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【発明の名称】ズボン等のウエストの伸縮構造 【出願人】 【識別番号】503051408 【氏名又は名称】岐原 忠司 【住所又は居所】大阪府枚方市山田池東町35−2 【代理人】 【弁理士】 【識別番号】100083611 【氏名又は名称】菅原 弘志 【発明者】 【氏名】岐原 忠司 【住所又は居所】大阪府枚方市山田池東町35−2 【課題】 簡単な構造で、外観、使用感とも通常のズボン等と変わりがなく、ウエストの伸縮にうまく追従できるズボン等のウエスト伸縮構造を提供する。 【解決手段】 ズボン等のウエストベルトを前側ベルトと後側ベルトに分割し、前側ベルトの内部に設けた伸縮自在なゴム体の基部を該前側ベルトに固着して、該ゴム体の自由端部に接続した引出片を前側ベルトに設けたスリットを通して外へ引き出し、その先端部を後側ベルトに固着するとともに、後側ベルトの内部に設けた伸縮自在なゴム体の基部を該後側ベルトに固着して、該ゴム体の自由端部に接続した引出片を該後側ベルトに設けたスリットを通して外側へ引き出し、その先端部を前側ベルトに固着することにより、前側ベルトと後側ベルトを弾性的に相対移動可能とした。 【特許請求の範囲】 【請求項1】 ズボン等のウエストベルトを前側ベルトと後側ベルトに分割し、前側ベルトの内部に設けた伸縮自在なゴム体の基部を該前側ベルトに固着して、該ゴム体の自由端部に接続した引出片を前側ベルトに設けたスリットを通して外へ引き出し、その先端部を後側ベルトに固着するとともに、後側ベルトの内部に設けた伸縮自在なゴム体の基部を該後側ベルトに固着して、該ゴム体の自由端部に接続した引出片を該後側ベルトに設けたスリットを通して外側へ引き出し、その先端部を前側ベルトに固着することにより、前側ベルトと後側ベルトを弾性的に相対移動可能としたことを特徴とするズボン等のウエストの伸縮構造。 【請求項2】 前記スリットが、ウエストに設けられているベルト通しの裏側に設けられている請求項1に記載のズボン等のウエストの伸縮構造。 【発明の詳細な説明】 【発明の属する技術分野】 本発明は、ズボン、キュロット、スカート等におけるウエストの伸縮構造に関するものである。 【従来の技術】 人体のウエストは、座った時に3cm程度大きくなると言われているが、従来広く着用されてきたズボン等のウエスト寸法は固定されているため、着用者にとって苦痛を感じることがあった。また、ズボンの購入時の体型よりも肥満した場合は、そのズボンを着用できなくなることもあった。 このような不都合を解消するものとして、ウエスト寸法を拡大・縮小することのできるズボン等が販売されている。この種のズボン等におけるウエスト寸法の可変構造としては、図6に示すようなプラスチック製のアジャスター50を取り付けたもの、図7に示すようにゴムを用いてウエストにギャザー51を入れたもの、ゴム製の腰裏を用いたもの等が知られている。 上記アジャスターを取り付けたものは、当該アジャスターがプラスチックでできているため、固くて厚みがあり、身体に馴染まず、違和感を感じるほか、寸法調整を手でノブを押し動かすことにより行うので非常に面倒であるという問題がある。また、アジャスター自体の価格も高いので、コストアップの原因となるという問題もある。 また、上記ウエストにギャザーを入れたものは、美観上の問題があるため、一般に作業服、運動服等に用いられるもので、背広の組ズボンや一般の替えズボンにはこの構造は用いられていない。さらに、上記ゴム製の腰裏を用いたものは、材料費が高くつき、縫製方法も難しいので、現在では余り用いられていない。 上記従来公知のもののほかに、ウエストに締め付け感を与えることなくウエストの伸縮変化にシャープに追従できる目立たないウエスト伸縮構造が提案されている(特許文献1参照)。 【特許文献1】 特開平11−181604号 【発明が解決しようとする課題】 上記新たに提案されているウエスト伸縮構造は、前身頃の上端部に縫着された前ウエストベルト及び後ろ身頃の上端部に縫着された後ウエストベルト及び脇ポケットと向こう布を有するズボン等において、一端が脇ポケット口の上端付近から延長されて後ろベルトの袋状部の口から該袋状部の中に挿入される前ウエストベルトの延長部端部に縫着され、他端が後ろウエストベルト見返しまたは後ろウエストベルト表側に縫着される第1の弾性部材と、一端が向こう布側ポケット袋布と向こう布よりなる延出部の向こう布の横端部に縫着され、他端部が前ウエストベルト表側に縫着された第2の弾性材、及び向こう布側ポケット袋布の奥上端角を該延出部の向こう布の横端近傍から斜め下方向に切断して設けたポケット袋のスリット明きを有し、前記向こう布側ポケット袋布及び向こう布よりなる延出部を、前ウエストベルトの延長部の端の連結部分近傍から向こう布の横端を越えた部分にかけて形成された前ウエストベルトのフラシ部にスライド自在に設けたものである。 しかしながら、上記特許文献に記載されている構造は、前後のウエストベルトのほかに、向こう布、ポケット袋、該ポケット袋に設けたスリット明き等を組み合わせて構成するものであるから、構造的に複雑で、製作が難しいと考えられ、よりシンプルな構造で製作の容易な伸縮構造に対する要望が強くなっている。 そこで、本発明は、比較的簡単な構造で、外観、使用感とも通常のズボン等と変わりがなく、ウエストの伸縮にうまく追従することのできる伸縮構造を提供することを課題としている。 【課題を解決するための手段】 上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用した。すなわち、本発明に係るズボン等のウエストの伸縮構造は、ズボン等のウエストベルトを前側ベルトと後側ベルトに分割し、前側ベルトの内部に設けた伸縮自在なゴム体の基部を該前側ベルトに固着して、該ゴム体の自由端部に接続した引出片を前側ベルトに設けたスリットを通して外へ引き出し、その先端部を後側ベルトに固着するとともに、後側ベルトの内部に設けた伸縮自在なゴム体の基部を該後側ベルトに固着して、該ゴム体の自由端部に接続した引出片を該後側ベルトに設けたスリットを通して外側へ引き出し、その先端部を前側ベルトに固着することにより、前側ベルトと後側ベルトを弾性的に相対移動可能としたことを特徴としている。 この伸縮構造では、前ウエストベルトと後ウエストベルトとが、その内部に設けられているゴム体の伸縮を介して相対移動することにより、ウエスト寸法が拡縮する。引出片が引き出されるスリットは、外観を損なわないように、ウエストに設けられているベルト通しの裏側に隠れるように設けておくのが好ましい。 【発明の実施の形態】 以下、本発明の好ましい実施形態についてより具体的に説明する。図1は本発明に係るウエストの伸縮構造を例示するもので、ズボン1のウエスト部に設けられているウエストベルト2が前側ベルトAと後側ベルトBに分割され、それぞれの端部が重なり合った構造となっている。ウエストベルト2は、概略鞘状に形成され、前後両ベルトA,Bともに、その中空部に弾性体であるゴム体(図示例ではゴムベルト)5がそれぞれ内蔵されている。弾性体としては、例えば天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン弾性糸、ポリエステル、ウレタン弾性糸等を材質とするもの等があるが、以下の説明では、これらをゴム体と呼ぶ。 ゴム体5の基部はウエストベルト2(A又はB)に縫着により固着され、その自由端部には、それぞれ引出片10が縫着されている。一方、ウエストベルト2には、それぞれ穴かがりの施されたスリット12が設けられ、前記引出片10がそのスリットを通してウエストベルトの内部から外側に引き出されている。後側ベルト(B)のスリットはウエストベルトの表面側に設けられるので、美観上、ベルト通しの裏面側で該ベルト通し20によって隠される位置に設けておくのが好ましい。一方、前側ベルトAのスリットは当該ベルトの裏面側に開口し、外からは見えないので、適当な位置に設けておけばよい。 ウエストベルト(A又はB)の中空部から引き出された引出片10の先端部は、反対側のウエストベルト(B又はA)に固着されている。すなわち、前側のウエストベルトAの引出片10は後側のウエストベルトBの先端部付近の外面側に縫着(Cで示す)され、後側のウエストベルトBの引出片10は前側のウエストベルトAの端部に挿入した状態で縫着(Dで示す)されている。なお、後側のウエストベルトBの先端部は、所定の長さにわたって前側ウエストベルトAの裏側に隠れており、前側ベルトAのスリットは該ベルトの裏面に形成されているので、引出片10は前側ベルトによって隠されている。 図3及び図4は、このズボン1のウエストベルト2を展開して表したもので、このウエストベルト2は、左右一対の前側ウエストベルトA,Aと、後側ウエストベルトBを連結して構成される。前側ベルトAと後側ベルトBは、それぞれに設けた引出片10,10によって連結される。この連結部はズボンの左右両側にそれぞれ設けられていて、各連結部ではそれぞれ2枚の引出片10,10によって前側ベルトAと後側ベルトBが連結されるので、連結強度は高く、両ベルトが互いに摺り合う状態で円滑に相対移動することができる。 図3は、ウエストベルト2の収縮状態を表す。この状態では、引出片10の突出量は小さい。また、図4はウエストベルト2が拡張した状態を表し、この状態では後側ベルトBから引き出された引出片10の露出長さがある程度長くなっている。この拡張・収縮は円滑に行われ、ウエストの左右両側で均等に行われるので、着用者に不快な締め付け感等を与えることはない。なお、図中の20はベルト通しを、21はダーツを、22はタックを、23はサイドポケットの口を、24は後ポケットの口をそれぞれ表す。 また、図5はウエストベルトの裏側(ズボンの内側)から見たズボンの展開図であり、前側ベルトAの内側に後側ベルトBの先端部が重なり合っている。そして、前側ベルトAと後側ベルトBの連結部付近の布地には伸縮を吸収するためのスリット60が形成されている。図中の25はサイドポケットを、26は後ポケットを、26はファスナーをそれぞれ表す。 このウエストベルトの伸縮構造は、特別な操作をしなくても所定量(通常は6cm程度)だけウエスト寸法を伸ばすことができるため、寸法が小さいから着用できないという問題が大幅に解決される。また、ズボンの購入時よりも肥満した場合にも対応することができる。ウエストベルト2は、拡張状態ではゴム体によって収縮方向に引っ張られているので、ズボンがずり落ちる恐れはない。 着用しているベルトを緩めることにより、その時のウエスト身体寸法に適した長さにズボンのウエスト寸法が大きくなるので、腹部を締め付けられる苦痛から解放される。なお、ウエストを大きくできる寸法としては、特に限定するものではないが、一般的にはベルトの穴間二つ分程度(5〜6cm)としておくのが実用的である。 さらに、販売店でのウエスト寸法の補正修理の必要なケースが減少し、その分経費を削減することができる。なお、ウエスト寸法を固定した従来のズボンに対し、追加となる費用はゴム代のみであるから、ほとんど経費が増加しない。しかもこの伸縮構造は、外観、着用感ともに通常のズボンとほとんど変わらないという利点がある。 【発明の効果】 以上の説明から明らかなように、本発明にかかるズボン等のウエストベルトの伸縮構造は、構造的にシンプルで製作も容易であるのみならず、外観、着用感とも従来のズボンとほとんど変わらない優れたものとなった。なお、以上の説明ではズボンを例にとって説明したが、キュロット、スカート等にも同様に適用できることは明らかである。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の1実施形態を模式的に表す平面図である。 【図2】その正面図である。 【図3】その収縮状態を表す展開図である。 【図4】その拡張状態を表す展開図である。 【図5】ズボンの内側から見た説明図である。 【図6】従来のアジャスターを使用したズボンの要部正面図(a)及びその操作方法の説明図(b)である。 【図7】従来のゴムによるギャザーを寄せたウエストの説明図である。 【符号の説明】 1 ズボン 2 ウエストベルト 5 ゴム体 10 引出片 A 前側ベルト B 後側ベルト |
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【図1】 |
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【図2】 |
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【図3】 |
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【図4】 |
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【図5】 |
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【図6】 |
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【図7】 |
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岐原忠司 連絡先 電話(FAX)番号 072−857−1019 携帯電話番号 080−3033−7415 |
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