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【考案の名称】室内設置用クーリング・ファン 【実用新案権者】 【識別番号】710006921 【氏名又は名称】川上 保衛 【住所又は居所】東京都府中市武蔵台1丁目30番地の5 【考案者】 【氏名】川上保衛 【住所又は居所】東京都府中市武蔵台1−30−5 【要約】 (修正有) 【課題】水の気化熱という自然の循環性のエネルギーを利用して、ハイテクではなく、10Wぐらいの少電力で稼動して、充分快感快適性のある、かつ、エクセルギー評価としても優れた室内設置用クーリング・ファンを提供する。 【解決手段】室内冷房用として設置されるクーリングファンは、回転軸b中心部から冷却プロペラaのファン翼内に、袋状にした導水性クロスに給水パイプbから導入した水を濡れ伝いさせて、回転遠心力で翼内部全体に広げ、そこに、回転翼の前エッジより取り入れた強い風で気化を促進させ、蒸発水蒸気は、ファン内の回転流によって中心軸に設けた排気口で収集して排気パイプcにて室外に排気する。熱交換器は回転ファン自身であり、その熱交換面積は従来の熱交換器の静止フィン面とは異なり何十倍にもなり、効果を高め、エクセルギー効率を高めることになる。 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 扇風機の回転翼の内部において、蒸発気化熱を使って翼を冷却し、その翼を回転させて、室内空気と接触することで熱交換器となるようにした室内設置用クーリング・ファンにおいて、 (1)翼内に空気流を導入するために、それぞれの回転翼前方エッジに吸気口を空かし、 (2)回転する翼内部において、回転軸中心側から水H2O液体を導水して回転遠心力で水が翼端側に濡れ広がらせるように、翼外殻の熱伝導性素材に密着させたクロスを張り、 (3)これに翼エッジからの導入気流を当てて気化蒸発をさせ、次には、この蒸発暑気を回転中心軸側の収集排気口に導入できるように翼の形状,及び,翼内の気流の流れをデザインして、 (4)この蒸発暑気を室外に排出できるように、回転軸に排出パイプを接続させるようにし、 以上の(1)〜(4)の構成からなるところの、回転翼内部で水を気化させることで翼自身に冷却機能を持たせた室内設置用クーリング・ファン 【請求項2】 熱伝導性のある翼外殻の素材に、翼内部において,気化蒸発用のクロス素材を装着するに当り、 (1)導水され,濡れ伝いと気化蒸発が最も効果的に為されて、かつ,翼外殻の熱伝導性素材自体が熱交換器としての役割を効果的に為されるように密着し、翼回転による翼内導入気流の乱気流化や、回転振動にも充分耐えて、剥がれる・離れることを防いで密着性を維持して機能恒久性のあるように、また、一定使用時間経過後、汚れたクロスを,定期的に交換できるように、翼エッジの吸気口側で 、導水蒸発用クロスをパッキンで装着して旗竿に釣るす形状にし、 (2)これが、翼内部に導入した吸気送風によって、翼内壁に押し付けられて密着するように、クロスを袋状の形状にし、 以上(1)〜(2)のような構成からなるところの、導水性クロスの旗竿吊るし装着・袋状密着・取替え可パッキン式になっている扇風機回転翼内部のクロス張り付け形状 【請求項3】 クーリングファンの内部において、気化蒸発した水蒸気を中心回転軸に取り付けた収集口に誘導するために、内部の気流設計は,溝と堰によって、流体設計曲線ソフトであるベジェ曲線でデザインした扇風機翼の外殻形状と内部構造 【考案の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 室内冷房機器技術 【背景技術】 【0002】 蒸発気化熱利用技術、プロペラファンデザイン技術、気流デザイン技術、クロス密着技術 【先行技術文献】 【特許文献】 【0003】 【特許文献1】気化蒸発は、日常的に見慣れた現象につき、特許に関わる先行技術文献なし。プロペラファンのデザイン、及び、気流デザインは、長らくの技術進化はあるが、本考案のように、ファン内部に関わる気流デザインでは、特許技術としてはない。 【非特許文献】 【0004】 【非特許文献1】プロペラファンの外殻形状、及び、気流デザインは、長い進化の歴史があり、多数の文献がある。冷房熱技術については、特にエクセルギー概念が重要であり、直接的な内容関連がないが 、これに関しての文献を2冊挙げる;宿谷昌則著『エクセルギーと環境の理論』(北斗出版)、及び「エネルギーの尺度を見直そう」製作委員会編集『エクセルギーデザイン学の理解と応用』(大阪大学出版会)。これらの中に、水の気化熱の技術についての優れた考察がある。 【考案の概要】 【考案が解決しようとする課題】 【0005】 室内冷房用として,現在使用されている機器は、原理別に分けると、A;圧縮・膨張による熱現象を利用して、屋外外設機で冷媒体を冷却し、それを室内に導入して、熱交換器でその冷エクセルギーを取り出し、冷房として利用するもの、B;室内でファンを回して、人体表面の汗蒸発気化熱に頼るもの,あるいは, C;デシカント方式で,ローラー回転で表面を濡らし,そこに送風して蒸発気化熱を利用して冷気を生み出すというもの、D:水ではなく,特殊冷媒を超低気圧下で蒸発させて冷エクセルギーを取り出し、その冷媒気体を液化して循環過程に入れるもの、 などである。これらの問題点を述べる;(1)Cのデシカント方式では,気化水蒸気を室外に排出する仕組みをつくらないために,閉じた系となっている室内空間では,エクセルギーの貸借が同じとなり、冷房のエクセルギー評価としては決定的な欠陥がある。加えて、蒸発水蒸気が、密封した室内に溜まり、高い湿気状態をつくることになる。そのために、身体表面の蒸発を低下させ、室内を湿気で充満させる。この点でも,最悪の状態をつくり出すことになり、本来は住居室内で使用できるものではない。(2)Aでは、多量の電力を消費して、それでいながら、過冷却気の吹き出しによる冷房により、体感快適性は、必ずしもいいものではない。(3)Dでは、高度の低気圧性を保つ装備と循環過程の複雑さから、装置が重厚であり、一般家庭での利用容易性に弱点がある。 本考案は、これら一般家庭に普及している従来型の問題を解決し、エクセルギー評価としても優れた冷房機器をつくろうとするものである。そのうえで、住居において、生体活動を営む人間にとっての体感快適性が、これら従来機器よりもはるかに優れたものが作れないのかどうかである。その方法は、最も手軽な扇風機ファンの内部構造に創意工夫を凝らして、ファン内部において、水H2O気化熱を利用して冷エクセルギーを創出し、その気化現場において直接に、ファン外殻の熱伝導性素材を熱交換器として使って採集し、一方では、熱分離で生じた暑気・水蒸気は、収集して屋外に排出するという仕組みである。謂わば,ローエネルギー・ローテクニック、水の気化熱という自然の循環性のエネルギーを利用する素朴な原理に基づく冷房機器である。 【課題を解決するための手段】 【0006】 扇風機プロペラファンの内部に水H2O液体を導入して、その水をファン外殻の内側に密着して張った導水性クロスに,ファン回転の遠心力で濡れ拡散させ、そこに、ファン回転翼前面のヘッジから、空気を吸入して蒸発させ、暑気、及び、水蒸気は、ファン内部の気流デザインによって設計された気流によって、回転中心軸に設けられた排出口に導いて、室外に排出する。こうして得られた冷エクセルギーを、ファン外殻表面の熱伝導性素材自体を熱交換器フィンとして使って取り出して、室内冷房に利用するというものである。 【考案の効果】 【0007】 水H2Oの気化熱は、生活気圧・常温下で、およそ2266J/g≒543cal/gであり、6帖間の部屋24m3では、空気の比熱と重量から、水68gの気化がなされれば、5℃下げられる計算となる。この水の気化による冷熱量を冷房に使うにあたり、ファン内部でファンの回転で空気接触面積を広げ、かなりの風速の送風によって、単位時間当りの気化水蒸気量、すなわち、求められる気化冷エクセルギー熱量を稼ぐことができる。回転翼自身が、内部においては,気化蒸発表面となり、外殻表面においては,熱交換器表面となることで、冷暑熱分離の現場において、直接に冷エクセルギーを取り出すことになり、その熱エクセルギー量は、従来機器と比較しても数十倍にもなり、エクセルギー効率(有効エネルギーを利用した割合)は著しく高くなろう。さらにいえば、部屋の断熱性と蓄熱性により、時間当たりの冷房能力は左右されるが、ピストン、あるいはロータリー等の圧縮・爆発冷却による過冷却風ではなく、広い面積のファンにより、柔らかい冷気が室内に流れるようにでき、体感快適性は優れる。そのためには、ファンの形状デザインと広さ、及び、その回転速度を調整することが大事である。 【図面の簡単な説明】 【0008】 【図1】(a)冷却プロペラファン、(b)回転軸: 排気パイプ、及び、給水パイプ接続、(c)排気パイプ: 暑熱水蒸気を収集して屋外へ、(d)給水パイプ: 自動調節水タンクから導入 【図2】図1と記号項目は同じなので説明は省略する。 【図3】(e)プロペラファン外殻外側、(f)プロペラファン外殻内側、(g)排気口排気ファン、(h)吸気口溝、(i)導水クロス張り付け旗竿 【図4】図3と記号項目は同じなので説明は省略する。 【考案を実施するための形態】 【0009】 ファンの内部構造が決め手となる。それには、水H2O液体をファンの回転による遠心力で、導水性のあるクロスに濡れ伝いさせて広げ、ファンの翼回転方向前方のヘッジからの吸気で、濡れたクロス表面に気流を当てて、水を蒸発させる。気化蒸発した水蒸気は、ファン回転軸に設置した排気管に誘導する。プロペラ翼ないにおける、この排気気流の図形的なデザインが最も重要であるが、その気流の流れ図形は、自動車車体設計と同様の「ベジェ曲線」によってなされる。 さらにまた、ファン外殻の素材自身が熱交換器のフィンとなるようにするために、気化蒸発をなす導水クロスは、ファン内部で、このプロペラ外殻の内側に密着させることが必要となるが、ファンの回転とその振動、及び、内部導入気流の乱流化、水濡れ等で、クロスが剥がれて、密着性が阻害されることにもなる。この解決のために、クロスは、翼エッジ吸入口溝の入口で、吸気溝に平行に張った旗竿に、引っ掛け装着する仕組みにする。また、クロスは、それを導入気流の風速によって,ファン外殻熱伝導素材に密着させ、さらに、ファン内部の回転翼後尾においては、水液体・水滴を粉砕して,蒸発水分子と分離が促進されるように、袋状にして、そこに送風するようにする。 【実施例】 【0010】 この〈クーリングファン〉が考案実現されれば、(1)ファン回転のための10Wぐらいの少ない電力で、エクセルギー評価でも高い効率を持つ冷房ができ、(2)設置は,天井釣るし型でも,床置き型でもできて、容易性が高く、かつ、ローテク機能で簡単な構造であり、製造価格は、格段に低く抑えられる。 (3)水H2Oの蒸発する気化熱を利用して冷房するというものであり、全く安全で、環境負荷がなく、環境共生・持続可能性の高い技術となる。(4)さらに、冷房のやり方は、過冷却風の吹き出し方式ではなく、柔らかい冷涼気のそよ風となり、体感快適性が高い。このことにより、就寝時も使用可となり、乳幼児、あるいは高齢者にも優しい冷房となる。温帯地帯の日本において、室内で熱中症で死亡という痛ましい異常な事態をなくすことに貢献できよう。更にいえば、この考案による冷房機の利用は、その廉価製造・耐久・安全性、少電力使用などの利点から見て、住居用だけではなく、大型施設・養畜舎等にも用いることができる。 また,蒸発水蒸気を回収して、屋外において、それに水を補充して液化させ、これを風が抜ける多孔の螺旋状パイプの束に通して、水を冷却する装置(冷却塔:クーリングタワーの家庭用小型改良版)と連動させて稼動させるならば、この水を室内クーリングファンに再投入して循環させることもできる。 【産業上の利用可能性】 【0011】 膨大な電力消費となる現在のコンプレッサー、あるいはロータリー式の冷房機、あるいは,吸収式冷房機のような重量・重厚でもなく、また、デシカント方式による室内過湿度状態化でもなく、少電力で、適度な冷房が可能となり、一般家庭への普及がなされるだろう。加えて、従来の過冷却風吹き出し型ではなく、柔らかい冷気をつくりだすことで、体感快適度が優れており、夜間就寝時の使用も可能となる。 産業の発展にとってどうなのかを見るに、自然のエネルギー・物質循環性を活かす環境技術の一つともなり、少エネルギーによるエクセルギー効率の高い装置として、今後の産業技術におけるエクセルギー評価・視点の重要性を見本によって示すことがなされよう。 【符号の説明】 【0012】 『0008図面の簡単な説明』でなされたので省略する. |
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【図1】 |
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【図2】 |
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【図3】 |
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【図4】 |
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