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【発明の名称】豚足スープの製造方法及び調理豚足 【出願人】 【識別番号】506000346 【氏名又は名称】石川 雅浩 【住所又は居所】福岡県筑紫郡那珂川町大字仲523−1東峰マンション503号 【代理人】 【弁理士】 【識別番号】100080160 【氏名又は名称】松尾 憲一郎 【発明者】 【氏名】石川 雅浩 【住所又は居所】福岡県筑紫郡那珂川町大字仲523−1東峰マンション503号 【要約】 【課題】 豚足を煮込んで抽出したエキスであっても、豚足特有の臭みを殆ど感じさせることがない豚足スープの製造方法、及び、豚足嫌いの者であっても、比較的抵抗なく豚足由来のコラーゲン等を摂取することができる調理豚足を提供する。 【解決手段】 豚足に含まれるタンパク質を加熱変性させるタンパク質変性工程と、前記豚足を冷却して、変性させた前記タンパク質をゲル化し、臭気成分を保持させるゲル化工程と、前記ゲル化工程でゲル化され前記臭気成分を保持したタンパク質を、前記臭気成分とともに除去する除去工程と、を有することを特徴とすることとした。 【特許請求の範囲】 【請求項1】 所定の処理を施した豚足を煮込んだ液中に、野菜類や香味具材を添加することにより豚足スープを得る豚足スープの製造方法であって、 前記所定の処理は、 前記豚足に含まれるタンパク質を加熱変性させるタンパク質変性工程と、 前記豚足を冷却して、変性させた前記タンパク質をゲル化し、臭気成分を保持させるゲル化工程と、 前記ゲル化工程でゲル化され前記臭気成分を保持したタンパク質を、前記臭気成分とともに除去する除去工程と、を有することを特徴とする豚足スープの製造方法。 【請求項2】 前記タンパク質変性工程の加熱温度は、90℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の豚足スープの製造方法。 【請求項3】 前記ゲル化工程は、変性させた前記タンパク質を含む豚足を20℃以下に冷却することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の豚足スープの製造方法。 【請求項4】 前記除去工程は、前記豚足を第3指と第4指との間で分割した後に、第3指及び第4指の基節骨及び中節骨の甲側部分と、第5指の基節骨近傍とにあるゲル化したタンパク質を除去することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の豚足スープの製造方法。 【請求項5】 豚足に所定の処理を施した調理豚足であって、 前記所定の処理は、 前記豚足に含まれるタンパク質を加熱変性させるタンパク質変性工程と、 前記豚足を冷却して、変性させた前記タンパク質をゲル化し、臭気成分を保持させるゲル化工程と、 前記ゲル化工程でゲル化され前記臭気成分を保持したタンパク質を、前記臭気成分とともに除去する除去工程であることを特徴とする調理豚足。 【請求項6】 前記タンパク質変性工程の加熱温度は、90℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の調理豚足。 【請求項7】 前記ゲル化工程は、変性させた前記タンパク質を含む豚足を20℃以下に冷却することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の調理豚足。 【請求項8】 前記除去工程は、前記豚足を第3指と第4指との間で分割した後に、第3指及び第4指の基節骨及び中節骨の甲側部分と、第5指の基節骨近傍とにあるゲル化したタンパク質を除去することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の調理豚足。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 本発明は、食しやすく、しかも、美容健康に有益な効果をもたらす豚足スープの製造方法及び調理豚足に関する。 【背景技術】 従来より、豚の四肢より得られる豚足は、加熱調理を施すことで、食品として一般に流通しており、ゼラチン質の食感と、豊富な肉汁を有することから嗜好性に富み、人気の高い食品のひとつである。 また、豚足には、コラーゲンやゼラチンが豊富に含まれており、肌のつやや張りに有益な効果をもたらすといわれることから、美容の側面からも注目されている食品ともいえる。 そこで、豚足を煮込んでエキスを液中に抽出し、スープ状の食品とする技術が知られている。 豚足を煮込んでスープ状の食品とする技術としては、例えば、鰹節、鶏ガラ、ネギ等とともに豚足を煮込んで、液中に豚足のエキス等を溶出させる方法(例えば、特許文献1参照。)や、水中に浸漬した豚足をとろ火で煮込むことにより、豚足のエキス等を含んだスープを得る方法(例えば、特許文献2参照。)が知られている。 これらの方法によれば、豚足のエキス分を含むスープ状の食品を得ることができる。 一方、豚足はガスコンロの炎や炭火などで表面を炙り、適宜切り分けて食するのが一般的である。 【特許文献1】 特開2001-238625号公報 【特許文献2】 特開2002-17311号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上記した豚足を煮込んでエキスを液中に抽出し、スープ状の食品とする技術では、豚足特有の臭みも液中に煮出すこととなり、得られたスープは官能面で劣るものであった。 特に、この豚足特有の臭みは、食欲を著しく阻害する場合があり、コラーゲン等の摂取を希望しているにもかかわらず、豚足スープを飲むことができないといった事態を招いていた。 また、豚足は、特に加工を施すことなく食されるため、従来の豚足スープと同様に、豚足特有の臭みに抵抗感を感じる場合があった。 さらに、豚足を煮た後にガスコンロの炎や炭火などで表面を炙る場合であっても、豚足から十分に臭みを除去することができず、しかも、煮汁に溶出した臭みが再び豚足の表面に付着することとなり、豚足を食する際にさらに強い臭気を感じる場合があった。 本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、豚足を煮込んで抽出したエキスであっても、豚足特有の臭みを殆ど感じさせることがなく、豚足嫌いの者であっても、比較的抵抗なく豚足由来のコラーゲン等を摂取することができる豚足スープの製造方法を提供する。 また、豚足特有の臭みを殆ど感じさせることがなく、豚足嫌いの者であっても、比較的抵抗なく豚足由来のコラーゲン等を摂取することができる調理豚足についても提供する。 【課題を解決するための手段】 上記課題を解決するために、本発明に係る豚足スープの製造方法では、所定の処理を施した豚足を煮込んだ液中に、野菜類や香味具材を添加することにより豚足スープを得る豚足スープの製造方法であって、前記所定の処理は、前記豚足に含まれるタンパク質を加熱変性させるタンパク質変性工程と、前記豚足を冷却して、変性させた前記タンパク質をゲル化し、臭気成分を保持させるゲル化工程と、前記ゲル化工程でゲル化され前記臭気成分を保持したタンパク質を、前記臭気成分とともに除去する除去工程と、を有することを特徴とすることとした。 また、以下の点にも特徴を有する。 (1)前記タンパク質変性工程の加熱温度は、90℃以上であること。 (2)前記ゲル化工程は、変性させた前記タンパク質を含む豚足を20℃以下に冷却すること。 (3)前記除去工程は、前記豚足を第3指と第4指との間で分割した後に、第3指及び第4指の基節骨及び中節骨の甲側部分と、第5指の基節骨近傍とにあるゲル化したタンパク質を除去すること。 また、本発明に係る調理豚足では、豚足に所定の処理を施した調理豚足であって、前記所定の処理は、前記豚足に含まれるタンパク質を加熱変性させるタンパク質変性工程と、前記豚足を冷却して、変性させた前記タンパク質をゲル化し、臭気成分を保持させるゲル化工程と、前記ゲル化工程でゲル化され前記臭気成分を保持したタンパク質を、前記臭気成分とともに除去する除去工程であることを特徴とした。 また、以下の点にも特徴を有する。 (4)前記タンパク質変性工程の加熱温度は、90℃以上であること。 (5)前記ゲル化工程は、変性させた前記タンパク質を含む豚足を20℃以下に冷却すること。 (6)前記除去工程は、前記豚足を第3指と第4指との間で分割した後に、第3指及び第4指の基節骨及び中節骨の甲側部分と、第5指の基節骨近傍とにあるゲル化したタンパク質を除去すること。 【発明の効果】 請求項1及び請求項5に記載の豚足スープの製造方法及び調理豚足では、所定の処理は、豚足に含まれるタンパク質を加熱変性させるタンパク質変性工程と、豚足を冷却して、変性させた前記タンパク質をゲル化し、臭気成分を保持させるゲル化工程と、ゲル化工程でゲル化され臭気成分を保持したタンパク質を、臭気成分とともに除去する除去工程と、を経るので、豚足の臭みをタンパク質のゲル内部に閉じこめた後に除去することができ、豚足特有の臭みを殆ど感じさせることのない豚足スープ及び調理豚足を提供することができる。 請求項2及び請求項6に記載の豚足スープの製造方法及び調理豚足では、タンパク質変性工程の加熱温度は、90℃以上としているので、豚足に含まれる大部分のコラーゲンを十分に熱変性させることができ、ゲルの形成をより助長して豚足特有の臭みを殆ど感じさせることのない豚足スープ及び調理豚足を提供することができる。 請求項3及び請求項7に記載の豚足スープの製造方法及び調理豚足では、ゲル化工程は、変性させたタンパク質を含む豚足を20℃以下に冷却するので、臭気成分を保持しうる緻密なゲルを形成することができて、臭気成分を十分に除去した豚足スープ及び調理豚足を提供することができる。 請求項4及び請求項8に記載の豚足スープの製造方法及び調理豚足では、除去工程は、豚足を第3指と第4指との間で分割した後に、第3指及び第4指の基節骨及び中節骨の甲側部分と、第5指の基節骨近傍とにあるゲル化したタンパク質を除去するので、豚足の臭みが強い箇所を除くことができ、豚足特有の臭みを殆ど感じさせることのない豚足スープ及び調理豚足を提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 本発明に係る豚足スープの製造方法及び調理豚足では、所定の処理は、豚足に含まれるタンパク質を加熱変性させるタンパク質変性工程と、豚足を冷却して、変性させたタンパク質をゲル化し、臭気成分を保持させるゲル化工程と、ゲル化工程でゲル化され臭気成分を保持したタンパク質を、臭気成分とともに除去する除去工程と、を有することとしている。 すなわち、豚足に含まれるコラーゲンなどのタンパク質を加熱変性させてランダムコイルとし、次いで豚足を冷却することにより、ランダムコイルとなったタンパク質同士を絡み合わせて網の目状のネットワークを形成するとともに、この網の目の中に臭気成分を保持させて、臭気成分が豚足の他の部位に拡散することを抑えながら除去を容易にしているものである。ここで、ランダムコイルとは、所定形状を保っていたタンパク質が、熱によって変性し、無秩序な形状をとっている状態をいう。 したがって、豚足特有の臭みを効率良く除去することができる。 また、タンパク質変性工程における豚足の加熱は、豚足の内部まで90℃以上となるように行っている。豚足に含まれるコラーゲンの多くは、90℃以上でランダムコイルとなりやすいので、ゲルの網の目を形成可能なコラーゲン(ランダムコイル状のコラーゲン)の量を多くすることができる。 また、ゲル化工程は、変性させてランダムコイル状としたタンパク質を含む豚足を20℃以下に冷却するようにしている。 ランダムコイル状となったタンパク質は、20℃以下に冷却することで、互いに絡み合いながらゲルを形成して安定化し、臭気成分の拡散を防ぐことができる。 また、豚足特有の臭み成分は、所定部位に集中して存在しているので、本発明に係る豚足スープの製造方法では、除去工程は、豚足を第3指(中指)と第4指(薬指)との間で分割した後に、第3指及び第4指の基節骨及び中節骨の甲側部分と、第5指(小指)の基節骨近傍とにあるゲル化したタンパク質を除去することとしている。 これにより、多くのコラーゲンを豚足に残しながら、臭気成分をできるだけ効率良く除去することができる。 次に、本発明に係る実施例について、図面を参照しながら詳説する。本実施例によれば、豚足スープと調理豚足とを同時に製造することができる。図1は、本実施例における作業工程の手順を示したフローである。以下、本フローに沿って説明を行う。 まず、豚の四肢より得られた豚足を洗浄する洗浄工程を行う(ステップS1)。洗浄工程では、豚足に付着しているゴミや汚れを除去する。 洗浄は、豚足を流水で洗い流しても良く、また、豚足を水中に浸漬して擦り洗いしても良い。 また、洗浄に用いる水は特に限定されるものではないが、飲用可能な程度に清浄であることが望ましく、また、豚足の汚れに応じて、洗剤等を含ませて洗浄するようにしても良い。 次に、豚足を加熱することで、豚足に含まれるタンパク質を変性するタンパク質変性工程を行う(ステップS2)。 図2は、タンパク質変性工程の実施例を示した説明図である。鍋11に水12を収納するとともに、豚足13を浸漬した状態を示している。 ここで、鍋11の容量は適宜選択することが可能であるが、1本の豚足13あたり約800mlの水12を必要とするので、豚足13の本数に応じた容量を備えることが好ましい。また、この場合、豚足13は水12中に十分に浸るようにすることで、豚足13に与えられる熱が均等に加わることとなり、タンパク質の変性ムラを防ぐことができる。 このように水12に浸漬した豚足13が収納されている鍋11をガスコンロに載置して、一旦沸騰させた後に、火力を弱めて中火とし、90℃以上で約1時間煮込みながら豚足に熱を加えることで豚足中のタンパク質の熱変性を行う。 ここで中火とは、豚足13を浸漬した水12が沸騰状態を維持しながらも、できるだけ弱い炎である状態のことを言い、この状態で豚足13を煮込むことにより、煮くずれを防止することができる。 また、沸騰状態を維持しながら煮込むことで、常圧下であれば、厳密な温度管理を必要とせず、目視のみで水12が90℃を上回る温度であることを確認することができる。 鍋11に加える熱の熱源は、調理時間や煮くずれ等を考慮して適宜選択することができ、例えば、ガスコンロの炎による加熱、電気コンロの電熱線による加熱、電子レンジのマイクロ波による加熱のいずれであっても良い。 本実施例では、豚足13を水12で煮込むようにしているが、この水12に少量のアルカリ剤を加えて煮込むようにしても良い。特に、豚足13の臭み成分のうち、酸性物質は、少量のアルカリ剤を加えることにより中和されて、臭みを低減することができる。また、後述するコラーゲンの抽出において、コラーゲンの溶出を助長することができるとともに、豚足13表面に生えている毛を柔らかくすることで、毛の除去を容易にすることができる。 ここで用いるアルカリ剤は、食用であれば特に限定されるものではなく、例えば重曹(炭酸水素ナトリウム)を0.05〜1g/L、好ましくは、0.1〜0.8g/L、更に好ましくは0.3〜0.5g/Lの濃度となるように添加しても良い。 また、この水12には、少量の塩類を添加してもよい。豚足に含まれるコラーゲンやエラスチンは、塩溶性のタンパク質であることから、塩類を添加することにより、これらの塩溶性タンパク質が変性・溶解して、豚足内部でのゲル形成を促進するとともに、コラーゲンやエラスチン等の溶出を促進することができる。 また、アルカリ剤は、豚足臭の原因となる臭気成分を変性させて、豚足臭を緩和し、臭みを低減することができる。これは、豚足臭の原因物質がアルカリ剤によって変化し、ヒトが臭気を感じる閾値以下になるためであると考えられる。 この際、塩類としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム等、通常食品として使用される塩類を用いることができ、0.1〜0.5M、好ましくは0.2〜0.3Mの濃度となるように添加しても良い。0.1Mを下回る濃度であると、ゲル形成の促進や塩溶性タンパク質の溶出効果を生起することが困難となり、0.5Mを超える濃度とすると、塩味が強くなり官能に悪影響を与えるおそれがある。 さらに、上述のアルカリ剤と塩類とを併用して使用するようにしても良い。アルカリ剤と塩類とを併用することにより、より効率よくタンパク質を変性させることができる。 次に、タンパク質変性工程を経た豚足13を冷却して、豚足13に含まれる変性したタンパク質をゲル化するゲル化工程を行う(ステップS3)。 図3は、本実施例におけるゲル化工程を示す説明図である。ここでは、鍋11に水12と氷14とを収納するとともに、タンパク質変性工程を経た豚足13を浸漬して20℃以下に冷却を行うことで、豚足13中に含まれるタンパク質のゲル化を行っている。 このように、豚足13を冷却し、タンパク質のゲル化を行うことにより、豚足13の臭気成分(特に臭み成分)をゲル中に捕捉して、臭気成分が他の部位へ拡散するのを抑えつつ、後述の工程での臭気成分の除去を容易とすることができる。 図3では鍋11に氷14を加えることで、豚足13の冷却効果を高めるようにしているが、特に必須のものではなく、必要に応じて添加することができるのは勿論のこと、鍋11に20℃以下の流水を供給し、鍋11から水12をオーバーブローさせながら豚足13を冷却するようにしても、効率良く豚足13を冷却することができる。 豚足13を20℃以下に冷却することにより、ランダムコイル状となったタンパク質が互いに絡み合いながらゲルを形成して安定化するとともに、このゲル中に豚足13独特の臭み成分を捕捉して、臭み成分が豚足13の他の部位に拡散することを防ぐことができる。 次に、冷却した豚足13の所定部位を取り除いて、豚足13が有する臭みを除去する除去工程を行う(ステップS4)。 図4は、豚足13の左側前肢の肉部分を省略し、骨格部分のみを示した説明図である。豚足13は、主に4本の指で構成されており、ヒトの人差指にあたる第2指21と、中指にあたる第3指22と、薬指にあたる第4指23と、小指にあたる第5指24を備えている。 また、各指は、足首(手首)側から指先方向へ順に、中手骨、基節骨、中節骨、末節骨で構成されており、各骨同士は軟骨を介して接続されている。 本工程では、まず、豚足13を長手方向に2分割する。すなわち、図4に示す破線Aのように、第3指22と第4指23との間を切断し、主に第2指21及び第3指22から構成される中指側断片26と、主に第4指23及び第5指24から構成される薬指側断片27とに切り分ける。 図5は、豚足13を切り分けて得られた中指側断片26の指先を左側に向け、断面側から見た状態を示した図である。 この中指側断片26では、第3指中節骨32及び第3指基節骨33の甲側部分近傍である部位Bの肉を除去する。部位Bの除去に用いる用具は、特に限定されるものではないが、包丁やペティナイフなどでえぐり取るようにすると良い。 ここで、部位Bの除去は、できるだけ狭い範囲で除去しても良い。部位Bをできるだけ狭い範囲としながら除去することで、豚足13に付着しているコラーゲンを抽出可能な肉の量を多く保つことができる。 また、部位Bの除去は、できるだけ広い範囲で除去しても良い。部位Bをできるだけ広い範囲としながら除去することで、豚足13の臭みをより多く、確実に除去することができる。 一方、図6は豚足13を切り分けて得られた薬指側断片27の指先を左側に向け、断面の反対側から(小指側から)見た状態を示した図である。 この薬指側断片27では、第4指中節骨42及び第4指基節骨43の甲側部分近傍である部位Cの肉と、第5指24の指の股の部分である、第5指中節骨46及び第5指基節骨47近傍である部位Dの肉を除去する。部位C及びDの肉の除去に用いる用具は、部位Bの肉の除去と同様に、特に限定されるものではなく、包丁やペティナイフなどでえぐり取るようにすると良い。 ここで、部位C及びDの除去は、できるだけ狭い範囲で除去しても良い。部位C及びDをできるだけ狭い範囲としながら除去することで、豚足13に付着しているコラーゲンを抽出可能な肉の量を多く保つことができる。 また、部位C及びDの除去は、できるだけ広い範囲で除去しても良い。部位C及びDをできるだけ広い範囲としながら除去することで、豚足13の臭みをより多く、確実に除去することができる。 このように、豚足に含まれるタンパク質をゲル化し、さらに、部位B、C、Dの肉を除去することにより、豚足の臭み成分の拡散を防止しながら、臭み成分が集中している部位を確実に除去することができ、豚足の臭みを抑えた豚足スープを製造することができる。 部位B、C、Dを除去した各断片26、27は、除去部位を水洗いすることで、より豚足の臭みを抑えることができる。 また、各断片26、27の表面に生えている毛を除去しても良い。毛の除去はカミソリ等の鋭利な刃物を用いることにより、見た目をきれいに毛の除去を行うことができる。 次に、部位B、C、Dを除去した各断片26、27を用いて、コラーゲンを抽出するコラーゲン抽出工程を行う(ステップS5)。 本工程では、図2に示す豚足13を各断片26、27に置き換えて鍋11に収納するとともに、水12で浸漬し、加熱しながらコラーゲンを抽出する。 ここで、各断片26、27は、水12中に十分に浸るようにすることで、熱が均等に加わることとなり、各断片26、27から万遍なくコラーゲンを抽出することができる。 このように水12に浸漬した各断片26、27が収納されている鍋11をガスコンロに載置して、一旦沸騰させた後に、火力を弱めて中火とし、90℃以上で約1時間煮込みながら各断片26、27に熱を加えることで各断片26、27中のコラーゲンを水12中に溶出させて、抽出液15を調製する。 なお、鍋11に加える熱の熱源は、調理時間や煮くずれ等を考慮して適宜選択することができ、例えば、ガスコンロの炎による加熱、電気コンロの電熱線による加熱、電子レンジのマイクロ波による加熱のいずれであっても良い。 そして、約1時間煮込んだ後に、鍋11の抽出液15から、固形分である各断片26、27を取り出す。 次に、抽出液15から取り出した各断片26、27の表面を炙って、調理豚足を調製する炙り工程を行う(ステップS6)。各断片26、27を炙るための熱源は、各断片26、27の表面に若干の焦げ目を付けることができるものであれば特に限定されず、ガスコンロの炎でもよく、また、炭火で炙るようにしても良い。 このように、各断片26、27を調理する場合は、例えば、塩等で調味した後に、焼き色が付く程度に弱火で表面を焼くことで、調理豚足を調製することができ、おいしく食することができる。しかも、本発明に係る調理豚足は、既に臭み成分が集中している箇所(部位B、C、D)が除去してあるので、豚足が苦手な人であっても、比較的抵抗無く食することができる。 次に、各断片26、27から溶出したコラーゲンを含む抽出液15に野菜や香味具材を加えて、嗜好性を高める野菜・調味具材添加工程を行う(ステップS7)。 図7は、野菜・調味具材添加工程における鍋11の様子を示した図であり、鍋11中には、抽出液15と、野菜16と、香味具材17とが収納されている。 ここで、野菜16は、嗜好に合わせて適宜選択することができ、例えばキャベツなどを入れると良い。 また、香味具材17についても、嗜好に合わせて適宜選択することができ、例えば、長ネギ、玉ネギ、ショウガ、ニンニク、しその葉などを入れると良い。 本実施例では、抽出液15に野菜16としてキャベツ、香味具材17としてショウガ、ニンニク、玉ネギを添加した後、約10分間中火で煮込み、さらに、香味具材17として長ネギ、しその葉を添加して約5分間煮込んだ。 次に、これらの野菜16と、香味具材17と、抽出液15とを分離する濾過工程を行う(ステップS8)。 図8は、鍋11に収納していた野菜16と、香味具材17と、抽出液15とをざる18にあけて濾過し、別途準備しておいた鍋11に抽出液15を得る状態を示している。 なお、本ステップS8は、所望する豚足スープの完成状態に応じて適宜省略することができる。すなわち、本ステップS8を省略することで、豚足スープと共に野菜16や、香味具材17の食感や味を楽しむことができる。一方、本ステップS8を行う場合は、具材を含まず、シンプルで見た目がきれいな豚足スープとすることができる。 次に、濾過した抽出液15に調味料を添加して豚足スープを調製する調味工程を行う(ステップS9)。 本工程で使用する調味料は、特に限定されるものではないが、例えば、塩や旨味調味料などを使用しても良い。 上述してきたように、本発明に係る豚足スープの製造方法及び調理豚足によれば、豚足に独特の臭みを抑えることができるので、豚足の苦手な人であっても抵抗無く豚足由来のコラーゲンを摂取することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係る豚足スープの製造方法の実施例における作業工程の手順を示したフローである。 【図2】本発明に係る豚足スープの製造方法のタンパク質変性工程の実施例を示した説明図である。 【図3】本発明に係る豚足スープの製造方法のゲル化工程の実施例を示す説明図である。 【図4】豚足の左側前肢の肉部分を省略し、骨格部分のみを示した説明図である。 【図5】豚足を切り分けて得られた中指側断片の説明図である。 【図6】豚足を切り分けて得られた薬指側断片の説明図である。 【図7】本発明に係る豚足スープの製造方法の野菜・調味具材添加工程における鍋11の様子を示した説明図である。 【図8】本発明に係る豚足スープの製造方法の濾過工程を示した説明図である。 【符号の説明】 13 豚足 16 野菜 17 香味具材 22 第3指 23 第4指 24 第5指 32 第3指中節骨 33 第3指基節骨 42 第4指中節骨 43 第4指基節骨 47 第5指基節骨 S2 タンパク質変性工程 S3 ゲル化工程 S4 除去工程 |
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【図1】 |
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【図2】 |
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【図3】 |
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【図4】 |
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【図5】 |
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【図6】 |
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【図7】 |
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【図8】 |
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