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【発明の名称】杭頭処理工法 【特許権者】 【識別番号】512317216 【氏名又は名称】池田 岳雷 【住所又は居所】大阪府豊中市庄内幸町2−23−13 小林マンション201号 【代理人】 【識別番号】100121728 【弁理士】 【氏名又は名称】井関 勝守 【代理人】 【識別番号】100129997 【弁理士】 【氏名又は名称】田中 米藏 【発明者】 【氏名】池田岳雷 【住所又は居所】大阪府豊中市庄内幸町2−23−13 小林マンション201号 【要約】 【課題】低コストで、余盛部部分の除去を容易に且つ確実に行い、騒音を大幅に低減可能な杭頭部の処理工法を提供する。 【解決手段】杭頭処理工法は、フラットバー12、14からなる仕掛け10及びフラットバー14、22、24からなる仕掛け30を鉄筋かご100の上端に設置する。杭孔200に、仕掛け10、30が設置された鉄筋かご100を建て込む。次に、杭孔200にコンクリート400を打設する。次に、場所打ち杭の余盛部分4Aを露出させる。次にフラットバー12と14間及びフラットバー14と22間に、せり金70を打ち込むことにより、余盛部分4Aにおける鉄筋50の外側に存在する部分400aを除去する。次に、フラットバー22と24間に、せり金70を打ち込むことにより、余盛部分4Aにおける複数の鉄筋50の内側に存在する部分400bの底部を割る。 【特許請求の範囲】 【請求項1】 長さ方向に各々が円周状に整列して配置された複数の鉄筋を含む鉄筋かごを用いて、地盤に設けた杭孔に場所打ち杭を形成し、該杭の余盛部分からなる杭頭を処理する杭頭処理工法であって、 底部が前記杭孔の外側に向かって延伸するL字状の第1フラットバーと、前記第1フラットバーの外側に重ねて設置された第2フラットバーとからなる第1の仕掛けを、固定部材を用いて、前記鉄筋かごの上端における隣り合う前記鉄筋間に複数設置すると共に、 前記杭孔が延伸する方向と垂直な方向に、前記第1の仕掛けが設置された前記鉄筋間とは異なる隣り合う一の鉄筋間から向かい合う他の鉄筋間に延伸する第3フラットバーと、前記第3フラットバーの上に設置され、一端が前記杭孔方向の上向きに前記隣り合う一の鉄筋に沿って延伸すると共に他端が前記杭孔方向の上向きに前記隣り合う他の鉄筋に沿って延伸する第4フラットバーとからなる第2の仕掛けを、前記固定部材を用いて、前記鉄筋かごの上端における前記隣り合う一の鉄筋間と前記隣り合う他の鉄筋間とに設置する工程(a)と、 前記杭孔に、前記第1及び第2の仕掛けが設置された前記鉄筋かごを建て込む工程(b)と、 前記杭孔にコンクリートを打設する工程(c)と、 前記地盤における前記杭孔の周囲を掘削して、前記コンクリートからなる前記場所打ち杭の余盛部分を露出させる工程(d)と、 前記余盛部分の上端に露出する前記第1の仕掛けにおける前記第1フラットバーと前記第2フラットバーとの間に、挿入手段を打ち込むことにより、前記余盛部分における前記複数の鉄筋の外側に存在する部分を除去する工程(e)と、 前記工程(e)によって前記余盛部分の下端に露出する前記第2の仕掛けにおける前記第3フラットバーと前記第4フラットバーとの間に、前記挿入手段を打ち込むことにより、前記余盛部分における前記複数の鉄筋の内側に存在する部分の底部を割る工程(f)と、 重機を用いて、前記余盛部分における前記複数の鉄筋の内側に存在する部分を吊り上げて取り除く工程(g)とを備える、 ことを特徴とする杭頭処理工法。 【請求項2】 請求項1に記載の杭頭処理工法において、 前記第3フラットバーの上には、前記第4フラットバーの外側に重ねて第5フラットバーが更に設置されている、 ことを特徴とする杭頭処理工法。 【請求項3】 請求項1又は2に記載の杭頭処理工法において、 前記第3フラットバーと前記第4フラットバーとの間には、スペーサーが介在している、 ことを特徴とする杭頭処理工法。 【請求項4】 請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の杭頭処理工法において、 前記第2の仕掛けは、同方向に複数形成されている、 ことを特徴とする杭頭処理工法。 【請求項5】 請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の杭頭処理工法において、 前記第1及び第2の仕掛けは、その底部が設計天端位置よりも3cm〜5cm上に位置するように設置されている、 ことを特徴とする杭頭処理工法。 【請求項6】 請求項5に記載の杭頭処理工法において、 前記工程(d)と前記工程(e)との間に、前記設計天端位置にカッターラインを入れる工程をさらに備える、 ことを特徴とする杭頭処理工法。 【請求項7】 請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の杭頭処理工法において、 前記第1フラットバーの上端と前記第2フラットバーの上端とは、互いに離れる方向に、湾曲しており、 前記第4フラットバーにおける前記杭孔の上向きに延伸する前記一端及び他端の底部は、湾曲している、 ことを特徴とする杭頭処理工法。 【請求項8】 請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の杭頭処理工法において、 前記固定部材は、前記挿入手段による打ち込みにより、前記第1フラットバーと前記第2フラットバーとの固定、及び前記第3フラットバーと前記第4フラットバーとの固定が容易に解除される部材からなる、 ことを特徴とする杭頭処理工法。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、場所打ち杭の杭頭部を処理する場合に用いられる工法に関する。 【背景技術】 【0002】 基礎杭の構築方法として、掘削機を用いて地盤を所定の深さにまで掘削した後鉄筋かごの建て込みを行い、コンクリートを掘削孔内に注入し、固化させる工法が広く採用されている。この場所打ち杭の工法によると、杭頭部には、泥水中に浮遊しているスライムが溜まり、所定の強度よりも低い強度のコンクリート部分が生じることになる。このため、実際の杭頭レベルが設計杭頭レベルよりも高い所定のレベルとなるようにコンクリートを打設して杭頭部に余盛部分を形成しておく。そして経時後、この余盛部分をはつり作業によって除去し杭頭のレベルを所要の設計杭頭レベルとしている。 【0003】 この場所打ち杭の杭頭の余盛部分を除去する工法には、コンクリート硬化後にエアブレーカーなどを用いて破砕して除去する従来からの工法以外に種々の工法が提案されている。例えば、破砕材などの化学材料を用いて余盛部分を所定の高さで分離させた後にクレーンなどで除去する工法、主筋に予め設置した縁切パイプに液圧をかけて変形させることにより余盛部分を縁切りして除去する工法(例えば、特許文献1参照)など、種々の工法が提案されている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 【特許文献1】特開昭58−21396号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかしながら、例えば、エアブレーカーなどでコンクリート硬化後にはつる工法では、大きな騒音が発生して近隣住民の騒音問題となってしまう。さらに、破砕時に粉塵を撒き散らして作業員の健康にも悪影響を及ぼす。また、破砕材を用いる工法では、その準備に手間がかかり、コストも高くなる上、破砕作用を適切にコントロールすることが困難であって且つ時間もかかる。さらに、縁切りパイプを用いて縁切りし、余盛部分を除去する工法では、同様に準備とコストがかかるし、縁切りによる鉄筋との絶縁やひび割れが十分ではないと、クレーンでの引き抜きが困難、場合によってはクレーン転倒の危険を伴う。 【0006】 上記に鑑み、本発明の目的は、低コストで、余盛部分の除去を容易に且つ確実に行い、騒音を大幅に低減可能な杭頭部の処理工法を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0007】 上記の目的を達成するために、本発明に係る杭頭処理工法は、 長さ方向に各々が円周状に整列して配置された複数の鉄筋を含む鉄筋かごを用いて、地盤に設けた杭孔に場所打ち杭を形成し、該杭の余盛部分からなる杭頭を処理する杭頭処理工法であって、 底部が前記杭孔の外側に向かって延伸するL字状の第1フラットバーと、前記第1フラットバーの外側に重ねて設置された第2フラットバーとからなる第1の仕掛けを、固定部材を用いて、前記鉄筋かごの上端における隣り合う前記鉄筋間に複数設置すると共に、 前記杭孔が延伸する方向と垂直な方向に、前記第1の仕掛けが設置された前記鉄筋間とは異なる隣り合う一の鉄筋間から向かい合う他の鉄筋間に延伸する第3フラットバーと、前記第3フラットバーの上に設置され、一端が前記杭孔方向の上向きに前記隣り合う一の鉄筋に沿って延伸すると共に他端が前記杭孔方向の上向きに前記隣り合う他の鉄筋に沿って延伸する第4フラットバーとからなる第2の仕掛けを、前記固定部材を用いて、前記鉄筋かごの上端における前記隣り合う一の鉄筋間と前記隣り合う他の鉄筋間とに設置する工程(a)と、 前記杭孔に、前記第1及び第2の仕掛けが設置された前記鉄筋かごを建て込む工程(b)と、 前記杭孔にコンクリートを打設する工程(c)と、 前記地盤における前記杭孔の周囲を掘削して、前記コンクリートからなる前記場所打ち杭の余盛部分を露出させる工程(d)と、 前記余盛部分の上端に露出する前記第1の仕掛けにおける前記第1フラットバーと前記第2フラットバーとの間に、挿入手段を打ち込むことにより、前記余盛部分における前記複数の鉄筋の外側に存在する部分を除去する工程(e)と、 前記工程(e)によって前記余盛部分の下端に露出する前記第2の仕掛けにおける前記第3フラットバーと前記第4フラットバーとの間に、前記挿入手段を打ち込むことにより、前記余盛部分における前記複数の鉄筋の内側に存在する部分の底部を割る工程(f)と、 重機を用いて、前記余盛部分における前記複数の鉄筋の内側に存在する部分を吊り上げて取り除く工程(g)とを備える、 ことを特徴とする杭頭処理工法。 【0008】 本発明に係る杭頭処理工法によると、鉄筋かごの上端に設置した第1の仕掛けを用いて、第1フラットバーと第2フラットバー間に挿入手段を打ち込むことにより、余盛部分における複数の鉄筋の外側に存在する部分を容易に大きく割れ落とすことができる。さらに、鉄筋かごの上端部に設置した第2の仕掛けを用いて、第3フラットバーと第4フラットバー間に挿入手段を打ち込むことにより、余盛部分における複数の鉄筋の内側に存在する部分の底部を割ることができるので、重機を用いて、余盛部分における複数の鉄筋の内側に存在する部分を容易に吊り上げて取り除くことができる。このようにして、本発明に係る杭頭処理工法によると、低コストで、余盛部分の除去を容易に且つ確実に行い、騒音を大幅に低減することができる。その結果、近隣住民の騒音問題をなくす。また、破砕時に粉塵を撒き散らして作業員の健康にも悪影響を及ぼすことがないので、作業員のはつり作業の負担が大幅に低減できるのみならず粉塵による健康への影響も大幅に低減できる。 【0009】 本発明の杭頭処理工法において、前記第3フラットバーの上には、前記第4フラットバーの外側に重ねて第5フラットバーが更に設置されている、ことが好ましい。 【0010】 このようにすると、1つの仕掛けで、第4フラットバーと第5フラットバーとの間に挿入手段を打ち込むことにより、余盛部分における複数の鉄筋の外側に存在する部分を除去することできると共に、第3フラットバーと第4フラットバーとの間に挿入手段を打ち込むことにより、余盛部分における複数の鉄筋の内側に存在する部分の底部を割ることができる。 【0011】 本発明の杭頭処理工法において、前記第3フラットバーと前記第4フラットバーとの間には、スペーサーが介在している、ことが好ましい。 【0012】 このようにすると、第2の仕掛けを用いて、余盛部分における複数の鉄筋の内側に存在する部分の底部を割る際に、より容易にその底部を割ることができる。 【0013】 本発明の杭頭処理工法において、前記第2の仕掛けは、同方向に複数形成されている、ことが好ましい。 【0014】 このようにすると、第2の仕掛けを用いて、余盛部分における複数の鉄筋の内側に存在する部分の底部を割る際に、より容易にその底部を割ることができる。 【0015】 本発明の杭頭処理工法において、第1及び第2の仕掛けは、その底部が設計天端位置よりも3cm〜5cm上に位置するように設置されている、ことが好ましい。 【0016】 このようにすると、余盛部分における複数の鉄筋の外側に存在する部分を割れ落とす際、及び余盛部分における複数の鉄筋の内側に存在する部分の底部を割る際に、仮にクラックなどの存在により下方に割れ込むうとしても、天端位置まで到達することを防止できる。 【0017】 本発明の杭頭処理工法において、前記工程(d)と前記工程(e)との間に、前記設計天端位置にカッターラインを入れる工程をさらに備える、ことが好ましい。 【0018】 このようにすると、設計天端位置にカッターラインが入っているので、仮にクラックなどの存在により下方に割れ込もうとしても、設計天端位置で止めることができる。 【0019】 本発明の杭頭処理工法において、第1フラットバーの上端と前記第2フラットバーの上端とは、互いに離れる方向に、湾曲しており、前記第4フラットバーにおける前記杭孔の上向きに延伸する前記一端及び他端の底部は、湾曲している、ことが好ましい。 【0020】 このようにすると、第1フラットバーと第2フラットバー間への挿入手段の打ち込み、及び第4フラットバーと第3フラットバー間への挿入手段の打ち込みを容易にすることができる。 【0021】 本発明の杭頭処理工法において、前記固定部材は、前記挿入手段による打ち込みにより、前記第1フラットバーと前記第2フラットバーとの固定、及び前記第3フラットバーと前記第4フラットバーとの固定が容易に解除される部材からなる、ことが好ましい。 【0022】 このようにすると、挿入手段の打ち込みの際に、第1フラットバーと第2フラットバーとの固定、及び第3フラットバーと第4フラットバーとの固定が容易に解除される。 【発明の効果】 【0023】 本発明によると、低コストで、余盛部部分の除去を容易に且つ確実に行い、騒音を大幅に低減可能な杭頭部の処理工法が提供される。 【図面の簡単な説明】 【0024】 【図1】図1(a)〜(c)は、本発明の一実施形態に係る杭頭処理工法に用いる仕掛けの構造例を示す概略図である。 【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る杭頭処理工法に用いる仕掛けが鉄筋かごに設置された構造例を示す概略図である。 【図3】図3(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る杭頭処理工法を工程順に示す概略図である。 【図4】図4(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る杭頭処理工法を工程順に示す概略図である。 【図5】図5(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る杭頭処理工法を工程順に示す概略図である。 【図6】図6(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る杭頭処理工法を工程順に示す概略図である。 【図7】図7(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る杭頭処理工法に用いる仕掛けの構造の変形例を示す概略図である。 【図8】図8は、本発明の一実施形態に係る杭頭処理工法に用いる仕掛けの構造の変形例を示す概略図である。 【発明を実施するための形態】 【0025】 以下に、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る場所打ち杭の杭頭部の杭頭処理工法について説明する。本実施形態に係る杭頭処理方法は、長さ方向に各々が円周状に整列して配置された複数の鉄筋を含む鉄筋かごを用いて、地盤に設けた杭孔に場所打ち杭を形成し、該杭の余盛部分からなる杭頭を処理する杭頭処理工法である。 【0026】 図1(a)〜(c)は、本発明の一実施形態に係る杭頭処理工法に用いる仕掛けの構造例を示している。図2は、本発明の一実施形態に係る杭頭処理工法に用いる仕掛けが鉄筋かごに設置された構造例を示す概略図である。 【0027】 図1(a)〜(c)に示すように、本実施形態に係る杭頭処理工法では、仕掛け10(第1の仕掛け)及び仕掛け20(第2の仕掛け)が用いられる。また、仕掛け20の代わりに仕掛け30が用いられてもよいし、仕掛け20と併用して仕掛け30が用いられてもよい。仕掛け10、仕掛け20、及び仕掛け30は、例えば鉄板プレート板からなるフラットバーが用いられ、必要に応じて加工して用いられている。なお、フラットバーは、例えば、厚みが5mm程度であり、幅が3cm〜6cmであり、長さが80cm〜100cmのものを用いている。これらの仕掛けが、図2に示すように、鉄筋かご100の上端部100aに設置される。また、仕掛け10〜30が設置され得る鉄筋かご100は公知のものであり、長さ方向に各々が円周状に整列して配置された複数の鉄筋50を含み、該複数の鉄筋50を囲むようにフープ60が形成されている。なお、フープ径は、約2mまでの大きさである。 【0028】 図1(a)に示すように、仕掛け10は、底部が杭孔200(図2参照)の外側に向かって延伸するL字状のフラットバー12(第1フラットバー)を備えている。さらに、仕掛け10は、フラットバー12の外側に重ねて設置されたフラットバー14(第2フラットバー)を備えている。図2では、仕掛け10を、固定部材40を用いて、鉄筋かご100の上端部100aにおける隣り合う鉄筋50間に複数設置している。また、仕掛け10は、上記フープ60と同じ複数のフープ60(図では便宜上1つのフープを示している)によっても、固定されている。なお、図2では、2つの仕掛け10が設置されている例が示されている。また、鉄筋50の上端部には後述するコンクリートとの分離を容易にするために、図示しない鉄筋養生を設けておくとよく、その材料として、スチールや、好ましくはビニールを用いるとよい。 【0029】 図1(b)に示すように、仕掛け20は、杭孔200が延伸する方向と垂直な方向に、仕掛け10が設置された鉄筋50間とは異なる隣り合う一の鉄筋50間から向かい合う他の鉄筋50間に延伸するフラットバー24(第3フラットバー)を備えている。さらに、仕掛け20は、フラットバー24の上に、一端が杭孔200方向の上向きに上記隣り合う一の鉄筋に沿って延伸すると共に他端が杭孔200方向の上向きに上記隣り合う他の鉄筋に沿って延伸するフラットバー22(第4フラットバー)を備えている。また、図1(b)に示した仕掛け20の代わりに、または仕掛け20と併用して、図1(c)に示すように、フラットバー24の上に、フラットバー22の外側に重ねてフラットバー14(第5フラットバー)を更に設置した仕掛け30を用いることもできる。図2では、仕掛け20の代わりに仕掛け30を、固定部材40を用いて、鉄筋かご100の上端部100aにおける上記隣り合う一の鉄筋50間と隣り合う他の鉄筋50間とに設置している。また、仕掛け30は、上記フープ60と同じ複数のフープ60(図では便宜上1つのフープを示している)によっても、固定されている。なお、図2では、1つの仕掛け30が設置されている例が示されている。 【0030】 また、本実施形態では、仕掛け10、仕掛け20、及び仕掛け30は、その底部が、設計天端位置h1よりも3cm〜5cm上にある位置h2に存在するように設置されている。 【0031】 また、固定部材40は、フラットバー12とフラットバー14とを鉄筋50を介して固定、及びフラットバー24とフラットバー22とを鉄筋50を介して固定するものであり、例えば、結束線、バンセン、きりきりバンドなどの材料が用いられる。このような材料を用いるのは、フラットバー12とフラットバー14との間及びフラットバー24とフラットバー22との間に挿入手段を打ち込む際に、フラットバーとフラットバーとの固定、及びフラットバー24とフラットバー22との固定が容易に解除されて、その打ち込みが容易になる。 【0032】 次に、図3〜図8を参照しながら、本実施形態に係る杭頭処理工法について順に説明する。図3〜図8は、本実施形態に係る杭頭処理工法を工程順に示す概略図である。 【0033】 まず、図3(a)に示すように、地盤300に設けた杭孔200内に、上記図2で説明した仕掛け10及び仕掛け30が設置された鉄筋かご100を建て込む。このとき、仕掛け10、仕掛け20、及び仕掛け30は、その底部が、設計天端位置h1よりも3cm〜5cm上にある位置h2に存在している。 【0034】 次に、図3(b)に示すように、杭孔200に、コンクリート400を打設する。 【0035】 次に、図4(a)に示すように、地盤300における杭孔200の周囲を掘削して、コンクリートからなる場所打ち杭の余盛部分4Aを露出させる。ここで、余盛部分4Aの長さは80cm〜100cm程度である。なお、地盤300の掘削は、図示していないが、設計天端位置h1よりも少し下方まで行うことが通常である。 【0036】 次に、図4(b)に示すように、図4(a)の状態で余盛部分4Aの上端に露出する仕掛け10におけるフラットバー12とフラットバー14との間に、及び、仕掛け30におけるフラットバー14とフラットバー22との間に、挿入手段として例えばせり金70を打ち込むことにより、余盛部分4Aにおける複数の鉄筋50の外側に存在する部分400aを大きく割れ落とす(除去する)。このとき、余盛部分4Aにおける複数の鉄筋50の内側に存在する部分400bは残存する。なお、大きく割れ落ちて小割りが必要な場合には、小割りはつりを必要に応じて行うとよい。また、図4(a)の状態で余盛部分4Aの上端に仕掛け10の端部が露出していない場合には、はつり用ブレーカーなどを用いて余盛部分4Aの上端を露出させるようにする。なお、ここでは、仕掛け30を用いているが、仕掛け20を用いている場合には、仕掛け20は図4(b)の工程では特に利用さることなく後述の図5(a)にて、仕掛け30と同様に用いられる。ただし、仕掛け30を用いる方が、1つの仕掛けで、余盛部分4Aにおける複数の鉄筋50の外側に存在する部分400aを除去することに寄与すると共に、余盛部分4Aにおける複数の鉄筋50の内側に存在する部分400bの底部を割ることに寄与することができる。このため、余盛部分4Aにおける複数の鉄筋50の内側に存在する部分400bの底部を割ることに寄与する仕掛け20よりも仕掛け30を用いる方が好ましい。 【0037】 次に、図5(a)に示すように、上記図4(b)に示す工程によって余盛部分4Aの下端に露出する仕掛け30におけるフラットバー24とフラットバー22との間に、例えばせり金70を打ち込むことにより、余盛部分4Aにおける複数の鉄筋50の内側に存在する部分400bの底部を割る。その後、例えばレッカー、ユンボ、タクークレーンなどの重機700により、重機700の吊り上げ用ワイヤー600で引っ掛け用鉄筋500を引っ掛けて、余盛部分4Aにおける複数の鉄筋50の内側に存在する部分を吊り上げて取り除く。このようにして、図5(b)に示すように、余盛部分4Aにおける鉄筋50の外側の周囲部分400aと内側の内部部分400bとが取り除かれて、鉄筋50と仕掛け10及び30とが残存している状態が得られる。なお、引っ掛け用鉄筋500は、公知のものであるが、コンクリート400が固化する前に、例えば、図3(a)の工程で立て込む鉄筋かご100に事前に設置しておくことができる。設置位置は、重機700の吊り上げ用ワイヤー600を引っ掛けるための所定の位置に設置すれば良いが、例えば、その径が22mm〜25mmであり、高さH1が80cm、湾曲部L1が180R、底部L2が20cm以上、底部の角部の角度θが90R以上45R以下である。ただし、余盛部分4Aにおける複数の鉄筋50の内側に存在する部分を吊り上げて取り除く方法は、公知の種々の方法が考えられ、この例に限定されるものではない。 【0038】 最後に、図6(a)及び(b)に示すように、はつり用ブレーカーなどを用いて、上端部に露出するコンクリートをさらにはつり、杭頭の高さを設計天端位置h1まで下げる。そして、チッパーなどを用いて表面仕上げを行う。 【0039】 本実施形態に係る杭頭処理工法によると、鉄筋かご100の上端部に予め設置した仕掛け10を用いることにより、余盛部分4Aにおける複数の鉄筋50の外側に存在する部分400aを容易に大きく割れ落とすことができる。さらに、鉄筋かご100の上端部に予め設置した仕掛け30を用いることにより、余盛部分4Aにおける複数の鉄筋50の内側に存在する部分400bの底部を割ることができるので、重機700を用いて、余盛部分4Aにおける複数の鉄筋50の内側に存在する部分を容易に吊り上げて取り除くことができる。このようにして、本実施形態に係る杭頭処理工法によると、低コストで、余盛部分の除去を容易に且つ確実に行い、騒音を大幅に低減することができる。その結果、近隣住民の騒音問題をなくす。また、破砕時に粉塵を撒き散らして作業員の健康にも悪影響を及ぼすことがないので、作業員のはつり作業の負担が大幅に低減できるのみならず粉塵による健康への影響も大幅に低減できる。 【0040】 また、本実施形態では、仕掛け10及び仕掛け30は、その底部が、設計天端位置h1よりも3cm〜5cm上にある位置h2に存在するように設置されている。このようにすると、図4(b)及び図5(a)の工程において、余盛部分4Aにおける複数の鉄筋50の外側に存在する部分400aを割れ落とす際、及び余盛部分4Aにおける複数の鉄筋50の内側に存在する部分400bの底部を割る際に、仮にクラックなどの存在により下方に割れ込むうとしても、天端位置h2まで到達することを防止できる。 【0041】 また、本実施形態において、図4(a)の工程の後で、図4(b)及び図5(a)の工程よりも前に、設計天端位置h1にカッターラインを入れておくことにより、同様に、図4(b)及び図5(a)の工程においてクラックなどの存在により下方への割れ込みを天端位置h2で止めることができる。 【0042】 また、本実施形態において、図7(a)に示すように、フラットバー12aの上端とフラットバー14aの上端とは、互いに離れる方向に、湾曲していることが好ましい。同様に、図7(b)に示すように、フラットバー22aにおける杭孔200の上向きに延伸する一端及び他端の底部は、湾曲していることが好ましい。このようにすると、図4(b)及び図5(a)の工程において、フラットバー間へのせり金70の挿入を容易にすることができる。 【0043】 また、本実施形態において、図8に示すように、例えば仕掛け20(仕掛け30でも同様)におけるフラットバー22とフラットバー24との間に、スペーサー80を介在させることが好ましい。このようにすると、仕掛け20を用いて、余盛部分4Aにおける複数の鉄筋50の内側に存在する部分400bの底部を割る際に、より容易にその底部を割ることができる。 【0044】 また、本実施形態において、仕掛け20または30は、同方向に複数設置することが好ましい。同方向に配置することで、余盛部分4Aにおける複数の鉄筋50の内側に存在する部分400bの底部がより容易に割れる。なお、これに対して、仕掛け20、30を異なる方向に複数設置する場合には、余盛部分4Aにおける複数の鉄筋50の内側に存在する部分400bの底部がきれいに割れにくくなる。 【0045】 また、本実施形態において、仕掛け10〜30の数は、図2などに示した数に限定されるものではない。その数は多いほど、余盛部分4Aにおける鉄筋の外側の部分400aのはつり落とし、その内側の部分400bの底部の割りがより容易に実現されるが、コンクリートの打設時に、仕掛け10〜30が外れて落ちてしまわないように、固定部材40で確実に固定する必要がある。また一方で、仕掛け10〜30の数が多くなる場合には、コンクリートを打設するためのサヤ管を通す領域を必ず確保するように、仕掛け10〜30を設置することが望ましい。 【0046】 また、余盛部分4Aには、不純物が混ざっていないことや、杭縦筋の周囲に水分を含んでいないことが望ましい。この場合には、余盛部分4Aにおける複数の鉄筋50の内側に存在する部分400bの底部を割る際に、より容易にその底部を割ることができる 【産業上の利用可能性】 【0047】 本発明に係る杭頭処理工法は、場所打ち杭の余盛部分の杭頭処理にとって有用である。 【符号の説明】 【0048】 10 仕掛け 12 L字状のフラットバー 14 フラットバー 20 仕掛け 22 両端部が杭孔方向上向きに延伸するフラットバー 24 フラットバー 30 仕掛け 40 固定部材 50 鉄筋 60 フープ 70 せり金 80 スペーサー 100 鉄筋かご 100a 鉄筋かごの上端部 h1 設計天端位置 h2 仕掛けの底部を設置する位置 4A 余盛部分 200 杭孔 300 地盤 400 コンクリート 400a 余盛部分における鉄筋の外側に存在する部分 400b 余盛部分における鉄筋の内側に存在する部分 500 吊り上げワイヤーを引っ掛けるための鉄筋 600 重機の吊り上げワイヤー 700 重機 |
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【図1】 |
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【図2】 |
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【図3】 |
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【図4】 |
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【図5】 |
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【図6】 |
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【図7】 |
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【図8】 |
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