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健康・医療
 
【発明の名称】除圧動作補助具(介護補助具)
【出願人】
【識別番号】519404089
【氏名又は名称】角倉 恵理子
【住所又は居所】京都府京都市上京区出水町262-202
【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
【発明者】
【氏名】角倉 恵理子
【住所又は居所】京都府京都市上京区出水町262-202
【要約】
【課題】構成が簡単で、低コストに実現することのできる除圧動作補助具を提供する。
【解決手段】除圧動作補助具10を、2枚の可撓性のシート材12及び13から成る偏平な袋体11と、該袋体11に封入された潤滑剤14とを有するものとする。
【選択図】図2
代表図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性のシート材から成る偏平な袋体と、
前記袋体に封入された潤滑剤と、
を有することを特徴とする除圧動作補助具。
【請求項2】
前記袋体の内部に前記潤滑剤を均一に行き渡らせた状態で、該潤滑剤によって前記袋体の厚さ方向に形成される層の厚みが0.3mm〜2.0mmであることを特徴とする請求項1に記載の除圧動作補助具。
【請求項3】
前記潤滑剤の封入量が、前記袋体の厚さ方向から見た面積100cm2あたり3mL〜20mLであることを特徴とする請求項1に記載の除圧動作補助具。
【請求項4】
前記潤滑剤が、ポリアクリル酸系水溶性ポリマーを主成分とするものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の除圧動作補助具。
【請求項5】
前記シート材が、ポリエチレンから成るものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の除圧動作補助具。
【請求項6】
前記袋体が、その表面に滑り止めを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の除圧動作補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者又は被介護者の身体に掛かる体圧を取り除くための動作を補助する除圧動作補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
長期間に亘って寝たきり状態にある患者又は被介護者(以下、「患者等」と略称することがある)の身体には、褥瘡が生じることがある。褥瘡は、身体の一部が自重等によって長時間圧迫され、その部分の血流が阻害されることによって生じるものであり、体圧(患者等自身の体重による圧力)が集中しやすい腰、背中、後頭部、踵等の部位に発生することが多い。
【0003】
褥瘡を予防するためには、体圧を身体の前記部位に集中させずに体全体に分散させること(体圧分散)、及び体を動かして前記部位に掛かっている体圧を取り除くこと(除圧動作)が重要となる。
【0004】
そこで、従来より、褥瘡の発生を防ぐ目的で、ポリウレタン等から成る発泡体又はエアー等が充填されたクッション又はマットレス等の体圧分散寝具が用いられている。しかしながら、このような体圧分散寝具は、患者等の体が沈み込むことによって体の動きが阻害されるため、除圧動作が困難になるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特開2013-158426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、患者等の姿勢を自動的に変化させることによって除圧動作を行わせる装置が提
案されている。このような装置は、例えば、ポンプによって、複数に分割されたエアーマットレスの各部に空気を導入(又は前記各部から空気を排出)することによって、該エアーマットレスに横たわっている患者等の身体を左右に傾斜させるものとなっている(特許文献1を参照)。
【0007】
しかし、このような装置は、構造が複雑且つ大掛かりであるため、比較的高価であると共に、設置するのに広いスペースを必要とする。そのため、このような装置は、家庭又は病院等の介護現場又は看護現場に容易に導入できるものではなかった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成で低コストに実現することのできる除圧動作補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために成された本発明に係る除圧動作補助具は、
可撓性のシート材から成る偏平な袋体と、
前記袋体に封入された潤滑剤と、
を有することを特徴としている。
【0010】
前記本発明に係る除圧動作補助具は、
前記袋体の内部に前記潤滑剤を均一に行き渡らせた状態で、該潤滑剤によって前記袋体の厚さ方向に形成される層の厚みが0.3mm〜2.0mmであることが望ましい。
【0011】
前記本発明に係る除圧動作補助具は、
前記潤滑剤の封入量が、前記袋体の厚さ方向から見た面積100cm2あたり3mL〜20mLであることが望ましい。
【0012】
また、前記本発明に係る除圧動作補助具は、
前記潤滑剤が、ポリアクリル酸系水溶性ポリマーを主成分とするものであることが望ましい。
【0013】
また、前記本発明に係る除圧動作補助具は、
前記シート材が、ポリエチレンから成るものであることが望ましい。
【0014】
また、前記本発明に係る除圧動作補助具は、
前記袋体が、その表面に滑り止めを有するものであることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
上記構成から成る本発明に係る除圧動作補助具は、構成が簡単で、低コストに実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る除圧動作補助具の平面図。
【図2】同実施形態に係る除圧動作補助具の断面図。
【図3】同実施形態に係る除圧動作補助具の使用態様の一例を示す図。
【図4】同実施形態に係る除圧動作補助具の使用態様の別の例を示す図。
【図5】本発明の別の実施形態に係る除圧動作補助具の平面図。
【図6】本発明の更に別の実施形態に係る除圧動作補助具の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明を行う。図1は、本
実施形態に係る除圧動作補助具10の平面図であり、図2は前記除圧動作補助具10の断面図である。
【0018】
本実施形態に係る除圧動作補助具10は、可撓性のシート材から成る偏平な袋体11の内部に少量の潤滑剤14が封入された構成となっている。袋体11は、平面視で略矩形(具体的には、四隅が丸められた長方形又は正方形)の形状を有しており、その長さLは25cm〜45cm、幅Wは35cm〜55cmとなっている。本実施形態に係る除圧動作補助具10は、2枚のシート材12、13の三辺を熱融着又は接着等によって互いに接合し、内部に潤滑剤14を充填した上で、残りの一辺を接合することによって製造される。以下、便宜上、前記2枚のシート材のうち、一方を第1シート材12とよび、他方を第2シート材13とよぶ。
【0019】
第1シート材12及び第2シート材13は、いずれも可撓性を有し、伸縮性がなく、且つ潤滑剤14が浸み込まない素材(すなわち防水性の素材)で構成されている。このような素材としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ビニール、又はナイロン等の合成樹脂から成るシートを用いることができ、特に、可撓性に優れた、ポリエチレン製のシート材を用いることが望ましい。また、このような合成樹脂によって表面をコーティングされた布帛等を用いることもできる。第1シート材12及び第2シート材13の厚みは、いずれも0.01mm〜0.1mm(より望ましくは、0.03mm〜0.08mm)とすることが望ましい。
【0020】
潤滑剤14は、第1シート材12と第2シート材13との間の摩擦を軽減して、両者を互いに滑りやすくするものである。潤滑剤14としては、引火性がなく、人体に無害なものを用いることが望ましく、例えば、合成水溶性ポリマー、天然水溶性ポリマー、若しくは多糖類に、水を添加して成る粘稠性の水溶液(ジェル状又はローション状のもの)、プロピレングリコール、又はグリセリン等を好適に用いることができる。なお、潤滑剤14には、防腐剤等の添加物を含有させてもよい。
【0021】
前記天然水溶性ポリマーとしては、例えば、アルギン酸塩等を用いることができる。また、前記合成水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸系ポリマー、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、又はポリビニルピロリドン等が挙げられ、特に、人体への安全性が高く潤滑性に優れているポリアクリル酸系水溶性ポリマーを用いることが望ましい。前記ポリアクリル酸系水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、若しくはそれらの共重合体、又はそれらのアンモニウム塩、ナトリウム塩、若しくはカリウム塩等を用いることができ、特に、医療用又はマッサージ用の潤滑剤等に広く配合されているポリアクリル酸ナトリウムを用いることが望ましい。
【0022】
除圧動作補助具10は、厚みが大きいと患者等の身体が沈み込んで体の動きが妨げられるため、なるべく薄くすることが望ましい。具体的には、潤滑剤14を袋体11の内部全体に均等に行き渡らせた状態で、潤滑剤14から成る層(潤滑剤層)の厚みが0.3mm〜2.0mm(より望ましくは0.5mm〜1.0mm)となるようにすることが望ましい。このような厚みを実現するため、潤滑剤14の封入量は、袋体11の厚さ方向(すなわち図1の紙面方向)から見た面積100cm2あたり、3mL〜20mL(より望ましくは5mL〜10mL)とすることが望ましい。
【0023】
本実施形態に係る除圧動作補助具10は、例えば、寝台16(若しくは布団)に寝転んだ状態の患者等15の体の下に敷いたり(図3)、椅子17(若しくは車椅子)に座った状態の患者等15の体の下に敷いたり(図4)して使用される。なお、図3では、除圧動作補助具10を患者等15の腰の下に敷いているが、その他の部位、例えば、頭部、背中
、又は踵等の下に敷くようにしてもよい。
【0024】
除圧動作を妨げる最大の要因は、患者等15の身体と該身体が乗せられている面、すなわち寝台16若しくは布団、又は椅子17若しくは車椅子等(以下、「寝台16等」とよぶ)の上面との間の摩擦である。本発明に係る除圧動作補助具10を患者等15の身体と寝台16等との間に挟むと、身体に当接しているシート材(例えば、第1シート材12)と、寝台16等に当接しているシート材(例えば、第2シート材13)とが潤滑剤14の作用によって互いに滑ることにより、寝台16等に対して、患者等15の身体を容易に動かすことができるようになる。したがって、患者自らが、寝台16等の上で体の位置をずらしたり、体を左右に傾けたりといった除圧動作を容易に行うことができるようになる。また、介助者が患者等15の身体を動かして除圧動作を行わせる場合にも、該除圧動作を容易に行えるようになるため、介助者の負担を軽減することができる。
【0025】
以上、本発明を実施するための形態について具体例を挙げて説明を行ったが、本発明に係る除圧動作補助具10は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で適宜変更が許容される。例えば、上述した除圧動作補助具10の長さL及び幅Wの寸法も、あくまで一例であり、これに限定されるものではない。例えば、長さL方向の寸法をより大きくして、寝台16又は布団等に寝転んだ患者等15の上半身全体若しくは下半身全体、又は全身を、本発明に係る除圧動作補助具10の上に載せられるようにしてもよい。
【0026】
また、上記実施形態では、除圧動作補助具10の平面形状を略矩形としたが、本発明に係る除圧動作補助具10の平面形状はこれに限定されるものではなく、例えば、図5に示すような円形若しくは図6に示すような楕円形、又は四角以外の多角形など、種々の形状のものとすることができる。
【0027】
また、患者等15が体を動かした際に、除圧動作補助具10自体が寝台16等の上で移動してしまうのを防ぐため、除圧動作補助具10は、その表面(少なくとも寝台16等と当接する面)に滑り止めを備えたものとすることが望ましい。この場合、第2シート材13(又は第1シート材12及び第2シート材13)の製造時に、該シート材の表面に凹凸等から成る滑り止め部を形成しておくほか、袋体11とは別体に構成された滑り止めシートを、袋体11の表面に両面テープ又は接着剤等で貼り付けるものとしてもよい。なお、前記滑り止めシートの貼り付けは、除圧動作補助具10の製造時に行ってもよく、使用者が必要に応じて行うようにしてもよい。
【0028】
更に、上記の例では、袋体11を、2枚のシート材12、13の外周縁を互いに接合して成るものとしたが、これに限らず、例えば、1枚のシート材を二つ折りにし、その外周縁のうち折り目以外の領域を接合して成るものとしてもよい。
【実施例】
【0029】
以下の2種類の除圧動作補助具を使用して、本発明に係る除圧動作補助具の効果を検証した。
実施例1:PET樹脂から成る42cm×35cmのジッパー付き袋に潤滑剤100mLを封入したもの。
実施例2:PET樹脂から成る50cm×35cmのジッパー付き袋に潤滑剤200mLを封入したもの。
実施例1、2の双方において、前記潤滑剤として、ポリアクリル酸ナトリウムを主成分とする市販の潤滑ローションを使用した。なお、潤滑剤を前記各ジッパー付き袋の内部全体に均等に行き渡らせた状態において、該潤滑剤から成る層(潤滑剤層)の厚みは、実施例1で0.68mm、実施例2で1.14mmである。
【0030】
被験者は腰椎骨折により長期に亘って寝たきりの状態にある成人女性1名であり、仰臥姿勢で寝台に横たわっている前記被験者の腰の下に、実施例1又は実施例2に係る除圧動作補助具を敷いて検証を行った。
【0031】
前記被験者は、自力で腰部を動かすことができず、頻繁に介助者による体位変換を希望していたが、実施例1の除圧動作補助具を敷いた後は、自力で腰部を左右にずらしたり傾けたりすることができるようになり、介助者による体位変換を希望する頻度が減少した。また、当該被験者からは、わずかに体をずらすだけでも圧迫による腰部の不快感がかなり解消されるとの証言が得られた。実施例2の除圧動作補助具を使用した場合も同様の効果が得られたが、被験者によると、実施例1のものの方が、実施例2のものよりも体が動かしやすいように感じたとのことであった。
【符号の説明】
【0032】
10…除圧動作補助具
11…袋体
12…第1シート材
13…第2シート材
14…潤滑剤
15…患者等
16…寝台
17…椅子
【図1】
図1 
【図2】
図2 
【図3】
図3 
【図4】
図4 
【図5】
図5 
【図6】
図6 
試作写真 
メッセージ

れは病床にある人々、看護や介護の人々の苦しみを和らげる商品をデザイン化したものである。
「床ずれ予防パッド」 これは2019年京都市主催の「みやこユニバーサルデザイン賞」を受賞、審査員より高い評価を受けたもので、現在特許出願中である。高価な電動ベッドが販売の謳い文句は「体位変換」が容易にできるということであるが、本品は安価で、家庭でも使えるものである。
体重の軽重を問わず、ぬるりとした感覚で患者自身がみずから体位を具合のよい位置へ滑らせることができる。(特開2021-074367)いま家庭内介護には限界があり、病院やヘルパーの介護も時間が限られる。そこで患者自身が自分の痛くない体位に変えるのが最善であるが、シーツの摩擦や、体重、痛みで思うように動かせない。これを腰下に敷くだけで、力をかけず体位が変えられる。
発明者は「病床を明るくするユニバーサルデザイン」のコンセプトのもと、最初に実用化をめざすのが本発明である。
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