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【発明の名称】複数通風層構造の建物 【識別番号】511138054 【氏名又は名称】有銘 伸予 【住所又は居所】沖縄県名護市宮里3丁目4番26−2号 【代理人】 【識別番号】100076082 【弁理士】 【氏名又は名称】福島 康文 【発明者】 【氏名】有銘 伸予 【住所又は居所】沖縄県名護市宮里3丁目4番26−2号 【要約】 【課題】屋外側と室内側の二つの通気層に積極的に屋外の外気を出し入れしたり、閉じ込めたりできる構造を実現することにで、住佳境を改善し電力を節減する。 【解決手段】外気側と室内側の二つの通気層に積極的に外気を出し入れできるように、外気の入口と出口とを設けたので、冬の寒い期間は、温かい昼間に室外の温かい空気を通気層に入れて開閉手段を閉じておくと、寒い夜間に温かい空気に包まれるので暖房費を節減できる。また、夏場は、太陽が側壁に照りつけても、開閉手段を開けておいて通風を良くすれば、涼しく過ごすことができるので、冷房費を節減できる。しかも、通気層を2分割して、二つの通気層に独立に屋外の空気を出し入れすれば、外気による効果が長持ちする。 【特許請求の範囲】 【請求項1】 側壁の内部に1以上の通気層を有し、その単一の通気層又は少なくとも屋外側と室内側の二つの通気層に積極的に外気を出し入れできるように、屋外に面した柱を水平方向に貫通するように、屋外と前記通気層とを連通する通気孔を開けると共に、前記通気孔の開閉手段を設けたことを特徴とする建物の構造。 【請求項2】 天井にも単一の通気層又は少なくとも屋外側の通気層と室内側の通気層を設けると共に、積極的に外気を出し入れできるように通気孔を設けて、その開閉手段を設け、しかも天井のそれぞれの通気層を側壁の単一の通気層又は少なくとも屋外側の通気層及び室内側の通気層と連通させたことを特徴とする請求項1に記載の建物の構造。 【請求項3】 前記単一の通気層又は少なくとも屋外側と室内側の二つの通気層に外気を出し入れする通気孔を、屋外に面した柱の一の面と平行方向に前記柱を水平方向に貫通するように開けると共に、前記通気孔の中に前記通気孔より小さな筒状の通気孔を前記一の面と直角方向に設けて、前記通気層と直角方向の通気層に外気を出し入れするか、 又は屋外に面した柱の一の面と平行方向に前記柱を水平方向に貫通するように通気孔を開けると共に、前記一の面と直角方向の通気孔を、前記平行方向の通気孔と異なる高さで前記柱を水平方向に貫通するように開けてあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の建物の構造。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 本発明は、壁部に複数の通気層を有する建物において円滑に通気可能にした構造に関する。 【背景技術】 エネルギー環境が良くないことを考慮し、できるだけ電力を使用しない、天然の力で住環境を向上する工夫が求められている。そのような観点から、空気層を設けて、自然と通気される空気層を壁に設けた建物が提案されている。 ただし、空気層が単一なため、特許文献1のように、断熱材の両方に通気層を設けた案が提示されている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【特許文献1】特開2006−177136 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、特許文献1のような構造では、外気が積極的に出入り出来る外気の出入り口が無いので、複数の通気層を設けた利点が生かされていない。 本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、複数の通気層を有する壁構造において、少なくとも屋外側と室内側の二つの通気層に積極的に屋外の外気を出し入れしたり、閉じ込めたりできる構造を実現することにある。 【課題を解決するための手段】 請求項1は、側壁の内部に1以上の通気層を有し、その単一の通気層又は少なくとも屋外側と室内側の二つの通気層に積極的に外気を出し入れできるように、屋外に面した柱を水平方向に貫通するように、屋外と前記通気層とを連通する通気孔を開けると共に、前記通気孔の開閉手段を設けたことを特徴とする建物の構造である。このように、各柱に通気孔を設け、かつ前記通気孔の開閉手段を柱に設けた構造である。 請求項2は、天井にも単一の通気層又は少なくとも屋外側の通気層と室内側の通気層を設けると共に、積極的に外気を出し入れできるように通気孔を設けて、その開閉手段を設け、しかも天井のそれぞれの通気層を側壁の単一の通気層又は少なくとも屋外側の通気層及び室内側の通気層と連通させたことを特徴とする請求項1に記載の建物の構造である。このように、天井にも、少なくとも屋外側の通気層と室内側の通気層を設けると共に通気孔の開閉手段を設け、しかも前記の側壁の屋外側の通気層及び室内側の通気層とにそれぞれ連通させてある。 請求項3は、図6、図7のように、前記単一の通気層又は少なくとも屋外側と室内側の二つの通気層に外気を出し入れする通気孔を、屋外に面した柱の一の面と平行方向に前記柱を水平方向に貫通するように開けると共に、前記通気孔の中に前記通気孔より小さな筒状の通気孔を前記一の面と直角方向に設けて、前記通気層と直角方向の通気層に外気を出し入れするか、 又は図11のように、屋外に面した柱の一の面と平行方向に前記柱を水平方向に貫通するように通気孔を開けると共に、前記一の面と直角方向の通気孔を、前記平行方向の通気孔と異なる高さで前記柱を水平方向に貫通するように開けてあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の建物の構造である。 【発明の効果】 請求項1のように、単一の通気層又は屋外側と室内側の二つの通気層に積極的に外気を出し入れできるように、屋外に面した柱を水平方向に貫通するように、屋外と前記通気層とを連通する通気孔を設けたため、冬の寒い期間は、温かい昼間に室外の温かい空気を通気層に入れて開閉手段を閉じておくと、寒い夜間に温かい空気に包まれるので暖房費を節減できる。 また、夏場は、太陽が側壁に照りつけても、開閉手段を開けておいて通気層の通風を良くすれば、涼しく過ごすことができるので、冷房費を節減できる。 しかも、通気層を2分割して、二つの通気層に独立に屋外の空気を出し入れすれば、外気による効果が長持ちする。なお、屋外に面した各柱に通気孔を設けたので、外気が直進でき、効果的に外気を出し入れできる。各通気孔の開閉手段も柱側に設けることになる。 請求項2のように、天井にも単一の通気層又は屋外側の通気層と室内側の通気層を設けて通気孔で屋外と連通すると共に、それぞれを前記側壁の単一の通気層又は屋外側の通気層及び室内側の通気層とに連通させてあるので、天井側についても、その通気孔の開閉手段を開け閉めすることで、前記のように夏期や寒冷期の冷暖房費を節減できる。 請求項3によると、図6、図7のように、前記単一の通気層又は少なくとも屋外側と室内側の二つの通気層に外気を出し入れする通気孔を、屋外に面した柱の一の面と平行方向に前記柱を水平方向に貫通するように開けると共に、前記通気孔の中に前記通気孔より小さな筒状の通気孔を前記一の面と直角方向に設けて、前記通気層と直角方向の通気層に外気を出し入れするので、柱3はこのように複雑な形状をしているが、コンクリートのプレキャスト成型などで量産すれば安価である。 金属による成型や型鋼と鋼板の組み合わせや角パイプに十字鋼を挿入した構造などでもよい。機械的強度を向上すると共に、側壁を取付ける梁とボルトナットなどで連結し易いように、柱3は田の字状の断面形状になっているが、田の字状以外も可能である。 また、図11のように、屋外に面した柱の一の面と平行方向に前記柱を水平方向に貫通するように通気孔を開けると共に、前記一の面と直角方向の通気孔を、前記平行方向の通気孔と異なる高さで前記柱を水平方向に貫通するように開けた構造にすると、柱3が簡易化される。 【発明を実施するための形態】 次に本発明による複数通風層構造の建物が実際上どのように具体化されるか実施形態を詳述する。図1は、本発明による複数通風層構造の建物の水平断面図であり、ユニットバスやキッチン、デスクや椅子、ベッドが図示されている。正方形の建物の例であり、4辺の側壁が図示されているが、薄い壁材は断面の斜線(ハッチング)が困難なため省略してある。 通気層は1以上有れば、単一であっても、2以上であってもよいが、図示例は屋外側の通気層1と室内側の通気層2との2層構造になっている。 四つの角部に立てた柱3…には、壁の屋外側通気層1に連通する通気孔4…と室内側通気層2に連通する通気孔4’…とを備えている。すなわち、通気孔4…4’…は、立っている柱の一部に開けてあり、他の一部に、直角方向の他の屋外側通気層1と室内側通気層2とに連通する四角筒状の通気孔を開けてある。 そして、各柱に開けた各通気孔を開閉するために、図示例では観音開きのドアD…を設けてある。 なお、天井にも屋外側の通気層1と室内側の通気層2とを設けて2層構造にする場合は、天井の屋外側通気層に連通する孔6と天井の室内側通気層に連通する孔7とを天井に備えている。 図2は、図1の窓8を表現した側断面図であり、図3は、図1に示した人の出入り口のドア9を表現した側断面図である。 壁を機械的に強化すべく、側壁の全面を空洞にするのでなく、通気層1・2の所々にスペーサ10…を設けてある。 図2、図3の天井は、外気を取り込むための通気層11だけであるが、側壁と同様に2層構造にしてもよい。天井の通気層11も、柱に開けた通気孔12…と連通しており、この通気孔12…を開閉する開閉手段D…を設けてある。 図4、図5は、側壁と同様に天井も2層構造にした例である。2層構造にするには、側壁の屋外側通気層1と天井の屋外側通気層11oが連通するように天井に開けた連通孔6を有しており、かつ側壁の室内側通気層2と天井の室内側通気層11iが連通するように天井に開けた連通孔7を設けてある。これらの通気層11o、11iの出入口を開閉する手段Dを設けることは言うまでもない。 このように側壁と同様な構成になっているので、夏場の太陽が矢印のように屋根に照りつけても、開閉手段Dを開けておいて通風を良くすれば、涼しく過ごすことができる。暑い夏場は、部屋も開けっ放しにして通風を良くしたり、壁の外にゴーヤーなどの植物を生やして壁が高温に加熱されるのを防ぐと、より涼しくなる。 一方、寒冷期は、温かい昼間に開閉手段Dを開けて、温かい外気を通気層11o、11iに取り込んで閉じ込めてから、開閉手段Dを閉じると、寒い夜間を温かく過ごせる。 従って、冷暖房に要する電力を節減できる。 図6は、ある一つの柱の要部を拡大して室内側から見た斜視図であり、2辺の側壁の屋外側通気層1と室内側通気層2との交点に柱3が立っている。そして、柱3には、図の左側の通気層1・2に連通する通気孔4…、4’…が空いており、かつ図の右側の通気層1・2に連通する通気孔5…、5’…が筒状に空いている。 すなわち、図示のように、各縦長の通気孔4…、4’…と交差するように小型の筒状の通気孔5…、5’…が空いている。 柱3はこのように複雑な形状をしているが、コンクリートのプレキャスト成型などで量産すれば安価である。金属による成型や型鋼と鋼板の組み合わせや角パイプに十字鋼を挿入した構造などでもよい。 機械的強度を向上すると共に、側壁を取付ける梁とボルトナットなどで連結し易いように、柱3は田の字状の断面形状になっているが、田の字状以外も可能である。 柱3…の下端同士、上端同士を接続する梁を側壁W…、w…が兼ねてもよい。梁として型鋼などを用いることで容易に兼用できる。あるいは、図6の側壁W…、w…の下端、上端に、専用の梁を別に設けてもよい。 W…、w…は、通気層1・2を形成するための壁板材であり、断熱性に富んだ石膏ボードなどが適している。この壁板材は梁などに取付けるが、柱3には、図10のようなアングル材などでも取付け可能である。 図7は、図6の柱3を屋外側から見た斜視図であり、柱3に開けた縦長の通気孔4…、4’…と交差する方向の小型の筒状の通気孔5…、5’…が開いている。 そして、この縦長の通気孔4…、4’…や筒状の通気孔5…、5’…を開閉する開閉手段を設ける。なお、開閉扉D…は図示を省いてある。 図8は柱3の縦断面図であり、(1)図は柱3の中心位置の縦断面図、(2)図は柱3を側壁W側から見た縦断面図である。 図9は柱3の別の縦断面図であり、(1)図は柱3の縦長の通気孔4…、4’…位置の縦断面図、(2)図は柱3の筒状の通気孔5…、5’…位置の縦断面図である。 図10は、柱3の水平断面図であり、柱3にアングル材などを介して壁板材W…、w…を連結してある。 図11は柱3を簡易化した実施形態であり、四角い柱3において、1辺に平行な通気孔4aと同辺と直角の通気孔5aとを上下方向に交互に開けてある。そして、通気孔4aから出入りする通気は、通気孔4aと平行な通気層1、2に出入りし、通気孔5aから出入りする通気は、通気孔5aと平行な通気層1、2に出入りする。 図示の柱3は、2分壁13による強度向上を期待しているが、2分壁13を省いて、単一の大きめの通気孔から、二つの通気層1、2に通気する構造も可能である。なお、開閉手段Dは省いてある。 図12は、通気の出し入れ用の通気孔と、その開閉手段を、柱では無く、側壁の柱近くに開けた例の水平断面図であり、外壁W…に通気孔14を開けると共にその開閉手段Dを設けて、外側の通気層1に屋外の空気を取り込めるようにしてある。 また、中間の壁板w…に通気孔15を開けると共にその開閉手段Dを設けてある。この実施形態では、開閉手段Dは、上下にスライドする構造になっているが、横方向にスライドさせてもよいし、開閉方式は特に限定されない。 開閉手段Dから最も離れた位置に、別の通気孔と開閉手段を有しているが、図示を省略してある。 このように、柱3以外に、通気層1、2に屋外の空気を出し入れする通気孔やその開閉手段を設けると、通気孔の位置や大きさが制限されないし、通常の柱を利用できる利点があり、安価に提供できる。この発想を天井側の通気層にも適用して、天井に通気孔15と開閉手段Dを設けることも可能である。 【産業上の利用可能性】 以上のように、建物の側壁に形成した通気層に積極的に屋外の外気を出し入れする通気孔と開閉手段を設けてあるので、夏期には開閉手段を開けておいて通風を良くすれば、涼しく過ごすことができ、一方冬季には開閉手段を開けて昼間の温かい外気を通気層に取り込んでから、開閉手段を閉じておくと、寒い夜間でも温かく過ごせる。従って、住環境の改善によって、冷暖房のための電力を節減できる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明による複数通風層構造の建物の水平断面図である。 【図2】図1の窓を表現した側断面図である。 【図3】図1の出入り口のドアを表現した側断面図である。 【図4】側壁と同様に天井も2層構造にした縦断面図である。 【図5】側壁と同様に天井も2層構造にした縦断面図である。 【図6】柱の要部を拡大して室内側から見た斜視図である。 【図7】図6の柱を屋外側から見た斜視図である。 【図8】柱の縦断面図であり、(1)図は柱の中心位置の縦断面図、(2)図は柱を側壁側から見た縦断面図である。 【図9】柱の別の縦断面図であり、(1)図は柱の縦長の通気孔位置の縦断面図、(2)図は柱の筒状の通気孔位置の縦断面図である。 【図10】柱の水平断面図である。 【図11】柱を簡易化した実施形態である。 【図12】開閉手段を柱近くの側壁に設けた例の水平断面図である。 【符号の説明】 1 屋外側の通気(通風)層 2 室内側の通気(通風)層 3… 柱 4…、4’… 通気(通風)孔 5…、5’…筒状通気(通風)孔 4a・5a 通気(通風)孔 D… ドア(開閉手段) 6・7 孔 8 窓 9 出入り口のドア 11 天井の通気(通風)層 11i 室内側通気(通風)層 11o 屋外側通気(通風)層 12 柱に開けた天井用の通気(通風)孔 D… 開閉手段 W…、w… 通気(通風)層を形成するための壁板材 13 2分壁 14・15 通気(通風)孔 |
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【図1】 |
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【図2】 |
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【図3】 |
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【図4】 |
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【図5】 |
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【図6】 |
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【図7】 |
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【図8】 |
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【図9】 |
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【図10】 |
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【図11】 |
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【図12】 |
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1.ひとつの柱部の2方向に設置されている、断熱扉を開閉させる特徴的な構造。また、天井部にも断熱扉が有る。日差し等で暑い場合は開けておき、2つの空洞部に自然の風を通り抜けさせる。直射日光のあたる外部の壁と室内側の壁で、優れた断熱効果を確保する。また、寒い場合には断熱扉を閉めると、2つの空洞部でブロックされ、室内が暖かい (断熱材は使用せずとも)。 2.2つの空洞部に自然の風が通り抜けることを利用した、2つの空洞部の空気が混ざり合わない特徴的な構造。例えば、自らが遮熱呼吸する、恒常性の機能をもつ建物といえる。 3.寒い冬場の昼間においては、天井部の空洞部も閉めると、天井部と側壁の外側の空洞部は太陽光の熱で暖められ、室内は暖かい。 4.1日の寒暖の差が大きい(例えば、砂漠)地域等でも効果を発揮する住居。 5.例えば、日差しの強い真夏の日中などに長時間、カーテン等がされた窓等、開口部が閉めきられた住宅が真夏の日差しに独立した状態でさらされても、帰宅した場合、住宅内の気温の上昇が抑えられている特徴がある。 6.断熱効果により、住居内の壁の結露対策にも有効。 7.夏場・冬場の冷房・暖房の光熱費が抑えられる。 |
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