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【発明の名称】潮力発電装置
【出願人】
【識別番号】305025887
【氏名又は名称】須長 英男
【住所又は居所】栃木県足利市山川町58番地7
【発明者】
【氏名】須長 英男
【住所又は居所】栃木県足利市山川町58番地7
【要約】
【課題】
海中または海底近傍に生じる不規則な水流を発電に利用する。
【解決手段】
貫通穴を備えたプレート群と、当該プレート群の当該貫通穴を貫通し当該プレート群を2枚のフランジで挟む構造をした貫通棒と、当該プレート群の間に挟まった圧電素子と、当該圧電素子に接続され当該圧電素子の出力電流を整流する整流回路と、当該整流回路に接続され当該整流回路の出力電流を蓄電する蓄電器と、当該蓄電器に接続されたケーブルと、当該プレート群の上部に設置されたフィンと、当該貫通棒の当該プレート群が連結していない側の一端を固定する土台により発電装置を構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通穴を備えたプレート群と、当該プレート群の当該貫通穴を貫通し当該プレート群を2枚のフランジで挟む構造をした貫通棒と、当該プレート群の間に挟まった圧電素子と、当該圧電素子に接続され当該圧電素子の出力電流を整流する整流回路と、当該整流回路に接続され当該整流回路の出力電流を蓄電する蓄電器より構成された事を特徴とする発電装置。
【請求項2】
プレート群にフィンを取り付けた事を特徴とする請求項1の発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は潮力または波力を利用した発電技術に関し、特に圧電素子を利用した発電技術に関する。
【背景技術】
波力より電力を取り出す従来の技術としては、水底に固定若しくは繁留された第1の構造物と、波浪により搖動し前記第1の構造物と相対運動を行う第2の構造物との間に、緊張・弛緩により発電を行う圧電フィルムを張設し、第1の構造物と第2の構造物の相対運動を電力に変換するものがある。
【特許文献1】
特許第3377590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
背景技術の発明は、第2の構造物を海面に露出させ、当該構造物に加わる波力を電力に変換することを特徴としていた。
このため背景技術の発明の適用場所は、海面の構造物及び防波堤に限定された。
【課題を解決するための手段】
貫通穴を備えたプレート群と、当該プレート群の当該貫通穴を貫通し当該プレート群を2枚のフランジで挟む構造をした貫通棒と、当該プレート群の間に挟まった圧電素子と、当該圧電素子に接続され当該圧電素子の出力電流を整流する整流回路と、当該整流回路に接続され当該整流回路の出力電流を蓄電する蓄電器と、当該プレート群の上部に設置されたフィンと、当該貫通棒の当該プレート群が連結していない側の一端を固定する土台により発電装置を構成する。
【発明の効果】
本発明の作用を以下に説明する。
海中では、海面の波の振動や潮汐や海流や河川の流れ込みにより絶えず水圧の変動が発生し、これにより短周期の不規則な水流が生じるものと考えられる。
特に海底付近では、この不規則な水流は海底面に対し、ほぼ平行であると想像される。
本発明を海中に設置し、かつ本発明のフィンをプレート群の上方に鉛直に設置する事により、当該フィンは短周期の不規則な水流の妨げとなり、これにより当該フィンは不規則な水流より抵抗力を受ける。
本発明のフィンの受けた不規則な水流の抵抗力は、プレート群を介して貫通棒に伝えられる。
貫通棒は適当な弾性を備えており、かつ当該貫通棒の一端が土台に固定されているため、当該貫通棒は水平方向にしなりを生じる。
本発明のプレート群は、貫通棒と緩く結合しているため、当該プレート群の各プレートは、当該貫通棒のしなりの傾きに応じ水平に平行移動をするが、当該貫通棒のフランジ間の間隔は一定であるため、当該プレート群の各プレートの垂直方向の間隔は縮小する。
これにより本発明のプレート群の各プレート間に挟まっている圧電素子は垂直方向に圧縮され、これに伴い電力を生じる。
本発明の圧電素子の圧縮により生じた電力は、整流回路により直流に整流されて、蓄電器に蓄電される。
また本発明のフィンに加わる不規則な水流による抵抗力が弱まった場合、本発明の貫通棒及び圧電素子の弾性により貫通棒のしなりが復元し、プレート群の各プレート間の間隔は元の間隔に復元する。
圧電素子は元の厚さに復元する時に逆電圧の電力を生じるが、当該電力は本発明の整流回路により直流に整流されて、蓄電器に蓄電される。
このようにして本発明は、海中に生じる不規則な水流を効率良く電力に変換する。
このため本発明は、海面や防波堤に限定されることなく、海中や海底においても発電が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
図1に本発明の正面図を示す。
図2に本発明の右側面図を示す。
まず本発明は、コンクリート製の土台4に2つのフランジを持つチタン合金製の貫通棒3が複数本固定されている。
貫通棒3の2つのフランジの間には、アルミ合金製のプレート1a,1b,1cが挿入されており、更にプレート1aと1bの間には、発電モジュール5aが挿入されており、プレート1bと1cの間には、発電モジュール5bが挿入されている。
プレート1aの上面には、図1中の2aと2b及び図2中の2cと2dに示すアルミ合金製の4枚のフィン2がプレート1aの中心より放射状に垂直に設置されている。
フィン2a,2b,2c,2dには、アルミ合金製の扉6a,6b,6c,6dが取り付けられている。
土台4の上面には蓄電モジュール7が埋め込まれており、蓄電モジュール7と発電モジュール5bは同軸ケーブル8aによって接続されている。
更に蓄電モジュール7には同軸ケーブル8b及び8cが接続されている。
図3に本発明の正面図の左端の拡大図を示す。
図3中、10は貫通棒3のフランジであり、9a及び9bは貫通棒3に取り付けられたフランジ10と同じ働きをするチタン合金製の大型ナットであり、11aと11bと11cはチタン合金製の小型ボルトであり、12aと12bと12cはチタン合金製の小型ナットである。
図3に示す通り、大型ナット9a及び9bはプレート1aに密着して締め付けてあるが、12a,12b,12c等の小型ナット12はプレート1cに対し余裕を持って締め付けてある。
図4に発電モジュール5bの水平方向の断面図を示す。
図4中、13はポリエチレン製の発電モジュール外皮であり、14は強誘電体または誘電性エラストマを積層に成形したドーナツ型の圧電素子であり、15a及び15bは基板であり、16a及び16bはダイオードブリッジであり、17a及び17bはコンデンサであり、18aと18bと18cと18dと18eはペアケーブルである。
図4において圧電素子14の両電極と基盤15bは、ペアケーブル18bによって接続されている。
基盤15aと15bは、ペアケーブル18dによって接続されている。
図5に本発明を貫通棒3で水平に切断し、プレート1cを底から見た図を示す。
図5中、19aと19bと19cと19dはプレート1cに設けた切り欠きであり、20aと20bと20cはプレート1cに設けた土砂の排出口であり、これらはプレート1a,1b,1c間に土砂が堆積するのを防止する。
図6に本発明の作用を説明する。
図6中、21は海面の波の振動や潮汐や海流や河川の流れ込みの影響によって生じた短周期の不規則な水流の想像線であり、図6中を右から左に向かって流れるものとする。
水流21は本発明のフィン2cに当たり大きく蛇行する。
この時フィン2cは水流21より抵抗力を得る。
フィン2cが水流21より得た抵抗力は、プレート1aを介して貫通棒3に伝えられる。
貫通棒3は適当な弾性を備えたチタン合金製であり、かつ一端が土台に固定されているためフィン2cが水流21より得た抵抗力に応じてしなりを生じる。
このためプレート1a,1b,1cを貫通する貫通棒3は傾斜し、当該傾斜に応じプレート1a,1b,1cは水平に平行移動をする。
図7に、水流21より抵抗力を受けた場合の本発明の正面図の左端の拡大図を示す。
図7に示す通り、水流21からの抵抗力により本発明の貫通棒3は左に傾斜する。
しかしながら貫通棒3が複数本あるため、プレート1a及び1b及び1cは水平を維持する。
この時、フランジ10と大型ナット9bの間隔が一定であるため、プレート1aと1cの間の距離は、貫通棒3が垂直に立っている時より狭くなる。
プレート1aと1cの間の距離の短縮は、発電モジュール5a及び5bの厚みの圧縮によるものであり、当該厚みの圧縮により発電モジュール5a及び5bは発電を行なう。
本発明に加わる水流の抵抗力が減少した場合、貫通棒3及び発電モジュール5a及び5bの復元力により貫通棒3の傾斜は垂直に近くなり、その分プレート1aと1cの間の距離は拡大する。
プレート1aと1cの間の距離の拡大に伴い発電モジュール5a及び5bは厚みを復元し、当該厚みの復元により発電モジュール5a及び5bは発電を行なう。
また小型ボルト11a,11b,11c及び小型ナット12a,12b,12cは、発電モジュール5a及び5bを緩くプレート1a及び1b及び1cに固定するためのものであり、耐久性が確保できれば小型ボルト11a,11b,11c及び小型ナット12a,12b,12cの代わりに接着剤を用いて発電モジュール5a及び5bの片面を固定しても良い。
発電モジュール5a,5b,5c等各発電モジュール5は、十分な発電電圧を確保するために必要な数の圧電素子14を直列に接続して構成する。
発電モジュール5a,5b,5c等各発電モジュール5は、互いに並列に接続されて、同軸ケーブル8aに接続される。
同軸ケーブル8aは蓄電モジュール7に接続され、更に蓄電モジュール7内の大容量キャパシタに接続される。
大容量キャパシタは、蓄電モジュール7の筐体に設置された2つの同軸コネクタに並列に接続されている。
蓄電モジュール7の筐体に設置された2つの同軸コネクタに同軸ケーブル8b及び8cを接続し、同軸ケーブル8b及び8cを他の本発明に接続する事で、多数の本発明を並列に接続することが可能となる。
このようにして発電した電力は、例えば同軸ケーブル8cを介して陸上に設置したパワーコンディショナーに供給され、更に変電施設を介して商用電力系統に売電される。
フィン2a,2b,2c,2dに設置された扉6a,6b,6c,6dの上辺は、ばねを内蔵した回転軸によって固定されている。
このため本発明に加わる水流の抵抗力が小さい場合は、扉6a,6b,6c,6dは閉じているが、本発明に加わる水流の抵抗力が大きい場合は、扉6a,6b,6c,6dは開き、本発明に加わる水流の抵抗力を減少させ、水流の抵抗力による本発明の破壊を防止する。
【実施例1】
(1)貫通棒3の長さ:1.5m
(2)プレート1a,1b,1cの一辺の長さ:4m
【産業上の利用可能性】
本発明は、海中に生じる短周期の不規則な水流の働きにより、海中及び海底に設置して発電をすることが出来る。
また本発明の貫通棒を船舶の甲板に固定して本発明を船舶上に設置した場合、波力により本発明全体が動搖し、プレート群の慣性力で貫通棒がひずむため、船舶上においても発電が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の正面図である。
【図2】本発明の右側面図である。
【図3】本発明の正面図の左端の拡大図である。
【図4】発電モジュール5bの水平方向の断面図である。
【図5】本発明を貫通棒3で水平に切断し、プレート1cを底から見た図である。
【図6】本発明の作用を説明する図である。
【図7】本発明の作用を説明する本発明の正面図の左端の拡大図である。
【符号の説明】
1a,1b,1c プレート
2,2a,2b,2c,2d フィン
3 貫通棒
4 土台
5,5a,5b,5c 発電モジュール
6a,6b,6c,6d 扉
7 蓄電モジュール
8a,8b,8c 同軸ケーブル
9a,9b 大型ナット
10 フランジ
11a,11b,11c 小型ボルト
12,12a,12b,12c 小型ナット
13 発電モジュール外皮
14 圧電素子
15a,15b 基板
16a,16b ダイオードブリッジ
17a,17b コンデンサ
18a,18b,18c,18d,18e ペアケーブル
19a,19b,19c,19d 切り欠き
20a,20b,20c 排出口
21 水流の想像線
【図1】
潮力発電装置 図1
【図2】
潮力発電装置 図2
【図3】
潮力発電装置 図3
【図4】
潮力発電装置 図4
【図5】
潮力発電装置 図5
【図6】
潮力発電装置 図6
【図7】
潮力発電装置 図7
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