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【発明の名称】花器 【出願人】 【識別番号】516259505 【氏名又は名称】下村 勝清 【住所又は居所】山口県岩国市美和町黒沢68-4 【出願人】 【識別番号】523099415 【氏名又は名称】中村 修 【住所又は居所】山口県山口市阿知須2565-2 【代理人】 【識別番号】110001427 【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所 【発明者】 【氏名】下村 勝清 【住所又は居所】山口県岩国市美和町黒沢68-4 【発明者】 【氏名】中村 修 【住所又は居所】山口県山口市阿知須2565-2 【要約】 【課題】原木からなる本体部に異素材の花挿し具を組み合わせることにより、これまでにない見栄えを実現可能な花器を提供する。 【解決手段】花器1は、樹皮を有する原木が繊維方向と交差する方向に切断されてなる本体部2と、樹脂、ガラス、陶器及び磁器を含む群の中の任意の素材で構成され、水が収容可能な花挿し具3とを備えている。本体部2には、繊維方向に貫通する貫通孔21と、本体部の樹皮の表面に開口して繊維方向と交差する下方向へ貫通孔21に達するまで延びるとともに花挿し具3が挿入された状態で保持される保持孔23とが形成されている。花挿し具3の下側部分は、保持孔23に挿入された状態で貫通孔21の内方に配置される。 【選択図】図1 【特許請求の範囲】 【請求項1】 樹皮を有する原木が繊維方向と交差する方向に切断されてなる本体部と、 樹脂、ガラス、陶器、磁器及び金属を含む群の中の任意の素材で構成され、水が収容可能な花挿し具とを備えた花器であって、 前記本体部は、切断面が上下方向に延びる姿勢とされて載置面に載置され、 前記本体部には、繊維方向に貫通する貫通孔と、当該本体部の前記樹皮の表面に開口して繊維方向と交差する下方向へ前記貫通孔に達するまで延びるとともに前記花挿し具が挿入された状態で保持される保持孔とが形成され、 前記花挿し具の下側部分は、前記保持孔に挿入された状態で前記貫通孔の内方に配置されることを特徴とする花器。 【請求項2】 請求項1に記載の花器において、 前記本体部の下面は、水平方向に切断された切断面で構成されていることを特徴とする花器。 【請求項3】 請求項1に記載の花器において、 前記花挿し具は、透光性を有する素材で構成されていることを特徴とする花器。 【請求項4】 請求項1に記載の花器において、 前記貫通孔及び前記保持孔は円形であり、 前記保持孔の径方向中心部は、前記貫通孔の径方向中心部から当該貫通孔の径方向にオフセットしており、 前記保持孔の上下方向中間部は、前記本体部において前記貫通孔の外側部分に形成されていることを特徴とする花器。 【請求項5】 請求項4に記載の花器において、 前記保持孔は、前記本体部の下面に達するまで延びるとともに当該下面に開口していることを特徴とする花器。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本開示は、原木を利用した花器に関する。 【背景技術】 【0002】 例えば特許文献1には、流木又は風倒木を利用した花器が開示されている。特許文献1の花器は、流木又は風倒木を整形した本体部を有しており、花挿し具を差し込む凹部が形成された枝根を本体部に取り付けることによって構成されている。枝根は、本体部と同様に流木又は風倒木を整形してなるものである。花挿し具に花材を挿したときに花材と本体部との融和性が高められる所に枝根が配置されている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0003】 【特許文献1】 特開2001−245766号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 特許文献1では、枝根に形成された凹部に花挿し具を差し込むことにより、花材と本体部との融和性を高めるようにしているので、花材を生けた状態で花挿し具は外部から見えないようになっている。 【0005】 ところで、本体部を原木で製造する一方、花挿し具は木材から製造するのではなく、例えば樹脂やガラス等で製造し、原木からなる本体部と、原木とは異なる部材からなる花挿し具とを組み合わせた花器とすることが考えられる。このような異素材を組み合わせた花器に花材を生けることで、これまでにない見栄えを実現したいという要求がある。 【0006】 しかしながら、特許文献1の花器は、融和性を高めることが目的であることから、花挿し具を枝根の凹部に収容して隠すようにしている。このため、花挿し具を花器のデザインの一部として利用できるものではない。 【0007】 本開示は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、原木からなる本体部に異素材の花挿し具を組み合わせることにより、これまでにない見栄えを実現可能な花器を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0008】 上記目的を達成するために、本開示の一態様では、樹皮を有する原木が繊維方向と交差する方向に切断されてなる本体部と、樹脂、ガラス、陶器、磁器及び金属を含む群の中の任意の素材で構成され、水が収容可能な花挿し具とを備えた花器を前提とすることができる。前記本体部は、切断面が上下方向に延びる姿勢とされて載置面に載置される部分である。前記本体部には、繊維方向に貫通する貫通孔と、当該本体部の前記樹皮の表面に開口して繊維方向と交差する下方向へ前記貫通孔に達するまで延びるとともに前記花挿し具が挿入された状態で保持される保持孔とが形成されている。前記花挿し具の下側部分は、前記保持孔に挿入された状態で前記貫通孔の内方に配置されるようになっている。 【0009】 この構成によれば、原木を輪切りにした部材で本体部が構成されているので、本体部の両側の切断面には天然の年輪が模様を形成する一方、本体部の外周面には天然の樹皮が模様を形成する。したがって、年輪による平面的な模様と樹皮による立体的な模様とが本体部に現れることになる。一方、花挿し具は、本体部の保持孔に挿入された状態でその上下方向中間部や下側部分が貫通孔の内方に配置されることになるので、花挿し具の少なくとも一部は貫通孔を通して本体部の外部から視認可能になる。このとき、花挿し具は本体部とは異なる素材で構成されているので、年輪による平面的な模様と樹皮による立体的な模様とを有する本体部に、原木とは全く異なる素材の花挿し具が組み合わされたデザインになり、これに花材を生けることで、これまでにない見栄えを実現することが可能になる。 【0010】 前記本体部の下面は、水平方向に切断された切断面で構成されていてもよい。すなわち、原木は製材する前の木であることから特に樹皮の形状が一定ではなく、載置面に置いた際に不安定になるおそれがあるが、本態様では水平方向に延びる切断面で本体部の下面が構成されているので、本体部の下面から樹皮が除去され、載置面に置いた際に花器が安定する。 【0011】 前記花挿し具は、透光性を有する素材で構成されていてもよい。これにより、花挿し具と本体部との素材の相違がより明確になり、より特徴のあるデザインの花器にすることができる。 【0012】 前記貫通孔及び前記保持孔は円形であってもよい。この場合、前記保持孔の径方向中心部は、前記貫通孔の径方向中心部から当該貫通孔の径方向にオフセットさせることができる。また、前記保持孔の上下方向中間部は、前記本体部において前記貫通孔の外側部分に形成されていてもよい。これにより、花挿し具を貫通孔の内部において径方向にオフセットして保持することができる。このとき、保持孔の上下方向中間部が貫通孔の外側部分に形成されているので、花挿し具の一部を保持孔の上下方向中間部でも保持することができ、花挿し具がより一層安定する。 【発明の効果】 【0013】 以上説明したように、花挿し具が本体部とは異なる素材で構成されていて、花挿し具の一部が本体部の貫通孔を介して見えるので、花挿し具に花材を生けると、これまでにない見栄えを実現することができる。 【図面の簡単な説明】 【0014】 【図1】本発明の実施形態に係る花器を正面側から見た斜視図である。 【図2】本発明の実施形態に係る花器を正面側から見た分解斜視図である。 【図3】本発明の実施形態に係る花器の正面図である。 【図4】本発明の実施形態に係る花器を背面側から見た斜視図である。 【図5】本発明の実施形態に係る花器を下方から見た斜視図である。 【図6】本発明の実施形態に係る花器を背面側から見た分解斜視図である。 【発明を実施するための形態】 【0015】 以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。 【0016】 図1は、本発明の実施形態に係る花器1を正面側から見た斜視図であり、図2は、花器1の分解斜視図である。花器1は、原木で構成された本体部2と、本体部2とは別体とされた花挿し具3とを備えている。図3に示すように、花挿し具3には、花材200を挿して生けることができる。花材200は、生花であってもよいし、造花であってもよい。花挿し具3には一輪の花材200を挿してもよく、この場合、花器1は一輪挿しとなる。尚、花挿し具3には複数の花材200を挿してもよい。 【0017】 本体部2は、樹皮を有する原木が繊維方向と交差する方向に切断されてなる部材で構成されている。すなわち、製材される前の樹皮が付いたままの丸太を長手方向(繊維方向)と交差する方向に切断装置(図示せず)によって所定の厚みの板状に切断することで本体部2を得ることができる。言い換えると、樹皮を剥ぐ前の原木を輪切りにした輪切り部材により本体部2を構成することができる。本実施形態では、丸太をその長手方向と直交する方向に輪切りにした部材を本体部2としているが、これに限らず、丸太を、その長手方向に対して所定の傾斜角度を持って輪切りにした部材で本体部2を構成してもよい。 【0018】 本体部2となる原木は、特に限定されるものではなく、例えばクヌギ、コナラ、ミズナラ、オオナラ、シイ、カシ、クリ等を挙げることができ、直径が10cm以上、または15cm以上の部分を用いて本体部2とすることができる。天然の木を用いるので、外径が真円であることはなく、樹皮の凹凸等に起因して部位により直径が異なるが、例えば最小部分の直径が上記範囲であればよい。原木を輪切りにした後、例えばサンドペーパー等によって切断面を研磨することで、本体部2が得られる。また、切断面に透明な塗料を塗布してもよい。 【0019】 原木の直径は本体部2の高さに対応している。原木の最小部分の直径が10cm以上確保されていることで、本体部2に花挿し具3を保持した時に花挿し具3を保持可能な上下方向の領域を十分に広くすることができ、花挿し具3が安定して本体部2に保持される。 【0020】 本体部2の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば2cm以上、または3cm以上とすることができる。本実施形態では、本体部2の厚みを4cm以上としている。本体部2の厚みを2cm以上確保することで、図3に示すように、本体部2を載置面100に載置した状態で倒れにくくなり、安定する。 【0021】 この実施形態の説明では、各図に示すように左右方向と前後方向を定義するが、これは説明の便宜を図るためだけであり、使用時の花器1の向きを限定するものではない。例えば図1の左右方向が前後方向となるように花器1を置いて使用してもよい。また、前を正面と呼び、後を背面と呼ぶこともできる。さらに、図1の左右方向を幅方向と呼び、図1の前後方向を奥行方向または厚み方向と呼ぶこともできる。 【0022】 本体部2が原木を輪切りにした部材で構成されていることから、本体部2の前面2aと後面2bがそれぞれ切断面とされる。本体部2の全体が同じ厚みである場合には、本体部2の前面2aと後面2bが平面状でかつ互いに平行になる。本体部2の厚みは部位により異なっていてもよく、例えば上端部に近づくほど薄くなるように、また左右方向一方の端部に近づくほど薄くなるように形成されていてもよい。 【0023】 本体部2を載置面100に載置すると、本体部2の前面2aと後面2bが上下方向に延びる姿勢となる。本体部2の前面2aと後面2bには天然の年輪が見えることになり、この年輪が本体部2の前面2aと後面2bの模様となる。また、本体部2の前面2aと後面2bには、原木の髄、赤身(心材)、白太(辺材)、節、射出線、形成層、樹皮の断面等が見える。これらは天然のものであることから、本体部2の前面2aと後面2bに複雑な模様を形成する。 【0024】 本体部2の外周面2cは、天然の樹皮で構成される。この樹皮が本体部2の外周面2cの模様となる。樹皮の色や形状等は木や樹齢等によって異なり、凹凸が深い樹皮や浅い樹皮、色が濃い樹皮や薄い樹皮等がある。よって、本体部2を構成する原木によって全く異なる模様を持たせることができる。また、一般に、樹皮の色と、本体部2の前面2a及び後面2bの色とは異なっているので、本体部2の外周面2cと、本体部2の前面2a及び後面2bとのコントラストが大きくなり、本体部2の意匠が単調な意匠にならないようにすることができる。尚、各図では本体部2の外周面2cを円弧面で示しているが、上述したような凹凸が形成されていたり、湾曲していたりする。 【0025】 図3及び図5に示すように、本体部2の下面2dは、水平方向に切断された切断面で構成されている。本体部2を得る際には、上述したように原木を輪切りにするのであるが、この原木の外周部の一部を例えば繊維方向に沿って切り落とすことで、載置面100に沿って延びる平坦な下面2dを形成できる。下面2dの形成により、樹皮の一部が切除されることになる。 【0026】 本体部2の下面2dは矩形状であり、本実施形態では左右方向に長い長方形となっている。下面2dの左右方向の寸法は例えば5cm以上、または10cm以上に設定することができる。これにより、本体部2の載置面100への接触面積が広くなるので、本体部2が安定する。下面2dの奥行方向の寸法は、本体部2の奥行方向の寸法と同じである。下面2dは正方形であってもよいし、奥行方向に長い長方形であってもよい。また、樹皮の形状によっては下面2dが矩形状にならない場合もあるので、下面2dの形状はどのような形状であってもよい。尚、載置面100は、例えば机や台の上面、家具の上面、棚の上面等である。 【0027】 本体部2には、当該本体部2を構成している原木の繊維方向に貫通する第1貫通孔21及び第2貫通孔22が形成されている。繊維方向は本体部2の厚み方向及び奥行方向であることから、第1貫通孔21及び第2貫通孔22は、本体部2をその厚み方向及び奥行方向に貫通することになる。従って、第1貫通孔21及び第2貫通孔22は、それぞれ、前面2aに開口するとともに、後面2bにも開口することになる。言い換えると、第1貫通孔21及び第2貫通孔22は、それぞれ、本体部2の前面2aに開口する開口部から後面2bに開口する開口部まで延びている。したがって、本体部2を前方から見ると、第1貫通孔21及び第2貫通孔22を通して本体部2の後方を見ることができ、また本体部2を後方から見ると、第1貫通孔21及び第2貫通孔22を通して本体部2の前方を見ることができる。 【0028】 第1貫通孔21及び第2貫通孔22は、上下方向に切断した時の断面が円形となっている。第1貫通孔21の径は第2貫通孔22の径よりも大きく設定されている。第1貫通孔21の径方向中心部は、本体部2の径方向中心部から左方向にオフセットしている。よって、第1貫通孔21は本体部2の左側に偏位している。第1貫通孔21は、樹皮には達しないように形成されている。尚、第1貫通孔21は、本体部2の左右方向中央部に位置していてもよいし、右側に偏位していてもよい。 【0029】 第2貫通孔22の径方向中心部は、本体部2の径方向中心部から右方向にオフセットしている。よって、第2貫通孔22は本体部2の右側に偏位している。第2貫通孔22は、樹皮には達しないように形成されている。第2貫通孔22の径方向中心部は、第1貫通孔21の径方向中心部よりも下に位置している。第2貫通孔22の径方向中心部と、第1貫通孔21の径方向中心部とは同じ高さであってもよいし、第2貫通孔22の方が上に位置していてもよい。 【0030】 尚、第2貫通孔22は、本体部2の左右方向中央部に位置していてもよいし、左側に偏位していてもよい。第2貫通孔22は省略してもよい。また、第3貫通孔(図示せず)を本体部2に形成してもよく、貫通孔の数は2つに限られるものではない。第1貫通孔21と第2貫通孔22の断面は円形に限られるものではなく、例えば多角形状であってもよい。 【0031】 本体部2には、花挿し具3を保持するための保持孔23が形成されている。保持孔23は、本体部2の樹皮の表面に開口して繊維方向と交差する下方向へ第1貫通孔21に達するまで延びている。この保持孔23に花挿し具3を上方から挿入すると、花挿し具3が保持孔23に挿入された状態で保持される。 【0032】 保持孔23は、当該保持孔23の長手方向に直交する方向(水平方向)の断面が円形である。保持孔23の径は、後述する花挿し具3が挿入可能な径であればよく、この実施形態では、第1貫通孔21よりも小径とされている。保持孔23の径が花挿し具3より大幅に大きいと、花挿し具3を保持孔23に挿入した状態で花挿し具3が大きく傾いてしまい、内部の水が漏れてしまうおそれがあるので、水が漏れるほど花挿し具3が傾かないように、保持孔23の径が設定されている。具体的には、保持孔23の径は、花挿し具3の外径よりも1mm〜5mm程度大きく設定されている。また、花挿し具3を下へ行くほど細くなるように形成しておき、花挿し具3を保持孔23に挿入した時に花挿し具3の上下方向中間部が保持孔23の内面に接触するようにしてもよい。これにより、花挿し具3を保持孔23によって浮いたように保持できる。 【0033】 保持孔23の径方向中心部は、第1貫通孔21の径方向中心部から当該第1貫通孔21の径方向にオフセットしている。この実施形態では、本体部2を上方から見たとき、保持孔23の径方向中心部が第1貫通孔21の径方向中心部よりも右に位置している。これにより、保持孔23の中心軸X(図3に示す)が第1貫通孔21の径方向中心部を通らないように位置付けられる。 【0034】 保持孔23の上下方向中間部は、本体部2において第1貫通孔21の外側部分に形成されている。すなわち、保持孔23の上端開口部は、本体部2の上面に開口している。保持孔23は、上端開口部から下方へ向けて延び、本体部2の下面2cに達している。本体部2の下面2cには、保持孔23の下端開口部が開口しており、従って保持孔23は本体部2を上下方向に貫通する貫通孔で構成されている。 【0035】 図6に示すように、第1貫通孔21の右側の内面には、保持孔23の上下方向中間部を構成している凹面23aが形成されている。凹面23aは、左側に開放されており、凹面23aの内部空間は第1貫通孔21の内部と連通している。尚、保持孔23の下端部は、本体部2の下面2dに達していなくてもよく、本体部2の上下方向中間部に位置付けられていてもよい。 【0036】 花挿し具3は、木以外の素材で構成されており、水が収容可能な有底の筒状をなしている。花挿し具3の素材としては、例えば樹脂、ガラス、陶器、磁器及び金属を含む群の中の任意の素材を挙げることができる。樹脂、ガラス、陶器、磁器及び金属を含む群の中の任意の2以上の素材で花挿し具3が構成されていてもよい。樹脂またはガラスを用いる場合には、透光性を有する素材とすることができ、例えば無色透明な素材、有色透明な素材、乳白色や茶褐色の素材等で花挿し具3が構成されていてもよい。 【0037】 花挿し具3は上下方向に長い形状とされており、長手方向に直交する方向(水平方向)の断面が保持孔23の径よりも小さな円形となっている。花挿し具3の水平方向の断面は楕円形であってもよいし、多角形状であってもよい。花挿し具3の長さ(上下方向の寸法)は、本体部2の上下方向の寸法よりも長く設定されている。花挿し具3が保持孔23に上方から挿入されると、花挿し具3の下側部分は、保持孔23に挿入された状態で第1貫通孔21の内方に配置される。より具体的には、花挿し具3の右側の外面は、凹面23a内に配置される一方、花挿し具3の左側の外面は、第1貫通孔21の内方に配置されることになる。これにより、花挿し具3の下側部分は第1貫通孔21を通して本体部2の前側及び後側から見ることができる。尚、花挿し具3の下端部は、本体部2の下面2cに達していてもよいし、下面2cから上方に離れたところに位置していてもよい。 【0038】 保持孔23に保持された花挿し具3の上端部は、本体部2の上面から上方へ突出している。図3に示すように、花材200を花挿し具3に挿すことで、花材200を花器1に生けることができる。例えば花挿し具3の水を交換する際には、本体部2の保持孔23から花挿し具3を抜き、花挿し具3のみを移動させることができる。 【0039】 (実施形態の作用効果) 以上説明したように、本実施形態によれば、花器1の一部である本体部2が原木を輪切りにした部材で構成されているので、本体部2の前面2a及び後面2bには天然の年輪が模様を形成する一方、本体部2の外周面2cには天然の樹皮が模様を形成する。したがって、年輪による平面的な模様と樹皮による立体的な模様とが本体部2に現れることになる。一方、花挿し具3は、本体部2の保持孔23に挿入された状態でその上下方向中間部や下側部分が第1貫通孔21の内方に配置されることになるので、花挿し具3の少なくとも一部は本体部2の外部から視認可能になる。このとき、花挿し具3は本体部2とは異なる素材で構成されているので、年輪による平面的な模様と樹皮による立体的な模様とを有する本体部2に、原木とは全く異なる素材の花挿し具3が組み合わされたデザインになり、これに花材200を生けることで、これまでにない見栄えを持った花器1とすることができる。 【0040】 上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。 【産業上の利用可能性】 【0041】 以上説明したように、本開示に係る花器は、各種花材を生ける場合に利用できる。 【符号の説明】 【0042】 1 花器 2 本体部 2d 下面 3 花挿し具 21 第1貫通孔 23 保持孔 |
間伐材や剪定の枝から生まれた、樹皮と年輪が美しい一輪挿しです。 |
【図1】 |
【図2】 |
【図3】 |
【図4】 |
【図5】 |
【図6】 |
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