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【発明の名称】水素ガス発電
【出願人】
【識別番号】721004802
【氏名又は名称】高橋 廣存
【住所又は居所】千葉県匝瑳市八辺154番地
【発明者】
【氏名】高橋 廣存
【住所又は居所】千葉県匝瑳市八辺154番地
【要約】 (修正有)
【課題】石炭ガス化複合発電の熱効率を50パーセントより大幅に向上させ、石炭以外にもバイオマスを利用可能にする、水素ガス発電装置を提供する。
【解決手段】水素ガスでガスタービンを回転させた高温スチームを直接水素ガスの発生に利用すれば、熱効率が一層向上する。その上、煤などの炭素微粒子の発生が防げる。水素ガス発生装置としては、コークス炉のように加熱炉と石炭やバイオマスなどの固体可燃物を乾留してからスチームで水性ガス化させる炉がサンドイッチ型になっている装置がバイオマス利用に最適と思われる。バイオマス利用なら二酸化炭素の排出はゼロと見なされるので、これからの最良の装置になる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素発生装置から得られた水素とスチームだけのガスに、空気を深冷分離した酸素を供給してガスタービンを回転させ、発電機を回して発電する。発生した1000℃以上の高温スチームを直接水性ガス化反応も行うガス化炉に供給する装置。
【請求項2】
(請求項1)の水素発生装置としての装置 コークス炉のように加熱炉と石炭やバイオマスなどの固体可燃物を乾留してからスチームで水性ガス化させる炉がサンドイッチ型になっている装置。炭化・水性ガス化炉に石炭やバイオマスなどの固体可燃物を充填し、両側の加熱炉で加熱して乾留する。発生させた乾留ガスは加熱炉に送り、熱源とする。乾留が終わったらガスタービンの排ガスすなわち1000℃以上の高温スチームを吹込み、水性ガスを発生させる。燃焼ガスや水性ガスは熱交換器を利用して熱を回収し、蒸気タービン発電用スチームを発生させる。燃焼ガスはガス精製工程で有害物質を除去してから大気中に放出する。
【請求項3】
(請求項1)の水素発生装置としての装置 セメントなど製造するロータリーキルンと縦型コークス炉の組み合わせた装置で、炭化した固体可燃物の入った縦型コークス炉に高温スチームを供給して水性ガス化させる装置
【請求項4】
(請求項1)の水素発生装置としての装置 酸素吹きの石炭ガス化複合発電で、ガスタービンからでた高温スチームを石炭ガス化炉に供給し、発生させたガスを精製・二酸化炭素除去の水素ガスをガスタービンに供給して発電する。
【請求項5】
(請求項1)の水素発生装置としての装置 ガスタービンから出てきた1000℃以上の高温スチームでバイオマスなどを分解して還元性ガスを製造し、余熱も利用、電気分解用のスチームも供給する水素ガス発生装置 還元性ガスを陽極に流し、陰極に高温スチームを流し、700から800℃の高温電気分解により、通常の電気分解よりはるかに少ない電気量で水素を発生させることができる装置。
【請求項6】
(請求項1)の水素発生装置としての装置 流動床式コークス炉を利用した水素を製造する方式。その他、高温スチームを利用して水素ガスを発生させる装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス化複合発電に関するものである。
【背景技術】
【0002】
効率の良い発電方法の一つとして石炭ガス化複合発電がある(特許文献1)(特許文献2)参照。ただ、効率50パーセントほどでも、近年の二酸化炭素の排出規制で厳しい状況である。
【0003】
そこで、石炭とバイオマスを混合してガス化複合発電する装置も開発されている(特許文献3)参照。
【0004】
熱効率良く水素発生させるために、火力発電所に併設してコークスから水素を製造するシステムも開発されている(特許文献4)。
【0005】
石炭ガス化複合発電の効率50パーセント以上にするためにガスタービン発電ではなく、燃料電池にすればもっと効率を上げられるようだが、発電用の燃料電池は実用化できていない。燃料電池は水素濃度がほぼ100パーセントでないと発電が難しいようなので、空
気吹きの石炭ガス化複合発電方式では窒素の除去が難しいので、困難と予想される。酸素吹きの石炭ガス化複合発電方式が好ましいようである。
【0006】
バイオマスの熱分解ガスである水素と一酸化炭素を主成分とする還元性ガスを発生させ高温のまま陽極に流し、陰極に高温スチームを流すことにより、個体酸化物電解質隔壁を用い、低電圧でスチームが電気分解できる。そこで、その方法によって水素を製造する。(特許文献6)その性能改善特許(特許文献7)
【0007】
石炭やバイオマス、食品廃棄 物などの有機系資源を炭素源としこれと水から水性ガス化反応により水素を製造する方法において、高純度、高効率で水素を製造する方法ならびに装置。水素分離膜および/又は水素吸蔵合金によって、発生する 水素ガスを選択的に分離して反応系の水素分圧を下げながら反応を進行させることにより前記目的が効果的に達成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】 特許第2870929号
【特許文献2】 特許第3149561号
【特許文献3】 特開2017-133749
【特許文献4】 特開2017-48087
【特許文献5】 特開2020-196663
【特許文献6】 特開2005-232524
【特許文献7】 特開2017-33816
【特許文献8】 特開2018-177955
【特許文献9】特開2008 247638
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】https://www.ikeda-kogyo.co.jp/business/rotary_kiln/ ロータリーキルン
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする問題点は、二酸化炭素の排出を大幅に減少させる発電装置は開発されていないことである。特に、効率が良いバイオマス発電は開発されていない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、水素発生装置から得られた水素とスチームだけのガスに、空気を深冷分離した酸素を供給してガスタービンを回転させ、発電機を回して発電する。発生した1000℃以上の高温スチームを直接ガス化炉に供給し、熱の損失を少なく、水性ガス化反応を速くする。その上、未反応炭素粒子すなわちチャーの発生する方式の水素ガス発生装置でもチャーの発生を押さえ、一酸化炭素化の二酸化炭素化も促進される。酸素吹きの石炭ガス化複合発電でもガスタービンに送られるガスはスチームを除くとほぼすべて水素である。そのガスタービン発電の技術が応用できる。
【発明の効果】
【0012】
よって、効率60〜70パーセントに向上する可能性がある。
【0013】
水素発生装置は多種類ある。その一つは、コークス炉のように加熱炉と石炭やバイオマスなどの固体可燃物を乾留してからスチームで水性ガス化させる炉がサンドイッチ型になっ
ている装置 二酸化炭素の除去装置 加熱炉から出た高温ガスはボイラーや熱交換器に送り、高温スチームを発生させて蒸気タービン発電機で発電する装置 排ガスを精製する装置 以上の装置を組み合わせた水素ガス発生装置
【0014】
その一つは、セメントなど製造するロータリーキルン(非特許文献1)と縦型コークス炉の組み合わせた装置で炭化した固体可燃物を縦型コークス炉タイプの装置に送り、その装置にガスタービンの高温スチームを供給して水性ガス化させる装置 二酸化炭素の除去装置 ロータリーキルンで発生させた可燃性ガスは熱源に使用、余分な可燃性ガスはボイラーで燃焼させ、高温スチームを発生させ蒸気タービン発電機で発電する装置
以上の装置を組み合わせた水素ガス発生装置
【0015】
その一つは、酸素吹きの石炭ガス化複合発電で、ガスタービンからでた高温スチームを石炭ガス化炉に供給し、ガス化のために供給する酸素量を減らした装置。その上、高温スチームによって水性ガス化反応が速くなるので、未反応炭化物であるチャーの生成も少なくできる装置。ガス精製装置 シフト反応装置 二酸化炭素の除去装置 以上の装置の組み合わせが水素ガス発生装置である。なお、操業条件によってシフト反応装置(一酸化炭素を二酸化炭にする装置)は不要になるかもしれない。ガス精製装置の後でも熱交換器で余熱を回収できる。また、石炭の代わりにバイオマスも利用できる。
【0016】
その一つは、(特許文献6)のように還元性ガスを陽極に流し、陰極に高温スチームを流し、700から800℃の高温電気分解により、通常の電気分解よりはるかに少ない電気量で水素を発生させる装置 ここではガスタービンから出てきた1000℃以上の高温スチームでバイオマスなどを分解して還元性ガスを製造し、余熱も利用すれば、電気分解用のスチームも供給できる。二酸化炭素除去装置不要の水素ガス発生装置 また、余熱を回収して蒸気タービン発電機で発電も可能。
【0017】
その他にも食物の残りやバイオマスを分解して水素発生する装置は提案されている。その時、高温スチームがあれば、反応が促進され、コストダウンの可能性が高い。流動層で炭化し、そのあとスチームを吹き込んで水性ガスを発生させる方法もある。以上各種の水素ガス発生装置がある。
【0018】
二酸化炭素の分離は良く知られている方式で、水素を製造する方式に適切な方式を用いれば良い。
シリカゲル・活性炭・多孔質ゼオライトなどの多孔質な粒子に吸着させ、圧力を下げて脱着する方式。また、アルカリ液吸収分離方式などそれらが一般的である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
二酸化炭素の排出を大幅に減少させるために、従来の石炭を燃焼させただけの火力発電所は停止化を求められている。効率50パーセントの石炭ガス化複合発電もいつ停止を求められるかもしれない世界情勢である。一層の効率向上が求められる。又は、二酸化炭素の排出とみなされないバイオマスを燃料として利用する発電所は日本国内に多数建設されているが、規模が小さく単に燃焼してスチームを発生させて発電する装置のため熱効率が良くない。バイオマス発電を大規模で行うことが可能な装置で、二酸化炭素の排出をゼロにできる。石炭ガス化でも効率が高くなるので、二酸化炭素の排出を削減できる。天然ガス発電の二酸化炭素の排出割合に近づく可能性もある。
【0020】
発電装置の手前は水素ガスが主成分なので、水素ガスを必要とする産業に供給する事ができる。水素ガス製鉄も開発途上である。また、二酸化炭素を除去しない工程ではメタノール合成に原料ガスとして供給する事が可能である。本発明の応用範囲は広い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の概要を示す構成図。
【図2】水素ガス発生装置が加熱炉と炭化・水性ガス化炉がサンドイッチ型に多数並んだ方式の図。
【図3】水素ガス発生装置が横型の炭化炉と縦型水性ガス化炉の組み合わせた方式の図。
【図4】水素ガス発生装置が石炭ガス化複合発電の酸素吹きのタイプのガス発生装置を応用した方式の図。
【図5】水素ガス発生装置が高温のスチームと還元性ガスを用いた電気分解方式の図。
【図1】
図1 
【図2】
図2 
【図3】
図3 
【図4】
図4 
【図5】
図5 
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