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【考案の名称】石焼き芋製造装置 【実用新案権者】 【識別番号】515073562 【氏名又は名称】龍見 昭廣 【住所又は居所】兵庫県宝塚市大原野字丁裏11 【代理人】 【識別番号】100167416 【弁理士】 【氏名又は名称】下田 佳男 【考案者】 【氏名】龍見 昭廣 【住所又は居所】兵庫県宝塚市大原野字丁裏11 【要約】 (修正有) 【課題】安価で製造でき、砂利石を所定の温度にまで短時間で上昇させ維持できる石焼き芋製造装置を提供する。 【解決手段】石焼き芋製造装置100は、両端が閉口した一の筒状体を三つに横断分割した部材から構成され、閉口した一端を有する部材からなり、砂利石を敷設しその間で芋を調理する焼成室1と、閉口した他端を有する部材からなり、把手32を設け焼成室の開口を閉塞する蓋3と、両端が開口した部材からなり、一方の開口部が焼成室を保持し、他方の開口部が床面に当接し、床面に当接した周壁の一部に熱源を投入する熱源投入口22と、周壁の中腹近傍に排気口23を設けた熱源室2と、を備える。 【選択図】図1 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 両端が閉口した一の筒状体を三つに横断分割した部材からなる焼き芋製造装置であって、 閉口した一端を有する部材からなり、砂利石を敷設して、敷設された該砂利石の間で芋を調理する焼成室と、 閉口した他端を有する部材からなり把手を設けた蓋であって、前記焼成室の開口を閉塞する蓋と、 両端が開口した部材からなる熱源室であって、一方の開口部が前記焼成室を保持し、他方の開口部が床面に当接し、該床面に当接した周壁の一部に熱源を投入する熱源投入口と、該周壁の中腹近傍の位置に排気口を設けた熱源室と、 を備える石焼き芋製造装置。 【請求項2】 前記排気口に煙突を外付けしたことを特徴とする請求項1に記載の石焼き芋製造装置。 【請求項3】 前記熱源室は、前記一方の開口部の端に複数のスリットを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の石焼き芋製造装置。 【請求項4】 前記蓋は、前記焼成室を閉塞する周壁の端に複数のスリットを備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の石焼き芋製造装置。 【考案の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 この考案は、石焼き芋製造装置に関する。 【背景技術】 【0002】 サツマイモを加熱すると甘くなる。この理由は、β−アミラーゼという酵素が糊化でんぷんに作用し麦芽糖を生成するためである。このβ-アミラーゼは、芋の中心温度が65〜75℃で最も活発に働き、でんぷんの非還元末端基から規則正しく麦芽糖(ブドウ糖2分子が結合)単位に加水分解する酵素である。そうすると、芋を甘く焼き上げるためには、芋の内部温度上昇域が65〜75℃である時間帯が長くなることが重要となる。伝統的な製造方法である、小石の間に芋を入れて焼く石焼き芋はこのような原理を応用しているものと言える。 【0003】 石焼き芋といえば、昔ながらの独特な掛け声に、寒い季節の風物詩が忍ばれるが、現在においても、栗のような甘味と高級菓子のような味は若い女性のみならず多くの人に好まれている。代表的な焼き芋器は、薄金属板の缶体の内部に加熱源を配置し、缶体の内部に形成される加熱室を加熱することにより、加熱室内の調理物を焼き上げるものとして知られる。缶体の内部を上下に分割して、分割した位置に網板を配置し、その上に玉砂利を敷き詰め加熱し、加熱された玉砂利内に芋を沈めておいて焼き調理するものである。ゆっくりと時間をかけて加熱されるため麦芽糖の生成が徐々に増え、甘さが引き出されるのである。また、焼き芋は加熱により水分が約15〜30%少なくなるため、一層甘さが濃く感じられるのである。 【0004】 ところで、伝統的な移動式の石焼き芋器のほか、多種の焼き芋製造装置が発明又は考案されている。特許文献1に係る考案は、燃料に少量の木炭、豆炭を用いる事で燃料コストを下げ、炭燃料特有の燃焼時間を利用して、焼き上がり時間をタイマー等で設定することなく、大磯五分の玉砂利と合わせ遠赤外線効果も加わり、焼き芋に必要とされる活性酵素活動温度を長時間にわたり保持させ、甘い焼き芋を作る焼き芋器を提供するものである。しかしながら、缶体は四角形の立方体であるから、その内側四角隅がデッドスペースとなり芋を無駄なく挿入できないし、加熱室の温度が均等とならない。特許文献2に係る考案は、外円筒と内円筒との間に隙間を設けた円筒缶における外円筒内に熱源部を設け、内円筒内に下から蓄熱部及び焼上げ部と保温部とを設けた四層構成とし、上記隙間の全周面を熱の排出経路として形成して熱源部と蓄熱部と焼上げ部の熱効率を向上して筒内温度を均一に加熱し、保温部は円筒缶内の天井に蓋で閉塞した保温皿を設け、この保温皿内に焼き上げた焼き芋を最適保温温度で長時間に亘り保温しても風味を損なわない構成とし、更に焼き芋装置を手押しの可搬式として移動性を向上させたものである。しかし、特許文献2に係る焼き芋製造器は、金属板で形成された本体外面からの熱放出が大きく熱効率の面で問題がある。また、部品点数が多く、製造コストがかかるという問題がある。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0005】 【特許文献1】実用新案登録第3170738号公報 【特許文献2】実用新案登録第3175189号公報 【考案の開示】 【考案が解決しようとする課題】 【0006】 前述したとおり、芋を甘く焼き上げるためには、芋の内部温度上昇域が65〜75℃である時間帯が長くなることが重要となるが、このときの芋に対する周囲の温度は200〜250℃が必要である。そうすると、石焼き芋を焼き上げるためには、少なくとも芋を入れる砂利石の温度が少なくとも200〜250℃に加熱して維持しなければならない。家庭で時間を気にせずに焼き芋を作るのであれば時間を気にする必要はないが、商用となれば砂利石の温度を適宜、所定の温度にまで短時間で上昇させ、維持する必要がある。また、製造コストの低い製造装置が望まれる。 【0007】 そこで本考案は、両端が閉口した一の筒状体を三つに横断分割することで、安価で製造できるようにし、砂利石を所定の温度にまで短時間で上昇させ維持できる石焼き芋製造装置を提供することを目的とするものである。 【課題を解決するための手段】 【0008】 上記目的を達成させるために、本考案の石焼き芋製造装置は、両端が閉口した一の筒状体を三つに横断分割した部材からなる焼き芋製造装置であって、閉口した一端を有する部材からなり、砂利石を敷設して、敷設された該砂利石の間で芋を調理する焼成室と、閉口した他端を有する部材からなり把手を設けた蓋であって、焼成室の開口を閉塞する蓋と、両端が開口した部材からなる熱源室であって、一方の開口部が焼成室を保持し、他方の開口部が床面に当接し、該床面に当接した周壁の一部に熱源を投入する熱源投入口と、該周壁の中腹近傍の位置に排気口を設けた熱源室と、を備えることを特徴とする。 【0009】 なお、熱源室の排気口に煙突を外付けすると、焼成室に敷設された砂利石を所定の温度にまで短時間で上昇させ維持できる。 【0010】 さらに、熱源室は、一方の開口部の端に複数のスリットを備えると、スリットに挟まれた端片を少し広げることにより所望の位置で焼成室を安定的に維持することができる。また、同様に、蓋の周壁の端に複数のスリットを備えると、焼成室の開口部を閉塞するのに好適である。 【考案の効果】 【0011】 本考案の石焼き芋製造装置によれば、砂利石を所定の温度にまで短時間で上昇させ維持できるので、芋の内部温度上昇域が65〜75℃である時間帯を長くして甘い石焼き芋を調理することができる。また、本考案の石焼き芋製造装置によれば、両端が閉口した一の筒状体を三つに横断分割することで得た部材を利用するため、構造が簡単で製造コストも安価で済む。 【図面の簡単な説明】 【0012】 【図1】本考案に係る石焼き芋製造装置100の外観を模式的に示す斜視図である。 【図2】本考案に係る石焼き芋製造装置100の外観を模式的に示す分解斜視図である。 【図3】筒状体を三つに横断分割する様子を示す図である。 【図4】本考案に係る石焼き芋製造装置100の焼成室1に砂利石Sを敷設した状態を示す断面図である。 【考案を実施するための形態】 【0013】 以下、本考案の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。各図において、同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。また、図面は、本考案を理解するために誇張して表現している場合もあり、必ずしも縮尺どおり精緻に表したものではないことに留意されたい。なお、本考案は下記に示される実施の形態に限られるものではない。 【実施例1】 【0014】 実施例1を図面を参照して詳細に説明する。 【0015】 図1は、本考案に係る石焼き芋製造装置100の外観を模式的に示す斜視図である。図2は、その分解斜視図である。なお、図3は、筒状体を三つに横断分割する様子を示す図である。図3に示すとおり、実施例1に係る石焼き芋製造装置100を製造するには、両端が閉口した一の筒状体、例えば、ドラム缶等を三つに横断分割して再利用することができる。図1を参照すると、石焼き芋製造装置100は、焼成室1と熱源室2と蓋3とからなる。図3にあてはめると、図に向かって筒状体10の下部分を焼成室1に、上部分を蓋3に、中央部分を熱源室2に利用することができる。 【0016】 図1及び2を参照する。前記したとおり、焼成室1は、閉口した一端を有する部材を利用し、砂利石を敷設して、敷設された該砂利石の間で芋を調理する。蓋3は、閉口した他端を有する部材を利用し、上面に把手32を設け、焼成室1の開口を閉塞する。熱源室2は、両端が開口した部材を利用して、一方の開口部が焼成室1を保持し、他方の開口部が床面に当接し、該床面に当接した周壁の一部に熱源Fを投入する熱源投入口22を備える。また、該周壁の中腹近傍の位置に排気口23を設け、さらに排気口23を介して煙突24を備えるようにすれば、加熱の効率が高まる。 【0017】 再度、図1及び2を参照すると、熱源室2は、周壁の上端に複数のスリット21を備える。このスリット21を設けることにより、スリットに挟まれた端片を少し広げることにより所望の位置で焼成室1の保持を安定化させることが可能になるとともに、排気孔ともなる。また、蓋3も、周壁の下端に複数のスリット3を備えることで、焼成室1の開口を閉塞しやすくしている。 【0018】 図4を参照する。図4は本考案に係る石焼き芋製造装置100の焼成室1に砂利石Sを敷設した状態を示す断面図である。図3に示すとおり、焼成室1には、砂利石Sが敷設されており、熱源に、薪や木炭、豆炭を用い、それらを燃焼することにより、砂利石Sを加熱する。加熱温度は砂利石Sが200〜250℃になるように調整するとよい。なお、熱源は、ガスバーナーや電熱器を用いてもよい。サツマイモPは砂利石Sの上に投入し、さらに砂利石の間に埋設するようにして、ゆっくり時間をかけて焼き上げると甘い石焼き芋ができあがる。 【0019】 以上、本考案に係る石焼き芋製造装置における好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本考案の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。 【産業上の利用可能性】 【0020】 本考案の石焼き芋製造装置は、安価のコストで製造することができ、サツマイモのみならず、じゃがいも、里芋等の芋類のほか、にんじんやとうもろこし等の農産物に広く適用できる汎用性を有する。 【符号の説明】 【0021】 100 石焼き芋製造装置 1 焼成室 2 熱源室 21 スリット 22 熱源投入口 23 排気口 24 煙突 3 蓋 31 スリット 32 把手 S 砂利石 P サツマイモ |
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【図1】 |
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【図2】 |
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【図3】 |
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【図4】 |
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