部から排出される上記金属物品を受け取る金属物品受取部、上記金属物品受取部で受け取った金属物品を上記金属物品収容部に移送する金属物品移送部、を備えたものである。 本発明の請求項2に係る移動式搬送装置は、請求項1において、上記金属物品受取部、金属物品移送部、および金属物品収容部は、上記金属物品と接触する個所が上記金属物品と接触しても上記金属物品の表面に傷付きが生じない軟質材料で形成されたものである。 本発明の請求項3に係る移動式搬送装置は、請求項1において、上記接触防止手段は、上記金属物品を個別に仕切る仕切部材であり、上記金属物品収容部は、多段重ね可能な平底のパレットである。 本発明の請求項4に係る移動式搬送装置は、請求項1において、上記金属物品受取部は、上記金属物品製造機における上記金属物品の排出方向に応じて上記搬送装置筐体との固定方向が可変なものである。 【発明の効果】 本発明の請求項1に係る移動式搬送装置では、搬送装置筐体、金属物品収容部、および金属物品移送部から構成されており、上記金属物品収容部は上記搬送装置筐体内に設置されて上記金属物品を収容すると共に上記金属物品同士の接触を防止する接触防止手段を有するので、特許文献1などの移動式搬送装置におけるような金属物品のばら積み、あるいは特許文献6などの移動式搬送装置におけるようなワーク載置面上における詰めながらの蓄積などのような金属物品同士の接触が全く生じないので、打痕や傷痕による金属物品同士の接触に基づく傷付きが生じない。 本発明の請求項2に係る移動式搬送装置では、上記金属物品受取部、金属物品移送部、および金属物品収容部は、上記金属物品と接触する個所が上記金属物品と接触しても上記金属物品の表面に傷付きが生じない軟質材料で形成されているので、金属物品製造機から排出された金属物品を受け取ってから金属物品収容部に収容されるまでの移送の間、および当該金属物品収容部内に収容されている間において、落下や転がりにて他物と接触しても傷付きが生じない。 本発明の請求項3に係る移動式搬送装置では、上記接触防止手段は、上記金属物品を個別に仕切ることができる仕切部材であるので、金属物品は、当該仕切りにて他の金属物品と接触することなく収容・保管される。また金属物品収容部は、多段重ね可能な平底パレットであると、上記搬送装置筐体内に多数個の平底パレットをコンパクトに収容可能となる。 本発明の請求項4に係る移動式搬送装置では、上記金属物品受取部は、上記金属物品製造機における上記金属物品の排出方向に応じて上記搬送装置筐体との固定方向が可変なものであるので、従来から稼動されている種々の金属物品製造機や最新の金属物品製造機などから金属物品を受け取ることが可能であるので、それら金属物品製造機の金属物品排出部の排出方向を変更しなくてよい利点がある。 【発明を実施するための最良の形態】 実施の形態 図1〜図8は、本発明の実施の形態を説明するものであって、図1は本発明の移動式搬送装置全体の外観斜視図であり、図2は図1に含まれている一部分の斜視図であり、図3は図2の当該一部分の組み立て構造を説明する斜視図であり、図4は図2中の一部の詳細斜視図であり、図5は図2中の他の一部の詳細斜視図であり、図6は図1に含まれている他の部分の斜視図であり、図7は図1に含まれているさらに他の部分の斜視図であり、図8は図1に含まれているさらに他の部分の斜視図である。なお図1〜図8においては、図の煩雑さによる理解困難を回避するために、本来含まれている部分の図示を省略し、省略部分は説明によって補うか、あるいは他図において省略部分の存在を説明する。 図1〜図8において、本発明の移動式搬送装置は、大別して搬送装置筐体10、金属物品受取部20、金属物品移送部30、前記金属物品収容部の例としての平底のパレット40、および中央演算装置(図示せず)を含む制御装置50とから構成されている。以下では、先ず実施の形態の詳細構造を説明し、ついで当該構造に基づいて実施の形態の動作に付き説明する。図1において、搬送装置筐体10は、天井面、底面、および4側面を有する立方体であって、4本の縦方向支柱11および16本の横方向支柱12、上記計6面に張られた板体13、上記底面の1部外面に張られた鉄板14、および鉄板14の下面に固定された4個の移動用車輪15から構成されている。 支柱11および横方向支柱12は、ステンレス、鉄、木材、あるいはその他の構造材製であってよい。板体13は、アクリル樹脂、ガラスなどの透明材、あるいは木材などの不透明材であってよいが、透明材であると搬送装置筐体10内の後記する部品や装置の稼動状態が外部から目視観察が可能となる利点がある。また4個の移動用車輪15を有するので、移動可能である。なお図1には、後記するチャッカー31が2個記載されているが、本実施の形態においては、チャッカー31は1個しか使用されておらず、2個の記載は1個のチャッカー31の搬送装置筐体10内での移動状況を示すものである。このことは、後記の図7においても同様である。 金属物品受取部20は、図1に示すように搬送装置筐体10の外面に設けられており、図2〜図5にその詳細構造を示す。金属物品受取部20は、第一受取部21、第二受取部22、受取センサ23、Z字状の第一固定板24、平板状の第二固定板25、および平板状の第三固定板26から構成されている。第三固定板26はボルト−ナット261にて搬送装置筐体10の前記した横方向支柱の一つに固定されており、第二固定板25はボルト−ナット251にて第三固定板26に固定されており、第一固定板24はボルト−ナット241にて第二固定板25に固定されている。 第一受取部21は、図示するように樋状のものであって適度の角度で傾斜しており、その上側端は前記した金属物品製造機(図示せず)の金属物品排出部に当てがわれ、その下側端がその裏側、即ち下側から第一固定板24にボルト−ナット(図示せず)にて固定されている。但し、当該ボルトの先端部が第一受取部21の内底面より上に出ると、金属物品Wの後記する通過を阻害するので、当該ボルトとしては上記内底面より上に出ない短尺のものが用いられる。上記の傾斜角度は、特に制限はなく、要はその内底面上を金属物品Wが適度の速度で通過し易いように設定すればよい。換言すると所謂シューターとしての機能を有すればよく、傾斜角度は、例えば水平面に対して10度〜40度であり、金属物品Wが転がり通過する場合にはもう少し低傾斜、例えば5度〜30度であってもよい。 第二受取部22は、受取箱221、伸縮部材222、および一対の支柱223から構成されている。受取箱221は、底板221a、3面の側壁221b〜221d、および底板221aの下面に固定されて伸縮部材222を接続するための孔明き板221e(図4参照)から構成されている。一対の支柱223は、第二固定板25上に固定されていて、受取箱221は、その側壁221cと221dとを介して一対の支柱223に設けられた短尺の回転軸223aに矢印ABの方向に回転可能なように取り付けられている。受取箱221の上記回転は、伸縮部材222の伸縮によって生じる。即ち受取箱221は、伸縮部材222が縮状態から伸状態に移行すると、A→Bの方向に回転し、反対方向に移行すると上記とは逆方向に回転する。図4では、伸縮部材222が縮状態にあって、その場合の受取箱221の位置を実線で示し、伸縮部材222が伸状態に移行して受取箱221が水平状態となった場合、および受取箱221が実線状態とは逆に傾斜した場合の二状態をそれぞれ点線で示す。 伸縮部材222は、外套と当該外套内に設置されて当該外套内をスライド可能な内棒体とからなる伸縮本体部222aと当該内棒体の先端に固定された孔明き接続部222bとから構成されている。孔明き接続部222bは、図4に示すように、上記した孔明き板221eと双方の明き孔を利用して適当な接続部材にて受取箱221が上記した回転が可能なように接続されており、伸縮本体部222aは、その外部が図示しない支持体にて第二固定板25の裏面に伸縮と孔明き接続部222bの移動が可能なように保持されている。なお伸縮部材222の上半部は、図4に示すように、第二固定板25に明けられた孔を貫通して孔明き板221eと接続されているが、図2では図の煩雑さを回避するために、その上半部の図示を省略している。 受取センサ23は、一対のセンサ部分23、23からなり、それらは第一受取部21の第二受取部22に近い側の側壁に設置されている。両センサ部分23、23は、互いに同形同構造であるので、一方のセンサ部分に就いて図2および図3により説明する。センサ部分23は、V字状の細い針金あるいは薄い金属板からなる接触部231を有するセンシング部232と本体部233とからなる。センシング部232は、接触部231が他物と接触したことを本体部233に伝達し、本体部233はセンシング部232から伝達された情報を信号に変換して制御装置50の中央演算装置(図示せず)に発信する機能をなす。本体部233は、その底面が第一固定板24に、その側面が第一受取部21の外側面に、それぞれ固定されている。センシング部232は、本体部233の上で且つその側面が第一受取部21の外側面に固定されており、接触部231は、図2に示すように、第一受取部21の側壁に設けられた孔を貫通して第一受取部21内の金属物品通過路内に達している。一方のセンサ部分23の接触部231も同様である。 図1〜図4では、第一受取部21は、同図上での左側で金属物品を受取って、その右側に位置する第二受取部22にそれを移すように設置されていたが、図5の実線で示す第一受取部21と第二受取部22とは、図1〜図4の場合とは反対に、同図上での右側で金属物品を受取って、左側に移すように設置されている。かかる設置位置の変更は、第三固定板26への第二固定板25の固定方向を図示するように単に変更するだけで可能である。さらに図5において第一受取部21のみを点線で示すように、第三固定板26への第二固定板25の固定方向を変更するだけで、搬送装置筐体10(図1参照)の左右側からではなしに、搬送装置筐体10の正面から搬送装置筐体10に向かって金属物品を受取り可能なように第一受取部21と第二受取部22とを設置することも可能である。第二固定板25の第三固定板26への上記した固定方向の変更は、第二固定板25および第三固定板26に図2、図5に示すように多数のボルト差込孔を設けことにより達成される。その際、第二固定板25と第三固定板26との双方に、ボルト差込孔をマトリックス状に設けることにより上記した設置位置の変更が可能である。 金属物品移送部30は、図6および図7に示すように、チャッカー31およびチャッカー移動装置32とから構成されている。チャッカー31は、ホッパー311、ホッパー開閉シリンダ312、ホッパー311とホッパー開閉シリンダ312とを接続してホッパー311の底面の開閉に関与するホッパー開閉リンク313、ホッパー上下シリンダ314、被移動体315、および接続体316とから構成されている。なお図7では、チャッカー31が3つ示されているが、それは一つのチャッカー31の移動の様子を示すに過ぎない。また後記する板体322も2つ示されているが、それは一つの板体322の移動の様子を示すに過ぎない。 被移動体315は、後記する条状突起323を跨ぐ被移動本体315a、条状突起323上に設置された棒状歯車324(図7参照)と噛み合う歯車315b(図示せず)、および被移動本体315aの上面に固定された方形の平板体315cとから構成されている。ホッパー上下シリンダ314は、シリンダ本体314a、シリンダ本体314aから下方に延びた2本の棒体314b、および棒体314bを支持する土台314cから構成されていて、シリンダ本体314aは、その図中での裏面において上記平板体315cに固定されている。接続体316は、垂直板体316a、垂直板体316aに固定された2本の平板体316a、および垂直板体316aと土台314cとに固定された平板体316cとから構成されている。 ホッパー開閉シリンダ312は、垂直板体316aに固定されており、ホッパー311は、ホッパー開閉リンク313および2本の平板体316bに固定されている。上記した構成により、即ちシリンダ本体314aは被移動体315に固定され、一方、土台314cは、平板体316cを介して垂直板体316aに固定されているので、シリンダ本体314aの2本の棒体314bが、図1におけるように下方向に延び出すと、垂直板体316aに固定されたホッパー開閉シリンダ312やホッパー311も下方向に移動する。逆に、棒体314bがシリンダ本体314a内に収容されるように移動すると、ホッパー311などは上方向に移動する。即ちホッパー311やホッパー開閉シリンダ312などは、棒体314bの伸縮により、矢印C−Dの方向に上下する。 ホッパー311は、ホッパー開閉シリンダ312によってその底部が矢印E−Fの方向に動いて開閉可能であって、点線は底部が開いた状態を示す。その際、ホッパー開閉リンク313は、上記矢印E−F方向の移動に関与する。即ちホッパー開閉リンク313には、図示するように横方向に延びる細長いガイド孔が設けられており、一方、ホッパー311の開閉部分の両先端(ホッパー311が閉じた状態での底に近い個所)近傍の両壁内には、それぞれホッパー開閉用の支持棒(図示せず)が埋め込まれており、当該両支持棒の端部は、上記ガイド孔を貫通してホッパー開閉シリンダ312に接続されている。そしてホッパー311を図6の点線に示すように開く場合には、ホッパー開閉シリンダ312によって当該両支持棒は、上記ガイド孔内を互いに離れて行くように左右に移動せしめられ、それによりホッパー311は開かれる。ホッパー311を締める場合には、上記とは逆方向に移動せしめられる。 チャッカー移動装置32は、図1、図6および図7において、搬送装置筐体10の下から2番目の左右2本の横方向支柱12の各上に設けられた2本のレール321、2本のレール321上に架けられた板体322、板体322上に設けられた条状突起323、条状突起323上に設置された棒状歯車324、板体322をレール321上で矢印G−Hの方向に移動させる移動装置325、棒状歯車324を回転させて被移動体315を矢印J−Kの方向に移動させる移動装置326から構成されている。 移動装置325は、一方のレール321の下方に設置された棒状歯車325a、棒状歯車325aを回転させるタイミングベルトを有する回転装置325b、板体322の下面に固定された歯車支持板325c、および歯車支持板325cに固定されて棒状歯車325aと噛み合う歯車部を有する歯車板体325dとから構成されている。棒状歯車325aの回転により歯車板体325dを介して板体322に伝達されて、板体322は、矢印G−Hの方向に移動可能となっている。かくして板体322上のチャッカー31は、移動装置325と移動装置326とにより、矢印G−Hと矢印J−Kの両方向に移動可能となっている。 平底のパレット40は、図7および図8に示すように、その複数個を互いに上下に段積み(図8では7段積み)が可能な有底状のものであって、図8に概略的に示す搬送装置筐体10内に設置されて、金属物品Wを収容すると共に金属物品W同士の接触を防止する接触防止手段としての仕切部材41を有する。仕切部材41は、金属物品Wをマトリックス状に収容可能なようにパレット40内を碁盤目状に仕切る(図7では、4×9の36区画に仕切る。)ものであり、且つパレット40が金属物品Wを収容した状態において金属物品Wに接触することなく段積みし得る仕切り高さを有する。例えば金属物品Wが、長さ5cm程度で外径が3cm程度の物品である場合、パレット40の側壁の高さは8cm程度で、仕切り部材41の高さは5cm程度、段積時でのパレット40同士の重なり深さは2cm弱程度である。 図8において、符号Lおよび符号Mは、それぞれ搬送装置筐体10内の上部に収容された空パレット40の群および搬送装置筐体10内の下部に位置して金属物品Wを収容し終えたパレット40の群を示し、符号Nは、パレット群Mを搬送装置筐体10内から外部に取り出したパレット群を示す。パレット群Lおよびパレット群Mは、搬送装置筐体10内においては、断面がL字型の各4本(図8では各一本のみを図示する。)の枠材に囲まれた空間内に保持されている。 搬送装置筐体10内の上部には、パレット群Lを保持すると共に、それらの最下部に位置するパレット40を図7に示されているパレット40の位置に移動させる保持・移動装置(図示せず)を有する。当該保持・移動装置は、例えば各パレット40の鍔の下に位置して出入動および上下動が可能な複数のパレット支持爪であって、前記中央演算装置からの指示があると、最下部に位置するパレットを支持する複数の上記パレット支持爪のみが降下し、それにて当該パレットは、図7に示されている位置に設置される。当該パレット40が、金属物品Wで満杯となると、搬送装置筐体10内でさらに下部に移動され、一方、パレット群Lの新たな最下部に位置するパレット40が上記と同様にして金属物品Wで満杯とされ、搬送装置筐体10内でさらに下部に移動され、かくしてパレット群Mが形成され、次いで搬送装置筐体10から出されてパレット群Nが得られる。 金属物品製造機で製造された金属物品Wは、金属物品受取部20からパレット40に至るまでの間に、第一受取部21の底面と両側壁の内面、受取箱221の底面と両側壁の内面、ホッパー311の全内部面、パレット40の底面、および仕切り部材41の全面と直接接触する可能性がある。それらの面が硬質の材料で形成されていると、接触時に打痕や傷痕が金属物品Wの表面に生じる可能性があるので、本発明では、それら直接接触可能面の全部は、軟質材にて形成される。ここに当該軟質材としては、要は金属物品Wが本発明の移動式搬送装置内を移動中に生じる落下に基づく直接接触可能面との衝突や擦れ合いによっても金属物品Wに上記打痕や傷痕が生じない軟質性を意味する。 かかる軟質性を有する材料は、金属物品Wの形成金属や構造が決定されれば、それは実験により試行錯誤的に決定することができるが、いま金属物品Wが、切削加工物品、例えば銅−錫二元合金、銅−亜鉛二元合金、銅−アルミニウム二元合金などの銅基合金からなる切削加工物品である場合には、例えばナイロンなどのポリアミド類、ポリエチレンなどのポリオレフィン類、木材などの軟質有機材料が例示される。あるいは通常は硬質であっても、発泡によりクッション性が付与されたもの、軟化剤の混合により軟化された硬質有機材料であってもよい。さらには、有機繊維や無機繊維からなるクッション性マットやシートであってもよい。 本発明において、上記した直接接触可能面を形成する個所の全部を上記軟質材にて形成してもよく、上記個所の表面層のみを適当な厚みを有する軟質材にて形成してもよい。なお金属物品Wは、センサ部分23と直接接触するが、それは前記したようにV字状の細い針金あるいは薄い金属板から構成されていて弾力性があって、金属物品Wと接触した際に自体が一時的に変形するので、実際上、金属物品Wに打痕などを生ぜしめる問題はないが、万一打痕などを生ぜしめる場合には、一層弾力性に富んだものと交換するとよい。 以上、実施の形態の構成および構造を説明したので、次にそれらの動作に付き説明する。先ず、本発明の移動式搬送装置を金属物品製造装置(図示せず)の傍まで移動させ、次いで第一受取部21の上側端を当該金属物品製造装置から排出される金属物品を確実に受取れる位置に設置する。その際に図5で説明したように、必要に応じて金属物品受取部20の搬送装置筐体10に対する取付方向を変更する。かく準備が整った後において、金属物品製造装置から排出された金属物品Wが第一受取部21中を通過すると、その通過が受取センサ23によりキャッチされ、そのことが中央演算装置に発信される。この情報を得た中央演算装置からは、本発明の各部に伝達指令され、指令された当該各部は、以下に説明する操作あるいは運転を自動的に且つ互いに連携して行う。 即ち、搬送装置筐体10内の図8に示すパレット群L中の最下部に位置するパレット40は、図7に示されているパレット40の位置に移動され、伸縮部材222は、図4に示すように伸縮部材222を縮状態として受取箱221を実線で示す位置にセットされる。かくすると金属物品Wは、第一受取部21内を通過してその下側端から排出されて受取箱221に受け取られる。 さらにホッパー上下シリンダ314が作動して、棒体314bを伸ばしてチャッカー31を下方に押しさげて(図1に示す状態)、ホッパー311が図1および図2に示す位置、即ちホッパー311の開口部が受取箱221の底面221aより少し下となる位置にセットされる。かくすると受取箱221内に受け取られた金属物品Wは、受取箱221を図4に示すように矢印Bの方向に回転して最傾斜した点線位置とすることにより金ホッパー311内に投入される。 ホッパー311が金属物品Wを受け取ると、ホッパー上下シリンダ314の作動により棒体314bが図6および図7に示すように縮められ、それによりチャッカー31は、ホッパー311と共に上方に押し上げられ、次いでチャッカー移動装置32により板体322を介して矢印G−Hの方向および矢印J−Kの方向に移動せしめられて、ホッパー311が仕切部材41で仕切られたパレット40の区画(図7では、4×9の36区画に仕切られている。)中の未収容区画の直上に齎らされる。次いでホッパー311は、ホッパー開閉シリンダ312により図4の点線で示すように開かれ、金属物品Wが上記の未収容区画内に落とされる。かかる操作を未収容区画の全部に就き行い、パレット40が満杯となると、そのパレットは図8のパレット群M中に加えられる。かかる操作をパレット群L中の全パレット40に対して行ってパレット群M得られ、次いでそれはパレット群Nとされる。 なお本発明においては、通常、受取箱221内の金属物品Wをパレット40内に収容する収容速度は、金属物品製造装置からの金属物品Wの排出速度と同調するように上記両速度が調整されるが、場合によっては上記排出速度が上記収容速度より早くなることがある。その折には上記両速度の同調作業がなされるが、その間、受取箱221は、複数個の金属物品Wの一時的貯蔵部として機能する。勿論その間、受取箱221内の複数個の金属物品Wは、必要に応じてポリエチレンなどの適当な軟質材にて相互接触が回避される。 【産業上の利用分野】 本発明は、一般的に打痕や傷痕を受けやすい切削加工された金属物品の搬送用として利用される可能性が高い。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の移動式搬送装置全体の外観斜視図である。 【図2】 図1に含まれている一部分の斜視図である。 【図3】 図2の一部分の組み立て構造を説明する斜視図である。 【図4】 図2中の一部の詳細斜視図である。 【図5】 図2中の他の一部の詳細斜視図である。 【図6】 図1に含まれている他の部分の斜視図である。 【図7】 図1に含まれているさらに他の部分の斜視図である。 【図8】 図1に含まれているさらに他の部分の斜視図である。 【符号の説明】 10 搬送装置筐体 20 金属物品受取部 21 第一受取部 22 第二受取部 23 受取センサ 30 金属物品移送部 31 チャッカー 311 ホッパー 312 ホッパー開閉シリンダ312 314 ホッパー上下シリンダ 32 チャッカー移動装置 325 移動装置 326 移動装置 40 パレット 41 仕切部材。 |
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【図1】 |
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【図2】 |
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【図3】 |
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【図4】 |
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【図5】 |
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【図6】 |
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【図7】 |
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【図8】 |
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