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【考案の名称】耐震用補強金具 【実用新案権者】 【識別番号】505083863 【氏名又は名称】伊藤 一信 【住所又は居所】東京都杉並区高円寺北3丁目10番2号 【代理人】 【弁理士】 【識別番号】100077126 【氏名又は名称】中村 盛夫 【代理人】 【弁理士】 【識別番号】100080687 【氏名又は名称】小川 順三 【考案者】 【氏名】伊藤 一信 【住所又は居所】東京都杉並区高円寺北3丁目10番2号 【要約】 【課題】 耐震工事のために外壁を壊す必要がない耐震用補強金具を提供する。 【解決手段】 土台と柱、柱と梁などの入り隅に沿わせて接合する直角な接合辺11、11と、この接合辺11、11の一側縁から直角に一体に連接する水平なL型辺12、12からなり、この接合辺11、11とL型辺12、12には複数のボルト挿通穴11a、12aを穿ってあり、接合辺とL型辺の内側両端部に接するように断面山形の斜辺13を渡して三角形状としてなり、L型辺12、12を外壁材2から土台3と柱4に沿わせてボルトBを締め付けるようにした。 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 土台と柱、柱と梁などの入り隅に沿わせて接合する直角な接合辺と、この接合辺の一側縁から直角に一体に連接する水平なL型辺からなり、この接合辺とL型辺には複数のボルト挿通穴を穿ってあり、接合辺とL型辺の内側両端部に接するように断面山形の斜辺を渡して三角形状としてなることを特徴とする耐震補強金具。 【請求項2】 接合辺とL型辺を、予めボルト挿通穴を穿った二つの山形鋼を直角に溶接することで構成し、斜辺も山形鋼にて構成したことを特徴とする請求項1記載の耐震補強金具。 【考案の詳細な説明】 【技術分野】 本考案は、特に既存木造建築物の耐震性を高めるのに好適な耐震用補強金具に関するものである。 【背景技術】 既存木造建築物では、経年変化により火打ち梁や筋交いを固定しているボルトが緩んだり、筋交いや補強金具が不足していたりして建物の強度が不足していると思われる箇所を耐震補強しようとしても、外壁を壊したり、足場を組んだり、建物内部に入り込むために床材、天井材などを剥がしたりするなど関連工事が大掛かりでコスト高になり、二の足を踏む原因となっていた。 そこで、建築中の木造建築物はもとより、既存建築物の外壁より施工することができ、しかも強度において優れる耐震用補強金具を提供すべく、試行錯誤を経て開発したものである。 既存木造建築物の耐震補強金具として特許文献1(図5イ)及び特許文献2(図5ロ)で補強金具が提案されている。これらは、外壁を壊すことなく施工できるとしているがその手段が明示されていない。また、建物内側から施工すると、床、天井及び内壁を剥がすことが避けられない。 、特許文献3(図5ハ)では、古い家屋の耐震補強もできると記述されている。しかし、古い家屋の耐震補強には隠れている柱、土台、梁を露出させるために外壁、内壁、天井、床板を剥がさないと行えない。 特許文献4(図5ニ)のコーナー結合金具は、土台、軒げたのコーナー部に止めるものであるが、強靭な金具とはいえない。 【特許文献1】 特許第3349685号公報 【特許文献2】 特許第3088068号公報 【特許文献3】 特開2000−54490号公報 【特許文献4】 実開昭59−54604号公報 【考案の開示】 【考案が解決しようとする課題】 そこで、本考案の解決しようとする問題点は、従来の耐震補強金具としての機能を備えつつ、金具の強度を増すことで耐震性に優れるようにし、しかも、外壁を壊すことなく外壁表面から直接土台と柱、柱と梁のなす平坦面にあてがいボルトをねじ込むことで耐震補強工事ができるようにしたのである。 加えて、建築中及び既存木造建築物の内装を剥がすことでも施工でき、あらゆる局面で用いることができるである。 【課題を解決するための手段】 本考案は、土台と柱、柱と梁などの入り隅に沿わせて接合する直角な接合辺と、この接合辺の一側縁から直角に一体に連接する水平なL型辺からなり、この接合辺とL型辺には複数のボルト挿通穴を穿ってあり、接合辺とL型辺の内側両端部に接するように断面山形の斜辺を渡して三角形状としてなることを特徴とする。 【考案の効果】 本考案に関わる耐震用補強金具によれば、既存木造建築物の外壁から水平なL型辺を壁面に沿わせてあてがいボルトをねじ込むことで直接施工することができるので簡易に耐震補強工事をなすことができるのである。建築中には従来のこの種の補強金具と同様に接合辺を入り隅に沿わせてボルトをねじ込むことで施工することができる。 【考案を実施するための最良の形態】 図1、図2は、本発明に関わる耐震補強金具1の斜視図である。 概略、型鋼の一種である等辺山形鋼を溶接して三角形状に構成するものである。入り隅に当設する直角な接合辺11と水平なL型辺12は、厚み5mmで、長さは50cm、幅が5cmの等辺山形鋼を一対組み合わせて溶接して構成するものであり、別途厚み4mmで、長さが57cm、幅は4mmの等辺山形鋼を溶接して斜辺13を構成する。 二本の長さ50cmの等辺山形鋼は、L型に組み合わせたときに二重にならないように、二本の等辺山形鋼の隅角を三角形状に切除して直角になるように突合せ端縁を溶接部Wによりつなげ接合辺11とL型辺12とする。 続いて、接合辺11とL型辺12の内側端部に、断面山形の等辺山形鋼を素材とし、幅が若干短いものとして接合辺12よりはみ出さず、両端部が接合辺11に当接してL型辺12に跨るように、接合辺12内側の当接する箇所を三角状に切除してから溶接部Wすることで直角二等辺三角形状の三角を形成するようにしてある。 そして、接合辺11及びL型辺12には土台、柱、梁などへボルトBを通すためのボルト挿通穴11a、12aを複数所定の間隔で複数穿ってある。このボルト挿通穴11a.12aは溶接する前に穿っておくようにする。 このような構成からなる耐震用補強金具1は、肉厚の等辺山形鋼を素材として、溶接してなるので、従来の耐震金具のように金属板を屈曲してなるものとは違い、格段に優れた強度を備えるものであり、加えて、斜辺13を等辺山形鋼にて構成したので強靭さに優れるのである。 そして、土台3と柱4の外面の直角を成す平坦面に沿わせられるL型辺12の採用により、図2に示すようにL型辺12を外壁の外側からあてがい外壁材2を貫通させるボルトBをねじ込むことで外壁材2を剥がさずに簡易な施工ができるのである。 外壁材2の上から直接固定する場合には、予めボルト穴を穿つようにしてボルトB打ち込みによる外壁材2の割れや大きな剥離を防ぐようにし、必要に応じて、ボルト挿入箇所から建物内部に雨水が浸入しないように防水シートや樹脂製のシーリング剤を外壁材2との接触面に塗布するようにする。 図3では既存木造建築物の土台3と柱4、柱3と梁5などに外壁材2の上からボルトBをねじ込んで固定して建築物に耐震性を付与するようにした例を示す。耐震補強金具1全体を工事する既存木造建築物の外壁材2の色と同じか同じような色として目立たなくすることが望ましい。 実施態様に示すように、接合辺11とL型辺12を、幅員5cmとしておけば、一般的には土台3、柱4や梁5の太さ(幅員)は10cmであるので、同じ箇所に配置することもできる。この例では柱4の縦方向に並べて耐震補強金具1を配置している。 図5に示すように建築中、或いは、壁材や内装材、天井材などを剥がして補強工事をする際には、接合辺11、11を土台3と柱4や、柱4や梁5のなす入り隅に沿わせて配置し、ボルトBを締め付けることで補強工事をなすことができることになる。詳細な図示は省略するが、柱と桁、管柱と土台、管柱と胴差しなど縦方向に直角に交差して入り隅をなす箇所に接合辺11、11をあてがいボルトBをねじ込むことで容易に耐震補強工事をなすことができるのである。 図示しないが、接合辺11、L型辺12を幅員5mmとしておけば柱4などの中央に配置しやすく、入り隅に配置する場合にあっても、同じ箇所に二つの耐震補強金具1をボルトBで止めることで念入りに補強することもできる。 これまでは耐震補強金具1を縦方向に配置したものとしているが、平面十字状或いはT形に配置された土台同士や梁と胴差しのなす入り隅部に、接合辺11、11をあてがうように配置して横揺れに対するひずみを防止することもできる。 これまでの実施態様では、等辺山形鋼にて構成したものとしたが、不等辺山形鋼を用いてもよい。いずれにしても肉厚のある断面L形の型鋼を用いることで強度すなわち耐震性を増すようにしたのである。 長方、厚みのある型鋼を用いて溶接によりほぼ二等辺三角形状とすれば取り扱いが容易となる。 【図面の簡単な説明】 【図1】イ、ロは本考案の耐震補強金具の斜視図である。 【図2】耐震補強金具の使用状態図である。 【図3】中古木造建築物への本考案の耐震補強金具の使用状態図である。 【図4】新築住宅等への本考案の耐震補強金具の使用状態図である。 【図5】イ乃至ニはこれまでの補強金具の斜視図を示すものである。 【符号の説明】 【0018】 1 耐震補強金具 11 接合辺 12 L型辺 11a、12a ボルト挿通穴 13 斜辺 2 外壁材 3 土台 4 柱 W 溶接部 B ボルト |
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【図1】 |
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【図2】 |
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【図3】 |
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【図4】 |
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【図5】 |
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