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土木・建設
 
【発明の名称】換気装置
【出願人】
【識別番号】507114819
【氏名又は名称】山口 孝弘
【住所又は居所】福岡県那珂川市片縄北2-16-7
【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
【発明者】
【氏名】山口 孝弘
【住所又は居所】福岡県那珂川市片縄北2-16-7
【要約】
【課題】横降りのような強い雨のときの雨の吹き込みを防止することが可能であり、かつ室内の暖かい空気を効率良く室外へ排出することが可能な換気装置の提供。
【解決手段】建物の外壁に設けられる換気装置4であって、水平方向に延びる回転軸12であって縦方向に所定間隔で平行に並べて配置された回転軸12周りに回転自在な複数の羽板21であり、回転軸12より建物の外側斜め上方に向かって延びる第1部分21Aを有する複数の羽板21と、羽板21の自重により回転軸12周りに複数の羽板21が正回転した際、複数の羽板21間に開口24が形成された状態で、羽板21の自重による正回転を規制する回転規制部13とを有し、複数の羽板21は、建物の外側から風を受け、羽板21の自重に抗して逆回転した際、複数の羽板21の第1部分21Aが一部重なり合うことにより複数の羽板21間の開口24を閉じる。
【選択図】図4
選択図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁に設けられる換気装置であって、
水平方向に延びる回転軸であって縦方向に所定間隔で平行に並べて配置された回転軸周りに回転自在な複数の羽板であり、前記回転軸より前記建物の外側斜め上方に向かって延びる第1部分を有する複数の羽板と、
前記羽板の自重により前記回転軸周りに前記複数の羽板が正回転した際、前記複数の羽板間に開口が形成された状態で、前記羽板の自重による正回転を規制する回転規制部とを有し、
前記複数の羽板は、前記建物の外側から風を受け、前記羽板の自重に抗して逆回転した際、前記複数の羽板の前記第1部分が一部重なり合うことにより前記複数の羽板間の開口を閉じるものである換気装置。
【請求項2】
建物の外壁に設けられる換気装置であって、
水平方向に延びる回転軸であって縦方向に所定間隔で平行に並べて配置された回転軸周りに回転自在な複数の羽板であり、前記回転軸より前記建物の外側斜め上方に向かって延びる第1部分と、前記回転軸より前記建物の内側斜め下方に向かって延びる第2部分とを有し、重心が前記第1部分に位置する複数の羽板と、
前記羽板の自重により前記回転軸周りに前記複数の羽板が正回転した際、前記第1部分を前記建物の外側斜め上方へ向け、かつ前記第2部分を前記建物の内側斜め下方へ向け、前記複数の羽板間に開口が形成された状態で、前記羽板の自重による正回転を規制する回転規制部とを有し、
前記複数の羽板は、前記建物の外側から風を受け、前記羽板の自重に抗して逆回転した際、上下に並ぶ前記複数の羽板の前記第1部分と前記第2部分とが一部重なり合うことにより前記複数の羽板間の開口を閉じるものである換気装置。
【請求項3】
前記複数の羽板が正回転した際に前記複数の羽板と前記回転規制部とが接触する部分、および、前記複数の羽板が逆回転した際に前記複数の羽板同士が接触する部分に、それぞれ緩衝材を有する請求項1または2に記載の換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内の換気のため、建物の外壁に設けられる換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に建物の外壁には換気のためのガラリが設けられている。ガラリは、左右の縦枠間に所定間隔で複数枚の羽板が横架されたものである。羽板は、雨水の浸入を防ぐために、一般に外下がりに傾斜した断面形状となっているが、横降りのような雨の強いときには、雨が吹き込まれて室内側に浸入することもある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開平8−121853号公報 (段落0002、図11(イ))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のように従来のガラリは、雨水の浸入を防ぐために外下がりに傾斜した断面形状となっているため、室内の暖かい空気が上昇して羽板に当たると、室内側へ向かって跳ね返されることになり、室外へ排出されにくいという問題がある。
【0005】
そこで、本発明においては、横降りのような強い雨のときの雨の吹き込みを防止することが可能であり、かつ室内の暖かい空気を効率良く室外へ排出することが可能な換気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の換気装置は、建物の外壁に設けられる換気装置であって、水平方向に延びる回転軸であって縦方向に所定間隔で平行に並べて配置された回転軸周りに回転自在な複数の羽板であり、回転軸より建物の外側斜め上方に向かって延びる第1部分を有する複数の羽板と、羽板の自重により回転軸周りに複数の羽板が正回転した際、複数の羽板間に開口が形成された状態で、羽板の自重による正回転を規制する回転規制部とを有し、複数の羽板は、建物の外側から風を受け、羽板の自重に抗して逆回転した際、複数の羽板の第1部分が一部重なり合うことにより複数の羽板間の開口を閉じるものであることを特徴とする。
【0007】
本発明に換気装置によれば、通常の平穏な天候時においては、羽板の自重により回転軸周りに複数の羽板が正回転しようとするが、回転規制部により羽板の自重による正回転が規制され、複数の羽板間に開口が形成された状態となる。一方、強風時には、複数の羽板が建物の外側から風を受け、羽板の自重に抗して逆回転し、複数の羽板の第1部分が一部重なり合うことにより複数の羽板間の開口が閉じられる。
【0008】
本発明の換気装置は、建物の外壁に設けられる換気装置であって、水平方向に延びる回転軸であって縦方向に所定間隔で平行に並べて配置された回転軸周りに回転自在な複数の羽板であり、回転軸より建物の外側斜め上方に向かって延びる第1部分と、回転軸より建物の内側斜め下方に向かって延びる第2部分とを有し、重心が第1部分に位置する複数の羽板と、羽板の自重により回転軸周りに複数の羽板が正回転した際、第1部分を建物の外側斜め上方へ向け、かつ第2部分を建物の内側斜め下方へ向け、複数の羽板間に開口が形成された状態で、羽板の自重による正回転を規制する回転規制部とを有し、複数の羽板は、建物の外側から風を受け、羽板の自重に抗して逆回転した際、上下に並ぶ複数の羽板の第1部分と第2部分とが一部重なり合うことにより複数の羽板間の開口を閉じるものであることを特徴とする。
【0009】
本発明に換気装置によれば、通常の平穏な天候時においては、重心が第1部分に位置する羽板の自重により回転軸周りに複数の羽板が正回転しようとするが、回転規制部により羽板の自重による正回転が規制され、複数の羽板間に開口が形成された状態となる。一方、強風時には、複数の羽板が建物の外側から風を受け、羽板の自重に抗して逆回転し、上下に並ぶ複数の羽板の第1部分と第2部分とが一部重なり合うことにより複数の羽板間の開口が閉じられる。
【0010】
本発明の換気装置は、複数の羽板が正回転した際に複数の羽板と回転規制部とが接触する部分、および、複数の羽板が逆回転した際に複数の羽板同士が接触する部分に、それぞれ緩衝材を有するものであることが望ましい。これにより、複数の羽板が正回転して複数の羽板と回転規制部とが接触する際の衝撃、および、複数の羽板が逆回転して複数の羽板同士が接触する際の衝撃が、それぞれ緩衝材により緩和される。
【発明の効果】
【0011】
(1)本発明の換気装置によれば、通常の平穏な天候時においては、複数の羽板間に開口が形成された状態となっており、建物の内側から上昇する暖かい空気は複数の羽板間に形成された開口から建物の外側へ効率良く排出される。一方、強風時には、複数の羽板間の開口が閉じられるため、強風に伴う横降りのような強い雨の吹き込みが防止される。
【0012】
(2)複数の羽板が正回転した際に複数の羽板と回転規制部とが接触する部分、および、複数の羽板が逆回転した際に複数の羽板同士が接触する部分に、それぞれ緩衝材を有することにより、複数の羽板が正回転して複数の羽板と回転規制部とが接触する際の衝撃、および、複数の羽板が逆回転して複数の羽板同士が接触する際の衝撃が、それぞれ緩衝材により緩和されるため、衝撃音の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態における換気装置を建物外側からみた正面図である。
【図2】図1のY−Y断面図である。
【図3】図1のX−X断面図であって、(A)は開口が開かれた状態を示す図、(B)は開口が閉じられた状態を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態における換気装置を示す断面図であって、(A)は開口が開かれた状態を示す図、(B)は開口が閉じられた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施の形態1>
図1は本発明の第1実施形態における換気装置を建物外側からみた正面図、図2は図1のY−Y断面図、図3は図1のX−X断面図であって、(A)は開口が開かれた状態を示す図、(B)は開口が閉じられた状態を示す図である。
【0015】
図1〜図3に示すように、本発明の第1実施形態における換気装置1は、建物の外壁2の庇(図示せず。)の下の開口部3に設けられる。換気装置1は、上下一対の横枠10Aと、その両端部間に連結された左右一対の縦枠10Bとで、開口部3に合わせて方形状に形成された枠体10と、枠体10の縦枠10B間に縦方向に所定間隔で平行に並べて配置された複数の羽板11とを有する。
【0016】
羽板11は、縦枠10Bに対して、水平方向に延びる回転軸12周りに回転自在に支持されている。羽板11は、水平方向に長い帯状の板材(例えば、網入りガラス等)から構成される。図3に示すように、羽板11は、回転軸12より建物の外側斜め上方に向かって延びる第1部分11Aと、回転軸12より建物の内側斜め下方に向かって延びる第2部分11Bとを有する。
【0017】
また、羽板11は重心Gが第1部分11A上に位置し、第1部分11Aが建物の外側斜め上方に向かって延びている限り、羽板11の自重により回転軸12周りに第1部分11Aが下方へ向かう回転モーメントが発生し、正回転(第1部分11A側が下方へ回転)しようとする。一方、縦枠10Bには、羽板11の第1部分11Aの先端部が当接することにより羽板11の回転角度を規制する回転規制部13が設けられている。
【0018】
回転規制部13は、図3(A)に示すように、羽板11の自重により回転軸12周りに複数の羽板11が正回転した際、複数の羽板11間に開口14が形成された状態で、羽板11の自重による正回転を規制する。このとき、羽板11は、第1部分11Aを建物の外側斜め上方へ向け、かつ第2部分11Bを建物の内側斜め下方へ向けた状態が維持されるように規制される。
【0019】
一方、複数の羽板11は建物の外側から風を受けると、図3(B)に示すように、羽板11の自重に抗して逆回転する。このとき、複数の羽板11は、上下に並ぶ複数の羽板11の第1部分11Aと第2部分11Bとが一部重なり合うことにより複数の羽板11間の開口14を閉じるようになっている。
【0020】
また、それぞれの羽板11には、羽板11が正回転した際に羽板11と回転規制部13とが接触する部分である第1部分11Aの先端部の下面と、羽板11が逆回転した際に羽板11同士が接触する部分である第1部分11Aの先端部の上面とに、それぞれ緩衝材15A,15Bが設けられている。緩衝材としては、例えばシリコーンゴムを使用することができるが、他の材質のものを使用することも可能である。また、羽板11側ではなく、回転規制部13側に緩衝材を設けることも可能である。
【0021】
枠体10の室内側の開口部分には、虫除けのための網16が設けられている。網16としては、例えばステンレス鋼製の網を使用することができるが、一般的な網戸の素材であるポリプロピレン製やグラスファイバー製の網とすることも可能である。
【0022】
上記構成の換気装置1によれば、通常の平穏な天候時においては、重心が第1部分11Aに位置する羽板11の自重により回転軸12周りに複数の羽板11が正回転しようとするが、回転規制部13により羽板11の自重による正回転が規制され、複数の羽板11間に開口14が形成された状態となる。これにより、建物の内側から上昇する暖かい空気は複数の羽板11間に形成された開口14から建物の外側へ効率良く排出される。
【0023】
一方、強風時には、複数の羽板11が建物の外側から風を受け、羽板11の自重に抗して逆回転し、上下に並ぶ複数の羽板11の第1部分11Aと第2部分11Bとが一部重なり合うことにより複数の羽板11間の開口14が閉じられる。これにより、強風に伴う横降りのような強い雨の吹き込みが防止される。
【0024】
また、本実施形態における換気装置1では、複数の羽板11が正回転して複数の羽板11と回転規制部13とが接触する際の衝撃、および、複数の羽板11が逆回転して複数の羽板11同士が接触する際の衝撃が、それぞれ緩衝材15A,15Bにより緩和されるため、衝撃音の発生が防止される。
【0025】
<実施の形態2>
図4は本発明の第2実施形態における換気装置を示す断面図であって、(A)は開口が開かれた状態を示す図、(B)は開口が閉じられた状態を示す図である。なお、本実施形態において、前述の第1実施形態と共通する構成部分については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0026】
図4に示すように、本発明の第2実施形態における換気装置4は、プラスチック製の板材から構成される複数の羽板21が枠体10の縦枠10B間に縦方向に所定間隔で平行に並べて配置されたものである。羽板21は、回転軸12より建物の外側斜め上方に向かって延びる第1部分21Aを有する。第1部分21Aの先端部は、下方へ湾曲して延びる湾曲部21Bとなっている。
【0027】
このように回転軸12より一方にのみ延びる羽板21は、その自重により回転軸12周りに第1部分21Aが下方へ向かう回転モーメントが発生し、正回転しようとする。このように複数の羽板21が正回転し、羽板21の湾曲部21Bの先端部が回転規制部13に接触すると、羽板21の自重による正回転が規制され、図4(A)に示すように、複数の羽板21間に開口24が形成された状態となる。
【0028】
一方、複数の羽板21は、建物の外側から風を受けると、図4(B)に示すように、羽板21の自重に抗して逆回転する。このとき、複数の羽板21の第1部分21Aが一部重なり合うことにより複数の羽板21間の開口24を閉じるようになっている。
【0029】
また、それぞれの羽板21には、羽板21が正回転した際に羽板21と回転規制部13とが接触する部分である湾曲部21Bの先端部と、羽板21が逆回転した際に羽板21同士が接触する部分である第1部分21Aの先端部の上面とに、それぞれ緩衝材15A,15Bが設けられている。
【0030】
上記構成の換気装置4によれば、通常の平穏な天候時においては、羽板21の自重により回転軸12周りに複数の羽板21が正回転しようとするが、回転規制部13により羽板21の自重による正回転が規制され、複数の羽板21間に開口24が形成された状態となる。これにより、建物の内側から上昇する暖かい空気は複数の羽板21間に形成された開口24から建物の外側へ効率良く排出される。
【0031】
一方、強風時には、複数の羽板21が建物の外側から風を受け、羽板21の自重に抗して逆回転し、複数の羽板21の第1部分21Aが一部重なり合うことにより複数の羽板21間の開口24が閉じられる。これにより、強風に伴う横降りのような強い雨の吹き込みが防止される。
【0032】
また、本実施形態における換気装置4では、複数の羽板21が正回転して複数の羽板21と回転規制部13とが接触する際の衝撃、および、複数の羽板21が逆回転して複数の羽板21同士が接触する際の衝撃が、それぞれ緩衝材15A,15Bにより緩和されるため、衝撃音の発生が防止される。
【0033】
なお、本実施形態における換気装置1,4は外壁2の庇の下に設けられているため、通常の雨のときは開口14,24が形成された状態であっても雨が降り込むことはない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、建物内の換気のため、建物の外壁に設けられる換気装置として有用であり、特に、横降りのような強い雨のときの雨の吹き込みを防止することが可能であり、かつ室内の暖かい空気を効率良く室外へ排出することが可能な換気装置として好適である。
【符号の説明】
【0035】
1,4 換気装置
2 外壁
3 開口部
10 枠体
10A 横枠
10B 縦枠
11,21 羽板
11A,21A 第1部分
11B 第2部分
12 回転軸
13 回転規制部
14,24 開口
15A,15B 緩衝材
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
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