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機械器具
 
【発明の名称】ホース洗浄装置
【出願人】
【識別番号】598133481
【氏名又は名称】伊藤 聖士
【住所又は居所】熊本県菊池郡菊陽町大字辛川1348番地の8
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100092163
【氏名又は名称】穴見 健策
【発明者】
【氏名】伊藤 聖士
【住所又は居所】熊本県菊池郡菊陽町大字辛川1348番地の8
【要約】
【課題】
構成が簡単で、効率的かつ確実に洗浄できるホース洗浄装置を提供する。
【解決手段】
少なくとも1個がホース100の送り片面に洗浄ブラシ32が当たり、さらに少なくとも他の1個がホースの他の片面に当たるように配置された複数の回転ブラシ12と、該回転ブラシ12を回転駆動させる駆動装置14と、を含み、該回転ブラシのうちの一対の回転ブラシ(121,122)は、支軸30がホース100の送り方向に対して相対的にずれた位置に配置され、かつ、ホース100の面との十分な接触面積を確保しうるようにそれぞれ十分大きな洗浄ブラシ端外径(R1,R2)を備えたホース洗浄装置10から構成される。回転ブラシ12の回転によるホース100の洗浄時の洗浄ブラシとホースとの摩擦抵抗により、ホース100を送り駆動させつつ洗浄し、長いホースを効率良く短時間で確実に洗浄できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向に送られる布製等のホースの外表面を水を供給しながら洗浄する洗浄装置であって、
支軸体に洗浄ブラシを放射状に取付けた複数の回転ブラシであり、そのうちの少なくとも1個の回転ブラシはホースの送り片面に洗浄ブラシが当たり、さらに少なくとも他の1個の回転ブラシはホースの他の片面に洗浄ブラシが当たるように配置された回転ブラシと、
該回転ブラシを回転駆動させる駆動装置と、を含み、
該回転ブラシのうちの一対の回転ブラシは、それらの支軸体がホースの送り方向に対して相対的にずれた位置に配置され、かつ、ホースの面との十分な接触面積を確保しうるようにそれぞれ十分大きな洗浄ブラシ端外径を備え、
回転ブラシの回転によるホースの洗浄時の洗浄ブラシとホースとの摩擦抵抗により、ホースを送り駆動させつつ洗浄させることを特徴とするホース洗浄装置。
【請求項2】
回転ブラシの支軸体は、機枠に片持ち状に回転自在に軸支され、相対的にずれて離隔した位置に配置された回転ブラシ間にホース中間部を挿脱自在に装着可能としたことを特徴とする請求項1記載のホース洗浄装置。
【請求項3】
回転ブラシの回転によるホースの送り作動に抗して手動によりホース自体を停止又は引き戻し可能に洗浄ブラシとホースとの摩擦抵抗を生じさせるように設定したことを特徴とする請求項1または2記載のホース洗浄装置。
【請求項4】
回転ブラシに向けて、かつ、該回転ブラシの幅方向に末広がり状に水を噴出させる水供給装置を設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のホース洗浄装置。
【請求項5】
ホースの送り動作時の幅方向へのずれを防止する走路安定機構を設けたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のホース洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、例えば、消火活動の際に使用される消防用ホース等を含む布製等のホース表面を洗浄するホース洗浄装置に関する。
【背景技術】
例えば、消防用のホースは、火災現場での消火活動の際にホース表面に泥や汚れが付着するので、放置しておくと泥が固まってホース自体が硬くなったり、ホースが傷んだりしてしまう。例えば、ホースが泥で固まるとホースを延長させにくくなり、放水圧が低下し消火活動に支障をきたす恐れがある。したがって、消防ホースは常時使用可能にメンテナンスをしておく必要があって、付着した泥によるホース自体の固まり、ホースの傷み等を防止するために使用後には必ず洗浄する必要がある。消防用ホースを洗浄する作業は、例えば、手作業で行われており、消防ホースに水をかけながらたわしやハンドブラシ等でこすることにより、ホースを洗浄している。消防ホースは、例えば繊維を織り込んで形成された布製等のホースからなり、不使用時には平らな帯状になっているので片面ずつ洗浄する必要があるが、一本の長さが約20mと長く、作業が煩雑で労力と時間がかかっていた。
一方、実開昭63−8057号公報には消防ホースを機械的に洗浄する消防ホース洗浄機が提案されている。実開昭63−8057号の消防ホース洗浄機は、ケースを開閉する上蓋と、上下に対向配置された回転ブラシと、上下に対向配置された送りローラと、回転ブラシ近傍に配置された注水管と、回転ブラシ及び送りローラを回転させるモータと、を備えている。上側に配置された回転ブラシ及び上側に配置された送りローラは、上蓋に回転自在に横架されており、閉蓋状態で下側の回転ブラシ、送りローラにそれぞれ近接対向するようになっている。消防ホースを洗浄する際には、上蓋を開いて上下の回転ブラシ間と上下の送りローラの間に消防ホースを挟み込んだ後、上蓋を閉じて、送りローラによって消防ホースを一方向に送りながら、回転ブラシのブラッシングで消防ホースを洗浄していくものであった。
【特許文献1】
実開昭63−8057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実開昭63−8057号公報の消防ホース装置では、回転ブラシの回転軸が鉛直状の位置で互いに平行に配置され、消防ホースは平らな帯状になっており、回転ブラシと消防ホースの表面とはほとんど線状にしか接触しないので、確実に汚れを落とすことが困難で、洗浄効率が劣るものであった。また、洗浄用の回転ブラシ構成とは別に、消防ホースを挟み込みながら送るための送りローラ構成が必要であるので、一対の送りローラ、該ローラの支持体、駆動ギア等を含む多くの構成部材が必要となり構造が複雑であるとともに、装置が大型化し、重量化して持ち運びしにくく、設置スペースまたは収容スペースも広くとる必要があった。さらに、消防ホースを送りローラで一方向のみに送るだけであるので、ホース表面に一部に汚れがひどい部分がある場合には、洗浄機で洗浄した後に、別途に該ホースの汚れ部分をたわしやハンドブラシ等を使って手作業で洗う必要があり、煩雑で労力がかかっていた。同様に、消防ホースの汚れがひどい部分周辺だけを実開昭63−8057号の消防ホース洗浄機を使って洗浄する場合には、上蓋を開けてホースの汚れた部分を回転ブラシより手前にセットし、上蓋を閉めて回転ブラシ間と送りローラ間に挟み、洗浄機を作動して洗浄し、汚れが落ちていない場合には一旦洗浄機を止めて再び上蓋を開き、ホースの汚れ部分を設置し、上蓋を閉めて回転ブラシ間と送りローラ間に挟み、洗浄機を作動して洗浄する、という操作を繰り返す必要があり煩雑であった。実際には上記のように回転ブラシによる確実な洗浄が困難ないし不可能であり、実用性が低いものであった。
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、構造が簡単で、効率的にホースを送りながら確実に洗浄でき、しかも装置全体をコンパクトに製造できるホース洗浄装置を提供することである。さらに、他の発明は、部分的に汚れがひどい場合でも該当場所を効率的かつ確実に汚れを落とすことができるホース洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、横方向に送られる布製等のホース100の外表面を水を供給しながら洗浄する洗浄装置であって、支軸体30に洗浄ブラシ32を放射状に取付けた複数の回転ブラシ12(121,122)であり、そのうちの少なくとも1個の回転ブラシ12(121)はホース100の送り片面に洗浄ブラシ32が当たり、さらに少なくとも他の1個の回転ブラシ12(122)はホース100の他の片面に洗浄ブラシ32が当たるように配置された回転ブラシ12と、該回転ブラシ12を回転駆動させる駆動装置14と、を含み、該回転ブラシのうちの一対の回転ブラシ12(121,122)は、それらの支軸体30がホース100の送り方向に対して相対的にずれた位置に配置され、かつ、ホースの面との十分な接触面積を確保しうるようにそれぞれ十分大きな洗浄ブラシ端外径(R1、R2)を備え、回転ブラシ12(121,122)の回転によるホースの洗浄時の洗浄ブラシ32とホース100との摩擦抵抗により、ホース100を送り駆動させつつ洗浄させることを特徴とするホース洗浄装置10から構成される。回転ブラシの支軸は、鉛直方向でも水平方向でもいずれの方向に設けられていてもよい。回転ブラシの洗浄ブラシは、周方向に沿って全体的にある程度密に配置されていてもよく、或いは洗浄ブラシを密に植設した部分と粗に植設した部分とを交互に配置させることとしてもよい。回転ブラシの洗浄ブラシ先端とホース面との摩擦抵抗は、好適には、洗浄ブラシ先端がホース面をある程度すべりながらこすり、かつホースが送られるように設定するとよい。回転ブラシとホース面との摩擦抵抗の設定は、例えば、回転ブラシの支軸とホースが水平状に配置される基準面Lとの距離(d1、d2)に対して回転ブラシの回転半径(R1,R2)を大きくとるとブラシのホースとの接触面積が大きくなり、摩擦抵抗を大きくすることができる。また、摩擦抵抗は、回転ブラシ間に配置されるホースの撓みまたは張り具合、回転ブラシの支軸間の距離及び横方向へのずれ位置の設定、ホースまたは洗浄ブラシの材質等、種々の条件により設定される。なお、回転ブラシの半径を大きく形成して回転ブラシの洗浄ブラシ先端とホースとの摩擦抵抗を大きく設定しすぎると回転ブラシによるホースの送り速度が大きくなり、洗浄ブラシがホース面をほとんどすべらず、洗浄ブラシによるホース面をこする力が低下してしまう。駆動装置は、例えば、一個のモータで複数の回転ブラシを同期回転する構成でもよく、複数のモータで回転ブラシを回転させる構成でもよい。また、駆動装置は、駆動源からの回転ブラシの支軸への駆動力の伝達は、ギヤ、ベルト・プーリ、チェーン・スプロケット構成、あるいは、ピストンやクランク等を用いた回転機構等、その他任意の構成でも良い。駆動装置のスイッチング操作により、回転ブラシの回転方向を切り替え可能に構成して、ホースの送り方向を前後に変換できるようにしてもよい。ホース洗浄装置には、装置周囲への水はねを防止するためのカバーが設けてあってもよい。
また、回転ブラシ12(121,122)の支軸体30は、機枠18に片持ち状に回転自在に軸支され、相対的にずれて離隔した位置に配置された回転ブラシ間(H)にホース100中間部を挿脱自在に装着可能としたこととしてもよい。
また、回転ブラシ12(121,122)の回転によるホース100の送り作動に抗して手動によりホース自体を停止又は引き戻し可能に洗浄ブラシ32とホース100との摩擦抵抗を生じさせるように設定したこととしてもよい。なお、回転ブラシの半径及び、それらの支軸体の位置の設定は、例えば、回転ブラシの洗浄ブラシ先端へホースを接触させた際にホースの撓みがある程度少ないように設定されるとホースの引き戻し操作が行いやすい。回転ブラシにホースの撓みが大きくなるように接触させると、ホースを引き戻す方向に力を加えた際に、ホースは撓み状態から伸張しようとする力が作用して、ホースを引き戻す方向の力よりホースが回転ブラシに向けて押圧するような作用力の方が大きくなり、ホースの引き戻し操作が困難となる。
また、回転ブラシ12(121,122)に向けて、かつ、該回転ブラシの幅方向に末広がり状に水を噴出させる水供給装置16を設けたこととしてもよい。水供給装置16は、複数の回転ブラシのうちすべての回転ブラシに対して設けてもよく、ホースを挟むように配置される少なくとも一対の回転ブラシに対して設けられても良い。
また、ホース100の送り動作時の幅方向へのずれを防止する走路安定機構46を設けたこととしてもよい。走路安定機構は、例えば、少なくともホースの幅方向両側にあてがわれる構成でもよく、一対の立設された支柱、枠部材、ガイド板等、その他任意の構成でもよい。
【発明の効果】
本発明のホース洗浄装置によれば、横方向に送られる布製等のホースの外表面を水を供給しながら洗浄する洗浄装置であって、支軸体に洗浄ブラシを放射状に取付けた複数の回転ブラシであり、そのうちの少なくとも1個の回転ブラシはホースの送り片面に洗浄ブラシが当たり、さらに少なくとも他の1個の回転ブラシはホースの他の片面に洗浄ブラシが当たるように配置された回転ブラシと、該回転ブラシを回転駆動させる駆動装置と、を含み、該回転ブラシのうちの一対の回転ブラシは、それらの支軸体がホースの送り方向に対して相対的にずれた位置に配置され、かつ、ホースの面との十分な接触面積を確保しうるようにそれぞれ十分大きな洗浄ブラシ端外径を備え、回転ブラシの回転によるホースの洗浄時の洗浄ブラシとホースとの摩擦抵抗により、ホースを送り駆動させつつ洗浄させる構成であるから、回転ブラシをホース面に十分に広い接触面積で当てながら回転させることによって強い力でブラッシングできてホース表面の汚れを確実に洗浄できると同時に、回転ブラシの際に生じる洗浄ブラシ先端とホース表面との摩擦抵抗力により回転ブラシの回転力の一部をホースの送り駆動力として利用して、長いホースを効率的に送りながら、短時間で確実に洗浄することができる。すなわち、回転ブラシの構成がホース表面の洗浄手段とホースの送り駆動手段とを兼用して、装置全体の構成を簡単に設計でき、低コストで製造することができる。また、ホース洗浄装置をコンパクトに製造でき、持ち運びが簡単で、収納又は設置スペースが確保しやすく、例えば、地区の消防団施設や家庭等の比較的狭い場所でも洗浄作業を良好に行える。
また、回転ブラシの支軸体は、機枠に片持ち状に回転自在に軸支され、相対的にずれて離隔した位置に配置された回転ブラシ間にホース中間部を挿脱自在に装着可能とした構成とすることにより、相対的にずれた回転ブラシの間が比較的広く形成されて、回転ブラシ間の構成を保持したままでもホース中間部を横方向からの差込み操作で該回転ブラシの間に簡単かつスムーズに装着できる。同様に、ホースの洗浄終了後にも簡単かつスムーズに装置から離脱させることができる。特に、例えば、消防用ホースのようにホースの両端に金具がついているようなものでも、金具と回転ブラシとが干渉することなく、回転ブラシの間にホース中間部を簡単に挿脱することができる。また、例えば、長いホースの一部分だけを洗浄する場合でも、ホースの該当部分を回転ブラシ間に簡単に装着させて洗浄できる。
また、回転ブラシの回転によるホースの送り作動に抗して手動によりホース自体を停止又は引き戻し可能に洗浄ブラシとホースとの摩擦抵抗を生じさせるように設定した構成とすることにより、例えば、ホースの汚れがひどい場合に、一方向に送り駆動されるホースを手動で強制的に停止または引き戻すことによって、該汚れ部分周辺に長時間、あるいは繰り返し回転ブラシを当てて集中的に洗浄することができ、汚れがひどい部分を効率的かつ確実に洗浄することができる。さらに、回転ブラシの回転によるホースの送り作動に抗してホース自体を停止又は引き戻しする際には、回転ブラシはホースに対してより強い力でブラッシングするので、ホース表面にこびりついた汚れを良好に落とすことができる。
また、回転ブラシに向けて、かつ、該回転ブラシの幅方向に末広がり状に水を噴出させる水供給装置を設けた構成とすることにより、簡単かつ安価な構造で、回転している回転ブラシの全体に水を供給でき、ホースの両面を水を含んだ回転ブラシによりブラッシングして確実に洗浄することができる。
また、ホースの送り動作時の幅方向へのずれを防止する走路安定機構を設けた構成とすることにより、ホースの未洗浄部分が地面に巻いて又はある程度無作為に配置されていてもホースを回転ブラシに確実に当たるように安定して送り、良好にホースを送り駆動させつつ洗浄することができる。同時に、洗浄したホースの部分を絡まることなくスムーズに装置から送りだすことができる。また、回転ブラシの回転による送り作動に抗して手動でホース自体を引き戻す場合にも、ホースが回転ブラシに当たる位置から幅方向にずれることなく操作を行える。ホースの引き戻し動作後に再び回転ブラシの回転により送り駆動させる際にも、幅方向へのずれを防止して安定してホースを回転ブラシに当てることができ、良好な洗浄が行える。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、添付図面を参照しつつ本発明のホース洗浄装置の実施の形態について説明する。本発明のホース洗浄装置は、布製等のホースを横に送り駆動させつつホースの外表面を水を供給しながら洗浄する洗浄装置である。図1ないし図4は、本発明のホース洗浄装置の実施の形態を示している。本実施形態において、ホース洗浄装置10は、図1ないし図3に示すように、複数の回転ブラシ12と、回転ブラシ12を回転駆動させる駆動装置14と、を含む。さらに、本実施形態では、ホース洗浄装置10に水を供給するための水供給装置16を備えている。本実施形態において、洗浄対象物のホース100としては、例えば、消火活動の際に用いられる消防用のホースの場合について説明する。図2、図3に示すようにホース100は、全体として約20mの長さで、ホース本体が例えば、麻、綿、その他の天然繊維あるいは、ポリエステル、その他の合成繊維等の繊維を織り込んだ布からなり、ホース本体の両端側には、例えば鉄、アルミニウム合金等の金属製の連結金具102がホース端部を筒状に形成した状態でホース本体の内部と外部とを連通して接続されている。
図1、図2に示すように、本実施形態において、ホース洗浄装置10は、回転ブラシ12、駆動装置14、水供給装置16を含む構成部材を機枠18に一体的に組み付けて設けられている。機枠18は、下枠部20と、下枠部20の中間位置に立設された中空ケース体22と、を含む。下枠部20は、例えば、金属や硬質合成樹脂等からなる枠材を縦横に組み付けて形成されており、下面側には洗浄装置移動用のキャスタ24が転動自在に取り付けられている。ケース体22は、例えば、金属や合成樹脂等からなる側板を組み付けて直方体状に形成されており、図3に示すように、平面視でケース体の正面側の側板22aが下枠部20の略中央位置になるように背面側にずれた位置に配置されている。本実施形態では、ケース体22の正面側の側板22a側には、2個の回転ブラシ12がその支軸30を水平状に配置した状態で正面側に向けて突設状に配置されるように片持ち状に軸支されている。ケース体22の中空内部には駆動装置14が内蔵されている。なお、本実施形態では、ホース100を送る横方向に沿った方向を前後方向として、図1上、右側が前方向、左側が後方向とする。
図1、図2、図3に示すように、機枠18には、ホース100の長さ方向中間部を地面からある程度の高さの位置で略水平状に保持しつつホース中間部を前後方向に自在に移動できるように支持する移動支持部26が設けられている。本実施形態において、移動支持部26は、下枠部20から縦に長く立設された柱体27の上端側に設けられた軸支部29を介して軸支された転動部材28を含む。移動支持部26の高さは、ホースの中間部を支持した状態で両端が地面に接地する程度に設定されており、移動支持部26に支持されたホース中間部は、その両側の延長部分の自重により、略水平状態で前後に移動しないようになっている。本実施形態では、移動支持部26は、機枠18の前後端部側と、ケース体22に取り付けられた回転ブラシ12の位置よりやや後方寄り側との3箇所に互いに離隔して配置され、ホース中間部を下から支持する。転動部材28は、ホース100の送り方向と直交方向で水平方向に設けられた軸を中心に正逆いずれの方向にも自在に自由回転し、上方側にホース100が載置状に配置される。本実施形態では、転動部材28は、例えば、ホース100の幅と略同じがやや長く設けられたローラ体からなる。各転動部材28は、ホース100の中間部分に前または後方向への駆動力が働いた際に、ホースをスムーズに移動させることができる。
本実施形態において、回転ブラシ12は、図1、図2に示すように、支軸30を中心としてその中心部から外側に放射状に広がるように洗浄ブラシ32を取り付けて構成されており、概略円筒形のローラ状のブラシ体からなる。回転ブラシ12は、水平に設けられた支軸30回りに横軸回転するようになっており、移動支持部26によって支持されるホース中間部を挟むように、ケース体22の上方側と下方側にそれぞれ一個ずつ配置されている。上方側の回転ブラシ121はホース100の送り片面(上面)に洗浄ブラシ32の先端側が当たるとともに、下方側の回転ブラシ122はホース100の他の片面(下面)に洗浄ブラシ32の先端側が当たるように配置されている。回転ブラシ12は、幅方向に少なくともホース100の幅よりも長く形成されており、ホースの面との接触部分ではホースの幅全体に洗浄ブラシ32先端が当たるように設けられている。回転ブラシ12の洗浄ブラシ32は、例えば、ナイロン、ポリプロピレン、馬毛、パキン等、その他ある程度コシがある化学繊維、天然繊維、動物毛等を含む繊維材質からなり、支軸30回りに固定されたプラスチック等の合成樹脂製の円筒ドラム体31に根元を固定されている。洗浄ブラシ32は、先端部を自由端として、回転ブラシ12の回転時にホース面と接触した際にホースの表面との間に所定の摩擦力を生じ、ホース表面をブラッシング洗浄する。
さらに、ホース100を挟むように対向される一対の回転ブラシ121、122は、それらの支軸30がホースの送り方向に対して相対的にずれた位置、すなわち、前後方向にずれた位置に配置されている。本実施形態では、上方側の回転ブラシ121が機枠18の後方側寄りにずれ、下方側に配置された回転ブラシ122が機枠18の前方側寄りにずれて配置され、各回転ブラシのブラシ先端がある程度離隔するように配置されている。本実施形態では、図4に示すように、一対の回転ブラシ121、122の支軸30間を通る水平面を回転ブラシ間の基準面Lとして、ホース100が回転ブラシ12間を該基準面L上に略沿って配置されながら通るようになっている。なお、回転ブラシの個数は2個1対に限らず、3個以上の複数個を配置させてもよい。例えば、ホースの上面側に当たるように2個または3個以上の回転ブラシを配置し、ホースの下面に当たる2個または3個以上の回転ブラシを配置してもよく、全部で奇数個、偶数個となるように配置してもよい。それらの複数個の回転ブラシのうち、少なくとも一対の回転ブラシがホースの送り方向に対して相対的にずれた位置にあればよいが、それぞれ対となる回転ブラシが位置ずれの関係になっていてもよい。
本実施形態では、図4に示すように、相対的にずれて離隔された位置に配置された回転ブラシ121,122の支軸間の距離Dは、各回転ブラシの半径R1,R2の和よりも大きく設定され(D>R1+R2)、回転ブラシ121,122の間に間隙Hを形成している。図2に示すように、回転ブラシ12は、上記したように機枠18に片持ち状に軸支されており、間隙Hの正面側には、間隙Hに外部から連通するように挿脱開口33が設けられている。この挿脱開口33を介して、ホース中間部を横方向に移動させることにより、回転ブラシ間にホース中間部を挿脱自在に装着できる。これにより、例えば、両端に連結金具102を有している消防ホースを洗浄する場合でも、例えば、回転ブラシを近接離隔するような複雑な構成を必要とせず、回転ブラシ間の構成を保持したままホースを簡単かつスムーズに挿脱操作が行える。また、長いホースの任意の中間位置を洗浄したい場合でもその部分が回転ブラシ近傍に配置されるように簡単に装着できる。
回転ブラシ12は、図4にも示すように、ホース100の面との十分な接触面積を確保しうるようにそれぞれ十分大きな洗浄ブラシ端外径(回転ブラシ半径)R1、R2を備えている。本実施形態では、回転ブラシ121,122の半径R1,R2は、同じ大きさで設定されている。回転ブラシ121、122の半径R1、R2は、例えば、それぞれの支軸30からホース100が沿うように配置される基準面Lまでの距離d1、d2よりも大きく設定されている(R1>d1,R2>d2)。よって、回転ブラシの洗浄ブラシ先端とホース面との接触面積が広く確保できる。回転ブラシ12は、回転ブラシの間に配置されるホース100を該回転ブラシの洗浄ブラシ32先端部によって押し付け状に若干撓ませながら、あるいは洗浄ブラシ32先端をホースによって撓まされながら、回転ブラシとホース面とがある程度広い接触面積で接触させている。なお、下側の回転ブラシ122のホースとの接触部分の前方側寄り位置には、ホース100を該下側の回転ブラシ122に押し付けるように配置されて、回転ブラシとホースとの接触面積を確保させる押し当て補助部34を備えている。本実施形態では、押し当て補助部34は、機枠18のケース体22の横に片持ち状に支持された軸支部36と、軸支部36に軸支された転動部材38を有している。転動部材38は、移動支持部26の転動部材と平行に配置され、ホースの送り方向と直交するように配置された横軸を中心に正逆いずれにも自由回転するようになっている。本実施形態では、転動部材38は横長ローラ体からなり、下側にホース上面をあてがわせてホースの横移動を円滑に保持しながら、ホースを下側の回転ブラシ122へあてがわせている。
回転ブラシ12は、図1、図4において、駆動装置14によって左上の回転ブラシ121は左回転、右下の回転ブラシ122は右回転にそれぞれ回転駆動され、各回転ブラシとホース面との接触部でそれぞれ前方向に向くように設定されている。回転ブラシを回転させると、回転により洗浄ブラシ32先端部がホースの面をこすってホースについた汚れを落とすようにブラッシングすると同時に、その摩擦抵抗によって、回転ブラシの回転による一部の回転力が、ホース自体を回転方向に送る駆動力が生じる。すなわち、回転ブラシ12は、直接的にホース表面をこすって汚れを落とす洗浄手段であるとともに、ホース100を横に一方向に送る送り作動手段を兼用し、該ホースの洗浄時の該洗浄ブラシ先端とホース表面との摩擦抵抗により、ホースを送り駆動させつつ洗浄する。この際、上記のように回転ブラシ12とホース面とは十分な接触面積で接しているので、ホースの汚れを落とすのに十分に強い摩擦力を生じさせるとともに、該回転ブラシの回転の際に生じる摩擦抵抗力の和も大きくなりホースを送る駆動力も十分に確保できるようになる。すなわち、回転ブラシ12とホース表面との摩擦抵抗は、回転ブラシ12の洗浄ブラシ32先端がホース面上をある程度すべるように、かつ確実にホースが送り方向に移動するように設定されており、回転ブラシの回転速度に比べてホース100の移動速度が遅くなるように設定されている。さらに、上記したようにホース100の中間部は移動支持部26によって略水平状に移動自在に支持されているので、回転ブラシの回転による洗浄時の摩擦抵抗を受けた際にスムーズに前方向に移動しうる。このように、回転ブラシ12が洗浄手段とホース送り手段を兼用させることにより、簡単かつ安価な構成で、長いホースを効率的に送りながら、短時間で確実に洗浄することができる。さらに、ホース洗浄装置をコンパクトに製造でき、持ち運びが簡単で、狭い場所での洗浄作業も良好に行える。
さらに、本実施形態では、回転ブラシ12の回転によるホースの送り作動に抗して手動によりホース自体を停止又は引き戻し可能に洗浄ブラシ32とホース100との摩擦抵抗を生じるように設定されている。回転ブラシ12の洗浄ブラシ32はある程度撓む素材からなるので、回転ブラシが上記のように一定方向へ回転していても、その送り作動力を生じさせる摩擦抵抗に抗して手動で強制的にホースを停止または引き戻し操作することができるようになっている。ホースを送り方向元側から回転ブラシ12の回転によるホースを送り駆動力に抗して強制的に引き戻して、再び回転ブラシ12の回転によりホースを送り駆動させ、該当場所周辺を繰り返し回転ブラシに当てることにより洗浄することできる。また、ホースの送り方向元側を手でつかんで、回転ブラシの回転によるホースの送り作動に抗してホース自体を停止して汚れのひどい部分に集中的に回転ブラシに当てて洗浄できる。ホースを停止又は引き戻しすることにより、部分的に汚れがひどい場合でも効率的に洗浄作業が行え、確実に汚れを落とすことができる。特に、ホースを停止又は引き戻している場合には、回転ブラシによりホースをこする力が大きくなり、こびりついた汚れも落としやすい。なお、回転ブラシとホース面との摩擦抵抗の設定は、例えば、ホースまたは洗浄ブラシの材質、回転ブラシの回転半径及び洗浄ブラシの足の長さ、回転ブラシの支軸と基準面Lとの距離、回転ブラシ間の支軸距離、回転ブラシ間に配置されるホースのテンション、回転ブラシの回転スピード等、種々の条件により設定される。
駆動装置14は、図3に示すように、機枠18のケース体22内に内蔵されており、回転駆動源であるモータ40と、モータ40の回転駆動力を回転ブラシ12の支軸30に伝達するギア42と、を含む。本実施形態では、1個のモータ40で回転ブラシ12を上記のように左上の回転ブラシは左回転、右下の回転ブラシは、右回転させるように各支軸30に軸固定されたギア42とギア連結されており、同期回転するようになっている。モータ40は、機枠18のケース体22の側面に配置されたスイッチ44を介してオンオフされる。本実施形態において、各回転ブラシ121、122の支軸30には、ケース体22の正面側の側板22aを面で挟持するように一対の挟持円板体45が軸固定されている。これにより、回転ブラシを軸ぶれすることなく片持ち状に支持して、円滑に回転駆動し、確実なホースの洗浄と送り駆動を実現できる。
図1、図2に示すように、左上側の回転ブラシ121の後方側、すなわちホースの送り方向元側、回転ブラシ間へのホースの連結金具102の巻き込みを防止する金具巻き込み防止部54が設けられている。金具巻き込み防止部54は、本実施形態では、移動支持部26の上方、又はやや斜め上方側であって、ホースを遊挿状に通過させつつホースの連結金具102の径よりも小さく設定された間隙幅を形成するように対向配置された棒体からなる。これにより、ホースが回転ブラシの回転により自動的に送り駆動されていても不意に連結金具が巻き込まれるのを防止して、厳格に管理しなくても装置の損傷を防止できる。
図1、図2、図3に示すように、ホース100の送り動作時の幅方向へのずれを防止する走路安定機構46を有している。本実施形態において、走路安定機構46は、機枠18の前後端部側にそれぞれ配置されており、移動支持部26に近接して配置されている。走路安定機構46は、移動支持部26に支持されたホース100の幅方向両側に対向して配置されて、順次送り作動されるホース100の幅方向へ移動を規制している。本実施形態では、走路安定機構46は、縦に支軸体を有する一対のローラ体48からなる。ローラ体48は、移動支持部26の軸支部29から水平方向に突設した板部に縦軸の下端側を固定されており、縦軸回りに正逆自由転動自在に設けられている。この走路安定機構46により、ホースの未洗浄部分が地面に巻いて、又はある程度無作為に配置されていてもホース100を回転ブラシ12の所要位置に確実に当たるように安定して送ることができ、良好にホースを送り駆動させつつ洗浄することができる。さらに、洗浄したホースを絡まることなくスムーズにホース洗浄装置から送り出すことができる。
図2、図5に示すように、本実施形態において、水供給装置16は、回転ブラシ12に水を供給するように設けられている。水供給装置16は、各回転ブラシ121,122に対向してある程度離隔した位置に配置されて該回転ブラシに水を噴射させる水噴射部50と、水噴射部50と蛇口(図示せず)等とを接続するパイプ52(接続ホース)と、を含む。本実施形態では、パイプ52は、機枠18から立設された支持柱に水平状に支持され、上下二股に分岐されている。さらにそれぞれの分岐延長側から回転ブラシの幅方向に沿って曲折されて、先端部に接続される水噴射部50が各回転ブラシ121,122にそれぞれ対向するように設けられている。本実施形態では、水噴射部50は、例えば、断面円形で一端側が閉鎖されたL字管からなり、L字縦部の円周面に沿って横に細長い円弧状に開口された噴射口51が形成されている。噴射口51は、横に細長く円弧状に開口されているので、ある程度の水圧で横方向に広がるように水を噴射する。すなわち、本実施形態では、水供給装置16は、回転ブラシ12に向けて該回転ブラシの幅方向に末広がり状に水を噴出させるようになっており、回転ブラシの回転にともなって水を回転ブラシに全体的に含ませて良好に水を供給できる。さらに、回転ブラシに水を含ませているので、ホースの特に下面側を濡らす際の水の無駄が少なくてすむ。なお、本実施形態では、水供給装置は回転ブラシに水を供給するようにしているが、それに限らず、例えば、ホースに水を供給する構成としてもよい。
次に本実施形態におけるホース洗浄装置10の作用について説明する。図1に示すように、ホース洗浄装置10を、例えば、平坦な地面GL上に設置する。回転ブラシ121,122の間にホースの中間部を挿入しつつ、ホース100を走路安定機構46の間に配置させながら移動支持部26の上に載置する。このホースの装着作業は、回転ブラシ12が片持ち状に軸支され、相対的にずれて離隔した位置に配置されているので、挿脱開口33から回転ブラシ間の間隙Hを介して簡単に装着操作が行える。スイッチをオンにしてホース洗浄装置10を稼働させるとともに、水供給装置16から回転ブラシに向けて水を供給する。水供給装置16は、回転ブラシ12に向けて幅方向に末広がり状に水を噴出させるようになっているので、回転ブラシの回転にともなって水を回転ブラシに全体的に含ませることができ、ホースの両面を水で濡らしながらブラッシングできる。そして、ホース上面側に当たる回転ブラシ121が左回転、ホース下面側に当たる回転ブラシ122が右回転するように回転駆動する。一対の回転ブラシ121,122は、ホースの面とある程度の接触面積を確保するように設けられているので、回転ブラシを回転させて強い力でブラッシングでき、ホース表面の汚れを確実に洗浄できるとともに、回転ブラシの際に生じる洗浄ブラシ先端とホース表面との摩擦抵抗により回転ブラシの回転力の一部をホース100の送り駆動力として利用して、長いホースを効率的に送りながら、短時間で確実に洗浄することができる。さらに、回転ブラシの構成がホース表面の洗浄手段とホースの送り駆動手段とを兼用させているので、装置全体の構成を簡単に設計でき、低コストで製造することができる。また、ホース洗浄装置をコンパクトに製造でき、持ち運びが簡単で、収納又は設置スペースが確保しやすく、実用性が高い。さらに、例えば、ホースに汚れがひどい場所がある場合には、一旦回転ブラシ12の回転によりホースを送り駆動させながら洗浄した後、回転ブラシの回転によるホースの送り作動に抗して手動でホースを強制的に引き戻しし、回転ブラシ12の回転によるホースを送り駆動させながらの洗浄と、送り作動に抗して手動によりホース自体を引き戻しながらの洗浄とを繰り返して、効率良く汚れがひどい場所を確実に洗浄することができる。また、回転ブラシ12の回転によるホースの送り作動に抗して、ホースの汚れ部分が回転ブラシに当たる位置で手動でホースを停止させておくことにより、汚れ部分をある程度長い時間集中的に回転ブラシに当てて洗浄することもできる。回転ブラシ12の回転の送り作動に抗してホース100を停止又は引き戻しする場合には、回転ブラシはより強い力でホース面をブラッシングすることができ、ホース表面にこびりついた泥汚れも良好に落とすことができる。
以上説明した本発明のホース洗浄装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホース洗浄装置の実施形態の正面図である。
【図2】図1のホース洗浄装置の斜視説明図、及びホースの挿脱の作用図である。
【図3】図1のホース洗浄装置の一部省略平面図である。
【図4】図1のホース洗浄装置の回転ブラシ周辺部の拡大説明図である。
【図5】水供給装置の水噴射部周辺の拡大斜視説明図である。
【符号の説明】
10 ホース洗浄装置
12 回転ブラシ
14 駆動装置
16 水供給装置
18 機枠
30 支軸
32 洗浄ブラシ
46 走路安定機構
100 ホース
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
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