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土木・建設
 
【考案の名称】砂散布装置
【実用新案権者】
【識別番号】513088803
【氏名又は名称】有限会社三弘組
【住所又は居所】北海道釧路市緑ヶ岡5−18−1
【代理人】
【識別番号】100112416
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 定信
【考案者】
【氏名】三浦 弘二
【住所又は居所】北海道釧路市緑ヶ岡5−18−1 有限会社三弘組内
【要約】   (修正有)
【課題】凍結路面や積雪路面などの路面上への砂の散布を容易に可能とし、スリップ防止を図る砂散布装置を提供する。
【解決手段】複数の砂排出孔を有する底板となるホッパー22が設置された散布車台に、水平軸12が回転可能に設けられ、水平軸の両端に車輪11が設けられる。また、散布車台にはハンドル16が設けられ、ハンドルを持って移動可能である。散布車台には、下端が水平軸に伝動機構を介し連結し、上端がホッパーの底板を貫通してホッパー内に位置する垂直軸が回転可能に設けられ、垂直軸の上端にはホッパー内に臨み撹拌翼が水平方向に突設され、また、垂直軸には、ホッパーの底板の下方に位置しホッパー内から落下する砂を受け、回転する遠心力によりその砂を路面上の所定領域へ散布する砂散布部材48が設けられている。
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
複数の砂排出孔を有する底板となっているホッパーが設置された散布車台に、水平軸が回転可能に設けられ、該水平軸の両端に車輪が設けられ、散布車台にはハンドルが設けられ、該ハンドルを持って移動可能となり、
前記散布車台には、下端が前記水平軸に伝動機構を介し連結し、上端が前記ホッパーの底板を貫通してホッパー内に位置する垂直軸が回転可能に設けられ、該垂直軸の上端にはホッパー内に臨み撹拌翼が水平方向に突設され、また、該垂直軸には、ホッパーの底板の下方に位置しホッパー内から落下する砂を受け、回転する遠心力によりその砂を路面上の所定領域へ散布する砂散布部材が設けられていることを特徴とする砂散布装置。
【請求項2】
前記ホッパーの底板の上側または下側に隣接して、底板の砂排出孔からの砂の排出量を調整する砂排出量調整板が設けられていることを特徴とする請求項1記載の砂散布装置。
【請求項3】
前記散布車台には、停止時に姿勢を保持する脚体が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の砂散布装置。
【請求項4】
水平軸の両端部に取り付けられた車輪と、
前記水平軸の両端部を回転自在に支持する一対の軸支持アームと、
これらの軸支持アームの上端に連設された操作部材と、
前記軸支持アームのそれぞれに脚部が水平ピンを中心として回動可能に支持され、該脚部の下端に足部を有するとともに、前記脚部の上端部に円弧状の水平枠が連結されたホッパー支持台と、
該ホッパー支持台の前記水平枠上に設置され、底板に複数個の第1の砂排出孔を有するホッパーと、
該ホッパーの底板下面に摺接状態で水平回動可能に設けられ、複数の第2の砂排出孔を有する円板状の砂排出量調整板と、
前記水平軸上に取り付けられ、該水平軸の回転を垂直軸に伝える伝動機構部と、
前記垂直軸のうち前記ホッパーの底板を貫通して該ホッパー内に臨む部位に取り付けられた撹拌翼と、
前記垂直軸のうち前記砂排出量調整板の下方に臨み、前記第1の砂排出孔および第2の砂排出孔を通じて前記ホッパー内から落下する砂を受け、回転中の遠心力によりその砂を路面上の所定領域へ散布する砂散布部材と、を備え、
前記操作部材の操作に伴う移動による車輪の回転によって、前記垂直軸とともに前記撹拌翼を回転させ、この撹拌翼の回転によって前記ホッパー内の砂を、前記第1の砂排出孔および第2の砂排出孔を通じて砂散布部材上に落下させ、さらに該砂散布部材上の砂を前記車輪間における路面へ散布可能にすることを特徴とする砂散布装置。
【請求項5】
前記ホッパー内には、ホッパー内に砂を投入した時、該砂の重量が底板に向かって加重される荷重を調整し、撹拌翼にかかる荷重も軽減する一対の開閉フラップが設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の砂散布装置。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
本考案は、積雪や凍結によって滑りやすくなった主に歩道などの路面に砂を散布する砂散布装置に関する。
【背景技術】
通勤、通学路などの歩道は歩行の安全性、利便性等のためにアスファルトやコンクリートで舗装されており、冬季や寒冷地においては、このアスファルトやコンクリートで舗装された歩道に積雪したり、積雪した雪が日中の暖気や降雨によって融解し、この融雪水が夜間等の気温の低下によって路面上で凍結する。このため、この積雪や凍結した路面上を歩行する歩行者の履物が滑りやすくなり、歩行者が転倒して大怪我をするという問題があった。
これに対して、寒冷地における路面上の積雪や凍結による前述のような転倒事故を回避する方策として、路面下に電熱線を埋設して路面を加温したり、路面下に埋設したパイプ中に温水や不凍液等の熱媒を流通させて路面を加温したりすることによって(例えば、特許文献1参照)、路面上に積もった雪や凍結面を融解する方法が提案され、一部で実施されている。ところが、この方法は、大掛かりな工事と高価な資材が必要で、施工に膨大な時間と費用が掛かるほか、ランニングコストが嵩み、比較的限られた用途の歩道、例えば公共施設や福祉施設などの歩道以外、つまり一般住宅地の歩道に採用するのには適さないという問題があった。
一方、膨大な時間と費用をかけずに、積雪や路面上の凍結状態を簡単に回避可能にするため、従来から融雪剤や凍結防止剤を積雪状態や凍結状態の滑沢路面に散布する方法が広く採用されている。この融雪剤や凍結防止剤には、塩化ナトリウム(食塩)、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸塩などが用いられており(例えば、特許文献2参照)、この融雪剤や凍結防止剤を積雪や凍結した滑沢路面に散布することで、この路面上の滑沢状態を速やかに解消し、滑沢路面における履物のスリップによる歩行者の転倒事故を未然に回避可能にしている。
また、塩化ナトリウムなどの前述の融雪剤や凍結防止剤ではなく、砂を積雪面や凍結面に散布することによって歩行者の履物のスリップを防止する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。積雪路面や凍結路面に砂を散布するこのスリップ防止方法では、砂を収納した砂箱を各家庭の玄関口付近に常設し、その砂箱から砂をショベルで繰り返し取り出し、自宅前やその付近の凍結路面に散布することとしている。これにより積雪路面や凍結路面上の砂の上では履物がスリップするのを防止することができる
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開平07−114975号公報
【特許文献2】特開平09−143949号公報
【考案の概要】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の融雪剤や凍結防止剤を用いた路面上のスリップ防止技術においても、融雪剤や凍結防止剤を散布しなければならず、前記砂の散布と同様にこれが大変な作業となる課題がある。
また、融雪剤や凍結防止剤を散布すると、その融雪剤や凍結防止剤が路側のガイドレールや橋などの鉄骨材などからなる各種施設を腐食させてしまう。さらに、融雪や凍結面の融解によって溶け出した水とともに融雪剤や凍結防止剤が路面上から周辺に流出して、植木などの植物の枯死、河川や湖沼、さらには地下水の水質汚染を招き、自然環境の悪化を招くという不都合があった。
さらに、砂を散布して歩行者の履物のスリップを防止する前記方法では、各家庭であるいは地域ごとに、砂箱の設置、管理をする必要があるほか、砂箱からショベルで砂を繰り返し取り出した上で積雪路面や凍結路面に散布するという作業が非効率で煩わしく、作業者に大きな体力的負担を強いるという不都合があった。
本考案は前述のような従来の問題点を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、スリップ防止を容易に実現でき、路側のガイドレールなどの鉄骨材などからなる各種施設の腐食を回避でき、また積雪や凍結路面の融解水とともに流出する融雪剤や凍結防止剤によって植木などの植物の枯死、河川や湖沼、地下水の水質汚染を回避できる利便性の高い砂散布装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
前記目的達成のために、本考案の請求項1にかかる砂散布装置は、複数の砂排出孔を有する底板となっているホッパーが設置された散布車台に、水平軸が回転可能に設けられ、該水平軸の両端に車輪が設けられ、散布車台にはハンドルが設けられ、該ハンドルを持って移動可能となり、
前記散布車台には、下端が前記水平軸に伝動機構を介し連結し、上端が前記ホッパーの底板を貫通してホッパー内に位置する垂直軸が回転可能に設けられ、該垂直軸の上端にはホッパー内に臨み撹拌翼が水平方向に突設され、また、該垂直軸には、ホッパーの底板の下方に位置しホッパー内から落下する砂を受け、回転する遠心力によりその砂を路面上の所定領域へ散布する砂散布部材が設けられていることを特徴とする
この構成により、散布車台は、ハンドルを持って車輪を回転させることで路面上を移動(走行)させることができる。この車輪の回転により水平軸が回転し、この水平軸に伝動機構を介し連結している垂直軸も回転する。これにより垂直軸の上端に固設した撹拌翼がホッパー内で回転して、ホッパー内に投入された砂を底板の付近で撹拌し、その砂をホッパー底板の複数の砂排出孔より排出させる。このホッパーの底板の下方には、垂直軸に砂散布部材が設けられているので、ホッパー底板の砂排出孔より排出した砂は、砂散布部材上に落下する。この時、砂散布部材は、垂直軸の回転で回転しているので、砂散布部材上に落下した砂のうち、その中心部付近の砂は、この砂散布部材に形成した砂落下孔を通過して下方の路面上に落下し、その周辺部付近の砂は遠心力を受けてその周辺部下降の路面上に落下する。これにより砂は散布車台の車輪間の路面の所定領域に略均等に散布され、路面のスリップ防止を図ることができる。
また、本考案の請求項2に係る砂散布装置は、前記ホッパーの底板の上側または下側に隣接して、底板の砂排出孔からの砂の排出量を調整する砂排出量調整板が設けられていることを特徴とする。
この構成により、ホッパー底板の複数の砂排出孔から排出落下する砂の排出量を調整することができ、砂の散布量を路面状態に応じ最適にすることができる。
また、本考案の請求項3に係る砂散布装置は、前記散布車台には、停止時に姿勢を保持する脚体が設けられていることを特徴とする。
この構成により、脚体で砂散布装置を支持して姿勢を保持し停止させておくことができる。
さらに、本考案の請求項4に係る砂散布装置は、水平軸の両端部に取り付けられた車輪と、
前記水平軸の両端部を回転自在に支持する一対の軸支持アームと、
これらの軸支持アームの上端に連設された操作部材と、
前記軸支持アームのそれぞれに脚部が水平ピンを中心として回動可能に支持され、該脚部の下端に足部を有するとともに、前記脚部の上端部に円弧状の水平枠が連結されたホッパー支持台と、
該ホッパー支持台の前記水平枠上に設置され、底板に複数個の第1の砂排出孔を有するホッパーと、
該ホッパーの底板下面に摺接状態で水平回動可能に設けられ、複数の第2の砂排出孔を有する円板状の砂排出量調整板と、
前記水平軸上に取り付けられ、該水平軸の回転を垂直軸に伝える伝動機構部と、
前記垂直軸のうち前記ホッパーの底板を貫通して該ホッパー内に臨む部位に取り付けられた撹拌翼と、
前記垂直軸のうち前記砂排出量調整板の下方に臨み、前記第1の砂排出孔および第2の砂排出孔を通じて前記ホッパー内から落下する砂を受け、回転中の遠心力によりその砂を路面上の所定領域へ散布する砂散布部材と、を備え、
前記操作部材の操作に伴う移動による車輪の回転によって、前記垂直軸とともに前記撹拌翼を回転させ、この撹拌翼の回転によって前記ホッパー内の砂を、前記第1の砂排出孔および第2の砂排出孔を通じて砂散布部材上に落下させ、さらに該砂散布部材上の砂を前記車輪間における路面へ散布可能にすることを特徴とする。
この構成により、前記操作部材を持ち上げ、足部を路面上から浮上させて、その操作部材を前進させることで車輪を回転させて路面上に走行させることができる。また、この車輪の回転により前記水平軸が回転し、この回転が伝動機構部を介して垂直軸に伝えられる。これにより垂直軸上の撹拌翼がホッパー内で回転して、ホッパー内に投入されていた砂を砂粒どうしが分離するように撹拌し、その砂をホッパーの底板の第1の砂排出孔および砂排出量調整板の第2の砂排出孔を通過させて、砂散布部材上に落下させることができる。回転中の砂散布部材上に落下した砂のうち、その中心部付近の砂はこの砂散布部材に形成された砂落下孔を通過して下方へ落下するとともに、その周辺部付近の砂は遠心力を受けてその周辺部の下方に落下する。これにより、砂は両車輪間の路面の所定領域に略均等に散布され、この路面における滑沢防止作用、スリップ防止作用を果たす。
この場合において、第1の砂排出孔および第2の砂排出孔から砂散布部材への砂の落下量は、第2の砂排出孔を持つ砂排出量調整板を回動操作し、第1の砂排出孔および第2の砂排出孔の重なり量を変えることで、任意に調整することができる。
なお、この構成において、一対の軸支時アーム、ホッパー支持台、底板に複数個の第1の砂排出孔を有するホッパーで散布車台を構成し、これが前記散布車台に相当する。
また、本考案の請求項5に係る砂散布装置は、前記ホッパー内には、ホッパー内に砂を投入した時、該砂の重量が底板に向かって加重される荷重を調整し、撹拌翼にかかる荷重も軽減する一対の開閉フラップが設けられていることを特徴とする。
この構成により、ホッパー内に投入された砂は、一対の開閉フラップに受け止められ、一対の開閉フラップ間の間隙からホッパーの底板に落下するだけなので、投入された砂の重量の底板にかかる荷重はその分少なくなり、かつ撹拌翼にかかる荷重も軽減される。従って、砂の重量により撹拌翼の回転が阻害されることなくスムーズな回転が保障されることになり、ホッパー底板の砂排出孔よりの砂の排出も確実となる。
【考案の効果】
本考案の砂散布装置によれば、次のような効果を奏する。
(1)砂散布装置を凍結路面や積雪路面、等の路面上に散布してスリップの防止を図ることができる。
(2)ハンドルを持って散布車台を移動させるだけで、ホッパー内に投入した砂を凍結路面や積雪路面、等の路面上に散布することができる。しかも、散布車台には車輪が設けられているので移動も容易となっている。従って、砂の散布が容易にでき、砂の散布作業の労力も軽減される。
(3)ホッパーの底板の上方には、撹拌翼が設けられ、砂の散布時には、これが回転しているので、底板の砂排出孔からの砂の排出が確実に保障される。
(4)ホッパー底板の複数の砂排出孔からの砂の排出量を調整する砂排出量調整板が設けられているので、ホッパー底板の複数の砂排出孔から排出落下する砂の排出量を調整することができ、砂の散布量を路面状況に応じ最適にすることができる。
(5)ホッパー内には一対の開閉フラップが設けられているので、ホッパー内に投入された砂は、一対の開閉フラップに受け止められ、一対の開閉フラップ間の間隙からホッパーの底板に落下するだけなので、投入された砂の重量の底板にかかる荷重は、その分少なくなり、かつ撹拌翼にかかる荷重も軽減される。従って、砂の重量により撹拌翼の回転が阻害されることなくスムーズな回転が保障されることになり、ホッパー底板の砂排出孔よりの砂の排出も確実となる。
(6)砂の散布によって路面上のスリップ防止効果を持続させることができる。また、スリップ防止のために散布する散布材は砂なので、凍結防止剤や融雪剤の使用によるような路側のガイドレールなどの鉄骨材などからなる各種施設の腐食を回避でき、積雪面や凍結路面の融解水とともに流出する融雪剤や凍結防止剤によって植木などの植物の枯死、河川や湖沼、地下水の水質汚染を防止できる。
以上、本考案について簡潔に説明した。更に、以下に本考案を実施するための最良の形態を添付の図面を参照して、詳細に説明する。
【考案を実施するための形態】
以下、本考案の実施の形態に係る砂散布装置を、図面を参照して説明する。
図1〜図5において、本実施形態の砂散布装置は、一対の軸支時アーム13、操作部材15、ホッパー支持台18およびホッパー22等で散布車台10が形成され、この散布車台10に水平軸12が回転自在に設けられ、この水平軸12の両端に車輪11が固設されて大略構成されている。
更に詳説する。図1〜図5において、本実施形態の砂散布装置は、両端部に車輪11を有する水平軸12を持つ。従って、車輪11の回転とともに水平軸12も同方向に同時に回転する。水平軸12の両端部は、一対の軸支持アーム13の下端部に設けられた軸受14に回転自在に支持されている。これらの軸支持アーム13は略中央部で「く」の字状に折り曲げられており、もう一方の端部(上端部)には棒状の操作部材15の下端が連結されている。この操作部材15の上端には、この操作部材15とともに「T」の字状をなす棒状のハンドル16が連結されている。このハンドル16は人が手で握ることができるサイズ、形状をなす。
また、軸支持アーム13には、互いに対向する位置に水平ピン17が貫通するように取り付けられ、これらの水平ピン17に、ホッパー支持台18が回動可能に支持されている。このホッパー支持台18は一対の傾斜状の脚部18aと、これらの脚部18aの上端部を繋ぐ円弧状の水平枠18bとからなり、各脚部18aの下端にはこのホッパー支持台18を路面(凍結路面)Lで支える足部19が連設されている。水平枠18bの略等間隔の3箇所には、図4に示すように、取付孔20を持つ水平ブラケット21が溶接などによって取り付けられている。
さらに、水平枠18b上には、略四角錐形のホッパー22が載置されている。このホッパー22は下部付近で傾斜角度が緩くなる緩傾斜部22aを有する。このホッパー22の底板27付近の外側面には、取付孔23が穿設された水平ブラケット24が突設されており、これらの水平ブラケット24はホッパー支持台18の水平枠18bに設けられた前記水平ブラケット21に当接されている。そして、これらの各水平ブラケット24、21に形成された取付孔23、20にボルト25aが通された上でこれにナット25bがねじ込まれることで、ホッパー22がホッパー支持台18上に堅固に固定されている。
前記ホッパー22は底板27に、中心に向って放射状に配置した例えば8個の第1の砂排出孔26を持ち、この底板27の中心部には後述の垂直軸38が貫通する軸貫通孔28が設けられている。さらに、ホッパー22の4側壁のうち対向する一対の側壁には、一端部がヒンジ部材29によって上下方向に回動可能に支持された開閉フラップ30が取り付けられている。これらの開閉フラップ30の先端部は適度の角度に屈曲された屈曲部30aとなっており、各開閉フラップ30の補強が図られている。なお、これらの開閉フラップ30は各ヒンジ部材29を中心に回動した場合に、これらの先端部どうし、つまり屈曲部30aどうしが互いに干渉せず、間隙を生ずるサイズ、形状とされている。
ホッパー22の底板27の下面には、円板状の砂排出量調整板31が摺接状態にて水平回動可能に配置されている。この砂排出量調整板31にも前記第1の砂排出孔26と略同サイズ、同形状の第2の砂排出孔32が同数設けられている。この砂排出調整板31の外周には一枚の舌片33が水平方向に延設されており、この舌片33に係止孔34が設けられている。この係止孔34には、図1に示すように、鋼棒などからなるリンク部材35の一端が係止され、このリンク部材35の他端(上端)は、前記操作部材15の上端に回動操作可能に取り付けられた回動操作部材36の一端に係止されている。この回動操作部材36は操作部材15に取り付けられた支軸15aを中心に回動操作可能になっている。従って、この回動操作部材36の手動による回動操作によって、リンク部材35を介して砂排出量調整板31の回動量調節が可能となっている。
一方、前記水平軸12の中央部付近には傘歯車37が取り付けられており、この傘歯車37には垂直軸38の下端部に取付られた傘歯車39が噛合されている。これらの傘歯車37、39を含む伝動機構部40は、この伝動機構部40の動作に干渉することがない保護枠41内に収納されている。この保護枠41は、例えば所定形状の鋼板をボルトおよびナットを用いて結合したものなどからなり、図4に示すように、軸支持アーム13に固定された「コ」の字状の支持部材42に、吊持片43を介してボルト44およびナット45を用いて固定されている。また、垂直軸38は保護枠41に連設された、図2および図3に示すような軸受部材46によって回転自在に支持されている。
この場合において、前記傘歯車37、39のギヤ比は、傘歯車39を取り付けている垂直軸38上の撹拌翼47および砂散布部材48が必要とする回転数、つまり砂Sの攪拌機能および遠心力による砂Sの散布機能が適正となる回転速度となる値に選定されている。
また、前記垂直軸38は軸受部材46に支えられて、上端が砂排出量調整板31およびホッパー22の底板27の各中心孔31a、28を貫通してホッパー22内に延設されている。そして、その垂直軸38の延出端部(上端部)には一対の撹拌翼47が取り付けられている。さらに、砂排出量調整板31下方であって、垂直軸38の所定位置には略円形の砂散布部材48が取り付けられている。
なお、軸受部材46などの砂が侵入すると不具合となるような部分は、グリスを充填したり、密閉性を高める等の手段を施し、砂の侵入を防止するのが好ましい。
この砂散布部材48は円板49の周囲に所定間隔をおいて複数の円弧状リブ50を垂直方向に立設し、これらの円弧状リブ50間を砂Sの散布口51としたものからなる。また、円板49上には垂直軸38の取付ボス52を中心として、円弧状リブ50と同等高さの4枚の堰板53が等間隔に設立されており、これらの堰板53間であって、取付ボス52に近い位置の円板49に、所定サイズの砂落下孔54が穿設されている。
次に、上記構成になる砂散布装置の動作を説明する。
この砂散布装置は、砂Sの散布を開始する前は、図1に示すように、ホッパー支持台18の足部19が車輪11とともに路面Lに接触した状態となっており、砂散布装置の全体が路面L上を自由に移動しないように、停止状態を安定的に維持している。そして砂Sの散布を開始するに当たって、ホッパー22内にこれの上端開口部から砂Sを投入する。ここで、開閉フラップ30、30は、図2に鎖線で示すようにホッパー22の側壁に沿った立設状態に開放させておいてもよいし、図2に実線で示すように対向する前記各フラップ30、30を、これらの先端部の屈強部30aが所定の間隙を置いて向かい合うように、ヒンジ部材29を中心に回動させ、その上でこれらのフラップ30上に砂Sを投入するようにしてもよい。通常はこの状態で使用する。
このようにして開閉フラップ30を開いた状態で、または所定幅の間隙をおいて閉じた状態でホッパー22内に砂Sを投入する。続いて、作業者はハンドル16に手を掛けてこれを軽く持ち上げる。これにより操作部材15は車軸である水平軸12を中心にして立ち上がるように回動し、足部19が路面Lから浮上する。そこで、このハンドル16を両手で支えた状態で前方に押し出したり後方へ引き戻したりすることで、車輪11が回転して砂散布装置の全体が前方または後方へ走行する。
一方、車輪11の回転によって水平軸12およびこれに取り付けられた傘歯車37も同様に回転する。このためこの傘歯車37に噛合されている傘歯車39も回転して、この傘歯車39を取り付けている垂直軸38が回転する。この垂直軸38の回転によってこの垂直軸38上の前記撹拌翼47および砂散布部材48がともに水平回転する。
この撹拌翼47は回転によって、ホッパー22内の底板27付近にある砂Sを撹拌しながら砂粒どうしをバラバラにほぐし、第1の砂排出孔と砂排出量調整板31に設けられた第2の砂排出孔32とを通じホッパー22の下方へ効率的に排出させる。この場合において、砂排出量調整板31は、前記回動操作部材36の回動操作によって前記リンク部材35が舌片33を回動することで回動量が調整自在となっている。このため、この舌片33の回動量調整によって、第1の砂排出孔26に対する第2の砂排出孔32の重なり度合が変化することとなり、これらの砂排出孔26、32を通過する砂Sの落下量(排出量)を任意に決めることができる。
なお、開閉フラップ30、30を使用したときは、ホッパー22内に投入された砂Sは、一対の開閉フラップ30、30に受け止められ、一対の開閉フラップ30、30間の間隙からホッパー22の底板27に落下することとなるので、投入された砂Sの重量の底板27にかかる荷重は、少なくなり、かつ撹拌翼47にかかる荷重も軽減される。従って、砂Sの重量により撹拌翼47の回転が阻害されることなく、スムーズな回転が保障されることになり、砂散布装置の移動も軽快となるし、ホッパー22の底板27の第1および第2の砂排出孔26、32よりの砂Sの排出も確実となる。
一方、前記ホッパー22から排出された砂Sは、砂排出量調整板31から所定間隔をおいて配置された砂散布部材48上に一旦受け止められる。この砂散布部材48は垂直軸38とともに回転するので、その中心部における砂Sは複数個の前記砂落下孔54から路面Lにおける狭い所定領域にふるい落とされる。また、砂散布部材48の周辺部における砂Sは一部が複数のリブ50によって堰き止められているものの、回転に伴う遠心力を受けて前記散布口51から両車輪11間の路面Lにおける所定の広い領域にふるい落される。このため、砂Sは両車輪11間の路面L、つまり凍結や降雪で滑沢となっている路面Lに略均一に散布され、散布された砂Sは歩行者の履物に対する滑り止め効果を発揮することとなる。
以上のように、本実施形態による砂散布装置は、水平軸12の両端部に車輪11を有し、その水平軸11の両端部を一対の軸支持アーム13で回転自在に支持し、これらの軸支持アーム13の上端に操作部材15を連設し、軸支持アーム13のそれぞれに水平ピン17を中心として脚部18aを回動可能に支持するとともに、その脚部18aの下端に足部19を設けて、脚部18aの上端部に円弧状の水平枠18bが連結されたホッパー支持台18を構成し、該ホッパー支持台18の水平枠18b上に底板27に複数個の第1の砂排出孔26を有するホッパー22を設置し、該ホッパー22の底板27下面に複数の第2の砂排出孔32を有する砂排出量調整板31を摺接状態で水平回動操作可能に設け、水平軸12上に該水平軸12の回転を垂直軸38に伝える伝動機構部40を取り付け、前記垂直軸38のうちホッパー22の底板27を貫通してこのホッパー22内に臨む部位に撹拌翼47を取り付け、垂直軸38のうち前記砂排出量調整板31の下部に臨むように砂散布部材48を設けて、前記第1の砂排出孔26および第2の砂排出孔32を通じてホッパー22内から落下する砂Sを受けて、その砂Sを、遠心力を利用して路面Lの所定領域へ散布可能にし、前記操作部材15の操作に伴う車輪11の回転によって、垂直軸38とともに撹拌翼47を回転させ、この撹拌翼47の回転によってホッパー22内の砂Sを、第1の砂排出孔26および第2の砂排出孔32を通じて砂散布部材48上に落下させ、さらに砂散布部材48上から砂Sを車輪11間における路面Lへ散布可能にするものである。
この構成により、ハンドル16を持って砂散布装置を移動させるだけで、ホッパー22内に投入した砂Sを凍結路面や積雪路面、等の路面L上に散布することができ、また、砂散布装置には車輪11が設けられているので、移動が容易となり、砂の散布も容易となる砂散布装置を提供できることとなる。
【産業上の利用可能性】
本考案の砂散布装置は、路面のスリップ防止を図ることができ、また、路側のガイドレールなどの鉄骨材などからなる各種施設の腐食を回避できるとともに、積雪や凍結面の融解水とともに流出する融雪剤や凍結防止剤によって植木などの植物の枯死、河川や湖沼、地下水の水質汚染を防止できるという効果を有し、積雪や凍結によって滑りやすくなった滑沢な路面Lに砂を散布することで、その路面Lにおける歩行者の履物の滑り止めを実現する砂散布装置等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施形態による砂散布装置を示す斜視図である。
【図2】図1における砂散布装置の要部を切断して示す正面図である。
【図3】図1における砂散布装置の要部を切断して示す側面図である。
【図4】図1における砂散布装置を分解して示す斜視図である。
【図5】図1における砂散布装置の要部を破断して示す斜視図である。
【符号の説明】
10 散布車台
11 車輪
12 水平軸
13 軸支持アーム
14 軸受
15 操作部材
16 ハンドル
17 水平ピン
18 ホッパー支持台
18a 脚部
18b 水平枠
19 足部
20 取付孔
21 水平ブラケット
22 ホッパー
22a 傾斜部
23 取付孔
24 水平ブラケット
25a ボルト
25b ナット
26 第1の砂排出孔
27 底板
28 軸貫通孔
29 ヒンジ部材
30 開閉フラップ
31 砂排出量調整板
32 第2の砂排出孔
33 舌片
34 係止孔
35 リンク部材
36 回動操作部材
37 傘歯車
38 垂直軸
39 傘歯車
40 伝動機構部
41 保護枠
42 支持部材
43 吊持片
44 ボルト
45 ナット
46 軸受部材
47 撹拌翼
48 砂散布部材
49 円板
50 リブ
51 散布口
52 取付ボス
53 堰板
54 砂落下孔
S 砂
L 路面(凍結路面、積雪路面)
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5 
試作写真1 
試作写真2 
試作写真3 
新聞記事1 
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新聞記事4 
新聞記事5 
発明者からのメッセージ
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