閉じる | ||
【発明の名称】蓋開け器具 【特許権者】 【識別番号】507000383 【氏名又は名称】東海林 博光 【住所又は居所】神奈川県川崎市宮前区菅生3−41−22 【代理人】 【弁理士】 【識別番号】100080768 【氏名又は名称】村田 実 【発明者】 【氏名】東海林 博光 【住所又は居所】神奈川県川崎市宮前区菅生3−41−22 【要約】 【課題】 使用者の体重を利用して蓋を容易かつ確実に開けられるようにする。 【解決手段】 下ベース部材1上に容器本体51の底部が着座される下受け部3が構成される。下ベース部材1の上方に、ガイド手段2,12によって上下方向にガイドされると共に使用者によって押圧操作される上ベース部材10が配設される。上ベース部材10には、下受け部3の上方に位置させて、回動部材20が上下方向軸線回りに回動可能に配設され、この回動部材20の下面に、容器の蓋52に当接される上受け部21が固定される。回動部材20の偏心位置と上ベース部材10とが、上下方向において傾斜した連結リンク40によって連結される。上ベース部材10を下方へ押圧すると、連結リンク40の水平方向での長さが変更されて、回動部材20が回動されて蓋52が開けられる。 【特許請求の範囲】 【請求項1】 上面に容器の底部が載置される下受け部が構成された下ベース部材と、 前記下ベース部材の上方に配設され、第1ガイド手段によって該下ベース部材に対して上下方向に変位可能にガイドされると共に、使用者によって下方へ押圧操作される上ベース部材と、 前記上ベース部材の下方でかつ前記下ベース部材の上方に配置され、下面に容器の蓋に当接される上受け部が構成された回動部材と、 前記上ベース部材に設けられ、前記回動部材を上下方向軸線回りに回動可能かつ上下方向に変位可能に案内する第2ガイド手段と、 前記上ベース部材が前記回動部材に対して相対的に下方に変位するときに抵抗力を発生する抵抗手段と、 一端部が前記上ベース部材に回動可能に連結され、他端部が前記回動部材のうち前記上下方向軸線と偏心した位置において回動可能に連結された連結リンクと、 を備え、 前記連結リンクは、前記回動部材のほぼ径方向に伸びると共に該回動部材に向かうにつれて下方または上方に位置するように傾斜設定されており、 前記上ベース部材が前記回動部材に対して相対的に下方へ変位するのに伴って前記連結リンクの水平方向長さが変更されることによって、該回動部材が回動される、 ことを特徴とする蓋開け器具。 【請求項2】 請求項1において、 前記第1ガイド手段が、平面視において前記回動部材を挟むようにして左右一対設けられ、 前記連結リンクが一対設けられて、平面視において、該連結リンクの一端部が前記左右一対のガイド手段付近に位置されると共に、該連結リンクの他端部が該左右一対のガイド手段を結ぶ線と直交する線上において前記回動部材に連結されている、 ことを特徴とする蓋開け器具。 【請求項3】 請求項1または請求項2において、 前記上ベース部材の上面に、使用者によって握り操作されて下方への押圧力を与えるための握り操作部が設けられている、ことを特徴とする蓋開け器具。 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、 前記下受け部が、弾性部材によって形成されて、上方に向けて開口されると共に上方に向かうにつれて徐々に拡径されるようにテーパ状とされた第1凹部を有し、 前記上受け部が、弾性部材によって形成されて、下方に向けて開口されると共に下方に向かうにつれて徐々に拡径されるようにテーパ状とされた第2凹部を有する、 ことを特徴とする蓋開け器具。 【請求項5】 請求項4において、 前記下受け部が、前記第1凹部の中心部において上下方向に貫通する第1中央貫通孔を有し、 前記下受け部は、前記下ベース部材に対して、前記第1中央貫通孔の周縁部が該下ベース部材とは離間した状態で該下ベース部材に固定されており、 前記上受け部が、前記第2凹部の中心部において上下方向に貫通する第2中央貫通孔を有し、 前記上受け部は、前記回動部材に対して、前記第2中央貫通孔の周縁部が該回動部材とは離間した状態で該回動部材に固定されている、 ことを特徴とする蓋開け器具。 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、 前記連結リンクが、前記上ベース部材と前記回動部材との少なくとも一方に対して、自在継手を介して連結されている、ことを特徴とする蓋開け器具。 【請求項7】 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、 前記連結リンクの前記上ベース部材に対する連結位置または前記回動部材に対する連結位置の少なくとも一方の連結位置が変更可能に設定されて、該連結位置変更によって、該上ベース部材を該回動部材に対して相対的に下方へ変位させたときに、該連結位置の変更前の状態に比して該回動部材が逆方向に回転される、ことを特徴とする蓋開け器具。 【請求項8】 請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、 前記連結リンクが、全体的に、前記上受け部よりも高い位置に配設されている、ことを特徴とする蓋開け器具。 【請求項9】 使用者によって下方へ押圧操作される上ベース部材と、 前記上ベース部材の下方に配設され、下面に容器の蓋に当接される上受け部が構成された回動部材と、 前記上ベース部材に設けられ、前記回動部材を上下方向軸線回りに回動可能かつ上下方向に変位可能に案内する第2ガイド手段と、 前記上ベース部材が前記回動部材に対して相対的に下方に変位するときに抵抗力を発生する抵抗手段と、 一端部が前記上ベース部材に回動可能に連結され、他端部が前記回動部材のうち前記上下方向軸線と偏心した位置において回動可能に連結されされた複数の連結リンクと、 を備え、 前記各連結リンクは、全体的に前記上受け部よりも高い位置に配設されて、前記回動部材のほぼ径方向に伸びると共に該回動部材に向かうにつれて下方に位置するように傾斜設定されており、 前記上ベース部材が前記回動部材に対して相対的に下方へ変位するのに伴って前記各連結リンクの水平方向長さが変更されることによって、該回動部材が回動される、 ことを特徴とする蓋開け器具。 【請求項10】 請求項9において、 前記上受け部が、弾性部材によって形成されて、下方に向けて開口されると共に下方に向かうにつれて徐々に拡径されるようにテーパ状とされた第2凹部を有し、 前記上受け部が、前記第2凹部の中心部において上下方向に貫通する第2中央貫通孔を有し、 前記上受け部は、前記回動部材に対して、前記第2中央貫通孔の周縁部が該回動部材とは離間した状態で該回動部材に固定されている、 ことを特徴とする蓋開け器具。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 本発明は、容器の蓋を開けるのに用いる蓋開け器具に関するものである。 【背景技術】 ビン、ペットボトル等の容器の蓋がきつく締められていると、小児や高齢者等の手指の力が弱い者にとっては、蓋を開けるのが困難が場合が往々にして生じる。このため、特許文献1、特許文献2には、ゴム等の滑りにくい材質によって環状の蓋開け器具を用いたものが提案されている。すなわち、蓋に対して環状の蓋開け器具を巻回して、蓋と蓋開け器具とを密着させつつ、蓋よりもその径方向外方側に伸びる突起部分を回すことにより、蓋に対して滑ることなく蓋を開ける方向の外力を付与するものが提案されている。 【特許文献1】 特開2006−1638号公報 【特許文献2】 特開2003−72887号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、前述した特許文献に記載のものでは、蓋開け器具と蓋とを密着させる力と蓋を開ける方向への回動力付与とは、全て手指によって行う必要があり、手指の力が極めて弱い者にとっては、きつく締められた蓋を開けることが困難な場合が依然として生じる場合がある。 本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、使用者の体重を有効に利用して、蓋を容易かつ確実にあけられるようにした蓋開け器具を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような第1の解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、 上面に容器の底部が載置される下受け部が構成された下ベース部材と、 前記下ベース部材の上方に配設され、第1ガイド手段によって該下ベース部材に対して上下方向に変位可能にガイドされると共に、使用者によって下方へ押圧操作される上ベース部材と、 前記上ベース部材の下方でかつ前記下ベース部材の上方に配置され、下面に容器の蓋に当接される上受け部が構成された回動部材と、 前記上ベース部材に設けられ、前記回動部材を上下方向軸線回りに回動可能かつ上下方向に変位可能に案内する第2ガイド手段と、 前記上ベース部材が前記回動部材に対して相対的に下方に変位するときに抵抗力を発生する抵抗手段と、 一端部が前記上ベース部材に回動可能に連結され、他端部が前記回動部材のうち前記上下方向軸線と偏心した位置において回動可能に連結された連結リンクと、 を備え、 前記連結リンクは、前記回動部材のほぼ径方向に伸びると共に該回動部材に向かうにつれて下方または上方に位置するように傾斜設定されており、 前記上ベース部材が前記回動部材に対して相対的に下方へ変位するのに伴って前記連結リンクの水平方向長さが変更されることによって、該回動部材が回動される、 ようにしてある。 上記解決手法によれば、蓋付容器の底部を下受け部に着座させ、容器の蓋に上受け部を当接させた状態で、上ベース部材に下方への力を加えると、上ベース部材が回動部材に対して相対的に下方へ変位するのに伴って連結リンクの水平方向長さが長くなって、回動部材つまり回動部材に当接された蓋が回動されて、蓋があけられることになる。上ベース部材に対する下方への押圧によって、蓋と上受け部とが強く当接され、また蓋を開ける回動力が付与されるので、上受け部と蓋とが滑ることなく蓋が確実に回動されてあけられることになる。使用者は、手指の力によって蓋を開ける必要がなく、使用者自身の体重を利用して上ベース部材を下方へ押圧するだけでよいので、容易かつ確実に蓋を開けることができる。 また、第2ガイド手段によって、回動部材つまり上受け部の動きを所定の上下方向軸線回りの回動と上下方向の動きのみに限定して、回動部材つまり上受け部が傾むいてしまう等の事態を防止して、蓋と上受け部との確実な当接および上受け部を介した蓋への確実な回動力付与を行うことができる。 さらに、抵抗手段によって、上ベース部材に対して下方への押圧力を付与したときに、この下方への押圧力を、連結リンクを利用することなく抵抗手段を介して回動部材つまり上受け部に確実に伝達して、上受け部を蓋に対して強く当接させる上で好ましいものとなる。 上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2〜請求項8に記載のとおりである。すなわち、 前記第1ガイド手段が、平面視において前記回動部材を挟むようにして左右一対設けられ、 前記連結リンクが一対設けられて、平面視において、該連結リンクの一端部が前記左右一対のガイド手段付近に位置されると共に、該連結リンクの他端部が該左右一対のガイド手段を結ぶ線と直交する線上において前記回動部材に連結されている、 ようにしてある(請求項2対応)。この場合、第1ガイド手段を左右一対設けることにより、安定して上ベース部材を上下方向に変位させつつ、左右一対の第1ガイド手段の間という広い空間を利用して、下ベース部材上に対する容器の載置、取外しを行うことができる。 前記上ベース部材の上面に、使用者によって握り操作されて下方への押圧力を与えるための握り操作部が設けられている、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、握り操作部を利用して、上ベース部材を効果的に下方へ押圧することができる。 前記下受け部が、弾性部材によって形成されて、上方に向けて開口されると共に上方に向かうにつれて徐々に拡径されるようにテーパ状とされた第1凹部を有し、 前記上受け部が、弾性部材によって形成されて、下方に向けて開口されると共に下方に向かうにつれて徐々に拡径されるようにテーパ状とされた第2凹部を有する、 ようにしてある(請求項4対応)。この場合、直径の異なる容器に対応することができる。 前記下受け部が、前記第1凹部の中心部において上下方向に貫通する第1中央貫通孔を有し、 前記下受け部は、前記下ベース部材に対して、前記第1中央貫通孔の周縁部が該下ベース部材とは離間した状態で該下ベース部材に固定されており、 前記上受け部が、前記第2凹部の中心部において上下方向に貫通する第2中央貫通孔を有し、 前記上受け部は、前記回動部材に対して、前記第2中央貫通孔の周縁部が該回動部材とは離間した状態で該回動部材に固定されている、 ようにしてある(請求項5対応)。この場合、上ベース部材に下方への押圧力が加えられたとき、下受け部および上受け部は、蓋付容器からの反力によって凹部のうち中央貫通孔付近が弾性変形されることに伴って、凹部の外周縁部付近が容器の底部あるいは蓋に対して密着する方向に変形して、各受け部と蓋付容器とを強く当接させておく状態(滑り止め状態)を確保する上で好ましいものとなる。 前記連結リンクが、前記上ベース部材と前記回動部材との少なくとも一方に対して、自在継手を介して連結されている、ようにしてある(請求項6対応)。この場合、連結リンクは、上ベース部材や回動部材に対する連結部位においては回動のみならず上下方向の揺動も加わるが、このような連結部位での動きを自在継手で吸収して、連結部位が大きな抵抗となることなく連結リンクを円滑に作動させて、回動部材の円滑な回動を確保する上で好ましいものとなる。 前記連結リンクの前記上ベース部材に対する連結位置または前記回動部材に対する連結位置の少なくとも一方の連結位置が変更可能に設定されて、該連結位置変更によって、該上ベース部材を該回動部材に対して相対的に下方へ変位させたときに、該連結位置の変更前の状態に比して該回動部材が逆方向に回転される、ようにしてある(請求項7対応)。この場合、蓋を閉める方向への大きな回動力を付与することが可能になる(蓋締め器具として利用することが可能)。 前記連結リンクが、全体的に、前記上受け部よりも高い位置に配設されている、ようにしてある(請求項8対応)。この場合、連結リンクに邪魔されることなく、容器を上ベース部材上に載置したり取外すことができる。 前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような第2の解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項9に記載のように、 使用者によって下方へ押圧操作される上ベース部材と、 前記上ベース部材の下方に配設され、下面に容器の蓋に当接される上受け部が構成された回動部材と、 前記上ベース部材に設けられ、前記回動部材を上下方向軸線回りに回動可能かつ上下方向に変位可能に案内する第2ガイド手段と、 前記上ベース部材が前記回動部材に対して相対的に下方に変位するときに抵抗力を発生する抵抗手段と、 一端部が前記上ベース部材に回動可能に連結され、他端部が前記回動部材のうち前記上下方向軸線と偏心した位置において回動可能に連結されされた複数の連結リンクと、 を備え、 前記各連結リンクは、全体的に前記上受け部よりも高い位置に配設されて、前記回動部材のほぼ径方向に伸びると共に該回動部材に向かうにつれて下方に位置するように傾斜設定されており、 前記上ベース部材が前記回動部材に対して相対的に下方へ変位するのに伴って前記各連結リンクの水平方向長さが変更されることによって、該回動部材が回動される、 ようにしてある。上記解決手法によれば、第1に、上ベース部材に関連した部品が提供される。また、第2に、容器そのものは、下ベース部材を用いることなく、例えばマット等の滑りにくい面の上に載置して、上ベース部材関連品だけを用いて、請求項1に係る発明と同様にして容器の蓋を開けることができる(下ベース部材関連品が無いだけ、簡単化される)。また、請求項8に対応した効果を奏するものともなる。 上記第2の解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項10に記載のとおりである。すなわち、 前記上受け部が、弾性部材によって形成されて、下方に向けて開口されると共に下方に向かうにつれて徐々に拡径されるようにテーパ状とされた第2凹部を有し、 前記上受け部が、前記第2凹部の中心部において上下方向に貫通する第2中央貫通孔を有し、 前記上受け部は、前記回動部材に対して、前記第2中央貫通孔の周縁部が該回動部材とは離間した状態で該回動部材に固定されている、 ようにしてある(請求項10対応)。この場合、請求項4および請求項5に対応した効果を得ることができる。 【発明の効果】 本発明によれば、手指の力が弱い者であっても、使用者の体重を有効に利用して、容器の蓋を容易かつ確実に開けることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 図1において、1は下ベース部材であり、合成樹脂、金属、木材等により剛性の高いものとして形成されている。下ベース部材1の底面は、テーブル面等の設置面Fにがたつきなく載置できるように平坦面に形成されているが、底面に脚部を設けておくこともできる。この下ベース部材1の端部からは、ガイド手段としてのガイド筒2が上方に向けて突設され、このガイド筒2は、下ベース部材1の各端部に位置するように左右一対設けられている。 下ベース部材1の上面には、左右一対のガイド筒2の間において、下受け部3が固定されている。下受け部3は、摩擦係数の大きな部材としてのゴム等の弾性部材によって構成されている。下受け部3には、上面に開口された第1凹部4が形成されており、この第1凹部4は、上方に向かうにつれて徐々に拡径するようテーパ状とされている。この第1凹部4(の内面)は、摩擦係数が大きくなるように、微細な凹凸を施したり、第1凹部4の周方向に間隔をあけて筋状の凹凸部を形成しておくことが好ましい。 下受け部3には、第1凹部4の中心部において、上下方向に貫通する第1の中央貫通孔5が形成されている。そして、下受け部3は、スペーサ6を介して、下ベース部材1の上面に接着剤等を利用して固定されている。上記スペーサ6は、実施形態では、中央貫通孔5の周囲に位置されて、中央貫通孔5を取り巻くように円環状に形成されており、下受け部3の外周縁部直近に位置されている。なお、スペーサ6は、中央貫通孔5を挟んで互いに平行な左右一対の直線状の棒状体にする等、その形状は適宜選択できるものである。 下ベース部材1の上方には、上ベース部材10が配設されている。上ベース部材10は、使用者によって下方に押圧されるもので、このため上ベース部材10の上面には、使用者によって握り操作される握り操作部11が一体化されている。この握り操作部11は、大人は勿論のこと小児が把持できる太さとされている。上ベース部材10および握り操作部11は、例えば合成樹脂や金属あるいは木材等によって十分な剛性を有するように形成されている。 上ベース部材10には、下方に伸びる左右一対のスライド軸12が一体化されている。このスライド軸12は、下ベース部材1に固定されたガイド筒2内に上下方向に摺動自在に嵌合されており、上ベース部材10を大きく上方へ変位させることによって、スライド軸12をガイド筒2から引き抜くことが可能となっている。このようなガイド筒2に対するスライド軸12の嵌合によって、上ベース部材10が下ベース部材1に対して、上下方向に円滑に変位するようにガイドされる。なお、ガイド筒2とスライド軸12とが、第1ガイド手段を構成する。 上ベース部材10の下方で、下ベース部材1の上方には、回動部材20が配設されている。この回動部材20は、平面視において円形とされて、例えば合成樹脂や金属あるいは木材等よって十分な剛性を有するように形成されている。回動部材20の下面には、上受け部21が固定されている。上受け部21は、摩擦係数の大きな部材となるゴム等の弾性部材によって構成されている。上受け部21には、下面に開口された第2凹部22が形成されており、この第2凹部22は、下方に向かうにつれて徐々に拡径するようテーパ状とされている。この第2凹部22(の内面)は、摩擦係数が大きくなるように、微細な凹凸を施したり、第2凹部22の周方向に間隔をあけて筋状の凹凸部を形成しておくことが好ましい。 上受け部21には、第2凹部22の中心部において、上下方向に貫通する第2の中央貫通孔23が形成されている。そして、上受け部21は、スペーサ24を介して、回動部材20の下面に接着剤等を利用して固定されている。上記スペーサ24は、実施形態では、中央貫通孔23の周囲に位置されて、中央貫通孔23を取り巻くように円環状に形成されており、上受け部21の外周縁部直近に位置されている。なお、スペーサ24は、中央貫通孔23を挟んで互いに平行な左右一対の直線状の棒状体にする等、その形状は適宜選択できるものである。 上受け部21の上面中心位置には、上方に向けて伸びるスライド軸30が一体化されている(図4をも参照)。このスライド軸30に対応して、上ベース部材10の下面には、下方に向けて伸びるガイド筒31が一体化され、このガイド筒31内に、スライド軸30が上下方向に摺動自在に嵌合されている。これにより、回動部材20は、傾く等のことがなく、スライド軸30(ガイド筒31)を中心とする回動と、スライド軸30(ガイド筒31)の軸線に沿う上下方向の変位とが可能となっている。なお、上記スライド軸30とガイド筒31とが、第2ガイド手段を構成する。 回動部材20に固定されたスライド軸30には、バネ受け部材32が一体化されており、このバネ受け部材32と上ベース部材10との間に、抵抗手段としてのスプリング(コイルスプリング)33が張設されている。このスプリング33によって、回動部材20は、上ベース部材10に対して、下方に向けて付勢されている。換言すれば、上ベース部材10を回動部材20に対して相対的に下方へ変位させたとき、スプリング33が圧縮作用を受けて、このスプリング33の圧縮力でもって回動部材20が下方へ押圧されるようになっている。このスプリング33の付勢力は、後述する容器の蓋に対して下方への大きな押圧力を付与するために、比較的大きく設定されている。 回動部材20は、前述した上ベース部材10から下方に伸びるスライド軸12に対して、右一対の連結リンク40によって連結されている(図2図3をも参照)。連結リンク40は、例えば金属あるいは合成樹脂によって平板状に形成されているが、ロッド状(棒状)に形成する等、その断面形状は問わないものである。連結リンク40の一端部40aが、スライド軸12に対して回動可能かつ上下方向に揺動可能に連結されている。すなわち、図6にも示すように、連結リンク40の一端部40aに形成された貫通孔41を、スライド軸12が貫通しており、この貫通孔41の直径は、スライド軸12の外径よりも若干多く設定されて、一端部40aがスライド軸12の周方向に回動可能とされると共に、上下方向にも若干揺動できるようになっている。この連結リンク40の一端部40aは、スライド軸12に固定されたストッパ部材42によってスライド軸12に対して所定以上上方へ変位するのが規制されている。この一端部40aの下方において、スライド軸12には、バネ受け部材43が一体化されている。そして、バネ受け部材43と一端部40aとの間には、弱い付勢力とされたスプリング44が張設されている。このスプリング44によって、一端部40aがストッパ部材42に当接するようにかつスライド軸12に対してがたつかないようにされている。 連結リンク40の他端部40bは、回動部材20の上面に突設されたねじ棒からなる連結ピン部45に対して、回動可能かつ上下方向に揺動可能に連結されている。すなわち、図5に示すように、連結リンク40の他端部40bには、貫通孔46が形成されて、この貫通孔46を連結ピン部45が貫通されている。そして、貫通孔46の直径は、連結ピン部45の外径よりも若干大きくされている。また、連結ピン部45には、他端部40bの上方においてワッシャからなるバネ受け部材47が嵌合されると共に、バネ受け部材47の上方においてナット48が螺合されている。そして、他端部40bとバネ受け部材47との間には、弱い付勢力を有するスプリング49が張設されている。これにより、他端部40bは、連結ピン部45に対して、回動可能かつ上下方向に若干揺動可能とされると共に、がたつきが生じないようにされている。また、ナット48を取外して、連結リンク40の他端部40bを連結ピン部45に対して着脱することが可能となっている。 連結リンク40は、その一端部40aから他端部40bに向かうにつれて、つまり回動部材20に向かうにつれて、徐々に下方に位置するように傾斜設定されている。また、連結リンク40は、全体的に、回動部材20の上面よりも高い位置に設定されて、上受け部21よりも高い位置に位置設定されている。つまり、上受け部21の側方および下方には、連結リンク40がなんら存在しないように設定されている。 平面視において(図1上方から見たとき)、左右一対の連結リンク40の詳細な配設態様が図2,図3に示される。図3において、左右一対のガイド筒2(スライド軸12)同士を結ぶ仮想線が符合αで示され、この仮想線αと直交しかつ回動部材20の中心を通る仮想線が符合βで示される。連結リンク40の一端部40a(つまりスライド軸12)は、仮想線α上に位置される。また、連結リンク40の他端部40b(つまり連結ピン部45)は、仮想線β上に位置される。そして、一対の他端部40b(連結ピン部45)は、回動部材20の中心(となるスライド軸30)を挟む対称位置に設定されている。 図2,図3は、本発明による蓋開け器具の使用前の状態での連結リンク40の配設態様となる。この使用前の状態から、上ベース部材10が回動部材20に対して相対的に下方へ変位したとき(上ベース部材10と回動部材20とが上下方向において接近したとき)、回動部材20は連結リンク40によってその周方向への回動力を受けて、図3反時計方向(左回り)に回動されて、図9の状態に変更となる。すなわち、連結リンク40によってスライド軸12と連結ピン部45とを結ぶ連結長さそのものは変更されないので、上記上下方向における接近分だけ回動部材20が連結リンク40によって押圧されて、強制的に回動されることになる。換言すれば、上ベース部材10と回動部材20との上下方向における接近によって、連結リンク40の水平方向長さが長くなって、この分、回動部材20が回動されることになる。なお、回動部材20の回動角度は、小さい角度で十分であり(きつくしまっている蓋でも、10度〜15度程度開く方向に回動させれば、その後は極めて小さい手指の力でもって開くことができるため)、例えば10度〜40度の範囲、好ましくは20度以上回動できれば十分である。 回動部材20が連結リンク40によって押圧されて回動された後の状態が、図9に示される。この図9において、スライド軸12と連結ピン部45とを結ぶ水平方向長さが符合L1あるいはL2で示されるが、符合L1が使用前の状態のときの長さであり、符合L2が、使用前の状態から水平方向長さが長くなって(L2>L1)、回動部材20が図3の状態から反時計方向(左回り)に回動された後の状態の長さを示す。なお、回動部材20の反時計方向という回動方向の設定は、一般的に容器の蓋が反時計方向に回動されることによって開けられることに対応させたものである。 次に、以上のような構成の蓋開け器具の使用例について説明する。まず、図1に示すように、一点鎖線で示す容器50の本体が51で示され、その蓋が符合52で示される。蓋52は、その上方から見たときに反時計方向に回動されることによって開けられるようになっている。 まず、上ベース部材10を十分上方に位置させた状態で、蓋52の付いた容器50の本体の底部を、下受け部3上に載置する。この後、上受け部21が蓋52の上面に当接する位置まで上ベース部材10を下方へ軽く押し下げる。この上受け部21が蓋52に当接した状態で、使用者は、握り操作部11を把持して、体重を利用して上ベース部材10を下方へ押圧する。この上ベース部材10を下方へ押圧することにより、容器50は、下受け部3と上受け部21との間で強く挟持された状態となって、容器本体51の回動が下受け部3によって阻止されつつ、回動部材20(つまり上受け部21)が反時計方向に若干回動され、これに応じて蓋52が若干反時計方向に回動されることになる。この後、容器50を取外して、蓋52を手指の力でもって開けばよい。すなわち、蓋52は、きつく締められている状態から若干の角度(例えば10度前後の角度)だけ開く方向に回動させれば、きつく締められていた状態が開放されるので、その後は、極めて小さな力でもって開くことができる。 ここで、下受け部3と上受け部21とで上下方向に軽く挟持された容器50が、上受け部21から下方への大きな押圧力を受けると、下受け部3にあっては、その第1凹部4に下方への大きな外力が加わって、この外力が加わった部分よりも径方向内方側部分は下方に向かうように弾性変形される一方、その反力によって、第1凹部4のうち外力が加わった部分よりも径方向外方側部分がその径方向中心側に向かうように弾性変形されることになる(第1凹部4の直径が小さくなるように弾性変形される)。これにより、容器本体50の底部が下受け部3によってよりしっかりと把持されることとなって、回動力を受けても容器本体50が回動されることがより確実に阻止される。 同様に、下受け部3と上受け部21とで上下方向に軽く挟持された容器50が、上受け部21から下方への大きな押圧力を受けると、上受け部21にあっては、その第2凹部22に上方への大きな外力が加わって、この外力が加わった部分よりも径方向内方側部分は上方に向かうように弾性変形される一方、その反力によって、第2凹部22のうち外力が加わった部分よりも径方向外方側部分がその径方向中心側に向かうように弾性変形されることになる(第2凹部22の直径が小さくなるように弾性変形される)。これにより、蓋52が上受け部22によってよりしっかりと把持されることとなって、回動部材20の回動力が上受け部21から蓋52へとより確実に伝達されて、蓋52をより確実に開けることができる。図8には、上受け部21に着目して、上受け部21の弾性変形によって蓋52がしっかりと把持される状態が示される。 前述した説明とは逆の場合、つまり時計方向の回動によって蓋52が開かれる場合は、例えば、左右一対の連結リンク40の他端部40bの連結ピン部45に対する連結位置を、図2,図3,図9に示す場合とは逆の関係となるように設定すればよい(例えば、図3において、右側の連結リンク40の他端部40bを図中下側の連結ピン部45に連結し、図中左方側にある連結リンク40の他端部40bを、図中上方に位置する連結ピン部45に連結するようにすればよい。また、このような連結リンク40の連結位置の変更状態は、蓋52を締める場合においても使用できる(例えば、家庭で作った料理を容器本体51に詰めた後、蓋52をきつくしめる場合に利用)。 図10は、本発明の変形例を示すもので、前記実施形態と同一構成要素には同一符合を付してその重複した説明は省略する。本実施形態では、連結リンク40の上ベース部材10に対する連結を、スライド軸12を介することなく行うと共に、自在継手(球面継手)60を介して行うようにしてある。すなわち、上ベース部材10の下面に、自在継手60における軸受部60aを固定する一方、この軸受部60aに保持された球部材60bからねじ棒からなる取付軸部60cを延出させてある。そして、連結リンク40の一端部40aを、取付軸部60cに対して、ナット61を利用して固定してある。これにより、連結リンク40は、上ベース部材10に対して、滑らかに回動かつ上下方向に揺動されることになる。このような自在継手60を利用した連結は、連結リンク40の他端部40bと回動部材20との連結部位においても行うことができる。なお、連結リンク40の一端部40aと他端部40bとのいずれか一方のみを自在継手60を用いた連結としたり、あるいは各端部40a、40bの両方共に自在継手60を用いた連結とすることもできる。そして、ナット61を取外すことにより、連結リンク40の一端部40aを自在継手60に対して着脱することが可能となっている。 ここで、図1の場合の使用例の変形として、下ベース部材1(およびこれに一体化された部品となるガイド筒2や下受け部3)を用いることなく、上ベース部材10側の部材のみを用いて蓋を開けることもできる(回動部材20、上受け部21、連結リンク40を用いる)。すなわち、容器本体51をマット等の滑りにくい面に載置した後、上受け部21を蓋52に当接させた状態で、上ベース部材10を下方へ押圧すればよい。この場合、下ベース部材1に設けたガイド筒2によるガイド作用が得られないだけで、前述した場合と同様にして蓋52を開けることができる。 以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。該1ガイド手段(ガイド筒2,スライド軸12)は、上ベース部材10の周方向に間隔をあけて3以上設けることもできる(隣合う一対のガイド手段の間隔を、容器50が出し入れし易い大きさとして確保できるようにしておけばよい)。図1において、ガイド筒2を上方に長く伸ばす一方、上ベース部材10にガイド筒2が摺動自在に貫通される貫通孔を形成しておくことにより第1ガイド手段を構成する等、ガイド手段は適宜の構成を採択できる。第2ガイド手段としてのスライド軸30、ガイド筒31を有しないものであってもよいが、回動部材20が傾くことなく安定して上下方向軸線回りに回動されるようにする上で、第2ガイド手段を設けておくのが好ましい。各ガイド共に、筒と軸との関係を逆にしてもよいものである。 連結リンク40の数を、3以上とすることができる(1つでもよいが、安定して回動部材20を回動させる上で、2以上に設定するのが好ましい)。連結リンク40の一端部40aの位置を、図3の場合とは逆の関係にして、回動部材20の回動方向を図3の場合とは逆方向に変更するようにしてもよい。連結リンク40の傾斜方向は、回動部材20に向かうにつれて、徐々に上方に位置するような傾斜設定であってもよい(連結リンク40による引張作用による回動部材20の回動となる)。連結リンク40の回動部材20に対する連結位置は、回動部材20の側面や底面とすることもできるが、容器50の出し入れの邪魔とならないように、少なくとも上受け部21よりも高い位置に連結リンク40が位置するように設定するのが好ましい。 抵抗手段となるスプリング33は、コイルスプリング以外に、ガススプリングを用いたり、ゴム等の弾性部材を用いることができる。また、上ベース部材10を下方へ押圧したときの回動部材20への下方への押圧力伝達を、連結リンク40を利用して行うことにより、スプリング33を廃止することもできる。もっともお、連結リンク40はもっぱら回動部材20に対する回動力付与用として、別途抵抗手段(としてのスプリング33)を設けておくのが好ましい。各受け部3,21は、中央貫通孔5あるいは23を有しないものであってもよく、また凹部4あるいは22を有しないものであってもよい。自在継手61としては、球面継手に限らず、適宜の構造のものを採択し得る。上受け部21と回動部材20とを、例えば硬質ゴム等の摩擦係数が大き材質によって一体成形することも可能であり、この場合、スペーサ45によって形成される隙間に相当する隙間を、一体成形品に開口部を形成することにより形成することができる。また、例えば硬質の部材からなる回動部材20に直接凹部22を形成して、この凹部22の内面に、摩擦係数が大きくて相対的に軟質のゴム等の弾性シートを貼り付けることによって上受け部21を構成するようにしてもよい。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施形態を示す全体側面図。 【図2】図1を上方から見た平面図。 【図3】図1のX3−X3線相当断面図。 【図4】回動部材に設けられたスライド軸を示す要部側面図。 【図5】回動部材と連結リンクとの連結部位の詳細を示す要部拡大図。 【図6】連結リンクと上ベース部材に設けたスライド軸との連結部位を示す要部拡大図。 【図7】上受け部を下方から見た図。 【図8】上受け部が容器の蓋に強く当接されたときに上受け部が弾性変形されている状態を示す要部断面図。 【図9】連結リンクによって回動された後の回動部材と連結リンクとを示す図で、図3に対応した図。 【図10】本発明の変形例を示す要部拡大断面図。 【符号の説明】 1:下ベース部材 2:ガイド筒(第1ガイド手段) 3:下受け部 4:第1凹部 5:第1中央貫通孔 6:スペーサ 10:上ベース部材 11:握り操作部 12:スライド軸(第1ガイド手段) 20:回動部材 21:上受け部 22:第2凹部 23:第2中央貫通孔 24:スペーサ 30:スライド軸(第2ガイド手段) 31:ガイド筒(第2ガイド手段) 33:スプリング(抵抗手段) 40:連結リンク 40a:一端部 40b:他端部 45:連結ピン部 50:容器 51:容器本体 52:蓋 60:自在継手 |
||
【図1】 |
||
【図2】 |
||
【図3】 |
||
【図4】 |
||
【図5】 |
||
【図6】 |
||
【図7】 |
||
【図8】 |
||
【図9】 |
||
【図10】 |
||
この度、私が発明した蓋開け器具は、力もいらない、こつもいらない、お年寄りでも子供でも 「片手で簡単に」固い瓶の蓋を開ける事が出来ます。 |
||
ページtop へ |