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【発明の名称】基礎用アンカーボルトの保持具 【特許権者】 【識別番号】591142149 【氏名又は名称】松沢 庄次 【住所又は居所】長野県上田市大字五加710−13 【代理人】 【弁理士】 【識別番号】100089266 【氏名又は名称】大島 陽一 【発明者】 【氏名】松沢 庄次 【住所又は居所】長野県上田市大字五加710−13 【特許請求の範囲】 【請求項1】 水平鉄筋に隣接して配置され、ねじ孔を有する基板の左右から当該水平鉄筋に嵌合する一対の鉄筋保持片を垂直に突出形成すると共に、垂直に配置されるアンカーボルトに嵌合する一対のアンカー保持片を前記基板の上下から水平に突出形成し、前記ねじ孔に押しねじを螺合させることにより、交差状に配置した前記水平鉄筋と前記アンカーボルトとのどちらか一方を当該押しねじで押圧し、且つ前記水平鉄筋と前記アンカーボルトとのどちらか他方を前記一対の鉄筋保持片または前記一対のアンカー保持片に圧接させたことを特徴とするアンカーボルトの保持具。 【請求項2】 前記一対の鉄筋保持片または前記一対のアンカー保持片に前記基板に向けて開くV字状の嵌合溝をそれぞれ形成し、前記水平鉄筋と前記アンカーボルトとのどちらか他方を当該嵌合溝の各2点に圧接させたことを特徴とする、請求項1に記載したアンカーボルトの保持具。 【請求項3】 前記鉄筋保持片を、上下に平行配置された複数の水平鉄筋を嵌合し得るように形成したことを特徴とする、請求項1又は2に記載したアンカーボルトの保持具。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 本発明は、鉄筋コンクリート(RC)造の基礎中に下端側を埋設すると共に、上端側に建物の柱や土台或いは建物内に設置する大型機器類などを定着する基礎用アンカーボルトを、基礎中に配筋した鉄筋に対して所定位置に位置決めした状態で連結するための基礎用アンカーボルトの保持具に関し、布基礎やベタ基礎その他各種のRC造基礎工事に適用することができる。 【背景技術】 RC造基礎工事では、基礎となる鉄筋コンクリート中にアンカーボルトを埋設し、所望の水平位置と高さ位置で基礎コンクリート上に突出する態様で立設するようにしており、このアンカーボルトを自立させる一般的な方法として、埋設する鉄筋の水平部分(水平鉄筋又は横鉄筋という)にアンカーボルトを結束線で結わえる方法や、コンクリート打設後で固化する以前のコンクリート中にアンカーボルトを差し込む方法がある。 しかし、前者の結束線で結わえる方法の場合には、手間が掛かって作業能率が悪いこと、結束中に位置ずれを生ずる恐れがあって一旦結束した後には位置調整が困難であること、型枠を設置した後にはスペースの関係で結束作業が困難であって作業手順が拘束されること、作業者の習熟度などによって結束強度にバラツキを生じて品質が安定しないことなどの課題があった。 また、通称「田植え式」と呼ばれる後者のアンカーボルトを差し込む方法の場合には、季節やその他の条件によってコンクリートの性状がかわるので、差し込むタイミングを設定するのが困難であること、差し込んだ際に内部の鉄筋に当たって位置ズレを生ずる恐れがあること、特にスランプ(施工軟度)の大きいコンクリートでは、差し込んだ後に自重でアンカーボルトが傾く恐れがあることなどの課題があった。 これらの課題を解決するために、例えば特許文献1〜3などに開示されているように、基礎となる鉄筋コンクリート中に埋設する鉄筋の水平部分(水平鉄筋又は横鉄筋という)に連結する水平保持部と、アンカーボルトに連結する垂直保持部とを一体に形成した基礎用アンカーボルトの保持具に関する提案がなされている。 【特許文献1】 特開2002−294720号公報 【特許文献2】 特開2001−131990号公報 【特許文献3】 特開2001−107371号公報 特許文献1の保持具では、薄板を折り曲げ加工して一方に水平鉄筋把持部を他方にアンカーボルト挿通部を直交状態で形成すると共に、水平鉄筋把持部とアンカーボルト挿通部の間は薄板を細長にした連結部で連結しており、一端側が開口した略C字状の断面形状の水平鉄筋把持部とアンカーボルト挿通部に対し、開口を介して水平鉄筋とアンカーボルトが圧入されると、一旦撓み変形で拡径した薄板が弾性復元して把持する構造である。 特許文献2の保持具では、表面側を開口して側面形状を略U字状に形成した水平鉄筋を狭着する一方の止め金具部材と、同様の形状でアンカーボルトを狭着する他方の止め金具部材を備え、各止め金具部材は弾性作用を有し且つ直交状態に配置して筒状部の裏面部を相互に接合すると共に、筒状部の開口する表面側に一対の板状をした取付け片部を設け、取付け片部を介して筒状部に水平鉄筋とアンカーボルトを圧入した後に、取付け片部をねじ固着して狭着する構造である。 特許文献3の保持具では、剛性と弾性を有する合成樹脂材によって、アンカーボルトを垂直状に抱持するボルト抱時部と、鉄筋を水平状に抱持する鉄筋抱持部を直交状態で形成すると共に、ボルト抱時部には横向きに開口する割込み口を、鉄筋抱持部には下向きに開口する割込み口を設け、各割込み口を介してボルト抱時部と鉄筋抱持部にアンカーボルトと鉄筋を圧入する構造である。 また、基礎コンクリート中に配筋して埋設される鉄筋類は、施工能率の向上や施工品質の安定化などを図るために、水平鉄筋や垂直鉄筋或いはトラス筋などを予め配筋して溶接などによって連結した鉄筋ユニットが使用されているが、これらの鉄筋ユニットは水平鉄筋が延在する長手方向が一定の長さに設定されていると共に、建物の角隅部にはコーナー用の鉄筋ユニットが設置されるので、水平鉄筋の端部間に継手鉄筋をオーバーラップさせた状態で重合させ、水平鉄筋と継手鉄筋を結束線などで結わえて各鉄筋ユニット間を一体に連結させていた。 しかし、結束線で結わえる方法の場合には、手間が掛かって作業能率が悪いこと、結束中に位置ずれを生ずる恐れがあって一旦結束した後には位置調整が困難であること、型枠を設置した後にはスペースの関係で結束作業が困難であって作業手順が拘束されること、作業者の習熟度などによって結束強度にバラツキを生じて品質が安定しないことなどの課題があり、これらの課題を解決するために特許文献4などに開示されているように、重合する鉄筋が密接嵌入する複数の円弧溝を並設した鉄筋連結具も提案されている。 【特許文献4】 特開2000−240219号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 特許文献1〜3などの保持具では、水平鉄筋又はアンカーボルトを圧入によって装着する際に、水平鉄筋に対して押圧力が作用して水平鉄筋又は水平鉄筋を介して垂直鉄筋を変形させる恐れがあること、圧着による連結であって軸方向へ位置決め調整が可能な連結状態であると共に、アンカーボルトを水平鉄筋と直交させる方向へ容易に傾斜できる構造であるから、連結強度が弱くて装着後にアンカーボルトや保持具に対して外力が加わった場合に位置ズレを生ずる恐れがあり、事前に位置ズレに気づいた場合には再調整をすれば良いが、気づかずコンクリート打設が行われた場合には被害が甚大である。 特に外周を圧着把持する連結構造であるから、アンカーボルトや水平鉄筋に外径寸法の誤差(バラツキ)があったり、油の付着や腐食などがある場合には、上記した現象が顕著に表れることになるので、作業能率や施工品質を損なう要因となる恐れがあると共に、使用するアンカーボルトや水平鉄筋の外径寸法が1ランク異なる場合には共用化ができないので、保持具のコスト低減を図ったり在庫管理を容易にする上でも望ましくなかった。 また、隣接する水平鉄筋の端部を連結する継手部分に特許文献4などの鉄筋連結具を使用した場合にも、圧着による連結のために特許文献1〜3などのアンカーボルトの保持具の場合と同様の課題があると共に、この継手部分にもアンカーボルトを装着する場合もあるが、その際に特許文献1〜3などのアンカーボルトの保持具や特許文献4などの鉄筋連結具は使用することができない。 そこで本発明では、これら従来技術の課題を解決し得るアンカーボルトの保持具を提供するものであって、特に水平鉄筋に対して押圧力が作用しない状態でアンカーボルトや水平鉄筋を嵌合させ、位置決め調整後には強固に連結保持することができると共に、アンカーボルトや水平鉄筋の外形寸法に誤差があったり1ランク異なる場合では使用することが可能であり、また継手部分に対して鉄筋連結具として使用したり、継手部分に対するアンカーボルトの保持具として使用も可能にすることなどを主たる目的とする。 【課題を解決するための手段】 本発明によるアンカーボルトの保持具は、水平鉄筋に隣接して配置され、ねじ孔を有する基板の左右から当該水平鉄筋に嵌合する一対の鉄筋保持片を垂直に突出形成すると共に、垂直に配置されるアンカーボルトに嵌合する一対のアンカー保持片を前記基板の上下から水平に突出形成し、前記ねじ孔に押しねじを螺合させることにより、交差状に配置した前記水平鉄筋と前記アンカーボルトとのどちらか一方を当該押しねじで押圧し、且つ前記水平鉄筋と前記アンカーボルトとのどちらか他方を前記一対の鉄筋保持片または前記一対のアンカー保持片に圧接させたことを特徴とする。 このアンカーボルトの保持具では、前記一対の鉄筋保持片または前記一対のアンカー保持片に前記基板に向けて開くV字状の嵌合溝をそれぞれ形成し、前記水平鉄筋と前記アンカーボルトとのどちらか他方を当該嵌合溝の各2点に圧接させた形態を採ることができると共に、前記鉄筋保持片を、上下に平行配置された複数の水平鉄筋を嵌合し得るように形成する形態を採ることができる。 【発明の効果】 本発明によるアンカーボルトの保持具では、水平鉄筋やアンカーボルトに装着する際に、鉄筋ユニットに過大な押圧力を加えることなく嵌合状態で容易に装着することができると共に、アンカーボルトの水平位置及び垂直(高さ)位置の位置決め調整を容易且つ精度良く行うことができ、装着後にはアンカーボルトを水平鉄筋又は継手鉄筋に圧接した状態で、外力が加わっても位置ずれを生じない強固な連結保持が可能である。 また、従来技術の外周を圧着把持する連結構造と違って、嵌合させた後に押しねじの締め付けによって、嵌合溝内のアンカーボルトと水平鉄筋を交差状態で圧接する連結構造であるから、アンカーボルトや水平鉄筋に外径寸法の誤差(バラツキ)があったり、油の付着や腐食などがある場合でも、所期の性能を確保することができると共に、外径寸法が1ランク異なる場合でも適合することが可能であり、共用化によって保持具のコスト低減を図ったり在庫管理を容易にすることができる。 また、同様の構成によって形成した複線用の保持具を用いると、隣接する水平鉄筋の端部を連結する継手部分を容易且つ確実に連結することができると共に、継手部分にもアンカーボルトを連結保持することが可能であり、この複線用の保持具は継手部分以外の個所に単線用の保持具と同様に使用することが可能であるから、共用化して使用することによって、保持具のコスト低減を図ったり在庫管理を容易にすることができる。 【実施例】 本発明のアンカーボルトの保持具について、本発明を適用した好適な実施形態を示す添付図面に基づいて詳細に説明すると、図1は本発明の保持具を実施対象の一つである布基礎に適用した実施形態を示すものであり、基礎地盤上に設けたフーチング部1Aと、フーチング部1A上に連設した立ち上がり部1Bによって布基礎1が構成され、布基礎1のフーチング部1A内には水平鉄筋枠で形成したフーチング用鉄筋枠2Aと、垂直鉄筋枠で形成した立ち上がり用鉄筋枠2Bを一体にした鉄筋ユニット2が埋設されている。 布基礎1の施工は、捨てコンを打設した基礎地盤上にスペーサ(図示せず)を介して鉄筋ユニット2を設置し、鉄筋ユニット2の両側(一方は省略)に控え部材(図示せず)で支持された型枠3を配設すると共に、型枠3間に上端に幅止め板4を架設して幅止めを行った後に、型枠3内にコンクリートを打設するが、コンクリートを打設する方法にはフーチング部1Aと立ち上がり部1Bを個別に打設する場合と、フーチング部1Aと立ち上がり部1Bを同時に打設する場合とがある。 また、コンクリートを打設する前に立ち上がり用鉄筋枠2Bの上端側にある水平鉄筋5に対し、保持具6を用いてアンカーボルト7を垂直状態に連結して立設させると共に、水平鉄筋5に沿ったアンカーボルト7の水平位置と、コンクリートを打設する立ち上がり部1Bの上端から突出するアンカーボルト7の垂直(高さ)位置を調整するが、隣接する各鉄筋ユニット2の継ぎ目には、各水平鉄筋5A,5Bの端部間に継手鉄筋8をオーバーラップさせた状態で重合させ、水平鉄筋5A,5Bと継手鉄筋8を保持具9を用いて一体に連結させることができる。 保持具には、詳細を後述するように鉄筋1本に適合する単線用保持具と鉄筋2本以上に適合する複線用保持具とがあり、図1の実施形態では保持具6に単線用保持具を用いると共に、継ぎ手部分の保持具9には複線用保持具を用い、継ぎ手部分でアンカーボルト7が必要な個所にはアンカーボルト7を連結し、アンカーボルト7が不要な個所にはアンカーボルト7の代わりにダミー鉄筋10を連結しているが、複線用保持具の鉄筋1本分を空けた状態で保持具9を保持具6の代わりに用い、共用化する形態を採ることもできる。 図2及び図3は、第1の実施形態による単線用の保持具6Aを示すものであって、基板11の左右の両側から鉄筋保持片12(12A,12B)を対向状態で折り曲げ加工し、基板11の上方からは上部側のアンカー保持片13(13A,13B)を平行状態で水平に突出形成すると共に、基板11の下方からは下部側のアンカー保持片14を水平に突出形成している。 また、鉄筋保持片12(12A,12B)の先端側には、下向きに開口する切欠き状に形成して水平鉄筋5を嵌合する嵌合溝15を設け、アンカー保持片13(13A,13B)の間にはアンカーボルト7を嵌合する通口16を設けると共に、アンカー保持片14には、前向きに開口する切欠き状に形成してアンカーボルト7を嵌合する嵌合溝17を設け、基板11には押しねじ18を螺合するねじ孔19が穿設されている。 保持具6Aは、通口16と嵌合溝17にアンカーボルト7を嵌合した状態で、嵌合溝15に上方から水平鉄筋5を嵌合させ、ねじ孔19に螺合させた押しねじ18を締め付けると、押しねじ18の先端がアンカーボルト7を水平鉄筋5側に押圧するので、水平鉄筋5は前面側が嵌合溝15の前方側に圧接すると共に、後面側はンカーボルト7の前方側に圧接する態様で挟持される。 従って、ねじ孔19に対する押しねじ18の螺合を緩めた状態で、水平鉄筋5に沿ったアンカーボルト7の水平位置とアンカーボルト7の垂直(高さ)位置を調整した後に、押しねじ18を締め付けることによって、図4で示すように保持具6Aを介して水平鉄筋5にアンカーボルト7を連結保持させることができる。 特に、水平鉄筋5が圧接する嵌合溝15の前方側と、アンカーボルト7が圧接する嵌合溝17の後方側を、V溝状に形成しておくことによって、3点支持状態で強固な連結保持が得られると共に、外形寸法の大小に対しても容易に適合することがができ、また保持具6Aは上方から容易に装着できるので、両側の型枠3を配設した状態での作業が可能であり、職種の異なる作業を区切り良く能率的に施工することができる。 次に、図5は第1の実施形態による複線用の保持具9Aを示すものであって、基本的な形態は単線用の保持具6Aと同様であるが、継ぎ手部分における複数本の鉄筋を挟持できるようにした点で相違し、図示の実施形態ではオーバーラップさせた状態で重合させた水平鉄筋5と継手鉄筋8を挟持すると共に、各鉄筋5,8に対してアンカーボルト7を連結保持できるようにしている。 保持具9Aは、基板11の左右から水平鉄筋5と継手鉄筋8に対する嵌合溝15を形成した鉄筋保持片12(12A,12B)を突設し、基板11の上方からはアンカーボルト7に対する通口16を形成するアンカー保持片13(13A,13B)を突設すると共に、基板11の下方からはアンカーボルト7に対する嵌合溝17を形成したアンカー保持片14を突設している。 また、水平鉄筋5と継手鉄筋8が圧接される嵌合溝15の前方側には、V溝を上下に連設してW溝状に形成した鉄筋圧接面を設けると共に、アンカーボルト7が圧接される嵌合溝17の後方側には、V溝状に形成したアンカーボルト圧接面を設け、基板11には押しねじ18を螺合してアンカーボルト7を上下2個所で押圧するねじ孔19,19を設けている。 保持具9Aは、保持具6Aの場合と同様に通口16と嵌合溝17にアンカーボルト7を嵌合した状態で、嵌合溝15に上方から水平鉄筋5と継手鉄筋8を嵌合させ、ねじ孔19に螺合させた押しねじ18を緩めた状態で、アンカーボルト7の水平及び垂直の位置決め調整を行った後に、押しねじ18を締め付けて各鉄筋5,8に対してアンカーボルト7を連結保持させることができる。 また、保持具9Aはアンカーボルト7を必要としない継ぎ手部分に対して、単に鉄筋連結具として使用する場合には、アンカーボルト7の代わりに短尺のダミー鉄筋10を用いて隣接する鉄筋ユニット2,2の間を連結することができると共に、継ぎ手部分以外の個所で保持具6Aの代わりに使用する場合には、嵌合溝15に形成したW溝の一方のV溝部分を空けた状態で用いることができる。 次に、図6及び図7は第2の実施形態による単線用の保持具6Bを示すものであって、基板21の左右の一方側から第1の鉄筋保持片22(22A,22B)を上下に平行状態で水平に突出形成し、他方側から第2の鉄筋保持片23を水平に突出形成すると共に、基板21の上下からアンカー保持片24(24A,24B)を対向状態で水平に突出形成している。 また、第1の鉄筋保持片22(22A,22B)の間には水平鉄筋5を嵌合する通口25を設け、第2の鉄筋保持片23には、前向きに開口する切欠き状に形成して水平鉄筋5を嵌合する嵌合溝26を設け、アンカー保持片24(24A,24B)は、先端部を第1の鉄筋保持片22側へL字状に突出形成すると共に、先端部の内側にアンカーボルト7を嵌合する嵌合溝27を設け、基板21には押しねじ28を螺合するねじ孔29が穿設されている。 保持具6Bは、通口25と嵌合溝26に水平鉄筋5を嵌合した状態で、嵌合溝27,27にアンカーボルト7を嵌合させ、ねじ孔29に螺合させた押しねじ28を締め付けると、押しねじ28の先端が水平鉄筋5を押圧すると共に、水平鉄筋5に押圧されたアンカーボルト7がアンカー保持片24の折り曲げ部分に圧接した態様で挟持される。 従って、ねじ孔29に対する押しねじ28の螺合を緩めた状態で、水平鉄筋5に沿ったアンカーボルト7の水平位置とアンカーボルト7の垂直(高さ)位置を調整した後に、押しねじ28を締め付けることによって、保持具6Bを介して水平鉄筋5にアンカーボルト7を連結保持させることができる。 次に、図8は第2の実施形態による複線用の保持具9Bを示すものであって、基本的な形態は単線用の保持具6Bと同様であるが、継ぎ手部分における複数本の鉄筋を挟持できるようにした点で相違し、図示の実施形態ではオーバーラップさせた状態で重合させた水平鉄筋5と継手鉄筋8を挟持すると共に、各鉄筋5,8に対してアンカーボルト7を連結保持できるようにしている。 すなわち、保持具9Bは水平鉄筋5と継手鉄筋8が圧接される嵌合溝26の前方側に対し、V溝を上下に連設してW溝状に形成した鉄筋圧接面を設けると共に、アンカーボルト7が嵌合される嵌合溝27にはV溝状に形成したアンカーボルト圧接面を設け、基板21には押しねじ28を螺合してアンカーボルト7を上下2個所で押圧するねじ孔29,29を設けている。 保持具9Bは、保持具6Bの場合と同様に通口25と嵌合溝26に水平鉄筋5を嵌合した状態で、嵌合溝27,27にアンカーボルト7を嵌合させ、ねじ孔29に螺合させた押しねじ28を緩めた状態で、アンカーボルト7の水平及び垂直の位置決め調整を行った後に、押しねじ28を締め付けて各鉄筋5,8に対してアンカーボルト7を連結保持させることができる。 次に、図9及び図10は第3の実施形態による単線用の保持具6Cを示すものであって、基板31の左右の両側から鉄筋保持片32(32A,32B)を対向状態で水平に突出形成すると共に、基板31の上下からアンカー保持片33(33A,33B)を対向状態で水平に突出形成し、鉄筋保持片32(32A,32B)には、前向きに開口する切欠き状に形成して水平鉄筋5を嵌合する嵌合溝34を設けると共に、アンカー保持片33(33A,33B)には、アンカーボルト7を嵌合する嵌合孔35を設け、基板31には押しねじ36を螺合するねじ孔37が穿設されている。 保持具6Cは、嵌合溝34,34に水平鉄筋5を嵌合した状態で、嵌合孔35,35にアンカーボルト7を挿通状態で嵌合させ、ねじ孔37に螺合させた押しねじ36を緩めた状態で、アンカーボルト7の水平及び垂直の位置決め調整を行った後に、押しねじ36を締め付けて水平鉄筋5を押圧するとアンカーボルト7に圧接すると共に、アンカーボルト7が嵌合孔35の前方側に形成したV溝状の圧接面に圧接し、アンカーボルト7を連結保持させることができる。 次に、図11は第3の実施形態による複線用の保持具9Cを示すものであって、基本的な形態は単線用の保持具6Cと同様であるが、継ぎ手部分における複数本の鉄筋を挟持できるようにした点で相違し、図示の実施形態ではオーバーラップさせた状態で重合させた水平鉄筋5と継手鉄筋8を挟持すると共に、各鉄筋5,8に対してアンカーボルト7を連結保持できるようにしている。 すなわち、保持具9Cは水平鉄筋5と継手鉄筋8が圧接される嵌合溝34の前方側に対し、V溝を上下に連設してW溝状に形成した鉄筋圧接面を設けると共に、アンカーボルト7が挿通される嵌合孔35にはV溝状に形成したアンカーボルト圧接面を設け、基板31には押しねじ36を螺合してアンカーボルト7を上下2個所で押圧するねじ孔37,37を設けている。 保持具9Cは、保持具6Cの場合と同様に嵌合溝34,34に水平鉄筋5を嵌合した状態で、嵌合孔35,35にアンカーボルト7を挿通状態で嵌合させ、ねじ孔37に螺合させた押しねじ36を緩めた状態で、アンカーボルト7の水平及び垂直の位置決め調整を行った後に、押しねじ36を締め付けて水平鉄筋5を押圧するとアンカーボルト7に圧接すると共に、アンカーボルト7が嵌合孔35の前方側に形成したV溝状の圧接面に圧接し、アンカーボルト7を連結保持させることができる。 なお、保持具9B又は保持具9Cは、保持具9Aの場合と同様に、アンカーボルト7を必要としない継ぎ手部分に対して、単に鉄筋連結具として使用する場合には、アンカーボルト7の代わりに短尺のダミー鉄筋10を用いて隣接する鉄筋ユニット2,2の間を連結することができると共に、継ぎ手部分以外の個所で保持具6B又は保持具9Cの代わりに使用する場合には、嵌合溝26又は嵌合溝34に形成したW溝の一方のV溝部分を空けた状態で用いることができる。 以上の実施形態による各保持具は、いずれも展開すると平板状になるので、例えば金属板を所定の形状に打ち抜き加工した後に、折り曲げ加工することで容易に製造することができると共に、構造も簡単で溶接などの作業も必要がないことから、量産によって安価に提供することが可能である。 【産業上の利用可能性】 図示の実施形態では布基礎を実施対象として説明したが、布基礎以外の例えばべた基礎や大型機器類などを建物内に設置する際の基礎など、鉄筋コンクリート(RC)造の基礎中に埋設する水平鉄筋に対して、アンカーボルトを連結保持する各種のRC造基礎工事に適用し、同様の効果を発揮することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の保持具を実施対象の一つである布基礎に適用した実施形態の要部斜視図を示す。 【図2】第1の実施形態による単線用の保持具6Aであって、正面側から見た斜視図を示す。 【図3】第1の実施形態による単線用の保持具6Aであって、背面側から見た斜視図を示す。 【図4】単線用の保持具6Aを用いたアンカーボルトの保持構造であって、(a)は側面図を示し、(b)は底面図を示す。 【図5】第1の実施形態による複線用の保持具9Aであって、正面側から見た斜視図を示す。 【図6】第2の実施形態による単線用の保持具6Bであって、正面側から見た斜視図を示す。 【図7】第2の実施形態による単線用の保持具6Bであって、背面側から見た斜視図を示す。 【図8】第2の実施形態による複線用の保持具9Bであって、正面側から見た斜視図を示す。 【図9】第3の実施形態による単線用の保持具6Cであって、正面側から見た斜視図を示す。 【図10】第3の実施形態による単線用の保持具6Cであって、裏面側から見た斜視図を示す。 【図11】第3の実施形態による複線用の保持具9Cであって、正面側から見た斜視図を示す。 【符号の説明】 1 布基礎 1A フーチング部 1B 立ち上がり部 2 鉄筋ユニット 2A フーチング用鉄筋枠 2B 立ち上がり用鉄筋枠 3 型枠 4 幅止め板 5,5A,5B 水平鉄筋 6,6A,6B,6C (単線用)保持具 7 アンカーボルト 8 継手鉄筋 9,9A,9B,9C (複線用)保持具 10 ダミー鉄筋 11,21,31 基板 12,12A,12B,22,22A,22B,23,32,32A,32B 鉄筋保持片 13,13A,13B,14,24,24A,24B,33,33A,33B アンカー保持片 15,17,26,27,34 嵌合溝 16,25 通口 18,28,36 押しねじ 19,29,37 ねじ孔 35 嵌合孔 |
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【図1】 |
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【図2】 |
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【図3】 |
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【図4】 |
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【図5】 |
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【図6】 |
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【図7】 |
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【図8】 |
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【図9】 |
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【図10】 |
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【図11】 |
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