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【発明の名称】鼻腔用器具 【出願人】 【識別番号】505140649 【氏名又は名称】徳山 満 【住所又は居所】大阪府堺市北三国ヶ丘町7−2−5 【代理人】 【弁理士】 【識別番号】100115749 【氏名又は名称】谷川 英和 【発明者】 【氏名】徳山 満 【住所又は居所】大阪府堺市北三国ヶ丘町7−2−5 【要約】 【課題】 従来の鼻腔用器具では、排出された液体が、鼻腔から、鼻の下の皮膚に沿って流れ出すため、衛生的に鼻腔内に液体を保持することができないという課題があった。 【解決手段】 鼻腔用器具は、吸水性を有する吸水体1と、吸水体1の吸水した液体を排出する液体排出構造2とを備えており、吸水体1は、吸水体の吸水した液体を、液体排出構造2に導出する導出部11を備えている。液体排出構造2は、管状の部材である管状部材21を有しており、吸水体1の導出部11は、一部が管状部材21内に配置されている。 【特許請求の範囲】 【請求項1】 吸水性を有する吸水体と、 前記吸水体が吸水した液体を排出する液体排出構造とを備えた鼻腔用器具。 【請求項2】 前記液体排出構造は、管状の部材である管状部材を有していることを特徴とする請求項1記載の鼻腔用器具。 【請求項3】 前記吸水体は、当該吸水体の吸水した液体を、前記液体排出構造に導出する導出部を備え、前記導出部は、少なくとも一部が前記管状部材内に配置される請求項2記載の鼻腔用器具。 【請求項4】 前記導出部の幅は、前記吸水体の幅よりも狭いことを特徴とする請求項3記載の鼻腔用器具。 【請求項5】 前記吸水体は、鼻腔内に挿入可能であり、 前記導出部は、前記吸水体の導出部以外の部分を鼻腔内に挿入した状態で、鼻腔内に接しない請求項3または請求項4いずれか記載の鼻腔用器具。 【請求項6】 前記管状部材の端部が、前記吸水体と接していないことを特徴とする請求項2から請求項5いずれか記載の鼻腔用器具。 【請求項7】 前記液体排出構造は、 前記管状部材内に一部が配置された棒状の部材である棒状部材をさらに備え、 前記吸水体は、前記棒状部材の端部の少なくとも一部を覆うように設けられている請求項1から請求項6いずれか記載の鼻腔用器具。 【請求項8】 前記棒状部材は、中空であり、上端に開口部を有していることを特徴とする請求項7記載の鼻腔用器具。 【請求項9】 前記吸水体は、上部に開口部を有し、 当該開口部は、前記棒状部材の開口部に連通している請求項8記載の鼻腔用器具。 【請求項10】 前記吸水体は、前記棒状部材の前記吸水体側の端部から前記棒状部材の内壁に沿って配置された、当該吸水体の吸水した液体を、前記棒状部材の内部に導出する第二導出部を備えた請求項8または請求項9いずれか記載の鼻腔用器具。 【請求項11】 前記棒状部材は、前記吸水体を貫通している請求項8記載の鼻腔用器具。 【請求項12】 前記液体排出構造は、前記管状部材内に排出された液体を受ける液体受容部を備えた請求項1から請求項11いずれか記載の鼻腔用器具。 【請求項13】 前記吸水体は、液体を吸水している請求項1から請求項12いずれか記載の鼻腔用器具。 【請求項14】 前記液体は、電解質を含む請求項13記載の鼻腔用器具。 【請求項15】 前記液体は、薬液である請求項13または請求項14いずれか記載の鼻腔用器具。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 本発明は、主として人間の鼻腔内に挿入して利用する鼻腔用器具に関する。 【背景技術】 人間の鼻腔内に、液状の薬品等を保持するための鼻腔用器具として、薬品をしみこませた不織布等の通気性のよい材料からなる円柱状の鼻孔栓がある。(例えば、特許文献1参照)。 【特許文献1】 特開2004−24803号公報(第1頁、第1図等) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、このような鼻腔用器具においては、鼻腔用器具を鼻に詰めるときの圧力により、しみこませた薬液が絞り出されて外部に排出されたり、鼻腔から排出される鼻汁等によって鼻腔用器具が保持できなくなってあふれた液体が、外部に排出される。そして、このように鼻腔用器具から排出された液体が、鼻腔から、鼻の下の皮膚に沿って流れ出してしまう結果、流れ出した液体が口に入ったり、皮膚に沿って排出された液体により、皮膚や、衣服等を汚してしまったり、鼻の下の皮膚を痛めたりしてしまうという課題があった。 【課題を解決するための手段】 本発明にかかる鼻腔用器具は、吸水性を有する吸水体と、前記吸水体が吸水した液体を排出する液体排出構造とを備えたものである。 かかる構成により、鼻腔内に挿入した状態で、吸水体の吸水した液体を、皮膚等に触れないように排出させることができる。 また、前記鼻腔用器具において、前記液体排出構造は、管状の部材である管状部材を有しているものである。 かかる構成により、吸水体の吸水した液体を、皮膚等に触れないように排出させることができるとともに、吸水体を鼻腔内に挿入した状態で動いても、排出中の液が飛び散ることがない。 また、前記鼻腔用器具において、前記吸水体は、当該吸水体の吸水した液体を、前記液体排出構造に導出する導出部を備え、前記導出部は、少なくとも一部が前記管状部材内に配置されるものである。 かかる構成により、例えば、吸水体の液体が、吸水性の優れない棒状部材等と接触して垂れてしまうことを防ぐことができ、吸水体の液体をこぼすことなく効率よく排出することが可能となる。 また、前記鼻腔用器具において、前記管状部材の端部が、前記吸水体と接していないようにしたものである。 かかる構成により、吸水体の液体が、管状部材の端部から管状部材の外部に沿って流れたり、垂れたりすることを防ぐことができる。 また、前記鼻腔用器具において、前記液体排出構造は、前記管状部材内に一部が配置された棒状の部材である棒状部材をさらに備え、前記吸水体は、前記棒状部材の端部の少なくとも一部を覆うように設けられているものである。 かかる構成により、吸水体の強度を補強できるとともに、吸水体の位置を棒状部材を固定することで固定可能となる。 また、前記鼻腔用器具において、前記棒状部材は、中空であり、上端に開口部を有しているようにしたものである。 かかる構成により、棒状部材の内部を通じて、液体や空気の注入や排出が可能となる。 また、前記鼻腔用器具において、前記吸水体は、上部に開口部を有し、当該開口部は、前記棒状部材の開口部に連通しているものである。 かかる構成により、棒状部材の内部と通じて鼻による呼吸が可能となる。 また、前記鼻腔用器具において、前記吸水体は、前記棒状部材の前記吸水体側の端部から前記棒状部材の内壁に沿って配置された、当該吸水体の吸水した液体を、前記棒状部材の内部に導出する第二導出部を備えたものである。 かかる構成により、棒状部材内に吸水体の吸水した液体を排出可能となる。 また、前記鼻腔用器具において、前記棒状部材は、前記吸水体を貫通しているものである。 かかる構成により、棒状部材を通じて鼻による呼吸が可能となる。 また、前記鼻腔用器具において、前記液体排出構造は、前記管状部材内に排出された液体を受ける液体受容部を備えたものである。 かかる構成により、吸水体から排出された液体をまとめて排出することが可能となる。このため、吸水体から液体排出構造により、液体を排出しながら、他の動作を行うことが可能となる。 また、前記吸水体は、液体を吸水しているものである。 かかる構成により、鼻腔内を長時間にわたって湿潤環境に保ったり、鼻炎等の症状を長時間にわたって緩和させることができる。 【発明の効果】 本発明による鼻腔用器具によれば、鼻腔内から外部に排出される液体を、皮膚に触れないように排出して、衛生的に鼻腔内に液体を保持することが可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 以下、鼻腔用器具等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。 (実施の形態1) 図1は、本実施の形態による鼻腔用器具の斜視図である。また、図2は、図1に示す鼻腔用器具のII−II線による断面図である。本実施の形態にかかる鼻腔用器具は、吸水体1と液体排出構造2とを備えている。吸水体1は、導出部11を備えている。液体排出構造2は、管状部材21、棒状部材22、棒状部材保持部23、液体受容部24とを備えている。 吸水体1は、吸水性を有している。吸水体の材料は、吸水性を有していれば、どのようなものであってもよい。例えば、吸水体の材質は、織布や、不織布、綿等の繊維であってもよいし、紙等であってもよい。また、海綿体や、吸水性を有するゲル等であってもよい。また、吸水体1は、単一の材料で構成されていても、複数の材料で構成されていてもよい。例えば、吸水体1の中心部と、周辺部とで、材料が異なっていてもよい。吸水体の材料としては、鼻腔の粘膜を傷つけず、なおかつ吸水性のよい、丸めた綿や、何重にも巻き付けたガーゼ等が好適である。吸水体1は鼻腔内に挿入可能である。吸水体1の大きさおよび形状は、鼻腔内に挿入可能な大きさおよび形状であれば、どのような大きさおよび形状であってもよい。例えば、吸水体1は、円柱形状や、球形、卵形等の回転体であってもよいし、多面体であってもよい。また、吸水体1が伸縮性や弾性を有している場合、吸水体1の挿入前の大きさは、鼻腔内の大きさよりも大きくてもよい。ただし、鼻腔内に挿入した状態で、鼻腔内から抜け落ちにくい大きさおよび形状であることが好ましく、また、吸水体1の形状および大きさは、鼻腔の内部の形状および大きさにあった形状および大きさであることが好ましい。本実施の形態においては、一例として綿を棒状部材22の端部に巻き付けたものを用いた場合について説明する。吸水体1には、予め、液体が吸水されていてもよいし、必要に応じて吸水させるようにしてもよい。吸水体1の吸水する液体は、鼻腔内の環境を、所定の環境、例えば鼻炎等の症状が発生しにくい環境に保ったり、鼻炎等の症状を緩和させたり、鼻炎や、鼻腔内の傷等を治療することが可能な環境に保つことができる液体であれば、どのようなものであってもよい。例えば、液体が、鼻腔内を湿潤環境に保つための蒸留水等の水であってもよい。また、生理食塩水等の、電解質を含む液体であってもよい。また、鼻炎や、鼻腔内の傷等を治療するために用いられる液体、例えば、液状の薬や薬品を溶かした液体である薬液であってもよい。具体的には、液体は、花粉症の症状を緩和するための、抗ヒスタミン薬などを含む液体であってもよく、このような薬品を吸水体1に浸水させて、鼻腔内に配置することで、花粉症による鼻の不快感を緩和させることが可能となる。なお、吸水体1に吸水させる液体は、鼻腔に入れた際に、液体がしみることのないように、浸透圧を体液と同程度に調整したものであることが好ましい。また、この液体には、鼻腔から分泌される鼻汁等の液体も含まれる。吸水体1の大きさは、この鼻腔用器具を利用するユーザの鼻孔の大きさや、吸水体1の素材により適宜変更可能である。 導出部11は、吸水体1の下部の部分を構成しており、吸水体1の吸水した液体を、液体排出構造2に導出する。導出部11の一部、具体的には下部は、管状部材21内に配置される。導出部11は、吸水体1の他の部分と同様に吸水性を有する。導出部11の材料は、吸水体1の他の部分と同じ材料であっても、異なる材料であってもよいが、吸水体1の他の部分と同等の吸水性、もしくは吸水体1の他の部分よりも高い吸水性を有する材料を用いることが好ましい。導出部11の形状および大きさは問わない。ただし、導出部11の大きさおよび形状は、吸水体1を鼻腔内に挿入したときに、導出部11が鼻腔や、鼻の下の皮膚等に触れないことが好ましく、このような大きさおよび形状であることが好ましい。したがって、導出部11の幅は、吸水体1の他の部分よりも幅が狭いことが好ましい。導出部11の、管状部材21内に位置する部分の長さは、3mm以上あることが、吸水体の液体を、管状部材21内に導出する上で好ましい。 液体排出構造2は、吸水体1の吸水した液体を排出する。液体排出構造2は、吸水体1の吸水した液体が鼻腔内から、鼻腔外の皮膚に触れずに排出できれば、どのような構造を有していてもよい。 管状部材21は、管状の部材であり、吸水体1の下方に配置されている。ここでは、特に、管状部材21は、吸水体1の導出部11の少なくとも一部を囲むように配置されている。すなわち、導出部11の少なくとも一部は、管状部材21内に配置されている。具体的には導出部11の少なくとも下部を含む部分が、管状部材21内に配置されている。管状部材21の形状および大きさは、具体的には、その管内に、吸水体1が吸水した液体を排出できる形状および大きさであればよい。ここでは、導出部11が管内に配置可能な大きさおよび形状とする。管状部材21の内面に導出部11が接していてもよいが、管状部材21の端部は、図1に示すように、導出部11も含め、吸水体1と接していないことが好ましい。これは、吸水体1の液体の一部が、吸水体1と管状部材21の端部とが接している箇所から、管状部材21の外側を伝って流れ出すことを防ぐためである。なお、管状部材21の端部とは、管状部材21の端の近傍の部分を指す。ここでは、端部は、管状部材21の端から約2mmまでの部分が好適である。管状部材21の断面形状は、どのような形状であってもよく、例えば、円形形状や楕円形状であっても、多角形形状であってもよい。また、管状部材21の太さは、均一でなくてもよい。例えば、端部に近づくにつれて、太さが太くなってもよいし、太さが細くなってもよい。管状部材21の材質は、金属や、プラスチックや、ゴムや、ビニール、内壁に防水加工を施した紙や繊維等、どのような材料であってもよい。ただし、管状部材21の材質は、内壁を液体が流れやすく、かつ液体を吸水しにくい材料であることが好ましい。また、管状部材21は、透明であっても半透明であっても、不透明であってもよい。また、管状部材21はゴム管やビニールチューブのように柔軟性を有するものであっても柔軟性を有さないものであってもよい。なお、管状部材21の材料として、柔軟性を有するものを用いることで、液体の排出先をユーザが自由に変更することが可能となる。管状部材21の太さは、通常、吸水体1の太さよりも細いことが好ましい。一例としては、大人用であれば、最大径が5mmから12mmまでの範囲であることが好ましく、子供用であれば、最大径が4mmから8mmまでの範囲であることが好ましい。 棒状部材22は、棒状の部材であり、管状部材21内に一部が配置されている。吸水体1は、棒状部材22の端部の一方の少なくとも一部を覆うように設けられている。この棒状部材22は、吸水体1の強度を補っており、吸水体1を鼻腔内に挿入する際に、吸水体1が曲がらないようにすることができる。また、ここでは、この棒状部材22と後述する棒状部材保持部23とにより、吸水体1と管状部材21との位置を固定している。棒状部材の材料は、紙や、繊維、木、プラスチック、金属等、吸水体1よりも強度が保てる材料であれば、どのような材料であるかは問わない。また、棒状部材22の形状はどのような形状であってもよい。例えば円柱状であっても、角柱状であってもよい。また、棒状部材22の太さは、この棒状部材22を管状部材21に配置した状態で、吸水体1から導出される液体を、管内に流すことが可能であり、かつ導出部11が、管状部材21の端部に接しないような太さであればよい。また、棒状部材21は、凹凸や、切り込みや、溝等を有していてもよい。また、棒状部材21は曲がっていてもねじれていてもよい。また、棒状部材22の長さは、管状部材の21の長さよりも長くても短くてもよい。なお、上述した導出部11は、棒状部材22の一部のみに設けられていてもよいし、棒状部材22全体を覆うように設けられっていてもよい。 棒状部材保持部23は、棒状部材22を管状部材21内の所定の位置に保持するための部材である。ここでは、棒状部材保持部23は、管状部材21のほぼ中央に棒状部材22が位置するよう棒状部材22を保持している。この棒状部材保持部23は、管状部材21の上部から流れてくる液体を、管状部材21の下部に流せるような形状を有していることが好ましい。ここでは、棒状部材保持部23は、棒状部材22の一部に巻き付けられたスパイラル状のプラスチック製の部材であり、上部から流れてくる液体は、このスパイラル状の部材に沿って下部に流れていく。この棒状部材保持部23の材料は、金属、プラスチック、紙等、どのようなものであってもよい。なお、棒状部材保持部23は、棒状部材22を管状部材21内の所定の位置に保持でき、かつ、管状部材21の上部から流れてくる液体を下部に流すことができる部材であればどのような部材であってもよい。例えば、棒状部材22にはめ込まれた、管状部材21の内径とほぼ同径の、穴の開いたリング状の部材であってもよい。また、棒状部材保持部23は、棒状部材22の外周に沿って設けられた3以上の突起であってもよい。また、棒状部材保持部23は、管状部材21に内壁に沿って設けられた3以上の突起であってもよい。 液体受容部24は、管状部材21内に排出された液体を受ける。液体受容部24は、液体を受けることができ、その液体を溜めることができるものであれば、どのような形状を有していてもよい。また、液体受容部24は、溜めた液体を排出する構造を有していてもよい。ここでは、液体受容部24として、蛇腹部241を有する管状のものを、管状部材21の端部に取り付けている。この液体受容部24は、蛇腹部241において、液体受容部24の端部を上方に曲げることにより、この曲げた部分に液体が受けられ、液体を溜めることができる。また、この蛇腹をのばして、液体受容部24の端部を下方に向けることで、液体受容部24に溜められた液体を排出することができる。液体受容部24の材料は、プラスチックや金属、ビニール等、液体を受けることができるものであれば、どのような材料であってもよい。また、液体受容部24は、管状部材21と一体成形されたものであってもよい。また、液体受容部24は、管状部材21に対してはめ込むためのネジ等の、管状部材21に対して着脱可能な構造を有していてもよい。また、液体受容部24の形状等はビニール袋等の袋状のものであってもよい。また、液体受容部24は、管状部材21から排出される液体を受容する必要がない場合、省略してもよい。 図3は、鼻腔用器具を使用している状態を説明するための断面図である。例えば生理食塩水等の液体を吸収させた吸水体1が、鼻腔3内に挿入されている。吸水体1を配置する位置は、鼻腔3内のどの位置でもよく、用途等にあわせて変更すればよい。鼻腔の奥の部分、例えば、上鼻道や、中鼻道、下鼻道に、吸水体が接するように吸水体1を配置してもよいし、鼻腔の手前の部分、例えば鼻前庭と呼ばれる部分に吸水体1を配置してもよい。例えば、吸水体1による鼻粘膜への刺激を避けるためには、吸水体1を鼻前庭に配置することが好適である。なお、吸水体1を鼻腔3内に挿入した状態で、管状部材21が鼻腔3に接触しないような位置となるように、管状部材21の配置を調整しておくことが好ましい。管状部材21が鼻腔3に接触すると、鼻腔3から排出される鼻汁が、管状部材21の外部に沿って流れ出すことが考えられるからである。なお、吸水体1を鼻前庭に配置するのであれば、吸水体1の太さは、例えば、最も太い部分が、大人用であれば、9mmから15mmまでの範囲であることが好ましく、子供用であれば、最大径が5mmから9mmまでの範囲であることが好ましい。また、吸水体1の導出部11を除いた部分の高さは、例えば、大人用であれば、10mmか25mmまでの範囲であることが好ましく、子供用であれば、7mmから10mmまでの範囲であることが好ましい。 まず、鼻腔用器具の吸水体1を鼻腔に挿入する際、吸水体1が鼻腔等により押されて、吸水体1の吸水していた液体全てを、吸水体1が保持できなくなり、液体が吸水体1からあふれようとする。吸水体1からあふれようとした液体は、鼻腔3内で吸水体1から排出されず、吸水体1と同等、もしくはそれ以上の吸水性を有する導出部11を浸透して、管状部材21の内部に導き出される。そして、液体は、管状部材21内において、液体排出構造2の管状部材21の内面や、棒状部材22を伝って液体受容部24まで排出され、液体受容部24に溜められる。 また、同様に、鼻腔用器具の吸水体1を鼻腔3内に挿入した状態で時間が経過すると、鼻汁等が発生し、吸水体1から液体があふれようとするが、このような液体も、液体排出構造2により排出され、液体受容部24に溜められる。 液体受容部24に溜められた液体は、液体受容部24の蛇腹部241をのばすことで、容易に、外部に排出することができる。 以上、本実施の形態においては、吸水体1の導出部11により、吸水体1の液体を、液体排出構造2の管状部材21の内部に導出し、この導出された液体を、管状部材21の内部を通じて、排出するようにしたので、吸水体1の液体が鼻腔3内から、鼻の下の皮膚等に流れ出すことを防ぐことができる。これにより、鼻腔内から外部に排出される液体を、皮膚に触れないように排出して、衛生的に鼻腔内に液体を保持することが可能となる。 また、吸水体1に液体を吸水させておくことにより、鼻腔3内に、液体を保持することができるとともに、鼻腔3内に排出された鼻汁等を、液体排出構造2から、排出することが可能である。 従って、例えば、鼻炎を緩和するためには鼻腔3内を湿潤環境に保つことが考えられるが、単に、生理食塩水を吸水させた綿球等を鼻腔3内に挿入した場合、時間の経過とともに、鼻炎の症状の一つである多量の鼻汁の発生により、鼻汁が綿球からあふれ出し、鼻の下の皮膚に沿って流れ出すこととなる。このため、綿球を頻繁に取り替えたり、鼻から流れ出した液体を頻繁に拭き取る必要があり、長時間の使用や、他の作業をしながらの使用が、困難である。 しかしながら、本実施の形態においては、鼻腔用器具の吸水体1に生理食塩水を吸水させて鼻腔3内に配置することで、鼻腔3内を湿潤環境に保つことが可能となるとともに、鼻汁を液体排出構造2から排出することで、鼻腔3から鼻汁が流れ出すことがなく、また、鼻汁による皮膚の汚れ等を抑えることができ、長時間の使用や、他の作業を行いながらの使用が可能となる。 なお、本実施の形態において、鼻腔用器具の液体受容部は、複数回折り曲げた管状の構造を有する液体受容部であってもよい。例えば、鼻腔用器具の液体受容部は、図4に示すようなビニール管等を複数回折り曲げた液体受容部41であってもよい。このように液体受容部を折り曲げることで、鼻腔用器具の全体の長さを小さくして、取り扱いを容易にすることができる。かかることは他の実施の形態においても同様である。 また、本実施の形態において、左右の鼻腔用の鼻腔用器具の液体受容部同士を一つの容器としてもよい。例えば、鼻腔用器具が、図5に示すように、左右の鼻腔用の鼻腔用器具の管状部材21を、液体受容部51の2つの挿入口52に差し込んだ構造であってもよい。また、鼻腔用器具を左右の鼻腔用の鼻腔用器具の管状部材21を結合して、その結合した部分を液体受容部として、液体を溜められるようにしてもよいし、鼻腔用器具の管状部材同士をY字形状のビニール管等で結合して、1つの液体受容部と結合するようにしてもよい。かかることは他の実施の形態においても同様である。 また、本実施の形態において鼻腔用器具が、口、あるいは口および鼻を覆うマスクを備えており、このマスクの内側に、鼻腔用器具全体あるいは一部が取り付けられているようにしてもよい。例えば、図6に示すように、鼻腔用器具全体が、口および鼻を覆うマスク61の内側に、取り付けられているようにしてもよい。鼻腔用器具を図6に示すような構成とすることにより、鼻腔内に鼻腔用器具を、他人に知られないようにすることができる。かかることは他の実施の形態においても同様である。 また、本実施の形態において、鼻腔用器具の吸水体は、導出部と導出部以外の部分とが段差を有しているような形状の吸水体であってもよい。例えば、図7に示すように導出部71と導出部71以外の部分とが段差を有しているような断面形状の吸水体70であってもよい。この吸水体70は、ここでは一例として、ガーゼを棒状部材22に巻き付けて成型したものである。かかることは他の実施の形態においても同様である。 また、本実施の形態において、鼻腔用器具の吸水体は、所定幅の帯状の形状を有していてもよい。例えば、図19に示すように、吸水体1901が帯状の帯状部1902を有していてもよい。この吸水体1901は、例えば、帯状のガーゼを棒状部材22に巻き付けて成型するとともに、そのガーゼの一部を、棒状部材22に巻き付けずに、帯状部1902とすることにより実現可能である。このような構成とすることで、吸水体1901の帯状部材1902を、鼻腔内の奥の方に挿入することが可能である。この帯状部材1901は一本であってもよいし、複数であってもよい。また、帯状部材1901の材料は、吸水体1901に利用できる材料であれば、どのような材料であってもよい。かかることは他の実施の形態においても同様である。 また、本実施の形態において、吸水体の液体を、皮膚等に触れずに排出可能であれば、管状部材の代わりの部材を用いるようにしてもよい。例えば、図8に示すような樋形状の部材81を用いるようにしてもよい。ただし、この場合、鼻腔用器具を利用する場合、部材81が、導出部11から導出される液体を受けることのできる位置にくるようにする必要がある。かかることは他の実施の形態においても同様である。 また、本実施の形態において、図9に示すように、導出部を有さない吸水体91を用いるようにしてもよい。この場合、吸水体91からあふれた液体が、棒状部材22を伝って、管状部材21に流れ込むこととなる。ただし、上述した本実施の形態においては、導出部11の吸水性を利用して、管状部材21に吸水体1の液体を導出することで、吸水体1の液体がこぼれずに管状部材21に流れ込むことが可能であるが、図9のように導出部を有さない場合、吸水体91の液体が、吸水性の少ない棒状部材22に接した時点で、水滴化してしまい、管状部材21に流れ込む前に、一部こぼれてしまうことが考えられる。このため、導出部を設けた構造の鼻腔用器具の方が、吸水体の液体を排出する上でより優れた効果を得ることができる。かかることは他の実施の形態においても同様である。 また、本実施の形態においては、鼻腔用器具が、図10に示すように、棒状部材を有さないようにしてもよい。この場合、吸水体1000の導出部1001の一部に管状部材21にはめ込むことのできる形状、例えば、径が、管状部材21の内径と同程度となるような形状を有する固定部1002を設けるようにし、この固定部1002を管状部材21内にはめ込むことで、吸水体1000の位置を固定すればよい。このような構成とすることで、棒状部材を省略して、構成を簡略化することが可能となる。かかることは他の実施の形態においても同様である。 (実施の形態2) 本実施の形態2による鼻腔用器具は、前記実施の形態における鼻腔容器具において、棒状部材として、中空の棒状部材を用いるようにしたものである。 図11は本実施の形態による鼻腔用器具の斜視図である。また、図12は、図11の図XII−XII線による断面図である。また、図13は、図11の主要部の拡大図である。本実施の形態による鼻腔用器具は、吸水体1101と液体排出構造1102とを備えている。吸水体1101は、導出部11、および第二導出部1112を備えている。液体排出構造1102は、管状部材21、棒状部材1122、棒状部材保持部23、および液体受容部24とを備えている。 吸水体1101は、上部に、後述する棒状部材1122の開口部11223に連通する開口部11012を有している点、および第二導出部1112を備えている点を除いた部分については、上記実施の形態1と同様であり、詳細な説明は省略する。また、導出部11の構成は、上記実施の形態1と同様であるので、説明は省略する。 第二導出部1112は、吸水体1101の上部の開口部11012から、棒状部材1122の開口部11223を経て、棒状部材1122の内壁に沿って配置された吸水性を有する材料から構成されている。第二導出部1112は、図13に示すように、棒状部材1122の内面の上部だけに設けられていてもよいし、内面の全体に設けられていてもよい。第二導出部1112の材料等は、前記実施の形態1において説明した導出部11と同様であるので、説明は省略する。 液体排出構造1102の管状部材21、棒状部材保持部23、および液体受容部24の構成については、前記実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。 棒状部材1122は、上述した棒状部材22において、内部を中空として、その上端に開口部11223、下端に開口部11224を有するようにするとともに、上端の開口部11223が、吸水体1101上部の開口部11012に連通しているようにしたものである。これ以外の構成については、前記棒状部材と同様であるので説明を省略する。 図14は、本実施の形態にかかる鼻腔用器具を使用している状態を説明するための断面図である。例えば生理食塩水等の液体を吸収させた吸水体1101が、鼻腔3内に挿入されている。 鼻腔用器具の吸水体1101が、吸水していた液体を保持できなくなると、液体が吸水体1101からあふれようとする。吸水体1101からあふれようとした液体は、上述した実施の形態1と同様に、鼻腔3内で吸水体1101から排出されず、吸水体1101と同等、もしくはそれ以上の吸水性を有する導出部11を伝って、管状部材21の内部に導き出され、管状部材21内において、液体排出構造2の管状部材21の内面や、棒状部材1122の外壁を伝って液体受容部24まで排出され、液体受容部24に溜められる。本実施の形態にいては、さらに、吸水体1101からあふれようとした液体は、吸水体1101の上部の開口部11012から、吸水体1101と同等、もしくはそれ以上の吸水性を有する第二導出部1112を浸透して、棒状部材1122の内部に導出される。そして、棒状部材1122の内部を経て、液体受容部24に溜められる。 以上、本実施の形態においては、吸水体1101の導出部11により、吸水体1101の液体を、液体排出構造1102の管状部材21の内部に導出し、この導出された液体を、管状部材21の内部を通じて、排出するようにしたので、吸水体1101の液体が鼻腔3内から、鼻の下の皮膚等に流れ出すことを防ぐことができる。これにより、鼻腔内から外部に排出される液体を、皮膚に触れないように排出して、衛生的に鼻腔内に液体を保持することが可能となる。 また、吸水体1101に液体を吸水させておくことにより、鼻腔3内に排出された鼻汁等を、液体排出構造1102から、排出させながら、鼻腔3内に、液体を保持することができる。これにより、鼻腔3内に長時間液体を保持することが可能となる。 さらに、本実施の形態においては、吸水体1101の第二導出部1112により、吸水体1101の液体を、棒状部材1122の上部の開口部11223から、棒状部材1122の内部に導出し、この導出された液体を、棒状部材1122の内部を通じて、排出するようにしたので、より効率よく吸水体1101の液体を排出させることが可能となる。 さらに、本実施の形態においては、棒状部材1122の内部が中空であるとともに、吸水体1101の上部の開口部と連通する開口部11223と、開口部11224とを有しているため、棒状部材1122の内部を通して鼻による呼吸がしやすくなる。 なお、本実施の形態において、棒状部材1122の内部を通じて、鼻腔内に薬液等の液体を供給したり排出したりすることが可能である。例えば、図15に示すように、棒状部材1122の下部の開口部11224にスポイト1501を取り付け、これらを操作することにより、開口部11224から、棒状部材1122の内部を通じて、鼻腔3内に液体を注入したり、鼻腔3内の液体を除去したりすることが可能である。スポイトの代わりに、注射器や、ポンプの注入口等を取り付けるようにしてもよい。このような場合においても、鼻腔3内に注入する液体が多くても、あふれた液体は、液体排出構造1102により、鼻の下の皮膚等を汚すことなく、鼻腔の外部に排出することが可能である。 また、本実施の形態において、図16に示すように、棒状部材1122が吸水体1101を貫通するようにしてもよい。このような構成とすることで、棒状部材1122の内部を通して鼻による呼吸がしやすくなる。 また、棒状部材1122の端部の、吸水体1101により覆われている側面に、図17の一部切り欠き図に示すように、1以上のスリット1701を設けるようにしてもよい。このようなスリット1701を設けることで、このスリット1701を通して、吸水体1101の液体をより効率よく棒状部材1122の内部を通して排出できる。また、棒状部材1122の内部に、図16に示したように液体を注入した場合、これらのスリット1701を通して、液体を、直接、吸水体1101に補充することが可能となる。なお、スリットの代わりに、1以上の穴が棒状部材1122の端部の側面に設けられていてもよい。 また、本実施の形態において、図18に示すように、吸水体の上部に開口部11012を設けないようにしてもよい。このような構成とすることで、棒状部材1122の内部を通して鼻による呼吸を行うことは多少困難となるが、棒状部材1122の内部から、吸水体1101に液体を補充したり、吸水体1101の液体を、第二導出部1112により、棒状部材1122の内部に導出して、吸水体1101の液体を、棒状部材1122の内部を通して排出することができる。 また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。 【産業上の利用可能性】 本発明にかかる鼻腔用器具は、鼻腔内に挿入して利用する鼻腔用器具として適しており、特に、電解質を有する液体や、薬液等を、鼻腔内に保持する鼻腔用器具として有用である。 【図面の簡単な説明】 【図1】本実施の形態1にかかる鼻腔用器具の斜視図 【図2】同断面図 【図3】同断面図 【図4】同変形例を示す図 【図5】同変形例を示す図 【図6】同変形例を示す図 【図7】同変形例を示す図 【図8】同変形例を示す図 【図9】同変形例を示す図 【図10】同変形例を示す図 【図11】本実施の形態2にかかる鼻腔用器具の斜視図 【図12】同断面図 【図13】同主要部の断面図 【図14】同断面図 【図15】同変形例を示す図 【図16】同変形例を示す図 【図17】同変形例を示す図 【図18】同変形例を示す図 【図19】本実施の形態1にかかる鼻腔用器具の変形例を示す図 【符号の説明】 1、70、91、1000、1101、1901 吸水体 2、1102 液体排出構造 3 鼻腔 11、71、1001 導出部 21 管状部材 22、1122 棒状部材 23 棒状部材保持部 24、41、51 液体受容部 52 挿入口 61 マスク 81 部材 241 蛇腹部 1002 固定部 1112 第二導出部 1501 スポイト 1701 スリット 1902 帯状部 11012、11223、11224 開口部 |
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【図1】 |
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【図2】 |
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【図3】 |
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【図4】 |
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【図5】 |
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【図6】 |
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【図7】 |
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【図8】 |
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【図9】 |
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【図10】 |
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【図11】 |
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【図12】 |
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【図13】 |
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【図14】 |
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【図15】 |
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【図16】 |
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【図17】 |
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【図18】 |
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【図19】 |
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