閉じる | ||
【発明の名称】基板洗浄装置 【特許権者】 【識別番号】502067509 【氏名又は名称】山本 義治 【住所又は居所】滋賀県草津市西渋川1丁目6−9 【代理人】 【弁理士】 【識別番号】100098969 【氏名又は名称】矢野 正行 【発明者】 【氏名】山本 義治 【住所又は居所】滋賀県草津市西渋川1丁目6−9 【特許請求の範囲】 【請求項1】 基板を回転させながらノズルより基板に洗浄液を噴射するものにおいて、 本体と、 本体に取り付けられ、互いに独立して出力を生じうる二個以上の直線運動の駆動源と、 本体に回転可能に取り付けられた回転軸と、 回転軸を中心として回転可能且つ回転軸方向に移動可能に本体に取り付けられ、回転軸に対して傾斜した溝を有する溝カムと、伝達部材に固定されて溝内を転動するローラとからなり、前記出力をそれぞれ回転力に変換する二以上のカム機構と、 回転軸から径方向に離れた位置に回転軸と平行な軸線を有し、その軸線を中心として回転可能に回転軸に固定され、基板を水平に支持するとともに回転に伴って基板の側面を互いに挟み又は解放する二組以上の回転柱と、 回転軸と同心の回転中心を有し、カム機構に従動して前記回転力を回転柱の組にそれぞれ伝達しうる二以上の伝達部材と、 回転軸に固定され、回転軸と直交する円盤であって、溝カムの回転軸方向の移動を許容するとともに溝カムを回転軸に連れ回りさせる凹部を有することにより、溝カムの回転を回転軸の回転に連係させるストッパーと を備えることを特徴とする基板洗浄装置。 【請求項2】 前記回転軸の上端に固定されたテーブルを更に備え、 前記回転柱がテーブルを介して回転軸に気密に固定されている請求項1に記載の装置。 【請求項3】 テーブルが回転柱よりも径方向外側に延びており、テーブルの上面に気密に当接して回転柱を収容可能なカバーを更に備える請求項2に記載の装置。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 この発明は、基板の表裏面及び外周面を洗浄することのできる装置に属し、半導体基板、液晶ガラス基板、マスク基板などの精密基板の洗浄に好適に利用されうる。 【背景技術】 基板を洗浄する装置として、従来より図11に示すものが知られている(例えば特許文献1)。この装置101は、基板150の裏面を図略の真空ポンプにより吸着して保持するテーブル102と、テーブル102を装置本体に対して回転させるモータ125と、テーブル102の上方で旋回可能な洗浄液噴射ノズルを基本的に備えている。 そして、テーブル102とともに回転する基板150に対して噴射ノズルをテーブル102の半径方向に往復動させながら洗浄液を噴射することにより、基板150の表面を洗浄する。洗浄中はカバー110にて基板150が囲まれており、洗浄液の飛散が防止されている。裏面を洗浄するときは、一旦真空引きを解除し、手袋をはめた作業者が人力で基板150を裏返すか、又は搬出テーブル161にて基板150を取りだして反転装置(例えば特許文献3)にて反転させた後に、搬入テーブル160にて装置本体内に搬入し、再び洗浄操作を行う。搬出搬入時にはカバー110はエアーシリンダー131によって上方の退避位置まで押し上げられる。 基板を洗浄する別の従来装置として、中央に凹部を有するテーブルの周縁で基板を保持し、凹部内に下部ノズルを配置し、テーブルの回転軸内を通る管より下部ノズルに洗浄液を供給できるようにしたものが提案されている(特許文献2)。この装置によれば、下部ノズルから噴射される洗浄液によって基板の裏面も洗浄されるので、基板を裏返す必要はない。尚、特許文献2には基板をテーブルに固定する手段が記載されていないが、図面の構成からして、基板の周縁の複数箇所をテーブルで各々独立に把持しているものと想像される。 いずれの装置においても、洗浄後に基板を乾燥させるには、回転数を洗浄時の約3倍程度に上げて洗浄液を振り切る、場合により基板にイソプロピルアルコール(IPA)などのアルコールを噴射して乾燥時間を短縮するなどの方法が採られている。 【特許文献1】 特開平8−299918 【特許文献2】 特開平11−156314 【特許文献3】 特開2003−7663 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 しかし、洗浄に関しては図11に示す従来の洗浄装置では、基板150を反転させるのに時間がかかり、洗浄効率が低い。また、反転前に基板の回転を一時止めるので、配線基板においては停止中に洗浄液の圧力で飛散した導電材料が基板の表面や裏面に付着して基板を汚してしまう。導電材料が銅のような低抵抗金属からなる場合、微量でも付着すると配線間の短絡を招き、製品の歩留まりを低下させることとなる。更にまた、基板の外周面を洗浄することは困難である。特許文献2に記載の装置では、基板の周縁の複数箇所をテーブルで各々独立に把持しているので、テーブルに対する基板の着脱操作が煩わしい。 次に、乾燥に関しては配線用トレンチ(溝)のアスペクト比が大きくなると、トレンチの中にウォーターマークやIPAが残り、導電材料を腐食したり汚染したりし、電気抵抗を増大させる。ときにはロボットハンド等による二次汚染が発生する。アルコールの非燃化のための対策を十分に施さなければならない。 それ故、この発明の一つの課題は、基板の回転中に基板の外周面をも洗浄することのできる装置を提供することにある。別の課題は、洗浄後の基板を清浄に乾燥することのできる装置を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 その課題を解決するために、この発明の基板洗浄装置は、 基板を回転させながらノズルより基板に洗浄液を噴射するものにおいて、 本体と、 本体に取り付けられ、互いに独立して出力を生じうる二個以上の直線運動の駆動源と、 本体に回転可能に取り付けられた回転軸と、 回転軸を中心として回転可能に本体に取り付けられ、前記出力をそれぞれ回転力に変換する二以上のカム機構と、 回転軸から径方向に離れた位置に回転軸と平行な軸線を有し、その軸線を中心として回転可能に回転軸に固定され、基板を水平に支持するとともに回転に伴って基板の側面を互いに挟み又は解放する二組以上の回転柱と、 回転軸と同心の回転中心を有し、カム機構に従動して前記回転力を回転柱の組にそれぞれ伝達しうる二以上の伝達部材と、 回転軸に固定され、カム機構の回転を回転軸の回転に連係させるストッパーと を備えることを特徴とする。 この発明の装置の作用は以下の通りである。先ず、基板を回転柱で支持し、複数組の回転柱のいずれかの組(これを組Aとし、別の組を組Bとする。)で挟みながら回転軸を回転させる。これにより基板は回転し、洗浄液を噴射することにより、基板を洗浄することができる。基板の外周面のうち、この段階で洗浄できないのは、組Aの回転柱との接点のみである。この間、ストッパーに連れられて伝達部材及びカム機構も回転軸と共に回転し、各回転柱も回転軸を通る中心線の回りを旋回する。 次に、駆動源より一つの出力を生じさせてその駆動源から組Bの回転柱に至る伝達経路のカム機構及び伝達部材を介して組Bの回転柱を回転させる。即ち、駆動源の出力をカム機構が回転力に変換し、伝達部材を介して組Bの回転柱に伝達する。それに伴って旋回中の組Bの回転柱が自身の軸線を中心として回転する。こうして基板は、組Aの回転柱と同時に組Bの回転柱によっても挟まれる。 その後、もう一つの駆動源の出力の方向を変えることにより組Aの回転柱を自身の軸線を中心として回転させる。これにより基板は、組Aから解放される。従って、洗浄されずに残っていた、組Aの回転柱との接点を洗浄することができる。 前記回転柱としては、上面を有する柱と、その上面の偏心位置に立てられて柱の回転に伴って基板の側面に接し又は離れるピンとを有するものであってよい。柱の上面で基板の底面を支持し、ピンで基板の側面を傷つけることなく挟み又は解放することができるからである。この場合、各組のピンは同じ組のピンと周方向にほぼ等間隔の位置に配置され、他の組のピンとは異なる位相位置に配置される。これにより、各組のピンが交替で基板を挟み又は解放することができる。このような回転柱の構成において、前記上面が傾斜しており、前記偏心位置が上面の最高位置であると好ましい。これにより上面と基板底面との接触が点接触となり、上面と基板底面との間を洗浄液が通過しやすくなり、洗浄効果が一層向上する。 伝達部材が回転力を伝達する手段としては、歯車伝動及びベルト伝動が挙げられる。望ましいのは、歯車伝動、即ち前記回転柱の外周面及び前記伝達部材の外周面に互いに噛み合うように形成された歯車歯である。 前記カム機構は、回転軸を中心として回転可能且つ回転軸方向に移動可能に本体に取り付けられ、回転軸に対して傾斜した溝を有する溝カムと、伝達部材に固定されて溝内を転動するローラとの組み合わせである。溝が回転軸に対して傾斜していることから、溝カムの回転軸方向の移動により、ローラが周方向に変位させられ、伝達部材を回転させることができる。 前記ストッパーは、回転軸と直交する円盤であって、溝カムの回転軸方向の移動を許容するとともに溝カムを回転軸に連れ回りさせる凹部を有するものである。 前記回転軸の上端にはテーブルが固定され、前記回転柱はテーブルを介して回転軸に気密に固定されているのが、好ましい。テーブル下の部品の濡れを防止できるからである。また更に、テーブルが回転柱よりも径方向外側に延びており、テーブルの上面の延長部分に気密に当接して回転柱を収容可能なカバーを備えると好ましい。これにより、基板を極力小さい密閉空間に収容することができる。そのため、減圧手段や基板材料に対して不活性な気体を導入する手段と併用して、基板をその位置で静止させたまま速やかに乾燥させることができる。尚、このテーブルと回転柱との気密化構造は、テーブルの下の動力伝達機構がこの発明と異なる洗浄装置に対しても適用可能である。 すなわち、前記第二番目の課題を達成するために、適切な基板乾燥装置は、 テーブルと、 テーブルの中心と周縁との間に立てられて基板を支持する複数の支柱(前記洗浄装置が乾燥装置を兼ねる複合機となるときは、回転柱がこの支柱となる。)と、 テーブルの上面に気密に当接して支柱を収容しうるとともに、テーブルから離れる方向に移動可能なカバーと、 テーブルに当接しているカバーとテーブルとで囲まれる空間を減圧する手段と を備えることを特徴とする。 【発明の効果】 この発明の基板洗浄装置によれば、基板を回転させながら、外周面を含む基板全体を洗浄することができる。従って、洗浄液の圧力で飛散する導電材料が基板に付着しにくく、洗浄後の清浄度が高い。また、基板の表裏面洗浄のための反転・移送装置が付属していないので、装置全体が小型である。 【発明を実施するための最良の形態】 −実施形態1− この発明の実施形態を図面とともに説明する。図1は第一の実施形態に係る洗浄装置の要部を示す軸方向断面図、図2は同じく平面図である。 洗浄装置1は、半導体基板70を回転させながら、洗浄液を噴射して洗浄するものである。洗浄装置1は、円筒部を有する本体43と、本体43に固定された駆動モータ9と、本体43の円筒部内周面に上下の軸受け30を介して取り付けられた中空の回転軸4と、本体43にシリンダベース46を介して周方向に等間隔に固定された三個の往復エアシリンダ51と、シリンダベース47を介して同様に固定された三個の往復エアシリンダ52とを備える。駆動モータ9は、ベルトを介して回転軸4をその軸回りに回転させる。回転軸4の上端には円盤状のテーブル3がボルトにて固定されている。回転軸4の内部には、上下の軸受け7を介して中心軸5が嵌合され、その中心軸5の中に2本の洗浄液供給管が通されている。中心軸5は、テーブル3よりも上方に突き出ており、上端には供給管に各々接続された二個の下部ノズル6が取り付けられ、下端は本体43に固定されている。 二組のエアシリンダ51、52は、ロッドが先端のブロック56、57を伴って上下方向に往復運動するもので、同じ組のシリンダは同期して作動するとともに、互いに他方の組と独立して出力を生じるように図略の制御装置と接続している。ブロック57には、本体43を包囲する環状の溝カム37が軸受け32を介して取り付けられ、ブロック56にはその溝カム37を包囲するように環状の溝カム36が軸受け31を介して取り付けられている。即ち、溝カム36、37は互いに非接触の二重輪状配置をとっている。溝カム36の周縁部には図3に正面図として示すように上向きの3つの突起40が周方向に等間隔に形成され、溝カム37の周縁部にも突起41が突起40と60度位相をずらせた位置に形成されている。そして、それらの突起40、41に外側から見て左上がりに傾斜し、径方向に貫通した溝38、39が形成されている。溝38の勾配は、後述の伝達部材26の回転ストロークを伝達部材27の回転ストロークと同じにするために、溝39の勾配よりも緩やかになっている。溝カム36、37の上方には、溝カム36よりも大きい外径の円盤状のストッパー23が回転軸4の外周面より径方向に張り出している。ストッパー23は、回転軸4にボルトで固定されている。ストッパー23は、図4及び図5に示すように、突起40、41と対応する箇所に少し余裕をもって突起40、41をそれぞれ受け入れる切り欠き24及び孔25を有している。従って、溝カム36、37の上下方向の移動を許容するとともに、回転軸4に対する相対的な回転を阻止している。 一方、テーブル3の周縁には、周方向に等間隔に3本の回転柱10が取り付けられ、同じ円周上で回転柱10と60度位相をずらせた位置に回転柱11が取り付けられている。3本の回転柱10は、互いに同形である。回転柱11も同様である。回転柱10、11は、テーブル3を上下方向に回転可能に貫通している。そして、上面は緩い勾配をもって傾斜しており、ほぼ最高位で丸棒状のピン20、21が上向きに突出している。回転柱10、11には、テーブル3下の部分に歯車12、13が嵌合され、固定されている。これらの歯車12、13は、それぞれ伝達部材26、27の外周面に形成された歯車歯28、29と噛み合っている。伝達部材26、27は、図6及び図7にそれぞれ平面図として示すように、中央に軸孔を有するほぼ円盤状をなす。伝達部材26は、フッ素樹脂などの摩擦係数の小さい樹脂からなり、回転軸4の外周面におけるテーブル3直下の高さ位置に摺動可能に嵌合されている。伝達部材27は、伝達部材26よりも更に下方で同様に回転軸4に嵌合されている。尚、伝達部材26、27には、噛み合いの関係に無い歯車13、12との干渉を避けるために、凹形の逃げ71、72が形成されている。更に、伝達部材26、27の下面には、ブラケットを介してローラ16、17がそれぞれ溝カムの溝38、39内で転動可能に取り付けられている。尚、図7における符号73は、ブラケット挿入用孔を指す。 テーブルの上方には、上部ノズル(図示省略)が備えられている。上部ノズルは、例えばWO2005−38893に開示されている噴射器30のようなもので、アームの端部に保持され、アームの他端がジョイントに水平方向の軸回りに回転可能に連結され、ジョイントは本体に回転可能に立てられている。従って、上部ノズルは、水平方向に移動可能であるとともに、傾斜も可能であり、基板の上面と側面とに向かって洗浄液を噴射することができる。 尚、図12に縦断面図として示すように、回転軸4と伝達部材26、27との嵌合部に玉軸受け60、61を介在させてもよい。 この洗浄装置1を用いて円形の基板70を洗浄する操作を説明する。以下の説明において「時計方向」とは「平面視時計方向」、「反時計方向」とは「平面視反時計方向」を意味する。モータ9をOFFにしてテーブル3の回転を停止しておき、ピン20、21を基板70の外周面よりも外側に退避させおき、基板70を回転柱10、11の上面に載せる。そして、シリンダ51のブロック56を下降させる。すると溝カム36がブロック56に伴われて下降する。図4は、溝カム36が下降した状態を示している。溝カム36は、ローラ16から受ける反力で下降に伴って溝38の方向に沿って回転しようとするが、突起40と切り欠き24とが係り合っているため、ストッパー23にて回転が阻止される。従って、逆にローラ16が溝カム36の下降中に溝38内を転動しながら時計方向に移動し、それに伴って伝達部材26が同方向に回転する。それにより同時に3本の回転柱10が反時計方向に回転し、3本のピン20が基板70の外周面を挟む(図8(a))。その結果、テーブル3の回転中心と基板70の回転中心との一致性を保って基板70が3本一組の回転柱10に保持される。 この状態でモータ9を駆動させることにより、回転軸4及びテーブル3とともに基板70を回転させながら、上下のノズルより洗浄液を噴射する。これにより、基板70は、ピン20と接触している部分を除いてほぼ全面が洗浄される。この間、伝達部材26、27及び溝カム36、37もストッパー23に連れられて回転軸4と共に回転し、各回転柱10、11も中心軸5の回りを旋回する。 次に、シリンダ52でブロック57を下降させる。するとブロック56の下降時に溝カム36が下降したと同様に溝カム37が図1の上昇位置から下降し、ローラ17の転動に伴って伝達部材27が時計方向に回転する。それにより旋回中の回転柱11が反時計方向に回転し、3本のピン21が基板70の外周面を挟む。その結果、基板70は、回転を停止することなく、各組3本からなる合計6本の回転柱で保持される(図8(b))。 その後、シリンダ51でブロック56を溝カム36とともに上昇させる。すると、伝達部材26が反時計方向に回転し、旋回中の回転柱10が同時に時計方向に回転する。それにより、3本のピン20が基板70から離れ(図8(c))、ピン20と接触していた部分も洗浄される。 シリンダ51、52は、押し式、引き式のいずれであってもよい。いずれの場合も停電やエア漏れ等によってエアの供給が停止したときでもブロック56、57が下がるようにリターンスプリングと併用するのが望ましい。また、シリンダ51、52、突起40、41及びローラ16、17は、曲げモーメントを軽減し、溝カム、ローラ、伝達部材などに発生する歪みを小さくするために各三個設けたが、個数は限定されない。回転柱10、11の上面は水平であってもよいが、傾斜しているのが好ましい。傾斜していることにより、基板70が回転柱10、11に点接触して支持される。その結果、基板70の底面と回転柱10、11との間を洗浄液が通過しやすくなり、洗浄力が向上するからである。テーブル3の幾何学的中心と回転中心とは一致していなくてもよく、不一致の場合の方が幾何学的中心を含む全面を均等に洗浄することができる。幾何学的中心と回転中心とを不一致にするには、3本の回転柱10(及び11)のうちの1本を、1又は2歯分だけ残り2本の回転柱よりも先行もしくは遅延するように伝達部材26(及び27)と噛み合わせればよい。 −実施形態2− 図9は第二実施形態に係る基板洗浄装置を示す要部断面図、図10は図9におけるD部拡大図である。この実施形態に係る洗浄装置は、洗浄後に基板を移動することなく乾燥することを可能にするものである。洗浄装置2は、テーブル3より下は実施形態1と同じ構造であってよい。以下、実施形態1と異なる点及び実施形態1で説明を省略した点を詳細に説明する。 この実施形態では、テーブル3の上面に気密に当接して回転柱10、11を収容可能なカップ状のカバー80を備える。カバー80は、図略の昇降装置により昇降可能である。回転柱10、11の外周面にはゴム製又はフッ素樹脂製のリングシール88が填められている。テーブル3を回転軸4に固着するボルトの外周面にも同様にOリングシール89が填められている。また、テーブル3の軸孔30には図10に示すようにフッ素樹脂製のリングシール90が填められている。リングシール90は、内周面の上下にリップが突き出たデュアルリップ形状を有している。これらのリップは、中心軸5の外周面に密接するとともに、中心軸5に近づくほど互いに離れる方向に湾曲している。従って、加圧減圧いずれの場合も気体の通過を阻止しうる。また、リングシール90は、フッ素樹脂からなるので、耐薬品性に優れ、粉塵が発生しにくい。こうしてテーブル3の気密性が保たれている。更に、テーブル3は、回転柱10、11よりも径方向外側に張り出すように延びている。そして、カバー80の下降時にはこの張り出し部分の上面にカバー80の下端面がゴム製のOリングシール87を介して当接する。Oリングシール87は、カバー80の下端面に形成された環状凹部74に嵌められている。カバー80には切替弁82、85及び排気弁86が取り付けられている。従って、カバー80が下降してテーブル3と合わせられているときは、気体はカバー80とテーブル3とで囲まれる空間Sの内外を通り抜けることができない。 テーブル3と中心軸5との嵌合部の気密性は、単一のリングシール90に代えて、2個以上のシール、例えば上リップを有するもの(加圧用)と下リップを有するもの(減圧用)とを併用することにより確保してもよい。また、凹部74に代えて図13に縦断面図として示すようにテーブル3’の上面に環状凹部75を形成し、そこにOリングシール87を嵌めることにより、カバー80’の下端面と気密に当接させてもよい。尚、図13のD部拡大図は、図10と同じである。 この洗浄装置2によれば、テーブル3の回転を停止してカバー80を下降させ、基板70の周囲をカバー80とテーブル3とで密閉した後、切替弁82を介して真空ポンプ81で減圧することにより、基板70を乾燥させることができる。基板70を支持する回転柱10、11の組を変えることにより、基板70を移動することなくその支持部分も乾燥させることができる。減圧により洗浄液の蒸発速度が高められるから、基板70は常温で乾燥する。しかも減圧対象となる空間Sがテーブル3の上面とカバー80とで囲まれる小さい部分であるから、速やかに減圧することができる。従って、ウォーターマークが付くことはない。しかも、洗浄後に基板70を移動させる必要がないので、移動中の汚染を避けることができる。また、必要に応じて洗浄後減圧前にレギュレータ84で圧力を調整しながら、切替弁85を介して基板材料及び導電材料に対して不活性な気体、例えば窒素を導入すると同時に、排気弁86より空気を排出してもよい。そして、窒素置換後または置換中に減圧乾燥することにより、トレンチ内まで窒素が充満し、導電材料を酸化させることなく清浄に乾燥することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】実施形態1の洗浄装置の要部を示す軸方向断面図である。 【図2】同洗浄装置の要部を示す平面図である。 【図3】同洗浄装置の一つの溝カムを示す正面図である。 【図4】同洗浄装置の一つの溝カムとストッパーとの関係を示し、(a)が平面図、(b)が正面図である。 【図5】同洗浄装置のもう一つの溝カムとストッパーとの関係を示し、(a)が平面図、(b)が背面図である。 【図6】同洗浄装置の一つの伝達部材を示す平面図である。 【図7】同洗浄装置のもう一つの伝達部材を示す平面図である。 【図8】一組の回転柱と別の一組の回転柱の各々の回転時期を説明する図である。 【図9】実施形態2の洗浄装置の要部を示す軸方向断面図である。 【図10】図9におけるD部拡大図である。 【図11】従来の洗浄装置の要部を示す軸方向断面図である。 【図12】実施形態1の洗浄装置の変形例を示す軸方向断面図である。 【図13】実施形態2の洗浄装置の変形例を示す軸方向断面図である。 【符号の説明】 1 洗浄装置 3 テーブル 4 回転軸 5 中心軸 6 ノズル 7 軸受け 9 駆動モータ 10、11 回転柱 20、21 ピン 26、27 伝達部材 36、37 溝カム 16、17 ローラ 23 ストッパー 51、52 シリンダ 80 カバー |
||
【図1】 |
||
【図2】 |
||
【図3】 |
||
【図4】 |
||
【図5】 |
||
【図6】 |
||
【図7】 |
||
【図8】 |
||
【図9】 |
||
【図10】 |
||
【図11】 |
||
【図12】 |
||
【図13】 |
||
ページtop へ |