閉じる |
【考案の名称】害虫捕虫器 【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り 【実用新案権者】 【識別番号】524143652 【氏名又は名称】中西 智之 【住所又は居所】愛知県長久手市岩作権田22-2 【代理人】 【識別番号】110002516 【氏名又は名称】弁理士法人白坂 【考案者】 【氏名】中西 智之 【住所又は居所】愛知県長久手市岩作権田22-2 【要約】 (修正有) 【課題】ノズル式の殺虫スプレーに対応し、少量の殺虫剤で確実に殺虫可能な害虫捕虫器を提供する。 【解決手段】害虫を捕獲するための害虫捕虫器1であって、捕獲対象の害虫Gの上方から被さり当該害虫を捕獲する下面部12を開口する捕獲容器部10と、捕獲容器部の上面部11に接続される取手部20と、捕獲容器部の上面部に形成され殺虫スプレーのノズルを挿入する挿入穴部30と、捕獲容器部の開口部13に備えられ害虫が存在する床面と捕獲容器部の開口部との隙間を減らす封止部40とを備える。 【選択図】図1 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 害虫を捕獲するための害虫捕虫器であって、 捕獲対象の害虫の上方から被さり当該害虫を捕獲する下面部を開口する捕獲容器部と、 前記捕獲容器部の上面部に接続される取手部と、 前記捕獲容器部の上面部に形成され殺虫スプレーのノズルを挿入する挿入穴部と、 前記捕獲容器部の開口部に備えられ害虫が存在する床面と前記捕獲容器部の開口部との隙間を減らす封止部と、 を備えることを特徴とする害虫捕虫器。 【請求項2】 前記捕獲容器部は透明樹脂により構成される請求項1に記載の害虫捕虫器。 【請求項3】 前記挿入穴部に、殺虫スプレーのノズルを誘導する漏斗部が接続されている請求項1に記載の害虫捕虫器。 【請求項4】 前記封止部は、前記開口部の全周に亘り備えられる刷毛状部である請求項1に記載の害虫捕虫器。 【請求項5】 前記取手部は、前記上面部の幅方向の中央に取り付けられている請求項1に記載の害虫捕虫器。 【請求項6】 前記挿入穴部は、前記捕獲容器部に接続される前記取手部の左右いずれかの前記上面部に形成されている請求項5に記載の害虫捕虫器。 【請求項7】 前記挿入穴部は2箇所備えられ、前記捕獲容器部に接続される前記取手部の左右両方の前記上面部に形成されている請求項5に記載の害虫捕虫器。 【請求項8】 前記挿入穴部のいずれか一方に前記挿入穴部を閉塞する密栓部が備えられる請求項7に記載の害虫捕虫器。 【考案の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本考案は害虫捕虫器に関し、特に、スプレー式の殺虫剤と併用して用いる害虫捕虫器に関する。 【背景技術】 【0002】 従来の害虫駆除では、直接、害虫に殺虫剤等が散布される。しかしながら、殺虫剤の散布に際し、対象の害虫等が逃げてしまいやすい。また、周囲に殺虫剤が飛散し、乳幼児のいる部屋、台所、飲食店等では必要以上の殺虫剤の拡散に起因する問題があった。加えて、直接触れることなく害虫を駆除したいという要望があった。 【0003】 そこで、家庭、飲食店などでゴキブリなどの害虫を捕まえ、殺虫剤を散布するための害虫捕虫器が考案されている(特許文献1参照)。 【0004】 実用新案文献1の装置では、捕虫器本体に殺虫剤散布口が設けられている。ただし、ノズル式の殺虫スプレーには対応していない。また、捕虫器内の害虫とスプレーの薬剤散布口との距離が遠いため、確実な殺虫のためには、多量の殺虫剤の散布が必要であった。さらに、捕虫器内に充満した殺虫剤が殺虫剤散布口から漏れる可能性があり、殺虫剤の拡散を抑制する改善が求められていた。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0005】 【特許文献1】 実用新案登録第3139427号公報 【考案の概要】 【考案が解決しようとする課題】 【0006】 本考案は前記の点に鑑みなされたものであり、ノズル式の殺虫スプレーに対応し、少量の殺虫剤で確実に殺虫可能な害虫捕虫器を提供する。 【課題を解決するための手段】 【0007】 すなわち、実施形態の害虫を捕獲するための害虫捕虫器は、捕獲対象の害虫の上方から被さり当該害虫を捕獲する下面部を開口する捕獲容器部と、捕獲容器部の上面部に接続される取手部と、捕獲容器部の上面部に形成され殺虫スプレーのノズルを挿入する挿入穴部と、捕獲容器部の開口部に備えられ害虫が存在する床面と捕獲容器部の開口部との隙間を減らす封止部と、を備えることを特徴とする。 【0008】 さらに、害虫捕虫器において、捕獲容器部は透明樹脂により構成されることとしてもよい。 【0009】 さらに、害虫捕虫器において、挿入穴部に、殺虫スプレーのノズルを誘導する漏斗部が接続されていることとしてもよい。 【0010】 さらに、害虫捕虫器において、封止部は、開口部の全周に亘り備えられる刷毛状部であることとしてもよい。 【0011】 さらに、害虫捕虫器において、取手部は、上面部の幅方向の中央に取り付けられていることとしてもよい。 【0012】 さらに、害虫捕虫器において、挿入穴部は、捕獲容器部に接続される取手部の左右いずれかの上面部に形成されていることとしてもよい。 【0013】 さらに、害虫捕虫器において、挿入穴部は2箇所備えられ、捕獲容器部に接続される取手部の左右両方の上面部に形成されていることとしてもよい。 【0014】 さらに、害虫捕虫器において、挿入穴部のいずれか一方に挿入穴部を閉塞する密栓部が備えられることとしてもよい。 【考案の効果】 【0015】 本考案の害虫を捕獲するための害虫捕虫器によると、捕獲対象の害虫の上方から被さり当該害虫を捕獲する下面部を開口する捕獲容器部と、捕獲容器部の上面部に接続される取手部と、捕獲容器部の上面部に形成され殺虫スプレーのノズルを挿入する挿入穴部と、捕獲容器部の開口部に備えられ害虫が存在する床面と捕獲容器部の開口部との隙間を減らす封止部と、を備えるため、捕獲対象の害虫に対して確実に殺虫剤を散布することが可能である。また、少量の殺虫剤で捕獲対象の害虫を殺虫可能であるため、捕獲容器部の外側に漏れる殺虫剤を少なくすることが可能である。 【図面の簡単な説明】 【0016】 【図1】実施形態の害虫捕虫器の全体斜視図である。 【図2】(A)害虫捕虫器の縦断面図、(B)捕獲容器部の側面部近傍の部分拡大斜視図である。 【図3】(A)害虫捕虫器が1つの挿入穴部を備える形態の平面図、(B)害虫捕虫器が2つの挿入穴部を備える形態の平面図である。 【図4】害虫捕虫器が2つの挿入穴部を備える形態における部分拡大断面図である。 【考案を実施するための形態】 【0017】 実施形態の害虫捕虫器は、ゴキブリなどの害虫を捕獲し、害虫を捕獲した状態で殺虫スプレーのノズルを挿入穴部から挿入し、殺虫剤を捕虫器内の害虫に向けて散布するための捕虫器である。図1は実施形態の害虫捕虫器1の全体斜視図である。同図から把握されるように、実施形態の害虫捕虫器1は、捕獲容器部10、取手部20、挿入穴部30、及び封止部40を備える。 【0018】 害虫とは、人間の生活に直接又は間接に害を及ぼす昆虫のことをいう。害虫とは、具体的には、人体を刺したり吸血したりする衛生害虫のほか、不衛生の原因となる昆虫も含まれる。害虫とは、例えば、家庭や飲食店に出没するゴキブリ、クモ、ムカデ、ゲジ、カメムシ、ゴミムシ、ハチ、アブ等、一般的に不快な害虫とされる生物が広く含められる。また、殺虫スプレーとしては、化学合成殺虫成分等の殺虫成分が配合された殺虫剤が装填された殺虫スプレーのみでなく、HFO‐1234ze等の冷気を発生させる成分からなる殺虫剤が充填された殺虫スプレーなども広く含まれる。 【0019】 捕獲容器部10は、捕獲対象の害虫Gの上方から被さり当該害虫Gを捕獲する下面部12を開口する。図示の捕獲容器部10では、下面部12に開口部13が形成される。捕獲容器部10は、ポリカーボネート、アクリル樹脂、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等の公知の樹脂から形成され、特には透明の樹脂により構成される。 【0020】 実施形態の害虫捕虫器1の捕獲容器部10は高さの低い直方体形状(薄い箱状容器)としている。捕獲容器部10の形状は図示の形態に限られることなく、円形、楕円形等の害虫Gを捕獲する空間が形成される適宜の形状が採用される。捕獲容器部10が透明であることによって、使用者は害虫Gを視認することができ、害虫Gに対してその直上位置に捕獲容器部10を誘導しやすくすることができる。 【0021】 取手部20は、捕獲容器部10の上面部11に接続される。捕獲容器部10のみとしても害虫捕虫器1の機能は果たし得る。ただし、害虫捕虫器1の取り扱いやすさ、すなわち、捕獲容器部10の持ちやすさを向上させる点から取手部20が備えられる。取手部20の材質は適宜であり、実施形態では、柄のついたへら等が捕獲容器部10の上面部11に接着されて固定される。 【0022】 挿入穴部30は、捕獲容器部10の上面部11に形成され、次述の殺虫スプレーSのノズルNは挿入穴部30を通じて捕獲容器部10内へ挿入される。挿入穴部30が捕獲容器部10に設けられることにより、同捕獲容器部10の内部へ殺虫剤を導入させやすくなり、容易に殺虫剤は捕獲容器部10の内部に充満される。 【0023】 封止部40は、捕獲容器部10の開口部13に備えられ害虫Gが存在する床面Fと捕獲容器部10の開口部13との隙間を減らす役割を備える。捕獲容器部10はそれ単独であっても、害虫Gの直上に閉鎖空間を形成し殺虫剤の薬剤を充満させ得る。ただし、捕獲容器部10は硬質であるため、床面Fに対して常に垂直に接触させることは容易ではない。そのため、捕獲容器部10の開口部13と床面Fとの隙間を埋める部材として封止部40が採用される。封止部40としては、ゴムのシートとする他に次述の刷毛状部41が好ましい。 【0024】 図2(A)は実施形態の害虫捕虫器1の縦断面図である。図示から理解されるように、挿入穴部30に漏斗部35が接続されている。殺虫スプレーSに貯留されている殺虫剤を噴出するノズルNは漏斗部35のノズル案内部37(図4参照)により誘導されて、ノズルNは捕獲容器部10の容器内側空間14に案内される。 【0025】 例えば、使用者は殺虫スプレーSのノズルNを漏斗部35に差し込む際、ノズルNは漏斗内側面36に当接する。そして、ノズルNは漏斗内側面36を滑りながら進入しノズル案内部37に到達する。ノズル案内部37は捕獲容器部10の容器内側空間14に通じており、ノズル案内部37に到達したノズルNから噴出する殺虫剤は捕獲容器部10の容器内側空間14に充満する。漏斗部35の構造から把握されるように、上方ほど広がっているため、使用者が害虫Gを発見し焦って殺虫剤SのノズルNを挿入穴部30に差し込もうとする場面で確実にノズルNを挿入穴部30に誘導できるため極めて有効である。漏斗部35は適宜の樹脂素材、金属等からなり、先端部38を挿入穴部30へ押し込むことによる固定、またネジによる固定等の適宜である。 【0026】 図2(B)は捕獲容器部10の側面部15近傍の部分拡大斜視図である。実施形態の害虫捕虫器1では、封止部40として開口部13の全周に亘り刷毛状部41が備えられる。刷毛状部41は獣毛または、ナイロン、ポリエステル等の化繊からなり、捕獲容器部10の下面部12に接着されている。 【0027】 害虫捕虫器1の封止部40に刷毛状部41が採用されているため、例えば、使用者が害虫Gを捕獲するために害虫捕虫器1を振り上げて床面F、棚、テーブル等に害虫捕虫器1を振り下ろした際に、床面F、棚、テーブル等に害虫捕虫器1の捕獲容器部10の開口部13を直接ぶつけることがなくなる。従って、床面F、棚、テーブルへの傷つきが抑制される。 【0028】 また、電気製品の電気コード、LANケーブル、その他通信接続用のケーブル等のコード類Cの付近に害虫Gが存在する場合、捕獲容器部10のままでは、コード類Cが障害となって床面Fと捕獲容器部10の開口部13との間の隙間が不可避的に生じる。そのため、せっかく追い詰めた害虫Gが隙間から逃げ出してしまうおそれがある。ここで、実施形態のように封止部40が刷毛状部41であるため、害虫Gの直上から捕獲容器部10の下面部12を接近させたとき、図2(B)のとおり、刷毛状部41はコード類Cを避けるように広がり、しかも、刷毛状部41の植毛同士に隙間は生じにくくなる。そのため、コード類Cによる隙間、段差の問題は解消され、害虫Gは捕獲容器部10の容器内側空間14に閉じ込められて逃げ出すことがなくなる。また、隙間からの殺虫剤の漏出が抑制される。結果、捕獲容器部10への害虫Gの確保と殺虫は確実となる。 【0029】 図3は捕獲容器部10の上面部11の部分拡大平面図であり、図3(A)は害虫捕虫器1が1つの挿入穴部30を備える実施形態の部分拡大平面図である。図示から理解されるように、取手部20は、捕獲容器部10の上面部11の幅方向の中央に取り付けられている。図中の符号21は取手部20の上面部11との接合部であり、22は取手部20の柄である。 【0030】 捕獲容器部10の上面部11における取手部20の接続位置は特段限定されない。ただし、発見した害虫Gの直上に捕獲容器部10を誘導する際の動かしやすさから、重心の均衡を考慮して取手部20は上面部11の幅方向の中央が好ましい。使用者が害虫Gに捕獲容器部10を振り下ろす際に力が取手部20から伝わりやすく、床面Fに設置した際に捕獲容器部10がぶれずに、害虫Gを容器内側空間14に閉じ込めることが可能となる。さらに、使用者が害虫Gを容器内側空間14に閉じ込めたあと、例えば殺虫スプレーSを取りに行くために取手部20の持手部22から手を離した際であっても、害虫捕虫器1の重心が捕獲容器部10の中央にあるため捕獲容器部10が倒れず、害虫Gを容器内側空間14に閉じ込めたままとすることが可能である。 【0031】 図3(A)の断面図の例によると、挿入穴部30は、捕獲容器部10に接続される取手部20の左右いずれか(図示では左側)の上面部11に形成されている。なお、図示では説明の便宜上、漏斗部35は省略されている。一般に、使用者の利き手の関係から、使用者は利き手の右手で害虫捕虫器1の取手部20を掴み、残りの左手で殺虫スプレーSを掴み薬剤の注入を行う。この場合、挿入穴部30が取手部20の左側の上面部11に形成されているため、取手部20を跨ぐことなく、自然に利き手と反対側に近い挿入穴部30(漏斗部35)へ殺虫スプレーSのノズルNを近づけることができ、動作の無駄が無くなる。むろん、利き手に応じて図3(A)の配置が逆転されてもよい。 【0032】 さらに、図3(B)の平面図の例によると、挿入穴部30は2箇所備えられ(図示の符号31,32)、捕獲容器部10に接続される前取手部20の左右両方の上面部11に形成されている。前掲の図3(A)の構造は利き手の影響を強く受ける。これに対し、図3(B)の構造は挿入穴部30の位置の制約を無くしていずれの利き手に対応する構造である。 【0033】 ただし、2箇所の挿入穴部30(31.32)を備える構造の場合、殺虫スプレーSのノズルNを挿入する漏斗部35が接続される挿入穴部以外が開放することとなり、殺虫剤の漏洩のおそれがある。そこで、挿入穴部30(31.32)のいずれか一方に挿入穴部30を閉塞する密栓部60が備えられる。 【0034】 図4の部分拡大断面図から理解されるように、捕獲容器部10の上面部11に形成された挿入穴部30のうち、紙面左側の第1挿入穴部31(挿入穴部30)には漏斗部35が接続され、残りの紙面右側の第2挿入穴部32(挿入穴部30)には密栓部60が接続される。密栓部60はゴム、樹脂等の材質からなり、接続部61が捕獲容器部10の上面部11の挿入穴部30(第1挿入穴部31または第2挿入穴部32のいずれか)に押し込むことにより接続される。加えて、密栓部60を適宜のボルトとしてネジによる接続も採用される。 【0035】 捕獲容器部10の上面部11に形成されている挿入穴部30(第1挿入穴部31または第2挿入穴部32のいずれか)のいずれか一方が密栓部60により閉塞されため、殺虫剤Mの未使用の挿入穴部30からの漏洩は抑止される。また、挿入穴部30(第1挿入穴部31、第2挿入穴部32)への漏斗部35と密栓部60の接続は着脱自在であり、任意に入れ替え可能である。そこで、使用者の利き手の違いが考慮され、必要に応じて図4の開示と逆の接続が可能である。 【符号の説明】 【0036】 1 害虫捕虫器 10 捕獲容器部 11 上面部 12 下面部 13 開口部 14 容器内側空間 15 側面部 20 取手部 21 接合部 22 持手部 30 挿入穴部 31 第1挿入穴部 32 第2挿入穴部 35 漏斗部 36 漏斗内側面 37 ノズル案内部 38 先端部 40 封止部 41 刷毛状部 60 密栓部 N ノズル G 害虫 S 殺虫スプレー F 床面 C コード M 殺虫剤 |
【図1】 |
【図2】 |
【図3】 |
【図4】 |
ページtop へ |