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健康・医療
 
【発明の名称】後方推進用ハンドルを有する車椅子
【出願人】
【識別番号】502368266
【氏名又は名称】吉山 一成
【住所又は居所】福岡県筑後市大字一条505−2
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100085327
【氏名又は名称】梶原 克彦
【発明者】
【氏名】吉山 一成
【住所又は居所】福岡県筑後市大字一条505−2
【要約】
【課題】
車椅子を被介助者と介助者が正対した状態にて押して進行することができ、被介助者の姿が進行方向前方から見えないようにした車椅子を提供する。
【解決手段】
車椅子1Aは車椅子車体2に左右一対の後進用ハンドル3が設けてある。車椅子車体2に設けられたアームレスト222Aは、長手方向の全長にわたって上方が開口した断面視略U型の溝が形成され、当該溝の深さ及び幅はハンドル体310の太さよりもやや径大に形成されている。車体の前後方向に回動可能な各後進用ハンドル3は、ハンドル体310と把持部320と取着部330とハンドル位置固定ネジ340をそれぞれ備え、ハンドル体310の先端側は把持部320を構成し、基端側は取着部330を構成する。上記ハンドル位置固定ネジ340を締めると、ハンドル体310基端側が挟着され、ハンドル体310が希望する角度に固定できるよう設けてある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(2)の座席背面側に前方推進用のハンドル(212)を有する車椅子(1A,1B,1C)において、
車体(2)から座席前面側前方に向けて延びる後方推進用のハンドル(3,4,5)を有している、
後方推進用ハンドルを有する車椅子。
【請求項2】
車体(2)の座席背面側に有する前方推進用のハンドル(212)と、車体(2)から座席前面側前方に向けて延びる後方推進用のハンドル(3,4,5)を有する車椅子であって、
該後方推進用のハンドル(3,4,5)は、
使用時には、回動するか又は引き出すことにより車体(2)から座席前面側前方に向けて延びた状態となり、不使用時には使用時とは反対方向に回動するか又は押し込むことによって車体(2)に収納された状態となる、
後方推進用ハンドルを有する車椅子。
【請求項3】
車体(2)の座席背面側に有する前方推進用のハンドル(212)と、車体(2)から座席前面側前方に向けて延びる後方推進用のハンドル(3,4,5)を有する車椅子であって、
該後方推進用のハンドル(3,4,5)は、
使用時には、回動するか又は引き出すことにより車体(2)から座席前面側前方に向けて延びた状態となり、不使用時には使用時とは反対方向に回動するか又は押し込むことによって車体(2)に収納された状態となり、
前記後方推進用のハンドル(3,4,5)を所要の角度または位置で固定する手段を備えている、
後方推進用ハンドルを有する車椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、後方推進用ハンドルを有する車椅子に関する。更に詳しくは、車椅子に乗った者(以下「被介助者」という)と車椅子を押す者(以下「介助者」という)が正対した状態にて、介助者が車椅子を押すことができるように後方推進用ハンドルが設けられた車椅子に関する。
【背景技術】
一般的に、車椅子は、車椅子の背面側(バックレスト後方側)にハンドルが設けられ、介助者がハンドルを握って車椅子の背面側から車椅子を前方へ押すものが多く見受けられる。上記車椅子を利用する際、被介助者は進行方向へ体の正面を向けて座っている。
このような車椅子としては、下記特許文献1に示すようなものが提案されている。
【特許文献1】
特開平2−46845号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
車椅子を利用する被介助者の中には、事故や病気により顔面神経が麻痺した者もいる。
このような被介助者(特に女性)は、顔面神経が麻痺した状態の自分の顔を他人に見られることに苦痛に感じる者も少なくない。
しかし、特許文献1記載の車椅子を使用した場合、被介助者は進行方向に体の正面を向けて座るため、特にデパートやショッピングセンター等の人が多く且つ人との距離が近い場所では、衆目に晒されることが避けがたいという課題があった。
(発明の目的)
そこで、本発明の目的は、被介助者と介助者が正対した状態にて介助者が車椅子を押して進行することができ、被介助者の姿が進行方向前方から見えないようすることができる車椅子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために講じた本発明の手段は次のとおりである。
本発明は、
車体(2)の座席背面側に前方推進用のハンドル(212)を有する車椅子(1A,1B,1C)において、
車体(2)から座席前面側前方に向けて延びる後方推進用のハンドル(3,4,5)を有している、
後方推進用ハンドルを有する車椅子である。
本発明は、
車体(2)の座席背面側に有する前方推進用のハンドル(212)と、車体(2)から座席前面側前方に向けて延びる後方推進用のハンドル(3,4,5)を有する車椅子であって、
該後方推進用のハンドル(3,4,5)は、
使用時には、回動するか又は引き出すことにより車体(2)から座席前面側前方に向けて延びた状態となり、不使用時には使用時とは反対方向に回動するか又は押し込むことによって車体(2)に収納された状態となる、
後方推進用ハンドルを有する車椅子である。
本発明は、
車体(2)の座席背面側に有する前方推進用のハンドル(212)と、車体(2)から座席前面側前方に向けて延びる後方推進用のハンドル(3,4,5)を有する車椅子であって、
該後方推進用のハンドル(3,4,5)は、
使用時には、回動するか又は引き出すことにより車体(2)から座席前面側前方に向けて延びた状態となり、不使用時には使用時とは反対方向に回動するか又は押し込むことによって車体(2)に収納された状態となり、
前記後方推進用のハンドル(3,4,5)を所要の角度または位置で固定する手段を備えている、
後方推進用ハンドルを有する車椅子である。
(作 用)
本発明に係る後方推進用ハンドルを有する車椅子の作用を説明する。なお、ここでは、本発明の各構成要件のそれぞれに、後述する実施例において各部に付与した符号を対応させて付与し説明するが、この符号の付与は、あくまで説明の理解を容易にするためであって各構成要件の上記各部への限定を意味するものではない。
[通常進行時]
普段外出する場合又は目的地に向かう道路等を移動する場合、被介助者(P1)が車椅子(1A,1B,1C)に座り、介助者(P2)は車体(2)の座席背面側の前方推進用のハンドル(212)を押して進行する。即ち、被介助者(P1)は進行方向である前に向いて座り、介助者(P2)が車椅子(1A,1B,1C)の後ろから押す形となる。
[デパートやショッピングセンター等の人が多い場所]
デパートやショッピングセンター等の人が多い場所に着くと、介助者(P2)は、車椅子(1A,1B,1C)の座席前面側へ回り、車体(2)から座席前面側前方に向けて延びる後方推進用のハンドル(3,4,5)を押して進行する。
回動又は引き出し可能に形成された後方推進用ハンドル(3,4,5)を有する車椅子(1A,1B,1C)の場合は、介助者(P2)が車椅子(1A,1B,1C)が有する後方推進用のハンドル(3,4,5)を回動するか又は引き出して車体(2)から座席前面側前方に向けて延びた状態とした後、座席前面側前方に向けて延びた後方推進用のハンドル(3,4,5)を押して進行する。
即ち、被介助者(P1)は進行方向に背を向けて座り、介助者(P2)は車椅子(1A,1B,1C)の前側から押す形(被介助者(P1)と介助者(P2)が正対する形)となる。
このように、被介助者(P1)は介助者(P2)と正対した状態で座るため、デパートやショッピングセンター等の人が多い場所を進行しても、被介助者(P1)が(特に正面から)衆目に晒されないか又は晒されにくい。一方、被介助者(P1)は、人目を気にすることなく商品や展示物を見ることができる。
[デパートやショッピングセンター等から出た後]
デパートやショッピングセンター等から出た後、後方推進用のハンドル(3,4,5)が車体(2)に収納可能な車椅子(1A,1B,1C)の場合は、介助者(P2)は、該後方推進用のハンドル(3,4,5)を使用時とは反対方向に回動させるか又は押し込んで車体(2)に収納する。これにより、後方推進用のハンドル(3,4,5)が邪魔にならない。
後方推進用のハンドル(3,4,5)の収納後は、上述の通常走行時と同様、介助者(P2)は車体(2)の座席背面側の前方推進用のハンドル(212)を押して進行する。
【発明の効果】
本発明によれば、次の効果を奏する。
(1)本発明の車椅子によれば、被介助者と介助者が正対した状態にて押して進行することができ、被介助者の姿が進行方向前方から見えないようすることができる。
(2)更に、後方推進用のハンドルが車体に収納可能な車椅子によれば、介助者は、移動中の道路等では従来の車椅子と同じように背面側に設けられた前方推進用のハンドルを利用して車椅子を進行させることができ、また、デパートやショッピングセンター等の人が多い場所では、後方推進用のハンドルを回動させ又は引き出し、該ハンドルにより被介助者と介助者が正対した状態にて車椅子を押すことができる。これにより、人が多い場所において被介助者が(特に正面から)衆目に晒されないか又は晒されにくい。
また、後方推進用のハンドルが車体に収納できるので、不使用時に後方推進用のハンドルが邪魔にならず、収納時の外観が普通の車椅子と同じような外観であるため、違和感が少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づき更に詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は第1実施形態の車椅子であって、介助者及び被介助者を二点鎖線にて示した使用状態説明図である。
まず図1に示す車椅子1Aについて説明する。
車椅子1Aは、背部フレーム210と、左右一対のサイドフレーム220及び脚部フレーム230、左右一対の車輪240及びキャスター250と、を備えた折りたたみ可能な車椅子車体2に、左右一対の後進用ハンドル3が設けられたものである。
【0018】
背部フレーム210は、中空又は中実の棒状体により形成されており、横方向に折りたたみ可能に設けられている。該背部フレーム210は、上方に向けて2本の中空又は中実の棒状体が突設されている。該背部フレーム210は、当該突設部分の上端部近傍が折り曲げられて前進用ハンドル212が形成してある。該背部フレーム210の当該突設部分の間には、帯状のバックレスト214が掛け渡してある。該背部フレーム210は、その左右各側部と各サイドフレーム220の車体後方側に位置する部分と固着してある。
各サイドフレーム220は、中空又は中実の棒状体を側面視略四角形に曲げて形成してあり、その上部にはアームレスト222Aが設けられている。該サイドフレーム220下部の車体前方側にはキャスター250が設けられており、サイドフレーム220下部の車体後方側には車輪240が設けられている。各サイドフレーム220の間には、帯状の座席シート224が掛け渡してある。
アームレスト222Aは、長手方向の全長にわたって上方が開口した断面視略U型の溝(図示及び符号省略)が形成されており、当該溝の深さ及び幅はハンドル体310の太さよりもやや径大に形成されている。
なお、図示は省略するが、アームレスト222Aの車体前方側の端部には、後述する取着部330のハンドル位置固定ネジ340を挿通するための孔が横断方向に貫通して設けてある。
各脚部フレーム230は、サイドフレーム220の車体前方側の中程から斜め下方の前方に延びた中空又は中実の棒状体であって、下端部に折りたたみ可能に形成されたフットレスト232が設けられている。各脚部フレーム230には、水平位置に停止可能であって上方に跳ね上げ可能な板状のレッグレスト234が設けられている。
各後進用ハンドル3は、ハンドル体310と、把持部320と、取着部330と、ハンドル位置固定ネジ340をそれぞれ備えている。
各ハンドル体310は、中空又は中実の棒状体であって、先端側が折り曲げられて把持部320となっている。
また、上記ハンドル体310の基端側には取付孔(図示省略)が設けられており、該取付孔と前述のアームレスト222Aに設けられた孔(図示省略)を貫通するようにハンドル位置固定ネジ340が挿通され、車体の前後方向に回動可能な取着部330を構成している。
上記ハンドル位置固定ネジ340は後方推進用のハンドル3を固定する手段を構成し、該ネジを締めると、ハンドル体310基端側をアームレスト222Aの当該取着部分が挟んで固定するように設けられており、ハンドル体310を希望する角度に固定可能としている。
(作 用)
図1を参照して、車椅子1Aの作用を説明する。
[通常進行時]
普段外出する場合又は目的地に向かう道路等を移動する場合、被介助者P1が車椅子1Aの座席シート224に座り、介助者P2は車体2背面側の前進用のハンドル212を押して進行する。即ち、被介助者P1は進行方向である前に向いて座り、介助者P2が車椅子1Aの後ろから押す形となる。
[デパートやショッピングセンター等の人が多い場所]
デパートやショッピングセンター等の人が多い場所に着くと、介助者P2は、ハンドル位置固定ネジ340を緩め、車椅子1Aの座席前面側へハンドル体310をアームレスト222Aから取り出すよう回動させ、当該回動後の位置において、ハンドル位置固定ネジ340を締めてハンドル体310を固定する。ハンドル位置の固定後、介助者P2は、ハンドル体310を押して車椅子1Aを進行させる。
即ち、被介助者P1は進行方向に背を向けて座り、介助者P2は車椅子1Aの前側から押す形(被介助者P1と介助者P2が正対する形)となる。
このように、被介助者P1は介助者P2と正対した状態で座るため、デパートやショッピングセンター等の人が多い場所を進行しても、被介助者P1が(特に正面から)衆目に晒されないか又は晒されにくい。一方、被介助者P1は、人目を気にすることなく商品や展示物を見ることができる。
[デパートやショッピングセンター等から出た後]
デパートやショッピングセンター等から出た後、介助者P2は、後進用ハンドル3を、ハンドル位置固定ネジ340を緩めて回動させ、ハンドル体310をアームレスト222Aへ納めてからハンドル位置固定ネジ340を締めて位置を固定する。これにより、後進用ハンドル3が邪魔にならない。
後進用ハンドル3の収納後、介助者P2は、上述の通常走行時と同様、座席背面側の前方推進用のハンドル212を押して進行する。
[第2実施形態]
図2は第2実施形態の車椅子であって、後進用ハンドルの動作を示した説明図、
図3は第2実施形態の車椅子の後進用ハンドルの動作部分を拡大した説明図、
図4は図3に示す後進用ハンドルの取付部分を正面方向から見たA−A拡大断面図、である。
なお、車椅子1Bは、先に説明した車椅子1Aと同一又は同等の構造及び作用を備えるため、当該重複する部分の説明は省略し、相違する部分についてのみ説明する。また、車椅子1Aと同一又は同等の構造部分に関しては同一の符号を付するものとする。
車椅子1Bは、車椅子車体2に左右一対の後進用ハンドル4が設けられたものである。
各サイドフレーム220に設けられたアームレスト222Bは、長手方向全長にわたって側方が開口した正面視略コ字状又は逆L字状(図3及び図4参照)に形成され、当該部分が空間部を形成し、当該空間部内を後述するハンドル体410がスライドできるよう形成されている。
各サイドフレーム220の車体前方側には、車体前方側に向けて開口した筒状の把持部先端嵌入孔422が設けられている
各後進用ハンドル4は、ハンドル体410と、把持部420と、取着部430と、ハンドル位置固定ネジ440をそれぞれ備えている。
各ハンドル体410は、中空又は中実の棒状体であって、先端側がU字状に曲げられて把持部420となっている。また、上記ハンドル体410基端側には取付孔411が設けられている。該取付孔411縁部には菊座(符号省略)が設けられている。
上記取着部430は、一組の挟持体である挟持体431及び挟持体432と、滑り止めゴム433と、ハンドル位置固定ネジ440を備えている。
上記挟持体431及び挟持体432は、板状体であって、その下方部が棒状のサイドフレーム220上部を挟めるように外方に向けて略円弧状に膨らんだ形状に形成されており、該略円弧状に膨らんだ部分の内側に滑り止めゴム433が設けてある(図4参照。)。
挟持体431の上部には挿通孔(符号省略)が設けられ、挟持体432の上部にはネジ孔を備える挿通孔が設けられている。
挟持体431及び挟持体432内方側の挿通孔縁部には菊座434が設けられており、前述の取付孔411縁部に設けられた菊座と噛み合うよう設けられている。
ハンドル位置固定ネジ440は、当該各挿通孔と前述の取付孔411を貫通するように挿通されている。
上記ハンドル位置固定ネジ440は後方推進用のハンドル4を固定する手段を構成し、そのネジを緩めるとサイドフレーム220に沿って前後にスライド可能であって、そのネジを締めると挟持体431及び挟持体432がサイドフレーム220を挟んで当該位置に固定できるよう構成されている。また、上記ハンドル位置固定ネジ440は、ハンドルを引き出した状態では上下方向に回動可能となり、そのネジを締めると挟持体431及び挟持体432がハンドル体410基端部を挟んで当該位置に固定できるよう構成されている。
(作 用)
図2〜図4を参照して、車椅子1Bの作用を説明する。
[デパートやショッピングセンター等の人が多い場所]
デパートやショッピングセンター等の人が多い場所に着くと、介助者P2は、ハンドル位置固定ネジ440を緩め、車椅子1Bの座席前面側へハンドル体410をアームレスト222B下方からアームレスト222B前方側端部まで引き出す。
そして、引き出したハンドル体410を斜め上方に持ち上げ、当該位置に保持したままハンドル位置固定ネジ440を締め、ハンドル体410を固定する。
ハンドル位置の固定後、介助者P2は、ハンドル体410を押して車椅子1Bを進行させる。
[デパートやショッピングセンター等から出た後]
デパートやショッピングセンター等から出た後、介助者P2は、後進用ハンドル4を、ハンドル位置固定ネジ440を緩めてアームレスト222B上部と平行にし、アームレスト222Bの背面方向へ押し入れて収納する。
この時、把持部420の端部を、把持部先端嵌入孔422へ嵌め入れる。これによって把持部420がぶらつかず、邪魔になりにくい。
[第3実施形態]
図5は第3実施形態の車椅子であって、後進用ハンドルの動作を示した説明図である。
なお、車椅子1Cは、先に説明した車椅子1Cと同一又は同等の構造及び作用を備えるため、当該重複する部分の説明は省略し、相違する部分についてのみ説明する。また、車椅子1Cと同一又は同等の構造部分に関しては同一の符号を付するものとする。
車椅子1Cは、車椅子車体2に、左右一対の後進用ハンドル5を設けたものである。
各サイドフレーム220上部に設けられたアームレスト222Cは、サイドフレーム220上部と略同じ長さであって、その上部は略平坦に形成されている。
各後進用ハンドル5は、各サイドフレーム220の車体前方側に取着されており、ハンドル体510と、把持部520と、取着部530と、取着部530に設けられたハンドル位置固定ネジ540をそれぞれ備えている。
各ハンドル体510は、両端側が互い違いの方向に鉤状に曲げられた中空又は中実の棒状体であって、先端側が把持部520となっている。該把持部520は、使用時において、車椅子前面側へ突出するよう形成されている。
また、上記ハンドル体510の基端側には取付孔(図示省略)が設けられており、該取付孔とサイドフレーム220の車体前方側に設けられた孔(図示省略)を貫通するようにハンドル位置固定ネジ540が挿通され、車体の前後方向に回動可能な取着部530を構成している。
上記ハンドル位置固定ネジ540は後方推進用のハンドル5を固定する手段を構成し、該ネジを締めると、ハンドル体510基端側を各サイドフレーム220における当該取着部分が挟んで固定するように設けられており、ハンドル体510を希望する角度に固定可能としている。
(作 用)
図5を参照して、車椅子1Cの作用を説明する。
[デパートやショッピングセンター等の人が多い場所]
デパートやショッピングセンター等の人が多い場所に着くと、介助者P2は、ハンドル位置固定ネジ540を緩め、車椅子1Cの座席前面側へハンドル体510を回動させ、当該回動後の位置において、ハンドル位置固定ネジ540を締めてハンドル体510を固定する。ハンドル位置の固定後、介助者P2は、ハンドル体510を押して車椅子1Cを進行させる。
[デパートやショッピングセンター等から出た後]
デパートやショッピングセンター等から出た後、後進用ハンドル5は、ハンドル位置固定ネジ540を緩めて回動させ、ハンドル体510をアームレスト222C横へ位置させてからハンドル位置固定ネジ540を締めて位置を固定する。これにより、後進用ハンドル5が邪魔にならない。
[第4実施形態]
図6は第4実施形態の車椅子であって、後進用ハンドルの動作を示した説明図、
図7は図6に示す後進用ハンドルの取付部分を拡大した説明図である。
車椅子1Dは、先に説明した車椅子1Aと同一又は同等の構造及び作用を備えるため、当該重複する部分の説明は省略し、相違する部分についてのみ説明する。また、車椅子1Aと同一又は同等の構造部分に関しては同一の符号を付するものとする。
車椅子1Dは、車椅子車体2に左右一対の各後進用ハンドル6が設けられたものである。車椅子車体2の上部左右側には、左右のアームレスト222Dの下側から斜め下方前方へ伸びるように金属製の板状の取付部材26が固定されている。各取付部材26は垂直に設けられており、前部と後部側の下縁部には突出片を外側へ直角に折り曲げた構造のストッパー260、261が設けられている。
後進用ハンドル6は、先端部に把持部61を有するハンドル体60を備えている。ハンドル体60は、基部寄りが所要の角度で曲げられており、後方へ回動させて収めたときに、曲げられた先部側が水平になってアームレスト222Dの下に位置するようにし、これによって被介助者の邪魔にならないようにしてある。
ハンドル体60の基端部には、L板状の軸着部材62が取り付けられている。ハンドル体60は、基端部を軸着部材62の先部側の短板620に溶接して固着されている。軸着部材62の基部側の長板621の基端部は、取付部材26の下部に軸622を介して軸着されている。軸622の位置は、前記ストッパー260、261のほぼ中間部である。これにより、後進用ハンドル6は軸622を中心として前後方向へ回動可能である。
また、軸着部材62の長板621の短板620寄りには、係止体63が設けられている。係止体63は、先部側に係止ピン630を有し、基部側はツマミ631となっている。係止体63は、長板621の厚み方向に進退動可能に取り付けられており、バネ(図示省略)によって取付部材26側へ常時付勢されている。
係止ピン630は、取付部材26に設けられている係止孔263に入って係止可能である。係止孔263は、軸622を中心とする同心円上の三箇所に設けられている。後部側の係止孔263は、後進用ハンドル6を後方に収めるときに係止ピン630を係止して使用し、前部側の係止孔263は、後進用ハンドル6を後進用として使用するときに係止ピン630を係止して使用する。なお、前記係止体63及び各係止孔263は、後方推進用のハンドル6を固定する手段を構成する。
軸着部材62は、それぞれの位置でちょうど前記ストッパー260、261に当たるようになっており、後進用ハンドル6の両位置での安定性を高めている。また、中間部の係止孔263は、必要が生じたときの仮止め用である。なお、係止孔263の数はこれに限定されるものではなく、適宜設定が可能である。
(作 用)
図6、図7を参照して、車椅子1Dの作用を説明する。
[デパートやショッピングセンター等の人が多い場所]
デパートやショッピングセンター等の人が多い場所に着くと、介助者は、係止体63を引いて係止孔263への係止状態を解除し、各後進用ハンドル6を後方の収まり位置(図6に想像線で示した位置及び図7に示す位置)から後進用の使用位置(図6に実線で示した位置)へ回動させ、係止体63を係止孔263に係止して固定する。
各後進用ハンドル6の固定後、介助者は各後進用ハンドル6を押して車椅子1Dを進行させる。
[デパートやショッピングセンター等から出た後]
デパートやショッピングセンター等から出た後、介助者は、各後進用ハンドル6を後方の収まり位置に戻して固定し、通常のように前進用ハンドル212を押して車椅子1Dを進行させる。
上記第1〜第4実施形態では、ハンドル体は回動可能に形成されているが、これに限定するものではなく、例えばハンドル体が回動せず固定されたものであってもよい。
上記第1〜第4実施形態では、ハンドル体は一対の中空又は中実の棒状体であるが、これに限定するものではなく、例えば中空又は中実の棒状体を門型又はU型に曲げたものであってもよいし、該門型ハンドルは車椅子の背面側に回動させたときは前進用ハンドルとなるよう形成したものであってもよい。
上記第1〜第4実施形態では、各部フレーム及びハンドル体の素材としては、例えば、ステンレススチールやアルミニウム等の金属、合成樹脂材、またはこれらを組み合わせたものが挙げられるが、他の公知部材を使用しても良い。
上記第1〜第4実施形態では、ハンドル位置を固定する手段として、ハンドル位置固定ネジや係止ピンと係合孔の組み合わせにより位置を固定する手段を採用しているが、これらに限定するものではなく、例えばラチェット式のロック機構など、公知の固定手段であってもよい。
本明細書及び特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書及び特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の車椅子であって、介助者及び被介助者を二点鎖線にて示した使用状態説明図。
【図2】第2実施形態の車椅子であって、後進用ハンドルの動作を示した説明図。
【図3】第2実施形態の車椅子の後進用ハンドルの動作部分を拡大した説明図。
【図4】図3に示す後進用ハンドルの取付部分を正面方向から見たA−A拡大断面図。
【図5】第3実施形態の車椅子であって、後進用ハンドルの動作を示した説明図。
【図6】第4実施形態の車椅子であって、後進用ハンドルの動作を示した説明図。
【図7】図6に示す後進用ハンドルの取付部分を拡大した説明図。
【符号の説明】
P1 被介助者
P2 介助者
1A,1B,1C,1D 車椅子
2 車椅子車体
210 背部フレーム
212 前進用ハンドル
214 バックレスト
220 サイドフレーム
222A,222B,222C,222D アームレスト
224 座席シート
230 脚部フレーム
232 フットレスト
234 レッグレスト
240 車輪
250 キャスター
26 取付部材
260、261 ストッパー
263 係止孔
3 後進用ハンドル
310 ハンドル体
320 把持部
330 取着部
340 ハンドル位置固定ネジ
4 後進用ハンドル
410 ハンドル体
411 取付孔
420 把持部
422 把持部先端嵌入孔
430 取着部
431 挟持体
432 挟持体
433 滑り止めゴム
440 ハンドル位置固定ネジ
5 後進用ハンドル
510 ハンドル体
520 把持部
530 取着部
540 ハンドル位置固定ネジ
6 後進用ハンドル
60 ハンドル体
61 把持部
62 軸着部材
620 短板
621 長板
622 軸
63 係止体
630 係止ピン
631 ツマミ
パンフレット1 
パンフレット2 
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
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