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健康・医療
 
【発明の名称】歯磨き用マスク
【特許権者】
【識別番号】521161624
【氏名又は名称】竹内 俊充
【住所又は居所】愛知県名古屋市千種区池園町2丁目3番地 医療法人優寿会
【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
【発明者】
【氏名】竹内 俊充
【住所又は居所】愛知県名古屋市千種区池園町2丁目3番地 医療法人優寿会
【要約】
【課題】歯磨きにより落とされた汚れ成分の飛散により周囲が汚れるのを抑制するとともに、すすぎにより生ずる排液を処理するための容器の準備を不要にする。
【解決手段】歯磨き用マスク20の耳掛け部は、歯13が磨かれる装着者10の耳に対し、取り外し可能に掛けられる。マスク本体21は、耳掛け部が耳に掛けられた状態で、装着者10の顔面の少なくとも口12を覆う。袋体35は、可撓性材料により筒状に形成され、かつ自身の基端部36に開口部41を有するとともに、自身の先端部37が閉塞されている。袋体35には、開口部41を通じて手の指17が挿入される。袋体35の基端部36は、マスク本体21の表面23よりも裏側であり、かつマスク本体21のうち口12を覆う箇所に固定される。マスク本体21の少なくとも表面23を含む部分であり、かつ口12を覆う箇所には、開放可能に構成された蓋部24が閉じられた状態で設けられている。
【選択図】図6
選択図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯が磨かれる装着者に対し、取り外し可能に装着される装着部と、
前記装着部が前記装着者に装着された状態で、前記装着者の顔面の少なくとも口を覆うマスク本体と、
可撓性材料により筒状に形成され、かつ自身の基端部に開口部を有するとともに、自身の先端部が閉塞され、前記開口部を通じて手の指が挿入される袋体と、を備え、
前記袋体の前記基端部は、前記マスク本体の表面よりも裏側であり、かつ前記マスク本体のうち前記口を覆う箇所に固定され、
前記マスク本体の少なくとも前記表面を含む部分であり、かつ前記口を覆う箇所には、開放可能に構成された蓋部が閉じられた状態で設けられている歯磨き用マスク。
【請求項2】
前記袋体は、前記先端部を前記基端部に隣接させた状態で前記マスク本体に固定されている請求項1に記載の歯磨き用マスク。
【請求項3】
前記袋体では、前記基端部と前記先端部との中間部分が、前記基端部に巻き付けられることにより、前記先端部が前記基端部に隣接しており、
前記袋体は、巻き付けを解除されることにより、筒状に延ばされる請求項2に記載の歯磨き用マスク。
【請求項4】
前記マスク本体の前記表面よりも裏側で筒状に延ばされた前記袋体の外側の面であって、少なくとも前記先端部を含む箇所には、突部が設けられている請求項1に記載の歯磨き用マスク。
【請求項5】
包装袋に口内洗浄液を封入してなる洗浄液袋をさらに備え、
前記包装袋は、少なくとも一部において切り裂き可能に構成されており、
前記洗浄液袋は、前記マスク本体に対し取り外し可能に取り付けられている請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の歯磨き用マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯磨き用マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科診療所に通院することが困難な人に対し、歯科医師又は歯科衛生士が自宅や介護施設に訪問し、歯科診療や専門的口腔ケアを行う、いわゆる歯科訪問診療が知られている。歯科訪問診療では、歯ブラシ(例えば、特許文献1参照)を用いて歯磨きを行う場合がある。また、歯ブラシに代えて、指装着歯ブラシ(例えば、特許文献2参照)を用いて歯磨きを行う場合もある。指装着歯ブラシは、指が挿入される筒状体にブラシ部を形成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2023−90088号公報
【特許文献2】 実用新案登録第3184795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の歯ブラシ又は指装着歯ブラシを用いた方法では、歯磨きによって落とされた汚れ成分が、開かれた口から飛散して周囲を汚すおそれがある。また、すすぎにより生ずる排液を処理するためのコップ等の容器を準備しなければならない。
【0005】
こうした問題は、上記のように歯科訪問診療で歯を磨く場合に限らず、洗面台とは異なる箇所で歯を磨く場合に共通して起り得る。例えば、介助者が要介助者の歯を磨く場合にも起り得る。また、上記問題は、健常者が車中等で、指装着歯ブラシを用いて自身の歯を磨く場合にも、上記と同様にして起り得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための歯磨き用マスクの各態様を記載する。
[態様1]歯が磨かれる装着者に対し、取り外し可能に装着される装着部と、前記装着部が前記装着者に装着された状態で、前記装着者の顔面の少なくとも口を覆うマスク本体と、可撓性材料により筒状に形成され、かつ自身の基端部に開口部を有するとともに、自身の先端部が閉塞され、前記開口部を通じて手の指が挿入される袋体と、を備え、前記袋体の前記基端部は、前記マスク本体の表面よりも裏側であり、かつ前記マスク本体のうち前記口を覆う箇所に固定され、前記マスク本体の少なくとも前記表面を含む部分であり、かつ前記口を覆う箇所には、開放可能に構成された蓋部が閉じられた状態で設けられている歯磨き用マスク。
【0007】
上記の構成によれば、歯が磨かれる装着者に対し、歯磨き用マスクの装着部が装着されると、装着者の顔面の少なくとも口がマスク本体によって覆われる。このときには、袋体の形態は、蓋部が閉じられたマスク本体の表面よりも裏側であって、装着者の口との間に位置する使用前形態にされる。このときには、蓋部が閉じられているため、歯磨き用マスクの表側からは袋体が見えない、又は見えにくい。
【0008】
次に、袋体の形態が、使用前形態から歯磨き形態に切り替えられる。このときには、袋体はマスク本体の表面よりも裏側に位置する。歯磨き用マスクの表側から手の指によって蓋部が裏側へ押圧される。この押圧によって蓋部が開放される。開放された蓋部及び開口部を通じて上記指が袋体に挿入される。この指は、上記装着者自身の指であってもよいし、他者の指であってもよい。そして、指に被せられた袋体が、歯に押し当てられながら動かされることで、歯に付着している歯垢等の汚れ成分が落とされる。また、袋体が歯茎に押し当てられながら動かされることで、歯茎がマッサージされる。マスク本体は、上記歯磨き形態を採っているとき口を覆っている。そのため、歯磨きにより落とされた汚れ成分が、開かれた口から飛散しても、マスク本体によって受け止められる。
【0009】
上記歯磨きを終えた口内がすすがれることにより排液が生ずる。袋体の形態が、歯磨き形態から排液処理形態に切り替えられる。この切り替えに際し、歯磨き形態の袋体が裏返される。この状態で、袋体の少なくとも一部が、開放された蓋部を通じてマスク本体の表面よりも表側に突出させられる。この突出部分は、上記排液が排出される箇所として使用される。排液が排液処理形態の袋体に排出されることで、歯を含め、口の中が清浄な状態になる。上記袋体は、歯磨き用マスクの一構成部材としてマスク本体に取り付けられているため、排液を排出するためのコップ等の容器の準備が不要となる。
【0010】
[態様2]前記袋体は、前記先端部を前記基端部に隣接させた状態で前記マスク本体に固定されている[態様1]に記載の歯磨き用マスク。
上記の構成によれば、使用前形態では、袋体の先端部が基端部に対し隣接する。袋体の形態がコンパクトになる。そのため、歯磨き用マスクがマスク本体の厚み方向に嵩張りにくい。
【0011】
[態様3]前記袋体では、前記基端部と前記先端部との中間部分が、前記基端部に巻き付けられることにより、前記先端部が前記基端部に隣接しており、前記袋体は、巻き付けを解除されることにより、筒状に延ばされる[態様2]に記載の歯磨き用マスク。
【0012】
上記の構成によれば、使用前形態では、袋体の中間部分が基端部に巻き付けられることにより、同袋体の先端部が基端部に対し隣接する。このときには、袋体は、蓋部が閉じられたマスク本体の表面よりも裏側に位置する。
【0013】
歯磨き形態では、指により蓋部が開放され、その蓋部及び開口部を通じて袋体に指が挿入される。指の挿入に伴い、巻き付けが解除されて、袋体が筒状に延ばされる。袋体は指に被せられた状態となる。
【0014】
[態様4]前記マスク本体の前記表面よりも裏側で筒状に延ばされた前記袋体の外側の面であって、少なくとも前記先端部を含む箇所には、突部が設けられている[態様1]〜[態様3]のいずれか1つに記載の歯磨き用マスク。
【0015】
上記突部は、例えば、球状等の突起、ブラシの毛のようなものによって構成されてもよい。
上記の構成によれば、歯磨き形態では、袋体の突部を歯に押し当てて指を動かすことにより、歯に付着している歯垢等の汚れ成分が効率よく落とされる。また、突部を歯茎に押し当てて指を動かすことにより、歯茎が効果的にマッサージされる。
【0016】
[態様5]包装袋に口内洗浄液を封入してなる洗浄液袋をさらに備え、前記包装袋は、少なくとも一部において切り裂き可能に構成されており、前記洗浄液袋は、前記マスク本体に対し取り外し可能に取り付けられている[態様1]〜[態様4]のいずれか1つに記載の歯磨き用マスク。
【0017】
上記の構成によれば、洗浄液袋が予めマスク本体に取り付けられているため、別途口内洗浄液を準備しなくてもすむ。
上記洗浄液袋は、歯磨き前に、又は歯磨き後にマスク本体から取り外される。
【0018】
そして、歯磨き後に、装着者から装着部が取り外される。洗浄液袋における包装袋の一部が切り裂かれる。すると、包装袋から口内洗浄液を流出させることが可能となる。包装袋内の口内洗浄液が口に入れられて、すすぎが行われることによって、口内が洗浄される。すすぎにより生じた排液は、排液処理形態の袋体に排出される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、歯磨きにより落とされた汚れ成分の飛散により周囲が汚れるのを抑制するとともに、すすぎにより生ずる排液を処理するための容器の準備を不要にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】一実施形態における歯磨き用マスクの正面図である。
【図2】上記実施形態における歯磨き用マスクの背面図である。
【図3】上記実施形態において、袋体が使用前形態にされた歯磨き用マスクの部分縦断面図である。
【図4】上記実施形態において、歯磨き用マスクが装着者に装着された状態を示す側面図である。
【図5】上記実施形態において、使用前形態の袋体が歯磨き形態にされる途中の状態の歯磨き用マスクの部分縦断面図である。
【図6】上記実施形態において、袋体が歯磨き形態にされた歯磨き用マスクの部分縦断面図である。
【図7】上記実施形態において、袋体が排液処理形態にされた歯磨き用マスクの部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、歯磨き用マスクの一実施形態について、図面を参照して説明する。
図4に示すように、本実施形態の歯磨き用マスク20は、装着者10の歯13(図6参照)を磨く際に用いられるものであり、装着者10に装着される。ここでの装着者10は、歯科訪問診療を受ける人、要介助者等、自分で歯13を磨くことが困難な人であってもよいし、自分で歯13を磨くことのできる健常者であってもよい。また、歯科訪問診療の場合、歯13を磨く作業を行う人は、歯科医師及び歯科衛生士である。要介助者の歯13を磨く作業を行う人は、介助者である。健常者の場合、歯13を磨く人は、健常者自身である。
【0022】
図1及び図2に示すように、本実施形態の歯磨き用マスク20は、マスク本体21、装着部、袋体35及び洗浄液袋45を備えている。次に、歯磨き用マスク20を構成する各部について説明する。
【0023】
<装着部>
装着部は、左右一対の耳掛け部31によって構成されている。各耳掛け部31は、左右方向のうち、反対の耳掛け部31から遠ざかる側へ膨らむように湾曲された紐によって構成されている。各耳掛け部31の両端部は、マスク本体21の左右の側部に固定されている。そして、図4に示すように、各耳掛け部31が、装着者10の耳15に掛けられることにより、装着部が装着者10に取り外し可能に装着される。なお、耳掛け部31は、伸縮性を有するものであってもよいし、有さないものであってもよい。
【0024】
<マスク本体21>
マスク本体21は、両耳掛け部31が、対応する耳15に掛けられた状態で、装着者10の顔面11の少なくとも口12を覆う大きさを有している。ここでの口12を覆う大きさとは、開かれた状態の口12を覆う大きさである。マスク本体21は、不織布、ガーゼ、ウレタン等によって、上下方向よりも左右方向に細長い長方形状に形成されている。マスク本体21は、市販されている一般的なマスクと同様、花粉や粉塵の気管支への侵入を規制する機能を有する。また、マスク本体21は、咳やくしゃみ等により発生する飛沫等の拡散を規制する機能を有する。
【0025】
図3に示すように、マスク本体21は、表面部22と、表面部22よりも裏側に配置された裏面部26とを備えている。なお、「表」、「表側」等は、口12を覆った状態のマスク本体21の厚み方向のうち、顔面11から遠ざかる側であり、「裏」、「裏側」等は、顔面11に近づく側である。
【0026】
マスク本体21は、表面部22と裏面部26との間に、中間面部(図示略)を備えていてもよいし、備えていなくてもよい。前者の場合、中間面部は、単一の面部によって構成されてもよいし、複数層の面部によって構成されてもよい。表面部22の表面23は、マスク本体21の表面を構成し、裏面部26の裏面27は、マスク本体21の裏面を構成している。
【0027】
図3及び図4に示すように、裏面部26において、装着者10の口12を覆う箇所には貫通孔28が開けられている。裏面部26における表側の面であって、貫通孔28の周囲には環状の取付突部29が固定されている。
【0028】
上記表面部22において、貫通孔28の表側となる箇所、すなわち、装着者10の口12を覆う箇所には、開放可能に構成された蓋部24が閉じられた状態で設けられている。蓋部24が設けられた表面部22は、マスク本体21の少なくとも表面23を含む部分である。
【0029】
本実施形態では、表面部22に、同表面部22の他の箇所よりも低い強度を有し、かつ同他の箇所よりも破断しやすい破断予定部25が形成されている。図1に示すように、破断予定部25は、上記表面部22に入れられたミシン目によって構成されている。すなわち、破断予定部25は、それぞれ所定の長さを有する複数本の切り込みを、所定間隔おきに表面部22に入れることによって形成されている。こうした破断予定部25は、切り込みの入れられた箇所と、その隣の切り込みの入れられていない箇所とを1つの単位として、この単位を複数回繰り返すことによって形成されている。なお、本実施形態では、破断予定部25(ミシン目)が全体として十字形をなすように形成されているが、他の形状、例えばH字形をなすように形成されてもよい。
【0030】
表面部22のうち、破断予定部25(ミシン目)の周辺部分は、蓋部24を構成している。破断予定部25が破断される前には、蓋部24は閉じられた状態となる。これに対し、表面部22において破断予定部25の近くの箇所に対し、一定値以上の押圧力が加えられた場合には、図5において実線で示すように破断予定部25が破断されて、蓋部24が開放可能になる。
【0031】
<袋体35>
図3及び図5に示すように、袋体35は、透水性が低く可撓性を有する材料、本実施形態では、薄膜状のゴムによって筒状に形成されている。ここで、筒状の袋体35の両方の端部を区別するために、一方の端部を基端部36といい、他方の端部を先端部37というものとする。
【0032】
袋体35は、自身の基端部36に開口部41を有している。袋体35の先端部37は閉塞されている。袋体35は、開口部41を通じて、歯磨き作業をする人の手の指17が挿入可能な太さ及び長さを有している。
【0033】
図3に示すように、袋体35の基端部36は、マスク本体21の表面23よりも裏側であり、かつマスク本体21のうち口12を覆う箇所に固定されている。より詳しくは、袋体35は、先端部37を基端部36に隣接させた状態でマスク本体21に固定されている。ここでは、袋体35のうち、基端部36と先端部37との中間部分38が、基端部36に巻き付けられることにより、先端部37が基端部36に隣接させられている。先端部37は、表面部22の裏側であり、かつ取付突部29よりも表側となる箇所に配置されている。環状の基端部36と、基端部36に巻き付けられた環状の部分(中間部分38)とは、取付突部29の周りに配置されている。そして、袋体35は、基端部36において取付突部29に固定されている。さらに、袋体35は、図5及び図6に示すように、巻き付けられた環状の部分の巻き付けが解除されることにより、筒状に延ばされるように構成されている。
【0034】
マスク本体21の表面23よりも裏側で筒状に延ばされた袋体35の外側の面であって、少なくとも先端部37を含む箇所には、それぞれ外方へ突出する複数の突部42が設けられている。突部42は、球状等の突起によって構成されてもよいし、ブラシの毛のようなもの(毛状部分)によって構成されてもよい。突部42は、袋体35に一体に形成されてもよいし、別部材からなるものが用いられて袋体35に固定されてもよい。本実施形態では、突部42は、先端部37のみに設けられている。
【0035】
可撓性を有する袋体35は、変形することにより、使用前形態、歯磨き形態及び排液処理形態といった3つの形態を採る。
使用前形態では、図3に示すように袋体35は、蓋部24が閉じられたマスク本体21の表面23よりも裏側に位置する。
【0036】
歯磨き形態では、図6に示すように袋体35は、マスク本体21の表面23よりも裏側に位置し、かつ開放された蓋部24及び開口部41を通じて手の指17が挿入されて装着者10の歯磨きに使用される。
【0037】
排液処理形態では、図7に示すように、歯磨き形態の袋体35が裏返される。袋体35は、この状態で、開放された蓋部24を通じてマスク本体21の表面23よりも表側に突出される。この突出された部分が、歯磨き後のすすぎにより生ずる排液50の排出箇所として使用される。
【0038】
そして、袋体35は、上述した使用前形態、歯磨き形態及び排液処理形態の順に形態を切り替える。
<洗浄液袋45>
図2に示すように、洗浄液袋45の外殻部分は、スティック状に形成された包装袋46によって構成されている。包装袋46内には、少なくとも1回のすすぎに必要な量の口内洗浄液が封入されている。包装袋46は、少なくとも一部において切り裂き可能に構成されている。洗浄液袋45は、裏面部26の裏面27であって、貫通孔28から離間した箇所に対し、取り外し可能に取り付けられている。本実施形態では、洗浄液袋45は、左右方向に延びる姿勢で、裏面27の上部に対し、粘着剤によって剥離可能に貼り付けられている。
【0039】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用について説明する。
<歯磨き用マスク20の不使用時>
歯磨き用マスク20の不使用時には、図3に示すように、袋体35の中間部分38が基端部36に巻き付けられた状態となっている。袋体35の先端部37が基端部36に対し隣接している。袋体35は、蓋部24が閉じられたマスク本体21の表面23よりも裏側であって、裏面部26よりも表側に位置している。袋体35がコンパクトな形態になっている。そのため、袋体35、ひいては、歯磨き用マスク20の全体がマスク本体21の厚み方向に嵩張らない。
【0040】
<歯磨き用マスク20の使用時>
歯磨き用マスク20の使用に際し、洗浄液袋45は、歯磨き前にマスク本体21から取り外されてもよいし、後述する歯磨き後にマスク本体21から取り外されてもよい。
【0041】
歯磨き用マスク20の使用に際しては、図4に示すように、左右の両耳掛け部31が装着者10の対応する耳15に掛けられる。すると、装着者10の顔面11の少なくとも口12がマスク本体21によって覆われる。
【0042】
このときには、袋体35は、図3に示す使用前形態にされる。使用前形態では、袋体35は、蓋部24が閉じられたマスク本体21の表面23よりも裏側であって、装着者10の口12との間に位置する。このように、耳掛け部31が耳15に掛けられることで袋体35が使用前形態にされ、袋体35の位置決めがなされる。
【0043】
また、このときには、蓋部24に対し指17等による押圧力が加えられない。破断予定部25が破断されないため、蓋部24が閉じられ続ける。閉じられた状態の蓋部24が袋体35の表側に位置する。従って、歯磨き用マスク20の表側からは袋体35が見えない、又は見えにくい。
【0044】
次に、図5に示すように、袋体35の形態が、使用前形態から歯磨き形態に切り替えられる。
このときには、蓋部24に対し指17等によって表側から裏側へ向かう押圧力が加えられる。蓋部24に対し、一定値以上の押圧力が加えられると、破断予定部25が破断される。蓋部24が表面23よりも裏側へ倒れて、開放された状態となる。
【0045】
図6に示すように、歯磨き形態では、袋体35はマスク本体21の表面23よりも裏側に位置する。開放された蓋部24及び開口部41を通じて指17が袋体35に挿入される。指17の挿入に伴い、巻き付けが解除されることにより、袋体35が筒状に延ばされる。袋体35は指17に被せられた状態となる。
【0046】
そして、指17に被せられた袋体35が、装着者10の歯13に押し当てられながら動かされることで、歯13に付着している歯垢等の汚れ成分が落とされる。また、袋体35が歯茎14に押し当てられながら動かされることで、歯茎14がマッサージされる。
【0047】
ゴムにより形成された袋体35は、可撓性を有していて、伸縮性を有する。そのため、袋体35に挿入された指17が動かされると、その動きに合わせて袋体35がスムーズに動く。
【0048】
特に、本実施形態では、袋体35の突部42を歯13に押し当てて指17を動かすことにより、歯13に付着している歯垢等の汚れ成分が効率よく落とされる。また、突部42を歯茎14に押し当てて指17を動かすことにより、歯茎14が効果的にマッサージされる。
【0049】
マスク本体21は、上記歯磨き形態を採っているとき口12を覆っている。そのため、歯磨きにより落とされた汚れ成分が、開かれた口12から飛散しても、マスク本体21によって受け止められる。従って、汚れ成分は、マスク本体21よりも表側へ飛散しにくい。
【0050】
上記歯磨きの後、両耳掛け部31が耳15から外されることで、歯磨き用マスク20は、装着部が装着者10から取り外された状態となる。洗浄液袋45は、このタイミングでマスク本体21から取り外されてもよい。
【0051】
洗浄液袋45における包装袋46の一部が切り裂かれる。すると、包装袋46から口内洗浄液を流出させることが可能となる。包装袋46内の口内洗浄液が口12の内部に入れられて、すすぎが行われることによって、口12の内部が洗浄される。すすぎに伴い口12の内部に排液50(図7参照)が生ずる。
【0052】
一方で、マスク本体21の蓋部24が表面23よりも表側へ倒されて、開放された状態にされる。袋体35の形態が、歯磨き形態から排液処理形態に切り替えられる。この切り替えに際し、歯磨き形態の袋体35が裏返される。この裏返しは、例えば、筒状に延ばされた袋体35(図6参照)を、先端部37側から基端部36側へ向けて指17で押すことによって行われてもよい。また、マスク本体21の表側から袋体35が摘ままれて引き出されることによって裏返されてもよい。
【0053】
上記のように裏返された状態の袋体35の少なくとも一部が、表側へ開放された蓋部24を通じてマスク本体21の表面23よりも表側に突出させられる。この突出部分が、排液50が排出される箇所として使用される。
【0054】
上記装着者10の口12の中の排液50が、図7において二点鎖線で示すように、排液処理形態の袋体35に排出されることで、歯13及び歯茎14を含め、口12の中が清浄な状態になる。
【0055】
袋体35の形成に用いられているゴムは、透水性の低い材料である。そのため、袋体35に排出された排液50は、透過して漏れ出ることが起こりにくい。
袋体35は、歯磨き用マスク20の一構成部材としてマスク本体21に取り付けられているため、排液50を排出するためのコップ等の容器が不要となる。
【0056】
そして、排液50が排出された袋体35に対し、排液50が漏れ出なくする処理、又は漏れ出にくくする処理が行われる。例えば、袋体35の中間部分38が紐等で縛られる等して、袋体35が閉じられる。この処理が行われた後に、歯磨き用マスク20がゴミ箱等に捨てられる。
【0057】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)図3及び図5に示すように、本実施形態では、可撓性材料により筒状に形成され、かつ開口部41を通じて手の指17が挿入される袋体35を用いている。袋体35の基端部36を、マスク本体21の表面23よりも裏側であり、かつマスク本体21のうち口12を覆う箇所に固定している。さらに、マスク本体21の少なくとも表面23を含む部分(表面部22)であり、かつ口12を覆う箇所には、開放可能に構成された蓋部24を閉じられた状態で設けている。そのため、次のような種々の効果が得られる。
【0058】
・左右の両耳掛け部31を装着者10の対応する耳15に掛けて、歯磨き用マスク20を装着者10に装着することで、袋体35の位置決めを行うことができる。
・袋体35が使用前形態(図3参照)を採るときには、蓋部24が閉じられていて袋体35が見えない、又は見えにくいため、歯磨き用マスク20の見栄えがよい。
【0059】
・歯ブラシや指装着歯ブラシがなくても、マスク本体21によって口12を覆った状態で、袋体35によって歯13を磨いたり、歯茎14をマッサージしたりすることができる。このとき、歯磨きにより落とされた汚れ成分の飛散により周囲が汚れるのを、マスク本体21によって抑制することができる。
【0060】
・すすぎにより生じた排液50を袋体35に排出することができる(図7参照)。コップ等の排液処理用容器がなくても、排液50の処理をすることができる。
(2)図3に示すように、本実施形態では、袋体35の基端部36と先端部37との中間部分38が、基端部36に巻き付けられている。この巻き付けにより、先端部37を基端部36に隣接させた状態で、袋体35がマスク本体21に固定されている。そのため、次の効果が得られる。
【0061】
・歯磨き用マスク20がマスク本体21の厚み方向に嵩張らず、歯磨き用マスク20を携帯や収納に適した形態にすることができる。
・図5及び図6に示すように、歯磨き時には、手の指17で蓋部24を開放状態にする。袋体35に対し、蓋部24及び開口部41を通じて指17を挿入することで、巻き付けを解除しながら袋体35を筒状に延ばして、袋体35を指17に被せた状態にすることができる。
【0062】
(3)本実施形態では、袋体35の形態を、図3に示す使用前形態から図6に示す歯磨き形態に切り替える際に、指17を挿入することで袋体35を一旦筒状に延ばしている。そのため、袋体35の形態を、歯磨き形態から図7に示す排液処理形態に切り替える際に、袋体35に再び指17を挿入して筒状に延ばさなくてもすむ。
【0063】
(4)図6に示すように、本実施形態では、マスク本体21の表面23よりも裏側で筒状に延ばされた袋体35の外側の面であって、少なくとも歯磨きに使用される箇所である先端部37に突部42が形成されている。そのため、突部42が設けられない場合に比べ、歯13に付着している汚れ成分を効率よく落とすことができる。また、突部42によって歯茎14を効果的にマッサージすることができる。
【0064】
(5)図2に示すように、本実施形態では、洗浄液袋45がマスク本体21に取り外し可能に取り付けられている。そのため、口内洗浄液を別途準備しなくてもすすぎを行うことができる。
【0065】
(6)袋体35が、伸縮性を有するゴムによって形成されている。そのため、次の効果が得られる。
・図6に示すように、袋体35に挿入された指17が動かされた場合、その指17の動きに合わせて袋体35をスムーズに動かすることができる。
【0066】
・図7に示すように、排液50が袋体35に排出された場合、排液50が袋体35を透過するのを抑制できる。
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変更例として実施することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0067】
<装着部について>
・装着部は、装着者10の耳15とは異なる箇所に装着されるものであってよい。
・装着部は、マスク本体21とは別部材によって構成され、マスク本体21に固定されたものであってもよい。また、装着部は、マスク本体21と同一材料によって一体に形成されたものであってもよい。
【0068】
・耳掛け部31は、紐に代えて、可撓性を有するシートによって形成されてもよい。この場合、耳掛け部31は、紐の太さよりも広い幅を有するものであってもよい。
<マスク本体21に関する事項>
・破断予定部25に代えて、表面部22にスリット(図示略)が入れられてもよい。なお、この場合、表面部22のうち、スリットを挟み込む部分が蓋部24となる。
【0069】
袋体35が使用前形態を採っているときには、表面部22のうち、スリットを挟み込む箇所がスリットを介して隣接する。そのため、蓋部24が閉じられた状態となる。スリットは、歯磨き用マスクの前方からは見えにくい。そのため、スリットが設けられることによる歯磨き用マスクの見栄え低下はないか、あったとしても僅かである。
【0070】
歯磨き時には、スリットから指17が挿入される。表面部22のうち、スリットを挟み込む箇所が、互いに遠ざかる側へ変形させられ、蓋部24が開放される。
・マスク本体21は、不透明な材料によって形成されてもよい。この場合、マスク本体21は、透き通って見えない。装着者10の顔面11のうちマスク本体21によって覆われた箇所が、他人によって見られない。そのため、指17を入れた袋体35で歯13を磨いていても、周囲の人に気づかれにくい。従って、周囲の目をさほど気にせずに歯磨きをすることが可能となる。
【0071】
・マスク本体21は、透明な材料によって形成されてもよい。この場合には、装着者10の顔面11のうちマスク本体21によって覆われた箇所が、マスク本体21を通じて透けて見える。そのため、装着者10とは異なる人が、その装着者10の歯13を磨く場合には、口12の中と、指17を入れた袋体35との位置関係を把握しやすく、歯13を磨く作業がしやすくなる。
【0072】
・マスク本体21の大きさは、装着者10の顔面11のうち、開かれた口12を少なくとも覆うことができる大きさであることを条件に変更可能である。
・裏面部26の口12を覆う箇所に、表面部22と同様に、開放可能に構成された蓋部が閉じられた状態で設けられてもよい。すなわち、裏面部26において、貫通孔28に代えて、表面部22における蓋部24と同様な蓋部が設けられてもよい。この場合、蓋部に破断予定部やスリットが設けられてもよい。
【0073】
<袋体35に関する事項>
・袋体35が、可撓性を有していて折り畳みが可能なシート、布等によって形成されてもよい。この場合、袋体35の基端部36と先端部37との中間部分38が折り畳まれてもよい。この折り畳みによっても、先端部37を基端部36に隣接させることができる。そして、このように先端部37を基端部36に隣接させた状態の袋体35がマスク本体21に固定されてもよい。
【0074】
この変更例では、開口部41から袋体35に指17を挿入することで、折りを解除して筒状に延ばすことが可能である。
・袋体35は、ゴムに代えて樹脂によって形成されてもよい。
【0075】
・使用前形態の袋体35の全体が、裏面部26の裏側に配置されてもよい。すなわち、上記実施形態では、袋体35がマスク本体21に内蔵されたが、マスク本体の外部に配置されてもよい。
【0076】
・袋体35は、使用前形態を採ったとき、先端部37が基端部36から遠ざかって筒状に延びた状態となってもよい。
<突部42に関する事項>
・突部42は、袋体35の先端部37に加え、中間部分38の少なくとも一部(先端部37に隣接する部分)に設けられてもよい。
【0077】
・突部42は、適宜省略可能である。
<洗浄液袋45に関する事項>
・洗浄液袋45における包装袋46は、スティック状とは異なる形状に形成されてもよい。
【0078】
・洗浄液袋45は、マスク本体21の裏面27のうち、上記実施形態とは異なる箇所に対し、取り外し可能に取り付けられてもよい。
・包装袋46は、少なくとも一部において切り裂き可能に構成されていればよく、包装袋46の全体が切り裂き可能に構成されてもよい。
【0079】
・洗浄液袋45は、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0080】
10…装着者
11…顔面
12…口
13…歯
17…指
20…歯磨き用マスク
21…マスク本体
23…表面
24…蓋部
31…耳掛け部(装着部)
35…袋体
36…基端部
37…先端部
38…中間部分
41…開口部
42…突部
45…洗浄液袋
46…包装袋
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
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