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【考案の名称】着物と襦袢の着付け構造、及び衿姿保形具 【実用新案権者】 【識別番号】514135915 【氏名又は名称】加藤 信子 【住所又は居所】岐阜県海津市南濃町吉田177−1 【代理人】 【識別番号】100083655 【弁理士】 【氏名又は名称】内藤 哲寛 【考案者】 【氏名】加藤 信子 【住所又は居所】岐阜県海津市南濃町吉田177−1 【考案者】 【氏名】菅原 康子 【住所又は居所】岐阜県各務原市那加土山町2−129−2 【考案者】 【氏名】大隈 鐘植 【住所又は居所】愛知県岡崎市福岡町字通長6 ARPEGE A−5 【要約】 (修正有) 【課題】衿姿を美しくすると共に、美しい衿姿が容易に崩れないようにできる着物と襦袢の着付け構造を提供する。 【解決手段】半襦袢B1の外側において人の胸部に巻回して固定される巻回ベルトV1と、巻回ベルトV1に対して直交配置されて、上端部および下端部が、それぞれ半襦袢の表側の後衿部14aの近傍、及び巻回ベルトに連結される襦袢連結ベルトV2と、巻回ベルトV1に対して直交配置されて、上端部が上衣A1の裏側の後衿部4aの近傍に着脱可能に連結され、下端部が巻回ベルト又は襦袢連結ベルトの下端部に連結される着物連結ベルトV3とを備える。襦袢連結ベルト、巻回ベルト、及び着物連結ベルトを介して、上衣及び半襦袢の各後衿部が人体に対して独立して拘束されることで、各後衿部の上下方向の相対位置が一定に確保される。 【選択図】図8 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 着物と襦袢との着付け構造であって、 襦袢の外側において人の胸部に巻回して固定される巻回ベルトと、 前記巻回ベルトに対して直交配置されて、上端部及び下端部が、それぞれ襦袢の表側の後衿部近傍、及び前記巻回ベルトに連結される襦袢連結ベルトと、 前記巻回ベルトに対して直交配置されて、上端部が着物の裏側の後衿部近傍に着脱可能に連結されると共に、下端部が前記巻回ベルト又は前記襦袢連結ベルトの下端部に連結される着物連結ベルトと、 を備え、 前記襦袢連結ベルト、巻回ベルト、及び着物連結ベルトを介して、着物及び襦袢の各後衿部が人体に対して独立して拘束されることで、着物と襦袢の各後衿部の上下方向の相対位置が一定に確保される構成であることを特徴とする着物と襦袢の着付け構造。 【請求項2】 前記着物連結ベルトと襦袢連結ベルトは、1本のベルト体を2つ折りにして重ね合せて、折返し部が一体に縫着されることで形成される重ね合せ状態の2つの部分で形成されて、 前記巻回ベルトを巻回した状態で、前記ベルト体を2つ折りにした各部分の間に当該巻回ベルトが配置されて、2つ折りにした前記ベルト体の襦袢連結ベルトとなる部分が当該巻回ベルトに対して一体に縫着されていることを特徴とする請求項1に記載の着物と襦袢の着付け構造。 【請求項3】 前記襦袢連結ベルトの上端部は、襦袢の表側の後衿部近傍に対して着脱可能に連結されることを特徴とする請求項2に記載の着物と襦袢の着付け構造。 【請求項4】 請求項3に記載の着物と襦袢の着付け構造に使用される衿姿保形具であって、 襦袢の外側において人の胸部に巻回して固定される巻回ベルトと、 1本のベルト体を2つ折りにして重ね合せて、折返し部が一体に縫着されることで形成される重ね合せ状態の2つの部分で形成される襦袢及び着物の各連結ベルトとから成り、 前記巻回ベルトを巻回した状態で、前記ベルト体を2つ折りにした襦袢及び着物の各連結ベルトの間に当該巻回ベルトが配置されて、2つ折りにした前記ベルト体の襦袢連結ベルトとなる部分が当該巻回ベルトに対して一体に縫着され、 前記襦袢連結ベルトの上端部は、襦袢の表側の後衿部近傍に着脱可能に連結される構成であることを特徴とする衿姿保形具。 【考案の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本考案は、着物と襦袢の各後衿の部分を人体に対して拘束させることで衿元の姿(衿姿)を良好に保つと共に、良好な衿姿が容易に崩れないようにした着物と襦袢の着付け構造、及び衿姿保形具に関するものである。 【背景技術】 【0002】 着物(和服)の着付けの最も重要なことは、衿元の姿を美しくすることであって、具体的には、着物と襦袢の各衣紋抜きの程度等の各衿元の関係が整っていることは、美しい着付けに不可欠である。 【0003】 着物に対して最適なサイズの襦袢を選択し、衿元が良好となるように着付けしても、着用された着物と襦袢は互いに非拘束の状態となっているため、人の様々な動作によって、着物と襦袢の各部位は、元の着姿に対してそれぞれ独立してずれてしまう。 【0004】 このため、着崩れにより、着物の衣紋抜きの程度が小さくなって、衿が首に近くなったり、着物と襦袢の各衿の上下方向に位置関係がずれて、着物の後衿部に対して襦袢の後衿部が奥に入り込み過ぎたり、或いは、逆に、着物の後衿部に対して襦袢の後衿部が高くなって、襦袢の後衿部がはっきり見えたりすることで、更には、着物の衣紋抜きの程度に対して襦袢の衣紋抜きの程度が小さくなって、襦袢の後衿部が見えたりすることで、着崩れが顕著となる。 【0005】 特許文献1には、上記した和服の着付けに際して、襦袢の衿元が崩れるのを防止する着付け補助具が開示されている。しかし、特許文献1に開示の着付け補助具は、長襦袢の後衿部の位置を固定して、衿姿を保形するものである。 【0006】 しかし、長襦袢の後衿部の位置が固定されていても、その上に着用する着物の後衿部は、長襦袢の後衿部に対して非拘束の関係になっているため、特許文献1に開示の着付け補助具では、長襦袢の上に着物を着用した状態において、着物の後衿部の位置の固定、及び着物と長襦袢の各後衿部の相対位置の関係を一定に保持することはできない。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0007】 【特許文献1】特開平10−37002号公報 【考案の概要】 【考案が解決しようとする課題】 【0008】 本考案は、着物と襦袢の各後衿部を人体に対して独立して拘束して、襦袢及び着物の各後衿部の上下方向に沿った相対位置を一定にすることで、着物及び襦袢の各後衿部の衣紋抜きの程度、及び各後衿部の重なり具合を一定にして、衿姿を美しくすると共に、美しい衿姿が容易に崩れないようにすることを課題としている。 【課題を解決するための手段】 【0009】 上記課題を解決するための請求項1の考案は、着物と襦袢との着付け構造であって、襦袢の外側において人の胸部に巻回して固定される巻回ベルトと、前記巻回ベルトに対して直交配置されて、上端部及び下端部が、それぞれ襦袢の表側の後衿部近傍、及び前記巻回ベルトに連結される襦袢連結ベルトと、前記巻回ベルトに対して直交配置されて、上端部が着物の裏側の後衿部近傍に着脱可能に連結されると共に、下端部が前記巻回ベルト又は前記襦袢連結ベルトの下端部に連結される着物連結ベルトとを備え、前記襦袢連結ベルト、巻回ベルト、及び着物連結ベルトを介して、着物及び襦袢の各後衿部が人体に対して独立して拘束されることで、着物と襦袢の各後衿部の上下方向の相対位置が一定に確保される構成であることを特徴としている。 【0010】 請求項1の考案においては、肌襦袢の上に襦袢を着用した後に、巻回ベルトを人体の胸部に巻回して固定すると、当該巻回ベルトと襦袢の表側の後衿部近傍とは、襦袢連結ベルトにより連結されているため、当該襦袢連結ベルトの弛みをなくした状態では、襦袢の後衿部の配置位置である衣紋抜きの程度が最適に定められるようになっている。次に、固定ベルト又は襦袢連結ベルトに下端部が連結された着物連結ベルトの上端部を、着物の裏側の後衿部近傍に連結した状態で、襦袢の上に着物を着用して、着物連結ベルトの弛みをなくすと、襦袢の後衿部に対する着物の後衿部の上下方向の配置位置による両後衿部の重なり具合が最適に定められるようになっている。 【0011】 このように、請求項1の考案によれば、襦袢連結ベルトの上端部及び下端部が、それぞれ襦袢の表側の後衿部近傍、及び人体に対して固定されている巻回ベルトに連結されているために、当該襦袢連結ベルトにより、衣紋抜きの程度を含む人体に対する襦袢の後衿部の配置位置が定められる。一方、襦袢の上に着用される着物の裏側の後衿部近傍と、人体に対して固定されている巻回ベルト又は前記襦袢連結ベルトの下端部とは、着物連結ベルトを介して連結されているため、人体に対する着物の後衿部の配置位置が定められる。その結果、人体に対して固定された巻回ベルト、襦袢連結ベルト及び着物連結ベルトを介して、着物及び襦袢の各後衿部が人体に対して独立して拘束されて、着物と襦袢の各後衿部の上下方向の相対位置が一定に確保されることで、人の種々の行動によっても、着物と襦袢の各後衿部の上下方向の相対位置を不変にできて、各後衿部の衣紋抜きの程度、及び各後衿部の上下方向及び前後方向の重なり具合を最適にできるので、着物と襦袢の各後衿部は、着付け当初の美しい姿を保持できる。 【0012】 例えば、着物連結ベルトが弛むことで、襦袢の後衿部に対して着物の後衿部が着付け当初の位置よりも下がって、襦袢の後衿部が視認できる状態になった場合には、人体の胸部に巻回されている巻回ベルトを下方に押し下げると、着物連結ベルトの弛みが解消されて、襦袢と着物の各後衿部の上下方向に沿った相対位置が着付け当初の位置に戻されて、襦袢と着物の各後衿部の上下方向に沿った相対位置を含む各衿姿を着付け当初の美しい状態に戻すことができる。 【0013】 請求項2の考案は、請求項1の考案において、前記着物連結ベルトと襦袢連結ベルトは、1本のベルト体を2つ折りにして重ね合せて、折返し部が一体に縫着されることで形成される重ね合せ状態の2つの部分で形成されて、前記巻回ベルトを巻回した状態で、前記ベルト体を2つ折りにした各部分の間に当該巻回ベルトが配置されて、2つ折りにした前記ベルト体の襦袢連結ベルトとなる部分が当該巻回ベルトに対して一体に縫着されていることを特徴としている。 【0014】 請求項2の考案によれば、着物連結ベルトと襦袢連結ベルトは、1本のベルト体を2つ折りにして重ね合せて、折返し部が一体に縫着されることで形成される重ね合せ状態の2つの部分で形成されているため、巻回ベルトと、襦袢及び着物の各連結ベルトとで構成される衿姿保形具の構成が簡単となる。 【0015】 請求項3の考案は、請求項2の考案において、前記襦袢連結ベルトの上端部は、襦袢の表側の後衿部近傍に対して着脱可能に連結されることを特徴としている。 【0016】 請求項3の考案によれば、巻回ベルトと、襦袢及び着物の各連結ベルトとで構成される衿姿保形具を襦袢から分離させられるので、必要な場合にのみ、当該衿姿保形具を使用することができる。 【0017】 請求項4の考案は、請求項3に記載の着物と襦袢の着付け構造に使用される衿姿保形具であって、襦袢の外側において人の胸部に巻回して固定される巻回ベルトと、1本のベルト体を2つ折りにして重ね合せて、折返し部が一体に縫着されることで形成される重ね合せ状態の2つの部分で形成される襦袢及び着物の各連結ベルトとから成り、前記巻回ベルトを巻回した状態で、前記ベルト体を2つ折りにした襦袢及び着物の各連結ベルトの間に当該巻回ベルトが配置されて、2つ折りにした前記ベルト体の襦袢連結ベルトとなる部分が当該巻回ベルトに対して一体に縫着され、前記襦袢連結ベルトの上端部は、襦袢の表側の後衿部近傍に着脱可能に連結される構成であることを特徴としている。 【0018】 請求項4の考案は、請求項3の考案を衿姿保形具の面から把握して表現したものであって、請求項2の考案と実質的には同一である。 【考案の効果】 【0019】 本考案に係る着物と襦袢の着付け構造によれば、人体に対して固定された巻回ベルト、襦袢連結ベルト及び着物連結ベルトを介して、着物及び襦袢の各後衿部が人体に対して独立して拘束されて、着物と襦袢の各後衿部の上下方向の相対位置が一定に確保されることで、人の種々の行動によっても、着物と襦袢の各後衿部の上下方向の相対位置を不変にできて、各後衿部の衣紋抜きの程度、及び各後衿部の上下方向及び前後方向の重なり具合を最適にできるので、着物と襦袢の各後衿部は、予め定めた通りの美しい衿姿を保持できると共に、この美しい衿姿は容易に崩されない。 【図面の簡単な説明】 【0020】 【図1】(a),(b)は、それぞれ二部式着物Aの上衣A1 の正面図及び背面図である。 【図2】(a),(b)は、それぞれ本考案に係る衿姿保形具Mが半襦袢B1 の後身頃12の部分に配置された半襦袢B1 の正面図及び背面図である。 【図3】(a),(b)は、それぞれ本考案に係る衿姿保形具Mの展開状態の正面図及び背面図である。 【図4】衿姿保形具Mの着物連結ベルトV3 の先端部が、二部式着物Aの上衣A1 の裏面側の後衿部4aの近傍に連結された状態を示す図である。 【図5】襦袢Bの着用状態において、半襦袢B1 に対して襦袢及び着物の各連結ベルトV2 ,V3 を介して連結された二部式着物Aの上衣A1 を着用する状態を背中側から見た斜視図である。 【図6】半襦袢B1 に対して二部式着物Aの上衣A1 が垂れ下がった状態の側面図である。 【図7】半襦袢B1 に対して二部式着物Aの上衣A1 を持ち上げて着用する直前の状態の側面図である。 【図8】半襦袢B1 の上に上衣A1 を着用した状態において、半襦袢B1 及び上衣A1 の各後衿部4a,14a及び衿姿保形具Mを主体に示す側面模式図である。 【図9】半襦袢B1 と上衣A1 の各後衿部4a,14aの上下方向に沿った相対位置が不変であることを説明するために、各後衿部4a,14aを前後方向に沿って離間させた状態の側面模式図である。 【図10】(a),(b)は、それぞれ襦袢Bを構成する半襦袢B1 及び裾よけB2 を着用した状態の正面図及び背面図である。 【考案を実施するための形態】 【0021】 以下、実施例を挙げて、本考案について更に詳細に説明する。 【0022】 図1〜図7において、着物は、二部式着物Aであって、上衣A1 と下衣(図示せず)とから成り、襦袢Bは、二部式着物Aとほぼ同一形状をなしていて、半襦袢B1 と裾よけB2 とから成る。上衣A1 は、図1に示されるように、左右の前身頃1、左右の後身頃2、左右の袖3を有し、左右の前身頃1の内側の各端縁から、左右の各後身頃の上端縁に至る部分には、衿4が形成されている。上下方向に沿って衿4の後衿部4aと左右の後身頃2とが交差する部分であって、しかも左右方向に沿って背中心線5と交差する部分の内側には、後述の着物連結ベルトV3 の先端部に装着された連結フックFの横フック部Faが挿通可能な連結部6が一体に縫着されている。連結部6は、所定幅の2枚の布を折り返して、両端縁の側を上記部分に縫着することで、左右両端縁において開口して、横断面視でループ状に形成されている。 【0023】 襦袢Bを構成する半襦袢B1 は、図2に示されるように、左右の前身頃11、左右の後身頃12、左右の袖13及び衿14を備えていて、左右の後身頃12の外側に衿姿保形具Mが配置されて、当該衿姿保形具Mを構成する襦袢連結ベルトV2 の上端部が、前記連結部6の縫着部と対応する部分に一体に縫着され、図2、図5、図6〜図9において、16は、当該一体縫着部を示す。 【0024】 衿姿保形具Mは、図2〜図6に示されるように、半襦袢B1 の外側において人体の胸部の部分に巻回されて固定される巻回ベルトV1 と、当該巻回ベルトV1 に対して直交配置されて、上端部が半襦袢B1 の外側における前記上衣A1 の連結部6に相当する部分に一体に縫着されると共に、下端部が当該巻回ベルトV1 に一体に縫着された襦袢連結ベルトV2 と、前記巻回ベルトV1 に対して直交配置されて、下端部が前記襦袢連結ベルトV2 の下端部に一体に連結されると共に、上端部に装着された連結フックFの横フック部Faが、上衣A1 の連結部6に挿通されて、上衣A1 の内側における後衿部4aと後身頃2の境界部に連結される着物連結ベルトV3 とから成る。 【0025】 巻回ベルトV1 は、襦袢及び着物の各連結ベルトV2 ,V3 の幅に対して数倍の幅を有していて、各ベルトV1 〜V3 は、いずれも半襦袢B1 の布地に近似した布地で形成されている。実施例の衿姿保形具Mは、図4、図5、図8及び図9に図示されているように、襦袢及び着物の各連結ベルトV2 ,V3 は、全体が1本のベルト体で構成されて、巻回状態において巻回ベルトV1 の内側に襦袢連結ベルトV2 となる部分を配置して、当該巻回ベルトV1 の下端縁よりも僅かに下方の部分において、1本のベルトを折り返して、巻回ベルトV1 の外側に配置される部分が着物連結ベルトV3 である。1本のベルト体の折返し部は、互いに縫着Sされて、折り返しを確実にしている。 【0026】 巻回ベルトV1 の長手方向の両端部の互いに反対側となる部分には、それぞれ係止テープ21,22が一体に設けられている。係止テープ21,22は、ベース布地に無数の係止片が植毛された構成であって、各係止テープ21,22の無数の係止片が、相手方の係止片の間に入り込んで係止する構造である。よって、着用した半襦袢B1 の外側において人体の胸部に当該巻回ベルトV1 を巻回した状態で、手前側において、各係止テープ21,22を密着させると、互いに無数の係止片が係止することで、巻回ベルトV1 の両端部が連結されて、当該巻回ベルトV1 は、半襦袢B1 の外側において人体に固定された状態となる。なお、一方の係止テープ21は、人の胸囲の差に対応可能なように、他方の係止テープ22に比較して長手方向に沿って長く形成されている。 【0027】 連結フックFは、樹脂製であって、偏平ループ状をしたループ部Fbとの間に僅かの間隔をおいて、弾性変形可能な1本棒状の横フック部Faが一体に設けられた構成である。 【0028】 次に、本考案に係る着付け構造を有する着物A及び襦袢Bの着付け(着用)について説明する。まず、図5、図6及び図10に示されるように、肌襦袢(図示せず)の上に、衿姿保形具Mが連結されている半襦袢B1 及び裾よけB2 を着用する。その後に、衿姿保形具Mの巻回ベルトV1 の両端部に設けられた係止テープ21,22を用いて、当該巻回ベルトV1 の両端部を人体の前側において互いに連結した後に、連結フックFの横フック部Faを、二部式着物Aの上衣A1 の後衿部4aの近傍に設けられた連結部6に挿通することで、着物連結ベルトV3 の上端部となる部分を上衣A1 に連結する。この状態で、人体の背中側において上衣A1 を垂れ下げると、当該上衣A1 の自重は、襦袢及び着物の各連結ベルトV2 ,V3 を介して半襦袢B1 の後衿部14aの近傍に作用するために、襦袢連結ベルトV2 の長さに対応した分だけ、半襦袢B1 の後衿部14aが抜ける(衣紋抜きされる)。即ち、半襦袢B1 の後衿部14aは、巻回ベルトV1 及び襦袢連結ベルトV2 を介して間接的に人体に固定された状態となり、しかも半襦袢B1 の後衿部14aの位置である衣紋抜きの程度は、襦袢連結ベルトV2 の予め定められた長さにより、最適な程度に決定される。なお、図5〜図7及び図10において、17は、半襦袢B1 の下端部を締めている紐を示す。 【0029】 この状態で、半襦袢B1 の上に二部式着物Aの上衣A1 を着用すると、図7〜図9に示されるように、上衣A1 の後衿部4aは、上記した半襦袢B1 の後衿部14aと同様にして、巻回ベルトV1 及び着物連結ベルトV3 を介して間接的に人体に固定された状態となり、上衣A1 の後衿部4aの位置である衣紋抜きの程度は、着物連結ベルトV3 の予め定められた長さにより、最適な程度に決定される。 【0030】 これにより、半襦袢B1 の後衿部14a、及び上衣A1 の後衿部4aは、それぞれ巻回ベルトV1 及び襦袢連結ベルトV2 、並びに巻回ベルトV1 及び着物連結ベルトV3 を介して人体に間接的に連結されて、半襦袢B1 の後衿部14a、及び上衣A1 の後衿部4aの各衣紋抜きの程度は、襦袢及び着物の各連結ベルトV2 ,V3 の長さにより必然的に定められるため、半襦袢B1 の後衿部14a、及び上衣A1 の後衿部4aの上下方向及び前後方向に沿った相対位置がそれぞれ定められる。その結果、半襦袢B1 の後衿部14aが上衣A1 の後衿部4aに対して僅かに下がった状態となり、しかも人体の種々の動きに対してもこの状態が維持される。 【0031】 このように、半襦袢B1 の後衿部14a、及び上衣A1 の後衿部4aは、衿姿保形具Mを構成する巻回ベルトV1 、襦袢連結ベルトV2 、及び着物連結ベルトV3 を介して互いに拘束された状態となるために、各後衿部14a,4aの上下方向及び前後方向に沿った各相対位置が保持され、衿元が崩れなくなって、美しい衿姿、ひいては二部式着物Aの着姿が保持される。 【0032】 一方、図9に示されるように、衿姿保形具Mの着用の不具合、例えば、襦袢及び着物の各連結ベルトV2 ,V3 に僅かの弛みが生じた状態で、半襦袢B1 及び二部式着物Aの上衣A1 を着用した場合には、半襦袢B1 の後衿部14a、及び上衣A1 の後衿部4aの衣紋抜きの程度が小さくなって、半襦袢B1 の後衿部14aが上衣A1 の後衿部4aよりも僅かに上方に突出してしまうことがある。この場合には、巻回ベルトV1 を下方に押し下げると、襦袢及び着物の各連結ベルトV2 ,V3 の各弛みが解消されることで、図8に示されるように、半襦袢B1 の後衿部14a及び上衣A1 の後衿部4aの上下方向、及び前後方向の各相対位置は、襦袢及び着物の各連結ベルトV2 ,V3 の各長さにより必然的に定められて、最も適正な位置が確保されて、半襦袢B1 の後衿部14a及び上衣A1 の後衿部4aの各衣紋抜きの程度は最適となる。 【0033】 上記実施例は、衿姿保形具Mを構成する襦袢連結ベルトV2 の上端部は、半襦袢B1 の後衿部14aの近傍に一体に縫着されて、衿姿保形具Mは、常時使用される使用態様であるが、襦袢連結ベルトV2 の上端部に上記した連結フックFを装着して、当該襦袢連結ベルトV2 の上端部を、半襦袢B1 の後衿部14aの近傍に対して着脱可能な構成とすると、衿姿保形具Mは、必要な場合のみに使用することができると共に、衿姿保形具Mのみの販売も可能となる。 【0034】 本考案に係る襦袢連結ベルトV2 を使用する場合においては、襦袢及び着物に対しては、衿姿保形具Mを構成する襦袢及び着物の各連結ベルトV2 ,V3 の先端部に装着された連結フックFを連結可能にするために、横断面視でループ状となるように布地を二つ折りにした連結布部を、襦袢及び着物の各後衿部の近傍に縫着するのみでよい。従って、新規の襦袢及び着物のみならず、既存の襦袢及び着物に対しても実施可能である。 【0035】 上記実施例の衿姿保形具Mは、1本状のベルト体を二つ折りにして、その間に巻回ベルトV1 を配置して、二つ折りにした1本状のベルト体のうち内側の襦袢連結ベルトV2 の下端部を巻回ベルトV1 に縫着することで、巻回ベルトV1 の外側に着物連結ベルトV3 を配置することで、当該着物連結ベルトV3 の長さを襦袢連結ベルトV2 よりも長くできて、着物の着用時において、着物連結ベルトV3 により拘束の程度を小さくできる利点がある。しかし、衿姿保形具Mは、上記実施例に限定されるものではなく、人体の胸部に巻回される巻回ベルトV1 と、当該巻回ベルトV1 に対して直交配置される襦袢連結ベルトV2 及び着物連結ベルトV3 との計3種類のベルトを備えておれば、相互の各ベルトV1 〜V3 の連結関係(連結構造)は、いかなる構成であってもよい。例えば、襦袢及び着物の各連結ベルトV2 ,V3 は、2本のベルトを巻回ベルトV1 に対して個別に縫着した構成であってもよい。 【0036】 本考案の実施対象の襦袢は、長襦袢であってもよく、着物は、上衣と下衣とが一体のものであってもよい。 【符号の説明】 【0037】 A:二部式着物 A1 :二部式着物の上衣 B:襦袢 B1 :半襦袢 M:衿姿保形具 V1 :巻回ベルト V2 :襦袢連結ベルト V3 :着物連結ベルト 4:上衣の衿 4a:上衣の衿の後衿部 14:半襦袢の衿 14a:半襦袢の衿の後衿部 【図面の簡単な説明】 【図1】(a),(b)は、それぞれ二部式着物Aの上衣A1 の正面図及び背面図である。 【図2】(a),(b)は、それぞれ本考案に係る衿姿保形具Mが半襦袢B1 の後身頃12の部分に配置された半襦袢B1 の正面図及び背面図である。 【図3】(a),(b)は、それぞれ本考案に係る衿姿保形具Mの展開状態の正面図及び背面図である。 【図4】衿姿保形具Mの着物連結ベルトV3 の先端部が、二部式着物Aの上衣A1 の裏面側の後衿部4aの近傍に連結された状態を示す図である。 【図5】襦袢Bの着用状態において、半襦袢B1 に対して襦袢及び着物の各連結ベルトV2 ,V3 を介して連結された二部式着物Aの上衣A1 を着用する状態を背中側から見た斜視図である。 【図6】半襦袢B1 に対して二部式着物Aの上衣A1 が垂れ下がった状態の側面図である。 【図7】半襦袢B1 に対して二部式着物Aの上衣A1 を持ち上げて着用する直前の状態の側面図である。 【図8】半襦袢B1 の上に上衣A1 を着用した状態において、半襦袢B1 及び上衣A1 の各後衿部4a,14a及び衿姿保形具Mを主体に示す側面模式図である。 【図9】半襦袢B1 と上衣A1 の各後衿部4a,14aの上下方向に沿った相対位置が不変であることを説明するために、各後衿部4a,14aを前後方向に沿って離間させた状態の側面模式図である。 【図10】(a),(b)は、それぞれ襦袢Bを構成する半襦袢B1 及び裾よけB2 を着用した状態の正面図及び背面図である。 |
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【図1】 |
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【図2】 |
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【図3】 |
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【図4】 |
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【図5】 |
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【図6】 |
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【図7】 |
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【図8】 |
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【図9】 |
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【図10】 |
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The Shape Holding Tool for Kimono and Undershirt This invention is to fix the behind collar of a kimono and an undershirt independently form body, and make the relative position along the upper and lower part of the collar steady, which can adjust the collar part of the neck-band low on the back, and neatly fix the overlapped behind collar parts. Using the shape holding tool prevents a kimono from losing its shape, and keeps it tidy and shiny. |
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