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健康・医療
 
【発明の名称】マスク
【出願人】
【識別番号】323000767
【氏名又は名称】吉田 勝彦
【住所又は居所】東京都足立区梅島1-13-6
【代理人】
【識別番号】100167081
【弁理士】
【氏名又は名称】本谷 孝夫
【発明者】
【氏名】吉田 勝彦
【住所又は居所】東京都足立区梅島1-13-6
【要約】
【課題】携帯に適し、洗濯した場合であっても所定の剛性を維持することが可能な抗ウイルス性能を備えたマスクを提供することを目的とする。
【解決手段】表面構成体102と裏面構成体104を重ね合わせて一体化してマスク構成体106を構成する。表面構成体102と裏面構成体104によって、上端部に開口部116を有する袋部114を有するマスク構成体106の前記袋部114に抗ウイルス液を含浸させたフィルター112を配置することにより、マスク100を構成する。裏面構成体104は、所定の剛性を有する網体104Mと、網体104Mに対し顔側に配置された通気性を有する織布又は不織布によって構成される顔面接触体104Cによって構成されている。
【選択図】図1
選択図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面構成体(102)と裏面構成体(104)により上端部に開口部(116)を有する袋部(114)を含むマスク構成体(106)の前記袋部(114)に抗ウイルス剤を含むフィルター(112)を配置してなるマスク(100)であって、
前記裏面構成体(104)は、所定の剛性を有する網体(104M)と、前記網体(104M)に対し顔側に配置された通気性を有する顔面接触体(104C)によって構成されていることを特徴とするマスク。
【請求項2】
前記網体(104M)は、ナイロン製メッシュであることを特徴とする請求項1に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌及び/又は抗ウイルスに適したマスクに関する。詳しくは、抗菌及び/又は抗ウイルス剤を含ませたフィルターを用いるマスクであって、洗濯を繰り返しても型崩れしないマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
第1の従来技術として、一つの本体及び該本体の左右両サイドと連結する一つの固定部品を含み、該本体は外から内にかけて一つの表層、一つのアルカリ性ろ過層及び一つの裏層を含み、該アルカリろ過層には一つのアルカリ性中和物質と一つの酸塩基指示薬を付着することを特徴とするアルカリ性マスクが知られている(例えば特許文献1参照)。
第2の従来技術として、周縁部が鼻部、口部を囲む顔面部に接触する形状のマスクカバーで、前面の不織布部分に防カビ、抗菌剤を噴霧又は含浸塗布し、メッシュ部分に固着し、既成のマスクの上に装着する脱着可能な防カビ、抗菌、抗花粉マスクカバーが知られている(例えば特許文献2参照)。
第3の従来技術として、両端部に紐を有するマスク構成体と、通気性を有し、前記マスク構成体の内側に着脱されるフィルター部とを備えることを特徴とするマスクが知られている(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 実用新案登録第3211983号 (図2、0031〜0034)
【特許文献2】 実用新案登録第3043733号 (図1、0004)
【特許文献3】 実用新案登録第3230900号 (図4、0028〜0029)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1の従来技術は、表層と裏層を袋状に構成して収納スペースを設け、当該収納スペースにアルカリろ過層を配置し、当該アルカリ層を空気が通過することにより、抗菌又は抗ウイルス効果がある。しかしながら、このようなろ過層を用いるマスクは、繰り返しの使用が想定されることから、何回も洗濯可能な織布等によって作製される。織布によって構成される場合であっても、何度も洗濯した場合、織布の剛性が低下し、特に裏層の形態が変化してろ過層の配置が面倒になる懸念がある。剛性の低下を抑制するには、裏層の構成枚数を増加することができるが、多重層織布である場合、空気透過率が低下し、装着者の呼吸が苦しくなるため俄に採用することができない。
また、第1の従来技術は、開口を密閉できる密閉部品が設けられ、当該密閉部品はファスナー、マジックテープ(登録商標)等によって構成される。ファスナーやマジックテープの部位は剛性を高めることから、装着者が違和感を生じ、俄に採用することができない。
【0005】
第2の従来技術は、軽量材によるメッシュ状の成形打ち抜き品であるマスクカバーの前面に、防カビ、抗菌剤を噴霧又は含浸塗布したフィルターを配置して一体化し、抗ウイルス効果を増強したマスクカバーであり、抗ウイルス効果が高まる利点がある。しかしながら、マスクカバーは成型打ち抜き品であることから、折り畳むことができず、携帯に不向きである。
【0006】
第3の従来技術は、市販されている不織布製マスクの内側に通気性を有するフィルターを配置することにより、咳やくしゃみをした際の飛沫をフィルターによって捕捉することにより、フィルターを交換すればマスクを継続使用できる利点がある。しかしながら、基本的に不織布製マスクを利用することから、洗濯して再利用することができず、コストが嵩むことから俄に採用し難い。
【0007】
第1の従来技術の懸念を解決するため、第2の従来技術を組み合わせることが考えられる。すなわち、表層に成形打ち抜き品を採用することにより、洗濯を重ねても剛性を失わないようにすることが考えられる。しかしながら、成形打ち抜き品を採用した場合、折りたたむことができないため、携帯に不都合である問題がある。
【0008】
本発明の目的は、携帯に適し、洗濯を繰り返した場合であっても所定の剛性を維持することが可能なウイルス無効化機能を備えたマスクを提供することである。換言すれば、折りたたみ可能であって、洗濯しても所定の剛性を維持することでフィルターの交換がし易く、かつウイルス無効化剤を備えたマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため、請求項1にかかる第1の発明は以下のように構成されている。
表面構成体と裏面構成体により上端部に開口部を有する袋部を含むマスク構成体の前記袋部に抗ウイルス剤を含むフィルターを配置してなるマスクであって、前記裏面構成体は、所定の剛性を有する網体と、前記網体に対し顔側に配置された通気性を有する顔面接触体によって構成されていることを特徴とするマスクである。
【0010】
この目的を達成するため、請求項2にかかる第2の発明は以下のように構成されている。
前記網体は、ナイロン製メッシュであることを特徴とする第1の発明のマスクである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る第1の発明において、表面構成体と裏面構成体により上端部に開口部が形成された袋部を有するマスク構成体の袋部に抗ウイルス剤を含むフィルターを配置してなるマスクであって、裏面構成体は、所定の剛性を有する網体と、網体に対し顔側に配置された通気性を有する顔面接触体によって構成されている。したがって、マスク構成体の袋部に配置される抗ウイルス剤を含むフィルターを交換、又は当該フィルターに新たな抗ウイルス剤を含ませることにより、抗ウイルス機能を維持することができる。また、裏面構成体は、所定の弾性と合成を有する網体と当該網体に対し顔側に配置された通気性を有する顔面接触体によって構成されている。
これによって、網体は、所定の剛性が維持されるので、洗濯を繰り返しても型崩れせずに、裏面構成体104の形状を維持することができ、フィルターを袋部に挿入する際の作業の容易性を維持することができる利点がある。
【0012】
請求項2に係る第2の発明は、構成要件は第1の発明と共通である。よって、第2の発明は本願発明の目的を達成できる利点がある。さらに、第2の発明において、フィルター112はナイロン製メッシュである。ナイロン製メッシュは容易に入手することができ、安価に製造できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施例1のマスクの左上方からの斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施例1のマスクであって、(A)は完成品の正面図、(B)は完成品の裏面図である。
【図3】図3は、本発明の実施例1のマスクの製造工程の説明図であって、(A)は表面構成体の表面表地102Sを製造するための説明図、(B)は表面裏地を製造するための説明図である。
【図4】図4は、本発明の実施例1のマスクの表面構成体の製造工程の説明図であって、(A)は表面表地の正面図、(B)は表面裏地の正面図、(C)は表面表地と表面裏地を重ねた正面図である。
【図5】図5は、本発明の実施例1のマスクの表面構成体の製造工程の説明図であって、(A)は表面表地と表面裏地を重ね合わせた正面図、(B)は表面表地と表面裏地を縫合した後、裏返した正面図、(C)は表面表地と表面裏地を補強縫合した状態の正面図である。
【図6】図6は、本発明の実施例1のマスクの裏面構成体の製造工程の説明図であって、(A)は顔面接触体の正面図、(B)は網体の正面図、(C)は顔面接触体と網体を重ね合わせた状態の正面図、(D)は顔面接触体と網体を縫合した正面図である。
【図7】図7は、本発明の実施例1のマスクの製造工程の説明図であって、(A)は表面構成体の上に裏面構成体を重ねた裏面図、(B)はマスク構成体と係止体の裏面図である。
【図8】図8は、本発明の実施例1のマスクの図7(A)におけるXーX線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るマスクは、表面構成体102と裏面構成体104により上端部に開口部116を有する袋部114を含むマスク構成体106の前記袋部114に抗ウイルス剤を含むフィルター112を配置してなるマスク100であって、前記裏面構成体104は、所定の剛性を有する網体104Mと、前記網体104Mに対し顔側に配置された通気性を有する顔面接触体104Cによって構成されていることを特徴とすることが好ましい。
また、前記網体104Mは、ナイロン製メッシュであることを特徴とするマスクであることが好ましい。
【実施例1】
【0015】
以下本発明の実施例1を図1〜図8を参照しつつ説明する。
実施例1に係るマスク100は、表面構成体102と裏面構成体104からなるマスク構成体106と、係止体108(左係止体108L、右係止体108R)、及びフィルター112によって構成されている。
【0016】
まず表面構成体102を説明する。
表面構成体102は、マスク構成体106の表面(対面者から見える面)を構成する機能を有する。本実施例1において表面構成体102は、大凡横長四角形の平面状体であり、表面表地102Sと表面裏地102Bの縁部が縫合されて袋状に構成されている。表面表地102Sと表面裏地102Bは、例えば、平織り、綾織り、朱子織り等の織布、不織布、又は編物によって構成されている。織物、編物、又は不織布の材質は、綿、麻、絹等の天然繊維、又はポリエステル等の合成繊維が用いられる。
本実施例1において、表面表地102Sは綿製平織り織布によって構成されている。表面表地102Sは着色、模様、キャラクター印刷、刺繍等を付与することができる。
表面裏地102Bは、綿製のガーゼ生地によって構成されている。しかし、表面裏地102Bは、表面表地102Sと同一の材質で構成することが出来る。
【0017】
次に表面表地102Sを主に図3(A)を参照しつつ説明する。
表面表地102Sは、生地を横長の四角形に裁断することによって構成することできる。しかしながら、マスク100が装着される人の顔は立体的であるため、立体的に構成することが好ましい。このため、本実施例1においては、装着者の右顔面側に配置される右表面表地102SRと、左顔面側に配置される左表面表地102SLの相対する縁部が縫合されて一枚の表面表地102Sが構成されている。具体的には、右表面表地102SRと左表面表地102SLは図3(A)に示すように、全体として台形状に同一寸法で裁断され、左表地一端縁102SLEと右表地一端縁102SREは弧状に形成されている。右表面表地102SRと左表面表地102SLを表面どうしが相対するように重ね合わせた状態で、左表地一端縁102SLEと右表地一端縁102SREから所定の長さの左表地縫い代部102SML又は右表地縫い代部102SMRを残して、それらの弧状に沿って縫合して弧状の表地中央縫合部102SSを形成し、表面表地102Sを構成する。マスク構成体106を構成する場合、左表地縫い代部102SML及び右表地縫い代部102SMR(図4(A))が内側になるよう表面表地102Sを裏返して用いる。表面表地102Sは、表地中央縫合部102SSは弧状であることから、弧状部は立体的に構成され、顔の中央の鼻部及び口部に相対することから、鼻部から口部において、顔の立体形状に沿って位置することができる。
【0018】
次に表面裏地102Bを主に図3(B)を参照しつつ説明する。
表面裏地102Bは、表面表地102Sと同様に、生地を横長の四角形に裁断することによって構成することができる。しかしながら、表面裏地102Bは立体的に構成することが好ましい。このため、本実施例1においては、右表面裏地102BRと左表面裏地102BLの相対する端部が縫合されて一枚の表面裏地102Bが構成されている。具体的には、右表面裏地102BRと左表面裏地102BLは図3(B)に示すように、全体として台形状に同一寸法で裁断され、左裏地一端縁102BLEと右裏地一端縁102BREは弧状に形成されている。右表面裏地102BRと左表面裏地102BLを表面どうしが相対するように重ね合わせた状態で、左裏地一端縁102BLEと右裏地一端縁102BREから所定の長さの右裏地縫い代部102BMR、左裏地縫い代部102BMLを残して、それらの弧状に沿って縫合して弧状の裏地中央縫合部102BSを形成し、表面裏地102Bを構成する。表面裏地102Bは表面表地102Sと、同一の大きさ、又は僅かに小さく構成されている。
マスク構成体106を構成する場合、左裏地縫い代部102BML及び右裏地縫い代部102BMRが内側になるよう表面裏地102Bを裏返して用いる。表面裏地102Bは、裏地中央縫合部102BSは弧状であることから、弧状部は立体的に構成され、鼻部から口部において、顔に沿って位置することができる。
【0019】
次に表面構成体102の製造方法を図4を参照しつつ説明する。
表面表地102Sをその表面側を下向きに、即ち表面表地102Sの表面表地裏面102SBを上面にし(図4(A))、その上に表面裏地102Bの表面裏地裏面102BBを下向きに、表面裏地102Bの表面裏地表面102BSを上面(図4(B))にして重ね合わせる(図4(C))。換言すれば、表面表地裏面102SBと表面裏地裏面102BBが相対するように重ね合わせた後、表面構成体102の表面左上縁102LU、表面右上縁102RU、表面右側縁102RS、表面右下縁102RL及び表面左下縁102LLを所定幅の右上縫い代部102MRU、左上縫い代部102MLU、右端縫い代部102MRE、右下縫い代部102MRB、及び左下縫い代部102MLBを残して表面構成体端部縫合部102EMによって縫合する(図4(C))。これによって、表面左側縁102LS側が開口された図4(C)、図5(A)に示す表面袋状体122を構成する。
次に表面袋状体122を裏返し、表面構成体102を構成する(図5(B))。
【0020】
次に左上縫い代部102MLU、右上縫い代部102MRU、右端縫い代部102MRE、右下縫い代部102MRB、及び左下縫い代部102MLBを補強縫合部102RFSによって縫合して表面構成体102及び裏面構成体104の一体化を補強している(図5(C))。これによって、マスク構成体106が完成する。
表面構成体102は、表面構成体右縁102RE側へ斜め上方へ直線状に延在するの表面構成体左上縁102LUE、表面構成体左縁102LE側へ斜め上方へ直線状に延在する表面構成体右上縁102RUE、左端部から下方へ直角に垂下する直線状の表面構成体左縁102LE、表面構成体右縁102REの下端から表面構成体左縁102LE側へ下向きに直線状に延在する表面構成体右下縁102RLE、表面構成体左縁102LEの下端から表面構成体右縁102RE側へ斜め下向き直線状の表面構成体左下縁102LLE、及び表面構成体右縁104REの下端から表面構成体左縁102LE側へ斜め下向き直線状の表面構成体右下縁102RLEによって横長の六角形に形成されている。表面構成体102の中央には、縦長の表地中央縫合部102SSが表れる。
【0021】
次に裏面構成体104を主に図6を参照しつつ説明する。
裏面構成体104は、表面構成体102の裏側に一体化され、表面構成体102と共同してフィルター112を保持する袋部114を構成し、所定の通気性を有する。換言すれば、袋部114は、下縁と左右端縁が閉止され、上端縁に開口部116が形成された四角形の収納部118を構成する。
裏面構成体104は、本実施例1においては顔面接触体104Cと網体104Mが一体化されて構成されている。
【0022】
次に顔面接触体104Cを説明する。
顔面接触体104Cは、通気性を有すると共に、マスク100において顔に接する機能を有する。本実施例1において、顔面接触体104Cは顔に接することから、不快感を生じないように、柔軟な素材によって構成することが好ましい。顔面接触体104Cの素材は、通気性を有することが必要であり、例えば、織布、不織布、又は編物であり、綿製の平織りガーゼ地が好ましい。
顔面接触体104Cの形状は、表面構成体102と同様の大きさ及び形状であるが、本実施例1においては、顔面接触体上縁104CEが直線に形成され、全体として倒立五角形に形成されている。
【0023】
次に網体104Mを説明する。
網体104Mは、裏面構成体104全体として所定の剛性と通気性を付する機能を有する。本実施例1において網体104Mは、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオレフィン、又はポリアミドによって構成された網体である。網体104Mは、例えば18メッシュ(25.4mm角の中に324マス相当)以下の合成樹脂によって製作された網体が好ましい。網体104Mは、織物構造、網構造、穿孔構造等によって構成することができ、顔面接触体104Cと相似形であるが、一回り小型に形成されている。網体104Mとしては、ナイロン製メッシュを採用することができる。ナイロン製メッシュとは、例えば、シンクの排水口や三角コーナーに装着される生ゴミ水切りネット相当品を用いることができる。
【0024】
次に裏面構成体104の製造法を説明する。
まず、拡げた顔面接触体104Cの上に網体104Mを載せる(図6(C)における実線示)。
次に網体104Mの外方にはみ出している顔面接触体104Cの裏面縫い代部104Nを網体104Mの上側へ折り曲げる(図6(C)における鎖線示)。
次に折り曲げた裏面縫い代部104N、網体104M及び顔面接触体104Cを裏面縫合部104Sによって縫合し、顔面接触体104Cと網体104Mを一体化する(図6(D))。これによって、直線状の裏面構成体上縁104UE、裏面構成体上縁104UEに対し、左端部から下方へ直角に垂下する直線状の裏面構成体左縁104LE、右端部から下方へ直角に垂下する直線状の裏面構成体右縁104RE、裏面構成体左縁104LEの下端から裏面構成体右縁104RE側へ斜め下向き直線状の裏面構成体左下縁104DLE、及び裏面構成体右縁104REの下端から裏面構成体左縁104LE側へ斜め下向き直線状の裏面構成体右下縁104DREによって下向き五角形に形成されている。
【0025】
次にマスク構成体106の製造方法を図7を参照しつつ説明する。
まず表面構成体102の表面側を下側にし、その上に裏面構成体104の裏面(網体104M)側を下に、裏面構成体104の表面(顔面接触体104C)を上側にし、裏面構成体104の横方向の中点を表面構成体102の表地中央縫合部102SSに位置させて重ね合わせる。換言すれば、表面構成体102の裏面と裏面構成体104の裏面を相対させた状態である。この状態において、裏面構成体104の裏面構成体左縁104LEと表面構成体102の左表地一端縁102SLEは、所定長の左間隔DLが設けられ、所定の左長さDLを有する左タブ126Lが構成され、裏面構成体104の裏面構成体右縁104REと表面構成体102の右表地一端縁102SREは、所定の右長さDRを有する右タブ126Rが構成される。左長さDLと右長さDRは略同一長さであることが好ましい。
表面構成体右下縁102RLEと裏面構成体右下縁104DRE、表面構成体左下縁102LLEと裏面構成体左下縁104DLEは重ね合わせられ、裏面構成体上縁104UEと表面構成体左上縁102LUE及び表面構成体右上縁102RUEは所定の上間隔128が設けられている。裏面構成体上縁104UEと表面構成体左上縁102LUE及び表面構成体右上縁102RUEで囲われた部分は、五角形を呈する(図7(A))。
【0026】
次に右タブ126Rを裏面構成体右縁104REを起点に表地中央縫合部102SS側へ折返し、裏面構成体104の右端部へ重ねる。同様に、左タブ126Lを裏面構成体左縁104LEを起点に表地中央縫合部102SS側へ折返し、裏面構成体104の左端部へ重ねる。
次に右タブ126Rの表地中央縫合部102SS側端部において、裏面構成体104及び表面構成体102を右端部縫合部132Rによって縫合する。これによって、右係止体108Rを引き通す右係止体通孔134Rが構成される。同様に、左タブ126Lの表地中央縫合部102SS側端部において、裏面構成体104及び表面構成体102を左端部縫合部132Lによって縫合する。これによって、左係止体108Lを引き通す左係止体通孔134Lが構成される。また、裏面構成体左下縁104DLEに沿って裏面構成体104及び表面構成体102を縫合した左下端部縫合部136L及び裏面構成体右下縁104DREに沿って裏面構成体104及び表面構成体102を縫合した右下端部縫合部136Rを構成する。これによって、図8に示すように、表面構成体102と裏面構成体104との間に、下端部、左端部、及び右端部が閉止され、上端部に開口部116を有する収納部118が形成された袋部114が構成される。
【0027】
次に右係止体通孔134Rに右係止体108Rを引き通した後、両端部を結びつけることにより、右係止体108Rをループ状に構成する。同様に、左係止体通孔134Lに左係止体108Lを引き通した後、両端部を結びつけることにより、左係止体108Lをループ状に構成する。これによって、マスク構成体106が完成する。なお、右係止体108Rを右係止体通孔134R、及び左係止体108Lを右係止体通孔134Rに引き通すことなく、マスク構成体106に取り付けることができる。
【0028】
次に係止体108を説明する。
係止体108は、マスク構成体106を装着者の顔の所定位置に保持する機能を有する。本実施例1においては、マスク構成体106の左端部に係止した左係止体108Lと、マスク構成体106の右端部に係止した右係止体108Rによって構成されている。左係止体108Lは左耳に係止され、右係止体108Rは右耳に係止される。係止体108は、伸縮性を有しない紐状体、又は弾性を有するゴム紐等によって構成することが出来る。また、係止体108は後頭部の回りに係止される一本の紐であっても、他の形態であっても良い。
【0029】
次にフィルター112を説明する。
フィルター112は、袋部114の収納部118内に配置され、通気性を有すると共に、抗ウイルス剤を含むことにより、フィルター112を通過する空気に含まれるウイルスを無毒化する抗ウイルス剤が付着される機能を有する。通気性とは、装着者が通常に呼吸した場合、息苦しさを感じずに呼吸できる程度であって、ウイルスを無毒化できる抗ウイルス剤を含有できる機能を両立できる性質である。無毒化とは、ウイルスの毒作用を発揮させないことであり、不活性化(死滅させる)を含む概念である。フィルター112は、例えば、抗ウイルス剤(液)を含浸した織布、編物又は不織布によって構成される。
抗ウイルス剤(液)としては、アルコール(濃度70%以上95%以下のエタノール)が適している。周知のように、アルコールはウイルスの「膜」を壊すことでウイルスを無毒化する機能を有する。
フィルター112に含浸されたアルコールが蒸発した場合、追加的にアルコールを含浸させ、無毒化機能を回復させることができる。
またフィルター112は、通気性を有する素材にアルコールを含浸させた市販されている所謂ウエットティッシュを用いることができる。ウエットティッシュとしては、例えば、大きさが150mm×200mmのサイズを折りたたんで用いることができる。
なお、抗ウイルス剤(液)に代えて抗菌剤(液)を用いることができる。本明細書においては、便宜的に抗ウイルス剤(液)は、抗菌剤(液)を含むものである。
【0030】
抗ウイルス剤(液)として特定の温泉水を用いることができる。特定の温泉水としては、ウイルスを不活性化する機能を有する温泉水であり、例えば、群馬県草津温泉における湯畑源泉の温泉水、箱根温泉の大涌谷の源泉の温泉水、別府温泉における温泉水である。
また、抗ウイルス剤(液)として、抗ウイルス性を有する天然素材由来の成分を用いることができる。例えば、グレープフルーツの種子から抽出したエキス、クロモジのエキス、小豆や茶に含まれるオリゴ糖とポリフェノール等を用いることができる。
【0031】
次に抗ウイルス剤を含浸させたフィルター112を袋部114の開口部116から収納部118に挿入して保持させることにより、マスク100が完成する。
【0032】
次に実施例1におけるマスク100の機能を説明する。
装着者がマスク100を顔に装着した場合、鼻及び口がマスク構成体106によって覆われる。
したがって、外気(空気)は表面構成体102、フィルター112、及び裏面構成体104を通過した後、装着者の鼻又は口に吸入される。よって、フィルター112を通過する際、空気中に浮遊しているウイルスはアルコールに触れることにより無毒化された後、装着者によって吸入される。よって、装着者がウイルスに感染することを防止することが出来る。また、装着者が鼻又は口から空気を排出する場合、裏面構成体104、フィルター112、及び表面構成体102を通ってマスク100外へ排出される。よって、装着者がウイルスに感染している場合であっても、装着者の呼気に含まれるウイルスはフィルター112を通過することによって無毒化されて排出されるので、第三者へ感染させることはない。フィルター112に含まれる抗ウイルス剤が揮発した場合、フィルター112を収納部118から開口部116を通して取出した後、抗ウイルス剤を付着させた後、収納部118へ戻すか、新たなフィルター112を収納部118に設置する。
【0033】
マスク100を洗濯した場合であっても、裏面構成体104は網体104Mを含んでいることから、網体104Mによって所定の剛性が維持され、型崩れしない。よって、洗濯を重ねても裏面構成体104は初期の形態を維持することから、フィルター112の収納部118への挿入が容易にできる利点がある。
【0034】
なお、表面構成体102、裏面構成体104等の縫合は、接着剤等他の結合手段によって代用することができる。
【0035】
本発明による、マスクは上述した例に限られるものではなく、本発明の範囲内において、種々の変更を行うことが出来る。
【符号の説明】
【0036】
100 マスク
102 表面構成体
104 裏面構成体
104M 網体
104C 顔面接触体
106 マスク構成体
112 フィルター
114 袋部
116 開口部
118 収納部
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
 
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