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健康・医療
 
【考案の名称】歯ブラシ
【実用新案権者】
【識別番号】314006204
【氏名又は名称】塩谷 美津子
【住所又は居所】大阪府泉佐野市南泉ケ丘2丁目3−17
【代理人】
【識別番号】100130580
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 靖
【考案者】
【氏名】塩谷 美津子
【住所又は居所】大阪府泉佐野市南泉ケ丘2丁目3−17
【要約】   (修正有)
【課題】歯ブラシを歯面や歯と歯茎の間に安定した角度で当接させることができ、効率良く清掃することが可能な歯ブラシを提供する。
【解決手段】歯ブラシ1は、ブラシ毛が植毛台2に植設されている歯ブラシであって、植毛台2の幅方向における一方の周縁部の最も外側には、毛丈が最も高いブラシ毛が長手方向に縦列状に植設され、他方の周縁部に向かうに従い、連続的に毛丈が低くなるブラシ毛が、長手方向に縦列状に順次植設されており、断面視において、毛丈が最も高いブラシ毛の先端と、毛丈が最も低いブラシ毛の先端を通る直線の植毛面に対する傾斜角が30°〜60°の範囲内であることを特徴とする。
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
ブラシ毛が植毛台に植設されている歯ブラシであって、
前記植毛台の幅方向における一方の周縁部の最も外側には、毛丈が最も高いブラシ毛が長手方向に縦列状に植設され、他方の周縁部に向かうに従い、連続的に毛丈が低くなるブラシ毛が、長手方向に縦列状に順次植設されており、
断面視において、毛丈が最も高いブラシ毛の先端と、毛丈が最も低いブラシ毛の先端を通る直線の植毛面に対する傾斜角が30°〜60°の範囲内である歯ブラシ。
【請求項2】
前記植毛台の先端部には、前記毛丈が最も高いブラシ毛と同様の毛丈のブラシ毛が植設されている請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項3】
前記ブラシ毛の先端は、傾斜角が30°〜60°の範囲内の傾斜面を有しており、前記傾斜面は前記他方の周縁部に向けて下方に傾斜している請求項1又は2に記載の歯ブラシ。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、毛丈の異なる毛束が植毛台に植設されている歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯ブラシの植毛台の幅方向における周縁部に軟質のブラシ毛を植設すると共に、周縁部の内側領域に硬質のブラシ毛を植設した歯ブラシが提案されている(例えば、下記特許文献1)。この歯ブラシによれば、ローリング法による歯磨きの際に、内側領域の硬質のブラシ毛により清掃効果を維持しつつ、外側の軟質のブラシ毛により歯肉部へのマッサージ効果を奏することができるとされている。
【0003】
しかしながら、歯磨き方法には、ローリング法以外にスクラビング法、バス法など種々の方法があり、各方法の長所を組み合わせ使用する必要がある。特に、バス法は歯ブラシを歯茎の側に約45°傾けて細かく振動させる方法であり、歯垢のたまりやすい歯溝の清掃効果が比較的高い清掃方法である。しかし、上述の歯ブラシを適用すると、内側領域の硬質のブラシ毛が歯茎を傷める場合があり、歯肉の弱っている人にとっては使用することができない。また、歯ブラシを45°に傾斜させると、植毛台の幅方向における一方の周縁部に植毛されているブラシ毛が歯面に強く当接される一方、他方の周縁部に植毛されているブラシ毛は歯と歯茎の間に十分に当接させることができない。そのため、歯ブラシを歯茎の側に約45°傾けた状態で安定して歯磨きを行うことが困難となり、歯磨き自体も不十分となる。
【0004】
前記の問題に対し、例えば、下記特許文献2では、植毛台の幅方向内側領域に、熱可塑性エラストマー毛を植毛し、該植毛台の幅方向両外側領域に、前記熱可塑性エラストマー毛より硬質の合成樹脂毛を植毛した歯ブラシが開示されている。また、植毛台に植毛される各ブラシ毛の毛丈は、幅方向内側から外側に向けて連続的に又は段階的に短くなっている。この歯ブラシによれば、バス法において、歯肉が弱っている人に対しても高いマッサージ効果が得られ、耐久性にも優れているとされている。
【0005】
しかしながら、前記歯ブラシのように、ブラシ毛の毛丈が、幅方向内側から外側に向けて連続的に又は段階的に短くなる構成の歯ブラシを用いて歯磨きを行う場合には、幅方向内側の毛丈が最も高いブラシ毛が、歯茎部に当接する様にして行われる。そのため、幅方向内側から外側に向けて植設されているブラシ毛のうち、一方の外側に向けて植設されているブラシ毛は歯面に当接するものの、他方の外側に向けて植設されたブラシ毛は歯面に当接することはできず、歯磨きに寄与しない。その結果、前記歯ブラシで歯磨きを行う際には、ブラシ毛を歯茎及び歯面に当接しようとすると、歯磨きに寄与しないブラシ毛の剛性に起因して当接させようとするブラシ毛に反発力を生じさせる。その結果、押圧を加えることなくブラシ毛を歯茎及び歯面に当接させ歯磨きを行うことが困難になるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2002−514946号公報
【特許文献2】特開2007−289265号公報
【考案の概要】
【考案が解決しようとする課題】
【0007】
本考案は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、歯ブラシを歯面や歯と歯茎の間に安定した角度で当接させることができ、効率良く清掃することが可能な歯ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本考案の歯磨きは、前記の課題を解決する為に、ブラシ毛が植毛台に植設されている歯ブラシであって、前記植毛台の幅方向における一方の周縁部の最も外側には、毛丈が最も高いブラシ毛が長手方向に縦列状に植設され、他方の周縁部に向かうに従い、連続的に毛丈が低くなるブラシ毛が、長手方向に縦列状に順次植設されており、断面視において、毛丈が最も高いブラシ毛の先端と、毛丈が最も低いブラシ毛の先端を通る直線の植毛面に対する傾斜角が30°〜60°の範囲内であることを特徴とする。
【0009】
前記の構成に於いて、前記植毛台の先端部には、前記毛丈が最も高いブラシ毛と同様の毛丈のブラシ毛が植設されていることが好ましい。
【0010】
また、前記の構成に於いて、前記ブラシ毛の先端は、傾斜角が30°〜60°の範囲内の傾斜面を有しており、前記傾斜面は前記他方の周縁部に向けて下方に傾斜していることが好ましい。
【考案の効果】
【0011】
本考案によれば、植毛台の幅方向における一方の周縁部の最も外側には、毛丈が最も高いブラシ毛が長手方向に縦列状に植設されているので、当該を毛丈が最も高いブラシ毛を、例えば、歯周ポケットに効率良く当接させることが可能になる。その結果、効率良く歯周ポケットの清掃が可能になる。
【0012】
また、本考案によれば、一方の周縁部から他方の周縁部に向かうに従い、連続的に毛丈が低くなるブラシ毛が、長手方向に縦列状に順次植設されており、断面視において、毛丈が最も高いブラシ毛の先端と、毛丈が最も低いブラシ毛の先端を通る直線の植毛面に対する傾斜角が30°〜60°の範囲内であるので、植毛台に植設されているブラシ毛のほぼ全体を歯茎ないし歯面にしっかりと当り易くすることができる。また、歯磨きに寄与しないブラシ毛に起因した反発力の発生を抑制し、使用者に対し硬い感触を与えるのを緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本考案の実施の一形態に係る歯ブラシを模式的に表す説明図である。
【図2】前記歯ブラシを表す断面模式図である。
【図3】前記歯ブラシの使用方法を説明する為の断面模式図である。
【図4】本考案の他の実施の形態に係る歯ブラシを表す断面模式図である。
【考案を実施するための形態】
【0014】
本実施の形態の歯ブラシを、図1〜図3に基づき以下に説明する。図1は、本考案の実施の一形態に係る歯ブラシを模式的に表す説明図である。図2は、前記歯ブラシを表す断面模式図である。図3は、前記歯ブラシの使用方法を説明する為の断面模式図である。
【0015】
図1(a)に示すように、本実施の形態の歯ブラシ1は、当該歯ブラシ1を把持することが可能な把持部(図示せず)と、植毛台2と、把持部及び植毛台2を連結する連結部4とを少なくとも備えている。植毛台2は、口腔内でのブラッシング操作が円滑になされるように角部に丸みを付けた長方形や卵形などの正面形状の平坦な板状に形成されているのが好ましい。
【0016】
植毛台2の植毛面には、複数の毛束(タフト)3a〜3dが植設されており、ブラシ部3を構成している。前記把持部、植毛台2及び連結部4は、例えばポリプロピレン、ABS樹脂等の合成樹脂からなる。植毛台2における植毛面は平坦状であり、縦横に所定の間隔をおいて多数の植毛穴が形成されている。各植毛穴は当該植毛穴に植設される毛束3a〜3dの根元部の束径が例えば1mm〜1.8mmとなるような円形断面で、かつ例えば2mm〜5mmの深さで設けられている。なお、毛束3a〜3dは、平線を打ち込む方法や、熱で融着させる方法等によって各植毛穴に植設される。
【0017】
毛束3a〜3dは、それぞれ歯ブラシ1の長手方向に縦列状に複数配列されている。各毛束3a〜3dは、複数のブラシ毛(ブリッセル)が十数本束ねられることにより構成されている。前記ブラシ毛は、例えば、0.1〜0.3mmの太さを有しており、ナイロン等の合成樹脂からなるフィラメント材により構成される。
【0018】
縦列状に配列している各毛束3a間の離間距離は特に限定されず、適宜設定することができる。このことは、毛束3b〜3dについても同様である。また、各毛束3a〜3d相互の離間距離についても特に限定されず、適宜設定することができる。
【0019】
毛束3a〜3dは植毛台2上にマトリックス状に植設させることが可能である。また、本実施の形態の歯ブラシ1をバス法やローリング法でブラッシングさせて使用させる場合には、植毛台2上に千鳥状に植設させてもよい。これにより、毛束と毛束の間のフィラメント密度が低い領域において、ブラシ毛が歯面や歯と歯茎の間に十分に当接されない状態となるのを防止することができる。その結果、歯面を一様にブラッシングすることが可能となり、磨き残し部分の発生を低減し、ステイン除去能の低下等を防止することができる。
【0020】
植毛台2に植設されているブラシ毛のうち、植毛台2の周縁部R1の最も外側に植設されているブラシ毛が、最も高い毛丈を有している。そして、植毛台2の幅方向である周縁部R2に向かうに従い、連続的にブラシ毛の毛丈が低くなっている。周縁部R2の最も外側に植設されているブラシ毛が、最も低い毛丈を有している。また、断面視において、毛丈が最も高いブラシ毛の先端と、毛丈が最も低いブラシ毛の先端を通る直線の植毛面に対する傾斜角θは30°〜60°の範囲内であり、好ましくは45°である(図2参照)。
【0021】
最も毛丈の高いブラシ毛の毛丈は、大人用で8mm〜13mmの範囲とすることができ、子供用で6mm〜9mmの範囲とすることができる。その他のブラシ毛の毛丈については、前記傾斜角θの値により適宜設定される。尚、毛丈とは、植毛台2における植毛面からブラシ毛の先端までの距離を意味する。
【0022】
前記ブラシ毛の先端の形状は特に限定されない。例えば、ブラシ毛の先端は、略水平状にカットされていてもよい。本実施の形態に於いては、各ブラシ毛の先端が、水平面に対し傾斜角30°〜60°の範囲の傾斜面を有しており、前記傾斜面は前記他方の周縁部に向けて下方に傾斜していることが好ましい。これにより、歯磨きを行う際に、歯面に当接させる面積を増加させることが可能になる。
【0023】
本実施の形態の歯ブラシ1であると、植毛台2の幅方向における周縁部R1の最も外側には、毛丈が最も高いブラシ毛が長手方向に縦列状に植設されているので、毛丈が最も高いブラシ毛を、例えば、歯周ポケットに効率良く当接させることが可能になる(図3参照)。その一方、歯面に当接するブラシ毛は、歯茎から離れるに従い毛丈が短くなるので、当該ブラシ毛が歯面に過度に強く当接されることもない。その結果、効率良く歯周ポケット等の清掃が可能になり、使用感も良好となる。
【0024】
また、本実施の形態の歯ブラシ1によれば、植毛台2状に植設されているブラシ毛の毛丈においては、断面視において、毛丈が最も高いブラシ毛の先端と、毛丈が最も低いブラシ毛の先端を通る直線の植毛面に対する傾斜角が30°〜60°の範囲内となる様に設定されているので、歯磨きに寄与しないブラシ毛による反発力の発生を抑制し、使用者に対し硬い感触を与えるのを緩和することができる。また、歯の隙間や歯周ポケットへの進入性が高く、歯茎に負担をかけずに高い刷掃実感を得ることができる。
【0025】
さらに、本実施の形態の歯ブラシ1は、周縁部R1から周縁部R2に向かうに従い、連続的にブラシ毛の毛丈が低くなるので、歯ブラシ1を口腔内に挿入し易く、かつ、口腔内でのブラッシング操作も円滑に行うことが可能になる。
【0026】
(その他の事項)
なお、本考案の歯磨きにおいては、毛束の列の数、各列を構成する毛束の数、配置関係等は、本実施の形態に限定されるものではない。例えば、図4に示すように、植毛台2の先端部に、周縁部R1に植設されている毛丈が最も高いブラシ毛と同様の毛丈のブラシ毛12をさらに植設した歯ブラシ11であってもよい。植毛台2の先端部に毛丈の高いブラシ毛12を植設することにより、奥歯における歯と歯の間も効率良く清掃することが可能になる。
【0027】
また、本考案の歯磨きにおいては、歯ブラシを縦磨きのように歯が生えている方向に沿って磨く場合には、周縁部R1に植設されている毛丈の高いブラシ毛を歯間部の窪みや歯列不正による凹部などに確実に侵入させて当接させることができ、食物残渣や歯垢を効果的に取り除くことが可能になる。その結果、清掃効果を一層向上させ、十分な磨き応え感を得ることが可能になる。
【0028】
さらに、前記の実施形態においては、周縁部のR1の最も外側には、毛丈が最も高いブラシ毛が植設され、周縁部R2に向かうに従い、連続的に毛丈が低くなるブラシ毛が順次植設されている態様について説明したが、本考案はこの態様に限定されない。例えば、周縁部のR2の最も外側には、毛丈が最も高いブラシ毛が植設され、周縁部R1に向かうに従い、連続的に毛丈が低くなるブラシ毛が順次植設された態様であってもよい。そして、歯磨きを行う際には、これらの2種類の歯ブラシを用いるのが、清掃効果の向上の観点から好ましい。
【符号の説明】
【0029】
1、11 歯ブラシ
2 植毛台
3 ブラシ部
3a〜3d 毛束
4 連結部
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
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