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健康・医療
 
【発明の名称】サンディング装置
【特許権者】
【識別番号】511051786
【氏名又は名称】池浦 一敏
【住所又は居所】福岡県宗像市鐘崎380
【代理人】
【識別番号】100081824
【弁理士】
【氏名又は名称】戸島 省四郎
【発明者】
【氏名】池浦 一敏
【住所又は居所】福岡県宗像市鐘崎380
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右長さが使用する人の肩巾より長く且つ前後長さは使用する人の前腕の長さより長い長方形状の面板から前部中央部を切欠いて使用する人の胴部の一部を挿入できる凹みを形成した上台を有し、
前記上台の後端に沿って、上台の上面より段差があるストッパー部材を設け、前記上台の凹みの前端から前記ストッパー部材まで長く延びた所定巾の滑面を上台の上面中央に形成し、同滑面とこれに隣接した上台の上面とを区画する左右境界それぞれに所定高さの分離部材を上台に固設し、更に同分離部材から左右外側へ所定巾離れた上台上面の左右位置それぞれに縦長の巾木を上台上面に沿って前後方向に取付け、
更に、前記上台の前記滑面上を所要の摩擦をもって箱体底面が接触して滑動できてサンディング運動の身体負荷を与える箱体の同じ前後位置で且つ同じ高さの左右壁面位置に孔を穿孔し、この左右ある孔を貫通して左右の外方向に長く突出させる長さの手握棒を貫通させ、しかも前記箱体の左右巾が前記滑面の巾より短くして箱体が傾きながら前後に滑動できるサンディング負荷体と、
前記上台の前記分離部材と前記巾木との間の上台の上面領域を前後に走行できる下部に走行用車輪又はローラを複数個取付けて上面に腕置マットを設け更に前方左右それぞれに前記手握棒の左又は右の突出部分を貫通して保持できる保持板を設けた腕置台車とを前記上台と別体として備え、
前記手握棒を前記箱体の左右の孔及び腕置台車の保持板の孔に貫挿して前記サンディング
負荷体と前記腕置台車とを連結させて腕置台車の腕置マットに腕を置いて貫挿された手握棒を手で握って腕・肩を前後に運動させることでサンディング負荷体を前記滑面上で前後に動かして障害ある腕・肩の運動機能を回復させられるようにする、サンディング装置。
【請求項2】
前記上台を載置する机の上面に置いた状態で上台と机とを釘又はボルトナットで固着して机付きとした、請求項1記載のサンディング装置。
【請求項3】
前記上台の左右長と同じ左右長を有し且つ前記上台の前後長さより前記凹みの前後長さ分だけ少なくとも短くした長方形状で上面が板面の下台を備え、前記上台は前記下台の上面に重ねることができるように前記上台と下台の後端の対向面位置に丁番で蝶着して連結し、且つ上台を同丁番まわりに反転すると上台の裏面と下台の上面とが同じ面となるように台の高さを調整し、更に前記下台の左右端面の同じ前後の位置で複数の孔を上下方向に穿孔した棒架板を左右端面それぞれに下台の上面と直角になるように取付け、左右の同棒架板の同じ高さの孔に貫挿できる傾き設定棒を備え、下台を所要高さの机上に置き、更に前記丁番まわりに回転させて上台を下台に重ねた状態で使用できる他に、上台を前記丁番まわりに回転させて前記凹みが上方になるように傾斜させ、傾斜した上台の裏面を下台の左右の棒架板の同じ高さの孔に貫挿させた前記傾き設定棒で支持して上台を傾斜した状態で保持させ、傾いた上台の前記滑面に前記サンディング負荷体を、又その隣の前記上面領域に腕置台車を配置して上台の傾きで負荷量が違うサンディング運動を可能とする、請求項1又は2記載のサンディング装置。
【請求項4】
請求項3記載の上台と下台の組み合せたサンディング装置の下台を、これを載置する机の上面に置いた状態で、下台と机とを釘又はボルトナットで固着して机付きとした、請求項3記載のサンディング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳血管疾患等によって腕・肘・肩等の上肢の運動機能を損なった人に運動機能の回復リハビリのためのサンディング装置である。又は、健康な人の上肢の筋力を作る運動器具としても使える装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明のサンディング装置とは、脳血管疾患等の原因で、腕・肘・指・肩・肩甲骨まわりの上肢の運動機能を損ない、それらの動きを低下させた人に対し、これらの上肢の運動機能を回復させるための器具・装置である。その器具・装置としては非特許文献1,2,3に記載のものが知られている。
【0003】
サンディング装置としては、非特許文献2,3に示すように、上肢の筋力回復の為に腕を伸ばし・戻しの屈伸運動で筋肉を刺激して機能を回復させるものが知られている。そのサンディング装置の構造は、製図台のように傾斜した長方形状の平面のサンディングボードに、その操作の為に前方に水平又は垂直な手握棒を取付けたサンディング装置をサンディングボードの傾斜面に滑動させて運動負荷を与えるものである。それに滑動体に重りを設置できるようにしたもの、又は滑面をやすり面にしてその負荷を調整できるものもある(特に非特許文献3参照)。更に、腕の伸退運動が困難な場合、同サンディングボードの左右端に腕吊りスタンドを設け、使用者の腕をスタンドの吊りパッドで支持させて腕の伸退運動を容易にするようにしているものもある。
【0004】
しかし、このサンディング装置でも障害が重い場合、スタンドの吊りパッドで腕を保持させること自体が困難であることが多く、そのため障害者本人単独では使用できず、補助
者・医師の手伝いを必要としていた。
そのため、障害者が1人で所望の時間帯で自由に使用することができにくいものであった。
更に、従来の傾斜したサンディングボード上で横長のサンディング器具を直線的ガイドレールで拘束して前後に直線的に移動させ易くしたものでは、使用者の腹前面がサンディングボードの前縁に当って肘を胴部後方深くまで引く(肘を肩の位置の後方深く引く)ことができず、肩回転・上腕運動が不充分となるものであった。
【0005】
更に、従来のサンディング器具では直線的ガイドレールによって拘束されて左右に突出した手握棒を両手で握って前後に同じ歩調で直線的に動くように左右の腕を動かせねばならず、障害の大きい腕はそれに引きづられるように強制され、障害の大きい腕をその障害に応じて前後運動させる調整が難しく、障害が大きい方の腕に過大なストレスが与えて適度な回復運動とならないという欠点があった。
更に、障害のある腕の肘をパットで吊る作業が障害者単独でできず、障害が大きい腕の初期のサンディング運動に使い辛いものとなっていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】北大阪警察病院のホームページの「リハビリテーション科−北大阪けいさつ病院外来受診のご案内」の頁
【非特許文献2】HiAT Report2011 福祉のまちづくり研究所報告集「上肢運動機能リハビリテーションにおける訓練・評価手法の開発」の論文
【非特許文献3】酒井医療株式会社のホームページの「総合カタログ2018」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、従来のサンディング装置の問題点を解消し、障害が重い状態でのサンディング運動を一人で且つ障害に応じた適切な負荷状体で行え、又肩に充分な回転運動を与えられ、更に障害の回復に応じたサンディング負荷を調整でき、前後ばかりでなく左右運動も自在に行えるというサンディング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 左右長さが使用する人の肩巾より長く且つ前後長さは使用する人の前腕の長さより長い長方形状の面板から前部中央部を切欠いて使用する人の胴部の一部を挿入できる凹みを形成した上台を有し、
前記上台の後端に沿って、上台の上面より段差があるストッパー部材を設け、前記上台の凹みの前端から前記ストッパー部材まで長く延びた所定巾の滑面を上台の上面中央に形成し、同滑面とこれに隣接した上台の上面とを区画する左右境界それぞれに所定高さの分離部材を上台に固設し、更に同分離部材から左右外側へ所定巾離れた上台上面の左右位置それぞれに縦長の巾木を上台上面に沿って前後方向に取付け、
更に、前記上台の前記滑面上を所要の摩擦をもって箱体底面が接触して滑動できてサンディング運動の身体負荷を与える箱体の同じ前後位置で且つ同じ高さの左右壁面位置に孔を穿孔し、この左右ある孔を貫通して左右の外方向に長く突出させる長さの手握棒を貫通させ、しかも前記箱体の左右巾が前記滑面の巾より短くして箱体が傾きながら前後に滑動できるサンディング負荷体と、
前記上台の前記分離部材と前記巾木との間の上台の上面領域を前後に走行できる下部に走行用車輪又はローラを複数個取付けて上面に腕置マットを設け更に前方左右それぞれに前記手握棒の左又は右の突出部分を貫通して保持できる保持板を設けた腕置台車とを前記上台と別体として備え、
前記手握棒を前記箱体の左右の孔及び腕置台車の保持板の孔に貫挿して前記サンディング負荷体と前記腕置台車とを連結させて腕置台車の腕置マットに腕を置いて貫挿された手握棒を手で握って腕・肩を前後に運動させることでサンディング負荷体を前記滑面上で前後に動かして障害ある腕・肩の運動機能を回復させられるようにする、サンディング装置
2) 前記上台を載置する机の上面に置いた状態で上台と机とを釘又はボルトナットで固着して机付きとした、前記1)記載のサンディング装置
3) 前記上台の左右長と同じ左右長を有し且つ前記上台の前後長さより前記凹みの前後長さ分だけ少なくとも短くした長方形状で上面が板面の下台を備え、前記上台は前記下台の上面に重ねることができるように前記上台と下台の後端の対向面位置に丁番で蝶着して連結し、且つ上台を同丁番まわりに反転すると上台の裏面と下台の上面とが同じ面となるように台の高さを調整し、更に前記下台の左右端面の同じ前後の位置で複数の孔を上下方向に穿孔した棒架板を左右端面それぞれに下台の上面と直角になるように取付け、左右の同棒架板の同じ高さの孔に貫挿できる傾き設定棒を備え、下台を所要高さの机上に置き、更に前記丁番まわりに回転させて上台を下台に重ねた状態で使用できる他に、上台を前記丁番まわりに回転させて前記凹みが上方になるように傾斜させ、傾斜した上台の裏面を下台の左右の棒架板の同じ高さの孔に貫挿させた前記傾き設定棒で支持して上台を傾斜した状態で保持させ、傾いた上台の前記滑面に前記サンディング負荷体を、又その隣の前記上面領域に腕置台車を配置して上台の傾きで負荷量が違うサンディング運動を可能とする、前記1)又は2)記載のサンディング装置
4) 前記3)記載の上台と下台の組み合せたサンディング装置の下台を、これを載置する机の上面に置いた状態で、下台と机とを釘又はボルトナットで固着して机付きとした、前記3)記載のサンディング装置
にある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、障害が重い状態では別体の所要高さの机D上に、上台1単独を又は丁番5を使用して上台1を下台4の上に重ねた状態で設置して上台1の上面16を水平又は水平に近い傾斜状態にする。次に、これを使用する障害者の前腹部を凹み11に当てるようにして椅子に座る。
次に、箱状のサンディング負荷体2を上台1の滑面13上に置く。必要ならばサンディング負荷体2の箱体21内に所要の重量の重りを置いて負荷調整する。
その後、分離部材14と上台1の上面16に縦長に添わせている巾木15との間の左又は右あるいは左右両側の上面領域141に腕置台車3を置く。
【0010】
次に、サンディング負荷体2の孔211と腕置台車3の保持板34の棒孔341に長い手握棒22を貫通させ、この腕置台車3の腕置マット33上に障害者の腕・肘を置く。腕・肘を置く動作は、他の手を使って障害が強い方の腕・肘を支えながら腕置マット33上に置くようにする。両手とも不自由な場合は、補助者の手伝いによって簡単に腕を腕置マット33上に置く。
【0011】
障害がある腕を腕置台車3の腕置マット33に置く。その手は腕置台車3の保持板34の棒孔341に貫通させた水平な手握棒22を握る。
この状態で、腕を前後に又は肩を回転させると軽い力で腕置台車3は下部の自在車輪32で前後でき、腕の筋肉を屈伸させることができ、サンディング運動を与えることができる。左右の腕置台車3の間にサンディング負荷体2があって、腕置台車3の前後動とともにサンディング負荷体2の箱底面212は上台1の木板131の表面の滑面13と擦りながら前後し、その擦りの摩擦がサンディング運動の負荷となる。この負荷値は木板131と箱底面212との摩擦係数・滑面13の傾き角によってあるいは箱体内に入れる重りの重量で調整できる。
【0012】
又、本発明では上台1の凹み11に使用する障害者の腹部が当るようにしているため、使用する者の肩の位置は上台1の凹み11のない前縁より後方側にあって、その分腕の肘の位置は上台1の前縁から更に前方の位置まで退かせることができ、肩の回転角を大きくとれる運動となり、より好ましいサンディング運動にできる。
【0013】
又、手握棒22を左手及び右手の両手で握って腕置台車3を前後させると、障害がない腕又は障害が少ない腕側の腕の力,肩の力によって手握棒22を前後に移動できる。しかも、サンディング負荷体2の箱体21の巾は、上台1の滑面13の巾より(10mm前後程)短くなっているので、サンディング負荷体2及び手握棒22は前後方向から左右いずれかに傾くことができる。そのため障害が少ない腕で手握棒22を前後させて前後運動をリードしても、障害が大きい腕側はその前後運動にそのまま追従させず、障害が大きい方の腕を前方側(体側)に残させて手握棒22を傾くことを許容する。
これによって、障害の大きい腕に過大なストレスがかからないようにでき、障害の大きい腕・肩の回復に適した負荷ストレスに調整でき、障害に応じた負荷ストレスに障害者自身(障害の少ない腕の運動)でもってコントロールできるという利点がある。
【0014】
次に、障害がある程度回復してきた場合、サンディング運動に大きい負荷を与えたい場合の対応について説明する。
この場合、机D上の下台4の上に上台1を重ねた状態から、上台1を後端にある丁番5まわりに回転させて上台1が下台4,机Dに対して所定の角度傾けた状態にする。上台1の傾きを保持するため、下台4の左右端それぞれに取付けた直角の棒架板41の同じ高さの孔間に傾き設定棒43を貫挿し、傾けた上台1の裏面17を前記傾き設定棒43でその傾きを保持する。左右の棒架板41の孔411は上下に複数あるので、設定棒43の高さは複数のものに変更でき、この孔411の選択によって上台1の傾き角を複数の角度の中から選択できるようにしている。
【0015】
そして、上台1を所要の角度に傾斜した状態で凹み11がない後端側に障害者が椅子に座って使用する。サンディング負荷体2は上台1の滑面13上に前後逆にして置き、又腕置台車3は上台1の分離部材14と巾木15の間の上面領域141に前後逆にして置いて使用する。
サンディング負荷体2と腕置台車3で使用方法は、前記した上台1を水平にした状態での使用方法と同様である。
この上台1を傾斜させた使用では、サンディング負荷体2及び腕置台車3には上台1の傾きに応じて自重による滑り力が加わるため傾きを登る方向のサンディング運動の負荷が大きく、サンディング負荷体2,腕置台車3の凹み11がある前方への動きに対し大きな腕・肘・肩の力が必要となり、少し回復した腕・肘・肩の回復のサンディング運動に適するものとなる。上台1の傾き角度が大きくなる程、回復が進んだ状態での運動負荷の大きいサンディング運動を可能とする。
【0016】
更に、腕・肘・肩の左右方向のサンディング運動を与えたい場合は、上台1をその後端の丁番5まわりに180°回転させ水平とし、又反転した上台1の巾木15を垂直に起立させ、反転した上台1の水平状態を巾木15が支持脚となり下台の上面44と上台1の裏面17とを略同一水平面として、この広い水平面上でサンディング負荷体2,腕置台車3それぞれ単独で使用して、又は手握棒22で互に連結状態して使用することで、広い水平面でサンディング負荷体2,腕置台車3を前後及び左右に動かして腕・肘・肩に左右方向の運動を付加したサンディング運動を可能にしている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は実施例のサンディング負荷体と腕置台車を上台1の上に置いていない状態の上台の斜視図である。
【図2】図2は実施例の上台の平面図である。
【図3】図3は図2のA−A断面図である。
【図4】図4はサンディング負荷体と腕置台車とを上台1上に配置した状態を示す斜視図である。
【図5】図5は実施例の使用状態を示す側面図である。
【図6】図6は図5の使用状態におけるサンディング負荷体と腕置台車と腕を置いた状態を示す平面図である。
【図7】図7は実施例の下台の斜視図である。
【図8】図8は実施例の下台の底面図である。
【図9】図9は実施例のサンディング負荷体を示す斜視図である。
【図10】図10は実施例のサンディング負荷体の中央縦断面図である。
【図11】図11は実施例の腕置台車の平面図である。
【図12】図12は実施例の腕置台車の底面図である。
【図13】図13は実施例の腕置台車を示す側面図である。
【図14】図14は実施例の腕置台車の前部を示す拡大説明図である。
【図15】図15は実施例の腕置台車の前部に垂直握棒を垂直に立設状態を示す腕置台車の平面図である。
【図16】図16は図15のX−X線における断面図である。
【図17】図17は垂直握棒を取付けた腕置台車での実施例の使用例を示す説明図である。
【図18】図18は実施例の上台を傾斜させて使用する状態を示す側面図である。
【図19】図19は実施例の上台を180°反転して下台と上台を水平に連結した状態での使用例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のサンディング装置は実施例の如く上台と下台を丁番で連結し、これにサンディング負荷体と腕置台車を備えた構造例ばかりでなく、上台のみにサンディング負荷体と腕置台車を配置し、下台がない形態も本発明に含まれるものである。
【0019】
又、本発明では本発明の別体として備えているサンディング負荷体又は腕置台車単独で適切な机面又はテーブル面、あるいは上台を反転して下台と略同一の高さで平面にした面上で使用することでもサンディング運動させることができる。
更に、本発明では上台を専用の机に釘・ボルトナット・木ネジD1等で固着して机付きのサンディング装置としてもよい。又、実施例の如く上台を下台に丁番で連結した形態のその下台をやはり机に釘・ボルトナット・木ネジD1等で固着して机付きのサンディング装置とすることもでき、これも本発明に含まれるものである。
【実施例】
【0020】
本発明の実施例を図1〜19の図面に基づいて説明する。本実施例は、上台1と下台4とを後端の重ね面に設けた丁番5で連結している。図4,5,6,17に示すように、上台1を下台4の上に重ねて水平な上台1上でサンディング負荷体2・腕置台車3を動かして軽いサンディング運動をすることができる。この使用は上肢の運動機能がかなり重い障害者の初期的なサンディング運動に適する。
更に、本実施例では図18に示すように上台1を丁番5まわりに回転させて所要の傾斜角で下台4の左右の棒架板の孔に傾き設定棒43を挿通して上台1を所定の角度の傾き状態にして、凹み11がない方後端側から傾斜した上台1上でサンディング負荷体2及び腕置台車3を動かしてサンディング運動をさせる。この場合は、上台1の傾きの大きさに応じて負荷が大きくなるので、上肢の運動機能がある程度回復した者のサンディング運動に適する。
更に、図19に示すように上台1を丁番5まわりに180°反転させ、巾木15をその
支持脚とし、下台上面44と上台1の裏面17で広いフラットな平面を形成し、この上でサンディング負荷体2又は腕置台車3を前後左右自在に動かすことで種々の上肢の方向の動き・回転に対してサンディング運動をさせることができるようにした、水平な上台1の上面16での使用形態、傾いた上台1での使用形態及び下台4と上台1でのフラットな広い平面での使用形態ができる例である。
【0021】
(実施例の符号の説明)
Gは図1〜19に示す上記実施例のサンディング装置であり、Dは同サンディング装置Gを設置して使用する為の所要高さの机であって、実施例の上台1のみを机上面に載置して机Dと上台1とは互に独立して分離できる場合と、上台1を机Dに直接釘又はボルトナット(図示せず)・木ネジD1等で固着して使用する机付きサンディング装置とすることもできる。更に、上台1と下台4とを丁番5で連結し、下台4を机上面に載置し、その上台1を下台4上で傾けることができる実施例の上台1と下台4との組み合せ台と机Dとは組み合せ台を机上面に載置するだけで組み合せ台を机から分離できる場合と、専用の机Dを組み合せ台の下台4に釘・ボルトナット(図示せず)・木ネジD1等で固着して机付きのサンディング装置とすることもできる。
1は左右長110cm,前後長90cm,厚み1cmの板材の上台、11は同上台の前部中央に設けた台形状の凹みで、その前縁の長さ40cm,凹みの後縁の左右長さ20cmで奥行き24cm程の寸法を有する。111は凹み11の縁部分を形成する木製の縁材、112は同縁材の前面に取付けた下方に広いクッション材、113は滑面13の前縁に設けたクッション材、114は滑面の後端に設けたクッション材である。12は上台1の後縁に固設した前後巾5cmで左右長さ110cmの木製のストッパー部材、13は上台1の中央上面16に3cmの肉厚の木板131を貼り付けてその上面でストッパー部材12まで続く滑面、14は同滑面と上台1の隣接する上面16とを区画する左右に設けた高さ5.5cmの金属板の分離部材、141は同分離部材14から巾木15までの27cmの巾の上台1の上面である上面領域、15は上台1の上面の左右それぞれ設けた巾木であり、151は巾木15の前縁部に設けた丁番、152は巾木15を起立させるための丁番添木、153は左右ある巾木15の後端間を連結する巾木連接鉄板、16は上台1の上面、17は上台1の裏面である。
【0022】
2は図9,10で示すサンディング負荷体、21は同サンディング負荷体の本体となる木製の上方開放の箱体、211は同箱体の左右壁に設けた手握棒22を貫通させる孔、212は同箱体の底面、213は箱体21の上方開口、22は長さ66cmで孔直径が3cmの木製手握棒、23は同手握棒22を箱体21に固定する木ネジである。
【0023】
3は図11〜17に示す前後長さ43cmで左右巾16.5cm程の腕置台車、31は同腕置台車の台車ベース板、32は同台車ベース板に取付けた6個の自在車輪、33は同台車ベース板の上部に設けたクッション性のある腕置マット、34は台車ベース板の前方の左右に取付けた保持板、341は同保持板34に設けた手握棒22を貫挿する棒孔、35は腕置マット33が左右に動かないように固定するために台車ベース板31に固着されたマット枠木、36は図15〜17に示す腕置台車3の前方に脱着自在に取付けられる垂直握棒、361は同垂直握棒36の底面中央に垂設したねじ軸、362は台車ベース板31の前方中央に穿孔したねじ軸孔、363は同ねじ軸孔に挿入したねじ軸361に螺着して垂直握棒36を台車ベース板31に固定するための蝶ナット、364はワッシャである。
【0024】
4は主に図7,5,8で示される下台、40は下台4のベース板、41は同下台の左右中間の左右端に垂直に取付けられた板状の棒架板、411は同棒架板に所定間隔で複数個穿孔した傾き設定棒43を挿入する孔、42は棒架板41の取付を補強する補強木、43は孔411に挿入して傾いた上台1を支持する傾き設定棒、44は下台4の上面、45は
下台4の強度を補強するため下台4のベース板40の裏面に取付けられた下台補強裏角部材である。5は上台1に重ねて置いた下台4とを後端で開閉自在に連結する丁番である。
【0025】
(本実施例の腕・肩の障害が重い状態での使用について/図4,5参照)
後端にある丁番5まわりに回転させて上台1を下台4の上に重ね、上台1の上面が略水平にして運動室の机D上に載置する。又は、机Dに固着した上台1・下台4を使う。
そして、上台1の滑面13上には図4に示すようにサンディング負荷体2を設置し、その左右の上台1の上面領域141には腕置台車3を載置し、長さ66cm程の木製の手握棒22を左側の腕置台車3の左右の2個の棒孔341及びサンディング負荷体2の左右の孔211及び右側腕置台車3の左右の2個の棒孔341を貫挿させる。この準備は補助者・看護師・医師が行う。
【0026】
障害者は、図5,6に示すように机Dに置かれた重ね合せた上台1と下台4の凹み11に腹部を嵌合するように机Dの椅子に座る。次に、各腕置台車3の腕置マット33の上に左腕・右腕を置く。障害が軽い側の手で障害が重い側の肘を支えるようにして各腕を腕置台車3の腕置マット33の上に置くことができ、障害者が一人で腕を腕置台車3上に腕を置ける。腕支え吊りパットを必要なく使用できる。
【0027】
次に、腕を腕置マット33に載せた手は水平な手握棒22を握る。この状態で腕・肩の筋力で腕置台車3を前後に動かすと、手握棒22を介してサンディング負荷体2が上台1の滑面13の摩擦力に抗して前後に動かせる。障害が軽い方の腕は、サンディング負荷体2を強く推進し、障害が重い腕の推進力が弱く、しかも滑面13の左右巾の方がサンディング負荷体の左右巾より10mm程長くなっていて、そのため手握棒22及びサンディング負荷体2は斜めになって動かされ、障害が重い腕には強い負荷がかからずストレスを少ない状態にできる。
【0028】
よって、重い障害の腕側には過度なストレスを与えず、軽い障害の腕側の力によってサンディング負荷体2と腕置台車3が動かされ、障害が大きい腕・肩のストレスをコントロールできる。
このように、略水平の上台1では障害が重い状態での軽いサンディング運動を可能とする。
【0029】
しかも、凹み11によって腕置台車3を肩の後方まで引くことができ、肩の回転運動・肘の引き運動の効果的なサンディング運動を与えられる。
【0030】
サンディング負荷を増大させたい場合は、サンディング負荷体2の箱体21内に所要の重りを置けば摩擦力が増大させることができ、負荷を調整できる。
【0031】
(障害が回復されて高いサンディング負荷を与えたい場合/図18参照)
この場合は、上台1を丁番5まわりに回転させて上台1を所要の角度に傾斜させ、左右ある棒架板41の所要の孔411に傾き設定棒43を挿入することで、傾けた上台1の裏面17と接触させて上台1の傾き状態を保持する。
【0032】
この状態で、障害者は机の反対側で椅子に座って、又サンディング負荷体2を上台1の水平として使用する前の状態での使用に対し前後逆にして滑面13上に配置する。又、腕置台車3も前後逆にして上面領域141に配置する。
このようにして、凹み11がない上台1後側から上台1を傾けて使用する。滑面13,上面領域141も傾斜があるため、サンディング負荷体2,腕置台車3の前後動に対して腕・肩等により強い負荷が作用し、回復した腕・肩の強い負荷でのサンディング運動を可能にする。
【0033】
更に、上台1を下台4に対して180°反転させ巾木15を直角に起立させると、上台1は巾木15が支持脚となり、図19に示すように上台1の裏面17と下台4の上面44とが略同一となり、この上に腕置台車3を配置し、この腕置台車3上に腕を置くことで、前後ばかりでなく左右方向に自在にサンディング運動させることができるようになる。尚、前記使用状態の如くサンディング負荷体2と左右の腕置台車3とを手握棒22で連動させるようにしてサンディング運動をさせることもできる。
【0034】
又、腕置台車3の保持板34の棒孔341に手握棒22を貫挿させず、図15〜17に示すように先端に垂直握棒36のねじ軸361をねじ軸孔362に挿入して、ワッシャ364と蝶ナット363で固着させることで、腕置台車3単独で前後左右に動かすサンディング運動を可能にする。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、肩・腕・肘に運動障害がある人の回復のためのサンディング装置であるが、障害がない人の腕・肩筋力の向上の運動具としても使用できる。
【符号の説明】
【0036】
G 実施例のサンディング装置
D 机
D1 固定用木ネジ
1 上台
11 凹み
111 縁材
112 クッション材
113 クッション材
114 クッション材
12 ストッパー部材
13 滑面
131 木板
14 分離部材
141 上面領域
15 巾木
151 巾木丁番
152 巾木添木
153 巾木連接鉄板
16 上面(上台1の)
17 裏面(上台1の)
2 サンディング負荷体
21 箱体
211 孔
212 底面
213 上方開口
22 手握棒
23 木ネジ
3 腕置台車
31 台車ベース板
32 自在車輪
33 腕置マット
34 保持板
341 棒孔
35 マット枠木
36 垂直握棒
361 ねじ軸
362 ねじ軸孔
363 蝶ナット
364 ワッシャ
4 下台
40 ベース板
41 棒架板
411 孔
42 補強木
43 傾き設定棒
44 上面(下台4の)
45 下台補強裏角部材
5 丁番(上台と下台との連結用)
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
【図9】
図9
【図10】
図10
【図11】
図11
【図12】
図12
【図13】
図13
【図14】
図14
【図15】
図15
【図16】
図16
【図17】
図17
【図18】
図18
【図19】
図19
 発明者からのメッセージ
説明文
[The necessity and meaning of using sanding device]
Step1. Desk top rehabilitation equipment
Being able to stretch your arm to its maximum using the rehabilitation equipment, your body will be able to move to push and pull using your shoulder with your arm remain stretched, and that enables to use the sanding device.

Step2. Sanding device
This device enables your unmovable body parts (fingers, hand, arm, shoulder, shoulder scapula) to move. Put your arm on the device, grip the pole attached to its side, and use your shoulder with keeping your arm stretched to do bending exercise. This is a rehabilitation device and also can be a muscle training device as well.
When you come to be able to put your arm on the device and grip the pole on its side all by yourself, you will be able to use this device freely many times in a day, which can be said that doing rehabilitation exercise on a daily basis can make muscle. As your muscle being formed and start feeling light to use your arm, the supportive place designed to put your arm will not be needed, and the sanding device can be used as a normal sanding device by changing and adjusting its direction.
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