閉じる
健康・医療
 
【発明の名称】温熱治療器
【国際特許分類】
A61H 39/06 (2006.01)
A61F 7/03 (2006.01)
A61H 39/00 (2006.01)
【FI】
A61H 39/06 320     
A61F 7/08 331     
A61F 7/08 334L    
A61H 39/00    K    
【特許権者】
【識別番号】524034730
【氏名又は名称】山本 征士郎
【住所又は居所】広島県広島市安佐南区伴南4-20-2
【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
【代理人】
【識別番号】100179648
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 咲江
【代理人】
【識別番号】100222885
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
【代理人】
【識別番号】100140338
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 直樹
【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
【代理人】
【識別番号】100219313
【弁理士】
【氏名又は名称】米口 麻子
【代理人】
【識別番号】100161610
【弁理士】
【氏名又は名称】藤野 香子
【発明者】
【氏名】山本 征士郎
【住所又は居所】広島県広島市安佐南区伴南4-20-2
【要約】
【課題】従来よりも簡易に使用可能な温熱治療器を提供する。
【解決手段】温熱治療器1は、電力が供給されると発熱する帯状の発熱体5と、矩形板状をなし、かつ、発熱体5を収容するケース4と、を備えている。ケース4の幅は、使用者Uが把持可能な長さに設定されている。
【選択図】図2
選択図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温熱治療器であって、
電力が供給されると発熱する帯状の発熱体と、
厚みを有する矩形板状をなし、かつ、前記発熱体を収容するケースと、を備え、
前記ケースの幅は、使用者が把持可能な長さに設定されている温熱治療器。
【請求項2】
請求項1に記載の温熱治療器において、
前記ケースは、表面部及び裏面部を備え、かつ、金属製であり、
前記発熱体は、前記発熱体において発生した熱が前記表面部及び前記裏面部に伝えられるように前記表面部と前記裏面部との間に配設されている温熱治療器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の温熱治療器において、
前記発熱体に電力を供給するのに用いられ、かつ、一部が前記ケース内に収容されるとともに、他部が前記ケースの長手方向一端から前記ケースの外部に延びる電力供給線と、
前記ケースの長手方向一端部分の外周に備えられ、かつ、前記ケースよりも熱伝導率が低い被把持部と、を更に備え、
前記発熱体は、温灸を行うことが可能な温度まで昇温可能に構成されている温熱治療器。
【請求項4】
請求項3に記載の温熱治療器において、
前記ケースの長手方向一端部分に対応する部分から前記長手方向一端側に延びるように設けられた保護部を更に備え、
前記保護部は、前記ケースの外部に位置する前記電力供給線における前記長手方向他端側の部分を保護するように構成されている温熱治療器。
【請求項5】
請求項1に記載の温熱治療器において、
布製のカバーを更に備え、
前記ケースは、前記カバーに収容されている温熱治療器。
【請求項6】
請求項1に記載の温熱治療器において、
平坦な裏面を有するベース部と、前記裏面に前記温熱治療器を着脱自在に取付るための取付部と、前記ベース部の表面側に設けられた取手部と、を有するアタッチメントを更に備えている温熱治療器。
【請求項7】
請求項6に記載の温熱治療器において、
前記発熱体は、温灸を行うことが可能な温度まで昇温可能に構成され、
前記アタッチメントは、前記ケースよりも熱伝導率が低くなっている温熱治療器。
【請求項8】
請求項6に記載の温熱治療器において、
前記取手部は、対向する一対の柱部と、前記一対の柱部同士を連絡する連絡部と、前記一対の柱部に設けられたベルト孔部とを備え、
前記ベルト孔部に挿入された状態において前記使用者の体に巻き付けることが可能なベルトを更に備えている温熱治療器。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載の温熱治療器において、
前記取手部は、対向する一対の柱部と、前記一対の柱部同士を連絡する連絡部と、前記連絡部に設けられた係合孔部とを備え、
鉤状をなし、かつ、前記使用者が把持可能な基端部と、前記係合孔部に係合可能な先端部とを有する鉤状部材を更に備えている温熱治療器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温熱治療器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、首や肩などの患部を温めることで、その痛みを緩和する等に用いられる温熱治療器が知られている。例えば、特許文献1では、円盤状をなす温熱治療器を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 実開昭53−82588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、温熱治療器は、例えば、使用者がベッドに寝転んだ状態において腰等とベッドとの間に挟んで使用する態様が想定される。そのため、温熱治療器は、比較的平らな形状が好ましい。
【0005】
一方、例えば、使用者が座っている状態において首や肩などに温熱治療器を宛がって使用する態様も想定される。しかし、特許文献1の如き比較的大型の円盤状の温熱治療器では、例えば、座った状態の高齢の使用者が温熱治療器を持ち上げること自体が困難である。そのため、使用者が座った状態において自身の首や肩に温熱治療器を宛がって使用することが難しいという問題がある。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来よりも簡易に使用可能な温熱治療器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、温熱治療器であって、電力が供給されると発熱する帯状の発熱体と、厚みを有する矩形板状をなし、かつ、前記発熱体を収容するケースと、を備え、前記ケースの幅は、使用者が把持可能な長さに設定されている。
【0008】
このように構成された本発明によれば、温熱治療器のケースが厚みを有する矩形板状をなしているので、例えば、使用者の腰等とベッドとの間に温熱治療器のケースを挟んだ状態で使用することが可能となる。さらに、ケースの幅が使用者が把持可能な長さに設定されているので、使用者は片手でケースを把持して温熱治療器を持ち上げることが可能となる。これにより、例えば、使用者が座った状態のまま片手でケースを把持して、該ケースを自身の首や肩等に容易に宛がうことが可能となる。
【0009】
本発明において、好ましくは、前記ケースは、表面部及び裏面部を備え、かつ、金属製であり、前記発熱体は、前記発熱体において発生した熱が前記表面部及び前記裏面部に伝えられるように前記表面部と前記裏面部との間に配設されている。
【0010】
このように構成された本発明によれば、発熱体において発生した熱が表面部と裏面部とに伝えられるので、表面部及び裏面部の2つの面をそれぞれ別の患部に宛がうことが可能となる。これにより、温熱治療器を脇の下、腕、膝裏等に挟んで使用することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記発熱体に電力を供給するのに用いられ、かつ、一部が前記ケース内に収容されるとともに、他部が前記ケースの長手方向一端から前記ケースの外部に延びる電力供給線と、前記ケースの長手方向一端部分の外周に備えられ、かつ、前記ケースよりも熱伝導率が低い被把持部と、を更に備え、前記発熱体は、温灸を行うことが可能な温度まで昇温可能に構成されている。
【0012】
このように構成された本発明によれば、被把持部はケースよりも熱伝導率が低いので、使用者が被把持部を把持している場合において発熱体において発生した熱が被把持部を介して使用者の手に伝わり難くなる。これにより、例えば、発熱体が温灸が可能な温度まで昇温された場合において、使用者が手袋等を用いずにケースを把持することが可能となる。また、被把持部が備えられたケースの長手方向一端から電力供給線がケースの外部に延びているので、使用者が被把持部を把持した状態で温熱治療器を自身の患部に宛がう際に電力供給線が邪魔になり難くすることができる。これにより、温熱治療器を扱い易くすることができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、前記ケースの長手方向一端部分に対応する部分から前記長手方向一端側に延びるように設けられた保護部を更に備え、前記保護部は、前記ケースの外部に位置する前記電力供給線における前記長手方向他端側の部分を保護するように構成されている。
【0014】
このように構成された本発明によれば、ケースの外部に位置する電力供給線における長手方向他端側の部分が、保護部により保護されるようになる。これにより、上記長手方向他端側の部分において断線等が発生するのを抑制することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、布製のカバーを更に備え、前記ケースは、前記カバーに収容されている。
【0016】
このように構成された本発明によれば、使用者がカバーを介してケースを把持するようになるので、発熱体において発生した熱を使用者の手に伝わり難くすることができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、平坦な裏面を有するベース部と、前記裏面に前記温熱治療器を着脱自在に取付るための取付部と、前記ベース部の表面側に設けられた取手部と、を有するアタッチメントを更に備えている。
【0018】
このように構成された本発明によれば、例えば、使用者が自身の手で取手部を把持して、ベース部に取付られた温熱治療器を首や肩などに宛がうことが可能となる。これにより、使用者がケースを把持する場合に比べて使用者の患部に宛がうことが可能なケースの面積を大きくすることができる。したがって、ケースの大型化を抑えながら、温熱治療器の使用時間を短くすることが可能となる。また、例えば、使用者以外の者が自身の手で取手部を把持して、ベース部に取付られた温熱治療器を座っている使用者の後方側から該使用者の首、肩、腰などに宛がうことも可能となる。
【0019】
本発明において、好ましくは、前記発熱体は、温灸を行うことが可能な温度まで昇温可能に構成され、前記アタッチメントは、前記ケースよりも熱伝導率が低くなっている。
【0020】
このように構成された本発明によれば、アタッチメントはケースよりも熱伝導率が低いので、使用者が取手部を把持している場合において発熱体において発生した熱がアタッチメントを介して使用者の手に伝わり難くなる。これにより、例えば、発熱体が温灸が可能な温度まで昇温された場合において、使用者が手袋等を用いずに温熱治療器を使用することが可能となる。
【0021】
本発明において、好ましくは、前記取手部は、対向する一対の柱部と、前記一対の柱部同士を連絡する連絡部と、前記一対の柱部に設けられたベルト孔部とを備え、前記ベルト孔部に挿入された状態において前記使用者の体に巻き付けることが可能なベルトを更に備えている。
【0022】
このように構成された本発明によれば、例えば、温熱治療器が使用者の腰に宛がわれた状態においてベルトを使用者の腰に巻き付けることにより、使用者は自身の手で温熱治療器を把持する必要がなくなる。これにより、温熱治療器を使用しながら家事などの作業や新聞等を読むことも可能となる。
【0023】
本発明において、好ましくは、前記取手部は、対向する一対の柱部と、前記一対の柱部同士を連絡する連絡部と、前記連絡部に設けられた係合孔部とを備え、鉤状をなし、かつ、前記使用者が把持可能な基端部と、前記係合孔部に係合可能な先端部とを有する鉤状部材を更に備えている。
【0024】
このように構成された本発明によれば、使用者は、鉤状部材を用いることで、使用者自身の手が届き難い背中などの患部に温熱治療器を独力で宛がうことが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
従来よりも簡易に使用可能な温熱治療器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態1に係る温熱治療器を示す斜視図である。
【図2】使用者が温熱治療器を把持している状態を示す図である。
【図3】図1のIII−IIIにおける概略断面図である。
【図4】使用者が温熱治療器を使用している態様を示す図である。
【図5】使用者が温熱治療器を使用している態様を示す図である。
【図6】アタッチメントを示す斜視図である。
【図7】アタッチメントに温熱治療器が取付られた状態を示す図である。
【図8】使用者がアタッチメントを用いて温熱治療器を使用している態様を示す図である。
【図9】使用者がアタッチメントを用いて温熱治療器を使用している態様を示す図である。
【図10】アタッチメントに温熱治療器及びベルトが取付られた状態を示す図である。
【図11】使用者がアタッチメント及びベルトを用いて温熱治療器を使用している態様を示す図である。
【図12】アタッチメントに温熱治療器及び鉤状部材が取付られた状態を示す図である。
【図13】使用者がアタッチメント及び鉤状部材を用いて温熱治療器を使用している態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0028】
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態1に係る温熱治療器1を示す。該温熱治療器1は、携帯可能であり、使用者Uが自身の手に持って扱うことが可能な大きさ及び重量で構成されている。また、該温熱治療器1は、治療器本体2と、図示しないオンオフスイッチ付きの電源コード3とを備えている。治療器本体2は、金属製(例えば、アルミニウム製)のケース4を備えている。該ケース4は、厚みを有する矩形板状をなしている。本実施形態では、ケース4(治療器本体2)は、布製のカバーCに収容されている。該カバーCは、袋状をなし、かつ、袋口を紐(不図示)等を用いて閉じることが可能となっている。
【0029】
また、ケース4の長辺S1、つまり、ケース4の長手方向の寸法は、例えば、人の腰幅に略対応する長さ(寸法)に設定されている。さらに、ケース4の短辺S2、つまり、ケース4の幅方向の寸法は、温熱治療器1の使用者U(図2参照)などが把持可能な長さに設定されている。図2では、例えば、使用者Uが自身の右手RHで温熱治療器1の長手方向一端部分(長手方向一側の端部)を把持している状態を示している。
【0030】
本実施形態では、長辺S1が20cm、短辺S2が4cmに設定されている。なお、長辺S1は、例えば、10cm〜30cmが好ましく、17cm〜27cmがより好ましい。また、短辺S2は、例えば、2cm〜7cmが好ましく、3cm〜6cmがより好ましい。また、本実施形態では、ケース4の厚みは、約5mmに設定されている。なお、ケース4の厚みは、4mm〜8mmが好ましく、5mm〜7mmがよりも好ましい。
【0031】
図3に示すように、ケース4は、天板部4aと、底板部4bと、第1側板部4cと、第2側板部4dとを備えている。ケース4は、天板部4aと、底板部4bと、第1側板部4cと、第2側板部4dとがロ字状に連結されることによって構成されている。換言すると、ケース4は、その断面形状が略ロ字状をなしている。本実施形態では、天板部4aの外面がケース4の表面、底板部4bの外面がケース4の裏面をそれぞれ構成している。
【0032】
図1に示すように、ケース4には、略帯状をなす発熱体5が収容されている。該発熱体5は、その延び方向(発熱体5の長手方向)がケース4の長手方向と略一致する姿勢でケース4に収容されている。また、発熱体5は、電力を供給すると発熱する、つまり、温度が上昇する特性を有している。
【0033】
本実施形態では、発熱体5として、PTCヒータを用いている。該PTCヒータには、商用電源から供給される100Vの交流電流を、変換器(不図示)を用いて12Vの直流電流に変換してから供給されるようになっている。また、PTCヒータは、温度が上昇すると電気抵抗値が上がる一方、温度が低下すると電気抵抗値が下がる特性を有している。この特性を利用することにより、商用電源の電力をPTCヒータに供給するだけで、該PTCヒータの温度が予め設定された所定温度(例えば、40℃〜100℃)に調整されるようになっている。一例として、PTCヒータの所定温度は、温灸を行うことが可能な温度(例えば、70℃)に設定されている。
【0034】
また、発熱体5は、ケース4の厚み方向において天板部4aと底板部4bとの間に配設されている。さらに、発熱体5は、天板部4a及び底板部4bと接触している。これにより、発熱体5において発生した熱は、天板部4a及び底板部4bに伝えられるようになっている。
【0035】
さらに、発熱体5の長手方向一端部には、電源コード3の一端が接続されている。電源コード3は、その一部がケース4の内部に収容されているとともに、残りの他部がケース4の長手方向一端からケース4の外部に露出している。換言すると、電源コード3の他部は、ケース4の長手方向一端から該ケース4の外部に延びている。また、電源コード3の他端には、差込プラグ(不図示)が備えられ、該差込プラグが商用電源のコンセント(不図示)に差し込むことが可能となっている。そして、差込プラグがコンセントに差し込まれると、電源コード3を介して発熱体5に電力が供給されて該発熱体5が発熱し、発熱体5の温度が予め設定された所定温度まで昇温する。その後、発熱体5の温度は、上述したPTCヒータの特性によって所定温度に維持されるようになっている。
【0036】
図1に示すように、ケース4の長手方向一端部分の外周に被把持部6が備えられている。該被把持部6は、ケース4よりも熱伝導率が低い材料(例えば、樹脂材、ゴム材、木材など)で構成されている。
【0037】
また、被把持部6は、該被把持部6におけるケース4の長手方向一端部分に対応する部分から長手方向一端側に延びるように設けられた保護部6aを更に備えている。該保護部6aは、ケース4の外部に位置する電源コード3における長手方向他端側の部分の外周に備えられている。これにより、保護部6aは、例えば、電源コード3における長手方向他端側の部分に衝撃等が加わることによって断線等が発生しないように保護する機能を有している。本実施形態では、保護部6aは、長手方向一側に行くに従って幅方向寸法が小さくなるように構成されている。なお、本実施形態では、保護部6aが被把持部6と一体で構成されていたが、保護部6aと被把持部6とを別体で構成してもよい。
【0038】
次に、図4及び図5を用いて、温熱治療器1の使用態様について説明する。図4は、使用者Uが自身の左脇の下に温熱治療器1(ケース4)を挟んで使用している態様を示している。本実施形態では、発熱体5において発生した熱が伝えられることにより、治療器本体2のケース4の天板部4a及び底板部4bの温度が発熱体5の所定温度付近まで上昇するようになる。これにより、カバーCを介して天板部4aの熱が使用者Uの患部(図4の例では左腕の胴体側の部位)に伝えられるとともに、カバーCを介して底板部4bの熱が使用者Uの患部(図4の例では胴体の左腕側の部位)に伝えられるようになる。したがって、温熱治療器1(ケース4)の2つの面(天板部4aの外面、及び、底板部4bの外面)を用いて上記の2つの患部を同時に温めることができる。
【0039】
図5は、使用者UがベッドBに仰向けで横たわっている(寝転んでいる)姿勢において、使用者Uの腰とベッドBの上面との間、使用者Uの肩甲骨とベッドBの上面との間、使用者Uの後頭部及び首まわりとベッドBの上面との間、使用者Uの臀部とベッドBの上面との間、使用者Uの足裏とベッドBの上面との間、使用者Uの腹の上、及び、使用者Uの膝裏に温熱治療器1を配置して使用している態様を示している。図5に示す例では、発熱体5において発生した熱を使用者Uの腰等に伝えることで、該腰等を温めることができる。
【0040】
以上より、本実施形態によれば、温熱治療器1のケース4が厚みを有する矩形板状をなしているので、例えば、使用者Uの腰等とベッドBとの間に温熱治療器1のケース4を挟んだ状態で使用することが可能となる。さらに、ケース4の幅が使用者Uが把持可能な長さに設定されているので、使用者Uは片手でケース4を把持して温熱治療器1を持ち上げることが可能となる。これにより、例えば、使用者Uが座った状態のまま片手でケース4を把持して、該ケース4を自身の首や肩等に容易に宛がうことが可能となる。
【0041】
また、発熱体5において発生した熱が天板部4aと底板部4bとに伝えられるので、天板部4a及び底板部4bの2つの面をそれぞれ別の患部に宛がうことが可能となる。これにより、温熱治療器1を脇の下、腕、膝裏等に挟んで使用することができる。
【0042】
また、被把持部6はケース4よりも熱伝導率が低いので、使用者Uが被把持部6を把持している場合において発熱体5において発生した熱が被把持部6を介して使用者の手に伝わり難くなる。これにより、例えば、発熱体5が温灸が可能な温度まで昇温された場合において、使用者Uが手袋等を用いずにケースを把持することが可能となる。また、被把持部6が備えられたケースの長手方向一端から電源コード3がケース4の外部に延びているので、使用者Uが被把持部6を把持した状態で温熱治療器1を自身の患部に宛がう際に電源コード3が邪魔になり難くすることができる。これにより、温熱治療器1を扱い易くすることができる。
【0043】
また、ケース4の外部に位置する電源コード3における長手方向他端側の部分が、保護部6aにより保護されるようになる。これにより、上記長手方向他端側の部分において断線等が発生するのを抑制することができる。
【0044】
また、使用者UがカバーCを介してケースを把持するようになるので、発熱体5において発生した熱を使用者Uの手に伝わり難くすることができる。
【0045】
なお、本実施形態では、ケース4は、その厚み方向視において4つの角を有していたが、該4つの角を無くした形状(例えば、角に丸みを持たせた形状)としてもよい。
【0046】
また、本実施形態では、ケース4が金属製(例えば、アルミニウム製)の例について説明したが、発熱体5において発生させた熱を使用者Uの患部に伝えることが可能であれば、ケース4が金属製以外(例えば、樹脂製)であってもよい。
【0047】
また、本実施形態では備えられていなかったが、ケース4を、図示しないテープ(例えば、アルミテープなどの金属箔テープ)などで巻くか、布などで包むようにしてもよいし、手袋を用いてケース4を把持するようにしてもよい。さらに、ケース4を他のケース(不図示)に収容して使用するようにしてもよいし、又は、ケース4の外側に他の板部材(不図示)を取り付けた状態で上記テープをケース4及び他の板部材(不図示)に巻いてもよい。なお、他の板部材(不図示)は、その厚み方向に貫通する他の貫通孔(不図示)を1つ以上備えていてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、1種類の布製のカバーCの例を説明したが、厚さが異なる複数種類の布製のカバー(不図示)を用意して、温熱治療器1の用途に応じて複数種類の布製のカバー(不図示)を使い分けるようにしてもよい。例えば、超薄手のカバー(不図示)、薄手のカバー(不図示)及び厚手のカバー(不図示)を準備し、温灸を行う場合は超薄手のカバー(不図示)、比較的高温で患部を温めたい場合は薄手カバー(不図示)、及び、比較的低温で患部を温めたい場合は厚手のカバー(不図示)を用いるようにしてもよい。
【0049】
また、本実施形態では、袋状の布製のカバーCの例を説明したが、のれん状の布製のカバー(不図示)を用いてもよい。該のれん状のカバー(不図示)は、その一端にケース4全体を収容可能な筒状部分と、該筒状部分から他端側に延びる帯状をなすとともにケース4の長手方向寸法に対応する幅を有する帯状部分とを有している。そして、のれん状のカバー(不図示)は、例えば、薄手であり、かつ、筒状部分にケース4全体を収容した第1状態(帯状部分を筒状部分に巻き付けていない状態)、及び、ケース4全体を収容した筒状部分の外周に帯状部分を巻き付けた第2状態で使用することが可能である。第2状態は、第1状態よりも比較的低温で患部を温めたい場合に用いられる。また、第2状態では、帯状部分を筒状部分に巻き付ける回数を増やすほど、低い温度で患部を温めることが可能となる。したがって、使用者Uは、第1状態と第2状態との間の変更、及び、第2状態における帯状部分を筒状部分に巻き付ける回数を調整することで、使用者U自身にとって最適な温度で患部を温めることができる。なお、上述の筒状部分及び帯状部分は必須ではなく、布製のカバー(不図示)をケース4に巻き付ける回数を調整することにより、患部を温める温度を調整するようにしてもよい。
【0050】
また、本実施形態では、ケース4の天板部4a及び底板部4bに発熱体5が接触している例について説明したが、発熱体5において発生した熱を天板部4a及び底板部4bに伝えることが可能であれば、天板部4a及び底板部4bと発熱体5との間に別の部材(例えば、金属部材、樹脂部材等)が介設されていてもよく、又は、発熱体5と第1側板部4c及び第2側板部4dとを接触させることで、発熱体5において発生した熱を第1側板部4c及び第2側板部4dを介して天板部4a及び底板部4bに伝えるようにしてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、発熱体5としてPTCヒータの例を用いて説明したが、電力が供給されると発熱する発熱手段として機能するものであれば、PTCヒータ以外の手段(例えば、シリコンラバーヒータ、シリコンベルトヒータ、シリコンコードヒータ、スペースヒータ、テープヒータ、フィルムヒータ、リボンヒータ、面状ヒータ、カートリッジヒータ、コードヒータ等)を用いてもよい。
【0052】
また、電源コード3に備えられたパワーコントローラ(不図示)を用いて発熱体5の温度を調整するようにしてもよい。
【0053】
また、電源コード3に備えられたオンオフタイマー(不図示)を用いて、該オンオフタイマー(不図示)において設定された時間の経過後に発熱体5への電力供給を開始する、又は、上記設定された時間の経過後に発熱体5への電力供給を停止するようにしてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、発熱体5が電源コード3を介して商用電源から電力供給を受けている例について説明したが、電池(不図示)を備えることにより、該電池から発熱体5に電力供給するようにしてもよい。この場合、コンセント(不図示)が無い状況下において温熱治療器1を使用可能となる。
【0055】
また、本実施形態における図4に示す例では、使用者Uが自身の左脇の下に温熱治療器1を挟んで使用している態様を説明したが、腕、膝裏、指間などに温熱治療器1を挟んで使用してもよい。
【0056】
また、本実施形態における図5に示す例では、使用者UがベッドBに仰向けで横たわっている姿勢において、使用者Uの腰とベッドBの上面との間に温熱治療器1を配置して使用している態様を説明したが、使用者Uの首とベッドBの上面との間、使用者Uの背中(例えば、肩甲骨)とベッドBの上面との間、使用者Uの足裏とベッドBの上面との間、又は、使用者Uの腹部の上に温熱治療器1を配置して使用するようにしてもよい。
【0057】
また、本実施形態1の温熱治療器1の用途は、上述した例に限定されない。例えば、温熱治療器1をツボ等に宛がって使用してもよいし、又は、使用者U自身が立っている姿勢において温熱治療器1を使用するようにしてもよい。
【0058】
<実施形態2>
本発明の実施形態2では、温熱治療器1を使用する際に用いることが可能なアタッチメント10を中心に説明する。温熱治療器1は、本発明の実施形態1と同様の構成である。
【0059】
図6に示すように、アタッチメント10は、ベース部11と、取手部12とを備えている。本実施形態では、アタッチメント10は、ケース4よりも熱伝導率が低い木製である。
【0060】
ベース部11は、所定の厚みを有する矩形板状をなしている。また、ベース部11は、表面11aと、平坦な面を有する裏面11bと、第1側面11cと、第2側面11dと、第3側面11eと、第4側面11fとを備えている。
【0061】
表面11aには、該表面11aからベース部11の厚み方向一側に延びる取手部12がベース部11と一体に備えられている。
【0062】
取手部12は、ベース部11の長手方向に対向するようにそれぞれ設けられる、つまり、ベース部11の表面11aにおける長手方向一側の部分と、長手方向他側の部分とにそれぞれ設けられる一対の柱部12aと、該一対の柱部12a同士を連絡し、かつ、使用者Uが把持可能な連絡部12bとを備えている。本実施形態では、連絡部12bは、一対の柱部12aにおけるベース部11の厚み方向一側の端部同士を連絡するようにベース部11の長手方向に延びている。また、取手部12は、ベース部11の長手方向と直交する方向、つまり、ベース部11の幅方向一側から視て逆U字状となっており、取手部12の両端部(各柱部12aにおけるベース部11の厚み方向他側の端部)がベース部11の表面11aに連絡されている。
【0063】
各柱部12aは、第1孔部12cを備えている。2つの第1孔部12cは、ベース部11の長手方向において重なっている。
【0064】
連絡部12bには、ベース部11の厚み方向に貫通する第2孔部12dが設けられている。該第2孔部12dは、ベース部11の長手方向において連絡部12bの略中央部分に設けられている。また、第2孔部12dは、ベース部11の厚み方向一側から見て略円形の孔形状をなしている。
【0065】
また、ベース部11における各柱部12aに対応する部分には、ベース部11の幅方向に延びる一対の第3孔部11gが備えられている。該2つの第3孔部11gは、ベース部11の長手方向において互いに所定の間隔を空けて設けられている。各第3孔部11gは、一端が第2側面11dに開口しており、かつ、他端が第4側面11fに開口している。ここで、第3孔部11gを設けたことによりベース部11の強度等の低下が懸念されるが、本実施形態では、第3孔部11gが柱部12aに対応する部分に設けられることにより、柱部12aが補強部材として機能するようになっている。
【0066】
各第3孔部11gには、固定用紐13が挿通されている。本実施形態では、各固定用紐13の中央部分は第3孔部11gに挿入されている一方、各固定用紐13の残りの部分(中央部分の両側部分)は第3孔部11gから外部に露出している。
【0067】
次に、アタッチメント10を用いた温熱治療器1の使用態様について説明する。
【0068】
まず、温熱治療器1は、アタッチメント10の裏面11bにセットされた状態、つまり、アタッチメント10の裏面11bにケース4の天板部4a又は底板部4bが接触するようにベース部11とケース4とが重ねられた状態において各固定用紐13を温熱治療器1のケース4に巻き付けて結ぶことにより、アタッチメント10に固定されるようになっている(図7参照)。つまり、温熱治療器1は、固定用紐13によりアタッチメント10に着脱自在に取り付けられている。
【0069】
図8は、アタッチメント10を用いた使用態様を示している。使用者Uが左手LHでアタッチメント10の連絡部12b(取手部12)を把持した状態において、アタッチメント10に取り付けられた温熱治療器1を使用者U自身の左肩に宛がっている使用態様を示している。
【0070】
図9は、アタッチメント10を用いた使用態様を示している。使用者U以外の者A(例えば、使用者Uの家族)が自身の手で連絡部12b(取手部12)を把持した状態において、アタッチメント10に取り付けられた温熱治療器1を、例えば、座っている使用者Uの後方側から該使用者Uの腰に宛がっている使用態様を示している。
【0071】
図10及び図11は、アタッチメント10及びベルト14を用いた使用態様を示している。図10及び図11に示すように、ベルト14は、略帯状をなすベルト本体14aと、固定具14bとを備えている。そして、図11は、ベルト本体14aを2つの第1孔部12cに挿通した状態において、使用者Uの腰に温熱治療器1が宛がわれるとともに、ベルト14が使用者Uの胴体(体)に巻き付けられている使用態様を示している。
【0072】
図12及び図13は、アタッチメント10及び鉤状部材15を用いた使用態様を示している。図12に示すように、鉤状部材15は、その全体形状が略鉤状をなしている。また、鉤状部材15は、使用者Uが把持可能な略円柱状をなす基端部15aと、該基端部15aよりも小径、かつ、基端部15aから鉤状に延びる本体部15bとを備えている。本体部15bの先端部15cは、アタッチメント10の第2孔部12dに挿入することで、該第2孔部12dに係合することが可能となっている。そして、図13は、使用者Uが鉤状部材15の基端部15aを把持した状態においてアタッチメント10に取り付けられた温熱治療器1が使用者Uの背中に宛がわれている使用態様を示している。
【0073】
以上より、本実施形態によれば、例えば、使用者Uが自身の手で取手部12を把持して、ベース部11に取付られた温熱治療器1を首や肩などに宛がうことが可能となる。これにより、使用者Uがケース4を把持する場合に比べて使用者Uの患部に宛がうことが可能なケース4の面積を大きくすることができる。したがって、ケース4の大型化を抑えながら、温熱治療器1の使用時間を短くすることが可能となる。また、例えば、使用者U以外の者が自身の手で取手部12を把持して、ベース部11に取付られた温熱治療器1を座っている使用者Uの後方側から該使用者Uの首、肩、腰などに宛がうことも可能となる。さらに、例えば、使用者U以外の者が自身の手で取手部12を把持して、ベース部11に取付られた温熱治療器1をうつ伏せで寝ている使用者の上方から該使用者Uの首、肩、腰などに宛がうことも可能となる。
【0074】
また、アタッチメント10はケース4よりも熱伝導率が低いので、使用者Uが取手部12を把持している場合において発熱体5において発生した熱がアタッチメント10を介して使用者Uの手に伝わり難くなる。これにより、例えば、発熱体5が温灸が可能な温度まで昇温された場合において、使用者Uが手袋等を用いずに温熱治療器1を使用することが可能となる。
【0075】
また、例えば、温熱治療器1が使用者Uの腰に宛がわれた状態においてベルト14を使用者Uの腰に巻き付けることにより、使用者Uは自身の手で温熱治療器1を把持する必要がなくなる。これにより、温熱治療器1を使用しながら家事などの作業や新聞等を読むことも可能となる。
【0076】
また、使用者Uは、鉤状部材15を用いることで、使用者U自身の手が届き難い背中などの患部に温熱治療器1を独力で宛がうことが可能となる。
【0077】
なお、本実施形態では、固定部として固定用紐13を用いた例について説明したが、温熱治療器1をアタッチメント10に固定可能であれば、固定用紐以外の手段(例えば、面ファスナー)を用いても良い。
【0078】
また、本実施形態では、アタッチメント10が木製の例について説明したが、木製以外(樹脂製、金属製など)であってもよい。さらに、アタッチメント10は、ケース4と同じ熱伝導率でもよく、又は、ケース4よりも熱伝導率が高くてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、温熱治療器に適している。
【符号の説明】
【0080】
1 温熱治療器
3 電源コード(電力供給線)
4 ケース
4a 天板部(表面部)
4b 底板部(裏面部)
5 発熱体
6 被把持部
6a 保護部
10 アタッチメント
11 ベース部
12 取手部
12a 柱部
12b 連絡部
12c 第1孔部(ベルト孔部)
12d 第2孔部(係合孔部)
13 固定用紐(取付部)
14 ベルト
15 鉤状部材
U 使用者
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
【図9】
図9
【図10】
図10
【図11】
図11
【図12】
図12
【図13】
図13
ページtop へ