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家庭用品T
 
【考案の名称】ユニット椅子及びこのユニット椅子を利用した器具
【実用新案権者】
【識別番号】510339430
【氏名又は名称】田中 啓二
【住所又は居所】鳥取県米子市尾高914−3
【代理人】
【識別番号】110000187
【氏名又は名称】特許業務法人ウィンテック
【考案者】
【氏名】田中 啓二
【住所又は居所】鳥取県米子市尾高914−3
【要約】(修正有)
【課題】
未使用時に保管スペースに苦悩することなく多種多様な機能を持ち合わせたユニット椅子を提供する。
【解決手段】
水平で所定面積の座面を有する矩形状の座部11と、座部11の後方側角部の上面に形成された一対の背柱及び前記一対の背柱間の上部に取り付けられた笠木を有する背もたれ13と、座部の前方の下面に取り付けられた一対の前脚と、座部の後方側角部の下面に取り付けられた一対の後脚と、を有する脚部12と、を備えてユニット椅子10を構成する。さらに、一対の背柱と一対の後脚とは、それぞれ一本の長尺の部材で互いに一体に形成し、座部と一対の前脚との間の角度及び座部と一対の後脚との間の角度は、それぞれ直角とする。
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
水平で所定面積の座面を有する矩形状の座部と、前記座部の後方側角部の上面に形成された一対の背柱及び前記一対の背柱間の上部に取り付けられた笠木を有する背もたれと、
前記座部の前方の下面に取り付けられた一対の前脚と、
前記座部の後方側角部の下面に取り付けられた一対の後脚と、を有する脚部と、
を備えるユニット椅子において、
前記一対の背柱と前記一対の後脚とは、それぞれ一本の長尺の部材で互いに一体に形成されており、
前記座部と前記一対の前脚との間の角度及び前記座部と前記一対の後脚との間の角度は、それぞれ直角となされていることを特徴とするユニット椅子。
【請求項2】
前記一対の背柱間には、平板からなる背板が設けられ、
前記座部には、前記背板と同じ形状の平板の複数枚からなる座板が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のユニット椅子。
【請求項3】
前記背板は、座した使用者の略腰部に位置するように設けられていることを特徴とする請求項2に記載のユニット椅子。
【請求項4】
前記背もたれの幅と前記一対の長尺の部材の高さは同一とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のユニット椅子。
【請求項5】
前記一対の前脚及び前記一対の後脚は、それぞれ互いに隣接脚間に横桟が取り付けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のユニット椅子。
【請求項6】
前記一対の前脚間及び前記一対の後脚間に形成されている横桟は、それぞれ前記一対の前脚及び前記一対の後脚の最下端に取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載のユニット椅子。
【請求項7】
前記座部、前記背もたれ及び前記脚部を構成する各部材は、木材、硬化樹脂及び軽金属から選択された少なくとも1種から形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のユニット椅子。
【請求項8】
同一形状に形成された複数個の請求項1〜7のいずれかに記載のユニット椅子が、それぞれ側面が接するようにして隣接配置されていることを特徴とするベンチ。
【請求項9】
同一形状に形成された少なくとも一対の請求項1〜7のいずれかに記載のユニット椅子が、前記座部を同一面状になるように向かい合わせに接して配置されていることを特徴とするベッド。
【請求項10】
同一形状に形成された少なくとも一対の請求項1〜7のいずれかに記載のユニット椅子が、背中合わせに対向させて人が通行可能な一定距離離間させて配置されていることを特徴とする歩行訓練器具。
【請求項11】
同一形状に形成された請求項1〜7のいずれかに記載のユニット椅子が、前記座部上に前記脚部が載せられることで複数個積み重ねられていることを特徴とする棚。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれかに記載のユニット椅子と前記ユニット椅子の前記座部の下側に取り付けられた電気炬燵ヒータからなることを特徴とする暖房器具。
【請求項13】
同一形状に形成された請求項1〜7のいずれかに記載のユニット椅子が、前記前脚が前方となるように同一方向に配置され、前記座部が階段状となるように複数個積み重ねられていることを特徴とする脚立。
【請求項14】
同一形状に形成された請求項1〜7のいずれかに記載のユニット椅子が、少なくとも2つ所定距離を離して背中合わせ又は向かい合わせに配置され、前記それぞれのユニット椅子の背もたれの頂部に所定面積を有する板状部材が載置されていることを特徴とする台。
【請求項15】
前記板状部材の表面の高さが76cmとされ、卓球台状に加工されていることを特徴とする請求項14に記載の台。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
この考案は、ユニット椅子及びこのユニット椅子を利用した器具に関し、詳しくは、一般家庭用、個人用、企業用、商店用及び公共施設用に適合する多機能を持ち合わせたユニット椅子及びこのユニット椅子を利用したベンチ、ベッド、棚及び台等の器具に関する。
【背景技術】
従来、椅子は、座って使用しない限りはその保管場所、保管スペースに苦慮するところが大きい。また、単にその用途は椅子として人が座るというものが大半であった。そして、使用する場所も、洋間の床面、和室の畳上、土間などの平らな表面だけでなく、斜面上など、椅子を設置するのが容易でない場合もある。
このような課題を解決するために、下記特許文献1には、積み重ねて収納できるいわゆるスタッキング椅子の発明が開示されている。下記特許文献1に記載のスタッキング椅子によれば、大きな傾きを防止し、積み重ねの安定化を図ることができるとされている。また、下記特許文献2には、長椅子及びこの長椅子の集積方法が開示されている。下記特許文献2に記載の長椅子及びこの長椅子の集積方法によれば、長椅子を長手方向が上下方向を向くように起立させ、この状態の長椅子を横方向に係合して集積するようにすることで、少ないスペースで多数の長椅子を安定的に多段集積することができるとされている。
また、下記特許文献3には、多用途家具の発明が開示されている。下記特許文献3に記載の多用途家具によれば、側枠に対する平板の高さを変化させたり、複数個積み上げたり、ハンガーパイプを取り付けたりして、椅子、机、棚、ハンガーラック等、様々な用途に使用できるので、長期間に亘って活用することができ、また、この多用途家具の製造材料として天然木を素材に用いると、年月の経過に伴い味わい深いものとなるとされている。また、下記特許文献4には、簡単な操作で、ベッド、テーブル、又は背もたれのある椅子の形態をとることができる多機能家具の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】
特開2003−180480
【特許文献2】
特開平11−244084
【特許文献3】
特開2004−313251
【特許文献4】
特開2001−017252
【考案の概要】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1に記載のスタッキング椅子は、脚やフレーム等が細いパイプで構成されているので、椅子自体で十分な安定性を得るのが困難である。また、上記特許文献1に記載のスタッキング椅子は、椅子としての利用方法しかなく、多目的に利用することができない。一方、上記特許文献2に記載の長椅子では、構造は頑丈であるが、その集積方法は、長椅子を縦置きにする必要があるため、転倒等の安全性に疑問が残り、また、縦置きにするのに手間と労力を必要とする。また、上記特許文献3に記載の多用途家具では様々な用途に使用することができ、上記特許文献4に記載の多機能家具では様々な形態をとることができるが、どちらも構造が複雑で、部品点数も多く、作製が困難である。さらに、これらの家具の不使用時には収納場所に困るおそれがある。
そこで、考案者は、上記課題を解決するために、椅子の構造を水平な座部に対し前脚及び後脚が直角になるようにし、さらに背もたれの背柱と後脚を一本の支柱とすることで、椅子として高い安定性が得られるとともに、この安定性の高い椅子同士を組み合わせることで、様々な器具を安定して利用でき、且つ狭いスペースにも収納が可能であることを見出し、本考案を完成するに至ったのである。
すなわち、本考案の目的は、未使用時の椅子の保管を最小限のスペースで行えるとともに、様々な場所でも安定して配置でき、さらに複数個組み合わせることで様々な器具に利用が可能なユニット椅子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様のユニット椅子は、水平で所定面積の座面を有する矩形状の座部と、前記座部の後方側角部の上面に形成された一対の背柱及び前記一対の背柱間の上部に取り付けられた笠木を有する背もたれと、前記座部の前方の下面に取り付けられた一対の前脚と、前記座部の後方側角部の下面に取り付けられた一対の後脚と、を有する脚部と、を備えるユニット椅子において、前記一対の背柱と前記一対の後脚とは、それぞれ一本の長尺の部材で互いに一体に形成されており、前記座部と前記一対の前脚との間の角度及び前記座部と前記一対の後脚との間の角度は、それぞれ直角となされていることを特徴とする。
また、第2の態様のユニット椅子は、第1の態様のユニット椅子において、前記一対の背柱間には、平板からなる背板が設けられ、前記座部には、前記背板と同じ形状の平板の複数枚からなる座板が設けられていることを特徴とする。
また、第3の態様のユニット椅子は、第2の態様のユニット椅子において、前記背板は、座した使用者の略腰部に位置するように設けられていることを特徴とする。
また、第4の態様のユニット椅子は、第1〜3のいずれかの態様のユニット椅子において、前記背もたれの幅と前記一対の長尺の部材の高さは同一とされていることを特徴とする。
また、第5の態様のユニット椅子は、第1〜4のいずれかの態様のユニット椅子において、前記一対の前脚及び前記一対の後脚は、それぞれ互いに隣接脚間に横桟が取り付けられていることを特徴とする。
また、第6の態様のユニット椅子は、第5の態様のユニット椅子において、前記一対の前脚間及び前記一対の後脚間に形成されている横桟は、それぞれ前記一対の前脚及び前記一対の後脚の最下端に取り付けられていることを特徴とする。
また、第7の態様のユニット椅子は、第1〜6のいずれかの態様のユニット椅子において、前記座部、前記背もたれ及び前記脚部を構成する各部材は、木材、硬化樹脂及び軽金属から選択された少なくとも1種から形成されていることを特徴とする。
また、本発明の第8の態様のベンチは、同一形状に形成された複数個の請求項第1〜7のいずれかの態様のユニット椅子が、それぞれ側面が接するようにして隣接配置されていることを特徴とする。
また、本発明の第9の態様のベッドは、同一形状に形成された少なくとも一対の第1〜7のいずれかの態様のユニット椅子が、前記座部を同一面状になるように向かい合わせに接して配置されていることを特徴とする。
また、本発明の第10の態様の歩行訓練器具は、同一形状に形成された少なくとも一対の第1〜7のいずれかの態様のユニット椅子が、背中合わせに対向させて人が通行可能な一定距離離間させて配置されていることを特徴とする。
また、本発明の第11の態様の棚は、同一形状に形成された第1〜7のいずれかの態様のユニット椅子が、前記座部上に前記脚部が載せられることで複数個積み重ねられていることを特徴とする。
また、本発明の第12の態様の暖房器具は、第1〜7のいずれかの態様のユニット椅子と前記ユニット椅子の前記座部の下側に取り付けられた電気炬燵ヒータからなることを特徴とする。
また、本発明の第13の態様の脚立は、同一形状に形成された第1〜7のいずれかの態様のユニット椅子が、前記前脚が前方となるように同一方向に配置され、前記座部が階段状となるように複数個積み重ねられていることを特徴とする。
また、本発明の第14の態様の台は、同一形状に形成された第1〜7のいずれかの態様のユニット椅子が、少なくとも2つ所定距離を離して背中合わせ又は向かい合わせに配置され、前記それぞれのユニット椅子の背もたれの頂部に所定面積を有する板状部材が載置されていることを特徴とする。
また、本発明の第15の態様の台は、第14の態様の台において、前記板状部材の表面の高さが76cmとされ、卓球台状に加工されていることを特徴とする。
【考案の効果】
第1の態様のユニット椅子によれば、座部に対して、一対の前脚及び一対の後脚と背柱とを一本で形成した一対の長尺の部材とが直角に形成され、さらに、一対の前脚と一対の長尺の部材とが互いに平行に形成されていることになるので、安定性を高くすることができる。また、全体的に方形状や矩形状に形成されているので、複数個のユニット椅子を積み重ねても安定性を損なわないので、未使用時に積み重ねておくことで保管場所を最小限にすることができる。
第2の態様のユニット椅子によれば、背板と座板を同じ形状の平板で形成することができるので、部材の製造が簡単になるとともに、見た目の統一感があり、デザイン性を高くすることができる。
第3の態様のユニット椅子によれば、背もたれの背板部分が丁度使用者の腰骨あたりに触れ、安定感のある座り心地を提供することができる。
第4の態様のユニット椅子によれば、ユニット椅子の高さと横の幅の長さを同じとすることで、特に、複数のユニット椅子を並べたり積み上げたりするとき、規則正しく整列させることができ、その結果、安定性を高くすることができるようになる。
第5の態様のユニット椅子によれば、脚が横桟により固定され頑丈になり、より安定性が得られる。
第6の態様のユニット椅子では、地面と接する側に横桟が前脚及び後脚のそれぞれに接合されているので、従来のように脚を直接床等に設置させるような場合では、接触面積が小さいため、大きな荷重が脚をおいた部分にかかり、床等が変形するおそれがある。しかし、第6の態様のユニット椅子によれば、前脚同士及び後脚同士がそれぞれ横桟、例えば水平な直方体の棒によって一体に固定されることとなるので、接触面積を大きくすることができるので、椅子を設置するのが困難な場所、例えば畳や土の上でも安定して設置することができる。
第7の態様のユニット椅子によれば、ユニット椅子が木材で形成されていれば、木の温かさが伝わりインテリアとしても十分利用することができる。また、ユニット椅子が硬化樹脂、例えば強化プラスチックで形成されていれば、軽量で製造費用を抑えることができる。また、ユニット椅子が軽金属、例えば、アルミニウム合金で形成されていれば、頑丈であり比較的軽量に形成することができる。さらに、ユニット椅子の各部材ごとに材質を異ならせて形成することで、各材質の特徴を最大限に発揮させることができる。
第8の態様のベンチによれば、少人数しか座れないユニット椅子を複数個組み合わせることで、ベンチとして多人数で使用することができる。さらに、ユニット椅子はその側面が平面であるので、複数個並べても隙間ができないので、ベンチとして効率よく座ることができる。
第9の態様のベッドによれば、複数個のユニット椅子の座部を同一面に配置することで、例えば簡易ベッドとして使用することができ、背もたれ部分により転落防止機能を奏させることができる。また、安全性を考慮し、これらの周りを布団等で覆うことでベビーベッドとしても利用することができる。
第10の態様の歩行訓練器具によれば、安定性の高いユニット椅子の背もたれ部分を手すりとして利用し、お年寄りや足の不自由の人の歩行訓練器具とすることができる。また、一対のユニット椅子の配置する数を増やすことで、歩行訓練器具の長さを適宜変更することができ、歩行訓練を行う場所に合わせて、また歩行訓練の長さを適宜に調整して行うことができる。
第11の態様の棚によれば、ユニット椅子は、規則正しい方形状又は矩形状の面を有しているので、積み重ねることで、本棚や物置棚等の棚として利用することができる。また、ユニット椅子の脚部分は、平面視で矩形状をしており、さらに、前脚及び後脚は平行に形成されているので、複数個を安定して積み上げることができる。なお、このユニット椅子を一定の広さを有する物置や押入れ、車の荷台やトランク等の閉塞空間に置くだけで、棚として利用することができる。このとき、ユニット椅子を縦置きとするだけでなく、横向きに置いて利用してもよい。また、同じ向きに積み重ねるだけでなく、逆さまにしても積み重ねることができるので、利便性がよくなる。
第12の態様の暖房器具によれば、ユニット椅子は、シンプルな形状なので、容易に毛布等で足下を覆うことができ、冬場の立ち仕事などに暖をとりながらの効率性を高めることができる。
第13の態様の脚立によれば、ユニット椅子は安定性が高く、複数個階段状に積み重ねて脚立としても、安定性を損なうことが少ないので安全に使用することができる。
第14の態様の台によれば、安定性の高いユニット椅子自体を脚として利用した台を形成することができ、この台をテーブル、簡易作業台、勉強机及び調理台等として利用することができる。また、ユニット椅子は、高い安定性を有しているので、台自体も高い安定性を有することができる。
第15の態様の台によれば、安定性の高いユニット椅子自体を脚として利用した、卓球の公式規則に準じた卓球台として利用することができる。
【考案を実施するための形態】
以下、図面を参照して本考案の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本考案の技術思想を具体化するためのユニット椅子及びこのユニット椅子を利用した器具を例示するものであって、本考案をこれに特定することを意図するものではなく、実用新案登録請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。
[実施形態1]
図1〜図4を参照して、実施形態1に係るユニット椅子について説明する。図1及び図2に示すように、実施形態1に係るユニット椅子10は、水平に形成された座部11とこの座部11と直角に設けられた一対の前脚20a、20b及び後脚21a、21bからなる脚部12と、座部11の後方側に設けられた背もたれ13とで構成されている。以下、各構成を説明する。
座部11は、地面と平行に形成され、図3及び図4に示すように、座部11の周囲に配置される各座枠と複数の平板で構成される座板19とで形成されている。各座枠は、長尺の角材からなる前方側の前座枠14、後方側の後座枠15と短尺の角材からなる両側座枠16、17とを有し、両側座枠16、17とは、前座枠14及び後座枠15の端部に重ねて接合されている。なお、実施形態1にかかる座部11には、側座枠16、17と同じ短尺の角材からなる2本の補強部材18が前座枠14及び後座枠15の上側に等間隔に載置され接合されている。なお、補強部材の使用は任意であり、座枠にある程度の強度があれば使用しなくてもよく、一方、使用する場合は2本に限られず、1本でもまた、3本以上でもよい。また、座板19は、前座枠14及び後座枠15の長さと略同じ長さの平板を両側座枠16、17の上に複数枚並べて接合されている。この座板19は、座部11が覆われる大きさであれば良く、その平板の枚数は3〜4枚が好ましい。
次に、前脚20a、20bは一対の短尺の支柱からなり、各前脚20a、20bの頂端部20a1、20b1が、座部11の両側座枠16、17の下側と重畳して形成されている。後脚21a、21bは、一対の長尺の支柱(実用新案登録請求の範囲では、長尺の部材と記載されている。以下同じ。)27a、27bで形成されており、座部11と接合された部分から下側部分が該当する。この各長尺の支柱27a、27bの略中央部分に、座部11の後座枠15の両端部の側面が接合されている。なお、この長尺の支柱27a、27bは、後述する背もたれ13の背柱25a、25bと一体の一本の支柱で形成されている。
また、それぞれ同じ側にある前脚20a、20bと後脚21a、21b同士は、その最下方の内側側面が互いに桟22a、22bで連結されている。さらに、前脚20a、20b同士及び後脚21a、21b同士はそれぞれ、下方端部に長尺の棒状体からなる横桟23a、23bが接合されており、この横桟23a、23bの下側になる一側面が地面等の載置される部分と接触することとなる。このようにすることで、設置場所との接触面積を大きくすることができるので、椅子を設置するのが困難な場所、例えば畳や土の上、さらには傾斜地でも安定して設置することができる。
背もたれ13は、前述した一対の長尺の支柱27a、27bの上部側からなる背柱25a、25bと、この背柱25a、25bの頂端部25a1、25b1に接合された長尺の笠木24と、背柱25a、25bの上部及び笠木24の側面に接合された平板からなる背板26で構成されている。この背板26は、前述した座板19と同じ形状で形成されている。このように、背板と座板を同じ形状の平板で形成することで、部材の製造が簡単になるとともに、見た目の統一感があり、デザイン性を高くすることができる。また、背板26は、使用者が座ったときに、使用者の腰部に当たるように形成すると安定感のある座り心地を提供することができるので好ましい。
また、ユニット椅子の背もたれ13の幅長と長尺の支柱27a、27bの高さが同じになるように形成すると、特に、複数のユニット椅子を並べたり積み上げたりするとき、規則正しく整列させることができ、その結果、安定性を高くすることができるようになる。
なお、各部材の結合については、一般的なねじ及び釘並びに各種継手等を用いて行うことができるので、詳細な説明は省略する。
以上のような構成を備えた実施形態1のユニット椅子によれば、座部に対して、一対の前脚及び一対の長尺の部材とが直角に形成され、さらに、一対の前脚と一対の長尺の部材とが互いに平行に形成されているので、安定性を高くすることができる。また、全体的に方形状や矩形状に形成されているので、複数個のユニット椅子を積み重ねても安定性を損なわないので、未使用時に積み重ねておくことで保管場所を最小限にすることができる。
また、ユニット椅子の全体又はユニット椅子を構成する各部材を、木材、硬化樹脂及び軽金属等のなかから適宜選択して形成するようにすることができる。ユニット椅子が木材で形成されていれば、木の温かさが伝わり、インテリアとしても十分利用することができる。また、ユニット椅子が硬化樹脂、例えば強化プラスチックで形成されていれば、軽量で製造費用を抑えることができる。また、ユニット椅子が軽金属、例えば、アルミニウム合金で形成されていれば、頑丈であり、比較的軽量に形成することができる。さらに、ユニット椅子の各部材により材質を異ならせて形成することもでき、例えば、脚の部分には、高い強度を有する軽金属で形成し、座部を木材で形成し、補強部分を硬化樹脂で形成するようにすると各材質の特徴を最大限に発揮させたユニット椅子が得られる。
また、椅子の下、例えば座部の下側に暖房器具、例えば電気炬燵ヒータを取り付け、毛布等で足下を覆うことで簡単に椅子型の電気炬燵を形成することができる。
[実施形態2]
次に、実施形態1で説明したユニット椅子を複数個使用した器具について説明する。
まず、図5に示すように、同一形状に形成されたユニット椅子10を複数個横に接して並べることでベンチ28A、28Bを形成することができる。なお、図5Aは、ユニット椅子10を2つ使用したベンチ28Aを示し、図5Bは、ユニット椅子10を3つ使用したベンチ28Bを示している。このようにすることで、少人数しか座れないユニット椅子を複数個組み合わせるだけで、ベンチとして多人数で使用することができる。さらに、ユニット椅子はその側面が平面であるので、複数個並べても隙間ができないので、ベンチとして効率よく座ることができる。
次に、図6に示すように、同一形状に形成されたユニット椅子10の一対を座部が合い向かいになるように配置し、この一対のユニット椅子を複数個つなぎ合わせ、座部の表面が同一面となるようにすることで、ベッド29を形成することができる。このようにユニット椅子でベッドを形成することで、背もたれ部分により転落を防止することができる。また、安全性を考慮し、これらの周りを布団等で覆うことでベビーベッドとしても利用することもできる。
次に、図7に示すように、同一形状に形成されたユニット椅子10の一対を背もたれ側を向かい合わせにし、各背もたれの間を人が通行可能な一定距離X、例えば30〜40cm離して配置し、この一対のユニット椅子を複数個つなぎ合わせることで、歩行訓練器具30を形成することができる。ユニット椅子で歩行訓練器具を形成することで、安定性の高いユニット椅子の背もたれ部分を手すりとして利用することができる。また、一対のユニット椅子の配置する数を増やすことで、歩行訓練器具の長さを適宜変更することができ、歩行訓練を行う場所に合わせて、また歩行訓練を調整して行うことができる。
次に、図8に示すように、同一形状に形成されたユニット椅子10を複数個積み上げることで、本棚や物置棚等の棚31を形成することができる。ユニット椅子は、規則正しい方形状又は矩形状の面を有しているので、安定して積み重ねることができる。なお、このユニット椅子を一定の広さを有する物置や押入れ、車の荷台やトランク等の閉塞空間に置くだけで、棚として利用することができる。このとき、ユニット椅子を縦置きとするだけでなく、横向きに置いて利用してもよい。また、同じ向きに積み重ねるだけでなく、逆さまにして積み重ねてもよい。
次に、図9に示すように、同一形状に形成されたユニット椅子10を階段状に積み上げることで、脚立32を形成することができる。安定性の高いユニット椅子は、複数個階段状に積み重ねて脚立とすることで安全に使用することができる。
次に、図10に示すように、同一形状に形成された一対のユニット椅子10を所定距離離し対向させて配置し、その背もたれ13上に板状部材33aを載置させることで、台33Aを形成することができる。このとき、ユニット椅子は、座部11側が対向する向かい合わせでも背もたれ13側が対向する背中合わせでもよい。このようにすることで、ユニット椅子は、背もたれ部分が広く、横に長く、平らであるため、ユニット椅子自体を台の脚とすることで台の安定性も高くなるので、作業台、勉強机、調理台等に利用できる台となる。なお、図11に示すように、脚として使用するユニット椅子の個数を増やすことで、大きな板状部材33bを載せることができるようになり、幅広い用途に使用できる台33Bとすることができる。また、ユニット椅子の高さを約76cmとし、板状部材を卓球台とすることで、卓球の公式規則に則った卓球台を形成することができる。
また、台の脚として使用されるユニット椅子の下、例えば座部の下側に暖房器具、例えば電気炬燵ヒータを取り付け、周囲を毛布等で覆うことで簡単に卓上型電気炬燵を形成することができる。
以上のように、本考案にかかるユニット椅子を用いることで様々な器具を形成ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1Aは実施形態1にかかるユニット椅子の正面斜視図であり、図1Bは背面斜視図である。
【図2】図2は図1のユニット椅子の6面図を示し図2Aは正面図、図2Bは一方の側面図、図2Cは他方の側面図、図2Dは上面図、図2Eは底面図、図2Fは背面図である。
【図3】図1のユニット椅子の一部を分解した斜視図である。
【図4】図1のユニット椅子の座板を取り外した状態を示した斜視図である。
【図5】図5Aはユニット椅子を2つ使用した場合のベンチを示した斜視図であり、図5Bはユニット椅子を3つ使用した場合のベンチを示した斜視図である。
【図6】図6Aはユニット椅子を6つ使用した場合のベッドを示した斜視図であり、図6Bは図6Aのベッドの上面図であり、図6Cは図6Aのベッドの側面図である。
【図7】図7Aはユニット椅子を6つ使用した場合の歩行訓練器具を示した斜視図であり、図7Bは図7Aの歩行訓練器具の上面図であり、図7Cは図7Aの歩行訓練器具の側面図である。
【図8】図8Aはユニット椅子を3つ使用した場合の棚を示した斜視図であり、図8Bは図8Aの棚の側面図である。
【図9】図9Aはユニット椅子を3つ使用した場合の脚立を示した斜視図であり、図9Bは図9Aの脚立の側面図である。
【図10】図10Aはユニット椅子を2つ使用した場合の台を示した斜視図であり、図10Bは図10Aの台の側面図である。
【図11】ユニット椅子を4つ使用した場合の台を示した斜視図である。
【符号の説明】
10…ユニット椅子 11…座部 12…脚部 13…背もたれ 14…前座枠 15…後座枠 16…側座枠 17…側座枠 18…補強部材 19…座板 20a、20b…前脚 21a、21b…後脚 22a,22b…桟 23a、23b…横桟 24…笠木 25a、25b…背柱 26…背板 27a、27b…長尺の支柱 28…ベンチ 29…ベッド 30…歩行訓練器具 31…棚 32…脚立 33A、33B…台 33a、33b…板状部材
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
【図9】
図9
【図10】
図10
【図11】
図11
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