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土木・建設
 
【考案の名称】タイル
【実用新案権者】
【識別番号】597003354
【氏名又は名称】有限会社 丸藤工芸
【住所又は居所】岐阜県土岐市下石町2328−22
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100100859
【氏名又は名称】有賀 昌也
【考案者】
【氏名】伊藤 寿啓
【住所又は居所】岐阜県土岐市下石町2328−22 有限会社丸藤工芸内
【要約】(修正有)
【課題】
建築物等の壁面などに容易に取り付けられると共に、強度性に優れ、壁面等に固定された後、経時的に分断して落下するおそれがないタイルを提供する。
【解決手段】
タイル1は、裏面2において幅方向に延在した係止材挿入用凹条部4を有するタイルであって、係止材挿入用凹条部4は幅方向の両端部5,6付近の双方には形成されていない。このように、裏面2に設けられ幅方向に延在した係止材挿入用凹条部4が、幅方向の両端部5,6付近の双方には形成されず、両端部5,6付近の少なくとも一方でタイルの肉厚のままであるため、強度性に優れ、壁面等に固定された後、係止材挿入用凹条部4に沿って経時的に分断して落下するおそれがない。
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
裏面において幅方向に延在した係止材挿入用凹条部を有するタイルであって、該係止材挿入用凹条部は、幅方向の両端部付近の少なくとも一方には形成されていないことを特徴とするタイル。
【請求項2】
前記係止材挿入用凹条部は、裏面側から表面側に向かって斜め方向に形成されている請求項1に記載のタイル。
【請求項3】
前記係止材挿入用凹条部は、幅方向の両端部付近を除いて形成されている請求項1または2に記載のタイル。
【請求項4】
前記係止材挿入用凹条部は、幅方向の一端部付近を除いて形成されている請求項1または2に記載のタイル。
【請求項5】
前記係止材挿入用凹条部は、幅方向に複数行離間して形成されている請求項1ないし4のいずれかに記載のタイル。
【請求項6】
前記係止材挿入用凹条部は、一行が幅方向の一端部付近を除いて形成され、他行が幅方向の他端部付近を除いて形成されている請求項5に記載のタイル。
【請求項7】
前記係止材挿入用凹条部は、幅方向の同一行に複数離間して形成されている請求項1ないし6のいずれかに記載のタイル。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
本考案は、建築物等の壁面などへの乾式工法またはPC板などの先付け工法に使用して好適なタイルに関するものである。
【背景技術】
近年、タイル施工技術者の減少、工期短縮またはコスト低減などの要請から、タイルの施工方法として乾式工法やPC板などの先付け工法が一般化している。
これらの工法において下地材にタイルを金具などで固定することが行われており、例えばそのようなものとして、実開平−21025号公報のタイル張り壁構造などが提案されている。
このタイル張り壁構造では、図11に示すように、タイル51の裏面に裏面側から表面側に向かって斜め上方に傾斜したピン差込凹部52が穿設されており、このピン差込凹部52内に下地材50から斜め上方に突出したピン53が差し込まれてタイル51が下地材50に固定されている。
しかし、このタイル張り壁構造において、下地材50に固定されるタイル51は、ピン差込凹部52が幅方向に横断して穿設されているため強度的に問題があり、下地材50に固定された後、経時的にピン差込凹部52に沿って分断し落下するおそれがあった。このような幅方向に横断したピン差込凹部の形成は、主として穿孔技術上容易であることから採用されているが、特に幅方向の両端部付近が共に穿孔されてピン差込凹部52が形成されているとタイルの強度が著しく低下する。
【特許文献1】
実開平−21025号公報
【考案の開示】
【考案が解決しようとする課題】
そこで、本考案の課題は、建築物等の壁面などに容易に取り付けられると共に、強度性に優れ、壁面等に固定された後、経時的に分断して落下するおそれがないタイルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するものは、裏面において幅方向に延在した係止材挿入用凹条部を有するタイルであって、該係止材挿入用凹条部は、幅方向の両端部付近の双方には形成されていないことを特徴とするタイルである。
前記係止材挿入用凹条部は、裏面側から表面側に向かって斜め方向に形成されていることが好ましい。前記係止材挿入用凹条部は、幅方向の両端部付近を除いて形成されていることが好ましい。前記係止材挿入用凹条部は、幅方向の一端部付近を除いて形成されていてもよい。前記係止材挿入用凹条部は、幅方向に複数行離間して形成されていてもよい。前記係止材挿入用凹条部は、幅方向に複数行離間して形成されており、一行が幅方向の一端部付近を除いて形成され、他行が幅方向の他端部付近を除いて形成されていてもよい。前記係止材挿入用凹条部は、幅方向の同一行に複数離間して形成されていてもよい。
【考案の効果】
請求項1ないし7に記載した考案によれば、建築物等の壁面などに容易に取り付けられると共に、強度性に優れ、壁面等に固定された後、係止材挿入用凹条部に沿って経時的に分断して落下するおそれがない。
【考案を実施するための形態】
本考案は、裏面に設けられ幅方向に延在した係止材挿入用凹条部が、幅方向の両端部付近の双方には形成されず、両端部付近の少なくとも一方でタイルの肉厚のままであるため、強度性に優れ、壁面等に固定された後、係止材挿入用凹条部に沿って経時的に分断して落下するおそれがないタイルを実現した。
【実施例1】
本考案のタイルを図1または図2に示した一実施例を用いて説明する。
この実施例のタイル1は、裏面2において幅方向に延在し、かつ裏面2側から表面3側に向かって斜め方向に形成された係止材挿入用凹条部4を有するタイルであって、係止材挿入用凹条部4は幅方向の両端部付近の双方には形成されていないことを特徴とするタイルである。以下、各構成について順次詳述する。
この実施例のタイル1は陶磁質タイルであるが、これに限定されるものではなく壁面等の下地材に張設されるものであればどのような材質のものでもよく、例えば石材タイルなどであってもよい。また、この実施例のタイル1は矩形のタイルであるが、これに限定されるものではなく、例えば円形、楕円形、菱形などの形態を有するタイルであってもよい。
タイル1の裏面2には、図1に示すように、幅方向に延在するように穿設された係止材挿入用凹条部4が形成されている。この係止材挿入用凹条部4は、タイル1を壁面等の下地材に張設する際に金具等の係止材を挿入するための部位であり、この実施例では、幅方向に延在すると共に、図2に示すように、裏面2側から表面3側に斜め上方に向かって穿孔された凹条溝にて形成されている。なお、この実施例の係止材挿入用凹条部4は、裏面2側から表面3側に向かって斜め方向に穿孔されているが、裏面2側から表面3側に向かい、真っ直ぐ(裏面に直交する方向)に穿孔されたものも本考案の範疇に包含される。ただ、係止材挿入用凹条部は斜め方向に穿孔されている方が壁面における被保持力が大きく好ましい。
そして、係止材挿入用凹条部4は、少なくとも幅方向の両端部5,6間に渡って形成されておらず、幅方向の両端部5,6付近の双方には形成されていない。より具体的には、この実施例の係止材挿入用凹条部4は、幅方向の両端部5,6付近を除いて形成されている。このように、両端部5,6付近にはそれぞれ溝が形成されておらずタイル1の肉厚のままであるため、強度が増して係止材挿入用凹条部4に沿って分断してしまうことがなく、壁面等に張設されてもタイル1か落下することがない。また、幅方向の両端部付近の両方に溝が形成されていないと、接着材を係止材挿入用凹条部4内に充填しても両側から液漏れすることがなく両端のテーピングが不要となる。
なお、本願において、「タイルの幅方向」とは、壁面等に張設される際、略水平方向に配される方向を意味する。従って、また、「幅方向の両端部付近の双方には形成されていない」とは、文字通り両端部付近の両方に形成されていないことの他、両端部付近のいずれか一方に形成されていないことを含む概念である。
つぎに、本考案のタイル1の使用例について図10を用いて説明する。
図10において7は壁面を構成する木質系下地材であり、この木質系下地材7にタイル1を張設する場合は、縦断面略Z型を有する係止材8を用いて行う。具体的には、まず、係止材8の上部にて鋭角に屈曲した上端辺部を木質系下地材7内に打ち込む。つぎに、係止材挿入用凹条部4内に例えばエポキシ樹脂などの接着材を充填し、また木質系下地材8の表面に接着材9を塗布する。そして、係止材8の下部から斜め上方に向かって突出する下端辺部をタイル1の係止材挿入用凹条部4内に挿入させることにより、木質系下地材7の表面にタイル1を容易に張設することができる。なお、図10に示した使用例は木質系下地材にタイル1を張設する際の一実施例であり、例えばコンクリート壁面にタイル1を張設する場合はそれに応じた形態を備えた係止材を用いて行う。その際もタイル1の係止材挿入用凹条部4内に係止材の一部を挿入して張設する点は同様である。
さらに、本考案の他の実施例を順次説明するが、まずは図3または図4に示した本考案のタイル10について説明する。
この実施例のタイル10と前述したタイル1との相違は、係止材挿入用凹条部の相違のみであり他の構成は同じである。タイル1と同一構成部分について同一符号を付し説明を省略する。具体的には、この実施例の係止材挿入用凹条部14は、幅方向の一端部5付近を除いて形成され他端部6側には横断してされている。このように、両端部5,6のうち一方の端部付近のみ溝が形成されていないものも本考案の範疇に包含される。
図5または図6に示した本考案の他の実施例のタイル20は、係止材挿入用凹条部が幅方向に複数行離間して形成されている。
具体的には、この実施例の係止材挿入用凹条部24a,24bは、タイル1と同様に係止材挿入用凹条部が幅方向の両端部5,6付近を除いて形成されており、かつ2本平行に穿設されている。このように、係止材挿入用凹条部が複数行形成されたものも本考案の範疇に包含される。
図7または図8に示した本考案の他の実施例のタイル30は、係止材挿入用凹条部が複数行形成されると共に、一行が幅方向の一端部5付近を除いて形成され、他行が幅方向の他端部6付近を除いて形成されている。
具体的には、この実施例の係止材挿入用凹条部34a,34bのうち、係止材挿入用凹条部34aは幅方向の一端部付近5を除いて形成されており、係止材挿入用凹条部34bは幅方向の他端部6付近を除いて形成されている。このように、係止材挿入用凹条部が複数行形成され、かつ横断して形成される側が異なるものも本考案の範疇に包含される。また、この実施例の係止材挿入用凹条部34a,34bは、図8に示すように、穿孔される斜め方向の向きが図6に示した係止材挿入用凹条部24a,24bとは異なる。このように、縦断面における係止材挿入用凹条部の斜め方向の向きは、使用される係止材の形態により適宜変更されるものであり、上下どちらの方向に向いて形成されたものも本考案の範疇にすべて包含される。例えば、2本の係止材挿入用凹条部が斜め同一方向に向かって形成されたものも本考案の範疇に包含される。
図9に示した本考案の他の実施例のタイル40は、係止材挿入用凹条部が幅方向の同一行に複数離間して形成されている。
具体的には、この実施例の係止材挿入用凹条部44a,44bは幅方向の同一行においてタイル40の中間部位において溝が形成されないことにより離間して形成されている。このように、係止材挿入用凹条部が幅方向の同一行に複数離間して形成されたものも本考案の範疇に包含される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案のタイルの一実施例の裏面側正面図である。
【図2】図1のA―A線断面図である。
【図3】本考案のタイルの他の実施例の裏面側正面図である。
【図4】図3のB―B線断面図である。
【図5】本考案のタイルの他の実施例の裏面側正面図である。
【図6】図5のC―C線断面図である。
【図7】本考案のタイルの他の実施例の裏面側正面図である。
【図8】図7のD―D線断面図である。
【図9】本考案のタイルの他の実施例の裏面側正面図である。
【図10】本考案のタイルを壁面の下地材に張り付けた状態を示す部分拡大縦断面図である。
【図11】従来のタイルを説明するための部分斜視図である。
【符号の説明】
1 タイル
2 裏面
3 表面
4 係止材挿入用凹条部
5 一端部
6 他端部
7 木質系下地材
8 係止材
9 接着材
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
【図9】
図9
【図10】
図10
【図11】
図11
写真
 
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