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健康・医療
 
【考案の名称】杖
【実用新案権者】
【識別番号】524147339
【氏名又は名称】飯島 武
【住所又は居所】東京都三鷹市野崎1-6-12
【代理人】
【識別番号】100108143
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋崎 英一郎
【考案者】
【氏名】飯島 武
【住所又は居所】東京都三鷹市野崎1-6-12
【要約】 (修正有)
【課題】通常のスタンダードな外観でありながらピックアップ機能を有する杖を提供する。
【解決手段】杖1は、杖本体11の上端に把手部12、下端に中心孔13aを有する接地部13を有する杖として通常のスタンダードな外観であり、杖本体11内に上下方向に延在する昇降ロッド14の下端に固定されたピックアップ部15が接地部13の中心孔内に収容され、杖本体11内の上部に設けられた操作部16を操作することにより昇降ロッド14を一定ストローク昇降させてピックアップ部15を接地部13内に収容された状態と下方へ突出した状態とに切り替えることができ、ピックアップ部15は、所要屈曲形状の可撓性線材15aを所要数有し、これら可撓性線材の上部が昇降ロッドの下端部に固定されているとともに、可撓性線材の下部が接地部の下方へ突出した状態ではフレアとして広がり、フレアの内側に被ピックアップ物を取り囲んで掴むことができる。
【選択図】図1
選択図
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
棒状かつ筒状の杖本体と、前記杖本体の上部に設けられた把手部と、前記杖本体の下端に設けられた接地部とからなることにより杖の通常のスタンダードな外観を有し、
内部に装備されていて必要時に下端より突出してピックアップ機能を発揮する構成として、前記接地部が前記杖本体内と連通する中心孔を有しており、そして、前記杖本体内に上下方向に延在する所要長さの昇降ロッドと、上部が前記昇降ロッドの下端に固定され前記接地部の中心孔内に収容された所要屈曲形状の可撓性線材を所要数有し下部が接地部の下方へ突出した状態では内側に被ピックアップ物を取り囲む空間を形成するようフレアに広がるピックアップ部と、前記昇降ロッドの上端と連係状態で前記杖本体内の上部に設けられた操作部であって、前記昇降ロッドを一定ストローク昇降させることにより前記ピックアップ部を前記接地部の前記中心孔内に収容された状態と前記中心孔内から下方へ突出した状態とに切り替える前記操作部とを有することを特徴とする杖。
【請求項2】
前記ピックアップ部は、所要屈曲形状の可撓性線材を所要数有し、これら可撓性線材の上部が前記昇降ロッドの下端部を取り巻いた状態で当該下端部に固定されているとともに、前記昇降ロッドの下端部よりも下方に延在するこれら可撓性線材の下部が、前記接地部の前記中心孔内に位置する状態では萎んでおり、前記接地部の前記中心孔内から接地部の下方へ突出した状態では内側に被ピックアップ物を取り囲む空間を形成するようフレアに広がり、前記接地部の前記中心孔内に収容された状態に移行するときに前記フレアを萎ませて内側に位置させる前記被ピックアップ物を掴むことができる機能を有する請求項1に記載の杖。
【請求項3】
前記操作部は、前記杖本体内にスライド自在に設けられかつ前記昇降ロッドの上端と連結されたスライダーと、前記スライダーの一側に設けられ前記杖本体の上端一側に開口された上下方向に所要長さを有する窓部より突出する摘み部とを有する請求項1に記載の杖。
【請求項4】
前記杖本体内に設けられたばねであって、前記摘み部に対する押し下げ力が作用しないときは前記摘み部が前記窓部の上部に復帰するように作用する前記ばねを有する請求項3に記載の杖。
【請求項5】
前記ばねがコイルばねであって、前記摘み部が前記窓部の下部まで押し下げられたときは、ばね長を伸長または縮小された状態になり前記摘み部に対する押し下げ力がなくなると前記ばね長を縮小または伸長された状態になり前記摘み部が前記窓部の上部に復帰するように作用する前記ばねを有する請求項4に記載の杖。
【請求項6】
前記窓部は、上下方向中途部の一側に当該窓部の長手方向に交叉する昇降ロッド引き上げ係止用凹部と、下部一側に当該窓部の長手方向に交叉する昇降ロッド押し下げ係止用凹部を有し、前記摘み部が前記昇降ロッド引き上げ係止用凹部と前記昇降ロッド押し下げ係止用凹部に選択的に係止される構成である請求項3に記載の杖。
【請求項7】
前記摘み部は、ロフストランドクラッチタイプである請求項1に記載の杖。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、歩行用補助具として使用される杖に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からピックアップ機能を有する杖状のものとしてリーチャー(又はマジックハンド)が存在する。リーチャーは、棒状の杖本体と、杖本体の下端に設けられ開閉可能に二つの可動片と、杖本体の上端に設けられた操作部と、二つの可動片と操作部とに連結された連結部材とを有し、操作部の操作力・変位に基づいて二つの可動片で物品を挟持して拾い上げ又は取出す機能を有する。
【0003】
他に例えば、特許文献1にピックアップ機能を有する杖が開示されている。この杖は、杖本体の上端に把手部を有し、杖本体の下端にピックアップ部を有する。ピックアップ部は、湾曲部の固定片と、固定片の湾曲部に湾曲凹部を並設される可動片と有し、杖本体内に挿通され可動片に連結された連結材と、杖本体の上部に設けられ連結材と連結され可動片を固定片に対して近接・離反させる機能を有する操作部とを備えてなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開2007−159851号公報
【考案の概要】
【考案が解決しようとする課題】
【0005】
上記のピックアップ機能を有する杖は、いずれもピックアップ機能部を杖下部に全面的に露出して設けられており、いわゆるスタンダードな外観を有する杖ではない。したがって、ゴミ拾い等をするための道具として用いられることがあり、杖を必要とする人がスマートに持ち歩けるものではない。また上記の杖のピックアップ機能は小さい塊状物を取り囲んで掴み上げることが難しい。
【0006】
他方、高齢者や立ったり座ったりすることが不自由な人が歩行用補助具として杖を持ち歩いている際に、例えば、何かを落としてしまった物を拾い上げるために、杖にピックアップ機能を有することは有用である。
【0007】
本考案は、上記の問題を解決するためになされたもので、杖の通常のスタンダードな外観でありながら内部にピックアップ機能部を有し必要時に下端より突出してピックアップ機能を発揮することができ、特に小さい塊状物を取り囲んで掴み上げることができる杖を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願考案の第1の態様の杖は、棒状かつ筒状の杖本体と、前記杖本体の上部に設けられた把手部と、前記杖本体の下端に設けられた接地部とからなることにより杖の通常のスタンダードな外観を有し、内部に装備されていて必要時に下端より突出してピックアップ機能を発揮する構成として、前記接地部が前記杖本体内と連通する中心孔を有しており、そして、前記杖本体内に上下方向に延在する所要長さの昇降ロッドと、上部が前記昇降ロッドの下端に固定され前記接地部の中心孔内に収容された所要屈曲形状の可撓性線材を所要数有し下部が接地部の下方へ突出した状態では内側に被ピックアップ物を取り囲む空間を形成するようフレアに広がるピックアップ部と、前記昇降ロッドの上端と連係状態で前記杖本体内の上部に設けられた操作部であって、前記昇降ロッドを一定ストローク昇降させることにより前記ピックアップ部を前記接地部の前記中心孔内に収容された状態と前記中心孔内から下方へ突出した状態とに切り替える前記操作部とを有する構成である。
【0009】
本願考案の第2の態様の杖は、上記第1の態様の構成に加え、前記ピックアップ部が、所要屈曲形状の可撓性線材を所要数有し、これら可撓性線材の上部が前記昇降ロッドの下端部を取り巻いた状態で当該下端部に固定されているとともに、前記昇降ロッドの下端部よりも下方に延在するこれら可撓性線材の下部が、前記接地部の前記中心孔内に位置する状態では萎んでおり、前記接地部の前記中心孔内から接地部の下方へ突出した状態では内側に被ピックアップ物を取り囲む空間を形成するようフレアに広がり、前記接地部の前記中心孔内に収容された状態に移行するときに前記フレアを萎ませて内側に位置させる前記被ピックアップ物を掴むことができる機能を有する構成である。
【0010】
本願考案の第3の態様の杖は、上記第1の態様の構成に加え、前記操作部が、前記杖本体内にスライド自在に設けられかつ前記昇降ロッドの上端と連結されたスライダーと、前記スライダーの一側に設けられ前記杖本体の上端一側に開口された上下方向に所要長さを有する窓部より突出する摘み部とを有する構成である。
【0011】
本願考案の第4の態様の杖は、上記第3の態様の構成に加え、前記杖本体内に設けられたばねであって、前記摘み部に対する押し下げ力が作用しないときは前記摘み部が前記窓部の上部に復帰するように作用する前記ばねを有する構成である(第1の実施の形態、図1)。
【0012】
本願考案の第5の態様の杖は、上記第4の態様の構成に加え、前記ばねがコイルばねであって、前記摘み部が前記窓部の下部まで押し下げられたときは、ばね長を伸長または縮小された状態になり前記摘み部に対する押し下げ力がなくなると前記ばね長を縮小または伸長された状態になり前記摘み部が前記窓部の上部に復帰するように作用する前記ばねを有する構成である(第2の実施の形態、図7)。
【0013】
本願考案の第6の態様の杖は、上記第3の態様の構成に加え、前記窓部が、上下方向中途部の一側に当該窓部の長手方向に交叉する昇降ロッド引き上げ係止用凹部と、下部一側に当該窓部の長手方向に交叉する昇降ロッド押し下げ係止用凹部を有し、前記摘み部が前記昇降ロッド引き上げ係止用凹部と前記昇降ロッド押し下げ係止用凹部に選択的に係止される構成である(第3の実施の形態、図8)。
【0014】
本願考案の第7の態様の杖は、上記第1の態様の構成に加え、前記摘み部が、ロフストランドクラッチタイプである。
【考案の効果】
【0015】
本考案によれば、杖の通常のスタンダードな外観でありながら内部にピックアップ機能部を有し必要時に下端より突出してピックアップ機能を発揮することができ、特に小さい塊状物を取り囲んで掴み上げることができる杖を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本考案の第1の実施の形態に係る杖の縦断面図である。
【図2】図2は図1におけるIIーII断面図である。
【図3】図3は図1におけるIIIーIII矢視図である。
【図4】図4(A),(B),(C)は接地部が杖本体の内側または外側に嵌合していて接地部の中心孔へのピックアップ部の収容状態を示す部分断面図である。
【図5】図5は本考案の第1の実施の形態に係る杖の他の動作状態の縦断面図である。
【図6】図6は本考案の第1の実施の形態に係る杖のさらに他の動作状態の縦断面図である。
【図7】図7は本考案の第2の実施の形態に係る杖の縦断面図である。
【図8】図8(A)は本考案の第3の実施の形態に係る杖の縦断面図である。図8(B)は図8(A)におけるBーB矢視図である。図8(C)は図8(B)に示す窓部17Bの形状図である。
【考案を実施するための形態】
【0017】
以下、本考案の実施の形態に係る杖について図面を参照して説明する。
【0018】
[第1の実施の形態]
[杖の通常のスタンダードな外観]
図1は本考案の第1の実施の形態に係る杖の縦断面図を示す。本実施の形態に係る杖1は、杖本体11と、杖本体11の上端に設けられた把手部12と、杖本体11の下端に設けられた接地部13とからなることにより杖の通常のスタンダードな外観を呈している。後述する窓部17より突出する摘み部16bは把手部12の直ぐ下に設けられ小さく突出しておりスタンダードな外観を損なうことが無い。
【0019】
杖本体11は、アルミニウム製、アルミ合金製、鉄製、ステンレス製、あるいは硬質で割れにくいプラスチック製であり、棒状かつ筒状の所要長さ(例えば、外径が15ー20φmm、長さ55ー95cm)を有する。
【0020】
把手部12は、アルミニウム製、アルミ合金製、鉄製、ステンレス製、木製、あるいはプラスチック製の成形体である。図示では、把手部12は、T型タイプであり、中途部下面より突出する凸部11aを有し、この凸部11aが杖本体11の上端開口より嵌入固定されているが、この凸部11aが筒状に設けられ杖本体11の上端開口に被嵌している構成であっても良い。把手部12は、T型タイプだけではなくロフストランドクラッチタイプ(前腕部支持型タイプ)の場合も含まれる。ロフストランドクラッチタイプでは、杖本体11の上端一側にカフ(前腕を通す輪っか)と、杖本体11の上端から所要寸法下がったカフに対応する一側に水平方向に張り出すグリップとからなる。さらに、例えば、杖本体上部に切り欠きを付け、そこにバネを固定する金具を付けることにより後から樹脂成型したT型またはロフストランドクラッチ把手部を上から被せる構成も含まれる。
【0021】
接地部13は、適度に硬質で耐摩耗性を有する干渉材料であるシリコンゴム等のゴム成形体、ナイロン等の耐摩耗性のプラスチック成形体、あるいはアルミ成形体でも良い。図示では、接地部13は、上部が杖本体11の下端開口より嵌入固定されているが、この上部が筒状に設けられ杖本体11の下端開口に被嵌している構成であっても良い。
【0022】
[ピックアップ機能部]
図1、図2、図3を参照してピックアップ機能部を説明する。本実施の形態に係る杖1は、杖の通常のスタンダードな外観を損なわず、必要時に下端より突出するピックアップ機能部を杖本体11内に装備している。
【0023】
このピックアップ機能部は、接地部13が杖本体11内と連通する中心孔13aを有しており、そして、杖本体11内に上下方向に延在する所要長さの昇降ロッド14と、昇降ロッド14の下端に固定され接地部13の中心孔13a内に収容されたピックアップ部15と、昇降ロッド14の上端と連係状態で杖本体11内の上部に設けられた操作部16とを有する。
【0024】
昇降ロッド14は、外径が例えば3ー6φmmの鉄製、あるいはステンレス製の線材よりなる。昇降ロッド14は、長さを調節できるよう二本の線材の継ぎ合わせ構造であって良い。この場合、二本の線材の継ぎ合わせ端を長い雄ねじと長い雌ねじとを結合する構造、または二本の線材の継ぎ合わせ端をいずれも長い雄ねじとして、両雄ネジを長ナットを介して連結する構造、等であっても良い。
【0025】
ピックアップ部15は、所要屈曲形状の可撓性線材15aを所要数束ねた集束体であり、これら可撓性線材15aの上部が昇降ロッド14の下端部を取り巻いた状態で当該下端部に固定されている。昇降ロッド14が上昇位置にあるとき(図1)、可撓性線材15aの上部は接地部13に収納された状態にあり、中心孔13aを閉鎖するシャッターの役目も果たし、杖本体にゴミや砂等が侵入することを防止する機能を有する。この場合、中心孔13aの内径と集束体である可撓性線材15aの上部の外径とが強制嵌合ではなく弛く嵌合するよう寸法精度を設定する。可撓性線材15aの上部と昇降ロッド14の下端部との固定は、両者が鉄製であれば、溶接やはんだ付けができ、両者が異種材料であれば、極細のステンレスで縛ることができ、この他に、強制緩着と接着剤による接着とを合わせる方法によっても良い。
【0026】
ピックアップ部15は、昇降ロッド14の下端部よりも下方に延在する複数本の可撓性線材15aの下部が、接地部13の中心孔13a内に位置する状態では接地部13の中心孔13aの孔壁の圧力を受けて萎んでおり(図1参照)、接地部13の中心孔13a内から接地部の下方へ突出した状態では内側に被ピックアップ物Aを取り囲む空間を形成するようフレアに広がり(図4参照)、接地部13の中心孔13a内に収容された状態に移行するときにフレアを萎ませて内側に位置させる被ピックアップ物Aを掴むことができる機能を有している(図5参照)。
【0027】
図4(A)、(B)、(C)に示すように、接地部13が杖本体11の内側または外側のいずれの状態で嵌合していても、接地部13の中心孔13aへのピックアップ部15の収容関係に変わりはない。なお、接地部13の中心孔13aは、下端部が円錐形に広がっている形態(図1、図4(A)、(B))と、孔全長が円錐形に広がっている形態(図4(B)、(C))と、ストレート(不図示)のいずれであっても良い。
【0028】
操作部16は、昇降ロッド14を一定ストローク昇降させることによりピックアップ部15を接地部13の中心孔13a内に収容された状態と中心孔13a内から下方へ突出した状態とに切り替える。
【0029】
操作部16は、スライダー16aと摘み部16bとからなる分割構造である。操作部16がスライダー16aと摘み部16bとの分割構造としねじで連結されているのは、スライダー16aを杖本体11内に収容できるようにするためである。
【0030】
スライダー16aは、杖本体11の上端開口より杖本体11内にスライド自在に嵌入されている。摘み部16bは、杖本体11の上端一側に開口された窓部17を通してスライダー16aの一側に重ねられかつねじ16cで連結された状態で窓部17より指掛け可能に所要寸法で突出している。窓部17は、上下方向に所要長さを有し、摘み部16bの上下方向のストロークを規定している。
【0031】
そして、スライダー16aの下面より設けられたねじ穴に昇降ロッド14の上端の雄ねじ部が螺合しており、もって、窓部17の上下方向の長さで規定された摘み部16bの上下動により昇降ロッド14が一体に上下動する。
【0032】
この本実施の形態に係る杖1は、杖本体11内に、把手部12の凸部11aの下端およびスライダー16aの上端とねじ18,19で連結されたコイルばね20を含んでいる。
【0033】
このコイルばね20は、引っ張りばねとして機能し、摘み部16b窓部17の上端に位置し摘み部16bに対する押し下げ力が作用しないときは昇降ロッド14の重力を負担していて自由長さからほとんど伸びていない状態であり、摘み部16bが押し下げられるとばね長を伸長し、押し下げ力が作用しなくなるとばね長を無負荷に近い初期状態に弾性復帰(縮小)していき、もって摘み部16bが窓部17の上端に復帰するように作用する。
【0034】
[作用]
杖1の作用について、図1、図5、図6を参照して説明する。
【0035】
歩行用補助具として使用する際には杖本体11の下端からピックアップ部15が突出しない通常のスタンダードな杖の形態で使用する(図1)。
【0036】
杖1を使用する者が例えば小塊状物Aを落とした場合には、摘み部16bを窓部17の下端まで押し下げる。これにより、昇降ロッド14が下降し、杖本体11の下端からピックアップ部15が突出する。すると、ピックアップ部15が接地部13の中心孔13aの孔壁の外圧から解除されフレアに開く(図5)。ピックアップ部15を小塊状物Aに被せることができる。
【0037】
ピックアップ部15を小塊状物Aに被せた状態で、摘み部16bに対する押し下げ力を解除すると、コイルばね20がばね長を縮小するよう弾性復帰していく。これにより、摘み部16bが窓部17の上端まで復帰しこれと一体に昇降ロッド14が上昇する。もって、フレアに開いていたピックアップ部15が接地部13内に萎んでいきつつ上昇し小塊状物Aを取り囲んだ状態に掴み上げることができる(図6)。
【0038】
杖1を使用する者が小塊状物Aを一方の手で受け取れるようにして他方の手で摘み部16bに対し再度押し下げるようにすると、ピックアップ部15が開くので小塊状物Aを受け取れる。
【0039】
[第2の実施の形態]
図7は本考案の第2の実施の形態に係る杖の縦断面図を示す。本実施の形態に係る杖1Aは、杖本体11Aの上端に把手部12Aが設けられ、下端に接地部13Aが設けられ、もって、杖における通常のスタンダードな外観を有している。
【0040】
本実施の形態に係る杖1Aのピックアップ機能部は、接地部13Aが杖本体11内と連通する中心孔13aを有しており、そして、昇降ロッド14Aとピックアップ部15Aと操作部16Aとを有する点において、第1の実施の形態と同一である。
【0041】
しかし、本実施の形態に係る杖1Aは、ピックアップ機能部が第1の実施の形態と相違している。相違部分はコイルばね20Aの設け方にある。このコイルばね20Aは、圧縮ばねとして作用するよう配置されている。具体的には、昇降ロッド14Aの下端より所要離れた中途にプレスで断面異形加工された凸部14aが設けられ、昇降ロッド14Aの下端より凸部14aに当接するように座金21が貫挿され、次いでコイルばね20Aが貫挿され、次いで杖本体11Aの内面に螺設された雌ネジに中心孔を有するナットリング22がねじこまれ、もって、コイルばね20Aが非圧縮状態に座金21とナットリング22により挟持され、その後に、接地部13Aが設けられている。
【0042】
したがって、操作部16Aの摘み部16bを押し下げて昇降ロッド14Aが下降すると、コイルばね20Aが圧縮され、昇降ロッド14Aが下降する力が解消すると、コイルばね20Aが弾性復帰して昇降ロッド14Aが上昇する構成であり、コイルばねの作用で昇降ロッド14Aが上下動することは第1の実施の形態と同一であるが、コイルばね20Aの圧縮、弾性復帰は第1の実施の形態のコイルばね20とは反対の動作をする。
【0043】
ピックアップ部15Aの、構成及び作用は第1の実施の形態と同一であり、説明を省略する。
【0044】
[第3の実施の形態]
図8(A)は本考案の第3の実施の形態に係る杖の縦断面図である。図8(B)は図8(A)におけるBーB矢視図である。図8(C)は図8(B)に示す窓部17Bの形状図である。本実施の形態に係る杖1Bは、杖本体11Bの上端に把手部12Bが設けられ、下端に接地部13Bが設けられ、もって、杖の通常のスタンダードな外観を有している。
【0045】
本実施の形態に係る杖1Bは、昇降ロッドを上昇復帰させるためのコイルばねを有していないこと、および、昇降ロッドを上昇位置、下降位置、中途の上昇位置に位置決めするために窓部17Bの形状が第1の実施の形態と相違している。
【0046】
具体的には、窓部17Bは、上端と下端と中程に対応する一側に、昇降ロッドを上昇位置に位置決めするための上昇位置係止用凹部17aと、昇降ロッドを下降位置に位置決めするための下降位置係止用凹部17bと、昇降ロッドを中途の上昇位置に位置決めするための上昇中途位置係止用凹部17cとを有する。
【0047】
ピックアップ部15Bが下端より突出しない通常の使用時には摘み部16bが上昇位置係止用凹部17aに係止され、被ピックアップ物Aを摘み上げるときは摘み部16bが窓部17Bの下端まで下げられ下降位置係止用凹部17bに係止され、もって、ピックアップ部15Bがフレアに広がり、そして、ピックアップ部15Bが被ピックアップ物Aに被された状態から摘み部16bを持ち上げてフレアが萎まり、摘み部16bが持ち上柄亡くなる位置で摘み部16bが上昇中途位置係止用凹部17cに係止される。その後は、第1の実施の形態と同様に、杖1Bを使用する者が小塊状物Aを一方の手で受け取れるようにして他方の手で摘み部16bに対し再度押し下げるようにすると、ピックアップ部15Bが開くので小塊状物Aを受け取れる。
【符号の説明】
【0048】
1,1A,1B…杖、
11,11A,11B…杖本体、
12,12A,12B…把手部、
13,13A,13B…接地部、
13a…中心孔、
14,14A,14B…昇降ロッド、
14a…凸部、
15,15A,15B…ピックアップ部、
15a…可撓性線材、
16,16A,16B…操作部、
16a…スライダー、
16b…摘み部、
16c…ねじ、
17,17A,17B…窓部、
17a…上昇位置係止用凹部、
17b…下降位置係止用凹部、
17c…上昇中途位置係止用凹部、
18,19…ねじ、
20,20A…ばね、
21…座金
22…ナットリング
A…被ピックアップ物。
メッセージ

「新しい一体型杖が登場!高齢者や障害者の方々に嬉しい機能が搭載」
小さい物を落とした時、膝を曲げずに簡単に拾い上げることが出来るマジックハンド内蔵型杖

 
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
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