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【発明の名称】熱交換装置、熱交換方法 【出願人】 【識別番号】512255114 【氏名又は名称】持田 裕美 【住所又は居所】静岡県伊東市吉田1005−55 【発明者】 【氏名】持田 裕美 【住所又は居所】静岡県伊東市吉田1005−55 【要約】 【課題】熱交換を行う流体の実流量を増加させることなく、効率的に熱交換を行うことが可能であり、かつ、小型化が可能な熱交換装置、およびこれを用いた熱交換方法を提供する。 【解決手段】第一流体および第二流体が伝熱隔壁の一面側および他面側にそれぞれ沿って流れ、前記伝熱隔壁を介して前記第一流体と前記第二流体との間で熱交換を行う熱交換装置であって、前記伝熱隔壁の一面側および他面側の少なくともいずれか一方において、前記第一流体および前記第二流体の少なくともいずれか一方の一部を流出側から流入側に向けて還流する循環手段を備えた。 【選択図】図1 【特許請求の範囲】 【請求項1】 第一流体および第二流体が伝熱隔壁の一面側および他面側にそれぞれ沿って流れ、前記伝熱隔壁を介して前記第一流体と前記第二流体との間で熱交換を行う熱交換装置であって、 前記伝熱隔壁の一面側および他面側の少なくともいずれか一方において、前記第一流体および前記第二流体の少なくともいずれか一方の一部を流出側から流入側に向けて還流する循環手段を備えたことを特徴とする熱交換装置。 【請求項2】 前記伝熱隔壁は、前記第一流体および前記第二流体の少なくともいずれか一方が流れる管路によって構成されることを特徴とする請求項1記載の熱交換装置。 【請求項3】 前記循環手段は、前記第一流体および前記第二流体のそれぞれの一部を流出側から流入側に向けて還流する循環ポンプであることを特徴とする請求項1または2記載の熱交換装置。 【請求項4】 前記循環手段を流れる還流流体は、前記流入側の合流部において、前記第一流体および前記第二流体の少なくともいずれか一方の流れ方向に対して合流することを特徴とする請求項1ないし3いずれか一項記載の熱交換装置。 【請求項5】 前記循環手段に向かう還流流体は、前記流出側の分岐部において、前記第一流体および前記第二流体の少なくともいずれか一方の流れ方向に対して分岐することを特徴とする請求項1ないし4いずれか一項記載の熱交換装置。 【請求項6】 伝熱隔壁の一面側および他面側に沿って第一流体および第二流体をそれぞれ流し、前記伝熱隔壁を介して前記第一流体と前記第二流体との間で熱交換を行う熱交換方法であって、 前記伝熱隔壁の一面側および他面側の少なくともいずれか一方において、前記第一流体および前記第二流体の少なくともいずれか一方の一部を流出側から流入側に向けて還流させ、少なくとも前記伝熱隔壁において、前記第一流体および前記第二流体の少なくともいずれか一方の流量を増加させる循環工程を備えたことを特徴とする熱交換方法。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、互いに熱エネルギーの異なる流体どうしの間で熱移動を行う熱交換装置、および熱交換方法に関し、詳しくは、流体どうしの間で熱交換を効率的に行うことが可能な技術に関する。 【背景技術】 【0002】 熱交換装置(熱交換器)は、互いに熱エネルギーの異なる流体どうしの間で、より熱エネルギーの低い流体に向けて熱を移動させる装置であり、冷却・加熱器、蒸発器、凝縮器、放熱器など多くの機器に使用されている(例えば、特許文献1を参照)。 【0003】 こうした熱交換器は、流体の単位流量あたりの熱移動量を高めるほど、効率的に熱交換を行うことができる。このため、従来から、熱交換効率を高めるために、例えば、熱交換を行う流体同士を区画しつつ熱移動させる伝熱隔壁の材料を熱伝導率の高い材料で構成したり、伝熱隔壁の厚みを薄くするなどが行われてきた。また、細管化して、伝熱隔壁の表面積の増大によって熱交換効率を高める方法も広く知られている(例えば、特許文献2を参照)。 【0004】 しかしながら、伝熱隔壁の熱伝導率は材料に応じた固有の値であり、伝熱隔壁の構成材料の選択による熱伝導率の向上には限界がある。また、伝熱隔壁の厚みを薄くすると、僅かな腐蝕で流体が漏えいしたり、伝熱隔壁の強度が低下するため、流体の流量を大きくすることが難しいという課題がある。更に、伝熱隔壁の表面積を増大させる場合、熱交換装置が大型化し、省スペースで熱交換効率に優れた熱交換装置を提供することが困難であるという課題があった。 【0005】 一方、熱交換を行う流体の伝熱隔壁における流量を高めると、熱伝導率も高められることが知られている。このため、流体の流量を増加させて流量を高めることによって、熱伝導性を向上させた効率的な熱交換を行うことができる。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0006】 【特許文献1】特開2006−177623号公報 【特許文献2】特開2010−085038号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 しかしながら、一般に熱交換を行う流体の流量には設計上の制限があり、流量を高めて熱交換効率を向上させることは困難であった。また、同一面積下で熱交換装置に流入させる流体の実流量を高める場合、流体の熱利用率(温度差が小さくなるため)が下がり資源の無駄使いとなる上に、伝熱隔壁に向けて流体を送り込むポンプの大型化、導入配管の大口径化などが必要になり、コスト上も問題である。 【0008】 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、熱交換装置に流入させる流体の実流量を増加させずに、熱交換装置の内部だけ流体の実流量を増加させることによって、効率的に熱交換を行うことが可能であり、かつ、小型化が可能な熱交換装置、およびこれを用いた熱交換方法を提供する。 【課題を解決するための手段】 【0009】 すなわち、本発明の熱交換装置、および熱交換方法は、以下の構成を有する。 [1]第一流体および第二流体が伝熱隔壁の一面側および他面側にそれぞれ沿って流れ、前記伝熱隔壁を介して前記第一流体と前記第二流体との間で熱交換を行う熱交換装置であって、前記伝熱隔壁の一面側および他面側の少なくともいずれか一方において、前記第一流体および前記第二流体の少なくともいずれか一方の一部を流出側から流入側に向けて還流する循環手段を備えたことを特徴とする。 【0010】 このような構成の熱交換装置によれば、熱交換装置に第一流体や第二流体を流す際に、第一流体や第二流体の一部を伝熱隔壁を含む領域の間で還流させる。これによって、熱交換装置に流入する流体の実流量を増加させなくても、伝熱隔壁を含む領域の間で流体の実流量を高めることができる。そして、実流量が高められた流体は伝熱隔壁での熱交換効率を高める。よって、熱交換効率に優れ、かつ、実流量の増加による資源の無駄使いとなることのない熱交換装置、およびこれを用いた熱交換方法を実現することができる。 【0011】 [2]前記伝熱隔壁は、前記第一流体および前記第二流体の少なくともいずれか一方が流れる管路によって構成されることを特徴とする。 【0012】 [3]前記循環手段は、前記第一流体および前記第二流体のそれぞれの一部を流出側から流入側に向けて還流する循環ポンプであることを特徴とする。 【0013】 [4]前記循環手段を流れる還流流体は、前記流入側の合流部において、前記第一流体および前記第二流体の少なくともいずれか一方の流れ方向に対して合流することを特徴とする。 【0014】 [5]前記循環手段に向かう還流流体は、前記流出側の分岐部において、前記第一流体および前記第二流体の少なくともいずれか一方の流れ方向に対して分岐することを特徴とする。 【0015】 [6]伝熱隔壁の一面側および他面側に沿って第一流体および第二流体をそれぞれ流し、前記伝熱隔壁を介して前記第一流体と前記第二流体との間で熱交換を行う熱交換方法であって、前記伝熱隔壁の一面側および他面側の少なくともいずれか一方において、前記第一流体および前記第二流体の少なくともいずれか一方の一部を流出側から流入側に向けて還流させ、少なくとも前記伝熱隔壁において、前記第一流体および前記第二流体の少なくともいずれか一方の流量を増加させる循環工程を備えたことを特徴とする。 【発明の効果】 【0016】 本発明の熱交換装置、および熱交換方法によれば、熱交換装置に流入させる流体の実流量を増加させることなく効率的に熱交換を行うことが可能であり、かつ、熱交換装置の小型化が可能になる。 【図面の簡単な説明】 【0017】 【図1】本発明の第一実施形態における熱交換装置を示す模式図である。 【図2】本発明の第二実施形態における熱交換装置を示す模式図である。 【図3】本発明の第三実施形態における熱交換装置を示す模式図である。 【図4】本発明の第四実施形態における熱交換装置を示す模式図である。 【図5】本発明の検証結果を示すグラフである。 【発明を実施するための形態】 【0018】 以下、本発明を適用した実施形態である熱交換装置、および熱交換方法について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、一般的な向流型熱交換ケースで説明し、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。 【0019】 <第一実施形態> 図1は、第一実施形態の熱交換装置の一例を示す模式図である。 本実施形態の熱交換装置10は、中空円筒形の外管(管路)11と、この外管11の中心部を貫通する中空円筒形の内管(管路)12と、循環手段13とを備えている。内管12は、その外径が外管11よりも小さく、外管11の内周面と内管12の外周面との間に、熱交換を行う一方の流体である第一流体F1の流路となる空間が形成される。一方、内管12の内周面の内側は、熱交換を行う他方の流体である第二流体F2の流路となる空間を成す。即ち、外管11と内管12によって二重管構造を構成している。 【0020】 内管12のうち、その外周面で第一流体F1と接する部分は、第一流体F1と第二流体F2とを区画しつつ熱を伝搬させる伝熱隔壁Hwを成す。この伝熱隔壁Hwにおいては、その一面側Hw1(即ち、内管12の外周面の一部)において第一流体F1と接し、他面側Hw2(即ち、内管12の内周面の一部)において第二流体F2と接する。 【0021】 そして、伝熱隔壁Hwを介して、第一流体F1と第二流体F2との間で熱交換が行われる。本実施形態では、それぞれ流入側において、第一流体F1よりも第二流体F2のほうが高温であり、伝熱隔壁Hwにおいて、第二流体F2から第一流体F1に向けて熱が移動する。即ち、本実施形態は、第二流体F2を第一流体F1によって冷却する冷却器の例である。 【0022】 本実施形態では、伝熱隔壁Hwにおいて、第一流体F1および第二流体F2の流れる方向が互いに逆方向である向流とされている。即ち、第一流体F1は、図1中において、左側が流入側P1a、右側が流出側P1bとされる。一方、第二流体F2は、図1中において、右側が流入側P2a、左側が流出側P2bとされる。こうした熱交換を行う流体同士を向流とすれば、流体同士を互いに同一方向に流す並流と比較して、熱交換効率が向上する。 【0023】 なお、第一流体F1の流入側P1aや、第二流体F2の流入側P2aには、それぞれ第一流体F1、第二流体F2を熱交換装置10に導入する供給ポンプ(図示略)が接続されていればよい。 【0024】 外管11および内管12は、熱伝導性に優れた材料、例えば、金属管から構成される。特に、伝熱隔壁Hwを成す内管12は、熱伝導性に優れた銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などから構成することが好ましい。また、腐蝕性流体の場合には、当該腐蝕性流体に対する耐蝕性を有する耐蝕性材料を用いることができる。また、内管12の厚みは、第一流体F1や第二流体F2の圧力に耐えられる範囲内で極力薄くすることが好ましい。 【0025】 本実施形態では、第一流体F1の流入側P1aに接続される位置と、第一流体F1の流出側P1bに接続される位置とを結ぶように循環手段13が形成されている。循環手段13は、例えば、循環ポンプとこれに接続される配管からなり、流出側P1bから流出する第一流体F1の一部を分岐部Di1から還流流体F3として吸引する。そして、この還流流体F3を流入側P1aに設けられた合流部Jo1において、熱交換装置10に流入させる第一流体F1に合流させる。 【0026】 こうした還流流体F3によって、伝熱隔壁Hwと接する領域を含む合流部Jo1と分岐部Di1との区間においては、第一流体F1の流量は、外部から熱交換装置10に流入する第一流体F1の流量に還流流体F3の流量を加えたもの(F1+F3)となる。こうした流量の増加によって、伝熱隔壁Hwの一面側Hw1に沿って流れる第一流体F1の流量が高められる。即ち、伝熱隔壁Hwにおける第一流体F1の実流量を高めることができる。 【0027】 外部から熱交換装置10に流入する第一流体F1に対する好ましい還流流体F3の流量範囲は、例えば、外部から熱交換装置10に流入する第一流体F1の流量に対して、50%〜250%の範囲にすることが好ましい。なお、理論上は、還流流体F3の流量を大きくするほど、伝熱効果は高まるが、実施形態に示した構成においては、その耐圧性、一般的な配管材質の腐蝕・耐圧特性と、圧力損失による循環手段13(循環ポンプ)への制限から、上述した流量範囲としている。こうした還流流体F3の流量範囲にすることで、伝熱隔壁Hwにおいて、第一流体F1の実流量を高めることが可能になる。なお、第二流体F2の配管(内管12)内では、断面積が均一であるために、外側を流れる第一流体F1よりも圧損が大きくなるため、流量を50%〜200%の範囲にすることが好ましい。 【0028】 以上のような熱交換装置の作用、およびこれを用いた熱交換方法について説明する。 本実施形態の熱交換装置10を用いた熱交換方法では、伝熱隔壁Hwの一面側Hw1において、第一流体F1の一部を流出側P1bから流入側P1aに向けて還流させ、少なくとも伝熱隔壁Hwにおいて、第一流体F1の流量を増加させる循環工程を備える。 【0029】 即ち、循環手段13によって第一流体F1の一部を流出側P1bから流入側P1aに向けて還流(還流流体F3)させ、伝熱隔壁Hwに沿って流れる領域における流体の流量を第一流体F1+還流流体F3となるように増加させ、これにより第一流体F1の実流量を向上させる。これによって、外部から熱交換装置10に流入する第一流体F1の実流量を増加させなくても、伝熱隔壁Hwに沿った流域において第一流体F1の実流量が高められる。実流量が高められた第一流体F1は、伝熱隔壁Hwを介して向流する第二流体F2から効率的に熱を吸収する。よって、第一流体F1の一部を還流させない場合と比較して、同一の実流量であっても第二流体F2をより効果的に冷却することが可能になる。以上の構成によって、装置自体を大型化させることなく、熱交換効率を高めた熱交換装置、およびこれを用いた熱交換方法を実現することができる。 【0030】 なお、上述した実施形態において、第一流体F1や第二流体F2は、液体でも気体でもよい。こうした第一流体F1や第二流体F2として、例えば、水、油、有機ガス、無機ガスなどを用いることができる。 【0031】 また、伝熱隔壁は、上述した中空円筒形の管状体以外にも、平板状の伝熱隔壁や、螺旋形の伝熱隔壁など、流体同士を隔離しつつ熱交換が可能な形状であればどのようなものでもよく、限定されるものではない。 【0032】 <第二実施形態> 図2は、第二実施形態の熱交換装置の一例を示す模式図である。 本実施形態の熱交換装置20は、中空円筒形の外管11と、この外管11の中心部を貫通する中空円筒形の内管12と、循環手段23、24とを備えている。内管12は、その外径が外管11よりも小さく、外管11の内周面と内管12の外周面との間に、熱交換を行う一方の流体である第一流体F1の流路となる空間が形成される。一方、内管12の内周面の内側は、熱交換を行う他方の流体である第二流体F2の流路となる空間を成す。即ち、外管11と内管12によって二重管構造を構成している。 【0033】 内管12のうち、その外周面で第一流体F1と接する部分は、第一流体F1と第二流体F2とを区画しつつ熱を伝搬させる伝熱隔壁Hwを成す。この伝熱隔壁Hwにおいては、その一面側Hw1(即ち、内管12の外周面の一部)において第一流体F1と接し、他面側Hw2(即ち、内管12の内周面の一部)において第二流体F2と接する。 【0034】 そして、伝熱隔壁Hwを介して、第一流体F1と第二流体F2との間で熱交換が行われる。本実施形態では、それぞれ流入側において、第二流体F2は高温蒸気、第一流体F1は冷却水であり、伝熱隔壁Hwにおいて、第二流体F2から第一流体F1に向けて熱が移動し、第二流体F2が冷却されて液化する。即ち、本実施形態は、熱交換装置の一例として、第二流体F2を第一流体F1によって冷却して凝集させる凝集器を示している。 【0035】 本実施形態では、伝熱隔壁Hwにおいて、第一流体F1および第二流体F2の流れる方向が互いに逆方向である向流とされている。即ち、第一流体F1は、図3中において、左側が流入側P1a、右側が流出側P1bとされる。一方、第二流体F2は、図3中において、右側が流入側P2a、左側が流出側P2bとされる。こうした熱交換を行う流体同士を向流とすれば、流体同士を互いに同一方向に流す並流と比較して、熱交換効率が向上する。 【0036】 なお、第一流体F1の流入側P1aや、第二流体F2の流入側P2aには、それぞれ第一流体F1、第二流体F2を熱交換装置30に導入する供給ポンプ(図示略)が接続されていればよい。 【0037】 外管11および内管12は、熱伝導性に優れた材料、例えば、金属管から構成される。特に、伝熱隔壁Hwを成す内管12は、熱伝導性に優れた銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などから構成することが好ましい。また、腐蝕性流体の場合には、当該腐蝕性流体に対する耐蝕性を有する耐蝕性材料を用いることができる。また、内管12の厚みは、第一流体F1や第二流体F2の圧力に耐えられる範囲内で極力薄くすることが好ましい。 【0038】 本実施形態では、第一流体F1の流入側P1aに接続される位置と、第一流体F1の流出側P1bに接続される位置とを結ぶように循環手段23が形成されている。循環手段23は、例えば、循環ポンプとこれに接続される配管からなり、流出側P1bから流出する第一流体F1の一部を分岐部Di1から還流流体F3aとして吸引する。そして、この還流流体F3aを流入側P1aに設けられた合流部Jo1において、熱交換装置20に流入させる第一流体F1に合流させる。 【0039】 こうした還流流体F3aによって、伝熱隔壁Hwと接する領域を含む合流部Jo1と分岐部Di1との区間においては、流体の流量は、外部から熱交換装置20に流入する第一流体F1の流量に還流流体F3aの流量を加えたもの(F1+F3a)となる。こうした流量の増加によって、伝熱隔壁Hwの一面側Hw1に沿って流れる第一流体F1の流速が早められる。即ち、伝熱隔壁Hwにおける第一流体F1の実流量を高めることができる。 【0040】 また、本実施形態では、第二流体F2の流入側P2aに接続される位置と、第二流体F2の流出側P2bに接続される位置とを結ぶように循環手段24が形成されている。循環手段24は、例えば、循環ポンプとこれに接続される配管からなり、流出側P2bから流出する第二流体F2の一部を分岐部Di2から還流流体F3bとして吸引する。そして、この還流流体F3bを流入側P2aに設けられた合流部Jo2において、熱交換装置20に流入させる第二流体F2に合流させる。 【0041】 こうした還流流体F3bによって、伝熱隔壁Hwと接する領域を含む合流部Jo2と分岐部Di2との区間においては、流体の流量は、外部から熱交換装置20に流入する第二流体F2の流量に還流流体F3bの流量を加えたもの(F2+F3b)となる。こうした流量の増加によって、伝熱隔壁Hwの二面側Hw2に沿って流れる第二流体F2の流速が早められる。即ち、伝熱隔壁Hwにおける第二流体F2の実流量を高めることができる。 【0042】 以上のような熱交換装置の作用、およびこれを用いた熱交換方法について説明する。 本実施形態の熱交換装置20を用いた熱交換方法では、伝熱隔壁Hwの一面側Hw1において、第一流体F1の一部を流出側P1bから流入側P1aに向けて還流させ、また、他面側Hw2において、第二流体F2の一部を流出側P2bから流入側P2aに向けて還流させ、第一流体F1および第二流体F2の流量を増加させる循環工程を備える。 【0043】 即ち、循環手段23によって、第一流体F1の一部を流出側P1bから流入側P1aに向けて還流させ、伝熱隔壁Hwに沿って流れる領域における第一流体F1の流量を増加させ、これにより第一流体F1の実流量を向上させる。また、循環手段24によって、第二流体F2の一部を流出側P2bから流入側P2aに向けて還流させ、伝熱隔壁Hwに沿って流れる領域における第二流体F2の流量を増加させ、これにより第二流体F2の実流量を向上させる。 【0044】 こうした構成によって、外部から熱交換装置20に流入する第一流体F1、および第二流体F2の実流量をそれぞれ増加させなくても、伝熱隔壁Hwに沿った流域において第一流体F1、および第二流体F2の実流量が高められる。実流量が高められた第一流体F1および第二流体F2は、互いに効率よく熱交換を行い第一流体F1の熱を第二流体F2が効率的に吸収する。よって、第一流体F1の一部および第二流体F2の一部をそれぞれ還流させない場合と比較して、同一の実流量であっても第二流体F2をより効果的に冷却、凝集することが可能になる。以上の構成によって、装置自体を大型化させることなく、熱交換効率を高めた熱交換装置、およびこれを用いた熱交換方法を実現することができる。 【0045】 なお、上述した実施形態において、第一流体F1や第二流体F2は、液体でも気体でもよい。こうした第一流体F1や第二流体F2として、例えば、水、油、有機ガス、無機ガスなどを用いることができる。 【0046】 また、伝熱隔壁は、上述した中空円筒形の管状体以外にも、平板状の伝熱隔壁や、螺旋形の伝熱隔壁など、流体同士を隔離しつつ熱交換が可能な形状であればどのようなものでもよく、限定されるものではない。 【0047】 <合流部、分岐部の構成例> 図3(a)は合流部の構成例を示す模式図である。また、図3(b)は分岐部の構成例を示す模式図である。 前述した実施形態に示す熱交換装置の合流部は、外部から熱交換装置に流入する流体の流路(管路)と、循環手段から流入する還流流体の流路(管路)とが互いに直角に接続された例を示している。また、前述した実施形態に示す熱交換装置の分岐部は、熱交換装置から外部に流出する流体の流路(管路)と、循環手段に向けて分岐する還流流体の流路(管路)とが互いに直角に分岐された例を示している。 【0048】 しかしながら、こうした合流部や分岐部は、互いの流体の合流時や分岐時に生ずる圧力損失を考慮すると、流体の流れ方向に対して直角よりも小さな角度で合流、分岐させる構成とすれば、より一層、流体の圧力損失を低減することができる。 【0049】 即ち、図3(a)に示すように、合流部Diにおいては、第一流体F1および第二流体F2の少なくともいずれか一方の流れ方向に対して鋭角θで合流するように、それぞれの流体の流路を接続させることが好ましい。この場合、鋭角θは、例えば89°〜1°の範囲、好ましくは60°〜30°の範囲、最も好ましくは45°であればよい。 【0050】 合流部Diにおいてそれぞれの流体同士を鋭角で合流させることによって、流体の合流によって生じる圧力損失を小さくし、伝熱隔壁に向かう流体の流速低下を防止し、熱交換効率を高めることができる。 【0051】 また、図3(b)に示すように、分岐部Joにおいては、第一流体F1および第二流体F2の少なくともいずれか一方の流れ方向に対して鋭角θで分岐するように、それぞれの流体の流路を接続させることが好ましい。この場合、鋭角θは、例えば89°〜1°の範囲、好ましくは60°〜30°の範囲、最も好ましくは45°であればよい。 【0052】 分岐部Joにおいてそれぞれの流体同士を鋭角で分岐させることによって、流体の分岐によって生じる圧力損失を小さくし、伝熱隔壁から流出する流体の流速低下を防止し、熱交換効率を高めることができる。 【0053】 なお、循環手段を構成する循環ポンプと、合流部Diや分岐部Joとを結ぶ還流流体F3の流路(管路)においても、屈曲させる場合にはその最大屈曲角度を極力小さくすることによって、圧力損失を低減することが好ましい。 【0054】 本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。 【実施例】 【0055】 (検証例1) 本発明の効果を検証した。検証にあたっては、図2に示す第二実施形態の熱交換装置を用いた。 各流体の基準流速は、内管(伝熱隔壁部分):2.1m/s、外管:2.0m/s、各流体の温度は内管(伝熱隔壁部分):50℃、外管:20℃とした。 そして、熱交換装置内における流体の流速倍率と、等価伝熱面積との関係を測定した。 流速倍率は、外部から熱交換装置内に流入する流体の流速を1とした場合に、流体の還流量に応じて高められた流速の倍率を示している。また、等価伝熱面積は、流速倍率が1の時に単位熱量の熱交換に必要な伝熱隔壁の面積を1として、流速倍率を上げた時に単位熱量の熱交換に必要な伝熱隔壁がどれだけ必要かを示した数値であり、数値が小さいほど熱交換効率が高い。 こうした検証結果を図4に示す。 【0056】 図4に示す検証結果によれば、流体の実流量の倍率を上げると、向流方式の効果の消失にも関わらず等価伝熱面積は急速に低下している。これによって、本発明のように、流体の一部を還流させることにより、実流量が高められ、熱交換効率を効果的に向上できることが確認された。 【0057】 (検証例2) 次に、合流部および分岐部における流体の流路同士の接続角度に応じた、流速倍率と圧力損失との関係を測定した。流体の流路同士の接続角度は、90°、45°、30°にそれぞれ設定し、流速倍率を1〜10倍まで変化させ、圧力損失(損失ヘッド)を測定した。 こうした検証結果を図5に示す。 【0058】 図5に示す検証結果によれば、全体として接続角度が45°の時に最も圧力損失が小さくなり、また、流速倍率の増加による圧力損失の増加割合も小さくできることが確認された。 【産業上の利用可能性】 【0059】 本発明の熱交換装置、熱交換方法は、液体の冷却を行う冷却器、液体を気化させる気化器、ガス体を凝集液化させる凝集器、ガス体を加熱する加熱器など、各種熱交換装置に幅広く適用することが可能である。 【符号の説明】 【0060】 10 熱交換装置 11 外管 12 内管 13 還流手段 F1 第一流体 F2 第二流体 F3 還流流体 Hw 伝熱隔壁 |
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【図1】 |
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【図2】 |
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【図3】 |
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【図4】 |
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【図5】 |
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