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【発明の名称】木造カーポートの屋根構造 【出願人】 【識別番号】513247433 【氏名又は名称】園部 俊光 【住所又は居所】茨城県東茨城郡城里町上入野2571−3 【代理人】 【識別番号】110001922 【氏名又は名称】特許業務法人 日峯国際特許事務所 【発明者】 【氏名】園部 俊光 【住所又は居所】茨城県東茨城郡城里町上入野2571−3 【要約】 【課題】木造でありながら太い梁や桁を使用せずに軽快な外観に仕上げることができる木造カーポートの屋根構造を提供すること。 【解決手段】同一水平面内に相互に平行に配した5本の梁材1、1…と、その各梁材1、1…の両端上側に両端付近を固設した上方に膨らむ部分円弧状の垂木2、2…と、垂木2、2…とその下方に位置する梁材1、1…とを各々5箇所で結合する5本の束材3、3…と、5本の梁材1、1…の両端付近に配した一対の平行な桁材4、4であって、それらの梁材1、1…を支持する両側の桁材4、4と、垂木2、2…上に配設したポリカーボネート製の屋根葺き材5とで屋根を構成し、その屋根を、その四隅付近に立設した全部で4本の柱部材6、6…で支持することで構成した木造カーポートである。 【選択図】 図1 【特許請求の範囲】 【請求項1】 同一水平面内に相互に平行に配した複数の梁材と、 前記各梁材の両端上側に両端付近を固設した上方に膨らむ該梁材と同数の部分円弧状の垂木と、 前記垂木とその下方に位置する前記梁材とを複数箇所で結合する複数の束材と、 前記複数の梁材と直交する向きで該複数の梁材相互を結合すべくそれらの両端付近に配した一対の桁材であって、該各梁材と結合した相互に平行な一対の桁材と、 前記垂木上に配設した屋根葺き材と、 で構成した木造カーポートの屋根構造。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、木造でありながら太い梁や桁を使用せずに軽快な外観に仕上げることができる木造カーポートの屋根構造に関する。 【背景技術】 【0002】 木造カーポートの例は少ない。多くのカーポートは躯体に金属を用いている。そのようなカーポートの屋根構造に関してはいくつかの提案例が見られる。 【0003】 特許文献1は、片持ちタイプのカーポート2組の各屋根体の前枠相互を合掌金具を介して連結してなるカーポート合掌構造であって、前記合掌金具を、一方の屋根体の前枠に固定する第一のブラケットと、他方の屋根体の前枠に固定する第二のブラケットと、該第一及び第二のブラケットを回動自在に結合するヒンジ状の回動部とで構成したカーポート合掌構造である。 【0004】 この特許文献1の発明によれば、片持ちタイプの二つのカーポートを対向状態に配置し、相互の屋根体を、各々の前枠に合掌金具の第一又は第二のブラケットの各々を固定することにより結合して一体にするものであり、これによって、自動車一台分の幅のカーポートを二つ用意すれば、簡単に自動車二台分の幅のカーポートを構成することができることになる。両側の屋根体は、それぞれがそれが支える柱側の桁を支点として上下に動く可能性があるが、これは、前記合掌金具の第一及び第二のブラケット間に回動部が構成され、この部位で、第一又は第二のブラケットの両先端相互が回動可能となっているので、不都合なくその動作が可能となる。 【0005】 以上のとおりであるが、この特許文献1のカーポート合掌構造では、木造でその幅を持ったカーポートをそのような構造で作成することは困難であり、適切ではない。 【0006】 特許文献2は、支柱により屋根体を片持ち状に支持してなる二体のカーポートを各屋根体の先端部に設ける合掌部材を介して連結するカーポートの合掌構造において、上記合掌部材は上記各屋根体の先端部の上部を長手方向略全長に渡って覆う上部材と、上記各屋根体の先端部の下部で上記各屋根体と連結される下部材とからなり、上記下部材はヒンジ部を介して互いに回動自在とされる左右の連結部材からなり、該連結部材は上記屋根体と連結する固定部と、上記ヒンジ部の下方において円弧状に延出した固着片とをそれぞれ備え、各連結部材の固着片は互いに重合状とされると共に、互いに重合する長孔またはU字孔をそれぞれ有しているカーポートの合掌構造である。 【0007】 この特許文献2の発明によれば、屋根体の合掌部材は上部材と下部材とからなり、下部材はヒンジ部を介して互いに回動自在である左右の連結部材からなるので、左右の連結部材がなす角度を変更することができ、また重合状の固着片に互いに重合する長孔またはU字孔を有しているので、連結部材のなす角度を変更しても下部材と上部材を連結するための孔を確保することができる。それ故、先端部の角度が異なる複数種類のカーポートに1種類の合掌部材で対応することができ、部品の共用化を図ることができる。その他、特許文献1と同様の効果を認めることができる。 【0008】 しかし、この特許文献2のカーポートの合掌構造も、特許文献1のそれと同様に、木造でその幅を持ったカーポートをそのような構造で作成することは困難であり、適切ではない。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0009】 【特許文献1】特開平09−177345号公報 【特許文献2】特開2005−240450号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0010】 本発明は、木造でありながら太い梁や桁を使用せずに軽快な外観に仕上げることができる木造カーポートの屋根構造を提供することを解決の課題とするものである。 【課題を解決するための手段】 【0011】 本発明は、同一水平面内に相互に平行に配した複数の梁材と、 前記各梁材の両端上側に両端付近を固設した上方に膨らむ該梁材と同数の部分円弧状の垂木と、 前記垂木とその下方に位置する前記梁材とを複数箇所で結合する複数の束材と、 前記複数の梁材と直交する向きで該複数の梁材相互を結合すべくそれらの両端付近に配した一対の桁材であって、該各梁材と結合した相互に平行な一対の桁材と、 前記垂木上に配設した屋根葺き材と、 で構成した木造カーポートの屋根構造である。 【発明の効果】 【0012】 本発明の木造カーポートの屋根構造によれば、部分円弧状の垂木は、その下側に位置し、その両端付近に両端を結合した梁材によって、両端付近が中央側に引っ張られた状態になっており、それ故、その中央側が上方に膨らんだ状態が維持され、束材を介して結合する前記梁材の各部位を上方に引き上げるべく作用する。 【0013】 従って本発明の木造カーポートの屋根構造によれば、前記梁材は、特に太いそれを用いなくても、中央付近が垂れ下がってしまうような問題を生じない。比較的細いそれを採用することが可能であり、それ故、軽快な洗練された構成のカーポートを構築することが可能になる。 【図面の簡単な説明】 【0014】 【図1】本発明の木造カーポートの屋根構造を適用した実施例の木造カーポートの正面図。 【図2】屋根葺き材を省略して表示した実施例の木造カーポートの平面図。 【図3】屋根葺き材を記入した図2のA−A線断面図。 【図4】屋根葺き材を記入した図2のB−B線断面図。 【図5】屋根葺き材を省略した実施例の木造カーポートの側面部分図。 【発明を実施するための形態】 【0015】 発明を実施する形態を、本発明を適用した一実施例の木造カーポートに基づいて図面を参照しながら説明する。 【0016】 この実施例の木造カーポートは、図1〜図5に示すように、同一水平面内に相互に平行に配した5本の梁材1、1…と、該各梁材1、1…の両端上側に両端付近を固設した上方に膨らむ部分円弧状の垂木2、2…と、該垂木2、2…とその下方に位置する前記梁材1、1…とを各々5箇所で結合する各5本の束材3、3…と、前記5本の梁材1、1…の両端付近に配した一対の平行な桁材4、4と、前記垂木2、2…上に配した屋根葺き材5とで屋根を構成し、該屋根を、その四隅付近に立設した柱部材6、6…で支持することで構成したものである。 【0017】 前記5本の梁材1、1…は、特に図2に示すように、カーポートの自動車の進退方向と直交する向きに相互に定間隔で配置する。前記桁材4、4より細いそれを採用することができる。木造カーポートであるから、当然、この梁材1、1…としては木材を採用する。 【0018】 前記垂木2、2…は、前記し、図1、図3及び図4に示すように、部分円弧状に構成する。その寸法は、一般に垂木として用いられるそれと同等のそれを用いる。材質は当然木材である。前記各梁材1、1毎に、一本の垂木2を取り付ける。垂木2は、その両端付近、具体的には、両端から若干内側の部分を梁材1の両端に固設する。この固設は公知の一般の技法による。この垂木2の梁材1への取り付けは、当然、該梁材1の上側であり、上方に膨らんだ状態となるように行う。こうして、垂木2は、梁材1によってその両端付近が内側方向に引っ張られている状態になる。 【0019】 前記束材3、3…は、図1及び図3に示すように、梁材1とその梁材1に両端付近を結合固定している部分円弧状の垂木2との間にほぼ定間隔で配置し、それらの上端を垂木2に固設し、下端を梁材1に固設することにより、両者の途中の部位を相互に連結する。前記したように、垂木2は、梁材1によりその両端付近が中央側に引っ張られた状態にあるため、その部分円弧状の状態は確実に維持され、所定の曲率で上方に膨らんだ状態が維持される。それ故、各束材3、3…の長さを、それらが配される位置の、水平状態の梁材1の上面と垂木2の下面との間の間隔寸法に一致させれば、該梁材1は確実に水平状態に保持されることになる。 【0020】 なお、束材3、3…は、この実施例では、その上端を直接に垂木2、2…の下面に固設してあるが、もやを介して接続することとしても良い。 【0021】 前記桁材4、4は、図1〜図5に示すように、その各々で前記5本の梁材1、1…の両端部の各一方を支持する。各桁材4、4により、5本の梁材1、1…を、一定間隔で平行に保持する。また梁材1、1…及びこれらが支持する部材の全重量を支える。 【0022】 前記屋根葺き材5は、この実施例では、ポリカーボネート製のそれを用いた。多くの場合は、波板に構成されており、それを使用することができる。もっともこれに限定されるわけではなく、自由に種々の材質の屋根葺き材を使用することができる。この屋根葺き材5は、図1〜図5に示すように、前記垂木2、2…の上に、これらと直交する向きで定間隔で固設した桟木7、7…を介して取り付ける。これらの桟木7、7…の両端、すなわち、屋根の前後端には各々前記垂木2、2…より幅広で同一の曲率に構成した部分円弧状の端部材8、8を取り付ける。 【0023】 前記柱部材6、6…は、前記し、図1、図3及び図5に示すように、前記屋根を、その四隅付近で支持する。具体的には、該柱部材6、6…は、その上端を、それぞれ前記桁材4、4の、屋根の四隅付近に位置する部位の下面に固設する。この固設は、既存の公知の技法によって行う。例えば、種々の連結金具を介して結合することができる。柱部材6、6…の下端は、この実施例では、独立基礎9、9…を構成してその上に設置した。柱部材6、6…の下端は、それぞれ該独立基礎9、9…とアンカーボルト等によって連結する。一般の技法による訳である。 【0024】 該柱部材6、6…には、図1、図3及び図5に示すように、それぞれ対応する部位の梁材1を支える斜材10がその途中から斜め上方に延ばしてあり、その上端が該梁材1の下面に結合してある。梁材1はこうして柱部材6、6…に良好に支持される。また該柱部材6、6…の両側途中には、同図に示すように、他の斜材11、11の下端が固設してあり、該斜材11、11はその位置から斜め上方に延び、その上端が桁材4、4の下面に結合してある。桁材4、4はこうして柱部材6、6…によって良好に支持される。 【0025】 従ってこの実施例の木造カーポートによれば、その屋根構造を以上に述べたような構成としたため、比較的細めの梁材1、1…を用いて、2台の自動車を横並びに駐車させることが可能なような幅広のカーポートを構成しても、図1及び図3に示すように、その梁材1、1…の中央付近が垂れ下がってしまうような問題を生じることがない。 【0026】 この実施例における垂木2、2…は、図1、図3及び図4に示すように、部分円弧状であり、その下側に位置し、図1及び図3に示すように、その両端付近に両端を結合した梁材1、1…によって、両端付近が内側に引っ張られた状態になっており、それ故、その中央側が上方に膨らんだ状態が確実に維持され、図1及び図3に示すように、束材3、3…を介して結合する前記梁材1、1…の各部位を上方に引き上げるべく作用する。 【0027】 従ってこの実施例の木造カーポートによれば、その屋根構造において、前記のように、前記梁材1、1…として、比較的細いそれを用いているにもかかわらず、図1及び図3に示すように、該梁材1、1…は、水平状態を確実に維持し得、中央付近が垂れ下がってしまうような問題を生じない。該梁材1、1…として比較的細いそれを採用することが可能であり、それ故、図に示すように、軽快な洗練された構成のカーポートを構築することが可能になるものである。 【産業上の利用可能性】 【0028】 本発明の木造カーポートの屋根構造は、建築の分野で有効に利用することができる。 【符号の説明】 【0029】 1 梁材 2 垂木 3 束材 4 桁材 5 屋根葺き材 6 柱部材 7 桟木 8 端部材 9 独立基礎 10、11 斜材 |
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【図1】 |
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【図2】 |
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【図3】 |
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【図4】 |
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【図5】 |
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