閉じる
飲食・調理
 
【発明の名称】食べこぼし防止用盆
【特許権者】
【識別番号】598071194
【氏名又は名称】東谷 藤太郎
【住所又は居所】長崎県松浦市福島町大字浅谷免350番地
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100099508
【氏名又は名称】加藤 久
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100116296
【氏名又は名称】堀田 幹生
【発明者】
【氏名】東谷 藤太郎
【住所又は居所】長崎県北松浦郡福島町大字浅谷免350番地
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板が側壁部により囲まれ、食物を載せた状態で食台上に配置される盆本体と、
この盆本体の底面下にスライド可能に装着され、前記食台上に配置された盆本体の上に前記食物を載せたままの状態で手前に引き出され、食台と人との間の隙間を塞ぐ食べこぼし受け用部材と
を備えた食べこぼし防止用盆。
【請求項2】
前記食べこぼし受け用部材は、可撓性を有するものとした請求項1記載の食べこぼし防止用盆。
【請求項3】
前記食べこぼし受け用部材は、前記スライド方向の側壁部を備え、
前記盆本体の前記食べこぼし受け用部材のスライド方向と平行な底板の2辺に形成された側壁部は、前記食べこぼし受け用部材の側壁部と嵌合するものである
請求項1または2に記載の食べこぼし防止用盆。
【請求項4】
前記食べこぼし受け用部材の側壁部は、この側壁部に可撓性を持たせるためにこの側壁部上端から前記食べこぼし受け用部材の底部に向かって切り込みが形成されたものである請求項3記載の食べこぼし防止用盆。
【請求項5】
前記盆本体は、同盆本体の側壁部の外側下部に、同盆本体の底面下と前記食べこぼし受け用部材との間に隙間を形成するための脚部を備えた請求項3または4に記載の食べこぼし防止用盆。
【請求項6】
前記食べこぼし受け用部材の奥行きは、前記盆本体の奥行きよりも長いことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の食べこぼし防止用盆。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、食物を載せる盆に係り、より詳しくは、食事の際の食べこぼし防止機能を備えた食べこぼし防止用盆に関する。
【背景技術】
食台にて食事をする際、食台と人との間に必ず隙間ができる。そのため、食物を食台上から口まで運ぶ際に食べこぼしが生じると、食べこぼした食物が衣服や床等の上に落ち、これらを汚すことになる。従来、このような食べこぼしによる衣服等の汚染防止のために、首から前掛けをして食事するなどしているが、この前掛けだけでは食べこぼした食物を完全に受けきれず、衣服等の上に落ちることも多い。
ところで、食事の際には食物を盆に載せて取ることも多い。盆としては、例えば、特許文献1に記載のように、本体の枠内にスライド部材の側部枠が摺動自在に挿入された伸縮自在な盆が知られている。この伸縮自在な盆は、収納時には縮ませてコンパクトに圧縮できるので収納に便利であるとともに、大きな物を置く場合には大きく拡大させることができるので大きなものを載せるのに有利である。
【特許文献1】
実開昭48−20778号公報(明細書第2−3頁、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、食台にて食事をする際、食台と人との間に必ず隙間ができるので、食べこぼしが発生すると衣服や床等を汚染してしまうという問題がある。本発明は、この食べこぼしによる衣服や床等の汚染を防止することが可能な食べこぼし防止用盆を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
本発明の食べこぼし防止用盆は、食物を載せる盆本体と、この盆本体の底面下にスライド可能に装着される食べこぼし受け用部材とを備えたものである。この食べこぼし防止用盆では、スライド可能な食べこぼし受け用部材が盆本体の底面下に装着されているので、盆本体の上に食物を載せたままの状態で食べこぼし受け用部材のみを手前に引き出すことができる。なお、前述の特許文献1に記載の伸縮自在な盆は、盆本体の底面上で摺動するので、盆本体の上に食物を載せたままの状態で伸縮させることは不可能である。
ここで、本発明の食べこぼし防止用盆は、食べこぼし受け用部材が、可撓性を有するものであることが望ましい。これにより、食べこぼし受け用部材を手前に引き出した状態で不意に食べこぼし受け用部材に手や腕を載せたり、押したりした際に、食べこぼし受け用部材のみが撓むようになり、食物が載っている盆本体が傾いたりすることがなくなる。
また、本発明の食べこぼし防止用盆において、食べこぼし受け用部材は、スライド方向の側壁部を備え、盆本体は、周縁部に食べこぼし受け用部材の側壁部と嵌合する側壁部を備えた構成とすることができる。これにより、食べこぼし受け用部材の側壁部と盆本体周縁部の側壁部とが嵌合し、摺動するので、食べこぼし受け用部材はこれらの食べこぼし受け用部材の側壁部と盆本体周縁部の側壁部とによりガイドされてスライドする。
また、食べこぼし受け用部材の側壁部は、この側壁部に可撓性を持たせるためにこの側壁部上端から食べこぼし受け用部材の底部に向かって切り込みが形成されたものであることが望ましい。これにより、食べこぼし受け用部材を手前に引き出した状態で不意に食べこぼし受け用部材に手や腕等を載せたり、押したりした際に、この側壁部の切り込み部分が開いて食べこぼし受け用部材が撓むようになり、食物が載っている盆本体が傾いたりすることがなくなる。
また、本発明の食べこぼし防止用盆は、盆本体が、盆本体の側壁部の外側下部に、盆本体の底面下と食べこぼし受け用部材との間に隙間を形成するための脚部を備えたものであることが望ましい。これにより、食べこぼし防止用盆を食台上へ置いた際、盆本体と食べこぼし受け用部材との間に隙間が形成される。
また、本発明の食べこぼし防止用盆は、食べこぼし受け用部材の奥行きが、盆本体の奥行きよりも長くなるように形成することが望ましい。これにより、食べこぼし受け用部材を盆本体から引き出した際、食べこぼし受け用部材のより多くの部分が盆本体の底面下に残ることになり、重心位置が盆本体側に寄る。
【発明の効果】
(1)食物を載せる盆本体と、この盆本体の底面下にスライド可能に装着される食べこぼし受け用部材とを備えたことにより、盆本体の上に食物を載せたままの状態で食べこぼし受け用部材のみを手前に引き出し、食台と人との間の隙間をこの引き出した食べこぼし受け用部材により塞ぐことができる。すなわち、この食べこぼし受け用部材により食べこぼした食物を受け止めることで、食べこぼした食物が衣服や床等の上に落ちることを防止し、食べこぼした食物による衣服や床等の汚染を防止することが可能となる。
(2)食べこぼし受け用部材が、可撓性を有するものであることにより、食べこぼし受け用部材を手前に引き出した状態で不意に食べこぼし受け用部材に手や腕を載せたり、押したりした際に、食べこぼし受け用部材のみが撓むようになるので、食物が載っている盆本体が傾いたりすることがなくなり、盆本体が転倒するのを防止することができる。
(3)食べこぼし受け用部材が、スライド方向の側壁部を備え、盆本体が、周縁部に食べこぼし受け用部材の側壁部と嵌合する側壁部を備えた構成により、食べこぼし受け用部材が食べこぼし受け用部材の側壁部と盆本体周縁部の側壁部とによりガイドされてスライドするので、食べこぼし受け用部材の引き出しおよび押し戻しをスムーズにすることが可能となる。
(4)食べこぼし受け用部材の側壁部が、この側壁部に可撓性を持たせるためにこの側壁部上端から食べこぼし受け用部材の底部に向かって切り込みが形成されたものであることにより、食べこぼし受け用部材を手前に引き出した状態で不意に食べこぼし受け用部材に手や腕等を載せたり、押したりした際に、この側壁部の切り込み部分が開いて食べこぼし受け用部材が撓むようになるので、食物が載っている盆本体が傾いたりすることがなくなり、盆本体が転倒するのを防止することができる。
(5)盆本体が、盆本体の側壁部の外側下部に、盆本体の底面下と食べこぼし受け用部材との間に隙間を形成するための脚部を備えたものであることにより、食べこぼし防止用盆を食台上へ置いた際、食べこぼし受け用部材がスライドしやすくなる。
(6)食べこぼし受け用部材の奥行きが、盆本体の奥行きよりも長くなるように形成することにより、食べこぼし受け用部材の重心位置が盆本体側に寄るので、食べこぼし受け用部材を盆本体から引き出した際に、食べこぼし受け用部材が盆本体から抜け落ちにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
図1は本発明の実施の形態における食べこぼし防止用盆の斜視図、図2は図1の食べこぼし受け用部材を盆本体に収納した状態を示す斜視図、図3は盆本体の斜視図、図4は食べこぼし受け用部材の斜視図、図5は図2のA−A断面図である。
図1および図2に示すように、本発明の実施の形態における食べこぼし防止用盆1は、食物を載せる盆本体2と、盆本体2の底面下にスライド可能に装着された食べこぼし受け用部材(以下、「受け部材」と称す。)3とから構成される。なお、盆本体2および受け部材3の材質は、プラスチックス、金属や木等のいずれでも良い。
盆本体2は、矩形状の平板からなる底板20の周縁部の4辺にそれぞれ側壁部21,22を備える。側壁部21は、受け部材3のスライド方向と平行な底板20の2辺に形成された壁部であり、図5に示すように、下方へ向かって開口した溝部24を有する。また、側壁部21の外側下部には、底板20の下方に受け部材3との隙間を形成するための脚部23を備える。側壁部22は、受け部材3のスライド方向と直角な底板20の2辺に形成された壁部である。側壁部22には、側壁部21の溝部24へ受け部材3を挿入するための開口部25が形成されている。
受け部材3は、矩形状の平板からなる底板30の周縁部の3辺にそれぞれ側壁部31,32を備える。側壁部31は、受け部材3のスライド方向と平行な底板30の2辺に形成されたリブであり、図5に示すように、盆本体2の側壁部21の溝部24と嵌合する。側壁部32は、底板30の残りの2辺のうちの1辺に形成されたリブであり、使用時には盆本体2の手前側に配置される。
上記構成の食べこぼし防止用盆1は、次のようにして使用する。図6は食べこぼし防止用盆1の使用状態を示す平面図、図7は側面図である。
まず、食べこぼし防止用盆1の盆本体2の底板20上に食物を盛り付けた食器4a,4b,4c,4dを載せ、食台5上まで運ぶ。このとき、食べこぼし防止用盆1の受け部材3は図2に示す収納状態としておく方が作業しやすい。そして、食事をする人6は食台5の前に座るが、このとき、食台5と人6との間には隙間7が必ず生じる。そこで、人6は、食べこぼし防止用盆1の受け部材3を手前に引き出し、受け部材3の側壁部32を体に接触させる。
これにより、食台5と人6との間の隙間7が、引き出した受け部材3により塞がれるので、人6が食べこぼした食物は、この受け部材3の側壁部31,32および盆本体2の側壁部22により囲まれた底板30上へ落ち、受け止められる。したがって、人6が食べこぼした食物が衣服や床等の上に落ちることがなくなり、食べこぼした食物による衣服や床等の汚染を防止することができる。
また、この食べこぼし防止用盆1は、スライドする受け部材3が盆本体2の底面下に装着されているので、盆本体2の上に食器4a〜4dを載せたままの状態で受け部材3を手前に引き出すことが可能である。また、食事後についても、受け部材3を盆本体2側へ押し戻して収納してから離席することが可能なため、受け部材3が邪魔になることがない。
なお、本実施形態において受け部材3のスライド方向の奥行きは、盆本体2よりも長く形成されており、図2に示すように収納状態において盆本体2の奥側から突出している。したがって、受け部材3を盆本体3から引き出した際、受け部材3の多くの部分が盆本体2の底面下に残ることになる。これにより、受け部材3の重心位置が盆本体2側に寄るので、受け部材3を盆本体2から引き出した際、受け部材3が盆本体2から抜け落ちにくい。
また、受け部材3をスライドさせる際には、受け部材2の側壁部31が、盆本体2の側壁部21の溝部24によりガイドされるので、受け部材3の引き出しおよび押し戻しをスムーズに行える。また、本実施形態においては、盆本体2の側壁部21の外側下部に、盆本体2の底面下と受け部材3との間に隙間を形成するための脚部23を備えるので、受け部材3をスライドしやすい。
なお、図示しないが、脚部23の底面に盆本体2を食台5上へ固定するための吸盤等の吸着部材を設ける構成とすることも可能である。また、脚部23の幅は、盆本体2の安定のためには2〜3cm程度が適切であるが、これに限らず何cmでも良い。また、脚部23の裾を、受け部材3を巻き込んで盆本体2の底面下に配設することも可能である。また、盆本体2および受け部材3の形状は矩形状に限らず、様々な形状とすることができる。
また、図8に示すように、受け部材3の側壁部31に、可撓性を持たせるために側壁部31の上端から受け部材3の底板30に向かって切り込み33を形成することもできる。この切り込みにより、側壁部31が可撓性を有するようになり、図9の(a)および(b)に示すように、受け部材3を手前に引き出した状態で受け部材3を下方へ押した際に、側壁部31の切り込み部分が開いて受け部材3が撓むようになる。これにより、不意に受け部材3に手や腕等を載せたり、手や腕等で突いたり、押したりした際に、食物が載っている盆本体2が傾いたりすることがなくなり、盆本体2や食器4a〜4dが転倒したり、食器4a〜4d上の食物がこぼれたりするのが防止される。
なお、側壁部31に形成する複数の切り込み33は、例えば3〜5cm間隔として側壁部31の全体に設けたり、受け部材3から手前に引き出される部分の一部に設けたりすることができる。要するに、受け部材3を手前に引き出した状態で受け部材3を下方へ押した際に、側壁部31の切り込み部分が開いて受け部材3が撓めばよい。また、切り込み33の深さは底板30から例えば1〜2cm程度の位置まで形成して、受け部材3が食べこぼしを受け止められる程度に水平となる強度を保てるようにすることが望ましい。また、受け部材3自身が可撓性を有する素材により形成されている場合には、切り込み33を省略することも可能である。
【産業上の利用可能性】
本発明の食べこぼし防止用盆は、食物を載せるための盆として有用である。特に、本発明の食べこぼし防止用盆は、食事の際の食べこぼし防止機能を備え、食べこぼしによる衣服や床等の汚染を防止することが可能な盆として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における食べこぼし防止用盆の斜視図である。
【図2】図1の食べこぼし受け用部材を盆本体に収納した状態を示す斜視図である。
【図3】盆本体の斜視図である。
【図4】食べこぼし受け用部材の斜視図である。
【図5】図2のA−A断面図である。
【図6】食べこぼし防止用盆の使用状態を示す平面図である。
【図7】食べこぼし防止用盆の使用状態を示す側面図である。
【図8】食べこぼし受け用部材の別の実施形態を示す斜視図である。
【図9】図8の食べこぼし受け用部材の作用説明図であって、(a)は通常の使用状態を示す図、(b)は受けこぼし受け用部材を下方へ押した状態を示す図である。
【符号の説明】
1 食べこぼし防止用盆
2 盆本体
20 底板
21,22 側壁部
23 脚部
24 溝部
25 開口部
3 受け部材
30 底板
31,32 側壁部
33 切り込み
4a,4b,4c,4d 食器
5 食台
6 人
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
【図9】
図9
ページtop へ