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【発明の名称】芝地面の床土排水改善構造 【出願人】 【識別番号】506050189 【氏名又は名称】松永 清照 【住所又は居所】福岡県宗像市自由ヶ丘4丁目13番地1 【代理人】 【弁理士】 【識別番号】100081824 【氏名又は名称】戸島 省四郎 【発明者】 【氏名】松永 清照 【住所又は居所】福岡県宗像市自由ヶ丘4丁目13番地1 【要約】 【課題】 ゴルフ・サッカー・テニス・野球・庭園等の芝の植生を良好にするための芝地面の床土の排水能力を高める床土排水構造を提供する。 【解決手段】 芝を植生する地面の表土を除去して地面原土1を露出し、70cm巾で深さ90cmの主排水溝2を掘削し、この主排水溝2の左右それぞれに略直角に50cm巾で深さ80cm程の枝排水溝3を設け、主排水溝の溝底に20cmの厚みに,枝排水溝の溝底に10cmの厚みのシャモットの軽石4を投入し、その上に主排水パイプ5を,枝排水溝3に枝排水パイプ6を敷設し、同枝排水パイプを主排水パイプ5に接続し、同主枝排水パイプの上に軽石4を投入し主枝排水溝を充填する。又これら溝の上に防砂網8を敷設し、この上に砂を30cm程積層し、この砂上面に芝を植生し、主排水パイプ5を調整桝7に接続する。 【特許請求の範囲】 【請求項1】 芝を植生する地面の表土を除去して地面原土を露出させ、同地面原土を締めた後に地面原土にその傾斜方向に沿って深さが40cm以上で巾が40cm以上の主排水溝を設け、同主排水溝に合流する巾が40cm以上で深さが40cm以上の枝排水溝を所定間隔をもって複数設け、主排水溝の下流側を排水路に接続し、主排水溝及び枝排水溝の底部に砕石又は軽石を10cm以上の厚みに投入し、その砕石軽石層の上に通水孔を多数設けたプラスチック製集水パイプを配置し、枝排水溝の集水パイプを主排水溝の集水パイプに接続し、同集水パイプを埋設するように主排水溝及び枝排水溝に砕石又は軽石を原土表面の高さまで充填し、砕石又は軽石を充填した溝の上面及びその溝の左右の所定巾の原土表面に砂の落下を防ぐ防砂網を敷設し、その防砂網上及びそれ以外の原土表面を締め固めながらその上に20cm以上の厚みに砂を積層させ、同砂層上に芝を植生させ、芝面の雨水を砂層を介して枝排水溝と主排水溝とに集め、集めた水を各排水溝の排水パイプに集水し、雨水を排水パイプ及び主排水溝と枝排水溝とを介して下方へ誘導して排水路に送り込んで排水するようにした、芝地面の床土排水改善構造。 【請求項2】 軽石がシャモットである請求項1記載の芝地面の床土排水改善構造。 【請求項3】 主排水溝の巾が60〜80cmで、深さが50〜100cmであり、枝排水溝の巾が60〜80cmで深さが40〜100cmである請求項1又は2記載の芝地面の床土排水改善構造。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 ゴルフ・サッカー・テニス・野球・庭園の芝を植生させた地面の床土の排水改善構造に関する。 【背景技術】 従来、ゴルフのグリーンに採用されてきた米国ゴルフ協会のサンドグリーンの床土構造は、グリーンとする地面の表土を除去して地面原土を露出させた後、原土に巾20cmで深さ30cm程の溝を複数掘削し、その中に通水孔を設けた10cm直径の排水パイプを配設し、同溝内及び原土表面に6mm直径程の砂利を投入し、原土表面上に10cm厚み程に積層させ、その上に1mm直径以上の粗砂を5cm程厚みに積層させ、更にその上に砂と土の混ざった混合土壌を積層させ、その混合土壌表面に芝を植生するものである。 しかしながら、このサンドグリーンの構造では地面原土が粘土質で水を下方に通過させない土質の場合、混合土壌・粗石・砂利を通過した雨水は、溝へ集中的に流入する。溝は溝巾・深さともに小さいため、溝及び排水パイプによる排水量が集水量より低くなって、グリーンに水溜り、湿地状態を生起するようになっていた。又、地面の粘土成分・泥成分が溝に入って小さい溝はこれら粘土・泥成分の沈澱が厚く溜まって排水パイプの通水孔及びパイプ内部を目詰まりさせて、排水力を低下させる。その為、定期的にグリーンサンドの補修作業を必要としていた。 又、乾期において、保水は小さな溝に集められた水のみであるので貯水力が不足して乾燥した日・日照りの日が長く続くと供給水がなくなって芝が枯れ易いという問題点があった。 又、芝の床土の排水構造の別の方法として、特開平11−46605号公報で知られているように、地盤上に防水シートを介して芝床土層を形成し、同芝床土層の地中に無数の微細孔を有する潅水パイプを適切な間隔で多数埋設し、防水シートのない芝床土下方に地中溝を適当な間隔で掘削し、この地中溝中に暗渠排水管を砕石と木炭粒とで埋め戻すようにして複数設け、暗渠排水管の排水路に水位調整桝を接続する構造の地中潅排水システムが知られている。 しかしながら、この排水構造では、芝床土層の雨水を直接地中溝へ集水するので、雨水に含まれた泥・粘土質、溝の土壌成分が地中溝に入り込んで暗渠排水管に流入してその表面の孔及び管内部を目詰りさせて、やはり長期間に排水能力を落とすものであった。又、潅水パイプを多数埋設させる必要があり、工事費が嵩むものとなっていた。 【特許文献1】 特開平11−46605号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 本発明は、従来のこれらの問題を解消し、排水能力が長年数の使用でも低下することが少ない芝地面の床土排水改善構造を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 かかる課題を解決した本発明の構成は、 1) 芝を植生する地面の表土を除去して地面原土を露出させ、同地面原土を締めた後に地面原土にその傾斜方向に沿って深さが40cm以上で巾が40cm以上の主排水溝を設け、同主排水溝に合流する巾が40cm以上で深さが40cm以上の枝排水溝を所定間隔をもって複数設け、主排水溝の下流側を排水路に接続し、主排水溝及び枝排水溝の底部に砕石又は軽石を10cm以上の厚みに投入し、その砕石軽石層の上に通水孔を多数設けたプラスチック製集水パイプを配置し、枝排水溝の集水パイプを主排水溝の集水パイプに接続し、同集水パイプを埋設するように主排水溝及び枝排水溝に砕石又は軽石を原土表面の高さまで充填し、砕石又は軽石を充填した溝の上面及びその溝の左右の所定巾の原土表面に砂の落下を防ぐ防砂網を敷設し、その防砂網上及びそれ以外の原土表面を締め固めながらその上に20cm以上の厚みに砂を積層させ、同砂層上に芝を植生させ、芝面の雨水を砂層を介して枝排水溝と主排水溝とに集め、集めた水を各排水溝の排水パイプに集水し、雨水を排水パイプ及び主排水溝と枝排水溝とを介して下方へ誘導して排水路に送り込んで排水するようにした、芝地面の床土排水改善構造 2) 軽石がシャモットである前記1)記載の芝地面の床土排水改善構造 3) 主排水溝の巾が60〜80cmで、深さが50〜100cmであり、枝排水溝の巾が60〜80cmで深さが40〜100cmである前記1)又は2)記載の芝地面の床土排水改善構造 にある。 【発明の効果】 本発明は、地面原土を除去し、その地面原土に巾が40cm以上、深さが40cm以上の大きい巾と深さが深い主排水溝と、これに合流する巾が40cmで深さが40cm以上の大きい巾と深さの深い枝排水溝とを所定間隔とって複数設け、しかも、集水パイプは、砕石軽石の10cm以上浮かした状態であるので、沈澱物で集水パイプ及び排水溝が目詰まり状態となることが少なく、約30〜40年間は、何らのメンテナンス工事を不要にして高い排水力を確保できるものとなる。この排水溝にシャモット等の多孔質の軽石を10cm以上投入した上に集水パイプを配置し、更にその上から軽石を充填するので軽石を充填材として使用するものでは、軽量であって作業者が手押し車等を用いて人力で軽石を移動して排水溝に投入でき、作業が容易で重機を用いず素人でもできるので安価にできる。 又、この砕石軽石を充填した排水溝の上面にはその左右の所定の巾に渡って防砂網を敷設した上で砂を深く積層するものであるので、この防砂網と砂によって泥・粘土成分・原土成分の溝への流入を抑え、排水溝の通水性(排水力)の低下を抑えている。 【発明を実施するための最良の形態】 本発明の枝排水溝は、主排水溝の左右に設けることが多いが、地形によっては一方側だけに設けることもできる。又枝排水溝の間隔は傾斜地か、平地(傾斜がない地面)かによって変わるが、平地の場合は4〜5mの間隔で、又傾斜があるときは短い2〜3mの間隔で設ける。 本発明の主排水溝の巾は60〜100cmの範囲が目詰・沈澱が大きく抑えられるため好ましく、70cm程度が実用的な値である。枝排水溝の巾も40cm以上で60〜100cm程が好ましい。又、主排水溝の深さは50〜100cm,枝排水溝の深さは40〜100cmが好ましい。 本発明の排水溝・地面原土の上に積層する砂の上に砂と土の混合土壌を載せて芝を植生してもよい。 【実施例1】 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。本実施例は、ゴルフ場のグリーン・フェアウェイの芝の床土の排水に適用した例である。 図1,2は、実施例の排水改善構造の作業行程を示す説明図である。 図3は、実施例の地面原土に掘削した主排水溝と枝排水溝と設置された排水パイプを示す平面図である。 図4は、図3のA−A断面図である。 図5は、図3のB−B断面図である。 図6は、実施例の芝の排水改善構造を示す断面図である。 図7は、本発明の他の排水溝の配列を示す説明図である。 図中、Gはゴルフ場のグリーン、1はグリーンGの地面原土、1aは除去された地面の表土、2は地面原土1の中央で傾斜方向に形成された巾70cm,深さ90cmの主排水溝、3は同主排水溝の左右それぞれに、4m程の間隔で主排水溝に対して略直角に合流する巾50cm,深さ80cmの枝排水溝、4は主排水溝2,枝排水溝3に投入された軽石であって、2cm〜10cm程の径のシャモットである。5は主排水溝2中のプラスチック製の10cm直径の主排水パイプ、5aは同排水パイプの表面に多数設けた通水孔、6は枝排水溝3中に配置された10cm直径のプラスチック製枝排水パイプ、6aは同排水パイプ表面に多数設けた通水孔、6bは主枝排水パイプ5,6の接続部、7は主排水溝2の下流側の排水路に設けた調整桝、8は主排水溝2,枝排水溝3に軽石4を充填した後に溝の上面及びその左右の地面原土に敷設するプラスチック製防砂網、9は同防砂網上及びその周辺の地面原土1上に積層させた砂、10は同砂の表面に植生した芝、11は調整桝の水を送出する暗渠の排水路、12は排水路からの水を貯めるため池である。 この実施例では、まずグリーンGとする地面表土1を地面原土が露出するまでトラクタシャベル・ブルドーザ・トラクタシャベル等を用いて除去する。このときグリーンGに所要の凹凸・傾きを与えるように地面原土の地形を整形する(図1参照)。次にこの地面原土1をローラ車等を用いて締め固める。締められた地面原土1の略中央で傾斜方向に70cm巾で深さ90cm程の主排水溝2を掘削する。次にこの主排水溝2の左右それぞれに略直角に合流するように50cm巾で深さ80cm程の枝排水溝3を設ける。枝排水溝3の間隔は、傾きがかなりある場合は2〜4mの間隔で、あまり傾きがあまりない場合は1.5〜2.0mの間隔で複数設ける(図1,2,3参照)。この枝排水溝3には主排水溝2に向けて下がるように傾斜を設ける。 次に、主排水溝2の溝底に20cm程の厚みにシャモットを用いた軽石4を投入する。又枝排水溝の溝底に10cm程の厚みにシャモットの軽石4を投入する。 次に、主排水溝2の溝底に投入された軽石4の上に通水孔5aを多数設けた10cm直径のプラスチック製主排水パイプ5を敷設する。又枝排水溝3の溝底に投入された軽石4の上にも通水孔6aを多数設けた10cm直径の枝排水パイプ6を敷設し、枝排水パイプ6の下流端を主排水溝2中で主排水パイプ5に接続する。この状態を図3に示している。主排水パイプ5と主排水溝2の下流側は調整桝7に接続され、排水路11に送られている。 その後、主排水溝2と枝排水溝3の内にシャモットの軽石4を投入して溝を埋めるように充填する。 主排水溝2と枝排水溝3の溝上面とその周辺の30〜50cm程の巾の原土1の表面には、砂が網目から流下しない細目の防砂網8を敷設する。この上に砂(山砂好ましくは海砂)を30cm程積層する(図2参照)。この砂に肥料・有機堆肥等を散布して混合して芝土を形成し、その表面に芝10を植生していく。 本実施例によれば、植生した芝10への雨水は、30cm程の砂9によって水捌けよく砂9の層を流下し、砂層の下の地面原土1の上面(特に粘土質の地面の場合)に沿って、又は砂9の中で傾斜の低い方へ流れ、枝排水溝3又は主排水溝2内へ流入する。主・枝排水溝は多孔質の軽石4があり、又軽石4間に空隙が多数あるので、雨水は両排水溝2,3の溝下方へ流入する。雨水の一部は、軽石4に吸水され保水される。又雨水の多くは主排水溝2と枝排水溝3の溝底部に貯り、溝底の傾斜によって下流方向に流れる。又枝排水溝3の雨水は主排水溝2に合流して流下する。又主排水溝2,枝排水溝3の底部10cm,20cm上方にある主排水パイプ5・枝排水パイプ6の通水孔5a,6aから流入して集水して主・枝排水パイプ5,6を介して雨水を効果的に下流へ送る。この主・枝排水パイプ5,6は両排水溝の溝底面から10〜20cm上方に設けられているため、及び溝巾が40cm以上で広いため、主・枝排水溝2,3に流入した泥・粘土が溜まってきて主・枝排水パイプ5,6を泥・粘土で埋め尽くすことが少なく、主・枝排水パイプ5,6の目詰まりは起こりにくくなっている。 このように主・枝排水溝2,3及び主・枝排水パイプ5,6に集水された水は、その傾斜によって調整桝7に流入し、そこから排水路11の大きな暗渠に送られてため池、川に送られるものである。 雨水がない場合、主・枝排水溝2,3中の軽石4は保水しているので、ある程度の水を芝に供給でき、乾燥にも対応できる。又、溝の巾・深さもあるので、主・枝排水溝2,3内にある程度の水を貯えることができる。 更に、排水溝中の軽石間の空隙には空気があるため、根に空気を送ることができ、芝は枯れにくくなっている。 このように、本実施例では30〜40年の間メンテフリーでグリーンの水捌けを良好にし、グリーンに水溜りが発生したり、湿って芝の表土を軟弱にせず凹凸・足跡を作ることがない。又乾燥に対しても軽石4及び主副排水溝2,3が保水して、芝に水を供給可能にし、乾燥・乾期にも強くなっている。 図5に示す例は、傾斜が全面的に一方向にある傾斜地に適用した例であり、主排水溝2は、傾斜の低い位置に横向きに傾斜方向に設けられ、傾斜地の高い所から低い主排水溝2に向けて、複数の枝排水溝3を形成した例である。 この例でも、水捌けはよく、又湿らずに且つ乾燥に強い芝の床土の排水構造となっている。 【産業上の利用可能性】 本発明は、実施例のゴルフ場のグリーン・フェアウェイの芝の床土の排水改善の他に、テニス・サッカー・芝運動場、庭園の広い芝の床土の排水構造にも使用できる。平地の芝の場合はこの場合、溝深さを変えて排水溝の溝底に勾配を与えるようにする。 【図面の簡単な説明】 【図1】実施例の排水改善構造の作業行程を示す説明図である。 【図2】実施例の排水改善構造の作業行程を示す説明図である。 【図3】実施例の地面原土に掘削した主排水溝と枝排水溝と設置された排水パイプを示す平面図である。 【図4】図3のA−A断面図である。 【図5】図3のB−B断面図である。 【図6】実施例の芝の排水改善構造を示す断面図である。 【図7】本発明の他の排水溝の配列を示す説明図である。 【符号の説明】 G グリーン 1 地面原土 2 主排水溝 3 枝排水溝 4 軽石 5 主排水パイプ 5a 通水孔 6 枝排水パイプ 6a 通水孔 7 調整桝 8 防砂網 9 砂 10 芝 11 排水路 |
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【図1】 |
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【図2】 |
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【図3】 |
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【図4】 |
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【図5】 |
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【図6】 |
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【図7】 |
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