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【考案の名称】ロールホルダ
【実用新案権者】
【識別番号】595125155
【氏名又は名称】山村 武司
【住所又は居所】山形県南陽市小岩沢288-1
【代理人】
【識別番号】100129159
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
【考案者】
【氏名】山村 武司
【住所又は居所】山形県南陽市小岩沢288-1
【要約】
【課題】 ロールホルダに触れずに片手でロールペーパーを繰り出して裁断でき、より衛生的な利用を可能とする。ロールペーパーを裁断するカッター部が、他物に触れることなく、より安全に利用できるロールホルダを提供する。
【解決手段】 上蓋3の後端30に開口し、前記ロールペーパー7を上方に引き出し可能な繰出し口4と、平板状であって、後端にカッター部52を有し、前端をペーパー入力端53とした紙切板5と、前記紙切板5の前後端間に配し、前記上蓋3の前端31寄りとなる上部に、前記紙切板5の前後端をシーソーのように回動自在に一体化する揺動支持部50と、前記紙切板5のカッター部52を、前記上蓋3に接する方向に付勢する閉付勢機構54と、前記上蓋3の後端30と前端31寄りの前記紙切板5との間に、前記ロールペーパー7の繰出端70の中途部を上方に浮かせて支持する浮上支持部55とを有するロールホルダ1である。
【選択図】図1
選択図
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
本体支持部、及び前記本体支持部から、水平姿勢の対象ロールペーパーを収容可能な左右間隔を隔てて突出し、互いに対峙する左右腕を有し、当該左右腕間に有って前記ロールペーパーを回転自在に支持する回転支持部を備えたホルダ本体に設置して使用されるロールペーパーの切断蓋であって、
前記左右腕間に回転自在に支持された場合の前記ロールペーパーの上部に、前記本体支持部との間に前記ロールペーパーの繰出端を上方に引き出し可能に開口する繰出し口を確保して配した上蓋と、
前記上蓋の前後長より短く、前記ロールペーパー以上の幅の平板状であり、作用点となる後端にカッター部を有し、力点となる前端をペーパー入力端とした紙切板と、
前記紙切板の前後端間の支点となる位置に配し、前記上蓋の前端寄りとなる上部に、前記紙切板の前後端を回動自在に一体化する揺動支持部と、
前記紙切板のカッター部を、前記上蓋に接する方向に付勢する閉付勢機構と、
を有するロールペーパーの切断蓋。
【請求項2】
前記上蓋の後端と前端寄りの前記紙切板との間に、前記ロールペーパーの繰出端の中途部を上方に浮かせて支持する浮上支持部を設けた請求項1に記載のロールペーパーの切断蓋。
【請求項3】
本体支持部、及び、前記本体支持部から、水平姿勢の対象ロールペーパーを収容可能な左右間隔を隔てて突出し、互いに対峙する左右腕を有するホルダ本体と、
前記左右腕間に回転自在に支持された場合の前記ロールペーパーの上部に配した上蓋とからなるロールホルダーであって、
当該上蓋が請求項1又は2に記載のロールペーパーの切断蓋である、ロールホルダ。
【請求項4】
前記閉付勢機構は、前記紙切板の重心を揺動支持部よりも後端の前記カッター部寄りに配してなる、前記請求項3記載のロールホルダ。
【請求項5】
前記閉付勢機構は、少なくとも、前記紙切板の揺動支持部よりも後端寄りを前記上蓋側に牽引する弾性牽引部、又は、前記揺動支持部よりも前端寄りを前記上蓋から離れる方向に押し上げる弾性付勢部の少なくとも一方を有する、前記請求項3記載のロールホルダ。
【請求項6】
ホルダ本体に対し、前記上蓋又は前記上蓋の後端を進退又は着脱移動して、前記繰出し口を一次的に拡大可能とする、拡開機構を設けた、前記請求項3記載のロールホルダ。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、ロールされたシート状製品を回転自在に支持し、前記シート状製品を所望の長さに繰り出して裁断できるロールホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来型のトイレットペーパー用のロールホルダは、建築物の壁面等に固定するホルダ本体と、前記ホルダ本体の左右に突設した左右腕と、前記左右腕間に、トイレットペーパーを水平軸心回りに回転自在に支持する支持機構と、前記ホルダ本体の上部に後端を枢着し、前端に下向きのカッターを有する上蓋とを備えている。
【0003】
使用の際は、前記上蓋を上方に展開し、前記左右腕間の支持機構にトイレットペーパーを取付け、前記トイレットペーパーの端を前方に繰り出した後、前記上蓋を上方から押さえながら、前記トイレットペーパーの繰り出し端側の中途部を上方に引き上げるようにして裁断する。
【0004】
従来型のロールホルダは、両手を使わなければトイレットペーパーを切断できないという欠点を有していた。更に、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の世界的流行に伴い、複数人が触れるロールホルダに触れることなく、より衛生的にロールペーパーを裁断するのが望ましい。
【0005】
ロールホルダに触れずに、ロールペーパーを裁断できる技術には、例えば、特許文献1(特開2024−2923号公報)の、ホルダ本体、スライダー、フラップの3部品を有し、ホルダ本体にはスライダーを上下に移動するガイドとなるレール部を有し、スライダーとフラップを枢着してフラップを回動させ、フラップにはロールペーパーの上部を押さえるペーパー押さえを有し、フラップのペーパー押さえより手前に、引き出されたロールペーパーを切断する刃を設け、引き出されたロールペーパーを刃に押さえつけることで、フラップのペーパー押さえがロールペーパーの上部を押さえながら、フラップがペーパー押さえを支点として回転しようとするときに、ストッパーがスライダーのストッパー突き当て面に突き当たることにより、スライダーが上方向に移動するのを停止するよう構成したペーパーホルダが有る。
【0006】
又、特許文献2(特許第7466224号公報)には、背板部及び前記背板部の左右両端部から前方に延びて互いに対向する左右の側板部から構成されるホルダ本体と、前記左右の側板部の内側面に各側板部の上面から下向きに刻設されていてロールペーパーの中心空洞部に挿通された軸部材の両端部を支持する軸支持用溝部と、前記ホルダ本体の後部に上下揺動自在に連結されていて板前端部によりロールペーパーの上面を押える第1押え板部と、前記左右の側板部間に架け渡されていて前記ロールペーパーから繰り出されたペーパーを載置する載置杆部と、前記第1押え板部の前方に配置されていて前記載置杆部上のペーパーを押える第2押え板部と、前記第1押え板部と前記第2押え板部との間に介設されていて夫々を上下揺動自在に連結する連結板部と、前記第2押え板部の前端に設けられていて前記載置杆部から垂れ下がったペーパーを切断するための切断刃部と、を有するロールペーパーホルダであって、前記第2押え板部の前部下面に保持機構を介して前後移動自在に取り付けられていて前記第2押え板部の前部を支持する支持杆部と、前記左右の側板部の前端部に形成されていて前記支持杆部を着脱自在に載置する受台部と、前記受台部の前端に立設されているとともに上部が後向きに屈曲して形成されていて前記受台部内にある前記支持杆部の前上方への抜け止めをする抜け止め用柱体と、を備えて成るロールペーパーホルダが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】 特開2024−2923号公報
【特許文献2】 特許第7466224号公報
【考案の概要】
【考案が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献1に記載された、片手でロールペーパーを繰り出して、そのまま裁断できるペーパーホルダは、先の利用者が、裁断して残ったロールペーパーの繰出端を掴むときに、前記フラップや刃に手指を触れてしまう虞がある。前記フラップに触れてしまうと感染症の予防効果が望めなくなる。又、前方に突き出し上向きとなっている刃は、手指や他物等に接触する虞があった。
【0009】
前記特許文献2のロールペーパーホルダも同様に、ロールペーパーの繰出端を掴むときに、ホルダ本体に触れてしまい、より衛生的な利用が難しいものであり、更に、外向きに露出した切断刃部は、ロールペーパーの繰出端を掴む際や、第1押え板部及び第2押え板部を折り畳んで開放し、ロールペーパーをセットする際等に、手指や他物等に接触する虞が残るものであった。
【0010】
本考案は、ロールホルダに一切触れることなくロールペーパーを片手で繰り出し、そのまま裁断することができ、より衛生的な利用を可能とするロールホルダを提供する。更に、ロールペーパーを裁断するためのカッター部が、利用者の手指や他物等に触れることなく、より安全に利用できるロールホルダを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本考案は、壁面に固定される本体支持部、及び前記本体支持部から、水平姿勢の対象ロールペーパーを収容可能な左右間隔を隔てて突出し、互いに対峙する左右腕を有し、当該左右腕間に有って前記ロールペーパーを回転自在に支持する回転支持部を備えたホルダ本体に設置して使用されるロールペーパーの切断蓋であって、前記左右腕間に回転自在に支持された場合の前記ロールペーパーの上部に、前記本体支持部との間に前記ロールペーパーの繰出端を上方に引き出し可能に開口する繰出し口を確保して配した上蓋と、前記上蓋の前後長より短く、前記ロールペーパー以上の幅の平板状であり、作用点となる後端にカッター部を有し、力点となる前端をペーパー入力端とした紙切板と、前記紙切板の前後端間の支点となる位置に配し、前記上蓋の前端寄りとなる上部に、前記紙切板の前後端を回動自在に一体化する揺動支持部と、前記紙切板のカッター部を、前記上蓋に接する方向に付勢する閉付勢機構と、を有するロールペーパーの切断蓋を提供する。
【0012】
本考案のロールペーパーの切断蓋では、前記上蓋の後端と前端寄りの前記紙切板との間に、前記ロールペーパーの繰出端の中途部を上方に浮かせて支持する浮上支持部を設けることができる。
【0013】
また本考案では、前記ロールペーパーの切断蓋を設けたロールホルダーを提供する。即ち、本体支持部、及び、前記本体支持部から、水平姿勢の対象ロールペーパーを収容可能な左右間隔を隔てて突出し、互いに対峙する左右腕を有するホルダ本体と、前記左右腕間に回転自在に支持された場合の前記ロールペーパーの上部に配した上蓋とからなるロールホルダーであって、当該上蓋が前記本考案のロールペーパーの切断蓋である、ロールホルダを提供する。
【0014】
本考案のロールペーパーの切断蓋やロールホルダによれば、前記浮上支持部が、前記ロールペーパーの繰出端側の中途部を上方に浮かせて支持できる。利用者は、前記ロールホルダに一切触れずに、浮上支持されている前記ロールペーパーの繰出端側の中途部を掴み、より衛生的に繰り出すことができる。更に、前記閉付勢機構が、前記紙切板のカッター部を、前記上蓋に接する方向に付勢するから、前記カッター部が、ロールペーパーを切断するとき以外は、前記上蓋に接するよう閉じており、利用者の手指や他物等に前記カッター部が接触するのを防止できる。
【0015】
前記ホルダ本体は、自立するか又は、建築物の壁等に取付けられ、対象ロールペーパーを繰り出し出来るよう支持する。前記本体支持部には、前記左右腕が、ロールペーパーの保持に充分な強度をもって一体化しており、前記本体支持部は、自立する自立脚、及び/又は、建築物の壁等に取付けできる固定用の取付け孔とビス等を有する。
【0016】
前記左右腕は、前記左右腕間に前記ロールペーパーを回転自在に保持する。前記左右腕には、前記ロールペーパーを回転自在に支持する回転支持部を設けることができ、前記左右腕と前記回転支持部との間には、前記回転支持部を着脱可能とする支持部着脱機構、又は、前記回転支持部を前記左右腕に対して折り畳み可能とする支持部折畳み機構の何れかを有する。前記回転支持部は、左右に分割され、左右夫々が、弾性的に折り畳まれ、又、水平同心上に展開して前記ロールペーパーを回転自在に、脱着、支持する左右対をなす可撓駒とすることができる。又、前記回転支持部は、内部に弾性付勢部を有して軸方向に延伸するよう弾性付勢され、前記左右腕の軸受部間に、脱着自在且つ回転自在に横架した圧縮軸とできる。前記左右腕は、その何れか一方が、前記本体支持部に対して開閉及びロック可能に支持する腕開閉機構を有し、前記左右腕の何れか一方のロックを解除して開放し、前記回転支持部を一時的に取り出してロールペーパーを装着した後、閉鎖及びロックして前記回転支持部及びロールペーパーを回転自在に支持できる。
【0017】
前記上蓋(即ち、ロールペーパーの切断蓋。以下同じ。)は、前記ホルダ本体に対し回転自在に支持した場合のロールペーパーの上部を覆い、前記上蓋の後端と、前記本体支持部との間に、前記ロールペーパーの繰出端を上方に引き出し可能な繰出し口を形成し、前記上蓋の前端寄りに紙切板を支持する。前記上蓋は、後端と前端寄りの前記紙切板との間の上壁に、浮上支持部を有する。前記浮上支持部は、高摩擦素材製のペーパー摩擦部を兼ねることができる。前記上蓋は、前記ロールペーパーの平面形状を覆う平板状、又は、略同様の機能を果たす格子枠状、パンチングプレート状等とできる。前記上蓋は、前端寄りの範囲を。前記ロールペーパーの曲面に沿うよう、下向きに湾曲、又は、下り傾斜角度をより強めに設定できる。前記上蓋は、回転自在に支持した場合の前記ロールペーパーの上面に対峙する下壁に、高摩擦素材製のペーパー摩擦部を設けることができる。
【0018】
前記繰出し口は、前記本体支持部と前記上蓋の後端との間に開口し、前記ロールペーパーの操出端を上向きに引き出し可能とする。前記繰出し口は、前記ロールペーパーを前記ホルダ本体に装着する際に、前記操出端を引き出し易くするよう、前記上蓋を取り外し、又は、前記上蓋又は前記上蓋の後端を上方又は前方にずらす等して一次的に拡開し、前記装着を完了した後、前記ロールペーパーを操り出し易い幅のスリット状の開口に戻すことができる。前記本体支持部の前記繰出し口に臨む位置に、高摩擦素材製のペーパー摩擦部を設けることができる。
【0019】
前記紙切板は、前記繰出し口から上壁上に露出した前記ロールペーパーの操出端側を、利用者が掴み、上方に引き上げ、所望の長さに繰り出した後、前記上壁の前方を回り込んで下向きに引き下ろす動作に伴い、前記ロールペーパーを裁断可能とする。前記紙切板は、前記閉付勢機構によって裁断時以外は、前記カッター部を前記上蓋に接しており、前記カッター部が外向きに突出するのを防止してより安全性を高めることができる。
【0020】
前記カッター部は、前記紙切板の後端に設けられ、前記ロールペーパーを裁断可能とする。前記カッター部は、前記紙切板と同一素材製とすることができる外、例えば、硬質合成樹脂製の前記紙切板の後端に金属製の前記カッター部を一体化することができる。
【0021】
前記ペーパー入力端は、利用者が、前記繰出し口から上壁上に露出した前記ロールペーパーの操出端側を、利用者が掴み、上方に引き上げ、所望の長さに繰り出した後、前記上壁の前方を回り込んで下向きに引き下ろす動作に伴い、前記ロールペーパーの操出端の中途部が、前記ペーパー入力端に巻き掛かる。前記ペーパー入力端が力点、前記揺動支持部が支点、前記カッター部が作用点となり、前記ペーパー入力端が押し下げられ、前記カッター部が立ち上がり、前記ロールペーパーの中途部を裁断する。前記ペーパー入力端は、前記ロールペーパーが巻き掛かる範囲に、高摩擦素材製のペーパー摩擦部を設けることができる。前記ペーパー摩擦部の高摩擦素材は、弾性や柔軟性を有する、例えば、生ゴムやシリコン樹脂、スポンジ製等とできる。
【0022】
本考案は、前記閉付勢機構が、前記紙切板の重心を揺動支持部よりも後端寄りに配してなる、前記ロールホルダとすることができる。
前記紙切板の重心を、前記揺動支持部よりも後端寄りに配することにより、前記紙切板が、前記ロールペーパーの中途部を裁断し終え、前記ペーパー入力端への入力を消失すると、前記カッター部が、自重によって前記上蓋に接するよう倒れるから、前記カッター部が外向きに露出するのを防止できる。
【0023】
前記紙切板の重心は、均質素材製の紙切板の、前記揺動支持部から前記カッター部までの寸法形状を、前記揺動支持部から前記ペーパー入力端までの寸法形状よりも長く及び/又大きく設定し、前記紙切板の重心を、前記、揺動支持部よりもカッター部寄りに配したものとできる外、前記紙切板の前記揺動支持部よりも後端寄りに設けた錘、又は、金属製の前記カッター部等が錘の役目を果たし、重心を前記揺動支持部よりも前記カッター部寄りに配することができる。
【0024】
本考案は、前記閉付勢機構が、前記紙切板の揺動支持部よりも後端寄りを前記上蓋側に牽引する弾性牽引部、又は、前記揺動支持部よりも前端寄りを前記上蓋から離れる方向に押し上げる弾性付勢部の少なくとも一方を有する、前記ロールホルダとすることができる。
【0025】
前記弾性牽引部、又は、弾性付勢部の少なくとも一方を有すると、前記ロールペーパーの操出端側中途部の裁断を終え、前記ペーパー入力端への巻き掛け引き下ろし力が消失した際に、前記弾性牽引部、又は、弾性付勢部が、前記紙切板を前記カッター部が前記上蓋に接する方向に弾性的且つ強制的に付勢するから、前記カッター部が外向き姿勢に変位してしまうのをより確実に防止できる。
【0026】
前記弾性牽引部によれば、前記カッター部を前記上蓋に接する位置まで弾性的且つ強制的に牽引する。前記弾性牽引部は、前記上蓋と前記カッター部との間に設けた、例えば、ゴム紐、引張バネ、吸引し合う磁石と磁性体、又は、極が異なり互い吸引し合うよう対をなした磁石等とできる。
【0027】
前記弾性付勢部によれば、前記カッター部を前記上蓋に接する方向に弾性的且つ強制的に付勢するよう、前記上蓋から前記ペーパー入力端を押し放す。前記弾性付勢部は、前記上蓋と前記ペーパー入力端との間に設けた、例えば、ゴム、スポンジ、圧縮バネ、反発し合う磁石と磁性体、又は、極が同じで互いに反発し合うよう対をなした磁石等とできる。
【0028】
本考案は、ホルダ本体に対し、前記上蓋又は前記上蓋の後端を進退又は着脱移動して、前記繰出し口を一次的に拡大可能とする、拡開機構を設けた、前記ロールホルダとできる。
【0029】
前記拡開機構によると、前記繰出し口を拡開し、装着した前記ロールペーパーの繰出端をより簡単に引き出してセットし易くなる。前記拡開機構は、例えば、前記左右腕に設けたスライドレール部と、前記上蓋の左右に設けたスライダー部とし、前記スライドレール部に沿って前記スライダー部を前進させて、前記繰出し口を拡開し、前記スライダー部を後退させて前記繰出し口を狭めるよう復帰できる。
【0030】
又、前記拡開機構は、例えば、前記左右腕と前記上蓋から垂下した左右支持脚との間に設けたロック・ロック解除可能な支軸を支点とし、前記ロックを解除し前記上蓋を前方に引き倒して、前記繰出し口を拡開し、前記上蓋を引き起こして前記ロックし前記繰出し口を狭めるよう復帰できる。
【0031】
更に又、前記拡開機構は、例えば、前記ホルダ本体と前記上蓋との間に、互いに吸着する磁石と磁性体、互いに吸着する互いに異なる極の対をなす磁石、自在ファスナ、弾性的に嵌合し合う被嵌合部と嵌合部等による脱着部を有し、前記ホルダ本体から前記上蓋を取り外して前記繰出し口を拡開し、前記ホルダ本体に前記上蓋を装着して前記繰出し口を狭めるよう操作できる。
【考案の効果】
【0032】
本考案のロールホルダによれば、前記ロールホルダに一切触れることなくロールペーパーを片手のみで繰り出し、そのまま裁断することができ、より衛生的な利用を可能としたロールホルダを提供できる。更に、ロールペーパーを裁断するためのカッター部が、利用者の手指や他物等に触れることなく、より安全に利用できるロールホルダを提供できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】ロールホルダ1を示す斜視図であり、(a)拡開機構32が繰出し口4を拡開するロールホルダ1を示す斜視図、(b)ロールペーパー7をセットするホルダ本体2を示す斜視図
【図2】拡開機構32を示す斜視図
【図3】ロールホルダ1の使用を示す斜視図であり、(a)ロールペーパー7を繰り出したロールホルダ1を示す斜視図、(b)ロールペーパー7を裁断したロールホルダ1を示す斜視図
【図4】ロールホルダ1を示す斜視図であり、(a)使用中のロールホルダ1を示す斜視図、(b)他の拡開機構32のロールホルダ1を示す三面図
【図5】他の拡開機構32のロールホルダ1を示す側面図であり、(a)他の拡開機構32の拡開状態を示す側面図、(b)他の拡開機構32の復帰状態を示す側面図、(c)ロールペーパー7の裁断を示す側面図
【図6】閉付勢機構54及び更に他の拡開機構32を示す、(a)弾性牽引部54を示す側面図及び下面図、(b)更に他の拡開機構32を有するロールホルダ1を示す斜視図、(c)ロールペーパー7をセットするロールホルダ1を示す斜視図
【考案を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態にかかるロールホルダを具体的に説明する。特に本実施の形態は、上蓋3の後端30に、前記ロールペーパー7の繰出端70を上方に引き出し可能に開口する繰出し口4と、前記上蓋3の前後長より短く、前記ロールペーパー7以上の幅の平板状であり、作用点となる後端にカッター部52を有し、力点となる前端をペーパー入力端53とした紙切板5と、前記紙切板5の前後端間の支点となる位置に配し、前記上蓋3の前端31寄りとなる上部に、前記紙切板5の前後端をシーソーのように回動自在に一体化する揺動支持部50と、前記紙切板5のカッター部52を、前記上蓋3に接する方向に付勢する閉付勢機構54と、前記上蓋3上壁の後端30と前端31寄りの前記紙切板5との間に、前記ロールペーパー7の繰出端70の中途部を上方に浮かせて支持する浮上支持部55とを有するロールホルダ1としたものである。
【0035】
前記図1〜図4(a)に示すように、前記ロールホルダ1は、本体支持部20、及び、前記本体支持部20から、水平姿勢の対象ロールペーパー7を収容可能な左右間隔を隔てて前方に突出し、互いに対峙する左右腕22を有するホルダ本体2と、前記左右腕22間に有って前記ロールペーパー7を回転自在に支持する回転支持部23とを有する。
【0036】
前記本体支持部20は、建築物の壁面等に設置できる平板状とし、ねじ結合用の複数の取付け孔21を穿設している。前記左右腕22は、前記本体支持部20の、前記水平姿勢の対象ロールペーパー7の左右端間長を僅かに上回る左右間隔を隔てた前壁左右端の夫々より、前方に前記ロールペーパー7の半径を僅かに上回る長さに突設している。
【0037】
図1(b)に示すように、前記回転支持部23は、例えば、前記左右腕22の夫々に設けた左右一対の可撓駒230とし、前記左右の可撓駒230夫々を、前記左右腕22に対して上向きに折り畳み可能とし、水平同心上に展開するよう付勢するバネ製、ゴム製又は樹脂製等の弾性展開付勢部、及び、ストッパー部や制限壁等の水平姿勢制限部を備え、前記ロールペーパー7を下方から上方に向けて押し込むことにより、前記ロールペーパー7を回転自在に装着できる。
【0038】
図1(a),図2〜図4(a)に示すように、前記上蓋3は、前記左右腕間に回転自在に支持された場合の前記ロールペーパー7上部を覆う概略平板状とし、前端31側が、前記ロールペーパー7の周面に沿って下向きに湾曲し、垂れ下がる形状とし、前記上蓋3の後端30と前記本体支持部20の上端前壁との間に、前記ロールペーパー7の繰出端70を上方に引き出し可能とする繰出し口4を開口する。前記本体支持部20の前記繰出し口4に臨む上端には、スポンジ又はゴム等の高摩擦素材製のペーパー摩擦部6を突設し、前記繰出し口4を通過するロールペーパー7の中途部に、繰り出し及び裁断を補助する摩擦力を過不足無く伝える。
【0039】
前記紙切板5は、前記上蓋3の前後端間長の凡そ1/3〜1/4の長さとし、装着した前記ロールペーパー7の左右端間幅より左右夫々に凡そ2〜15mm程度幅広く寸法設定した平板状とできる。前記紙切板5は、作用点となる後端に、鋸刃状又は直線刃状のカッター部52を有し、力点となる前端を、保持されたロールペーパー7と平行な直線状のペーパー入力端53とする。前記紙切板5は、前記紙切板5の前後端間の支点となる位置に設けた水平軸を有する揺動支持部50を介し、前記上蓋3の前端31寄りとなる上壁に、前記紙切板5の前後端を回動自在に一体化している。
【0040】
前記閉付勢機構54は、前記紙切板5の重心51を前記揺動支持部50よりも後端(カッター部)52寄りに配している。更に、前記閉付勢機構54は、前記ペーパー入力端53に対峙する前記上蓋3の上壁に設けたコイルバネ製の圧縮バネ54とすることができる。前記圧縮バネ54が、前記ペーパー入力端53を弾性的に押し上げ、前記圧縮バネ54から前記ペーパー入力端53を離れると、前記カッター部52が重心51に重力を受けて前記上蓋3に接するまで後倒し、次に前記ペーパー入力端53に外力が加わるまで、その姿勢のまま維持する。又、前記閉付勢機構54としてのコイルバネ製の圧縮バネ54は、前記上蓋3の上壁に対峙する前記ペーパー入力端53に設けることができる。
【0041】
前記浮上支持部55は、前記上蓋3の上壁の、左右端間の中心に配し、上方に1〜3cm、より具体的には2cm程度突出し、前記ロールペーパー7の繰出端70の中途部を上方に浮かせて支持する。前記浮上支持部55は、例えば、スポンジ又はゴム等の高摩擦素材からなり、前記上蓋3の上壁の、後端30と前端31寄りの前記紙切板5のカッター部52との間の中心線と、左右端間の中心線との交点上に突設している。前記上蓋3の、前記ロールホルダ1に装着した場合の前記ロールペーパー7の後側半円上に対峙する下壁に、前記ロールペーパー7の半径に満たない前後長、及び、前記ロールペーパー7の左右端間幅に略相当する幅寸法としたペーパー摩擦部6を有する。前記ペーパー摩擦部6は、矩形板状のスポンジ又はゴム等の高摩擦素材製とし、その前端を前記上蓋3の下壁に結合し、後端を前記ロールペーパー7の周面に弾性的に当接するよう後方垂下姿勢に支持し、前記ロールペーパー7に繰り出し及び裁断を補助する摩擦力を過不足無く伝える。
【0042】
図1(a)及び図2に示すように、前記ロールホルダ1は、ホルダ本体2に対し、前記上蓋3又は前記上蓋3の後端30を進退又は着脱移動して、前記繰出し口4を一次的に拡大可能とする拡開機構32を有する。前記拡開機構32は、前記ホルダ本体2から前記上蓋3を着脱自在に分離するものとできる。例えば、前記本体支持部20の左右端上に、夫々磁性を有するステンレスや鍍金又は樹脂被膜が施された鉄等の磁性体からなる被磁着部33と、前記左右の被磁着部33に対応する前記上蓋3後端30の左右端に設けた永久磁石からなる磁着部34とを有する。
【0043】
更に、前記拡開機構32は、前記左右腕22の前端に上向きの受け口を有するU字断面形又は横転C字断面形の被嵌着部35と、前記被嵌着部35に対応する前記上蓋3の左右端に突設した嵌着部36とを有する。図2に示すように、前記左右の被磁着部33及び被嵌着部35から、前記左右の磁着部34及び嵌着部36を引き剥がして、前記ホルダ本体2から前記上蓋3を離脱できる。ロールペーパー7は、前記本体支持部20に対峙する後方から繰出端70を垂下するよう、前記回転支持部23(可撓駒230)に装着する。前記ロールペーパー7の繰出端70を下方から前方を経由して上側から後方に取り回し、前記本体支持部20の前記繰出し口4に臨む上端の上を通過するよう引き上げた後、前記上蓋3を元の位置に戻す。前記磁着部34は前記被磁着部33に吸着し、前記被嵌着部35は、前記嵌着部36を押し込むと、弾性変形して挟み込み保持する。又、前記被嵌着部35は、弾性変形せず、前記嵌着部36を係合保持できる。
【0044】
図3(a)及び図4(a)に示すように、前記繰出し口4より上方に引き出した前記ロールペーパー7の繰出端70は、前記上蓋3上の前記浮上支持部55を覆うよう配することができる。前記浮上支持部55に浮上支持した前記繰出端70は、次回、前記繰出端70を掴む際に、前記ロールホルダ1に一切触れずに済む。図3(b)に示すように、前記ロールペーパー7の繰出端70を、所望長さ引き出した上、前記紙切板5上を回り込ませ、そのまま下方に向けて引き下ろすと、前記ペーパー入力端53に、前記繰出端70側の中途部が摩擦して前記圧縮バネ54を圧縮し、前記カッター部52が、前記揺動支持部50を中心に立ち上がり、前記カッター部52が、前記ロールペーパー7の中途部を裁断する。この操作の間、利用者は片手のみで裁断操作できる。前記ロールペーパー7の裁断操作の間、前記各所に配した高摩擦素材製のペーパー摩擦部6が、前記ロールペーパー7の各箇所に摩擦力をもって接し、前記紙切板5による裁断を補助する。
【0045】
図4(b)〜図6(a)に示すように、前記拡開機構32の前記被嵌着部35及び嵌着部36は、前記上蓋3の左右端から垂下した左右脚37の下端を、前記左右腕22の前端に水平軸心回りに前倒、復帰可能、回動自在に枢着した構造に置き換えできる。前記左右脚37の少なくとも一方の前端には、前記左右脚37の前傾角度を、例えば60〜30°望ましくは45°に規制する傾斜制限部24を有する。更に、前記カッター部52が接する前記上蓋3の上壁には、前記カッター部52の先端よりも厚みのある凸条とし、前記カッター部52に他物が接するのをより確実に防止するカッターカバー部38を有する。
【0046】
図5(a)〜(c)に示すように、前記、拡開機構32は、前記被磁着部33より前記磁着部34を引き剥がし、前記左右脚37の下端を中心に前記上蓋3を、前記傾斜制限部24に当接するまで前倒し、前記繰出し口4を拡開する。拡開した繰出し口4を通じて前記ロールペーパー7の繰出端70を上方に引き出した後、前記左右脚37の下端を中心に前記上蓋3を後方に回動し、前記被磁着部33に前記磁着部34を吸着し、前記繰出し口4を狭める。上方に引き出した前記ロールペーパー7の繰出端70は、前記上蓋3の前記浮上支持部55を覆うよう配することができる。
【0047】
前記ロールペーパー7を裁断する場合は、前記浮上支持部55上の前記繰出端70側を掴み、斜め上前方に向けて所望の長さを引き出した上、前方斜め下方に引き下ろすと、前記ペーパー入力端53が押し下げられ、前記カッター部52が、前記揺動支持部50を支点に起き上がり、前記ロールペーパー7の中途部を裁断する。裁断を終えた前記紙切板5は、前記閉付勢機構54(弾性付勢部54、重心51)によって前記カッター部52が、前記上蓋3に接する姿勢に復帰する。前記カッター部52は、前記カッターカバー部38によって他物に接触しないよう保護される。
【0048】
図6(a)に示すように、前記閉付勢機構54は、弾性牽引部54に置き換えできる。前記弾性牽引部54は、例えば、ゴム紐やコイルバネ等の引張弾性素材製とすることができ、前記弾性牽引部54は、その基端を、前記上蓋3の下壁に繋着し、先端を前記紙切板5の揺動支持部50とカッター部52との間となる前記上蓋3に穿設した貫通孔を通じて、前記上蓋3の上壁側へ引き出した上、前記紙切板5のカッター部52寄りとなる下壁に繋着し、前記カッター部52を、前記上蓋3に接合する方向に弾性的に牽引する。
【0049】
又、図6(b),(c)に示すように、前記拡開機構32は、前記上蓋3を、ホルダ本体2に対して前後進退自在にスライドし、前記繰出し口4を拡開できる。前記左右腕22には前後方向に長い長孔、長溝、凸条等のスライドレール部320と、前記上蓋3の左右端にあって、前記スライドレール部320に前後スライド自在に嵌合するスライダー部321とを有する。前記左右腕22の前端付近と、これに対応する前記上蓋3の左右端とには、夫々前記被嵌着部35及び嵌着部36を有する。
【0050】
前記拡開機構32は、前記左右の被嵌着部35から嵌着部36を上方に外した上、前記上蓋3を、前記スライドレール部320に沿って前記スライダー部321を滑らせ、前方にスライドして前記繰出し口4を拡開し、前記ロールペーパー7の繰出端70を前記繰出し口4より上方に引き出した後、前記上蓋3のスライダー部321を、前記スライドレール部320に沿って後退し、前記被嵌着部35に嵌着部36を嵌合し、前記繰出し口4を元の状態に復帰できる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本考案のロールホルダは、ロールされたシート状製品を所望の長さに繰り出して裁断するから、例えば、各種ロールペーパー、各種ロールフィルム、各種ラップフィルム、各種ロール磁気テープ、各種粘着テープ等の繰り出し及び裁断等に利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 ロールホルダ
2 ホルダ本体
20 同 本体支持部
21 同 取付け孔
22 同 左右腕
23 同 回転支持部
230 同 可撓駒
24 同 傾斜制限部
3 上蓋
30 同 後端
31 同 前端
32 同 拡開機構
320 同 スライドレール部
321 同 スライダー部
33 同 被磁着部
34 同 磁着部
35 同 被嵌着部
36 同 嵌着部
37 同 左右脚
38 同 カッターカバー部
4 繰出し口
5 紙切板
50 同 揺動支持部(支点)
51 同 重心
52 同 カッター部(後端、作用点)
53 同 ペーパー入力端(前端、力点)
54 同 閉付勢機構(弾性牽引部、弾性付勢部)
55 同 浮上支持部
6 ペーパー摩擦部
7 ロールペーパー
70 同 繰出端
8 建築物の壁面
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6 
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