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【考案の名称】地震感知具付ブレーカ
【実用新案権者】
【識別番号】500300455
【氏名又は名称】浅野 具行
【住所又は居所】京都府福知山市字前田1878番地の114
【代理人】
【識別番号】100088948
【弁理士】
【氏名又は名称】間宮 武雄
【考案者】
【氏名】浅野 具行
【住所又は居所】京都府福知山市字前田秋津ヶ丘1878−114 204号
【要約】
【課題】既存のブレーカの大きさや構造を改変することなく、地震による揺れを感知して一次側からの電源供給を遮断する機能を付与することができるブレーカを提供する。
【解決手段】支持孔が形設された水平板部20を有し固定部に固着された固定支持板12と、水平板部上に配置された錘部28を有し固定支持板に揺動自在に支持された揺動体14と、揺動体の一部に一端部が連接し他端部が開閉機構のトリップ桿18に当接するように配置された伝達レバー16とから構成された地震感知具をブレーカ内部に具備する。地震による揺れによって揺動体14が揺動し、その動きが伝達レバー16を介してトリップ桿18に伝達され、トリップ桿を回動させて接点を開放させる。
【選択図】図2
選択図
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
二次側に過電流が流れたときに引外し機構が動作して、引外し機構により開閉機構のトリップ桿を回動させ、開閉機構により接点を開放させて一次側からの電源供給を遮断するブレーカであって、
支持孔が形設され、固定部に水平姿勢で固着された水平板と、
この水平板上に配置された錘部およびこの錘部の下部中心部に垂設され水平板の前記支持孔に遊嵌されて抜け止めされた棒状部を有し、水平板に揺動自在に支持された揺動体と、
この揺動体の一部に一端部が連接または当接し、他端部が前記開閉機構のトリップ桿に当接または近接するように配置された伝達レバーと、
からなり、地震による揺れによって前記揺動体が揺動し、その動きが前記伝達レバーを介して前記開閉機構のトリップ桿に伝達され、トリップ桿を回動させて接点を開放させる地震感知具を内部に具備したことを特徴とする地震感知具付ブレーカ。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この考案は、地震による揺れを感知して一次側からの電源供給を遮断する機能を備えた地震感知具付ブレーカに関する。
【背景技術】
【0002】
地震による揺れを感知してブレーカを動作させ、緊急的に二次側回路への電源供給を遮断することにより、地震に伴って起こる漏電による火災などを防止するための器具が種々提案されている。例えば、収容箱にマイクロスイッチを、その押しボタンが収容箱上面から上向きに突出するよう収容し、収容箱の上面にウエイトを、所定以上の地震力で転倒するようその重心位置を調整しマイクロスイッチの押しボタンを押し下げるように載置し、収容箱を配線用遮断器(ブレーカ)の近くに設置して、配線用遮断器とマイクロスイッチとを回路配線しておき、地震発生時の揺れによりウエイトが転倒すると、マイクロスイッチの押しボタンが収容箱の上面から上向きに突出してマイクロスイッチが閉状態となり、回路が閉じられて配線用遮断器の電磁引外し装置が通電により作動し、電磁引外し装置により配線用遮断器が作動して電源が遮断されるようにした電源遮断用地震検知器(例えば、特許文献1参照。)、分電盤のブレーカの上側に取り付けられる安全装置であって、装置本体内に、地震発生時に揺動する押圧体、この押圧体の揺動時に押圧されて揺動する掛止板、この掛止板に掛止しておいて掛止板の揺動時に外れて降下することにより分電盤のブレーカを押し下げて切るブレーカスイッチ、および、ブレーカスイッチの降下時に点灯する非常灯を設けた分電盤ブレーカ安全装置(例えば、特許文献2参照。)、ケース本体の上板上に錘を設け、その錘下部の連桿を、L形状とされた水平方向の掛止片と鉛直方向の支板とからなり揺動軸を支点として揺動する係止具の、コイルスプリングによって常に下方に引っ張られた掛止片に係合させ、掛止具の支板下端部の引掛体を、別のコイルスプリングによって常に下方に引っ張られた掛具の係止体上端部の係止部に離脱可能に係合させ、掛具の係止体が設けられた取付桿を、ブレーカを作動させるレバーと連結体を介して連結しておき、地震によって振動が生じると、錘が動き、その衝撃で係止体の係止部が支板の引掛体から外れ、コイルスプリングによって係止体が取付桿と共に下方へ引っ張られ、取付桿に連結されたレバーによってブレーカが作動させられて電流が遮断されるようにした耐震用ブレーカ作動装置(例えば、特許文献3参照。)などが考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−273537号公報(第2−3頁、図1、図3、図4)
【特許文献2】登録実用新案第3032795号公報(第5−6頁、図2−図5)
【特許文献3】登録実用新案第3019286号公報(第3−4頁、図1、図2)
【考案の概要】
【考案が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1−3に開示されているように従来提案されている器具はいずれも、ブレーカの近くに設置されて、ブレーカを電気的あるいは物理的に作動させることにより電源を遮断するものである。このため、ブレーカが設置された分電盤の近傍あるいは分電盤の内部に、器具を設置するためのスペースを必要とする。また、従来の器具は、それをブレーカの内部に収納しようとすると、既存のブレーカでは外形や寸法的に無理があるので、ブレーカ自体の大きさや構造を改変する必要がある。
【0005】
この考案は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、既存のブレーカの大きさや構造を改変することなく、地震による揺れを感知して一次側からの電源供給を遮断する機能を付与することができる地震感知具付ブレーカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この考案は、二次側に過電流が流れたときに引外し機構が動作して、引外し機構により開閉機構のトリップ桿を回動させ、開閉機構により接点を開放させて一次側からの電源供給を遮断するブレーカにおいて、引外し機構の動作とは無関係に開閉機構のトリップ桿を回動させる機構を設けることにより、上記目的を達成した。すなわち、この考案は、支持孔が形設されブレーカ内部の固定部に水平姿勢で固着された水平板と、この水平板上に配置された錘部およびこの錘部の下部中心部に垂設され水平板の前記支持孔に遊嵌されて抜け止めされた棒状部を有し水平板に揺動自在に支持された揺動体と、この揺動体の一部に一端部が連接または当接し他端部が前記開閉機構のトリップ桿に当接または近接するように配置された伝達レバーとからなり、地震による揺れによって前記揺動体が揺動し、その動きが前記伝達レバーを介して前記開閉機構のトリップ桿に伝達され、トリップ桿を回動させて接点を開放させる地震感知具を内部に具備して地震感知具付ブレーカを構成したことを特徴とする。
【考案の効果】
【0007】
この考案に係る地震感知具付ブレーカにおいては、地震が起きて家屋等と共にブレーカに揺れを生じたときに、ブレーカ固定部に固着された水平板に対して揺動体の錘が相対的に揺動し、その錘の動きが揺動体の一部から伝達レバーを介してブレーカ本体の開閉機構のトリップ桿に伝達される。これにより、引外し機構とは関係なくトリップ桿が回動させられて、開放機構の接点が開放され、ブレーカにおける一次側から二次側回路への電源供給が緊急的に遮断されることとなる。
したがって、この考案に係る地震感知具付ブレーカを使用すると、地震対策用の電源遮断器具をブレーカの周辺に設置しなくても、地震発生時にはブレーカ自体の内部において電源供給が自動的に遮断されるので、特別な器具を設置するためのスペースを必要としない。そして、このブレーカの地震感知具は簡易な構造であるので、ブレーカ自体の大きさや構造を改変しなくても、ブレーカ内部に地震感知具を取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この考案の実施形態の1例を示し、ブレーカの内部に取着される地震感知具の斜視図である。
【図2】図1に示した地震感知具を側面方向から見た縦断面図である。
【図3】図1に示した地震感知具を取り付けたブレーカ本体部をカバーと共に示す正面図である。
【図4】図1に示した地震感知具の動作を説明するための側面図である。
【図5】同じく地震感知具の動作を説明するための側面図である。
【図6】この考案の別の実施形態を示し、ブレーカの内部に取着される地震感知具の正面図である。
【図7】図6に示した地震感知具を左方向から見た側面図である。
【図8】図6に示した地震感知具の構成要素の1つである伝達レバーの部分拡大斜視図である。
【図9】図6および図7に示した地震感知具の動作を説明するための部分拡大側面図である。
【考案を実施するための形態】
【0009】
以下、この考案の最良の実施形態について図面を参照しながら説明する。
この考案に係る地震感知具付ブレーカにおいて、ブレーカ本来の構造は市販のブレーカと何ら変わらないので、それについての説明を省略する。
【0010】
従来のブレーカは、二次側に過電流が流れたときに引外し機構が動作し、引外し機構によって開閉機構のトリップ桿が回動させられ、トリップ桿の動作により開放機構が働いて接点が開放させられることにより、一次側からの電源供給が遮断されるような機構となっている。この考案に係るブレーカは、地震による揺れが生じたときに引外し機構の動作とは無関係に開閉機構のトリップ桿を回動させる地震感知具を付設して構成されている。地震感知具は、ブレーカ内部に納まる構造・大きさであり、カバーが装着された状態の外観は、従来のブレーカと何ら変わらない。
【0011】
ブレーカに取着される地震感知具の1例を図1および図2に示すが、この地震感知具10は、ブレーカ内部の固定部に固着される固定支持板12、地震発生時の揺れによって揺動する揺動体14、および、揺動体14の動きを開閉機構のトリップ桿18に伝達する伝達レバー16から構成されている。固定支持板12は、金属板をコの字形に折曲して水平板部20と左・右の鉛直板部22とを設けた形状であり、その後端部を上向きに折り曲げて左右一対のガイド板部24が形設されている。水平板部20の中央部には、円形状の支持孔26が形設されている。この固定支持板12は、水平板部20が水平姿勢で保持されるように、ブレーカ内部の固定部に左・右の鉛直板部22を接着等により固着して取り付けられる。
【0012】
揺動体14は、円柱状の錘部28、この錘部28の底面に対して垂直となるように錘部28の下部中心部に螺入されたねじ棒30、および、錘部28の下方側に互いに少し間隔を設けて上下に配置されねじ棒30にそれぞれ螺着されたナット32、34から構成されている。この揺動体14は、2つのナット32、34の間に固定支持板12の水平板部20が配置されるようにしてねじ棒30を水平板部20の支持孔26に挿通することにより、固定支持板12に保持されている。水平板部20に形成される支持孔26は、それにねじ棒30が遊嵌するようにねじ棒30の径より大きな径を有している。揺動体14の錘部28は、固定支持板12の水平板部20上に鉛直姿勢で載置され、錘部28を含めて揺動体14の全体が固定支持板12に対して揺動自在に支持されている。
【0013】
伝達レバー16は、細長い金属板を長手方向における2個所で順次折曲した二段鉤形状に形成されている。伝達レバー16には、その取付側水平部36に孔38が形成されており、その孔38にねじ棒30が挿通され、揺動体14の錘部28とナット32との間にワッシャ44を介して取付側水平部36が挟持され固着されることにより、揺動体14に伝達レバー16が一体的に連接されている。この伝達レバー16は、その取付側水平部36の後端部が固定支持板12の左右一対のガイド板部24、24間に配置され、自由側水平部40の先端部に形設された押上片部42が開閉機構の細棒状のトリップ桿18に下側から当接または近接するように配置される。
【0014】
この地震感知具10は、図3に示すようにブレーカの本体部46に取り付けられる。図中の符号48は、ON−OFFを切り替えるハンドルを示し、50はカバー、52は、ハンドル48の上下移動を許容する貫通孔を示す。
【0015】
次に、上記した構成の地震感知具10を具備したブレーカにおける動作について説明する。
平常時は、図4に示すように、ブレーカ固定部に固着された固定支持板12の水平板部20上に支持された揺動体14の錘部28は、鉛直姿勢で静止している。この場合において、揺動体14の重心は、固定支持板12の水平板部20よりかなり高い位置にあるので、揺れに対して不安定な状態にある。そして、地震が発生すると、家屋等と共にブレーカも全体的に揺れるが、錘部28が頭を振るように前後・左右に揺れ動いて、揺動体14は、固定支持板12に対して相対的に大きく揺動することとなる。図5の(a)は、揺れに伴って揺動体14の錘部28が後方へ傾いて、実線で示した直立位置から二点差線で示した位置に動いた状態を示している。一方、揺動体14が揺動して、図5の(b)に示すように、錘部28が前方に傾いた時は、揺動体14に一体的に連接された伝達レバー16は、その自由側水平部40が上向きに回動する。この動作により、伝達レバー14の自由側水平部40先端部の押上片部42が開閉機構のトリップ桿18を下側から押し上げ、引外し機構とは関係なくトリップ桿18が回動する。これにより、このトリップ桿18の回動動作に従って開閉機構の接点が開放され、ブレーカにおける一次側から二次側回路への電源供給が緊急的に遮断される。
【0016】
ブレーカにおける開閉機構には様々の形態のものがあるので、次に、上記したトリップ桿とは異なる構成のトリップ桿に対応した地震感知具について図6〜図9を参照しながら説明する。
図6に正面から見た図を、図7に左側面から見た図を示すトリップ桿54は、細長い薄板を特定形状に加工して作製されたものである。このトリップ桿54は、固定部に固着された支持ピン56に軸着され、鉛直面内において回動自在に支持されており、コイルばね58によって図7中の矢印Aで示す方向に常時付勢されている。そして、二次側に過電流が流れたときに引外し機構が動作し、引外し機構によって開閉機構のトリップ桿54が矢印Aとは反対方向へ回動させられ、このトリップ桿54の動作により開閉機構が働いて接点が開放させられ、一次側からの電源供給が遮断されるような機構となっている。このようなブレーカの機構自体は周知のものであるので、これ以上の詳しい説明を省略する。
【0017】
図6および図7に示した地震感知具60は、ブレーカ内部の固定部に固着される固定支持板62、地震発生時の揺れによって揺動する揺動体64、および、揺動体64の動きを開閉機構のトリップ桿54に伝達する伝達レバー66から構成されている。固定支持板62は、矩形状の水平板部68と三角形状のブラケット板部70、72とを有している。水平板部68の中央部には、円形状の支持孔(図示せず)が形設されている。この固定支持板62は、水平板部68が水平姿勢で保持されるように、ブレーカ内部の固定部にブラケット板部70、72を接着等により固着して取り付けられる。
【0018】
揺動体64は、上記した地震感知具10の揺動体14と同様の構成であり、円柱状の錘部74、この錘部74の底面に対して垂直となるように錘部74の下部中心部に螺入されたねじ棒76、および、錘部74の下方側に互いに少し間隔を設けて上下に配置されねじ棒76にそれぞれ螺着されたナット78、80から構成されている。そして、この揺動体74は、その錘部74が固定支持板62の水平板部68上に鉛直姿勢で載置され、錘部74を含めて揺動体74の全体が固定支持板62に対して揺動自在に支持されている。
【0019】
伝達レバー76は、細長い帯状金属板82からなり、その長手方向におけるほぼ中央部分に上下一対のブラケット部84、84が一体に形設されている。この伝達レバー76は、図8に示すように、固定支持板62の水平板部68に上端部が固着されて垂設された支持ピン86に上下一対のブラケット部84、84が軸着され、水平面内において回動自在に保持されている。そして、伝達レバー76は、その一端側が揺動体74の下側ナット80に当接または近接するように配置され、他端側がトリップ桿54に当接または近接するように配置される。
【0020】
上記した構成の地震感知具60は、以下のように動作する。
平常時は、図9の(a)に示すように、ブレーカ固定部に固着された固定支持板62の水平板部68上に支持された揺動体64の錘部74は、鉛直姿勢で静止している。地震が発生してブレーカが全体的に揺れると、錘部74が頭を振るように前後・左右に揺れ動き、揺動体64が固定支持板62に対して相対的に大きく揺動する。そして、図9の(b)に示すように、揺動体64の錘部74が前方へ傾いた時に、揺動体64の下側ナット80は、図9の(a)に示した位置より後方へ移動して、伝達レバー66の一端側を後方へ押圧する。伝達レバー66は、その一端側が後方へ押圧されることにより、固定支持板62の水平板部68に固着された支持ピン86を支点として水平面内で回動する。伝達レバー66が回動することにより、その他端側が前方へ押し出され、伝達レバー66の他端側がトリップ桿54に当接して、伝達レバー66の他端側によりトリップ桿54の上端部が前方へ押圧される。トリップ桿54は、その上端部が前方へ押圧されることにより、引外し機構とは関係なく開閉機構のトリップ桿54が支持ピン56を支点として鉛直面内で回動させられる。そして、トリップ桿54の回動動作に従って開閉機構の接点が開放され、ブレーカにおける一次側から二次側回路への電源供給が緊急的に遮断される。
【0021】
この考案の範囲は、上記した実施形態によって限定されない。すなわち、ブレーカ内部の固定部に固着される水平板、この水平板上に配置された錘を有し水平板に揺動自在に支持された揺動体、および、この揺動体の動きを開閉機構のトリップ桿に伝達する伝達レバーから構成された地震感知具をブレーカ内部に具備したものであれば、どのような形態・構造のブレーカであってもよく、この考案は広く各種ブレーカに適用し得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0022】
この考案は、ブレーカを製造するメーカだけでなく、電気事業者や電気工事業者などにも利用されるものである。
【符号の説明】
【0023】
10、60 地震感知具
12、62 固定支持板
14、64 揺動体
16、66 伝達レバー
18、54 トリップ桿
20、68 固定支持板の水平板部
26 水平板部の支持孔
28、74 揺動体の錘部
30、76 揺動体のねじ棒
32、34、78、80 揺動体のナット
36 伝達レバーの取付側水平部
40 伝達レバーの自由側水平部
42 伝達レバーの押上片部
46 ブレーカの本体部
50 ブレーカーのカバー
56、86 支持ピン 
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図5
【図5】
図5 
【図6】
図6 
【図7】
図7 
【図8】
図8 
【図9】
図9 
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