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飲食・調理
 
【考案の名称】水道水用水処理装置
【実用新案権者】
【識別番号】309038432
【氏名又は名称】東 展男
【住所又は居所】大阪府箕面市桜ケ丘4丁目17番20号
【代理人】
【識別番号】100085316
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 三雄
【代理人】
【識別番号】100171572
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 哲也
【代理人】
【識別番号】100213425
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 正憲
【考案者】
【氏名】東 展男
【住所又は居所】大阪府箕面市桜ケ丘4丁目17番20号
【要約】 (修正有)
【課題】単一の装置でスケールの付着防止及び除去を可能とする水道水用水処理装置を提供する。
【解決手段】水管の外表面に巻回されたコイル3と、該コイルに、3.6〜7.5KHzの範囲の周波数領域で連続的に周波数の変化を反復する方形波の交流電流を流す電源部2と、周波数領域を調整できる周波数領域調整部4を備えた。
【選択図】図2
選択図
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
水管の外表面に巻回されたコイルと、
該コイルに、一定範囲の周波数領域で連続的に周波数の変化を反復する方形波の交流電流を流す電源部と、
前記周波数領域を、3.6KHz〜7.5KHzの領域に調整する周波数領域調整部と、を備える
ことを特徴とする水道水用水処理装置。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、水管中に存在するカチオン凝集体の微細化により水管内面等へのスケール付着の防止及び除去を目的とする水道水用水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家屋、店舗、又はビル等の建物への給水及び排水をする水管中に流れる水道水中にはカルシウムイオン、及びマグネシウムイオン等が凝集して形成したカチオン凝集体が存在しており、これらのカチオン凝集体が水管内面や建物内の水周りに析出することで、水垢、ぬめり、又は尿石等のスケールが付着し、汚れや匂いの原因となっていた。
【0003】
従来は、個々のスケールの種類に対応した除去剤を水管中に投入してスケールの除去や付着防止策を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開平10−235395
【特許文献2】実登3030559号
【考案の概要】
【考案が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このようにスケールの種類ごとに別々の除去剤を準備することは費用がかかるだけでなく、効果が一時的であるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、前記課題を解決するために考案された本考案に係る水道水用水処理装置は、水管の外表面に巻回されたコイルと、該コイルに、一定範囲の周波数領域で連続的に周波数の変化を反復して方形波を示す交流電流を流す電源部と、3.6KHz〜7.5KHzの領域に調整する周波数領域調整部を備えることを特徴とする。
【0007】
コイルを巻回する水管は給水管でも排水管でもよいが、給水管に巻回することが好ましい。給水管に巻回することによって、建物内に供給される前の水道水を処理することができ、水管内面及び建物内の水周り(以下、水管内面等ということがある。)へのスケールの付着防止及び除去を一括して行うことができるからである。ここで、建物内の水周りとは、排水口、トイレ、蛇口の外表面等の一般に給水管から放出される水が付着する部分全て指すものである。
【0008】
コイルに交流電流を流すことによって、水管中に変調電場が誘起され、この変調電場が水管中を流れる水道水中に存在するカチオン凝集体に作用することにより、カチオン凝集体を微細化してカチオンクラスターを形成する。水道水中に存在する塩素イオンや硫化物
イオン等のアニオンがカチオンクラスターに付着し、カチオンクラスターの表面はアニオンで覆われる。アニオンで覆われたカチオンクラスターは表面がマイナスに帯電しており水管内面等に付着しにくい性質を付加するため、スケールの形成を防ぐことができる。
【0009】
コイルに流す交流電流は、3.6KHz〜7.5KHzの周波数領域の範囲内で連続的に反復して変化するように流される。水道水中に存在するカチオン凝集体は地域ごとに成分が異なるため、その地域特有のカチオン凝集体に作用する変調電場を誘起させることができる交流電流の周波数も地域ごとに異なることとなる。そこで、このような一定範囲の周波数領域で反復して変化する交流電流を用いることで、幅広いカチオン成分を含んだカチオン凝集体に対して作用可能な変調電場を誘起させることができる。
【考案の効果】
【0010】
本考案によると、コイルに流れる交流電流により誘起される変調電場によって、水管を流れる水道水中に存在するカチオン凝集体を微細化してその周囲をアニオン化し水管内面等にスケールが付着することを防止することができる。
【0011】
また、本考案によって水管内面等に既に形成されているスケールを除去することもできる。
【0012】
さらに、周波数領域調整部によって、誘起する周波数領域を調整し、多種のカチオン成分に対して変調電場を作用させることができるため、カチオンの成分に依存することなく単一の装置でスケールの付着防止及び除去が可能である。
【0013】
特に、本考案によって誘起された変調電場の作用を受けた水道水を、水洗トイレの洗浄水に用いることによって、尿石の剥離を促進し、人力によるトイレ洗浄作業の頻度を少なくすることができる。
【0014】
さらに、本考案によって誘起された変調電場の作用を受けた水道水を、洗濯機洗い用の水に用いると、通常の本考案による作用を受けていない水道水を用いた場合よりも水の衣類に対する浸透性を高めることができるので、洗剤の洗浄効果を高めて衣類の汚れを落ちやすくすることができる。すなわち、本考案を用いることによって、同程度の洗浄効果を要するために必要な洗剤の使用量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】水道水用水処理装置1を集合住宅の給水用の水道水用の水管Pの設置した様子を示す図である。
【図2】水道水用水処理装置1の全体構成を示す図である。
【図3】水管P内で水道水が処理される様子を示す図であり、水管Pは長さ方向の断面図が示されている。
【図4】水道水用水処理装置1が誘起する周波数領域において交流電流Aの周波数が変化する様子を、周波数を横軸に交流電流Aの音圧レベルを縦軸に示した図である。
【図5】水道水用水処理装置1を水道水の水管に設置して水洗トイレの洗浄水に用いることによって、トイレの内面に付着した尿石の剥離を促す効果を示す図である。
【図6】水道水用水処理装置1を水道水の水管に設置して洗濯機の洗浄水に用いることによって、衣服の皮脂汚れに対し、通常よりも少ない量で洗浄効果を発揮できたことを示す図である。
【考案を実施するための形態】
【0016】
以下、本考案の実施の形態について図面を参照しながら詳しく説明する。
【0017】
図1は、本考案に係る水道水用水処理装置1が集合住宅6の給水用の水管Pに設置された場合の設置例を示す図である。水道水用水処理装置1は、集合住宅6に水道水を供給する給水用の水管Pにコイル3を巻回して設置されており、これにより水道水用水処理装置1によって処理された水道水は集合住宅6の全ての水周りに行き渡った後に排水管Wから排出される。なお、後に説明するように水道水用水処理装置1には調整つまみ41が設置されており、簡単にコイル3に流す交流電流Aの周波数領域を調整することができる。
【0018】
図2は水道水用水処理装置1の全体構成を示す図であり、当該装置は電源部2、コイル3、及び周波数領域調整部4から構成される。コイル3は、電源部2に接続されており、コイル3は集合住宅6に導入されている給水用の水管Pの外周表面を一方の周方向に巻回されている。
【0019】
水道水用水処理装置1によって処理された水道水は、例えば蛇口7から洗濯機8の洗濯槽に洗浄水として溜められ、洗剤と共に衣類などの洗濯に用いられる。洗濯後の洗浄水は、排水管Wから排水される。また、図1中の符号8を水洗トイレと仮定すると、水道水用水処理装置1によって処理された水道水は、集合住宅6に設置された水洗トイレ8に接続された水管から洗浄水として放水され、排泄物とともにトイレの内面を洗浄しながら排水管Wに排水される。
【0020】
電源部2からコイル3に交流電流Aを流すと、図3に示すように水管P内に変調電場Eが発生し、水管P内を流れる水道水中に浮遊しているカチオン凝集体Gに作用してカチオン凝集体Gを微細化することができる。ここで、カチオン凝集体Gはカルシウムイオン、又はマグネシウムイオン等のカチオンを多く含む凝集体であり、表面がプラスに帯電しているため水管内面等に付着しやすい性質を有している。
【0021】
カチオン凝集体Gに変調電場Eが作用するとカチオン凝集体Gが微細化され、より体積の小さいカチオンクラスターcとなる。すると、カチオン凝集体Gの体積の減少と共に個々のカチオンクラスターcの表面積もカチオン凝集体Gの表面積と比較して小さくなるため、カチオンクラスターcの表面が水管P内を流れる水道水中に含まれる塩素イオン、又は硫化物イオン等のアニオンによって覆われ易くなる。アニオンによって表面が覆われたカチオンクラスターcは表面がマイナスに帯電するため、水管内面等に付着しにくくなり、スケールの形成を防止することができる。
【0022】
さらに、マイナスに帯電したカチオンクラスターcは既に水管内面等に付着しているスケールの離脱を促し、スケールの除去も可能となる。また、本考案によって誘起された変調電場の作用を受けた水道水を、水洗トイレの洗浄水に用いれば、マイナスに帯電したカチオンクラスターcは水洗トイレの内壁面に付着した尿石の剥離を促進し、トイレ洗浄の頻度を少なくすることができる。
【0023】
また、カチオン凝集体Gを構成するカチオンの成分は地域によって異なるため、カチオン凝集体Gを微細化し易い変調電場Eを発生させる交流電流Aの周波数も異なるが、一定範囲の周波数領域で反復して変化する交流電流Aを用いることで、幅広いカチオン成分を含んだカチオン凝集体に対して作用可能な変調電場Eを誘起させることができる。
【0024】
なお、電源部2及び周波数領域調整部4の外殻を構成するケース5の表面には周波数領域調整部4の調整つまみ41が取り付けられている。当該調整つまみ41を回すことによって、周波数領域調整部4を操作することができ、例えば電源部2が交流電流Aを発生させるための電圧を調整することができることとしても好ましい。この場合、調整つまみ41を回すと、電源部2から発生される交流電流Aの周波数領域を、4.5KHz〜6.5KHz、3.6KHz〜7.5KHz、2.7KHz〜7.5KHz、及び2.0KHz
〜8.0KHzに段階的に調整することが可能としてもよい。また、調整つまみ41をダイヤル式にして、ケース5の表面に各周波数領域に対応する目盛りを付けておけば誰でも簡単に調整することが可能である。
【0025】
また、交流電流Aは電源部2によって当該各周波数領域内を、周波数を連続的に変化しながら反復するが、各周波数領域において交流電流Aが変化する様子をグラフに示すと、図4に示すように方形波を示す。ここで、図4は交流電流Aの周波数領域を3.6KHz〜7.5KHzとした場合のグラフを示す。グラフが方形波を示すことにより、設定した周波数領域内でのカチオン凝集体Gに作用する微細化効果を安定させることができる。なお、交流電流Aが各周波数領域内を変化しながら一往復する周期(反復周期)は、1秒間に2.0回〜3.0回の範囲とすることが好ましい。
【0026】
水道水用水処理装置1を設置してカチオン凝集体Gを微細化するために適した交流電流Aの周波数領域を得るための具体的な方法を以下に説明する。
【0027】
実際に水質を改善しようとする水管Pにコイル3を巻回し、本考案に係る水道水用水処理装置1を設置する。
【0028】
次に、発生させる交流電流Aの周波数領域の範囲が3.6KHz〜7.5KHzの範囲となるように調整つまみ41を回して調整し、電源部2からコイル3に交流電流Aを流す。なお、交流電流Aの反復周期は1秒間に2.5回とし、この反復周期は調整つまみ41を回して他の周波数領域に再調整しても変化しないものとする。
【0029】
ここで、交流電流Aを流し始める前にスケールの付着量を比較評価するために特定のトイレを指定して、その特定箇所の当初のスケール付着量を比較して効果の検証を行った。スケール付着量の測定は、特定箇所の写真を撮ることで判定できる。また、さらに特定箇所に付着したスケールの面積又は厚みを測定しておくとより好ましい。本実施の形態においては、写真によって判定した。
【0030】
交流電流A(周波数領域の範囲:3.6KHz〜7.5KHz、反復周期:1秒間に2.5回)で変調電場Eを作用させた水道水をトイレの洗浄水として3週間使用し続けた後に、前記特定箇所を男子用小便器の蓋の裏部分(図5(a))に形成されていたスケール付着量を使用開始時と3週間経過後とで写真撮影し、図5の写真に示すように比較して効果を判定した。なお図5(a)から、使用開始時において、既に特定箇所には通常作業では取れないほど固着していた尿石が確認された。
【0031】
検証の結果、使用開始時には既に特定箇所に付着していた尿石(図5(b))が、軟化し、3週間後には流下して特定箇所には尿石が除去されていることがわかった(図5(c))。すなわち、水道水用水処理装置1を水道水の水管に設置して水洗トイレの洗浄水に用いることによって、尿石の剥離を促すことができることがわかった。これにより、人力によるトイレ洗浄作業の頻度を少なくすることができる。
【0032】
また、前記交流電流Aで変調電場Eを作用させた水道水を洗濯機洗い用の水に用いた場合の効果についても検証を行った。洗濯機には、標準使用量の50%に減らした量の洗濯機用洗剤を用いた。検証の対象には男性用カッターシャツを用い、特に汚れが落ちにくいとされる襟周りの汚れに注目して検証を行った。検証結果を図6に示す。
【0033】
その結果、洗濯前には明らかに付着していた襟周りの皮脂汚れ(図6(a))が、標準使用量の50%の洗剤できれいに落ちている(図6(b))ことが分かった。このことから、交流電流Aで変調電場Eを作用させた水道水を洗濯機洗い用の水に用いると、通常の
本考案による作用を受けていない水道水を用いた場合よりも水の衣類に対する浸透性を高めることができ、洗剤の洗浄効果を高めて衣類の汚れを落ちやすくすることができることがわかった。また、この結果から、水道水用水処理装置1を水道水の水管に設置して用いることによって、同程度の洗浄効果を要するために必要な洗剤の使用量を少なくすることができることがわかった。
【0034】
なお、周波数領域調整部4は交流電流Aの周波数領域を連続的に拡大及び縮小できるように構成してもよい。
【0035】
また、スケール付着量の測定は家庭内に設置された排水口やトイレの出水部付近等で行うことができるため、水道水用水処理装置1の使用に不慣れな者であってもこれらの場所の写真等の撮影結果を水道水用水処理装置1の設置業者に送り、測定結果を受けた設置業者が判定して遠方からでも使用者に交流電流Aの周波数領域の調整指示を行うことができる。これにより、使用者が遠方に所在している場合であっても、設置業者が最初に水道水用水処理装置1を設置した後は、交流電流Aの周波数領域の調整の度に使用者の所在地まで出向くことなく簡便に最も効果的な周波数領域になるよう調整をすることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 水道水用水処理装置
2 電源部
3 コイル
4 周波数領域調整部
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
写真1 
【図6】
写真2 
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