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土木・建設
 
【発明の名称】瓦屋根上設置機材の取付構造
【特許権者】
【識別番号】505146825
【氏名又は名称】美山 泰彦
【住所又は居所】福岡県小郡市干潟1315−1
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100068618
【氏名又は名称】萼 経夫
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100093193
【氏名又は名称】中村 壽夫
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100104145
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100109690
【氏名又は名称】小野塚 薫
【発明者】
【氏名】美山 泰彦
【住所又は居所】福岡県小郡市干潟1315−1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体が帯状板材を長手方向に折り曲げることによって形成されており、短冊状の基板と、前記基板の略中央部から立ち上がった脚部と、前記脚部によって支えられ、前記基板とは間隔を置いて前記基板の先端側に延設された瓦押え板と、前記瓦押え板の先端に形成された取付部とからなり、全体として弾性を有する取付金具の複数個を、設置機材の位置する範囲の瓦屋根上において、前記基板の先端部を瓦屋根の野地板と横桟木との間に挿入すると共に、前記基板の折り曲げた部分の後端部を前記野地板に釘等で固定し、かつ前記各取付金具の瓦押え板を前記横桟木に係止した瓦の上に延在させるようにし、そして前記瓦押え板の先端の取付部に設置機材の枠等を接続したことを特徴とする瓦屋根上設置機材の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】
本発明は、瓦屋根上に設置する機材、例えば太陽電池パネル、太陽熱温水器、空調設備機器等を瓦屋根上に取付金具により取り付ける取付構造に関するものである。
【従来の技術】
従来、瓦屋根上に太陽電池パネル、太陽熱温水器、空調設備機器等を設置するとき、取付け方法等は取付業者の自由意思に任されており、一般的には、例えば木材を枕木として瓦屋根に渡し架け、この上に設置機材を取付け、設置機材の重量で屋根上に据え置く方法が取られている。これは重量のみで支えるため強風、台風によって動かされ、設置機材に故障の原因を与え、瓦などを破損し雨漏りの原因にもなり、しかも枕木は雨風に曝されるため朽ちる状態が早いなど設置機材の設置の安全性に問題があった。
また、瓦屋根と設置機材の枠等を接続する専用取付金具が最近使用されるようになってきた。これを図6、図7に基づいて説明する。図6は屋根の側方断面図、図7は屋根の前方断面図である。
屋根の複数の垂木1上には野地板2が張ってあり、野地板2の上には適宜間隔をあけて横桟木6が打ちつけれられている。瓦4はこの横桟木6に係止した状態で葺かれる。横桟木6の間の野地板2上に固定台3を釘等で固定し、その上に専用取付金具8がその基部に釘打ちすることによって固定される。
専用取付金具8は、第7図で分かるように、鋼板をジグザグに折曲したような形状をしており、平坦な基部3−1と、瓦に係合する屈曲部3−2と、上端にコ字状金具3−4を備えた支持部3−3とから成っている。
コ字状金具3−4には、設置機材の枠等が挿入され、両者はねじ等で一体に固定されている。
従来の専用取付金具は、瓦の側縁に差し込む構造となっているため、瓦の種類に対応して適応性が限られ、または瓦面の傾斜に影響されるものであった。更に、屈曲部3−2があるため取付金具自体に座屈が起こり易く、しかも、専用取付金具の面が瓦の側面を向いているため、衝撃により捻じれが生ずるおそれがあり、そのような場合は設置機材の支持に安定性を欠くものとなっていた。
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、瓦屋根上に太陽電池パネル、太陽熱温水器、空調設備機器等を設置する場合において、機器の据え付けの簡便さ、強固さはもとより、瓦の種類(一般和瓦、平瓦、洋瓦、重ね式瓦など)を問わず、屋根の瓦の傾斜角度にも影響されずに適応される、太陽電池パネル等を瓦屋根上に設置するための取付金具および取付構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載した瓦屋根上設置機材の取付構造の発明は、全体が帯状板材を長手方向に折り曲げることによって形成されており、短冊状の基板と、前記基板の略中央部から立ち上がった脚部と、前記脚部によって支えられ、前記基板とは間隔を置いて前記基板の先端側に延設された瓦押え板と、前記瓦押え板の先端に形成された取付部とからなり、全体として弾性を有する取付金具の複数個を、設置機材の位置する範囲の瓦屋根上において、前記基板の先端部を瓦屋根の野地板と横桟木との間に挿入すると共に、前記基板の折り曲げた部分の後端部を前記野地板に釘等で固定し、かつ前記各取付金具の瓦押え板を前記横桟木に係止した瓦の上に延在させるようにし、そして前記瓦押え板の先端の取付部に設置機材の枠等を接続したことを特徴とするものである。
【発明の実施の形態】
本発明の実施の態様を図1および図2によって説明する。
本発明の瓦屋根上設置機材の取付金具10は、基板11と、前記基板11の略中央部から立ち上がった脚部12と、前記脚部12によって支えられ、前記基板11とは間隔を置いて前記基板11の先端側に延設された瓦押え板13と、前記瓦押え板13の先端に形成された、設置機材の枠等を接続するための取付部14とから構成されている。
取付金具10は、帯状の金属板を長手方向に折り曲げることによって形成されている。取付金具10の基板11は、短冊状を呈し、折り曲げた部分が後端部11Bで、反対側が先端部11Aとなる。先端部11Aは後述の桟木6と野地板2との隙間に挿入される部分となる。後端部11Bには取付金具10を屋根の野地板2に固定するための釘等用の孔15が穿設されている。
帯状の金属板は基板11の略中央部で上方に立ち上り、脚部12を形成している。なお、脚部12と基板11との境は離れることは望ましくないので、両者を溶接等で一体に固定するか、基板11の折り重ねた部分を数箇所スポット溶接しておく。
脚部12の立ち上り高さは、瓦4の後縁の厚みに略等しく、その位置から折り曲がって基板11に対し略平行に基板11の先端の方向に向かう瓦押え板13が形成されている。瓦押え板13の途中はクランク状に折り曲げられた折曲げ部13Aを備えている。
瓦押え板13の先端には内側に折り曲げられた取付部14が形成されており、この部分には図5にも示されるように溝型金具15などが取り付けられる。
この様にして構成された取付金具10は、機材の設置部位の適宜複数個所の瓦4を上下にわたり捲り、野地板2上に適宜間隔を置いて固定された桟木6の後方(上方)から桟木6の下に取付金具の先端部11Aを挿入し、その脚部12が瓦4の後縁に接する位置まで押し込み、後端部11Bを野地板2に釘等で固定する。しかる後、前方(下方)に位置する瓦4を先に乗せ、続いて後方(上方)の瓦4を前方の瓦4の後部上に乗せる。瓦押え板13は上下の瓦4、4で挟まれた状態に位置し、かつその下面は前方の瓦4上に接して位置し、その上面の略3分の2は露出した状態となる。瓦押え板13の先端部は折り曲げ部13Aによって少し上方に浮いており、枠20の取り付けを容易にしている。
取付金具10の取付部14の溝型金具15には、設置機材の枠20がボルト等21で接続される。設置機材は従来公知の手段で枠20に固定される。なお、取付金具10の取り付ける際に、瓦4は一枚除去して施工してもよいものである。
以上のようにして、設置機材を取り付けるものであるから、設置部位の上位の一枚の瓦4(必要に応じて上下の二枚の瓦4)を捲れば容易に桟木6に係合した瓦4の後端に、または桟木6に近付くことができ、しかも桟木6を利用して取付金具20を取り付けるものであるから特別な固定台のようなものは不要となり、作業を容易となる。設置後の荷重は枠20が接する瓦屋根の全てで支持し、屋根の傾斜方向のすべり荷重は取付金具10の固定力すなわち釘等および桟木6によって受け止めることなり、また取付金具10は、基板11、枠20及び瓦押え板13とで瓦4を挟む形になり、かつ脚部12の傾倒を瓦4を介して桟木6で受けるので取付金具10が座屈することはなく、安定した取付状態を永年にわたって維持することができる。
【実施例】
取付金具10は、図2のものは瓦押え板13の一部に折曲げ部13Aを備えているが、図3に示すように、何もないフラットな板状としてもよいものである。また、図4は図2及び図3に示す本取付金具10の参考例を示すものであり、短冊状の基板11に、瓦押え板13を備えた脚部12を溶接固定したタイプのものである。
また、取付金具10は、防錆上ステンレス製の帯状板材を使用することが望ましい。帯状板材を使用した場合、全体として弾性があり、強風、地震等による振動を吸収し、設置機材の保護と瓦材の保護に役立つものである。
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の瓦屋根上設置機材の取付構造に採用される取付金具は、短冊状の基板11と、基板の略中央部から上方に突設した脚部12によって支えられた瓦押え板13とを有するものであるから、瓦の後方から前方に向かって基板11と瓦押え板13によって瓦の上下から抱持するようにして野地板上に固定できるので、施工が容易迅速に行うことができ、しかも、瓦の種類、瓦の野地板に対する傾斜に影響されることなく適用できるものである。
また、本発明の請求項1記載の瓦屋根上設置機材の取付構造では、上記の取付金具10により一枚程度の瓦を捲るだけで施工ができるので、取付金具の取付位置を容易に増やすことができ、これによって荷重を分散することができる。また、取付金具の桟木と釘等による固定は強固となり、設置後の荷重は枠20が接する瓦屋根の全てで支持し、屋根の傾斜方向のすべり荷重に対しかつ衝撃に対し十分耐えられるものであり安定した取付状態を永年にわたって維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の取付金具を使用した瓦屋根上の設置機材の取付構造を示す縦断面図である。
【図2】 本発明の取付金具の斜視図である。
【図3】 本発明の取付金具の他の実施例を示す斜視図である。
【図4】 本発明の取付金具の参考例を示す斜視図である。
【図5】 本発明の取付金具の瓦押え板の先端部の拡大斜視図である。
【図6】 従来の瓦屋根に設置機材を取り付けた状態を示すの縦断断面図である。
【図7】 図6の瓦屋根の横断断面図である。
【符号の説明】
2 野地板,4 瓦,6 桟木,10 取付金具,11 基板,12 脚部,13 瓦押え板,14 取付部,15 溝型金具,20 設置機材の枠
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
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