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農水産
 
【考案の名称】散水ノズル
【実用新案権者】
【識別番号】514008114
【氏名又は名称】菅谷 嘉晃
【住所又は居所】茨城県かすみがうら市宍倉926番3号
【考案者】
【氏名】菅谷 彰展
【住所又は居所】茨城県かすみがうら市宍倉926番3号
【要約】 (修正有)
【課題】植物体への均一散水性に優れ、生育むらや萎れ、枯れが生じにくく、無駄な領域への散水を低減し、散水時間短縮につながる散水ノズルを提供する。
【解決手段】散水ノズルは、吐出孔5が直線的に複数列配置されている形状である。吐出孔は、好ましくは6列以上の吐出孔を有する。吐出孔から出る液剤は、同一列内では同一となる第一の角度で散布され、他の同一列では第二の角度となるよう、各々別々の角度で液剤が散布される。
【選択図】図1
選択図
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
散水ノズルは、吐出孔が直線的に複数列配置されている形状である。
【請求項2】
吐出孔は少なくとも2列以上配置されていることを特徴とする請求項1記載の散水ノズル。
【請求項3】
吐出孔から出る液剤は、同一列内では同一となる第一の角度で散布され、他の同一列では第二の角度となるよう、各々別々の角度で液剤が散布されることを特徴とする請求項2に記載の散水ノズル。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、植物体への均一散水性に優れ、生育むらや萎れ、枯れが生じにくく、無駄な領域への散水を低減し、液剤の削減と散水時間短縮につながる散水ノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまで、ホース先端に取り付けられて植物体へ水分供給等をするための散水ノズルが使用されている。このような散水ノズルは、ホースを介してタンクや水道等の給水設備から水の供給を受け、先端に形成した散水ノズルから散水を行う。
【0003】
植物体、特に農業分野における育苗時には、水分供給と養分供給を目的として、散水ノズルを用いた散水を行っている。その際、散水ノズルを左右に振り、植物体根部に十分に液剤を行き渡らせる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 実用新案登録第3228957号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】ニューレインボーノズルL https://www.monotaro.com/g/05024213/
【非特許文献2】金属ジョウロノズル 円形 コック付 https://www.monotaro.com/g/00701702/
【考案の概要】
【考案が解決しようとする課題】
【0006】
従来の散水ノズルは、主に水稲の育苗時や露地栽培における発芽初期の植物体等、植物体の根部へ比較的容易に水分が到達できることを想定して設計されている。ここで、植物体としていちごを例に説明する。いちごの育苗においては、育苗後期になるにつれて葉が繁茂し、散水しても水分が根部に十分に行き渡らないという課題が生じている。従来は、散水ノズルを左右に振りながら液剤を散布するが、繁茂した葉によって液剤が根部に到達することを阻害される。それにより、水分不足にともなう枯れ、萎れ、栄養不足による生育むらが生じる問題があった。また水分が不足していると考えられる箇所には重点的に散水するなど、追加して散水し、散水時間を余分に捻出せねばならないという問題も生じている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来の散水ノズルの問題に鑑み、本考案者は鋭意検討し、本考案を完成させた。
すなわち、本考案は植物体への均一散水性に優れ、生育むらや萎れ、枯れが生じにくく、散水量を削減しつつ、散水時間短縮につながる散水ノズルに関するものである。
【0008】
本考案において使用する液剤は、植物体に使用するものであれば特に限定はされない。また散水ノズルの材質は、真鍮、プラスチック素材、アルミ素材等、特に限定はされない。
【考案の効果】
【0009】
本考案の散水ノズルは、ノズル本体そのものを左右に何度も振ることなく、単純に一定方向へ歩くだけで植物体へ十分量の散水が可能である。その結果、作業時間の短縮と液剤量の削減につながるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本考案の散水ノズルの一例を示した図である。
【図2】図1における散水ノズルの側面図である。
【図3】本考案の散水ノズルの断面図である。
【図4】いちご栽培における育苗時の樹姿である。
【図5】育苗に使用する樹脂製トレーの一例である。
【図6】本考案の散水ノズルを使用している一例である。
【考案を実施するための形態】
【0011】
本考案の散水ノズルは、育苗時の水分管理および養分管理にとって重要な時期において、植物体に均一かつ必要十分な水分量を供することができる。当該散布ノズルは、吐出孔が直線的に複数列配置されていることを特徴として、好ましくは6列以上の吐出孔を有する。また、それぞれの吐出孔の配列は、植物体の直下方向へ液剤を散布するものに加え、植物体の斜め左右方向から液剤を散布することが可能である。吐出液剤の流量は、圧力0.2MPaの条件において約15l/min程度である。
【0012】
また本考案の散水ノズルの断面形状は、吐出孔が直線的に複数列配置されるものであれば円形や楕円形だけではなく、長方形であっても植物体に均一に液剤を散布できれば、形状に制限を与えるものではない。
【0013】
本考案の散水ノズルの吐出孔部分の長さは、いちごにおける一般的な育苗トレーの大きさが幅30cm、長さ60cm程度であることを考慮して、およそ30〜60cmのものが好ましい。
【0014】
本考案で用いる吐出孔を設置する中空管は、散水時の高圧に耐え、軽量であることが好ましく、例えばABS樹脂、ポリカーボネート、アルミ、真鍮、ステンレス等が好適に使用できる。
【0015】
本考案で用いる吐出孔は、中空管の軸方向に均等な位置に直線的に複数配置されており、吐出孔の孔径は数百μm程度、孔間隔は数mm程度であることが植物体にとって好適である。
【0016】
本考案の散水ノズルは、直線的に配置されている吐出孔の配列を1列と定義した場合、地面方向に少なくとも2列以上の液剤を同時に吐出できる。また地面から左右に10〜45度の範囲において、それぞれ2列以上、合計4列以上の液剤を同時に吐出できる。
【0017】
本考案の散水ノズルは、植物体へ散布したい液剤全般に使用可能である。例えば農薬登録されている商品、展着剤、殺虫剤、液体肥料等である。
【実施例】
【0018】
実施例1 本考案の散布ノズル
本考案について添付図面に従って一実施例を説明する。本考案の散布ノズルは、1の給水ホース、2の持ち手グリップ、3のボールバルブ、4の中空管、5の吐出孔、6の中空管エンドキャップで形成される。本実施例では、図1に示すように吐出孔の配列が6列である構造を有している。また図3(a)に示すように、地面方向に2列、地面から左右方向に約20度傾いた範囲に合計4列散布できるような構造を有している。また図3(b)は、地面方向に4列、地面から左右方向に約20度傾いた範囲に合計8列散布できるような構造を有している。
【0019】
本実施例では、いちごの育苗における散布を考える。一般的にいちごの育苗では、図4に示すような受け苗という形式で行われる。7はいちご親苗、8はランナー、9はいちご子苗、10は育苗トレーである。いちごは親苗からはほふく茎とよばれるランナーを発生させ、同一遺伝情報をもった子苗を形成する。農家は子苗を育苗培土の入った育苗トレーで発根させて定着させることで、本圃に定植する必要本数分の育苗を行う。図5は一般的な樹脂製育苗トレーである。育苗トレーの大きさは、幅30cm、長さ60cm程度であり、一枚の育苗トレーで20〜40本の子苗を育成できる。本圃へ定植する苗数は、10アール当たり約6000〜8000本である。よって、10アール当たり育苗トレー300〜400枚の育苗トレーを、育苗期間中に管理しなければならない。本圃の栽培面積によるが、2ha(200アール)では6000〜8000枚の育苗トレーが必要である。
【0020】
上記育苗トレーを育苗ハウスに整列させ、2の持ち手グリップを、いちごの上下方向に対して垂直になるよう把持する。すなわち地面と平行になるよう把持する。次に、動力噴霧器や送水ポンプに接続された1の給水ホースから供された液剤は、3のボールバルブを開けると5の吐出孔から吐出される。この時、整列させた育苗トレーの幅は30〜60cmであり、4の中空管に設けられた5の吐出孔の長さとほぼ一致するようにする。作業者は、液剤を吐出させながら同一方向に同一速度で前進するのみで、いちごに均一に液剤を散布することが可能となる。図6は実際の散水をイメージしたものである。作業者の進行方向は、図中左から右である。作業者が移動するにつれ、ある位置でのいちご子苗は上方向のみならず、左右方向から順次液剤を散布されることになる。
【0021】
非特許文献に記載の一般的な散布ノズルでは、育苗後期になるにつれ9の子苗の葉が繁茂し、根部に十分に液剤が到達できないことが確認される。散布ノズルは円形や楕円形で形成されているため、吐出孔から出される液剤量は同一箇所で均一にはならない。つまり、円形もしくは楕円形の上部と下部と比較して、中央部では液剤量が必然的に多くなる。そのため、散布ノズルを左右に何度も振り、なるべく均一な液剤散布を行っているのが現状である。しかし、作業中の視線移動が頻繁になり、均一に散布が行われているか確認することは非常に困難となる。これらの複合要因によって、育苗数の数%、育苗トレー2枚に1本程度に、萎れや枯れ、生育むらが確認される。しかしながら本考案の散布ノズルは、液剤を吐出させながら同一方向に同一速度で前進するという簡便な散布である。図6に示すように、液剤が繁茂した葉を避けるようにいちご根部を目指して散布される。この結果、萎れや枯れは育苗トレー10枚に1本程度に低減された。
【0022】
散布作業時間について検討すると、動力噴霧器を用いて非特許文献に記載の一般的な散布ノズルで散布した場合、8000枚の育苗トレーでは液剤6tを使用、散布時間は230分程度かかった。一方、本考案では液剤4.5tに削減、散布時間は170分程度に短縮できた。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本考案の散布ノズルを使用することにより、液剤散布量の削減および散布時間の短縮が可能となる。さらに、植物体の根部に十分液剤を到達させることが可能となり、生育むらや萎れ、枯れが生じにくくなる。
【符号の説明】
【0024】
1 給水ホース
2 持ち手グリップ
3 ボールバルブ
4 中空管
5 吐出孔
6 中空管エンドキャップ
7 いちご親苗
8 ランナー
9 いちご子苗
10 育苗トレー
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6 
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