閉じる | ||
【考案の名称】煙筒の煤塵除去装置 【実用新案権者】 【識別番号】508187595 【氏名又は名称】上村 隆義 【住所又は居所】岐阜県岐阜市市橋1丁目10番地の3 【代理人】 【弁理士】 【識別番号】100121429 【氏名又は名称】宇野 健一 【考案者】 【氏名】上村 隆義 【住所又は居所】岐阜県岐阜市市橋1丁目10番地の3 【要約】(修正有) 【課題】 簡易な構成でかつ安価に煙筒から排出される煙中の煤塵を除去するとともに、この煤塵を除去する装置を煙筒の排煙口に無理なく設置できる煙筒の媒塵除去装置を提供する。 【解決手段】 煙突61の排煙口63に設けられ、排煙口63を覆うように流下して煙中に含まれる煤塵を捕捉するウォーターカーテンCを形成するウォーターカーテン形成部11と、ウォーターカーテン形成部11に水Wを供給する水供給部21と、ウォーターカーテン形成部11から流出した水Wを排出する排水部31と、ウォーターカーテンCによって捕捉された排水中の煤塵を分離する浄水槽41とを備えた。 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 煙筒の排煙口に設けられ、該排煙口を覆うように流下して煙中に含まれる煤塵を捕捉するウォーターカーテンを形成するウォーターカーテン形成部と、 前記ウォーターカーテン形成部に水を供給する水供給部と、 前記ウォーターカーテン形成部から流出した水を排出する排水部と、 前記ウォーターカーテンによって捕捉された排水中の煤塵を分離する浄水槽と を備えたことを特徴とする煙筒の煤塵除去装置。 【請求項2】 前記煙筒の上部に、ウォーターカーテン形成部を上方から覆う覆い部材が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の煙筒の煤塵除去装置。 【請求項3】 前記排煙口は、前記煙筒の上端部の周壁に形成され、 前記ウォーターカーテンは、前記煙筒の外側をその周壁に沿って筒状に流下することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の煙筒の煤塵除去装置。 【請求項4】 前記浄水槽で浄化された水は、前記水供給部に送給され、循環使用されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の煙筒の煤塵除去装置。 【請求項5】 前記ウォーターカーテン形成部は、環状に屈曲形成された管体に、水が流出する多数の流出孔が配設されて成ることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の煙筒の煤塵除去装置。 【請求項6】 前記ウォーターカーテン形成部は、前記水供給部から供給された水を受ける有底筒体の底面に一定幅のスリットが前記煙筒の外径より大きい直径で環状に形成されて成ることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の煙筒の煤塵除去装置。 【請求項7】 前記ウォーターカーテン形成部は、上部から供給された水が有底筒体の開口縁部から溢出するよう形成されて成ることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の煙筒の煤塵除去装置。 【考案の詳細な説明】 【技術分野】 本考案は、工場の煙突や焼却炉の排気ダクト等の煙筒から排出される煙中のすすなどの煤塵を分離除去する煙筒の煤塵除去装置に関するものである。 【背景技術】 前記煙筒から排出される煙中にはすすなど各種の煤塵が含有されており、そのまま大気に放出すると環境汚染につながる。そこで、煙筒の排煙口にフィルタを取付けたりして煙中の煤塵を捕捉、除去し、大気への煤塵の放出を防止或いは抑制する各種の提案が行なわれている。 しかし、フィルタを使用して除去する場合は、使用中に煤塵が徐々に蓄積してフィルタが目詰まりを起こすため、定期的にフィルタを清掃し、交換する必要がある。ところが、フィルタを煙突などに取付けたりする場合は、高所に登ってフィルタを清掃し交換することとなるため、大変危険な作業となる。また、高所に登ってフィルタを一旦、取り外し、地上に降ろしてから清掃したり交換する場合は、手間がかかり、大変面倒な作業となる。加えて、フィルタは定期的に交換する必要があるため、コスト的にも高いものとなるなど各種の不具合があった。 そこで、例えば、特開平11−262616号に、煙突などに適用され、フィルタをブラシで自動的に水洗して付着した煤塵を除去する排ガスクリーナーが提案されている。前記公報に記載の排ガスクリーナーは、具体的には、半円筒状の吸気多孔板を有する電動吸引機と、半円筒状の遮蔽板と、回転自在な円筒状の多孔板と、回転手段を有する回転体と、エンドレスに回転するフィルターと、フィルターを水洗する水洗手段とを備えており、フィルターは回転体が回転するに従って移行して水洗手段を通過する間に水洗手段のブラシで付着した煤塵を掃除するようになっている。 【特許文献1】 特開平11−262616号公報 【考案の開示】 【考案が解決しようとする課題】 しかし、前記公報に記載の排ガスクリーナーは、エンドレスのフィルタに加え、フィルタを水洗手段に移行するための回転手段等が別途必要となるため、複雑な構成となっているとともに、装置の費用も高いものとなる。また、複雑な構成故にやフィルタの清掃、交換などのメンテナンスも大変である。加えて、このような大掛かりな装置を煙突などの排煙口に設置するのは困難である。 そこで、本考案は、簡易な構成でかつ安価に煙筒から排出される煙中の煤塵を除去することができるとともに、煙筒の排煙口に無理なく設置できる煙筒の煤塵除去装置の提供を課題とするものである。 【課題を解決するための手段】 請求項1の煙筒の煤塵除去装置は、煙筒の排煙口に設けられ、該排煙口を覆うように流下して煙中に含まれる煤塵を捕捉するウォーターカーテンを形成するウォーターカーテン形成部と、前記ウォーターカーテン形成部に水を供給する水供給部と、前記ウォーターカーテン形成部から流出した水を排出する排水部と、前記ウォーターカーテンによって捕捉された排水中の煤塵を分離する浄水槽とを備えたものである。 ここで、前記煙筒には、工場の煙突や焼却炉の排気ダクト等が含まれる。 前記ウォーターカーテンは、ウォーターカーテン形成部から煙筒の外側を円筒状に流下して煙筒の排煙口全体を覆う水膜であり、流下する間に煙中のすす等の煤塵を吸着したり下方に落としたりして水中に捕捉する。 前記水供給部は、一般には、送水ポンプにより水を汲み上げ、煙筒に沿って立ち上げ配管された送水管内に送り込むよう構成されている。 前記排水部は、一般には、煙筒の排煙口の下方に、ウォーターカーテンの水を受ける有底筒体からなる回収槽を設け、回収槽内の排水を、煙筒に沿って垂設された排水管を通して下方に排出するよう構成されている。 浄水槽は、網フィルタによるろ過や凝集剤による沈殿等の手段により排水中の煤塵を分離する。なお、網フィルターを使用して除去する場合は、これを地上において水洗し、付着した煤塵を簡単かつ安全に洗い落とすことができる。また、浄水槽に設置する網フィルタは、変形しにくい金網フィルター等を使用できるので、ほとんど交換する必要はない。 前記浄水槽内の水は、そのまま排水することもできるが、水供給部に送出して再度循環使用してもよい。 請求項2の煙筒の煤塵除去装置は、煙筒の上部に、ウォーターカーテン形成部を上方から覆う覆い部材が設けられている。覆い部材は、傘状、陣笠状に形成するのが望ましい。また、覆い部材の裏面側は、煙を排煙口から外部に円滑に導くために、湾曲板等のガイド板を取付けてもよい。 請求項3の煙筒の煤塵除去装置は、前記排煙口が、煙筒の上端部の周壁に形成され、前記ウォーターカーテンは、前記煙筒の外側をその周壁に沿って筒状に流下するものである。 請求項4の煙筒の煤塵除去装置は、前記浄水槽で浄化された水が、前記水供給部に送給され、循環使用されるものである。 請求項5の煙筒の煤塵除去装置は、前記ウォーターカーテン形成部が、環状に屈曲形成された管体に、水が流出する多数の流出孔が配設されて成る。流出孔は単なる小さな貫通孔であってもよく、水が噴出するノズルであってもよい。 請求項6の煙筒の煤塵除去装置は、水供給部から供給された水を受ける有底筒体の底面に一定幅のスリットが前記煙筒の外径より大きい直径で環状に形成されて成る。 請求項7の煙筒の煤塵除去装置は、前記ウォーターカーテン形成部が、上部から供給された水が有底筒体の開口縁部から溢出するよう形成されて成る。なお、有底筒体内には水の供給に伴う脈流等を抑えるため、仕切壁等を設け、供給水は一旦、仕切壁の下部空間を通流した後、開口縁部から溢出するようにしてもよい。 【考案の効果】 本考案は、環状に形成された管体に多数の流出孔を設けたり、有底筒体の底面にスリットを設けるなどしてウォーターカーテン形成部を形成し、これを煙筒の排煙口に設けているので、簡易な構成でかつ安価に、煙中に含まれる煤塵を分離除去することができるとともに、煙筒の排煙口に無理なく設置でき、もって、大気汚染を抑制することができる。 【考案を実施するための最良の形態】 以下、本考案の実施形態の煙筒の煤塵除去装置を図1及び図2に基づいて説明する。 図1及び図2において、煤塵除去装置1は、煙筒である工場の煙突61の上端部の周壁62に形成されている排煙口63に設けられた、ウォーターカーテンCを形成するウォーターカーテン形成部11と、ウォーターカーテン形成部11に水Wを供給する水供給部21と、ウォーターカーテン形成部11から流出した水Wを排出する排水部31と、ウォーターカーテンCによって捕捉された排水中の煤塵を分離除去する浄水槽41とを備えている。また、煙突61の上部に、支柱52で支持され、ウォーターカーテン形成部11を上方から覆う覆い部材51が設けられている。更に、浄水槽41で浄化された水Wは、戻り管53を通流して前記水供給部21に送給され、循環使用されるようになっている。以下、各構成部材について説明する。 ウォーターカーテン形成部11は、環状に形成された円管からなる管体12の周壁13に、水Wが流出する多数の流出孔14が配設されることにより形成されており、管体12は、複数、図1及び図2においては4本の支持脚54により煙突61の排煙口63の上端部に水平位置に保持されている。多数の流出孔14は円形の貫通孔で形成され、管体12の周壁13の下面側に周方向に所定間隔をおいて均等に設けられている。この流出孔14は単なる小さな開孔で形成されていてもよく、或いは水Wが噴出するノズルで形成されていてもよい。管体12を通流して各流出孔14から流出した水Wは隣同士が繋がって連続した水膜即ちウォーターカーテンCを形成する。各流出孔14の孔径及び流出孔14相互の間隔は、全周に至ってかつ高さ方向全体に至って隙間のないウォーターカーテンCを形成し、このウォーターカーテンCで煙突61の排煙口63全体を遮蔽することができる大きさに設定されている。 煙突61の上部に設けられた覆い部材51は、陣笠状或いは傘状に形成され、屋根として機能し、ウォーターカーテン形成部11全体を上方から覆って外部からウォーターカーテン形成部11を保護するとともに、煙突61内への雨水の侵入を防止している。この覆い部材51の裏面側は、煙突61の煙道64を上昇する煙が円滑に排煙口63から外部に放出されるよう、中央部を最も低くくした球面状のガイド板55が取付けられている。但し、前記覆い部材51、ガイド板55は必ずしも要するものではない。 前記水供給部21は、煙突61の下部に設置された送水ポンプ22と、煙突61に沿って立ち上げ配管され、ウォーターカーテン形成部11の管体12の端部に連通する送水管23とで構成され、送水ポンプ22によって汲み上げられた水Wは、送水管23を通流し、ウォーターカーテン形成部11の管体12内に送り込まれるようになっている。 排水部31は、煙突61の排煙口63の下方に流下したウォーターカーテンCの水Wを受ける有底筒体からなる回収槽32と、煙突61に沿って垂下された排水管35とで構成されており、回収槽32内の水Wは底面に設けられた排水口33から排水管35を通流して下方の浄水槽41に送り込まれるようになっている。回収槽32は少なくともウォーターカーテンCの水Wを受けるに足る開口面積を有し、底面の周縁には回収された水Wが側方に溢れ出ない高さの周壁34が立設されている。 浄水槽41は、煙突61の下部に設置され、槽内が金網その他の網フィルター43を備えた仕切板42で区画されており、排水管35から排水されてきた水Wに凝集剤等が加えられるなどした後、排水中の煤塵が網フィルター43で分離除去されるようになっている。網フィルター43に付着した煤塵は定期的にブラシ等を使用して水洗することにより、簡単かつ安全に洗い落とされる。この網フィルター43は金網フィルター等変形しにくいものを使用できるため、ほとんど交換する必要はない。 浄水槽41で煤塵が除去された浄水は、戻り管53を通流して水供給部21に送出され、再循環使用される。なお、浄水はそのまま外部に排出することもできる。 次に、上記のように構成された本実施形態の煤塵除去装置1による煤塵の除去について説明する。 送水ポンプ22により汲み上げられた水Wは送水管23を通流してウォーターカーテン形成部11の管体12内に送り込まれた後、管体12の多数の流出孔14から下方に放出される。これにより、円筒状に流下するウォーターカーテンCが形成され、煙突61の排煙口63全体が水膜で遮蔽される。一方、煙突61の煙道64内を上昇してきた煙は煙突61上部に到達した後、排煙口63から外部に放出される。このとき、煙はウォーターカーテンC内を通過するので、その間に煙中のすす等の煤塵はウォーターカーテンCの水Wに吸収、吸着され、或いは水Wで下方にはじき飛ばされるなどして、ウォーターカーテンCに捕捉される。これにより、煙は煤塵が分離除去されて大気に放出される。一方、ウォーターカーテンCに捕捉された煤塵は排水とともに排水管35を通流し、浄水槽41に流入して網フィルター43で捕捉される。浄水槽41で煤塵が除去された水Wは戻り管53を通り、再度循環使用される。 次に、前記煤塵除去装置1の作用を説明する。 煤塵除去装置1は、ウォーターカーテンCが流下する間に煙中のすす等の煤塵を捕捉し、煤塵が除去分離された煙のみが放出されるので、大気の汚染を抑制する。そして、特に、ウォーターカーテン形成部11は、環状に形成された管体12に多数の流出孔14が設けられただけの簡易な構成でかつ安価に形成され、煙中に含まれる煤塵を分離除去する。 また、排水中に分離除去された煤塵は、煙突61の下部に設置された浄水槽41内の網フィルター43に捕集され、ブラシ等による水洗により簡単に網フィルター43から除去され、処理される。 ところで、上記実施形態では、ウォーターカーテン形成部11は、環状に形成された管体12に多数の流出孔14を設けて形成されているが、本考案を実施する場合は、これに限られるものではなく、例えば、図3に示すように、水供給部21から供給された水Wを受ける有底筒体15の底面にスリット16を設けて形成することもできる。ここで、スリット16は、一定幅の開口で円環状に形成され、内径は煙突61の周壁62の外径より大きく形成されている。この場合、有底筒体15の上部開口15aから水Wが供給されると、その水Wは有底筒体15の底面の円環状のスリット16から垂直下方に流下する。そして、スリット16から流出した水Wは煙突61の外側をその周壁62に沿って円筒状の状態で流下し、水膜であるウォーターカーテンCを形成する。なお、スリット16の幅は、少ない水量で煙中の煤塵を効率よく除去できるウォーターカーテンCを形成できる大きさに設定するのが望ましい。 また、ウォーターカーテン形成部11は、図4に示すように、水供給部21から供給された水Wを収容する有底筒体17を備え、その上部の開口縁部18から水Wが開口の周方向の全体に至って均等に溢出するように形成したものとすることもできる。この場合、上部から供給される水Wの脈流を防ぐため、有底筒体17の内部に底面から一定距離離間した状態で円筒状の仕切壁19を設け、上部開口から供給された水Wは一旦、仕切壁19の下部空間19aを通過した後、有底筒体17の開口縁部18から外側に溢出するものとするのが望ましい。 なお、上記各実施形態のウォーターカーテンCは、一重の円筒状に流下するものを示しているが、二重円筒状に流下するものとしてもよい。 また、図1及び図2に示した管体12に設けた流出孔14は、円形の貫通孔で形成されているが、長孔形状等の貫通孔で形成してもよい。 更に、上記実施形態の送水ポンプ22は、煙突61の煙道64内を煙が上昇するのを感知したときのみ稼働するようにすることも可能である。 そして、上記実施形態の煤塵除去装置1は、工場の煙突61に適用しているが、これに限られるものではなく、焼却炉の排気ダクト等に設置することもできる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本考案の実施形態の煙筒の煤塵除去装置を示す一部破断正面図である。 【図2】図1のA−A切断線による断面図である。 【図3】本考案の別のウォーターカーテン形成部を示す斜視図である。 【図4】本考案の更に別のウォーターカーテン形成部を示す断面図である。 【符号の説明】 1 煤塵除去装置 11 ウォーターカーテン形成部 12 管体 14 流出孔 15、17 有底筒体 16 スリット 18 開口縁部 21 水供給部 31 排水部 41 浄水槽 51 覆い部材 53 戻り管 61 煙突 62 周壁 63 排煙口 C ウォーターカーテン W 水 |
||
【図1】 |
||
【図2】 |
||
【図3】 |
||
【図4】 |
||
ページtop へ |