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農水産
 
【発明の名称】鎌収納ケース
【特許権者】
【識別番号】318017947
【氏名又は名称】西口 義明
【住所又は居所】奈良県桜井市笠146番地
【代理人】
【識別番号】100137121
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 俊材
【代理人】
【識別番号】100137121
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 俊材
【発明者】
【氏名】西口 義明
【住所又は居所】奈良県桜井市笠146番地
【要約】
【課題】腰の後部ベルトに挿したままで鎌の着脱操作をワンタッチで行うことができ、且つ鎌の刃の峰部をつまんで鎌を出し入れすることで出し入れ時に背中を傷つけることもない鎌収納ケースを提供する。
【解決手段】鎌の刃体部を収納する刃収納部と、鎌の柄部を収納する柄収納部とを備え、刃収納部はその長手方向に交差する断面が略U字形状であり、略U字形状における長手方向の片側側面は、上側開口の内側に向けて、収納される鎌の刃体部峰側の先端側略半部を覆う態様で板状突起部を備え、柄収納部は、その長手方向に交差する断面が円筒形状であり、円筒形状の内側であって刃収納部における前記板状突起部を備える前記片側側面が柄収納部に接合する位置の近傍に板バネを備える、鎌収納ケース。
【選択図】図1
選択図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鎌の刃体部を収納する刃収納部と、鎌の柄部を収納する柄収納部とを備える鎌収納ケースであって、
前記刃収納部はその長手方向に交差する断面が略U字形状であり、前記略U字形状における長手方向の片側側面は、上側開口の内側に向けて、収納される鎌の刃体部峰側の先端側略半部を覆う態様で板状突起部を備え、
前記柄収納部は、その長手方向に交差する断面が円筒形状であり、円筒形状の内側であって刃収納部における前記板状突起部を備える前記片側側面が柄収納部に接合する位置の近傍に、板バネを備える、
ことを特徴とする鎌収納ケース。
【請求項2】
前記刃収納部において、前記板状突起部を備える前記片側側面は、長手方向の略中央部に略半円状の切欠部を有する、請求項1に記載の鎌収納ケース。
【請求項3】
前記柄収納部は、前記円筒形状の外側であって長手方向の中央部近傍に、突起部を備える、請求項1又は2に記載の鎌収納ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業等用の鎌を簡便に且つ安全に出し入れ可能にする鎌収納ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
鎌は従来から、農作業、山林作業、草地の清掃作業等に用いるため、鎌を携行する人のズボン腰ベルト後方中央付近で右側(左利きの人は左側)を刃の部分にして斜め15度程度に挿して作業に携行することができ、必要時には鎌を取り出して使用することができるので、便利であった。
【0003】
鎌は例えば、草刈り機等で刈りきれなかった角地の草や木に巻きついたつる草などを除去するために、作業中の毒蛇(マムシ等)やムカデ等の駆除や自身の保身用のために、紐などでの縛り付け作業の時の紐の切断のために、肥料や農薬などの袋の開封作業のために、草引き作業中に根が硬くて刈り取りしか出来ない笹などの刈り取りのために、農作物や果樹や山菜等の採取のために、農耕機などに巻き付いた草やつる等の除去のために、用いられてきた。
【0004】
しかし、鎌はその特徴的な形状のため、刃が露出したままで携行することは、作業中に装着位置がずれた場合は自分の体(特に右手)のみならず他の人に接近した場合にも危険が生じる点で、作業に専念して鎌が脱落しても気づかない時に危険である点で、鎌を装着した状態で農耕機や車に乗れば座席を破損することがある点で、多くの危険を生じさせてきた。また、鎌を単体で保管する場所によっては危険が生じ劣化も早まるという不具合も生じさせてきた。
【0005】
そのため、これらの危険あるいは不具合を改善するべく、鎌の刃部のみを覆う安全カバーや、鎌の刃部と柄部を覆う安全ケースが提案されてきた。例えば、鎌の刃部のみを覆う安全カバーとして、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4及び特許文献5では、それぞれ、鎌の刃部を覆うカバーが柄に付いた鎌、鎌の刃部にカバーを装着する鎌のカバー体、鎌の刃部に鞘を装着する鎌携帯用の鞘、鎌の刃部を覆う保持ケースを基台に設置する鎌ホルダー、及び鎌の刃部をホルダの溝開口を通して出し入れする鎌用ホルダが提案されている。しかし、これらの安全カバーは、鎌を着脱する操作にある程度の時間が必要であり、また着脱操作が面倒でもある。特に、特許文献2のカバー体や特許文献3の鞘は、作業地に放置するか又は持ったまま作業する必要がある。また、特許文献4の鎌ホルダーや特許文献5の鎌用ホルダは、機構が複雑であるため、鎌の着脱にかなりの時間を要するだけでなく、安価に製造することが困難である。
【0006】
また、鎌の刃部と柄部を覆う安全ケースとしては、例えば、特許文献6及び特許文献7では、それぞれ、鎌の刃部と柄部を収める携帯用安全ケース、及び鎌の刃部と柄部を収めるL型収納袋が提案されている。しかし、何れも、鎌の柄部を持って鎌を出し入れするため、出し入れ時に鎌の刃により背中を傷つけてしまう危険性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】 実開平4−80313号公報
【特許文献2】 特開2006−149347号公報
【特許文献3】 実用新案登録第3147088号公報
【特許文献4】 特許第5470017号公報
【特許文献5】 実用新案登録第3216086号公報
【特許文献6】 実用新案登録第3058430号公報
【特許文献7】 特開2003−125624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、腰の後部ベルトに挿したままで鎌の着脱操作をワンタッチで行うことができ、且つ鎌の刃の峰部をつまんで鎌を出し入れすることで出し入れ時に背中を傷つけることもない鎌収納ケースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る鎌収納ケースは、鎌の刃体部を収納する刃収納部と、鎌の柄部を収納する柄収納部とを備えること、前記刃収納部はその長手方向に交差する断面が略U字形状であり、前記略U字形状における長手方向の片側側面は、上側開口の内側に向けて、収納される鎌の刃体部峰側の先端側略半部を覆う態様で板状突起部を備えること、及び、前記柄収納部は、その長手方向に交差する断面が円筒形状であり、円筒形状の内側であって刃収納部における前記板状突起部を備える前記片側側面が柄収納部に接合する位置の近傍に板バネを備えること、を特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る鎌収納ケースは、前記刃収納部において、前記板状突起部を備える前記片側側面は、長手方向の略中央部に略半円状の切欠部を有することが好ましい。
【0011】
さらに、本発明に係る鎌収納ケースにおいて、前記柄収納部は、前記円筒形状の外側であって長手方向の中央部近傍に、突起部を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る鎌収納ケースによれば、腰の後部ベルトに挿したままで、鎌の着脱操作をワンタッチで行うことができ、且つ鎌の刃の峰部をつまんで鎌を出し入れするため出し入れ時に背中を傷つけることがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明に係る鎌収納ケースの一実施形態を主として正面側から見た斜視図である。
【図2】図2は、刃収納部における板状突起部と柄収納部における板バネが後方に来るように見た、本発明に係る鎌収納ケースの一実施形態の正面図である。
【図3】図3は、刃収納部における板状突起部と柄収納部における板バネが前方に来るように見た、本発明に係る鎌収納ケースの一実施形態の背面図である。
【図4】図4は、刃収納部における鎌の刃先を収納する先端側から見た、本発明に係る鎌収納ケースの一実施形態の部分拡大側面図である。但し、後方の柄収納部はその上部の縦断面図として示した。
【図5】図5は、柄収納部が前方に来るように、刃収納部が後方に来るように見た、本発明に係る鎌収納ケースの一実施形態の部分拡大側面図である。但し、前方の柄収納部はその上部の縦断面図として示した。
【図6】図6は、図1の刃収納部(1)が前方に来るように見た時の、図1の突起部(6)に代わる突起部の一実施形態を示す部分拡大側面図である。
【図7】図7は、図1に示す鎌収納ケースを作業者の腰ベルト後方に挿したままで、鎌収納ケースから作業者が鎌の刃の峰部をつまんで鎌を出し入れする要領を示す説明図である。
【図8】図8は、図1に示す鎌収納ケースに鎌を収納し、作業者の腰ベルト後方中央付近に挿して作業に携行する要領を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る鎌収納ケースの一実施形態を図1〜図8により説明する。
図1は、本発明に係る鎌収納ケースの一実施形態を主として正面側から見た斜視図である。図1に示す鎌収納ケースは、鎌の刃体部を収納する刃収納部(1)と、鎌の柄部を収納する柄収納部(2)とを備える。
【0015】
刃収納部(1)は、その長手方向に交差する断面が略U字形状である。略U字形状について図4を参照して説明する。図4は、刃収納部における鎌の刃先を収納する先端側から見た(柄収納部(2)が後方に来るように見た)部分拡大側面図である。刃収納部(1)の長手方向に交差する断面は、長手方向の一片側側面(鎌収納ケースの背面側側面)と、長手方向の他の片側側面(鎌収納ケースの正面側側面)と、底面とからなる略U字形状を形成している。図4(及び図1)では、一片側側面(鎌収納ケースの背面側側面)の縦方向の長さは、他の片側側面(鎌収納ケースの正面側側面)の縦方向の長さより長くなっている。他の片側側面(鎌収納ケースの正面側側面)の縦方向の長さを、一片側側面(鎌収納ケースの背面側側面)の縦方向の長さより短くすることは、図1に示す鎌収納ケースを作業者の腰ベルト後方に挿したままで作業者の視界内で作業者が鎌収納ケースから鎌の刃の峰部をつまんで鎌を出し入れしやすくなる点で、好ましい(図7参照)。
【0016】
図1において、上記略U字形状における長手方向の片側側面は、上側開口の内側に向けて、収納される鎌の刃体部峰側の先端側略半部を覆う態様で板状突起部(3)を備える。板状突起部(3)は、収納される鎌の刃体部峰側の先端側略半部のみを覆う態様でありながら、後述するように柄収納部における板バネ(4)と協働することにより、仮に鎌収納ケースを上下逆にした場合でも、刃収納部(1)から鎌が脱落することを完璧に防止することができる(実施例2参照)。
【0017】
略U字形状における長手方向の片側側面における板状突起部(3)の位置や長さは、収納される鎌の刃体部峰側の先端側略半部を覆う態様であれば、特に限定されない。後述する鎌脱落防止のメカニズムにより鎌の刃体部は上記一片側側面(鎌収納ケースの背面側側面)に押し付けられることになるので、板状突起部(3)の位置や長さは、仮に鎌収納ケースを上下逆にしても、刃体部が一片側側面に押し付けられた鎌が脱落しない程度に、刃体部峰側の先端側略半部を受けることができるような位置と長さに、適宜設定すればよい。
【0018】
図1に示す鎌収納ケースは、刃収納部(1)に加えて、鎌の柄部を収納する柄収納部(2)を備える。柄収納部(2)は、その長手方向に交差する断面が円筒形状である。円筒形状について図2を参照して説明する。図2は、刃収納部(1)における板状突起部(3)が後方に来るように見た鎌収納ケースの正面図である。図2では、柄収納部(2)の長手方向に交差する断面は楕円筒形状で示されており、作業者の腰ベルト後方中央付近に柄収納部(2)を挿して作業に携行する時(図8参照)作業者の背中にフィットしやすい点から、好ましい実施形態である。柄収納部(2)の長手方向に交差する断面は、収納される鎌の柄部の断面に合わせて適宜決めることができる。例えば、収納される鎌の柄部の断面が真円形状であれば、柄収納部(2)の長手方向に交差する断面は真円筒形状であってもよい。
【0019】
図1及び図2では、柄収納部(2)は、円筒形状の内側であって刃収納部(1)における板状突起部(3)を備える上記一片側側面が柄収納部(2)に接合する位置の近傍に、板バネ(4)を備えることが示されている。板バネ(4)について、図3、図4及び図5を参照して説明する。図3は、板状突起部(3)及び柄収納部(2)における板バネ(4)が前方に来るように見た鎌収納ケースの背面図である。また図4は、柄収納部(2)における板バネ(4)が後方に来るように見た鎌収納ケースの部分拡大側面図である。図5は、柄収納部(2)における板バネ(4)が前方に来るように見た鎌収納ケースの部分拡
大側面図であり、前方の柄収納部(2)はその上部の縦断面図として示されている。図3、図4及び図5に示されるように、板バネ(4)は、柄収納部(2)の円筒形状の内側であって、刃収納部(1)における板状突起部(3)を備える上記一片側側面が柄収納部(2)に接合する位置の近傍に、備えられている。
【0020】
刃収納部(1)における板状突起部(3)を備える一片側側面が柄収納部(2)に接合する位置の近傍に板バネ(4)を設けるのは、板状突起部(3)と板バネ(4)とを協働させて、鎌収納ケースから鎌が脱落することを防止するためである。鎌脱落防止のメカニズムを説明する。収納された鎌の柄は、柄収納部(2)の円筒形状の内側に備えられた板バネ(4)により、柄収納部(2)の内側であって板バネ(4)を設けた反対側の内側に押し付けられる。そうすると、収納された鎌の柄と刃との付け根付近を通る垂直軸を中心軸とする水平方向への回転力が生じて、収納された鎌の刃体部も、鎌の柄が押し付けられる回転方向と同じ回転方向に回転することになる。その結果として、鎌の刃体部は、板状突起部(3)を備える刃収納部(1)の長手方向の一片側側面に押し付けられることになる。こうして、その一片側側面に設けられた板状突起部(3)により、すなわち、上側開口の内側に向けて鎌の刃体部峰側の先端側略半部を覆う態様で設けられた板状突起部(3)により、鎌を収納した鎌収納ケースを仮に上下逆にした場合でも、鎌収納ケースから鎌が脱落することを完璧に防止することができる。
【0021】
柄収納部(2)の円筒形状の内側における板バネ(4)の位置は、刃収納部(1)における板状突起部(3)を備える一片側側面が柄収納部(2)に接合する位置の近傍であれば、特に限定されない。板バネ(4)の位置は、上記のメカニズムを働かせるために、鎌の柄を板バネ(4)を設けた反対側の内側に効率的に押し付けることができるような位置に適宜設定すればよい。
【0022】
図3、図4、図5では、板バネ(4)の上部は、柄収納部(2)に開けた板バネ取付け孔(41)を通って柄収納部(2)の外側で、板バネ取付けボルト(42)により固定される一実施形態を示している。しかし、柄収納部(2)の円筒形状の内側に板バネ(4)を設ける他の実施形態としては、種々の公知の方法を用いることができる。板バネ(4)を固定する方法も公知の方法であってよい。
【0023】
また、本発明に係る鎌収納ケースにおいては、刃収納部(1)における板状突起部(3)を備える一片側側面は、さらに、長手方向の略中央部に略半円状の切欠部(5)を有することが好ましい。図1、図2及び図3には、刃収納部(1)における板状突起部(3)を備える一片側側面が、長手方向の略中央部に略半円状の切欠部(5)を有することが示されている。切欠部(5)の位置及び形状は、作業者が鎌収納ケースから鎌の刃の峰部をつまんで鎌を出し入れしやすくする観点から、適宜決めることができる。作業者が鎌収納ケースから鎌の刃の峰部をつまんで鎌を出し入れしやすくなる観点からは(図7参照)、切欠部(5)は、刃収納部(1)長手方向の一片側側面の略中央部に略半円状とすることが好ましい(図1及び実施例3参照)。
【0024】
また、本発明に係る鎌収納ケースにおいては、柄収納部(2)は、円筒形状の外側であって長手方向の中央部近傍に、突起部(6)を備えることが好ましい。突起部(6)の位置は、作業者の腰ベルト後方中央付近に柄収納部(2)を挿して作業に携行しやすくする観点から(図8参照)、柄収納部(2)の外側であって、長手方向の略中央部を通る外側円周線と、板バネ(4)を通る外側長手方向線との交点近傍に設けることが好ましい(図3参照)。
【0025】
突起部(6)の形状は、作業者の腰ベルト後方中央付近に柄収納部(2)を掛止しやすくする観点から、適宜決めることができる。例えば、円盤形状であってもよいし、扁平楕
円体形状であってもよいし、円錐台形状であってもよい。また、円周方向に沿って円弧状の突起部であってもよいし、円周方向に沿って傾斜を付けた円弧状の突起部であってもよい。例えば、突起部(6)の形状が扁平楕円体形状又は円錐台形状であれば、作業者が腰ベルト後方に鎌を入れた柄収納部(2)を腰ベルトにほぼ直角に挿して作業に携行し、鎌を出す時は柄収納部(2)を斜めに傾けて2/3程度外側に引き出して鎌を出すことができる(図7参照)。図6には、扁平楕円体形状をした突起部(6)が示されている。
また、突起部(6)の形状は、作業者が腰ベルト後方中央付近に柄収納部(2)を掛止しやすくする観点からは(図8参照)、柄収納部(2)の外側に円周方向に沿って円弧状とすることも好ましいし、作業者が腰ベルト後方に柄収納部(2)を掛止したまま柄収納部(2)から鎌を出し入れしやすくする観点からは(図7参照)、柄収納部(2)の外側に円周方向に沿って傾斜を付けた円弧状とすることも好ましい。図1には、柄収納部(2)の外側であって長手方向の中央部近傍に設けられた、円周方向に沿って円弧状の突起部(6)が示されている。図2及び図3では、突起部(6)の形状は、柄収納部(2)の外側に円周方向に沿って傾斜を付けた円弧状の形状として示されている。突起部(6)の形状が円弧状である場合の円周方向の長さは、作業者の腰ベルト後方中央付近に柄収納部(2)を掛止しやすくする観点から適宜決めることができる。例えば、好ましくは円周の1/6〜2/3の長さの範囲から適宜選択することができ、円周の1/4〜1/2の範囲の長さとすることがより好ましい。
【0026】
なお、本発明に係る鎌収納ケースの一実施形態を示す図1〜図8は、主として右利きの人に対するものである。左利きの人に対しては、各図の左側又は右側に対称軸を置いて左右対称になるように作図した図に替えればよい。右利きの人に対して右手の図があるとすれば、左利きの人に対しては左手の図があるようなものである。例えば、図1は、左利きの人に対しては、板状突起部(3)や板バネ(4)や切欠部(5)や突起部(6)は後方に残したまま、刃収納部(1)の先端は右側に、柄収納部(2)は左側にくるように作図した図に替えればよい。
【実施例】
【0027】
<実施例1>:鎌収納ケースの作製
図1に示す鎌収納ケースを以下のようにして作製した。
刃収納部(1)は、軽量であって、ある程度の強度を有する合成樹脂を材料として使用した。屈曲部や曲折部は加熱成形をした。形状は、一般的に使用される鎌のほとんどの刃体部が収まるように長手方向を三日月形状にし、その長さを約16cmとした。長手方向の一片側側面(図1に示す鎌収納ケースの背面側側面)は、鎌の刃先が収まる先端部の巾を約1cm、中央部の巾を約4.5cm、鎌の刃と柄との付け根が収まる後端部の巾を約4cmとする略三日月形状とした。その一片側側面の上部の円弧形状に沿って、先端部から約7.5cmのところまで、その円弧形状に合わせて曲面にした長さ約7.5cm、巾約0.5cmの長方形の形状をした板状突起部(3)を、正面側に向けて接着した。
長手方向の他の片側側面(図1に示す鎌収納ケースの正面側側面)は、鎌の刃先が収まる先端部の巾を約1cm、中央部の巾及び鎌の刃と柄との付け根が収まる後端部の巾を約2cmとする略三日月形状とした。底面(鎌の刃の当たる面)は、約1cm巾の長方形の面を鎌の刃形に合わせた曲面に成形した。一片側側面と他の片側側面と底面とを、長手方向に交差する断面が略U字形状となるように接着した。その際、一片側側面の上部の円弧形状に沿って接着された板状突起部(3)は、略U字形状における上側開口の内側に向くように留意して接着した。
柄収納部(2)は、合成樹脂製であって、外径が長径約3.7cm、短径約3.3cm、厚み約0.3cmの、断面が楕円状の円筒管を、全長約45cmとなるように切断して準備した。柄収納部(2)の上端部に、鎌の刃の柄との付け根部分を挿入するために、V字型(縦長約5cm、上巾約1cm)をした切欠部を設けた。板バネ(4)は、その先端を下に向けた下端が、V字型切欠部から円周方向(背面側)に約90度回った長手方向線
上の、円筒管の内側上端から約10cm下方のところに来るように、ボルト(42)及びナットで取り付けた。
切欠部(5)は、予め、刃収納部(1)の上記一片側側面から、上部の円弧曲線の略中央部(先端部から約8cm)を中心とする半径約2cmの略半円形状を切り抜き、その切り欠き部分を切欠部(5)として準備した。
突起部(6)は、柄収納部(2)の長手方向の中央部を通る外側円周線と板バネ(4)を通る外側長手方向線との交点の近傍に設けた。突起部(6)の形状としては、2種類の形状、すなわち図6に示すような扁平楕円体形状のものと、図1に示すような円周方向に沿った円弧状(円弧の長さは円周の約1/3)のものを準備した。扁平楕円体形状のものはボルトを使用して、円弧状のものは接着剤を使用して、それぞれ柄収納部(2)の外側の上記所定の位置に固定した。
刃収納部(1)の後端部の略U字形状の断面と、柄収納部(2)の上端部のV字型切欠部近傍の側面とを、接着剤及び補強のため部分的にリベットを使用して接合して、鎌収納ケースを作製した。
【0028】
<実施例2>:鎌脱落試験
刃収納部(1)に板状突起部(3)を備えるが柄収納部(2)に板バネ(4)を備えない鎌収納ケースA、及び柄収納部(2)に板バネ(4)を備えるが刃収納部(1)に板状突起部(3)を備えない鎌収納ケースBをそれぞれ試作し、実施例1で作製した本発明に係る鎌収納ケースと対比して、鎌脱落試験を行った。
鎌脱落試験は、鎌収納ケースA、鎌収納ケースB及び本発明に係る鎌収納ケースにそれぞれ鎌を収納し、試験者が各鎌収納ケースを上下逆にして(柄収納部を上に、刃収納部を下にして)柄収納部を手で握り、各鎌収納ケースを上下左右に軽く振り回して、鎌が脱落するまでの時間を3回計測した。
その結果、鎌収納ケースAでは、1回目は10秒、2回目は8秒、3回目は11秒(平均すると約10秒)で、鎌は脱落した。また、鎌収納ケースBでは、1回目は4秒、2回目は5秒、3回目は4秒(平均すると約4秒)で、鎌は脱落した。
これに対して、本発明に係る鎌収納ケースでは、1回目は1分経過しても、2回目も1分経過しても、3回目も1分経過しても、鎌は脱落しなかった。
【0029】
<実施例3>:鎌着脱試験
刃収納部(1)に板状突起部(3)を備え、柄収納部(2)に板バネ(4)を備えるものの、刃収納部(1)が切欠部(5)を有さない鎌収納ケースCを試作し、実施例1で作製した本発明に係る鎌収納ケースであって刃収納部(1)が切欠部(5)を有する鎌収納ケースと対比して、鎌着脱試験を行った。
鎌着脱試験は、試験者の腰ベルト後方中央付近に鎌収納ケースC及び本発明に係る鎌収納ケースの各柄収納部を挿して、試験者が鎌の刃の峰部をつまんでから鎌を各鎌収納ケースに入れ終わるまでの時間、及び鎌を収納した各鎌収納ケースから鎌の刃の峰部をつまんで鎌を取り出し終わるまでの時間を3回計測した。
その結果、鎌収納ケースCでは、鎌を鎌収納ケースに入れ終わるまでの時間は、1回目は3秒、2回目は4秒、3回目は4秒(平均すると約4秒)、鎌収納ケースから鎌を取り出し終わるまでの時間は、1回目は10秒、2回目は9秒、3回目は10秒(平均すると約10秒)であった。
これに対して、刃収納部が切欠部(5)を有する鎌収納ケースでは、鎌を鎌収納ケースに入れ終わるまでの時間は、1回目は2秒、2回目は2秒、3回目は3秒(平均すると約2秒)、鎌収納ケースから鎌を取り出し終わるまでの時間は、1回目は4秒、2回目は3秒、3回目は3秒(平均すると約3秒)であった。
【0030】
以上、本発明に係る鎌収納ケースの利便性を列挙する。
(ア)柄収納部は円筒状にし、刃収納部は長手方向に交差する断面を略U字形状にし、両
者を接合して一体形状としたことによりほとんど同一材料(合成樹脂)で作れるため、軽量で生産性もよく安価である。
(イ)柄収納部を円筒状にしたため、本発明に係る鎌収納ケースを装着時は、先行技術に有るような腰ベルトの一部を外して装着したり、付属の紐などを腰に巻き付けたりする事なく、腰の後部のベルトに挿すだけで装着できる。
(ウ)本発明に係る鎌収納ケースを装着したまま鎌を着脱する時は、鎌収納ケースを2/3程度外側に引き出し、作業者の視界内で安全に着脱できる。
(エ)本発明に係る鎌収納ケースに鎌を装着した時に鎌は自動的に固定され、鎌を抜き取る時も片手でできるので、利便性が高く、また安全性も保たれる。
(オ)好ましくは柄収納部の外周に突起部を設けたため、腰ベルト後方中央付近に柄収納部が掛止されるので脱落防止になる。
(カ)好ましくは柄収納部外周に柄収納部を掛止する突起部を設けたので、狭所通過時には柄収納部をズボンベルトに対して直角に挿すことにより、刃収納部先端や柄収納部の下部を引っかけることなく鎌収納ケースを携行することができる。
(キ)本発明に係る鎌収納ケースは、刃収納部の長手方向に交差する断面の略U字形状を改変するだけで、腰ベルトに挿して使用する他の携行刃物(片手斧等)においても、鎌と同様の利便性を発揮させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明に係る鎌収納ケースは、腰の後部ベルトに挿したままで、鎌の着脱操作をワンタッチで行うことができ、且つ鎌の刃の峰部をつまんで鎌を出し入れするため出し入れ時に背中を傷つけることがないので、鎌を簡便に且つ安全に出し入れすることを可能にする。
【符号の説明】
【0032】
1 刃収納部
2 柄収納部
3 板状突起部
4 板バネ
5 切欠部
6 突起部
41 板バネ取付け孔
42 板バネ取付けボルト
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
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